JPH11236230A - 光学素子の成形用金型及びそれを用いた成形方法 - Google Patents

光学素子の成形用金型及びそれを用いた成形方法

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JPH11236230A
JPH11236230A JP4192198A JP4192198A JPH11236230A JP H11236230 A JPH11236230 A JP H11236230A JP 4192198 A JP4192198 A JP 4192198A JP 4192198 A JP4192198 A JP 4192198A JP H11236230 A JPH11236230 A JP H11236230A
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molding
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Yoshihiro Kamata
善浩 釜田
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Minolta Co Ltd
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/06Construction of plunger or mould
    • C03B11/08Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B2215/00Press-moulding glass
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 心取り工程を必要とせず、またエア溜まりの
発生や冷却時の部分的応力の発生による外観不良が一切
なく、偏心が少ない光学素子を安価に成形することがで
きる光学素子の成形用金型および成形方法を提供するこ
と。 【解決手段】 少なくとも一対の上下金型および上下金
型がアライメントされた状態を維持する筒状部材からな
る光学素子の成形用金型であって、上金型および/また
は下金型の外周側面に、縦溝部が1または複数形成され
ていることを特徴とする光学素子の成形用金型およびそ
れを用いた成形方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種光学系に使用
されるレンズやプリズムなどの光学素子を成形する際の
成形用金型およびそれを用いた成形方法に関し、特に、
ガラスを加熱軟化させた後に上下金型で加圧し、成形す
る、いわゆる、「プレス成形法」にかかる光学素子の成
形用金型およびそれを用いた成形方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年工業技術の発展にともなって、複雑
な形状を有する光学素子であっても、大量生産が可能と
なった。その結果、非球面レンズなどの光学素子が、カ
メラやその他製品の光学系で多用されている。これらの
素子は、従来は、超精密加工機により直接加工するか、
又は、プラスチックの成形により形成されてきたが、ガ
ラス素材によるものの需要が急速に伸びてきた。これ
は、位置決めにおいては熱膨張係数、光学設計的には屈
折率の優位性があるためである。そこで、ガラス製の光
学素子を高精度に、かつ、安価で大量に生産することの
できる「プレス成形法」について様々な提案がなされて
きた。
【0003】この中で一般に採用されているのは、所望
の光学素子の形状に近似した形状にあらかじめ加工され
たプリフォームを加熱軟化させて上下金型間で加圧成形
した後、冷却し、成形されたレンズを取り出す、いわゆ
る「再加熱法」である。このような再加熱法において使
用される成形用金型は一般に一対の上下金型からなって
おり、上下金型間の隙間からガラスがはみ出しやすく、
その結果、心取りなどの後工程を必要とし、かえってコ
スト高となる問題が生じている。
【0004】そこで、特開昭58−84134号公報な
