JPH11235362A - ２輪同時に制動させる木製車椅子の制動方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課 題】１回の操作で２輪同時に制動がかけられる車
椅子の提供。 【解決手段】キャスター３，４，５，６の小輪に内蔵さ
れたブレーキ装置をそのまま利用し、左右２輪の制動装
置を連結アーム８、ケーブル７、ロッド、リンク等を使
用し、連動するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】高齢者、身体障害者、交通事
故等による、特に下肢の不自由な人々に利用される室内
用の木製車椅子の制動方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】車椅子、特に室内で使用される木製車椅
子においては、狭い室内では小回りがきき、方向転換時
に畳、絨毬等をこすらないで転換できることが重要であ
るため、通常車椅子の脚部にキャスター、あるいは小径
の車輪を使用したものが多い。しかしこれらの制動方法
に関しては、キャスターでは本体機構に組み込まれた小
さなペダルを直接足指で踏み込んで行うものであった。

【０００３】また、通常の車輪の場合には左右独立した
レバーを引いて直接車輪表面を押さえて拘束するのが一
般的で、小径の車輪の場合には介護者がしゃがんでレバ
ーを引かねばならず片方の制動では乗降の際には車椅子
が動くため、反対側にも回り制動をかける必要があっ
た。

【０００４】その他金属製と同じような形と機能を持た
せた木製の車椅子もあるが、値段が非常に高く一般には
なじまない。

【０００５】

【発明が解決しようとしている課題】車椅子に乗降する
際には制動をかけ静止させることが安全上の基本であ
り、一般のキャスターに付いた小さなペダルを直接足指
で踏むことは介護者には勿論、下肢の不自由な搭乗者に
とっては困難なため、手または足だけの簡単な操作で、
かつ姿勢を崩すことなく安全に２輪の制動がかけられる
ようにしたものである。

【０００６】また、車椅子に乗降する場合には左右の両
輪に制動をかけておかないと不自由な身体では座れな
い。従来の車椅子には両輪を同時に制動できるものがな
く、まして片方の手で患者を支えて車椅子の側方から手
を延ばし、一回の操作で制動をかけることはできなかっ
た。

【０００７】上記の諸問題を解決し、室内にふさわしい
シンプルな機構と容易にかつ安全に遠隔操作ができるよ
うな構造にすると同時に、車椅子としてのすべての機能
を持ちながら、一般に入手し易い安価なものをめざして
いる。

【０００８】

【課題を解決するための手段】一般に室内で使用されて
いる値段も手頃な木製の椅子を利用し、脚部底にキャス
ター等の小輪を使用した場合には、小輪内部の制動機構
を外部に取り出し、介護者または搭乗者の手元および足
もとへ左右対称的に導き、片方の手または足で車椅子の
後方、あるいは側方または座った状態からでも２輪同時
に、かつ容易に制動がかけられるように連結アーム、ロ
ッド、ケーブル、紐、あるいはリンク等を使用し、連動
させたことにある。

【０００９】比較的径の大きな車輪では、一般に使用さ
れるドラムブレーキ等を車軸に取り付け、同じくケーブ
ル、紐等を利用して介護者、または搭乗者の手元へ導き
遠隔操作による２輪同時の制動方法を提案している。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下本発明に関わる遠隔操作によ
る制動方法の実施の形態を図面に即して詳しく説明す
る。

【００１１】図１は金属製車椅子と同形状を持つ木製車
椅子を示し、制動方法は後輪のタイヤ表面を独立したレ
バー１、および２により直接押す構造であり、機能的に
も従来の金属製の車椅子の延長上にある。図２は木製車
椅子（以下車椅子と称す）の全体図を示す例で、脚部に
はキャスター３〜６を配設し、７はケーブル、８は連結
アームで介護者の手元ブレーキの操作部となるもので、
後部キャスター３，４には制動装置が具備されている。

【００１２】図３に示すように、キャスター３、４の内
部にある制動機構（図示せず）を利用しており、キャス
ター３、および４の脚部取り付け軸部Ａの中心の穴から
ケーブル７が出ており、脚内部に穿孔された穴Ｂを通っ
て上方へ向かい脚の外部へ導かれる。なお本例のキャス
ターはケーブル７がのびる方向で制動が解除される構造
とする。

