JPH11228193A - 溶銑予備処理スラグおよびその製造法 - Google Patents

溶銑予備処理スラグおよびその製造法

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JPH11228193A
JPH11228193A JP3707098A JP3707098A JPH11228193A JP H11228193 A JPH11228193 A JP H11228193A JP 3707098 A JP3707098 A JP 3707098A JP 3707098 A JP3707098 A JP 3707098A JP H11228193 A JPH11228193 A JP H11228193A
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JP
Japan
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slag
hot metal
molten iron
discharged
cooling rate
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JP3707098A
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English (en)
Inventor
Hideto Ishino
英人 石野
Kazumi Yusa
一巳 遊佐
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Abstract

(57)【要約】 【課題】 埋立用材以外の新たな用途を提供することが
でき、大型な設備投資を必要とせず、さらにランニング
コストも抑制された溶銑予備処理スラグを安価に提供す
る。 【解決手段】 溶銑1から排滓された溶銑予備処理スラ
グ2をスラグ鍋4に収容し、凝固温度に低下するまでの
間に、80℃/Hr 以下の冷却速度で3時間以上徐冷するこ
とにより、溶銑予備処理スラグ2へのガスの残留を抑制
する。これにより、JIS A 1211により求められる修正CB
R 値が80以上である路盤用の溶銑予備処理スラグ2が提
供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製鉄業の製鋼工程
において副生する製鋼スラグの一つである溶銑予備処理
スラグとその製造法とに関する。
【0002】
【従来の技術】製鉄業において、副産物として産出され
るスラグは、高炉スラグと製鋼スラグとに大別される。
このうち、高炉スラグは充分な適性を有するために、古
くから道路用の路盤材や土木材(本明細書においては
「路盤材」と総称する。) として再利用されてきた。
【0003】これに対し、製鋼スラグには、膨張崩壊す
るものや、ポーラス質で強度の低いもの、さらには冷却
過程で粉化崩壊するものといったように、様々な物性を
呈するものがある。そのため、路盤材としての再利用
は、高炉スラグに比較すると遅れていた。しかし、近
年、製鋼スラグに対しても、膨張崩壊が蒸気による促進
エージング方法の普及により改善され、また、粉化崩壊
が粉化防止剤の開発により改善されてきている。
【0004】ところで、路盤材に再利用されるスラグ
は、主に砕石等の代替品として使用される。これらの用
途では、スラグには圧潰強度が大きいことが要求され
る。通常の転炉スラグは、1500℃以上の高温で処理され
るために緻密な性状をしており、天然砕石と同等であっ
て前記の用途に耐え得る充分な圧潰強度を有する。
【0005】しかしながら、溶銑予備処理の際に発生す
る溶銑予備処理スラグは、処理する溶銑に炭素が多量に
含有されるため、溶銑中の炭素が酸化されてCO等のガス
を発生する。また、処理温度が通常1250℃から1400℃と
転炉スラグよりも低いため、発生したガスが充分に抜け
切らない状態で凝固温度に低下する。そのため、溶銑予
備処理スラグは、溶製中や出滓後に発生するガスを包含
した状態で冷却され、凝固後には内部に多くの気泡が残
存してしまう。例えば溶銑脱燐スラグは、見掛け比重が
2.48程度であって極めてポーラスである。
【0006】このように気泡が多数残存した溶銑予備処
理スラグを路盤材として用いると、溶銑予備処理スラグ
は荷重が負荷された時に気泡の繋ぎ目部分から圧潰し、
圧潰強度が不足する。そのため、溶銑予備処理スラグ
