JPH11218397A - 耐汚染性が優れた熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法 - Google Patents

耐汚染性が優れた熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法

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JPH11218397A
JPH11218397A JP2131598A JP2131598A JPH11218397A JP H11218397 A JPH11218397 A JP H11218397A JP 2131598 A JP2131598 A JP 2131598A JP 2131598 A JP2131598 A JP 2131598A JP H11218397 A JPH11218397 A JP H11218397A
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resin
fin
hydrophilic film
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resin layer
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JP2131598A
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Yoshikazu Mukai
良和 向井
Kenichi Kamiya
憲一 神谷
Yosuke Ota
陽介 太田
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期の冷房運転後にサラダ油又は可塑剤等の
汚染物質がフィン表面に付着しても、良好な親水性を維
持することができる耐汚染性が優れた熱交換器用表面処
理フィン材及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 アルミニウム又はアルミニウム合金板の
表面には、親水性皮膜が形成されており、この親水性皮
膜の表面には樹脂層が形成されている。この樹脂層は、
溶解性パラメータ値が11.0(cal/cm30.5
上であり、平均分子量が5000以上である樹脂からな
るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面に皮膜が形成さ
れたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる熱交換
器用フィン材とその製造方法に関し、特に、家庭用の空
調器用フィン材として好適であり、耐汚染性が優れた熱
交換器用表面処理フィン材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム又はアルミニウム合金材
は、熱伝導性及び成形性が優れているので、熱交換器用
フィン材として使用されている。そして、このフィン材
の表面には、腐食の発生を防止することを目的として、
防食処理が施されている。また、冷房運転時の凝縮水が
フィン間に滞留することを防止するために、水滴落下性
を向上させる表面処理又は水滴を水膜状に落下させるた
めの親水性を向上させる表面処理がフィン材に施されて
いる。
【0003】フィン材の親水性を向上させる表面処理方
法としては、アルミニウム又はアルミニウム合金からな
るフィン材の表面に水溶性有機高分子物質とアルカリケ
イ酸塩化合物との混合物被覆層を形成する方法が開示さ
れている(特許第1769978号)。また、熱硬化性
の樹脂にシリカの微粒子を分散させた皮膜をアルミニウ
ムからなるフィン材の表面に塗布する親水化処理方法も
提案されている(特開平3−269072号公報)。更
に、セルロース及びポリビニルアルコール等の親水性有
機化合物と、メラミン樹脂、尿素樹脂又はベンゾグアナ
ミン樹脂等の有機硬化剤とを混合したものをアルミニウ
