JPH11201084A - 送風装置 - Google Patents
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Abstract
空気を吸い込む送風装置の羽根形状について、空力性能
の向上、エネルギー効率の向上を実現する。 【解決手段】 環状壁2に設けたスリットから内部へ空
気を吸い込む送風装置において、軸流ファン1の羽根の
翼先端部を回転方向に析り曲げることにより、スリット
から流れ込む空気流を円滑に取り込む。軸流ファンの翼
先端部以外の形状を半径翼あるいは後退翼とする。軸流
ファン1の翼先端付近の翼前傾角とスリットの角度のな
す角が、−5〜15°の範囲であり、かつ、翼先端部が
風吹き出し方向に曲がっている。この構成により、P−
Q特性の向上、ならびに騷音の低減、エネルギー効率の
向上を実現する。
Description
する送風装置に関するものである。
気回路の高密度実装が盛んに行なわれるようになってき
た。これに伴い電子機器の発熱密度も増加するため、機
器冷却用に軸流形送風装置もしくは斜流形送風装置が使
用されている。
軸流ファン1が翼先端と環状壁2の内周面との間に適当
間隙をあけて配置してあり、モータ部3に通電する送風
状態において、軸流ファン1が軸4を中心に回転して、
吸引側から吐出側へ向かう空気流5が発生する。
送風状態においては、羽根8の翼先端の背圧側において
空気流の速度が速くなり、この空気流の持つエネルギー
が圧カエネルギーに変換されて、翼後縁側に翼間二次流
れの影響による低エネルギー領域が発生する。この部分
は損失も大きくて流れの剥離が生じ易く、空気流がプレ
ート面より離脱してしまい、その離脱領域には渦が生起
する。このことにより、乱流騒音を増加させて騒音レベ
ルならびに静圧−風量特性(以下、P−Q特性と称す)
の悪化を招く問題がある。
ステムインピーダンス)がかかった場合で、翼先端の漏
れ渦の発生が大きくなり、軸流ファンとして失速状態を
呈する状態に陥る場合に頻繁に見られる。
として、軸流ファンの外周に設けられた環状壁の形状を
工夫したものとしては、本発明と同一出願人に係る特願
平8−174042号、特願平9−151450号、特
願平9−260738号に記載の送風装置がある。これ
は例えば、図21〜図23に示すもので、軸流ファン1
の周囲を取り巻く環状壁2として、ケーシング本体9に
環状板7a〜7eが設けられている。環状板7a〜7e
はスペーサ13を介して積層されており、隣接する環状
板7a〜7eのそれぞれの間にスリット6が形成されて
いる。
状壁7a〜7eの間に設けたスリット6から環状壁2の
内部へ空気を吸い込み、これによって翼先端漏渦および
旋回失速が生じることを抑制し、P−Q特性の向上と静
音化を図っている。
国特許5292088には、送風装置として、軸流ファ
ンの外周に複数のリング体を間隔を開けて配置すること
により、リング体の隙間から流入した空気の渦が流体流
量を増加させることが記載されている。あるいは、米国
特許5407324には、送風装置として、軸流ファン
の外周を取り巻く環状板(プレート)の内周部を風の方
向に沿って傾斜させ、この環状板を複数段に積み重ねて
配置し、環状壁の内周と外周との空気の流動を可能にす
ることが記載されている。
気吸い込むことにより、軸流ファンの特性を改善するも
のであるが、これらは軸流ファンの外周部に設けられた
リング体(環状板)の構成について記載されているだけ
であって、軸流ファンの形状については特に述べられて
いない。このため、特性を最大限に引き出すためには、
軸流ファンの形状についても環状壁に合わせた工夫をす
る必要があった。
から軸流ファンの羽根を軸流ファンの回転軸と同心の円
筒面で切断し、この円筒面を展開して平面状の無限直線
翼列に置き換え、この翼列に航空機用等のために検討さ
れた直線翼形系列の理論を当てはめて、性能を予測し、