どにおいては、一対の上下金型に摺動嵌合させる筒状部
材を使用して、所望の光学素子に対応した形状のキャビ
ティ空間を構成し、成形する方法が開示されている。こ
の方法によれば、筒状部材の内面を上下型の案内面とす
ることにより心取り工程を必要とせず、かつ偏心の発生
をおさえることができる。しかしながら、このような金
型の構成では、キャビティ内が密封された状態となるの
でレンズにエア溜まりが発生し、エア溜まり部を中心に
面ワレ、しわおよび折れ込みなどの外観不良が発生する
という問題が生じている。これらのエア溜まりの原因と
しては、上下金型内のプリフォームを加熱する際に、キ
ャビティ内に残存するエア、及び、プリフォーム、金型
母材内部および筒状部材などからごく微量放出されるガ
スなどが排出されずに、金型の成形面近傍に滞留するた
め、成形の際に金型表面とガラス表面との間に閉じ込め
られることが考えられる。
【0005】この問題を解決するために、特公平3−6
0780号公報では、金型転写面の外周部に切り欠き部
を設け、筒状部材の肉厚方向に貫通するガス抜き孔を設
けることにより、成形時にこれらの切り欠き部およびガ
ス抜き孔を通して金型内のガスを完全に排除する技術が
開示されている。しかしながら、かかる技術では以下の
問題がある。 (1)切り欠き部は比較的大きいため、成形時において
加熱軟化された溶融ガラスが切り欠き部に入り込み、レ
ンズ外周部にガラスの回り込みによる凸部が形成され
る。当該凸部の形成部位がたとえレンズの光学的有効径
の外側であっても、これが残存すると得られたレンズを
鏡筒に組み込む際、レンズ外周部を位置決め基準面とし
て使えなくなって、新たな加工工程が必要となる。 (2)切り欠き部が金型転写面の全周に設けられている
ため、コバ面の転写を有効に行うことができない。 (3)成形キャビティ近傍に孔をあけるため、金型内の
ガラスの加熱効率が低下し、キャビティ内のガス置換が
不十分となる。
【0006】また、特開平2−102134号公報では
金型の光学的有効径外の外周面部に複数の溝状のガス逃
げ部を設けた金型が、特開平8−325023号公報で
は凹面形状の成形面を設けた成形型の外周最頂部または
外周フラット部に溝を設けた金型が、特開平8−337
428号公報では金型成形面における有効径外に溝を放
射状に設けた金型が提案されている。これらの金型によ
っても、プリフォームと金型成形面との間に隙間がで
き、隙間がガスの逃げ道となるが、いずれの金型におい
ても、ガスを逃がす溝はレンズ有効径のごく近傍に設け
られているため、上記の(1)のような問題が生じるだ
けでなく、成形後の冷却過程において、ガラスがガス抜
き溝に入り込んで形成された凸部を中心として局部的な
応力が発生し、結果として、成形レンズにカケやチッピ
ングなどの外観不良が発生するという新たな問題が生じ
ている。この問題は、溝がたとえ有効径の内側に及んで
いなくても、有効径の内側にまで不良が波及しやすいと
いう傾向がある。
【0007】さらに、上記の特開平2−102134号
公報に記載の技術においては、プリフォームとして直径
が金型のそれより大きいものを使用し、また、筒状部材
は単にプリフォームを支持するキャリアとしての機能し
か果たさないため、上下金型のアライメントが不十分と
なって、偏心の発生によるコスト高の問題が再び発生し
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みなされたものであって、心取り工程を必要とせず、
またエア溜まりの発生や冷却時の部分的応力の発生によ
る外観不良が一切なく、偏心が少ない光学素子を安価に
成形することができる光学素子の成形用金型を提供する
ことを目的とする。
【0009】本発明は、また、エア溜まりの発生や冷却
時の部分的応力の発生による外観不良が一切なく、偏心
が少ない光学素子を安価に成形することができる光学素
子の成形方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも一
対の上下金型および上下金型がアライメントされた状態
を維持する筒状部材からなる光学素子の成形用金型であ