ム板の表面に塗膜することにより、フィン材表面に親水
性皮膜を形成する方法がある(特公平5−15176号
公報)。
【0004】更にまた、ポリオキシアルキレン鎖を10
重量%以上含有する水性高分子化合物と、カルボキシル
基及び水酸基を有する高分子水溶性化合物とを含有する
親水性表面処理水溶液を塗布することにより、フィン材
表面に親水性表面処理皮膜を形成する方法が提案されて
いる(特開平7−102189号公報)。他に、分子量
が500以上の特定のエポキシ系架橋剤と重合度が50
以上のポリビニル化合物との混合物からなる皮膜をフィ
ン材表面に形成する方法が開示されている(特開平9−
26288号公報)。更にまた、特定の分子量のカルボ
キシメチルセルロースとポリエチレングリコールとを所
定の混合比で混合させた混合物をアルミニウム又はアル
ミニウム合金材の上に塗布することにより、フィン材表
面に親水性皮膜を形成する方法が提案されている(特開
平8−261688号公報)。
【0005】ところで、近時、台所及び新築の住宅等で
エアコン等の熱交換器を使用すると、夏期の冷房運転時
に凝縮水が飛散する現象が発生している。従来の親水性
皮膜を形成した場合であっても、凝縮水が飛散した熱交
換器のフィン表面は、水濡れ性(親水性)が低下して撥
水化しており、接触角が高くなっている。
【0006】図1は、平面上の水滴の接触角を示す模式
図である。図1に示すように、接触角θとは水滴2の表
面における平面1から立ち上がった点における接線3と
平面1とがなす角度をいい、接触角θが小さいほど水膜
が薄くなり、親水性が良好とであることを示す。
【0007】本願発明者等は、台所で使用するサラダ油
又は種々の建材等から発生する可塑剤等の汚染物質の微
細粒子(ミスト)がフィン表面に付着することが、フィ
ン材表面を撥水化させる原因となることを見い出し、こ
のような汚染物質が付着しても親水性の低下が少ない表
面処理方法を提案した(特開平9−273892号公
報)。これは、アルミニウム又はアルミニウム合金の表
面に親水性処理皮膜を形成した後、分子内に2基のエポ
キシ基を有する皮膜を形成する方法である。このように
構成されたフィン材を使用すると、表面の皮膜が徐々に
溶解するので、従来のフィン材と比較して、汚染物質が
付着した場合であっても親水性の劣化の度合いが少なく
なると共に、凝縮水によりフィン表面が洗浄されること
によって親水性を回復することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
9−273892号公報に記載されたフィン材を使用し
ても、長期の冷房運転によりフィン表面が洗浄された
後、再度フィン表面に汚染物質が付着すると、汚染物質
の除去性が低下して親水性が低下するという問題点があ
る。従って、より一層耐汚染性が優れたフィン材の開発
が要求されている。
【0009】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、長期の冷房運転後にサラダ油又は可塑剤等
の汚染物質がフィン表面に付着しても、良好な親水性を
維持することができる耐汚染性が優れた熱交換器用表面
処理フィン材及びその製造方法を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る耐汚染性が
優れた熱交換器用表面処理フィン材は、アルミニウム又
はアルミニウム合金板と、このアルミニウム又はアルミ
ニウム合金板の表面に形成された親水性皮膜と、この親
水性皮膜の表面に形成された樹脂層を有し、前記樹脂層
は溶解性パラメータ値が11.0(cal/cm30.5
以上であり、平均分子量が5000以上である樹脂から
なることを特徴とする。
【0011】このアルミニウム又はアルミニウム合金板
と前記親水性皮膜との間に、耐食性皮膜を設けていても
よい。
【0012】本発明に係る耐汚染性が優れた熱交換器用
表面処理フィン材の製造方法は、アルミニウム又はアル
ミニウム合金板の表面に親水性皮膜を形成する工程と、
前記親水性皮膜の表面から水洗して前記親水性皮膜中の