あるいは使用条件に適した3次元形状を決定するといっ
た手法が一般的に用いられてきた。
を、例として図24〜図29に示す。図26〜図27に
示すように、従来の軸流ファン1は、回転軸と同心円筒
状に切断した断面形状が、翼形を有する羽根8を半径方
向につなげた形状をしている。これは従来の軸流ファン
では、軸流ファン1の半径方向における空気の流れを無
視した形での設計が行われているためであり、外周から
空気の流入がない環状壁を有し、かつ空気の流動抵抗が
比較的小さい状態で使用される場合は計算と実際の値が
大きく外れることはなかった。
特性改善を目的として、図28〜図29に示すように、
羽根の翼弦方向中心位置が回転方向に一定角度傾いた前
進翼とする手法も一般的に用いられている。
す等厚線、1点鎖線iは羽根を同心円筒面で切断した場
合の翼弦中心線、破線線kは羽根を同心円筒面で切断し
た場合の最大厚みの位置を示す線である。この従来の軸
流ファンを上記の環状壁にスリットを設けたケーシング
9と組み合わせて使用すると、軸流ファンの羽根上の空
気流は、図24の矢印のような方向で流れる形となる。
−a’断面で切断したものが、図25である。図25に
おいて、翼先端sの付近は、ある程度厚みを持たせた状
態になっているために、ここに流れ込む空気流は翼先端
面に衝突する形となり、先端の両エッジ付近t1で空気
層の剥離が発生しやすい状態となっている。
厚みの分布は、理想的な翼形系列から大きく離れて、翼
形効果による揚力発生は期待できず、翼後縁側t2では
空気層の剥離が発生し易く特性が低下するという問題が
あった。
ないが、軸流ファンの翼先端部分の形状を工夫すること
により、特性改善を図ったものとしては、特開平6−3
07396号に、羽根車として、羽根の外周翼先端にお
ける断面形状を、前縁側に位置して圧カ面側にのみ凸状
のアールを有する片面アール形状と該片面アール形状部
に連続する円弧形状部とを備えて構成することにより、
空力性能の向上と騷音の低減を図ることが記載されてい
る。
根外周部を曲線状に析り曲げて形成することにより、空
力騒音を低くした選風機が記載されている。あるいは、
特開平8−284884号に、流体機械として、動翼の
先端背側をそのチップ端から一定の高さ削除して一定厚
さの薄肉部を腹側に形成することにより、チップクリア
ランスからの流体の漏洩を低減して軸流送風機等の効率
を向上するものが記載されている。
ついての従来の技術は、外周から空気の流入がない環状
壁を有することを前提としたものであり、これらの羽根
形状を、上記のように環状壁外周から空気を吸い込む構
成に適用しても、十分な特性は発揮できないのが現状で
あった。
空気の流入を前提として軸流ファン形状の最適化を図っ
たものとしては、本発明と同一出願人の特願平9−26
0738号の送風装置があり、図29〜図33に示す。
す等厚線、1点鎖線iは羽根を同心円筒面で切断した場
合の翼弦中心線、破線kは羽根を同心円筒面で切断した
断面形状における最大厚みの位置を示す線である。羽根
を空気の流れに沿った2点鎖線a−a’で示す断面で切
断したものが図31である。
は、翼先端部分の前進角θ3が大きく形成されており、
言い換えれぱ、翼先端部sの部分を回転方向に折り曲げ
た形状に形成されている。これによりスリットから流入
した空気流を円滑に取り込むことができ、送風装置のP
−Q特性が向上する。
形状における最大厚みの位置が翼先端にいくに従って、
徐々に翼後縁側に後退する形状にしている。詳しくは、
図32に示す、la−la’線、lb−lb’線、lc
−lc’線、m−m’線、n−n’線に沿う各断面が、
それぞれ図33の(a)〜(e)に示す形状になってい
る。Fは肉厚の最大位置を表わしている。
状壁外周方向から流入した空気の流れについても、翼形
の効果を最大限に発揮し、また翼先端部ではスリットか
ら流入する空気が円滑に流れ込み、さらには翼先端から
流入した空気流についても、翼形の効果により揚力が発