って、上金型および/または下金型の外周側面に、縦溝
部が1または複数形成されていることを特徴とする光学
素子の成形用金型に関する。
【0011】本発明は、また、上記の光学素子の成形用
金型を用いてプリフォームを加圧成形することを特徴と
する光学素子の成形方法に関する。
【0012】本発明においては、筒状部材に上下金型の
アライメントを維持させ、上金型および/または下金型
の外周側面に、縦溝部を1または複数形成し、成形時に
金型とプリフォームの間に閉じ込められるエアを、前記
縦溝部を通して成形用金型の上面または底面に排出する
構成の成形用金型を用いることにより、心取り工程を必
要とせず、またエア溜まりの発生や冷却時の部分的応力
の発生によるカケやチッピングが少なく、偏心が少ない
光学素子を安価に成形することができる。本明細書中に
おいて、「上下金型がアライメントされた状態」とは、
上下金型が、成形時にずれないように整合されている状
態をいう。
【0013】以下、図1を用いて本発明の成形用金型を
説明する。本発明の成形用金型は少なくとも一対の上下
金型1、2および筒状部材(スリーブ)3からなってお
り、窒素または不活性ガス雰囲気に保たれた図示しない
チャンバ内に配されている。
【0014】本発明の成形面金型を構成する上下金型
1、2の各成形面は平面、球面または非球面いずれであ
ってもよく、また凹状、凸状いずれであってもよい。ま
た、上下金型の各成形面の反対側には筒状部材の位置決
めのための鍔部11、21が形成されている。各成形面
は所望により高面精度を有している。これら成形面の表
面粗さは所望の光学素子表面によって適宜設定すること
が可能であり、通常、Rmax0.02μm程度までガラス
表面に転写することができる。上下金型の材料として
は、特に限定されず、従来から金型材料として用いられ
ている公知のものを使用することができるが、耐熱性お
よび加工性に優れた硬質材料であることが望ましく、例
えば、超硬、SiC等が挙げられる。
【0015】筒状部材3は上記の上下金型がアライメン
トされた状態を維持している。すなわち、筒状部材は、
成形時に上下金型がずれて光学素子に偏心が発生するこ
とがないよう、その内径側面で上下金型の外径側面に摺
動可能に嵌合している。さらに、筒状部材の内径を光学
素子の心取り径と一致させることにより成形用金型を用
いて成形された光学素子は後工程(心取り工程)が不要
で、経済性に優れているといえる。
【0016】筒状部材3の材料としては、上下金型のア
ライメントを正確に維持できれば、特に限定されるもの
ではなく、強靭な材料を使用して偏心の発生をより確実
に防止することが望ましい。例えば、超硬、SiC等が
挙げられる。一方、筒状部材の材料として上下金型のそ
れと同一のものを使用することにより、上下金型材料と
熱膨張係数を同一にし、熱膨張の差による上下金型のア
ライメントの悪化をなくすことで、偏心のさらなる減少
を図ることができ、生産をより安定化させることができ
る。
【0017】また、本発明においては、筒状部材の内周
側面も光学素子のコバ面の成形に供されるため、上記の
金型成形面と同様に高面精度を有することが好ましい。
【0018】図1における本発明の成形用金型を直線A
−A'で切ったときの概略断面図を図3に示す。筒状部
材3の上面および/または底面の内周側の角部をテーパ
状に加工し、成形用金型の表面との間にリング状の空間
S1を形成し、さらに、上下金型の外周側面に形成され
た後述の縦溝部22から排出されるキャビティ内のガス
を他の場所に排出することを目的として、横溝部23を
縦溝部に連結して形成してもよい。このとき、横溝部の
当該軸方向に対する垂直断面の形状および最大幅等は特
に制限されず、いかなる形状および寸法をとってもよい
が、好ましくは後述の縦溝部と同様の形状および寸法を
有する。また、これらの溝は前述のリング状の空間S1
を介して連結されている。
【0019】図3に示すように筒状部材および上下金型
の上面形状は円形状のものを使用しているが、これに限
定されることはなく、所望の光学素子の形状に依存して
様々な形状を有してもよく、例えば、円形状、四角形状
