JPH11228777A - シート成形用樹脂組成物及び容器成形用シート - Google Patents

シート成形用樹脂組成物及び容器成形用シート

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JPH11228777A
JPH11228777A JP2825098A JP2825098A JPH11228777A JP H11228777 A JPH11228777 A JP H11228777A JP 2825098 A JP2825098 A JP 2825098A JP 2825098 A JP2825098 A JP 2825098A JP H11228777 A JPH11228777 A JP H11228777A
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sheet
rubber
container
molding
resin
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JP2825098A
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Kiyoshi Shimizu
潔 清水
Keiji Takahashi
啓司 高橋
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シート成形後、低温成形による二次加工が可
能であり、耐衝撃性に優れた成形容器を高い成形性で得
る。 【解決手段】 マトリックスを構成するスチレン系樹脂
の重量平均分子量が1.3×105 〜3.5×105
度の範囲から選択できるゴム変性スチレン系樹脂と内部
滑剤とで構成され、両者の割合が前者/後者=98/2
〜90/10(重量%)程度であるシート成形用樹脂組
成物を得る。前記ゴム変性スチレン系樹脂は、ポリブタ
ジエンにスチレン系単量体がグラフトしたグラフト共重
合体であってもよく、ゴム成分を3〜10重量%程度含
んでもよい。ゴム変性スチレン系樹脂におけるゴム成分
の平均粒子径は1〜20μm程度である。また、前記シ
ート成形用樹脂組成物をシート状に成形し、容器成形用
シートを得る。シートの厚みは0.1〜3mm程度に成
形できる。さらに、前記容器成形用シートを130〜1
50℃程度の温度で加熱し、真空成形して容器を製造す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシート成形用樹脂組
成物及び容器成形用シートに関する。さらに詳しくは低
温成形が可能である容器成形用のシートを得るのに有用
な樹脂組成物、容器成形に有用なシート及びこのシート
を用いて成形した容器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、溶融時の熱安定性及
び流動性が良好であるため、成形加工性に優れている。
特に、射出成型に適し、成形収縮が小さく、成形品の寸
法安定性が良好であるとともに、廉価であるため、種々
の用途に広く利用されている。しかし、他方では、軟化
温度が比較的低く、硬く脆い。このような欠点を改善す
るために、耐熱性、耐衝撃性を向上させた種々のスチレ
ン系樹脂が開発されている。
【0003】スチレン系樹脂の耐衝撃性を改良する手段
として、ゴム成分を含有するゴム変性スチレン系樹脂が
提案されている。このようなゴム変性スチレン系樹脂を
シート成形し、さらに真空成形などの二次加工を施す
と、耐衝撃性の高い容器を得ることができる。
【0004】一方、スチレン系樹脂は、他の熱可塑性樹
脂に比べて溶融温度範囲が広く、目的、組成などに応じ
て成形温度を設定することができる。しかし、高温での
成形は、金型内での冷却固化が遅くなることによる生産
加工性の低下を招くとともに、工業的なスケールで成形
する場合、わずかな成形温度の違いであっても、その消
費電力の差は多大なものとなるため、経済性の点からも
好ましくない。
【0005】特開昭55−23123号公報には、モノ
ビニル芳香族化合物とゴム弾性体を混じて重合した樹脂
組成物100重量部に0.2〜5重量部の低分子量の液
状ゴムと0.5〜3重量部の内部潤滑剤とを添加し、真
空成形に適したスチレン系樹脂組成物が開示されてい
る。この樹脂組成物では、液状ゴムと内部潤滑剤を特定
量添加することにより、一旦シートを成形して二次加工
として真空成形を施す際に、偏肉が生じにくく、厚みむ
らの少ない成形品を得ることができる。しかし、内部潤
滑剤の添加量が少ないと厚みが薄いシートでは成形性が
低下し、必然的に厚みの厚いシートを用いる必要性が生
じる。そして、成形性を高めるため成形温度を高める
と、容器の生産性だけでなく、消費電力が上がるなどコ
スト面でも不利である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、低温で真空成形可能な容器成形用シートを得るのに
有用なシート成形用樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、薄くても成形性が高く破断するこ