生し、あるいは翼後縁側では空気層の剥離抑制等の効果
が得られ、スリットから流入する空気流を有効に風量に
変換できるために、送風装置のP−Q特性が更に向上す
る。
のように環状壁に設けたスリットから環状壁の内部へ空
気を吸い込む送風装置の羽根形状について、更なる改良
を図り、空力性能の向上、あるいはエネルギー効率の向
上を実現することを目的とするものである。
ために、本発明の送風装置は、ファンの翼先端から間隔
をあけて環状壁を形成し、この環状壁の前記ファンの翼
先端に対向する部分に、環状壁の内周部と外周部を連通
する複数のスリットを形成し、前記ファンは、羽根の翼
先端部が回転方向に析り曲がり、ファンの翼先端部以外
の部分が回転方向に傾いていない、前進角ゼロの半径翼
の形状をなす構成としたものである。
端から間隔をあけて環状壁を形成し、この環状壁の前記
ファンの翼先端に対向する部分に、環状壁の内周部と外
周部を連通する複数のスリットを形成し、前記ファン
は、羽根の翼先端部が回転方向に析り曲がり、ファンの
翼先端部以外の部分が回転方向と反対側に傾いた後退翼
の形状をなす構成としてものである。
端から間隔をあけて環状壁を形成し、この環状壁の前記
ファンの翼先端に対向する部分に、環状壁の内周部と外
周部を連通する複数のスリットを形成し、前記ファン
は、羽根の翼先端部が回転方向に析り曲がり、半径方向
に対する翼先端部の翼前傾角の角度が−5〜15°の範
囲で、かつ翼先端付近が風吹き出し方向に曲がっている
構成としたものである。
送風装置を電子機器に備えたものである。上記した構成
により、スリットから流れ込む空気流を円滑に取り込
み、送風装置のP−Q特性の向上と静音化を実現する。
ルコンピュータ等に、上述の送風装置を備えた場合に
は、電子機器としての静音性を確保することができると
ともに、冷却効率およびエネルギー効率の向上を図るこ
とができる。
基づいて説明する。図1〜図3は本実施の形態の送風装
置を示す。先に示したものと同様の部材については同一
番号を付して説明を省略する。
〜7eの幅Wは、軸流ファン21の軸方向の幅と同一ま
たは軸流ファン1の軸方向の幅とほぼ同一に設定されて
いる。また、各スリット6の隙間の幅wは、各部の流入
抵抗がほぼ等しくなるように連続的に変化させている。
て、羽根28の翼先端背圧側には負の圧力が発生し、ス
リット6の外部との気圧差により各スリット6を通って
内側に向かって空気流5sの流れ込みが発生する。スリ
ット6の隙間の幅wを適切な値に設定することにより、
各スリット6から流れ込む空気流5sは層流となり、翼
先端において正圧側から背圧側に流れる漏れ渦が抑制さ
れ、背圧面での空気流の離脱が無くなり、P−Q特性の
向上、ならびに騷音低減の効果がある。
により成形されるのが一般的であるが、射出成形等によ
り成形する場合は金型の構成上において形状の制約を受
け、前進翼タイプの軸流ファンは羽根の軸方向投影面積
が小さくなってしまうという間題点を有している。
に傾いた前進翼タイプ(翼前進角が正)の軸流ファンを
示し、図5は羽根の翼弦方向中心位置が半径上に乗って
いる半径翼タイプ(翼前進角がゼロ)の軸流ファンを示
し、図6は羽根の翼弦方向中心位置が反回転方向に傾い
た後退翼タイプ(翼前進角が負)の軸流ファンを示して
おり、それぞれの羽根の外径は同一である。
型構造上の制約を受けて、どの形状でも一定の寸法が必
要となる。図4〜図6に示すように、隣り合う羽根の間
隔の寸法cを等しく設定した場合に、前進翼タイプの軸
流ファン及び後退翼タイプの軸流ファンは、半径翼タイ
プの軸流ファンに比較して羽根の軸方向投影面積が小さ
くなってしまい、同一の性能を出す為には、同一面積当
たりの羽根の仕事量を増やす必要がある。
付角度を立てる必要があるが、羽根の取付角度を立てた
場合、羽根の空気抵抗増大に伴う軸流ファン駆動力の増
加を招くと同時に、翼背圧側境界層の早期剥離に伴う失
速も生じ易くなる。
