JPH11208213A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 ベルト層のプライステアによるハンドル流れ
を修正して直進性を良くする。 【解決手段】 最外ベルト層２のコードによる横力でハ
ンドル流れＹ１がタイヤ回転方向の一側方に指向するよ
うに配置されており、トレッド部１におけるリブ５，７
Ａ，７Ｂ又はブロック９Ａ，９Ｂの横剛性が、前記ハン
ドル流れ側のショルダ部側がトレッド中心部側よりも高
くされて前記ハンドル流れをトレッド部の横剛性で修正
している。最外ベルト層のコードはタイヤ回転方向に対
して左上り傾斜又は右上り傾斜として配置されている。
トレッド部の横剛性は、トレッド部において周方向に延
伸する縦溝における溝立上り面の角度を異にすることで
変化されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空気入りラジアル
タイヤに係り、より具体的には、車両（自動車）に装着
したタイヤのハンドル流れを小さくして直進性が良好な
空気入りラジアルタイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】タイヤのトレッド部の内側にベルト層を
配置した空気入りラジアルタイヤにおいては、該タイヤ
を自動車に装着して走行するとき、最外ベルト層のコー
ド（スチールコード）の配列によって所謂プライステア
による横力でハンドルから手を放すと自動車の進行方向
が横力の発生した方向に傾き、所謂ハンドル流れを発生
する。

【０００３】このハンドル流れは操縦性に悪影響を与え
るだけでなくトレッド部の偏磨耗を招くこと等から、特
開平３−１８６４０６号公報（従来例の１）および特開
平５−１７８００８号公報（従来例の２）等が提案され
ている。従来例の１は、「トレッド面にブロック基調の
パターンを設け、ブロックを区画するラグ溝の方向が、
トレッドに配置した最外ベルト補強層のコード方向とタ
イヤ周方向に対し互いに反対側に傾斜している空気入り
ラジアルタイヤにおいて、前記ブロックの少なくとも踏
込み側のエッジが段付き状の面取りで欠除され、かつ該
段付き状の面取りが、ブロック表面側に連なると共に半
径方向に対しラグ溝壁面よりも大きな傾斜角をもつ傾斜
面部又は凸曲面部と、ラグ溝壁面側に連なると共にブロ
ック表面と実質的に平行な平面部とから形成されている
空気入りラジアルタイヤ。」であった。

【０００４】従来例の２は、「トレッド部の内側に複数
枚のベルト層を配置し、踏面の少なくともショルダー部
にタイヤ子午線方向に対して傾斜する複数の横溝を配置
した空気入りラジアルタイヤにおいて、前記複数の横溝
を、タイヤ子午線方向に対して５°〜４５°の範囲で傾
斜する横溝と、これと反対方向の−５°〜−４５°の範
囲で傾斜する横溝とがタイヤ周方向に交互に配列するよ
うにし、かつ前記ベルト層のうち最外側のベルト層のコ
ードとタイヤ子午線方向に対して同一方向に傾斜する横
溝の溝深さを、これと反対方向に傾斜する横溝の溝深さ
よりも浅くした空気入りラジアルタイヤ。」であった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来例の１および２は
いずれもハンドル流れを防止して操縦性を向上すること
ができるものの、下記のような課題があると考えられ
る。 ：従来例の１ではトレッドがブロック基調であって、
リブパターン（リブ・ブロックパターンを含む）には適
用でき難いものであった。

【０００６】：従来例の２では段付き状の面取りを形
成していることから、ブロック剛性の弱小化を招き易い
ものであった。 ：従来例の２では、ショルダ部のブロック剛性の弱小
化を招き易いものであった。 ：従来例の１および２はいずれにおいてもハンドル流
れに基因するトレッド部の偏磨耗が発生し易く、耐久性
の面で不利であった。

【０００７】本発明は、トレッド部の剛性についてハン
ドル流れとの関係で剛性差をもたせることによって、ハ
ンドル流れを防止（直進性の確保）するとともに、トレ
ッド部のリブ又はブロックの偏磨耗を防止できるように
した空気入りラジアルタイヤを提出することが目的であ
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、タイヤのトレ
ッド部の内側にベルト層を配置した空気入りラジアルタ
イヤにおいて、前述の目的を達成するために、次の技術
的手段を講じている。すなわち、請求項１に係る本発明
の空気入りラジアルタイヤは、最外ベルト層のコードに
よる横力でハンドル流れがタイヤ回転方向の一側方に指
向するように配置されており、前記トレッド部における
リブ又はブロックの横剛性が、前記ハンドル流れ側のシ
ョルダ部側がトレッド中心部側よりも高くされて前記ハ
ンドル流れをトレッド部の横剛性で修正していることを
特徴とするものである。