は、路盤材の用途には適さなかった。
【0007】そこで、従来より、改質材を添加すること
によりこの溶銑予備処理スラグの改質を図った発明が多
数提案されている。例えば、特開平8−12385 号公報、
同8−2949号公報、同7−11322 号公報、さらには同5
−271740号公報等においては、硅砂などの主にSiO2源を
溶銑予備処理スラグに添加し、スラグ塩基度を低減する
ことにより、安定な鉱物相を形成させて路盤材として再
利用可能な程度に改質する発明が提案されている。
【0008】しかし、これらの発明では、塩基度調整材
量が多くなってコストが嵩んだり、炉内処理を施す場合
には改質時間が必要であるために生産性を低下させた
り、さらには専用の改質炉を設ける必要も発生して大規
模な設備投資が必要となってしまう。
【0009】また、特開平6−100919号公報には、アル
ミニウムやシリコン等からなる添加剤を用いることによ
り、スラグ中のガス発生原因であると考えられるスラグ
中鉄分を還元剤を添加して還元し、ガスの発生を抑制し
てスラグを緻密化し、また融点を低下させることにより
膨張崩壊の解消を図った発明が提案されている。
【0010】しかし、この提案では還元剤を使用するた
めに、還元剤に要するコストが嵩みまた、転炉以外にお
いて溶銑予備処理を行う場合には還元処理を行う設備が
大型化してしまう。
【0011】したがって、溶銑予備処理スラグを路盤材
として用いることは事実上不可能であり、これまでは、
主に、圧潰強度が問題とされない埋立用材として再利用
されてきた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年の社会情
勢の変化により、今後、溶銑予備処理スラグを再利用で
きる埋立地を充分に確保することが困難になると予想さ
れている。そのため、埋立用材以外に、溶銑予備処理ス
ラグの再利用策を早急に開発する必要がある。
【0013】ここに、本発明の目的は、埋立用材以外の
新たな用途を提供することができ、大型な設備投資を必
要とせず、さらにランニングコストも抑制された溶銑予
備処理スラグと、この溶銑予備処理スラグを安価に提供
することができる製造法とを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】一般的に、製鋼スラグの
ポーラス質は、溶融状態で製鋼スラグあるいは溶銑から
発生するガスが製鋼スラグ中に残留した状態で冷却され
ることに、由来する。そのため、気泡の発生あるいは残
留を抑制することによって、製鋼スラグのポーラス質を
改善することができる。
【0015】溶融状態でのガスは、製鋼スラグ中あるい
は溶銑中の酸化物が、溶鉄や製鋼スラグ中の炭素と反応
する際に発生するCOガスが主である。したがって、例え
ば、前述した特開平6−100919号公報は、製鋼スラグ中
の酸化物を予め還元剤により還元しておく方法であり、
これによってガスの発生は抑制される。しかしながら、
前述したように、この方法では、還元剤に要する費用や
還元設備への設備投資を必要とし、処理コストが増加す
る。
【0016】そこで、本発明者らは、気泡の残留を抑制
することにより、溶銑予備処理スラグを緻密化して圧壊
強度を上昇することにより路盤材として適用できないか
検討した。溶銑予備処理スラグを緻密化するには、溶銑
予備処理スラグが凝固する時点でのガスの残留を抑制す
る必要がある。
【0017】ところで、溶融予備処理スラグは、通常、
1250℃から1400℃程度の比較的低温域で溶製される。こ
のような低温域で排出された溶銑予備処理スラグはスラ
グ鍋に収容された後、ドライピット等に移されて冷却さ
れる。ここで、スラグ鍋からドライピット等へ排出する
際、排滓を容易とするため、溶銑予備処理スラグは溶融
状態で排滓される。このように溶融状態で排滓された溶
銑予備処理スラグは表面積が大きいために高い冷却速度
で冷却され、比較的短時間で凝固に至る。そのため、溶
銑予備処理スラグ中にガスが多量に残留する。
【0018】そこで、本発明者らは、この溶銑予備処理
スラグの冷却時における冷却速度を低下すること、すな
わち排滓されたスラグをスラグ鍋に収容したまま冷却速
度が小さい状態で冷却することにより、ガスが抜ける時
間を充分に確保することができないか検討した。
【0019】その結果、本発明者らは、スラグ鍋の容量
に対して十分な量の溶銑予備処理スラグをスラグ鍋に収
容し、スラグ鍋中において3時間以上の冷却時間を確保