水溶出分を除去する工程と、前記親水性皮膜の表面に溶
解性パラメータ値が11.0(cal/cm30.5以上
であり、平均分子量が5000以上である樹脂からなる
樹脂層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0013】本発明においては、アルミニウム又はアル
ミニウム合金板の表面に親水性皮膜を形成し、この親水
性皮膜の表面に遅溶性の樹脂層を形成する。この遅溶性
の樹脂層とは、溶解性パラメータ値が11.0(cal
/cm30.5以上であり、平均分子量が5000以上の
樹脂からなる層である。一般的に、溶解性パラメータ値
δが近似している2種の高分子物質は、互いに付着する
度合いが高く、これらを混合した場合に、溶解性が高く
混合されやすい。フィン表面に付着する汚染物質の溶解
性パラメータ値は、約8乃至10(cal/cm30.5
であるのに対し、本発明において形成される樹脂層の溶
解性パラメータ値は11.0(cal/cm30.5であ
るので、樹脂層の溶解性パラメータ値と汚染物質の溶解
性パラメータ値が異なる値になる。また、本発明におい
ては、平均分子量が5000以上の高分子からなる樹脂
層を形成するので、この分子量の効果によって水溶出速
度が遅くなり、表面に強固に樹脂層が付着する。従っ
て、汚染物質が付着しにくいと共に、長期間優れた耐汚
染性を保持することができるフィン材を得ることができ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本願発明者等は、耐汚染性を更に
一層向上させるために、フィン表面に汚染物質が付着し
やすい理由、及びフィン表面に汚染物質が付着した場合
に、この汚染物質を容易に除去するための方法につい
て、フィンの表面処理に使用される物質と汚染物質との
相性の点から種々実験研究を行った。その結果、フィン
表面に付着する汚染物質と、フィンの表面層を構成する
材料としての水ガラス(二酸化ケイ素)、メラミン樹
脂、尿素樹脂若しくはベンゾグアナミン樹脂等の樹脂、
又はポリエチレングリコール等のポリオキシアルキレン
系樹脂とは、溶解性パラメータ値が互いに極めて近い値
であることを見い出した。
【0015】即ち、汚染物質であるサラダ油又は可塑剤
としてのジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフ
タレート(DBP)及びジオクチルアジペート(DO
A)等の溶解性パラメータ値は約8乃至10(cal/
cm30.5である。一方、フィンの表面層を構成する材
料としての水ガラス(二酸化ケイ素)、メラミン樹脂、
尿素樹脂若しくはベンゾグアナミン樹脂等の樹脂、又は
ポリアクリル酸若しくはポリエチレングリコール等のポ
リオキシアルキレン系樹脂の溶解性パラメータ値も約8
乃至10(cal/cm30.5であり、両者のパラメー
タ値は極めて近い値である。
【0016】なお、溶解性パラメータ値δとは、凝集エ
ネルギー密度CED(単位容量あたりの分子間ポテンシ
ャル)の平方根であり、下記数式1によって算出される
値である。
【0017】
【数1】δ=(CED)0.5=(E/V)0.5 但し、E:モル蒸発熱(cal) V:分子容(ml/mol)である。
【0018】高分子物質同士を接着させる場合に、溶解
性パラメータ値δが近似していると付着の度合いが高く
なり、2種の高分子物質を混合した場合に、両者の溶解
性パラメータ値δが近似しているほど、溶解性が高く混
合されやすい。前述の如く、汚染物質の溶解性パラメー
タ値と従来のフィンの表面層を構成する材料の溶解性パ
ラメータ値とが近似した値であるので、サラダ油又はジ
オクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート
(DBP)及びジオクチルアジペート(DOA)等の可
塑剤は、従来のフィン材表面に付着しやすく、付着した
場合にはとれにくいものとなっている。
【0019】このように、室内器用のエアコン等の熱交
換器用フィンにおいて、親水性が短期間で劣化する原因