【０００９】また、請求項２に係る本発明の空気入りラ
ジアルタイヤは、請求項１において、最外ベルト層のコ
ードがタイヤ回転方向に対して左上り傾斜又は右上り傾
斜として配置されていることを特徴とするものである。
更に、請求項３に係る本発明の空気入りラジアルタイヤ
は、請求項１において、トレッド部の横剛性が、トレッ
ド部において周方向に延伸する縦溝における溝立上り面
の角度を異にすることで変化されていることを特徴とす
るものである。

【００１０】また、請求項４に係る本発明の空気入りラ
ジアルタイヤは、タイヤのトレッド部が、トレッド中心
に位置するセンターリブと、該センターリブの左右両側
に縦主溝を介して区分された左右のサイドリブと、該サ
イドリブの各外側に縦副溝を介して区分された左右のシ
ョルダ部を備え、前記センターリブの左右側縁および前
記サイドリブの左右側縁の横剛性は、各左右側縁におい
てハンドル流れ側の横剛性が高くされていることを特徴
とするものである。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、図を参照して本発明に係る
空気入りラジアルタイヤの実施の形態について説明す
る。図１（Ａ）はトレッド部を一部破断することにより
内側のベルト層と共に示したもので、図１（Ｂ）はトレ
ッドの断面を示したものであり、いずれも、第１の実施
の形態である。

【００１２】図１（Ａ）において、空気入りラジアルタ
イヤのトレッド部１はリブパターンで例示してあり、該
トレッド部１の内側にはベルト層２，３が図では２層
（２枚）として配置されており、該ベルト層２，３はス
チールコード、アラミドコードなどの高強度、高弾性率
のコードからなり、ベルト層２，３のコード２Ａ，３Ａ
は互いに交差されており、最外ベルト層２のコード２Ａ
がタイヤ回転方向Ｙに対して左上り（右下り）の傾斜さ
れることで該コード２Ａによる横力（プライステアによ
る横力）がタイヤ回転方向Ｙの一側、図では符号Ｙ１で
示すように左斜めに指向するものとされている。

【００１３】なお、図１（Ａ）において、符号４はラジ
アルカーカス層を示している。トレッド部１のリブパタ
ーンは、トレッド中央に位置しているセンターリブ５と
該センターリブ５の左右で周方向に直線状に延伸する縦
主溝６Ａ，６Ｂによって区分された左右のサイドリブ７
Ａ，７Ｂと該サイドリブ７Ａ，７Ｂの各外側方で周方向
に直線状に延伸する前記縦主溝６Ａ，６Ｂよりも溝幅が
小さな縦副溝８Ａ，８Ｂによって区分された左右のショ
ルダブロック９Ａ，９Ｂとをそれそれ備えることによっ
て構成されている。

【００１４】図１（Ｂ）を参照すると、図では左側の縦
副溝８Ａはその溝立上り面がショルダブロック９Ａの側
縁に対する立上り面が９が急にそそりたっており（角度
ａを参照）、サイドリブ７Ｂの側縁に対する立上り面が
やや緩やかにそそりたっており（角度ｂを参照）、ま
た、左側の縦主溝６Ａはその溝立上り面がサイドリブ７
Ｂの側縁に対する立上り面が急にそそりたっており（角
度ｃを参照）、センターリブ５の側縁に対する立上り面
がやや緩やかにそそりたっており（角度ｄを参照）、更
に、右側の縦主溝６Ｂはセンターリブ５の側縁に対する
立上り面が急にそそり立っており（角度ｅを参照）、一
方、サイドリブ７Ｂの側縁に対する立上り面が緩やかに
そそり立っており（角度ｆ参照）、また、右側の縦副溝
８Ｂについてはサイドリブ７Ｂの側縁に対する立上り面
が急にそそり立っており（角度ｇ参照）、一方、ショル
ダブロック９Ｂの側縁に対する立上り面が緩やかにそそ
り立っている（角度ｈ参照）。

【００１５】ここで角度ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅ，ｆ，ｇ，
ｈについては次の通りである。 ０°≦ａ、ｈ≦２０°、０°＜ｂ，ｄ，ｆ＜２０°、０
°≦ｃ，ｅ，ｇ＜２０°で、ｂ＞ｃ、ｄ＞ｅ、ｆ＞ｇと
されている。すなわち、前記トレッド部１におけるリブ
又はブロックの横剛性が、前記最外ベルト層２のコード
２Ａによるプライステアに基因するハンドル流れＹ１の
ショルダ部側がトレッド中心部側よりも高くされて前記
ハンドル流れＹ１をトレッド部１の横剛性の変化によっ
て図１（Ａ）の符号Ｙ２のように修正しているのであ
る。