等の形状を有してよい。
【0020】縦溝部22は上金型および/または下金型
の外周側面に上下金型の加圧方向と平行に形成される。
ただし、厳密に平行である必要はなく、たとえば斜めあ
るいはらせん状の溝であってもよい。また、図1におい
て、縦溝部22は上下金型双方の外周側面に形成されて
いるが、これに限定されるものではない。本発明におい
てはこのように、縦溝部が上下金型の加圧方向と平行に
形成され、キャビティ内のガスはキャビティから離れた
位置で排出されるため、キャビティ内の加熱効率の低下
は回避される。
【0021】図1における本発明の成形用金型を直線B
−B'で切ったときの概略断面図を図4に示す。図4
(図3においても同様)において縦溝部22は上金型1
に、当該加圧方向と平行に4本等間隔に形成されている
が、縦溝部の数は特に制限されることはなく、1本であ
っても、またはそれ以上の数であってもよい。
【0022】縦溝部の上下金型加圧方向に対する垂直断
面形状は特に制限されることはなく、半円形状、四角形
状、三角形状等、様々な形状を有してもよいが、半円形
状を有することが好ましい(図4参照)。縦溝部の当該
断面の最大幅(当該断面形状が半円形状である場合は直
径)は0.05〜0.8mm、好ましくは0.1〜0.6
mmであることが望ましい。0.05mmより小さいと目詰
まりが起こり易くなり、ガスの排出効果が得られないこ
とがある。一方、0.8mmより大きいと成形時に軟化さ
れたガラス素材が当該縦溝部に流れ込んで形成された凸
部を中心として部分応力が生じ、その結果ワレやカケが
生じるため、歩留まりが低下してコスト高となる。
【0023】本発明の成形用金型においては、このよう
に微小断面の縦溝部が金型成形面の最端部(最も圧力が
かかりにくく、最後まで金型の形状が転写されずに残っ
ている金型成形面とコバ面との境界の微小な空間R1
(図1参照)をさす。その大きさは、成形時間・圧力・
プリフォーム体積により決まる。)に形成されるため、
エア溜まりの発生や冷却時の部分的応力の発生による外
観不良が一切ない光学素子を提供することが可能になる
と考えられる。
【0024】なお、縦溝部の上下金型加圧方向に対する
垂直断面積は同方向に対する上下金型の垂直断面積の
0.05%〜10%、好ましくは0.1%〜5%であ
る。縦溝部が複数本形成される場合は、上記断面積の総
和が上記の範囲内になるよう設定される。当該断面積が
0.05%より小さいとキャビティ内のエアが十分に抜
けきらず、エア溜まりの発生による外観不良が生じる原
因となり、一方、5%を越えるとキャビティ内の加熱さ
れたガスが縦溝部を通じて流出し、加熱効率が低下した
り、キャビティ内のガス置換を有効に行うことができな
い。
【0025】このような縦溝部は、上金型および/また
は下金型1、2の外周側面3の所望の部位を砥石等で削
ることにより容易に形成することができる。
【0026】以上のような上下金型および筒状部材から
なる本発明の成形用金型は、図2に示されるように、そ
の筒状部材外周が、さらに胴型5に嵌入されていてもよ
い。図2の成形用金型は胴型が装着されていること以
外、図1の成形用金型と同じである。このような構成に
することにより、筒状部材は必ずしも厚肉である必要は
なく、例えば高価な材料であっても少ない体積で強靭な
ものを選択でき、アライメントを経済性よく、より確実
に行うことができるからである。尚、胴型の材料として
は誘導加熱可能な材料であれば特に制限されることはな
く、例えば、カーボン、超硬等が挙げられる。
【0027】また、上下金型は図示していない押し部材
によって圧力が加えられる。レンズ成形時、その押し部
材と胴型が密封構造を形成し、ガスの流れを遮断するお
それがある。そこで、胴型の上面および/または底面に
は、胴型溝部24が筒状部材における横溝部と同様に、
金型軸を中心に放射状に形成されている。このとき、胴
型溝部は金型の顎部と胴型内周面とで形成されるリング
状の空間S2を介して横溝部に連結されている。
【0028】本発明による光学素子の成形方法において
は上記の成形用金型が用いられ、従来からの再加熱法と