とがない、真空成形に適した容器成形用シート及びこの
シートを得るのに好適なシート成形用樹脂組成物を提供
することにある。本発明のさらに他の目的は、低温成形
であっても高い成形性で耐衝撃性及び外観特性の高い容
器を成形するのに有用なシート及びこのシートを得るの
に有用な樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意検討の結果、ゴム変性スチレン系
樹脂(特に、スチレン系単量体とゴム成分のグラフト共
重合体)に、液状ゴムを添加することなく、特定量の内
部滑剤を添加すると、シート状に成形した後の二次加工
(容器成形など)において、シートが薄くても、低温で
の真空成形性、及び成形時の耐衝撃性を改善できること
を見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明のシート成形用樹脂組成
物は、マトリックスを構成するスチレン系樹脂の重量平
均分子量が1.3×105 〜3.5×105 程度の範囲
から選択できるゴム変性スチレン系樹脂と内部滑剤とで
構成されており、両者の割合は、前者/後者=98/2
〜90/10(重量%)程度である。前記ゴム変性スチ
レン系樹脂は、ポリブタジエンにスチレン系単量体がグ
ラフトしたグラフト共重合体であってもよく、ゴム成分
を3〜10重量%程度含んでもよい。ゴム変性スチレン
系樹脂におけるゴム成分の平均粒子径は1〜20μm程
度である。本発明には、前記シート成形用樹脂組成物で
構成した容器成形用シートも含まれ、この容器成形用シ
ートは厚み0.1〜3mm程度に成形できる。本発明に
は、さらに、前記容器成形用シートを130〜150℃
程度の温度で加熱し、真空成形する容器の製造方法も含
まれる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のシート成形用樹脂組成物
は、ゴム変性スチレン系樹脂と内部滑剤とで構成されて
いる。ゴム変性スチレン系樹脂は、マトリックスを形成
するスチレン系樹脂とゴム成分とで構成されている。 [ゴム変性スチレン系樹脂] [スチレン系樹脂]スチレン系樹脂は、芳香族ビニル化
合物の単独又は共重合体、芳香族ビニル化合物と共重合
性ビニル単量体との共重合体で構成できる。
【0010】前記芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ン、アルキルスチレン(例えば、o−,m−及びp−メ
チルスチレンなどのビニルトルエン類、p−エチルスチ
レン、p−イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、p
−t−ブチルスチレンなど)、α−アルキルスチレン
(例えば、α−メチルスチレンなど)、ハロスチレン
(例えば、o−,m−及びp−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレンなど)などが例示できる。これらの芳香族
ビニル単量体は単独で又は二種以上組合せて使用でき
る。好ましいスチレン系単量体には、スチレン、ビニル
トルエン、α−メチルスチレンなどが含まれ、特にスチ
レンが好ましい。
【0011】共重合性ビニル単量体としては、例えば、
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル、ビニルエステル系単量体(酢酸ビニルな
ど)、ヒドロキシル基含有単量体[ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレートなどのヒドロキシC1-4 アルキル(メタ)ア
クリレートなど]、グリシジル基含有単量体[グリシジ
ル(メタ)アクリレートなど]、カルボキシル基含有単
量体[(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸
など]、イミド系単量体(マレイミド、N−メチルマレ
イミド、N−フェニルマレイミドなど)などが挙げられ
る。(メタ)アクリル酸アルキルエステルには、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブ
チル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル
酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸
1-20アルキルエステルが含まれる。これらのビニル単
量体は単独で又は二種以上組合せて使用できる。
【0012】好ましいスチレン系樹脂としては、例え
ば、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン共重合体
(AS樹脂)、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合
体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタ
クリル酸メチル共重合体など)、スチレン−(メタ)ア
クリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(スチ
レン−メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合
体など)、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無
水マレイン酸共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル
−無水マレイン酸共重合体など)などが挙げられる。こ
れらのスチレン系樹脂は、単独又は二種以上の混合物と
して利用できる。
【0013】ゴム変性スチレン系樹脂を構成する前記ス
チレン系樹脂マトリックスの重量平均分子量は1.3×
105 〜3.5×105 程度、好ましくは1.5×10
5 〜3×105 程度、さらに好ましくは2×105 〜3
×105 程度である。重量平均分子量が1.3×105
未満では、シ−トに成形したときに、シート自体が脆く
なるため容器成形が困難になり、3.5×105 を越え
ると溶融時の樹脂の粘度が高くなるためシ−ト成形性が
低下し易い。
【0014】[ゴム成分]ゴム変性スチレン系樹脂にお
いて、ゴム粒子を構成するゴム成分としては、種々のゴ
ム質重合体(ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、アクリルゴム、エチレン−プ
ロピレンゴム(EPDM)など)が利用できる。好まし
いゴム成分は、ジエン系ゴム成分(例えば、ブタジエ
ン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1
−クロロ−1,3−ブタジエンなどの共役1,3−ジエ
ンゴム又はその誘導体)などである。特に好ましいゴム
成分は、ブタジエンゴムである。これらのゴム成分は単
独で又は二種以上組合せて使用できる。
【0015】ゴム成分の重量平均分子量は、1×104
〜2×106 程度であり、好ましくは好ましくは5×1
4 〜1×106 程度、さらに好ましくは1×105
5×105 程度である。
【0016】ゴム粒子は、通常、少なくとも前記芳香族
ビニル化合物で構成された重合性単量体(芳香族ビニル
化合物単独、又は芳香族ビニル化合物と共重合性単量体
とで構成された重合性単量体)とゴム成分(特にジエン
系ゴム成分)との共重合体、例えば、グラフト重合体
(グラフトゴム)、ブロック共重合体のゴム成分で構成
されており、通常、芳香族ビニル化合物(特に、スチレ
ン)とジエン系ゴム成分(特に、ブタジエンゴム)との
ブロック共重合体(スチレン−ブタジエンブロック共重
合体など)において粒子状に分散するゴム成分に由来す
る。特に、ポリブタジエンにスチレン系単量体(芳香族
ビニル単量体)がグラフトしたグラフト共重合体が好ま
しい。
【0017】ゴム変性スチレン系樹脂において、ミクロ
ドメイン構造は特に制限されず、コア/シェル構造(例
えば、1個のゴム粒子に単一のスチレン系樹脂相が内包
された構造)、サラミ構造(例えば、1個のゴム粒子に
複数のスチレン系樹脂相が内包され、かつ各スチレン系
樹脂相がゴム相で区画された構造)、バイモーダル構造
(例えば、前記2種の構造を有するゴム粒子が混在した
構造)などであってもよい。
【0018】ゴム粒子(架橋したポリブタジエン粒子な
ど)の平均粒子径LVは、1〜20μm程度、好ましく
は1.5〜15μm程度、さらに好ましくは2〜10μ
m程度、特に3〜10μm程度である。平均粒子径LV
が1μm未満では、シートに成形した場合に耐衝撃性が
低下しやすく、20μmを越えるとシート表面に凹凸が
発生し、光沢のあるシートに成形することが困難であ
る。
【0019】ゴム粒子の平均粒子径LVは超薄切片法を
用いてシートの透過型電子顕微鏡写真を撮影し、ゴム状
重合体粒子1000個の円換算粒子径を測定して次式に
より算出した値である。 平均粒子径LV=(ΣniLV4 )/(ΣniL
V3 ) (式中、niは円換算粒子径LVを有するゴム状重合体
粒子の個数を示す) ゴム変性スチレン系樹脂において、ポリブタジエンなど
のゴム成分の含量は、例えば、3〜10重量%程度、好
ましくは5〜8重量%(例えば、5〜7重量%)程度で
ある。ゴム成分の含量が3重量%未満であると、シート
に十分な耐衝撃性を付与することができず、10重量%
を越えると成形容器が柔らかくなり、十分な強度を付与
できなくなる。
【0020】ゴム変性スチレン系樹脂のゴム含有量は、
ゴム含有量の大きなスチレン系樹脂に、ゴム含有量の小
さい(又はゴム成分を含有しない)スチレン系樹脂を添
加して調整してもよい。 [内部滑剤]本発明のシート成形用樹脂組成物を構成す
る内部滑剤(潤滑剤)の種類については、特に制限はな
く、通常、スチレン系樹脂の流動性を向上するものであ
れば、慣用のものが使用できる。このような内部滑剤と
しては、例えば、石油系滑剤(ナフテン系、合成パラフ
ィン系、流動パラフィン、水素化脱ろう油、白色鉱油、
石油系ワックスなど)、合成炭化水素類[ポリブテン、
ポリ−α−オレフィン(PAO)、アルキルベンゼン、