することによって、スラグ冷却速度を80℃/Hr 以下の範
囲とすることができ、これにより、溶銑予備処理スラグ
中に残留するガスを顕著に低減できることを知見して、
本発明を完成した。
【0020】ここに、本発明の要旨とするところは、溶
銑から排滓された後であって凝固温度に低下するまでの
間に、80℃/Hr 以下の冷却速度で3時間以上徐冷するこ
とにより得られ、JIS A 1211により求められる修正CBR
値が80以上であることを特徴とする圧潰強度が要求され
る土木材用の溶銑予備処理スラグである。
【0021】また別の観点からは、本発明は、溶銑から
排滓された溶銑予備処理スラグを、凝固温度に低下する
までの間に、80℃/Hr 以下の冷却速度で3時間以上徐冷
することにより、溶銑予備処理スラグへのガスの残留を
抑制することを特徴とする圧潰強度が要求される土木材
用の溶銑予備処理スラグの製造法である。
【0022】ここで、「修正CBR 値」とは、JIS A 1211
により求められ、路盤等の支持力を示す特性値である。
溶銑予備処理スラグに圧壊強度が不足すると、溶銑予備
処理スラグが座屈して、80未満の低い値を示す。そこ
で、本発明では、この修正CBR値を、溶銑予備処理スラ
グの圧壊強度を示す代用特性値として用いた。
【0023】さらに、土木材用の溶銑予備処理スラグと
その製造法とでは、溶銑が、吹錬前に水和膨張性を有す
る媒溶材を投入された溶銑であることが望ましい。
【0024】すなわち、吹錬では、石灰やドロマイト等
の水和膨張性を有する媒溶材を吹錬途中で投入すること
がある。また、溶銑予備処理スラグは、転炉スラグより
も低温度で処理される。そのため、この媒溶材を吹錬途
中で投入すると、投入した媒溶材の溶融時間を十分に確
保できないままで溶銑予備処理スラグが凝固し、媒溶材
が溶銑予備処理スラグ中に未溶融で残留してしまう。こ
の後に蒸気による促進エージングを行っても十分に膨張
崩壊を防ぐことができない。そのため、圧潰強度が要求
される土木材用の溶銑予備処理スラグでは、投入された
媒溶材の溶融時間を充分に確保することを目的に、水和
膨張性を有する媒溶材は吹錬前において投入することが
望ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる溶銑予備処
理スラグおよびその製造法の実施形態を、添付図面を参
照しながら詳細に説明する。なお、以降の実施形態の説
明は、溶銑予備処理スラグが溶銑脱燐スラグである場合
を例にとる。図1(a) 〜図1(e) は、本発明を適用した
溶銑脱燐スラグ2の製造工程を、模式的かつ経時的に示
す説明図である。
【0026】(溶銑脱燐工程)図1(a) に示すように、本
実施形態では、溶銑1を転炉3に収容して脱燐処理を行
った。ここで、溶銑1は、吹錬前に水和膨張性を有する
媒溶材を投入されている。
【0027】すなわち、土木材用の溶銑脱燐スラグは、
膨張崩壊性を有さないことが、圧壊強度を維持するため
には望ましい。この膨張崩壊は、CaO やMgO 等の水和膨
張性を有する成分により発生し、下記変化により膨張崩
壊性を示す。
【0028】CaO + H2O → Ca(OH)2 体積膨張 MgO + H2O → Mg(OH)2 体積膨張 すなわち、これら膨張崩壊性を有する成分の多くが未溶
融状態で溶銑脱燐スラグ2に残留すると、溶銑脱燐スラ
グ2には膨張崩壊性が発現する。そこで、本実施形態で
は、この媒溶材は吹錬前に投入して溶融時間を充分に確
保する。これにより、CaO やMgO 等は、カルシウムシリ
ケートやマグネシオウスタイト等の膨張性を有さない鉱
物相を形成する。このようにして、溶銑脱燐スラグ2の
膨張崩壊は解消される。
【0029】なお、膨張崩壊性は、蒸気による促進エー
ジングを施した後の溶銑脱燐スラグ2を、JIS A 5015に
示す方法により測定することにより得られる残留膨張率
により、定量的に表される。路盤材として望ましい残留
膨張率は1.30以下である。
【0030】(排滓)図1(b) に示すように、脱燐処理の
終了後に、溶銑脱燐スラグ2は、転炉3を傾転すること
により、スラグ鍋4へ排滓される。
【0031】(徐冷)図1(c) に示すように、溶銑脱燐ス
ラグ2はスラグ鍋4へ排滓された後に、凝固温度に低下
するまでの間に、80℃/Hr 以下の冷却速度で3時間以上
徐冷される。
【0032】一般的に、溶銑脱燐スラグ2からの脱ガス
速度は、ガスの気泡径とスラグ粘性とに影響される。す