積当たりの羽根の仕事量が一番小さい、つまり翼負荷が
一番小さい半径翼タイプの軸流ファンをベースとして、
翼先端部の形状の最適化を施している。
ン21を示している。図7〜図10において、羽根28
の先端部分の形状は、先に図29〜図33に示した特願
平9−260738号の軸流ファンとほぼ同一形状であ
るが、翼先端部分以外の形状が、翼前進角がゼロの半径
翼となっており、同一サイズ軸流ファンながら羽根の軸
方向投影面積が大きくなっている点において異なる。
に以下に詳細に説明する。図7において、軸流ファン2
1の翼先端部sは回転方向に折り曲げた形状に形成され
ている。スリット6から流れ込む空気流は、ほぼ半径方
向の流れvとなっており、羽根先端は周速uで回転して
いることから、羽根28から見た場合、wの方向から流
入する形になる。翼先端部を回転方向に析り曲げること
により、この流れに対して円滑な流入を促すことができ
る。
を等しくするには、翼先端部の前進角θ3を次式、 θ=tan-1(v/u) の条件を満足するように設定すると良い。このように設
定することで風が最も円滑に流れ込む形となり、P−Q
特性、騷音とも有利な条件となる。
厚みを示す等厚線、1点鎖線iは羽根28を同心円筒面
で切断した断面形状における翼弦中心線、破線kは羽根
28を同心円筒面で切断した断面形状における最大厚み
の位置を示す線である。羽根28を空気の流れに沿った
2点鎖線a−a’で示す断面で切断したものを図8に示
す。
a’線、lb−lb’線、lc−lc’線、m−m’
線、n−n’線に沿う各断面が、それぞれ図10の
(a)〜(e)に示すようになっている。Fは肉厚の最
大位置を表わしている、図に示すとおり、翼先端部にい
くにしたがって徐々に肉厚が薄くなると共に、肉厚の最
大位置Fが翼後縁側に後退する形状になっている。
壁外周方向から流入した空気の流れについても、翼形の
効果を最大限に発揮し、翼先端部ではスリット6から流
入する空気が円滑に流れ込み、さらには翼先端から流入
した空気流についても、翼形の効果による揚力を発生
し、あるいは翼後縁側では空気層の剥離抑制等の効果が
得られることとなり、スリット6から流入する空気を有
効に風量に変換できるために、送風装置のP−Q特性が
更に向上する。
部以外の羽根形状を、半径翼タイプとしたために、羽根
28の軸方向投影面積が大きく、羽根28の同一面積当
たりの仕事量が小さくても、従来と同様の性能を確保で
きる。しかも、羽根28の取付角度を寝かせることがで
きるために、羽根28の駆動力を小さく抑えることがで
きると同時に、翼背圧側境界層の早期剥離に伴う失速も
抑制することができ、駆動力に対する送風能力の高い、
言い換えるとエネルギー効率の良い送風装置を提供する
ことができる。
した場合は、モータの消費電力を抑えることができ、同
時にモータ自体の発熱も抑えることが可能となるため
に、この送風装置を組み込んだ機器の冷却効率を高める
ことができる。
の軸流ファンの翼先端部の形状を上記と同様の条件で最
適化を行った場合において、送風装置にある程度の送風
抵抗が加わった状態で使用すると、翼の背圧面上の空気
流は、翼面上の圧力分布の影響で矢印に示すように、若
干内周に傾いた方向で流れる。
気流は、最短距離を通って流れる形になるため、境界層
の剥離が発生しやすい背圧面上の流速を遅くできるの
で、その分だけ取付角を大きくしても、境界層の剥離を
招き難く、翼先端からボス部までの取付角を大きく取
れ、従来においては、ほとんど仕事をしていなかったボ
ス付近の翼形でも仕事をさせることができ、上記に示し
たような、エネルギー効率の改善等の効果は期待できな
いものの、高風量の送風装置を提供できる。
合のような、境界層の剥離を生じ易い運転条件において
も、境界層の剥離が抑制され、軸流ファンを高速回転さ
せることにより、小型でも高風量の送風装置が提供でき
る。
明する。先に説明したものと同様の部材については同一
番号を付して説明を省略する。上記した先の実施の形態