アルキルナフタレン、ポリフェニル、合成ナフテンな
ど]、炭素数が8〜22程度の高級脂肪酸(ステアリン
酸など)、高級脂肪酸の金属塩(ステアリン酸カルシウ
ムなど)、高級脂肪酸アミド又はビスアミド、高級アル
コール、ポリグリコール類(ポリアルキレングリコール
など)、一価又は多価アルコ−ルの脂肪酸エステル(ス
テアリン酸エステルなど)又は芳香族カルボン酸のエス
テル(フタル酸エステルなど)、トリグリセライド及び
ワックスなどが挙げられる。好ましい内部滑剤として
は、石油系滑剤又は合成炭化水素類、特に鉱油、例え
ば、アルキルナフテン系炭化水素の混合物などで構成さ
れ、平均重量分子量300〜600程度の白色鉱油など
が挙げられる。
【0021】ゴム変性スチレン系樹脂と前記内部滑剤と
の割合は、前者/後者=98/2〜90/10(重量
%)、好ましくは97/3〜93/7(重量%)程度の
範囲から選択できる。ゴム変性スチレン系樹脂が、前者
/後者=99/1(重量%)を越えると、成形温度の低
下が期待できず、前者/後者=90/10(重量%)未
満では成形容器表面に内部滑剤が滲出し、金型を汚染し
たり、成形品の品質が低下するなどの悪影響を及ぼす。
【0022】本発明のシート成形用樹脂組成物は、必要
に応じて、種々の添加剤、例えば、安定剤(紫外線吸収
剤、酸化防止剤など)、滑剤、離型剤、可塑剤、補強
剤、充填剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、核
剤、架橋剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、酸化チタン
などの遮光剤、着色剤(顔料、染料など)などを含んで
いてもよい。
【0023】前記樹脂組成物は、スチレン系樹脂及びゴ
ム成分(特にグラフト共重合体であるゴム変性スチレン
系樹脂)と、内部滑剤とを、混合機(例えば、タンブラ
ー型ブレンダー、リボンブレンダー、V型ブレンダー、
ヘンシェルミキサーなど)を用いてドライブレンドした
り、混練機(押出機、ニーダー、バンバリーミキサーな
ど)で溶融混練することにより調製でき、ペレット化し
てもよい。
【0024】本発明では、前記シート成形用樹脂組成物
を、慣用の方法により真空成形などの二次加工に適した
シート状に成形する。本発明の容器成形用シートは、ゴ
ム変性スチレン系樹脂と内部滑剤とで構成された前記シ
ート成形用樹脂組成物を溶融してダイ(Tダイやインフ
レーションダイ)から押出し、シート化する押出し成形
法により得ることができる。ダイから押出されたシート
は、通常、冷却手段(冷却ロールなど)で冷却される。
【0025】前記シートは、延伸又は未延伸シートであ
ってもよい。前記シートは単層シートであってもよく、
ゴム粒子径やゴム含有量の異なるスチレン系樹脂組成物
で構成された複数のスチレン系樹脂層の積層シートや、
スチレン系樹脂層で構成されたスチレン系樹脂層と他の
樹脂層(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの
オレフィン系樹脂など)との積層シートであってもよ
い。積層シートは、共押出法、ヒートラミネーションや
ドライラミネーションなどの手法により調製できる。
【0026】前記シートは、加熱により容器成形などの
二次加工を施すのに適しており、内部滑剤を含み、かつ
マトリックスを構成するスチレン系樹脂の重量平均分子
量が適度であるので、低温で成形することができる。成
形温度は、130〜150℃程度、好ましくは130〜
140℃程度であるが、内部滑剤の含量やスチレン系樹
脂の分子量などを適当に選択することにより、130℃
以下であっても成形が可能となる。
【0027】加熱の方法としては、容器成形に適してい
る限り特に制限されず、例えば、熱板接触加熱式成形機
などを用いて直接加熱してもよく、単に加熱ヒーター、
赤外線ヒーターなどにより間接加熱してもよい。シート
の成形法としては、慣用の成形法、例えば、圧空成形、
真空成形、熱板成形などが利用できる。好ましい方法で
は、真空成形により容器を高い成形性で円滑かつ効率よ
く成形できる。
【0028】シート厚みは、0.1〜3mm程度、好ま
しくは0.3〜2.5mm程度であり、0.5〜2mm
(特に、0.5〜1mm)程度の薄いシートに成形して
も容器成形時にシートが破断することなく、良好な成形
性を得ることができる。なお、シートの厚みが0.1m
m未満では成形後の容器が薄くなるため、十分な強度が
得られず、また、3mmを越えるとシートを低温で加熱
することが困難となり、消費電力が増大する。
【0029】本発明では、前記容器成形用シートを13
0〜150℃程度の温度で加熱し、真空成形して、容器
などを製造できる。
【0030】また、本発明では、上記の特徴を有するこ
とにより、特に液状ゴムなどを添加しなくとも、高い耐
衝撃性や優れた外観特性(成形品の光沢、偏肉が少ない
こと、厚みむらのないことなど)を得ることができる。
【0031】
【発明の効果】本発明では、ゴム変性スチレン系樹脂と
特定量の内部滑剤とを含む樹脂組成物を用いるので、シ
ート状に成形した後、二次加工時に低温で真空成形する