なわち、脱ガス速度は気泡の上昇速度によって決定され
るため、最適な気泡径に制御することにより高い気泡上
昇速度が確保される。しかしながら、溶銑脱燐スラグ2
中での気泡径は、吹錬工程における攪拌強度やスラグ混
合状態等の多数の要因により影響されるため、気泡径を
最適に制御することは極めて困難であり、気泡径の制御
による脱ガス促進は難しい。
【0033】そこで、本実施形態では、スラグ粘性を低
下して脱ガス速度を高めることにより、発生したガスを
溶銑脱燐スラグ2から充分に脱ガスする。一方、溶銑脱
燐スラグ2の粘性は、吹錬条件により決定されるスラグ
成分とスラグ温度とに影響される。スラグ成分の調整に
よって粘性を低下させることは可能であるものの、使用
する媒溶材量の増加等を引き起こし、コスト的に不利で
ある。そこで、スラグ温度を制御することにより、溶銑
脱燐スラグ2の粘性を確保することが、最も安価かつ簡
便である。
【0034】すなわち、スラグは冷却されるにつれて粘
性が高くなり、気泡の上昇速度は粘性の上昇にともなっ
て低下するため、スラグ温度の低下にしたがって脱ガス
速度も低下する。そのため、スラグ温度の低下を抑制す
ることによってスラグ粘性の低下を抑制することがで
き、脱ガスを促進することができる。
【0035】通常の転炉操業では1500〜1600℃程度の高
温で吹錬されるため、転炉スラグは低粘性が確保され易
い。このため、転炉スラグは緻密な性状となり、高い圧
壊強度を呈する。
【0036】しかしながら、図1に示す脱燐処理では、
溶銑からの脱燐能確保等の観点から、1250〜1400℃とや
や低い溶銑温度で処理される。したがって、通常の転炉
スラグに比較すると、スラグの低粘性確保が困難であ
り、転炉スラグのような緻密な性状を得られない。ま
た、通常、溶銑脱燐スラグ2は、図1(d) に示すよう
に、溶融状態でドライピット5へ排滓され、冷却時の放
熱面積が拡大されて冷却速度が大きくなる。このため、
溶銑脱燐スラグ2中へのガス残留量が増加し、ポーラス
質で低い圧壊強度のスラグとなる。
【0037】そこで、本実施形態では、溶銑脱燐スラグ
2をスラグ鍋4に収容することにより、比較的容易に、
溶銑脱燐スラグ2の冷却速度を抑制することができる。
すなわち、溶銑1から排滓された後であって凝固温度に
低下するまでの間に、冷却速度を80℃/Hr 以下に制御す
ることにより、脱ガス時間を3時間以上確保することが
できる。
【0038】冷却速度が80℃/Hr 超であると、凝固まで
の脱ガス時間を3時間未満しか確保できなくなり、ガス
残留量が増加するために溶銑脱燐スラグ2は、ポーラス
質で低い圧壊強度となる。同様の観点から、冷却速度は
40℃/Hr 以下であることが望ましい。
【0039】図2は、冷却速度と修正CBR 値との関係を
示すグラフである。同図に示すように、冷却速度が80℃
/Hr 以下であると、路盤材の適用基準である修正CBR
値:80以上が満足される。
【0040】なお、溶銑脱燐スラグ2の量が少量である
ためやスラグ鍋4が大型であるために、放熱量が大きく
なって80℃/Hr 以下の冷却速度を確保できない場合に
は、スラグ鍋4に例えば放熱防止用蓋を設置するといっ
た保温措置を行ったり、熱補償のためにスラグ鍋4を余
熱することにより、溶銑脱燐スラグ2からの熱放散や抜
熱を低減して上記の冷却速度を確保すればよい。
【0041】(排滓)この後、溶銑脱燐スラグ2は、図1
(d) に示すように、溶融状態でドライピット5へ排滓さ
れる。これにより、放熱面積が拡大されて冷却速度が大
きくなるが、本実施形態によれば、既に、スラグ鍋4に
収容されて充分な脱ガスが行われているため、溶銑脱燐
スラグ2中に残留するガスは著しく低減される。
【0042】なお、スラグ鍋4による溶銑脱燐スラグ2
の冷却は、スラグが完全に凝固に至るまで行うことが望
ましいが、スラグ鍋4に収容された状態で完全に凝固さ
せると、スラグ鍋4からの排滓が困難となる。そこで、
スラグ鍋4からドライピット5への排滓タイミングは、
スラグ鍋4に80℃/Hr 以下の冷却速度で3時間以上保持
した後に行えばよく、使用するスラグ鍋4毎に最適値を
見極め、脱ガス効果を確認して適宜設定すればよい。
【0043】(放冷)溶銑脱燐スラグ2は、図1(e) に示
すように、ドライピット5で引き続いて放冷されること
により、溶銑脱燐スラグ2が得られる。したがって、溶
銑脱燐スラグ2中へのガス残留が低減され、凝固後の溶
銑脱燐スラグ2は、気泡が少なく高い圧壊強度のものが