では、主に軸流ファンを軸方向に投影した形状に着目し
て最適化を行っているが、本実施の形態では、軸流ファ
ンを各翼弦で切断した断面から見た形状について着目す
る。
示した特願平9−260738号の送風装置を示してい
る。この送風装置の軸流ファンを各翼弦で切断した断面
形状は、図19の(a)、(b)、(c)に示すとお
り、翼前縁部、中間部、後縁部とも翼がほぼ水平に伸び
ており、翼先端部分の前傾角を、スリットの角度と合わ
せて水平に設定している。
れる風の成分については、円滑に導入されるものの、軸
流ファンは一切仕事をしない状態となっている。図12
は、本実施の形態の送風装置を示している。この送風装
置の軸流ファン31を各翼弦で切断した断面形状は、図
13の(a)、(b)、(c)に示すとおりであり、羽
根38の翼先端方向が風の吸い込み側に向かって傾い
た、いわゆる前傾翼となっており、翼先端部分の前傾角
は、スリット6の角度に対して、風の吸い込み側に僅か
に前傾した形状となっていることが先の実施の形態のも
のと異なっている。なお、翼先端部分の前傾角は、その
他の部分より小さく、翼先端部は風吹き出し方向に曲が
った形状になっている。
ついて、翼理論に照らし合わせて説明する。図16は反
りを有する2次元翼を表わしている。図16において、
角度jは入射角と呼ばれ、翼前縁部の反り線と風の流入
方向のなす角である。この翼の風の入射角jを変化させ
て、発生する揚力と抗力の関係を示したものが図17で
ある。
さいほど良いが、図17に示すとおり、翼の揚力を最大
にする入射角と、翼の抗力(空気抵抗)を最小にする入
射角は異なっている。翼の形状により異なるが、一般的
に揚力を最大にする条件は、入射角が正で角度5〜15
°付近にあり、一方抗力を最小にする条件は、入射角が
ゼロ付近で−5〜5°前後となることが多い。
ァン31の各翼弦で切断した断面に沿う流れに当てはめ
て考えると、スリット6の角度と、羽根先端の前傾角と
のなす角jが、上記の入射角と考えることができる。こ
こで、翼先端部にある程度の入射角があり、揚力が大き
くなる条件、つまり前傾角を持たせた形状にすることに
より、スリット6から吸い込まれた風の前記断面方向の
成分も有効に風量に変換し、風量を増大することができ
る。また、翼先端部分の抗力が小さくなる、つまり前傾
角とスリット6のなす角をゼロ付近に設定すると、この
部分でのエネルギー損失が少なくなり軸流ファン全体と
してのエネルギー効率を高めることができる。本実施の
形態の羽根は前者の、翼先端部の前傾角とスリット6の
なす角をある程度持たせ、風量を重視した設定となって
いる。
為には、翼先端の前傾角とスリット6の角度のなす角
が、−5〜15°の範囲であり、かつ、翼先端部が風吹
き出し方向に曲がった状態でなければならない。翼先端
の前傾角とスリット6の角度のなす角が大きすぎる場合
は、羽根38の背圧側での境界層剥離を引き起こし、効
率が低下すると共に風量がかえって減少し、逆に角度を
小さくし過ぎると、揚力が発生せず、風量が低下してし
まうと共に、羽根38の正圧側での境界層剥離を引き起
こし、効率も低下してしまう。また、羽根38の翼先端
部が風吸い込み方向に曲がっている場合は、翼先端の反
り方向が逆になってしまう為に、逆方向の揚力を発生
し、風量がかえって低下してしまう。また、上記の実施
の形態では、翼先端部以外の羽根の前傾角はほぼ一定で
あるが、このように構成した場合には、軸流ファン31
の軸方向の長さが長くなってしまう為に、送風装置のフ
ァン軸方向の寸法が大きくなってしまう。
ファン41の羽根48の断面形状がS字状になるよう
に、翼の先端部付近は風吹き出し方向に曲がり、逆に翼
の根元側は風吸い込み方向に曲がった形状にすると、羽
根48の翼先端から流れ込む空気の流れは、図11に示
すように、羽根根元に到達する前に羽根後縁側から流れ
出すため、羽根根元付近の空気の流れはほぼ円周に沿っ