ことができる。また、高い耐衝撃性及び優れた外観特性
を付与でき、薄くても二次加工時にシートが破断するこ
となく、効率よく容器などを成形できる。さらに、低温
で成形可能であり、耐衝撃性を改善でき、また、二次加
工時の消費電力を減少することができる。
【0032】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。なお、スチレン系樹脂の重量平均分子
量の測定は、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフ(G
PC)により島津製作所製GPC(LC−6A)、昭和
電工製GPCカラム(KF−806L、3本直列)を用
いて測定した。詳細には、テトラヒドロフラン可溶分の
ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフを測定し、分子量
の異なる15種類の単分散ポリスチレン(ポリマ−・ラ
ボラトリ−ズ社製)の溶出曲線を検量線として用いるこ
とにより、微分分子量分布曲線、および積分分子量分布
曲線を得、重量平均分子量を算出した。
【0033】実施例1〜3及び比較例1〜3 実施例1〜3及び比較例1では、ポリスチレン系樹脂
(ゴム含有量 5.8重量%,ゴム粒子の平均粒子径
2.8μm,ポリスチレンマトリックスの重量平均分子
量 2.5×105 ,ゴム成分として重量平均分子量
4.0×105 のゴムを使用)と、このポリスチレン系
樹脂に対して表1に示す割合の内部滑剤[流動パラフィ
ン(WITCO社製,品番PL380)]とを混合し、
Tダイキャスト法にて押出成形を行ない、厚み0.60
mmのシートを成形した。このシートを温度センサーを
備えた赤外線ヒーターにより加熱し、真空成形を行なっ
て、口部直径100mm、底部直径80mm、深さ10
0mmの容器を作製し[浅野研究所製研究開発用圧空真
空成形機(形式 FK-0431-10)を使用]、成形容器の形
状、及び、容器成形温度に基づいて、低温での成形性を
評価した。比較例2及び3では、実施例1〜3及び比較
例1で用いたポリスチレン系樹脂の分子量のみを表1に
示す通りに変化させたポリスチレン系樹脂を用いて、同
様に容器成形及び評価を行なった。なお、成形容器の形
状については、以下の基準で評価した。
【0034】 ○:容器の形状が金型通りである △:容器の角部が丸みを帯びている ×:容器が破断する −:シートを押出成形できない 容器成形温度とともに結果を表1に示す。
【0035】
【表1】 表から明らかなように、実施例では130〜150℃の
いずれの温度においても良好な成形状態が得られた。比
較例では、内部滑剤の含量が少ないと、低温になるほど
成形性が悪化し(比較例1)、内部滑剤を適度に含有し
ていてもスチレン系樹脂の重量平均分子量により大きく
成形性が左右され(比較例2及び3)、比較例3につい
ては樹脂粘度が高くシート化できなかった。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マトリックスを構成するスチレン系樹脂
    の重量平均分子量が1.3×105 〜3.5×105
    あるゴム変性スチレン系樹脂と内部滑剤とで構成され、
    ゴム変性スチレン系樹脂と内部滑剤との割合が、前者/
    後者=98/2〜90/10(重量%)であるシート成
    形用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ゴム変性スチレン系樹脂が、ポリブタジ
    エンにスチレン系単量体がグラフトしたグラフト共重合
    体であり、ゴム成分を3〜10重量%含む請求項1記載
    のシート成形用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ゴム変性スチレン系樹脂において、ゴム
    成分の平均粒子径が1〜20μmである請求項1記載の
    シート成形用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のシート成形用樹脂組成物
    で構成された容器成形用シート。
  5. 【請求項5】 ポリブタジエンにスチレン系単量体がグ
    ラフト重合した共重合体と内部滑剤とで構成され、前記
    共重合体が平均粒子径1〜20μmのポリブタジエンを
    3〜10重量%含有し、マトリックスを構成するスチレ
    ン系樹脂の重量平均分子量が1.3×105 〜3.5×
    105 であり、厚みが0.1〜3mmである請求項4記
    載のシート。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の容器成形用シートを13
    0〜150℃の温度で加熱し、真空成形する容器の製造
    方法。
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Cited By (4)

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