得られる。
【0044】このようにして得られる本実施形態の溶銑
脱燐スラグ2は、見掛け比重が3.30程度であって緻密な
性状を呈する転炉スラグよりは若干ポーラスであるもの
の、見掛け比重が3.05程度であって、修正CBR 値が80以
上であり、例えば路盤材といった、圧潰強度が要求され
る土木材用材として好適に用いられる。
【0045】なお、本出願人は、特許第2636641 号によ
り、未滓化CaO を実質的に含まない転炉スラグを、出滓
後1180〜1050℃まで400 ℃/Hr 以下の冷却速度で徐冷し
て膨張崩壊性を抑制することにより、転炉スラグを改質
する発明を開示した。この発明は、緻密な性状を呈する
転炉スラグを対象とし、出滓後に徐冷することで、晶出
CaO と金属酸化物(FeO、MnO 、MgO 等) との反応を促進
し、CaO の水和反応を抑制することを図ったものであ
る。これに対し、本実施形態では、前述したように、排
滓された溶銑脱燐スラグからの脱ガス時間の確保を図る
ために出滓後に徐冷し、溶銑脱燐スラグのポーラス質を
改良するのである。
【0046】このようにして、本実施形態により、埋立
用材以外の新たな用途を提供することができ、大型な設
備投資を必要とせず、さらにランニングコストも抑制さ
れた溶銑脱燐スラグ2と、この溶銑脱燐スラグ2を安価
に提供することができる製造法とを提供することができ
た。
【0047】
【実施例】本発明にかかる溶銑予備処理スラグとその製
造法とを、実施例を参照しながら、詳細に説明する。
【0048】図1に示す製造工程により、溶銑予備処理
スラグとして溶銑脱燐スラグ2を製造した。吹錬中に用
いたスラグ系は、C/S= 1.2〜2.0 、Al2O3 =2〜16
重量%、T−Fe=7〜30重量%であった。
【0049】なお、転炉1は300 トン転炉であり、吹錬
終了時のスラグ温度は1350℃であった。また、スラグ鍋
4は容量50トンであり、1チャージに付き15トンの割合
で排滓した。これにより、本実施例では、溶銑脱燐スラ
グ2の冷却速度が80℃/Hr 以下に抑制された。さらに、
本実施例における溶銑脱燐スラグ2の融点は、約1200℃
であった。結果を表1にまとめて示す。
【0050】
【表1】
【0051】図3は、発明例1、発明例2、比較例1お
よび比較例2のそれぞれについて、スラグ温度を経時的
に示すグラフである。同図に示すように、発明例1、2
は比較例1、2よりも冷却速度が著しく小さくなってい
ることがわかる。
【0052】表1において、発明例1は、吹錬の際に媒
溶材を投入しない条件で吹錬し、出湯後にスラグ鍋4へ
排滓した溶銑脱燐スラグ2を、スラグ鍋4中で40℃/Hr
の冷却速度で3時間徐冷してから、ドライピット5へ排
滓した。そして、ドライピット5に排滓された溶銑脱燐
スラグ2は、約100 〜400 ℃/Hr で冷却され、完全に凝
固した後にサンプリングし、JIS A 1211に示された方法
により修正CBR 値を求めた。
【0053】発明例1の修正CBR 値は、上層路盤材のJI
S 規格である「鉄鋼スラグ路盤材JIS A 5015」に示され
た、80を十分に満足しており、また、残留膨張率も0.22
%であり、同様にJIS A 5015に規定された上限値:1.5
%を十分満足していることから、発明例1の溶銑脱燐ス
ラグ2は、路盤材として十分使用可能であることがわか
った。
【0054】発明例2は、吹錬前に媒溶材として生石灰
を投入して溶製したスラグを、発明例1と同様の条件に
て製造して得た溶銑脱燐スラグ2である。発明例2の修
正CBR 値は、発明例1とほぼ同様の値であり良好であっ
た。また、残留膨張率は、1.10%と発明例1と比較して
やや高い値を示したものの、「鉄鋼スラグ路盤材JIS A
5015」を十分に満足するものであり、路盤材として十分
使用可能であることがわかった。
【0055】比較例1は、発明例1と同様にして溶製し
た溶銑脱燐スラグをスラグ鍋4に排滓した後、速やかに
ドライピット5に排滓して急冷した。このときの冷却速
度は、120 ℃/Hr であった。ドライピット5に排滓され
た溶銑脱燐スラグは、表面が速やかに凝固した。凝固
後、上記方法と同様の方法で調査した。
【0056】比較例1の残留膨張率は、発明例1と同様
に良好な値を示したが、比較例1の溶銑脱燐スラグは非
常にポーラス質であり圧壊強度が不足し、修正CBR 値は
40と上層路盤材としては使用できないものであることが