は、フィンの表面層を構成している成分の溶解性パラメ
ータ値が、汚染物質の溶解性パラメータ値と近似してい
るからである。従って、サラダ油又は可塑剤等の汚染物
質の溶解性パラメータ値と著しく異なる溶解性パラメー
タ値を有する樹脂をフィンの表面層として使用すること
により、これらの汚染物質によるフィン表面の汚染を防
止することができる。
【0020】即ち、本発明においては、アルミニウム又
はアルミニウム合金板の表面に親水性皮膜を形成し、こ
の親水性皮膜の表面に遅溶性の樹脂層を形成する。この
遅溶性の樹脂層とは、溶解性パラメータ値が11.0
(cal/cm30.5以上であり、平均分子量が500
0以上の樹脂からなる層である。従って、樹脂層の溶解
性パラメータ値と汚染物質の溶解性パラメータ値が異な
る値になることにより、汚染物質が付着しにくいフィン
材を得ることができる。
【0021】本発明において、樹脂層としては、溶解性
パラメータ値が13.6(cal/cm30.5であるポ
リアミド樹脂(水性ナイロン樹脂)、溶解性パラメータ
値が12.6(cal/cm30.5であるポリビニルア
ルコール樹脂、溶解性パラメータ値が14.2(cal
/cm30.5であるポリアクリルニトリル樹脂、溶解性
パラメータ値が13.9(cal/cm30.5であるニ
トロセルロース樹脂、溶解性パラメータ値が13.6
(cal/cm30.5であるカルボキシメチルセルロー
ス樹脂、及び溶解性パラメータ値が11.4(cal/
cm30.5である酢酸セルロース樹脂を単独又は混合し
て使用することができる。
【0022】また、これらの水溶性樹脂の他に、エチレ
ン、ビニルアルコール、及びアクリロニトリル等のモノ
マーの共重合体並びにブロック重合体であっても、その
溶解性パラメータ値が11.0(cal/cm30.5
上であれば、使用することができる。溶解性パラメータ
値が11.0(cal/cm30.5未満であると、前述
の如く、汚染物質がフィン表面に付着しやすくなり、こ
れにより、親水性が劣化しやすくなる。
【0023】更に、本発明において、これらの樹脂層を
構成する樹脂の分子量は、平均分子量で5000以上で
あることが必要である。樹脂層を構成する樹脂の平均分
子量が5000未満であると、水溶出性が高くなり、容
易に溶出されて耐汚染性の持続性が低下するからであ
る。従って、平均分子量が5000以上の高分子からな
る樹脂層を形成することにより、この分子量の効果によ
って水溶出速度が遅くなり、表面に強固に樹脂層が付着
するので、冷房運転時の結露水によっても溶出しにくく
なり、長期間優れた耐汚染性を保持することができるフ
ィン材を得ることができる。
【0024】なお、樹脂層を硬化して水への成分の溶出
を抑制するために、極めて微量の無機硬化剤を樹脂層中
に添加することができるが、この無機硬化剤の量が多く
なりすぎると、汚染物質の樹脂層への付着性が増加し
て、樹脂層による耐汚染性の向上効果が低下する。ま
た、エポキシ系樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びベン
ゾグアナミン樹脂等の有機硬化剤を樹脂層中に添加する
と、溶解パラメータ値が11.0(cal/cm30.5
以上である樹脂が有する耐汚染性を低下させるので、好
ましくない。
【0025】また、本発明において、樹脂層の皮膜量及
び樹脂層を形成するときの焼き付け温度は特に制限する
ものではないが、親水性及びフィン加工性を考慮する
と、約150乃至250℃の焼き付け温度で樹脂層を形
成することが好ましく、皮膜量は約0.5乃至5mg/
dm2とすることが望ましい。
【0026】
【実施例】次に、本発明に係る耐汚染性が優れた熱交換
器用表面処理フィン材の実施例について、その比較例と
比較して具体的に説明する。先ず、板厚が0.110m
mであるJIS A1100 H22のアルミニウム板
を準備し、このアルミニウム板の表面を種々の方法で表
面処理することにより、耐食性皮膜を形成した。この表
面処理としては、例えば、リン酸4%及びクロム酸0.