【００１３】図４、および図５では介護者の手元ブレー
キの側面、および平面を示す一例で、８はブレーキの操
作を兼ねる連結アームで支軸のピン９の回りに回転し、
先端には弾性のあるローラ１０を嵌合しており、連結ア
ーム８を矢印（下方）の方向へ押すと、ピン９を支点に
して先端のローラ１０は案内のカム１１の上面を上方へ
転動し、連結アーム８に取り付けられた金具１２に係合
したケーブル７を緩める方向に作動させ、カム１１の凹
部Ｃで止まり制動状態にする。解放する場合は矢印と反
対方向（上方）へ連結アーム８を持ち上げればケーブル
７は引っ張られて制動は解除される。この場合にキャス
ターの制動、解放が逆になるときは、金具１２の取り付
け位置をピン９の反対側にもってきて、ケーブル７の弛
緩を逆にする。上述のように操作用の連結アームを上下
に作動させるだけで２輪同時に制動をかけることがで
き、側方からも手をのばせば容易に操作できる。

【００１４】図６に示す態様は制動用のペダルが外部に
ある一般的キャスターを使用した場合の例を示し、ペダ
ル１３にアーチ状の連結アーム１４をネジ、あるいは接
着剤でペダルに固定し、足で該連結アーム１４のどこを
踏んでも下方にさがり、容易に制動をかけることができ
る。連結アーム１４の足部の高さ、方向を変えることに
より、踏み込みの力、作動方向を加減することもでき
る。

【００１５】図７の態様は図６で示した連結アーム１４
に金具１５を取り付け、ロッド１６と一体となったヨー
ク１７とピン１８で回転可能に係合している。ロッド１
６は脚の表面、または脚部に作られる案内溝のなかを拘
束され上方へ延び連結アーム８の金具１２に係合され
る。このように上部の連結アームと足もとの連結アーム
を連動させることにより、手または足のどちらからでも
制動をかけることができ、両手を使って支えながら乗降
させるときは便利である。

【００１６】図８の態様は上部の制動に使用する連結ア
ーム８ｃの形状を車椅子の背もたれ後部Ｄが曲面をもっ
ているため、そのまま真っ直ぐなアームでは取り付け部
が車椅子から離れてしまいコンパクトにならないため、
背もたれ部のＲと概ね平行しながら曲線を描くことによ
って背もたれ後部の操作に無理がなく、デザイン上もバ
ランスが良く、連結と操作を兼ねたコンパクトな構造に
することができる。

【００１７】図９の態様は車椅子の本体の形状によって
は、連結アーム８ｄに握りレバー１９を左右対称に取り
付け、該握りレバーの軸と連結アーム８ｄは一体で動く
ようにすると、どちらかのレバーの操作で連結アーム８
ｄの両端にあるレバーアーム２０が回転し、該レバーア
ームにあいている穴ｐまたはｑが同時に回転し、穴に係
合しているケーブルあるいはロッドを押し引きして制動
をかける。

【００１８】また、別の態様では図１０，および図１１
に示すように握り棒となる連結アーム８ｅの断面を円
形、または円形に近い形状にすることにより、手で握っ
てそのまま回転させると連結アーム８ｅは軸受け２１の
回りに自転し、該連結アーム両端のレバー２２，２３が
同軸で回転し、制動のケーブルあるいはロッドと係合さ
せて制動がかかるようにしたもので、この場合は連結ア
ーム８ｅを真っ直ぐにしておけば、該アームを握ったま
ま車椅子をそのまま押したり引いたりしながら、介護者
は制動がかけられる利点がある。図１１はレバー２２，
２３の形状を側面から示したものである。

【００１９】図１２は一般のドラムブレーキを装着した
比較的径の大きな車輪を後輪にした場合と、搭乗者自身
が制動をかけられるようにした例を示したもので肘掛け
前方の下部にブレーキレバー２４、２４ａを左右に取り
付け、ロッド２５，２５ａで後方のリンク２６，２６ａ
と係合する。リンク２６，２６ａの一端は後方の介護者
が使用するレバー２７，２７ａとロッド２８，２８ａを
介して係合し、後輪に具備されたドラムブレーキにケー
ブル２９，２９ａで接続している。搭乗者から２４，２
４ａのブレーキレバーを介護者は２７，２７ａのブレー
キレバーのどちらか一つを操作することにより、リンク
２６と２６ａが連結アーム８ｆで拘束されているため、
ケーブル２９，２９ａに伝達されて後輪の２輪を同時に
制動させることができる。通常のドラムブレーキのよう
にそれ自身にロックのできないものは２６，２６ａのリ
ンクに図４で示すようなローラとカムを用意すればよ
い。