同様の手順で行われる。すなわち、本発明の光学素子の
成形方法は、少なくとも上記成形用金型の上下金型内に
プリフォームを設置する工程、キャビティ内の雰囲気を
窒素又はアルゴンに置換する工程、上下金型内でプリフ
ォームを加熱して軟化状態にした後、上下金型間を加圧
して、上下金型成形面および筒状部材内周側面を転写す
る工程、成形された光学素子を冷却する工程、および冷
却した光学素子を上下金型から離型する工程からなる。
【0029】本発明の成形方法を図2を参照しながら具
体的に説明する。まず、筒状部材3に下金型2を挿入
し、筒状部材を図示しない成形装置に取り付ける。つい
で、筒状部材3の上端から、所定形状に加工されたプリ
フォーム4を図示しない自動ハンドリング装置等により
挿入する。次に、キャビティ内の雰囲気を置換し、上金
型1を筒状部材3に嵌入させ、筒状部材を誘導加熱又は
赤外線ランプ等(図示せず)により所定温度まで加熱
し、プリフォーム4を成形可能な状態にまで加熱・軟化
させた後、上下金型の少なくとも一方を、所定の心厚と
なる位置まで移動させ、プリフォーム4に圧力を加える
ことにより上下金型1、2の形状を転写させ、冷却す
る。それぞれの工程における諸条件は使用されるプリフ
ォームのガラス素材に依存し、従来からの再加熱法にお
ける条件を採用することができる。
【0030】本発明において使用可能なガラス素材とし
ては特に制限されず、例えば、重フリント系、クラウン
ガラス系等が挙げられる。
【0031】この一連の工程の中で、前述のキャビティ
内のガスは、前述の縦溝部22、横溝部23および胴型
溝部24を介して、キャビティ空間の外側に押しださ
れ、加圧時には、キャビティ内にほとんど空間が残存し
ない状態で成形することが可能となる。
【0032】成形終了後、金型及び成形された素子を冷
却した後、素子を金型から離型させ、キャビティから素
子を取り出すことにより光学素子が得られる。なお、素
子を急激に金型から離型させると、キャビティ内部が減
圧傾向となり、離型・取り出しが困難になる場合がある
ため、横溝部23および胴型溝部24を介して縦溝部2
2に外部から、窒素、不活性ガス等の非酸化性気体を噴
出させ、減圧状態となるのを防ぐと同時に素子を押し出
すことにより、離型を容易に行うことができる。このと
きの噴出させるガス流量は1〜5kg/cm2が好ましく、
より好ましくは1〜2kg/cm2である。1kg/cm2より少
ないと離型効果が低く、5kg/cm2より多いとガス抜き
溝内に存在する微少なダストを巻き込むおそれがあり、
次の形成の際、ダストを巻き込んでしまい、外観不良の
原因となる。
【0033】得られた光学素子を評価すると、光学素子
の外周面に全く凸部は全く見られず、コバ面が良好に転
写されており、心取りをする必要は全くない。また偏心
は2'以内に抑えられていた。さらには、その外観を顕
微鏡により観察すると、面ワレ、折れ込みやしわなどの
外観不良はほとんど見あたらず、カケやチッピングなど
の不良も認められなかった。
【0034】
【実施例】実施例1 ここでは、SF57からなるゴブプリフォーム4から、
第1面42が曲率半径30mm、有効径8.5mmを有し、
第2面43が曲率半径20mm、有効径8mmを有する、図
5に示すようなメニスカス非球面レンズ(レンズ径11
mm、厚さ1.8mm)を5個成形した。
【0035】本実施例で採用した成形用金型の構成につ
いて図2を用いて説明する。まず、直径15mmの鍔部1
1、21のついた直径11mmの超硬合金からなる金型母
材を加工し、その成形面を上記レンズの形状に対応する
ように各々の上下金型1、2を加工した(表面粗さRma
x0.02μm)。さらに、各金型1、2の外周側面に
は、各々等間隔に4本の縦溝部22を形成した。尚、そ
の断面形状は内径0.2mmの半円形状とした(図4参
照)。筒状部材3は、高さ13cm、直径15mmの円柱状
の超硬合金に、内径11mmの丸穴を形成したものを用い
た。また、その底部および上部には、縦溝部22を介し
て出てきたガスを排出するための横溝部23を金型軸を
中心として放射状に形成した。その断面形状は内径0.