4%からなるリン酸クロメート処理(日本ペイント製ア
ルサーフ401/45)、塗布型クロメート処理(日本
ペイント製サーフコート427)及び塗布型ジルコニウ
ム処理(サーフコート147/148)を使用した。こ
のとき、クロメート処理においては、Crが20mg/
2となるようにCr含有量を調整し、ジルコニウム処
理においては、Zrが40mg/m2となるようにZr
含有量を調整した。なお、塗布型の処理については、バ
ーコータを使用して塗布剤を塗装した後、200℃の温
度で20秒間の焼き付けを実施した。
【0027】その後、耐食性皮膜の表面に、水ガラス系
の親水性皮膜又は樹脂系の親水性皮膜を形成した。水ガ
ラス系の親水性皮膜については、ケイ酸ソーダ4号と重
合度が400であるポリメタクリル酸とを3:1の割合
で混合したものを耐食性皮膜の表面に塗布し、220℃
の温度で20秒間焼き付けした後、10秒間のスプレー
水洗を実施することにより、SiO2量で200mg/
2の親水性皮膜を得た。樹脂系の親水性皮膜について
は、分子量が80000であるカルボキシメチルセルロ
ース樹脂と、分子量が10000であるポリエチレング
リコール樹脂とを1:2の割合で混合し、硬化剤として
1重量%のジルコニウム系キレート化剤(フッ化ジルコ
ニウムアンモン)を添加したものを耐食性皮膜の表面に
塗布し、220℃の温度で20秒間焼き付けした後、1
0秒間のスプレー水洗を実施することにより、500m
g/m2の親水性皮膜を得た。
【0028】その後、親水性皮膜の表面に、種々の溶解
性パラメータ値及び重合度を有する樹脂層材料を塗布
し、これを200℃の温度で20秒間焼き付けすること
により、1乃至3mg/dm2の皮膜量の樹脂層を形成
し、これらを試験片とした。
【0029】そして、得られた試験片について、初期
(洗浄処理なし)の汚染物質付着時の試験片表面の親水
性、その後水道水によって1(リットル/分)の流量で24
時間の流水試験をした後の親水性を評価した。また、試
験片を24時間流水した後にドライヤーで乾燥し、試験
片表面に汚染物質を付着させたときの親水性、その後水
道水によって1(リットル/分)の流量で24時間の流水試
験をした後の親水性について評価した。汚染物質を試験
片表面に付着させる方法としては、汚染物質としてサラ
ダ油及びフタル酸ジオクチル(DOP)を200℃の温
度で加熱してミストを発生させ、このミストに試験片表
面を暴露する方法を使用し、これにより、約0.5mg
/dm2の汚染物質を試験片表面に付着させた後、水濡
れ性及び接触角について評価した。
【0030】更に、汚染物質付着時の初期重量と、24
時間の流水試験後に汚染物質のミストに1分間暴露した
後の試験片重量を測定することにより、汚染物質の付着
性について評価した。各試験片の耐食性皮膜、親水性皮
膜及び樹脂層の種類等を下記表1乃至5に示し、これら
の評価結果を下記表6乃至8に示す。なお、下記表6に
示す汚染後の付着量とは、試験片をそのまま汚染物に暴
露した場合の汚染物の付着量を示し、24時間洗浄後の
汚染後付着量とは、試験片を流水で24時間洗浄し、乾
燥後汚染物に暴露した場合の汚染物の付着量を示す。
【0031】また、下記表7に示す汚染後の親水性と
は、初期(洗浄処理なし)の汚染物質付着時の試験片表
面の親水性を示し、24時間流水後の親水性とは、その
後水道水によって1(リットル/分)の流量で24時間の流
水試験をした後の親水性を示す。表8に示す24時間流
水後の汚染後親水性とは、試験片を24時間流水した後
にドライヤーで乾燥し、試験片表面に汚染物質を付着さ
せたときの親水性を示し、24時間流水後親水性とは、
その後水道水によって1(リットル/分)の流量で24時間
の流水試験をした後の親水性を示す。下記表7及び8に
示す水濡れ性の評価結果欄においては、水濡れ面積
(%)が100%の場合から0%の場合までを、○、○
△、△、△×及び×の5段階で評価した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】上記表1乃至8に示すように、実施例N
o.1乃至8は樹脂層の溶解性パラメータ値及び平均分
子量が適切に規制されているので、汚染物質の付着量が
少なく、特に、流水後に汚染物質を付着させた場合に、
汚染物質が付着していない場合と同様のレベルである接
触角が20゜以下まで親水性が回復した。また、24時
間の流水後に汚染物質の付着試験を実施しても、優れた
親水性を得ることができた。
【0041】一方、比較例No.9乃至10は従来の水
ガラス系親水性皮膜又は樹脂系親水性皮膜のみを形成し
たものであり、比較例No.11は水ガラス系親水性皮
膜上に、特開平9−273892号公報に開示された重
合度が600であるポリアクリル酸カリウムと分子量が