た流れとなっている。このために、半径方向の流れの影
響が少ない羽根48の根元付近は、翼先端とは逆に風吸
い込み方向に曲げることにより、軸流ファン41のファ
ン軸方向の長さを小さく抑え、送風装置の大きさ、特に
軸方向の寸法を小さく抑えながら、翼先端を風吹き出し
方向に曲げることにより、最大限のP−Q特性を発揮す
る送風装置を提供できる。
状として前進翼タイプの形状を示しているが、先の実施
の形態に示したような、半径翼タイプあるいは後退翼タ
イプの軸流ファンに適用しても全く同様の効果があり、
これらを組み合わせた場合には、両者の相乗効果によ
り、エネルギー効率の向上あるいは、更なるP−Q特性
の向上を実現できる。
ルコンピュータ等に、上述の送風装置を備えた場合に
は、電子機器としての静音性を確保することができると
ともに、冷却効率およびエネルギー効率の向上を図るこ
とができる。
壁の内周部と外周部を連通する複数のスリットを形成
し、ファンの羽根の翼先端部が回転方向に析り曲がるこ
とより、スリットから流れ込む空気流を円滑に取り込
み、送風装置のP−Q特性の向上と静音化を実現し、さ
らに送風装置のエネルギー効率の向上も可能となる。
示す正面図
線図
ンの翼の各部の厚みを示す断面図
の正面図
正面図
の断面図
正面図
置の各翼弦の断面図
置の各翼弦の断面図
ンの翼の各部の厚みを示す断面図
ファンの翼の各部の厚みを示す断面図
Claims (9)
- 【請求項1】 ファンの翼先端から間隔をあけて環状壁
を形成し、この環状壁の前記ファンの翼先端に対向する
部分に、環状壁の内周部と外周部を連通する複数のスリ
ットを形成し、前記ファンは、羽根の翼先端部が回転方
向に析り曲がり、ファンの翼先端部以外の部分が回転方
向に傾いていない、前進角ゼロの半径翼の形状をなすこ
とを特徴とする送風装置。 - 【請求項2】 ファンの翼先端から間隔をあけて環状壁
を形成し、この環状壁の前記ファンの翼先端に対向する
部分に、環状壁の内周部と外周部を連通する複数のスリ
ットを形成し、前記ファンは、羽根の翼先端部が回転方
向に析り曲がり、ファンの翼先端部以外の部分が回転方
向と反対側に傾いた後退翼の形状をなすことを特徴とす
る送風装置。 - 【請求項3】 ファンは、翼先端付近の翼厚を翼先端に
向けて徐々に小さくしたことを特徴とする請求項1又は
2に記載の送風装置。 - 【請求項4】 ファンは、回転軸の同心円筒面で切断し
た断面形状が翼形で、かつ各断面の翼形の最大厚みの位
置が翼先端にいくに従って、徐々に翼後縁側に後退する
形状をなすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
項に記載の送風装置。 - 【請求項5】 ファンは、翼先端部の翼前進角θと、環
状壁外周方向から流れ込む空気の平均流速vと、翼先端
の周速uとが次式、 θ=tan-1(v/u) を満たす形状をなすことを特徴とする請求項1〜4のい
ずれか1項に記載の送風装置。 - 【請求項6】 ファンの翼先端から間隔をあけて環状壁
を形成し、この環状壁の前記ファンの翼先端に対向する
部分に、環状壁の内周部と外周部を連通する複数のスリ
ットを形成し、前記ファンは、羽根の翼先端部が回転方
向に析り曲がり、半径方向に対する翼先端部の翼前傾角
の角度が−5〜15°の範囲で、かつ翼先端付近が風吹
き出し方向に曲がっていることを特徴とする送風装置。 - 【請求項7】 ファンは、各翼弦で切断した断面形状が
S字状に湾曲し、ファンの軸方向長さが短い形状をなす
ことを特徴とする請求項6記載の送風装置。 - 【請求項8】 ファンは、翼先端部以外が半径翼または
後退翼の形状をなすことを特徴とする請求項6又は7に
記載の送風装置。 - 【請求項9】 送風手段として、請求項1〜8の何れか
1項記載の送風装置を備えたことを特徴とする電子機
器。
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