4mmの半円形状とした。尚、各横溝部23の上下金型側
端は、縦溝部22とそれぞれ繋がるように配置されてい
る。
【0036】また、本実施例においては、筒状部材3を
直径40mmの胴型部材5に嵌入する構成とした。尚、胴
型の材料はカーボンとした。さらに、本実施例において
は、前述の横溝部23に連通する、断面が内径0.4mm
の半円形からなる胴型溝部24を胴型5の底面および上
面に放射状に形成した。この胴型5を図示しない胴型取
り付け部に取り付けた。
【0037】実際に上記レンズを成形するに際して、詳
しくは、誘導加熱源(図示せず)により胴型5を加熱
し、金型1、2及び筒状部材3、プリフォーム4を成形
可能な温度(480℃)にまで昇温させた。ここで、上
下金型1、2を互いに接近させ、プリフォーム4に約6
0kgfの圧力を加えた。このとき、キャビティ内に残存
していたガスは、各金型1、2の成形面によって押し出
され、各金型1、2の縦溝部22、筒状部材の上面およ
び底面に形成された横溝部23、および胴型溝部24と
図示しない押し部材の表面との間で形成される半円状の
各空間を介して排出された。加圧を開始してから約12
0秒経過後、冷却し、離型して、図示しない搬送手段に
より、成形されたレンズを取り出した。
【0038】尚、本実施例においては、離型工程におい
て、この縦溝部に外部から窒素ガスを噴入し、離型の際
にキャビティ空間に1kg/cm2の流量で窒素ガスを噴出
させたところ、離型により生じた各型成形面と成形され
たレンズとの隙間及び筒状部材内周側面との隙間に、ガ
スが流入した結果、減圧傾向とならずに、離型が容易に
なった。
【0039】上記のレンズ製造工程を5回繰り返して得
られた5個のレンズを評価したところ、全てのレンズの
外周面に凸部は全く見られず、偏心も2'以内に抑えら
れており、心取りをする必要は全くなかった。また、全
てのレンズの外観を20倍の対物レンズを備えた顕微鏡
により観察したが、ほとんど、面ワレ、折れ込みやしわ
などの外観不良に見あたらず、カケやチッピングなどの
不良もみとめられなかった。
【0040】比較例1 金型1、2の外周側面に各々等間隔に4本の縦溝部22
を形成する代わりに、筒状部材内面に、キャビティから
筒状部材の肉厚方向で直径0.2mmのエア抜き孔を4個
等間隔で形成した金型構成からなる装置を用いたこと以
外、実施例1と同様にして、メニスカス非球面レンズを
5個成形した。その結果、成形された全てのレンズの外
周部分を観察したところ、一つのレンズにおいてはレン
ズの外周面に微小な凸部が発生しており、後加工により
この部分を削り落とさなければならなかった。また、あ
るものは、溝の部分からレンズ有効径の境界部分にかけ
てカケが生じていた。
【0041】
【発明の効果】本発明においては、エア溜まりの発生に
よる面ワレやしわや折れ込み等の外観不良、および冷却
時の部分的応力の発生によるカケやチッピング等の外観
不良が一切なく、心取り工程を必要とせず、偏心の少な
い光学素子を安価に提供することができる。また、本発
明においては、筒状部材を筒状の胴型に嵌入する構成と
することにより、比較的安価でかつ、上下金型のアライ
メントをより確実に維持することができるため、より偏
心の少ない光学素子を提供することができる。さらに、
本発明の方法においては、加熱効率を低下させることな
く、成形時にキャビティ内のガスを効率的に置換するこ
とができる。また、成形された光学素子を離型するに際
して、縦溝部を介して非酸化性ガスをキャビティ内に噴
出させることにより、キャビティ内が減圧傾向となるの
を防止し、離型作用を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の成形用金型の一例の概略構成図を示
す。
【図2】 本発明の成形用金型の一例の概略構成図を示
す。
【図3】 図1の本発明の成形用金型を直線A−A'で
切ったときの概略横断面図を示す。
【図4】 図1の本発明の成形用金型を直線B−B'で
切ったときの概略横断面図を示す。
【図5】 実施例1で成形された光学素子の概略断面図
を示す。
【符号の説明】
1:上金型、2:下金型、3:筒状部材、4:プリフォ
ーム、5:胴型、11、21:鍔部、22:縦溝部、2
3:横溝部、24:胴型溝、42:光学素子第1面、4
3:光学素子第2面。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一対の上下金型および上下金
    型がアライメントされた状態を維持する筒状部材からな
    る光学素子の成形用金型であって、上金型および/また
    は下金型の外周側面に、縦溝部が1または複数形成され
    ていることを特徴とする光学素子の成形用金型。
  2. 【請求項2】 上金型および/または下金型の外周側面
    に形成される縦溝部の上下金型加圧方向に対する垂直断
    面積が同方向に対する上下金型の垂直断面積の0.05
    %〜10%であることを特徴とする請求項1記載の光学
    素子の成形用金型。
  3. 【請求項3】 筒状部材がさらに胴型に嵌入されている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の光学素子の成
    形用金型。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれかに記載の光学素子
    の成形用金型を用いてプリフォームを加圧成形すること
    を特徴とする光学素子の成形方法。
JP4192198A 1998-02-24 1998-02-24 光学素子の成形用金型及びそれを用いた成形方法 Pending JPH11236230A (ja)

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