1186であるエチレンポリエチレングリコールジグリ
シジルエーテルとを、1:2.5の混合比で混合させた
ものを塗布し、10mg/dm2の皮膜量(膜厚約1μ
m)で形成したものである。
【0042】水ガラス系親水性皮膜を形成した比較例N
o.9は、汚染物質の付着量が多くなり、接触角が10
0゜を超えており、親水性の劣化度合いが大きくなっ
た。樹脂系親水性皮膜を形成した比較例No.10は、
接触角は水ガラス系親水性皮膜を形成した場合と比較し
て小さくなったが、部分的に水はじきが発生しており、
接触角も50゜を超えて劣化している。これは、樹脂が
溶出することによる親水性保持効果により接触角が低く
なるが、ポリエチレングリコールを含有するので、溶解
性パラメータ値が汚染物質と近似しており、親水性を阻
害する汚染物質の付着が多くなるからであると考えられ
る。
【0043】比較例No.11は、初期に汚染物質が付
着した場合でも、水濡れ性は良好であり、流水によって
接触角が低下して親水性は回復するが、流水後に汚染物
質が付着した場合には、樹脂系親水性皮膜を形成した比
較例No.10と同等のレベルにまで親水性が劣化し、
流水後も親水性は十分に回復しなかった。これは、初期
の汚染物質付着試験においては、樹脂の溶出分の効果の
方が優れており、親水性が良好であるが、初期溶出分が
減少した後には、汚染物質と溶解性パラメータ値が近似
したポリビニル系樹脂(ポリメタクリル酸の溶解性パラ
メータ値は約9.3(cal/cm30.5の影響が大き
くなり、汚染物質が付着しやすくなると共に、除去され
にくくなったためであると考えられる。
【0044】比較例No.12及び13は、樹脂層を構
成する樹脂の平均分子量が5000未満であるので、初
期の汚染後親水性は良好であるが、流水後に汚染物質を
付着させたときの親水性が低下した。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
樹脂層の溶解性パラメータ値及び平均分子量が適切に規
制されているので、長期の冷房運転後に汚染物質がフィ
ン表面に付着しても、良好な親水性を維持することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平面上の水滴の接触角を示す模式図である。
【符号の説明】
1;平面 2;水滴 3;接線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金板
    と、このアルミニウム又はアルミニウム合金板の表面に
    形成された親水性皮膜と、この親水性皮膜の表面に形成
    された樹脂層を有し、前記樹脂層は溶解性パラメータ値
    が11.0(cal/cm30.5以上であり、平均分子
    量が5000以上である樹脂からなることを特徴とする
    耐汚染性が優れた熱交換器用表面処理フィン材。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム又はアルミニウム合金
    板と前記親水性皮膜との間に、耐食性皮膜を有すること
    を特徴とする請求項1に記載の耐汚染性が優れた熱交換
    器用表面処理フィン材。
  3. 【請求項3】 アルミニウム又はアルミニウム合金板の
    表面に親水性皮膜を形成する工程と、前記親水性皮膜の
    表面から水洗して前記親水性皮膜中の水溶出分を除去す
    る工程と、前記親水性皮膜の表面に溶解性パラメータ値
    が11.0(cal/cm30.5以上であり、平均分子
    量が5000以上である樹脂からなる樹脂層を形成する
    工程と、を有することを特徴とする耐汚染性が優れた熱
    交換器用表面処理フィン材の製造方法。
JP2131598A 1998-02-02 1998-02-02 耐汚染性が優れた熱交換器用表面処理フィン材及びその製造方法 Pending JPH11218397A (ja)

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JP (1) JPH11218397A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010123581A (ja) * 2001-04-06 2010-06-03 Changs Ascending Enterprise Co Ltd リチウムイオンポリマー電池
US20220176312A1 (en) * 2020-12-07 2022-06-09 Carbon Engineering Ltd. Capturing carbon dioxide

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