【００１６】具体的には、ｂ＞ｃ、ｄ＞ｅ、ｆ＞ｇとす
ることによって、トレッド部１の横剛性が、トレッド部
１において周方向に延伸する縦溝６Ａ，６Ｂ，８Ａ，８
Ｂにおける溝立上り面の角度ａ〜ｇを前述の如く異にす
ることで変化させることでプライステアによるハンドル
流れＹ１をトレッド部１横剛性の変化（すなわち、リブ
５，７Ａ，７Ｂはいずれも左側縁が右側縁よりも剛性が
大とされている）でＹ２の如く修正してここに、直進性
を確保しているとともに、偏磨耗を防止しているのであ
る。

【００１７】なお、図１（Ａ）において、センターリブ
５にはこの中央に細溝１０が、左右のサイドリブ７Ａ，
７Ｂにはこの中央に略溝１１Ａ，１１Ｂがそれぞれ形成
されることでリブ５，７Ａ，７Ｂをそれぞれ２分割して
おり、更に、左右のサイドリブ７Ａ，７Ｂについては細
溝１１Ａ，１１Ｂとともに傾斜方向を左右で異（逆）に
した横溝１１Ｃ，１１Ｄを形成することでほぼ菱形形状
のブロックにサイドリブ７Ａ，７Ｂが区分されている。

【００１８】更に、ショルダブロック９Ａ，９Ｂについ
てはタイヤ（トレッド）中央側に偏在して縦方向の細溝
１２Ａ，１２Ｂとともに、弯曲した横溝１３Ａ，１３Ｂ
が形成されることでブロックが細分化されているととも
に、サイプ１４Ａ，１４Ｂが形成されている。図２
（Ａ）（Ｂ）は本発明の第２の実施形態を示しており、
この第２の実施形態では最外ベルト層２におけるコード
２Ａの方向が右上り傾斜状とされており、この結果ハン
ドル流れＹ１は前述した第１の実施形態とは逆の方向と
なり、これを修正するためリブ剛性は第１の実施形態と
は逆とされている。

【００１９】この第２の実施形態（図２（Ａ）（Ｂ）に
おいて）については上記以外の構成および作用は第１の
実施形態と共通するので、共通部分は共通符号で示して
いる。なお、前述した第１・２の実施形態において、ベ
ルト層２，３は２枚で示しているが、これは１枚でもま
た、２枚以上であっても良く、更に、トレッド部１のパ
ターンはブロックパターンであっても良いこと勿論であ
る。

【００２０】

【発明の効果】以上詳述した通り本発明によれば、ベル
ト層のプライステアによるハンドル流れをトレッド部の
剛性変化によって修正して直進性を約束できるし、偏磨
耗も抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態を示し、（Ａ）は要部平
面図、（Ｂ）はトレッド部の断面図である。

【図２】本発明の第２実施形態を示し、（Ａ）は要部平
面図、（Ｂ）はトレッド部の断面図である。

【符号の説明】

１ トレッド部 ５ センターリブ ６Ａ，６Ｂ 縦主溝 ７Ａ，７Ｂ サイドリブ ８Ａ，８Ｂ 縦副溝 ａ〜ｈ 溝立上り角度

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タイヤのトレッド部の内側にベルト層を
   配置した空気入りラジアルタイヤにおいて、 最外ベルト層のコードによる横力でハンドル流れがタイ
   ヤ回転方向の一側方に指向するように配置されており、
   前記トレッド部におけるリブ又はブロックの横剛性が、
   前記ハンドル流れ側のショルダ部側がトレッド中心部側
   よりも高くされて前記ハンドル流れをトレッド部の横剛
   性で修正していることを特徴とする空気入りラジアルタ
   イヤ。
2. 【請求項２】 最外ベルト層のコードがタイヤ回転方向
   に対して左上り傾斜又は右上り傾斜として配置されてい
   ることを特徴とする請求項１記載の空気入りラジアルタ
   イヤ。
3. 【請求項３】 トレッド部の横剛性が、トレッド部にお
   いて周方向に延伸する縦溝における溝立上り面の角度を
   異にすることで変化されていることを特徴とする請求項
   １記載の空気入りラジアルタイヤ。
4. 【請求項４】 タイヤのトレッド部が、トレッド中心に
   位置するセンターリブと、該センターリブの左右両側に
   縦主溝を介して区分された左右のサイドリブと、該サイ
   ドリブの各外側に縦副溝を介して区分された左右のショ
   ルダ部を備え、前記センターリブの左右側縁および前記
   サイドリブの左右側縁の横剛性は、各左右側縁において
   ハンドル流れ側の横剛性が高くされていることを特徴と
   する請求項１記載の空気入りラジアルタイヤ。