【発明の効果】室内特に一般の家庭内に金属製の車椅子
を使用する場合と比べ、通常の椅子のような感覚で使用
でき、回りの調度品との違和感もなく、制動の操作部分
が手元、および足もとにあり、車椅子の側方からも一回
の操作で２輪同時に制動がかけられることによって下肢
の不自由な人自ら車椅子を静止させて乗り降りでき、周
囲を煩わせる回数が少なくてすみ自立心の向上に役立
つ。介護者にとっても手元、あるいは足で安全にかつ簡
単に操作ができ便利となる。さらに一般に量産される椅
子を原型に製作するため、コストの大幅な削減ができ、
安価になり入手し易くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】木製車椅子の外観図

【図２】本発明に係わる木製車椅子の後方斜視図

【図３】木製車椅子の脚部斜視図

【図４】連結アームの作動部の例を示す側面図

【図５】連結アームの作動部の例を示す平面図

【図６】キャスターを直接連結アームで結んだ斜視図

【図７】上下連結アームをロッドで結んだ斜視図

【図８】上部連結アームの斜視図

【図９】レバーのついた連結アームの斜視図

【図１０】丸棒の連結アームの斜視図

【図１１】レバーの側面図

【図１２】介護者および搭乗者からもできる制動方法の
全体図

【符号の説明】

１、２はレバー ３、４、５、６、はキャスター ７はケーブル ８〜８ｆは連結アーム ９はピ
ン １０はローラ １１はカム １２は金具
１３はペダル １４は連結アーム １５は金具 １６はロッド １７はヨーク １８はピン １９は握りレバー ２０はレバーアーム ２１は軸受け ２２，２
３はレバー ２４、２４ａはブレーキレバー ２５、２５ａはロ
ッド ２６、２６ａはリンク ２７、２７ａはブレーキレ
バー ２８、２８ａはロッド ２９、２９ａはケーブル

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 主に室内で使用されている木製車椅子に
   おいて、前部または後部の車輪には制動装置を具備し、
   該制動装置の操作部分を介護者、または搭乗者が後方、
   あるいは側方または座った状態から一回の手元操作によ
   って２輪同時に制動できるように連結アーム、レバー、
   ノブ、ケーブル、ロッド、紐、およびリンク等の伝達手
   段を利用して、２輪同時に制動させる木製車椅子の制動
   方法。
2. 【請求項２】 主に室内において使用されている木製車
   椅子において、後部車輪には制動装置を具備した車輪を
   使用し、該車輪の制動装置にアーム、レバー、ロッド等
   の伝達手段を利用して、左右を連結し間接的に足の踏み
   込みによる遠隔操作によって２輪同時に制動させる木製
   車椅子の制動方法。
3. 【請求項３】 制動をかける手元操作の左右連結アー
   ムは車椅子の背もたれ部の曲面に沿って曲線状にし、
   木、プラスチック、または金属パイプ等を素材とした請
   求項１記載の２輪同時に制動させる木製車椅子の制動方
   法。
4. 【請求項４】 手元操作のつかみ棒となる左右連結アー
   ムは断面を円形、または円形に近い断面として、制動を
   かけるときには左右連結アームを直接自転させると同時
   に車椅子を前進、後進させるときにも使用できるように
   した請求項１記載の２輪同時に制動させる木製車椅子の
   制動方法。
5. 【請求項５】 手元操作部は図９のように左右独立した
   レバーを有し、レバーの軸は同軸により回転し、片方の
   レバーからでも反対側のレバーが作動するように連結し
   た請求項１記載の遠隔操作によって２輪同時に制動させ
   る木製車椅子の制動方法。
6. 【請求項６】 足による踏み込みの連結アームと上部の
   手元操作による連結アームとは互いにロッド、リンク等
   で結び、足と手とどちらからでも制動がかけられるよう
   にした請求項１，または請求項２記載の２輪同時に制動
   させる木製車椅子の制動方法。
7. 【請求項７】 左右の肘掛け前方の下部に制動をかける
   ためのレバー、あるいはノブ等の操作手段を用意し、操
   作手段はロッド、またはケーブルと係合し、後部の制動
   機構とリンクすることによって座った状態からも制動が
   かけられるようにした請求項１、または請求項２記載の
   ２輪同時に制動させる木製車椅子の制動方法。