わかった。また、比較例1の溶銑脱燐スラグは圧壊強度
が不足しているために破砕時の粗粒化が激しく、路盤材
としての使用は困難であった。
【0057】比較例2は、発明例2と同様にして溶製し
た溶銑脱燐スラグをスラグ鍋4に排滓した後、比較例1
と同様の方法で冷却した。比較例2の溶銑脱燐スラグ
は、外観上比較例1と同様にポーラス質であり、スラグ
粒の圧壊強度不足により低い修正CBR 値を示した。ま
た、残留膨張率についても、「鉄鋼スラグ路盤材JIS A
5015」を越える大きな値を示し、路盤材として用いるこ
とはできなかった。さらに、この溶銑脱燐スラグには、
破砕時および蒸気による促進エージング時に著しい粗粒
化が見られた。
【0058】比較例3は、吹錬が終了し出湯した後にス
ラグ改質材としてアルミニウム灰を投入し、溶銑脱燐ス
ラグの発泡の原因となるスラグ中FeO を還元することに
よってスラグを緻密化した。このときのスラグは、スラ
グ鍋4に受けた後に速やかにドライピット5へ排滓し、
120 ℃/Hr の冷却速度で冷却した。
【0059】比較例3の溶銑脱燐スラグは、外観上緻密
化しているものの、スラグ中FeO が還元されて消失した
ために、スラグ自体の強度は発明例1と比較してやや劣
り、修正CBR 値もやや低い値を示したが、JIS に定めら
れる路盤材の基準は達成した。また、蒸気エージング後
の残留膨張率も、媒溶材の途中投入を行わなかったため
に「鉄鋼スラグ路盤材JIS A 5015」を満足した。しかし
ながら、スラグ中FeOを還元する当量のAl灰を投入した
ため、処理コストが著しく増加し、コストが嵩み、工業
レベルでの実施は難しいことがわかった。
【0060】比較例4は、吹錬中に媒溶材の途中投入を
した上で、比較例3と同様の方法でスラグ改質および冷
却を行った。比較例4の溶銑脱燐スラグは、比較例3と
同様緻密化したために修正CBR 値については路盤材基準
を達成したものの、媒溶材の途中投入をしたことによ
り、残留膨張率は路盤材基準を達成できなかった。ま
た、処理コストについても比較例3と同様に高価であ
り、工業レベルでの実施は難しいことがわかった。
【0061】このように、本発明例によれば、埋立用材
以外の新たな用途として路盤材を提供でき、大型な設備
投資を必要とせず、さらにランニングコストも抑制され
た溶銑脱燐スラグを安価に提供することができた。
【0062】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
り、従来は路盤材としての再利用が困難であって埋立用
材等に使用されてきた溶銑予備処理スラグを、安価にか
つ大きな設備投資を行うことなく、路盤材として再利用
できることとなった。かかる効果を有する本発明の意義
は、資源の有効利用の観点からも、極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) 〜図1(e) は、本発明を適用した溶銑
予備処理スラグの製造工程を、模式的かつ経時的に示す
説明図である。
【図2】冷却速度と修正CBR 値との関係を示すグラフで
ある。
【図3】図3は、発明例1、発明例2、比較例1および
比較例2のそれぞれについて、スラグ温度を経時的に示
すグラフである。
【符号の説明】
1 溶銑 2 溶銑脱燐スラグ 3 転炉 4 スラグ鍋 5 ドライピット

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶銑から排滓された後であって凝固温度
    に低下するまでの間に、80℃/Hr 以下の冷却速度で3時
    間以上徐冷することにより得られ、JIS A 1211により求
    められる修正CBR 値が80以上であることを特徴とする圧
    潰強度が要求される土木材用の溶銑予備処理スラグ。
  2. 【請求項2】 溶銑から排滓された溶銑予備処理スラグ
    を、凝固温度に低下するまでの間に、80℃/Hr 以下の冷
    却速度で3時間以上徐冷することにより、前記溶銑予備
    処理スラグへのガスの残留を抑制することを特徴とする
    圧潰強度が要求される土木材用の溶銑予備処理スラグの
    製造法。
  3. 【請求項3】 前記溶銑は、吹錬前に水和膨張性を有す
    る媒溶材を投入される請求項2記載の圧潰強度が要求さ
    れる土木材用の溶銑予備処理スラグの製造法。
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