JPH11200185A - 意匠性パイル布帛 - Google Patents

意匠性パイル布帛

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JPH11200185A
JPH11200185A JP10004828A JP482898A JPH11200185A JP H11200185 A JPH11200185 A JP H11200185A JP 10004828 A JP10004828 A JP 10004828A JP 482898 A JP482898 A JP 482898A JP H11200185 A JPH11200185 A JP H11200185A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 凹凸のある意匠性に優れた表面形状を有する
と同時に、品質の良好な起毛パイル布帛を得ることを目
的する。 【解決手段】 単繊維繊度が0.5〜6dのポリエステ
ル系偏芯型複合繊維を55重量%以上含有してなる潜在
捲縮性糸条と、通常の非捲縮性繊維糸条とをパイル糸に
用いた意匠性パイル布帛。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は立体的な模様を有す
るパイル布帛に関し、更に詳しくは、意匠性に優れた凹
凸模様と、ソフト風合を有するパイル布帛に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】パイル布帛は縦、緯の地糸とパイル糸を
用いて構成され、表面に立毛を有し、外観や触感、風合
に優れているため、椅子張材、敷物類等のインテリア用
途や、衣料用途など、多くの分野で用いられている。特
に、インテリア分野ではファッション性が求められ、見
栄のある外観を付加することが商品価値を高める上で重
要な要素になっており、パイル製品の表面に凹凸模様を
表現することで高級感を与える試みが様々な形でなされ
ている。従来より、起毛パイル布帛に立体的な模様を形
成する方法としては、加熱エンボスローラにより立体模
様を与えるエンボス法や、近赤外線を吸収して発熱する
物質を利用する近赤外線法等が知られている。前者のエ
ンボス法は、表面に所定の凹凸を有するエンボスローラ
を加熱して起毛布帛に圧着させ、エンボスローラの凸部
に対応する部分のみの起毛繊維に熱溶着、または熱収縮
を生ぜしめことで凹部を形成し、布帛に凹凸の立体模様
を与える方法である。一方、後者の近赤外線法は、高効
率で近赤外線を吸収、発熱する物質を布帛の起毛部に塗
布し、近赤外線を照射して加熱することにより、起毛繊
維を局部的に溶融または収縮させることで、布帛表面に
凹凸模様を形成する方法である。しかし、上記に述べた
方法のいずれにおいても、繊維を高温で、溶融又は収縮
させるという点に特徴があり、起毛繊維が加工の際に熱
劣化を生じ、布帛の風合が硬化したり、強度が低下する
という問題がある。また、上記の方法では処理工程にお
いて、特別な加工設備や処理薬剤を要するため、製品コ
ストも著しく増大する。
【0003】また、上記のような高温処理工程を用いる
ことなく、表面に凹凸模様を形成する方法として、均一
なパイル長の布帛を得た後に、柄に沿って、パイルの一
部をカットすることも行われている。しかし、この場合
においても、新たな工程が必要となり、製品を低価格で
得ることはできない。本発明は、上記のような従来技術
の問題点を解消するために行われたもので、布帛表面に
立体的な凹凸模様を有する、風合のソフトなパイル布帛
を低価格で提供するためになされたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、表面に立体
模様を有する、意匠性に優れ、風合の良好なパイル布帛
を容易、かつ安価に提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、単繊維繊
度が0.5〜6dのポリエステル系偏芯型複合繊維を5
5重量%以上含有してなる潜在捲縮性糸条と、通常の非
捲縮性繊維糸条とがパイル糸に使用されてなることを特
徴とする意匠性パイル布帛であり、具体的には潜在捲縮
性糸条の10%伸長時の伸長回復率が70%以上の紡績
糸であることを特徴とする上記記載の意匠性パイル布
帛、および偏芯型複合繊維がエチレンテレフタレート単
位を主体とする全酸成分に対し5−スルホイソフタル酸
金属塩を1〜3モル%及びイソフタル酸を2〜10モル
%含有する共重合ポリエステル(A)と、ポリエチレン
テレフタレートまたはエチレンテレフタレート単位を主
体とした前記共重合ポリエステル(A)よりも低収縮性
の共重合ポリエステル(B)とが偏芯的に接合されてい
る複合繊維であることを特徴とする上記記載の意匠性パ
イル布帛である。
【0006】以下、詳細に説明する。本発明のパイル布
帛には、ポリエステル系偏芯型複合繊維を55%以上含
有する潜在捲縮性紡績糸と、通常の非捲縮性紡績糸をパ
イル糸として用いる。偏芯型複合繊維を含む紡績糸をパ
イル糸に用いることで、布帛の熱処理後に糸が捲縮する
ため非捲縮性のパイル糸との間にパイル長の差が生じ、
凹凸模様が形成される。上記の潜在捲縮性紡績糸に含ま
れる、偏芯型複合繊維の含有率は55重量%以上である
こが、パイル糸の熱捲縮を十分に発現させるために必要
である。55重量%以下では、撚の拘束状態下で、紡績
糸の捲縮発現が不十分となる。偏芯型複合繊維の含有率
は、好ましくは60重量%以上が望ましい。また、前記
偏芯型複合繊維の単繊維繊維度は0.5d以上、6d以
下であることが必要である。単糸繊度が6d以上では、
パイルの風合が堅くなり、0.5d未満では、糸の強度
が十分に得られず、何れの場合にも布帛の品位が低下す
る。さらに良好な特性を与えるためには、単繊度は1d
以上、4d以下であることがより好ましい。
【0007】また、本発明において、上記潜在捲縮性パ
イル糸には勿論、通常のポリエステル、アクリル、ポリ
アミド等の合成繊維、アセテート繊維等の半合成繊維、
レーヨン、ポリノジック、キュプラ等の再生繊維、或い
は、綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維を適宜混綿して、
他素材の特徴、機能を同時に付加された紡績糸を用いる
ことも可能である。また、上記潜在捲縮性紡績糸の伸長
回復率は70%以上であることが望ましい。これは、糸
の伸長回復率が70%未満では、製品使用時あるいは加
工工程において加わる外力のため、布帛のパイル糸が局
所的に伸びてしまい、表面形状が不均一になる可能性が
あるからである。布帛パイルの形態維持のために、更に
好ましくい伸長回復率の条件は80%以上である。以上
に示された潜在捲縮紡績糸を構成する偏芯型複合繊維と
しては、所謂、サイドバイサイド型、芯鞘偏芯型の複合
繊維が含まれるが、好ましい一例として、エチレンテレ
フタレート単位を主体とし、5−スルホイソフタル酸金
属塩を1〜3モル%及びイソフタル酸2〜10モル%を
共重合成分とする共重合ポリエステル(A)とポリエチ
レンテレフタレートまたはエチレンテレフタレート単位
を主体とし前記共重合ポリエステル(A)よりも低収縮
性の共重合ポリエステル(B)とがサイドバイサイドに
接合されている複合繊維が挙げられる。なお、スルホン
酸の金属塩としてNa、K、Li等が例示される。
【0008】前記潜在捲縮性を有する偏芯型複合繊維の
形態例としては、すでに述べたようなサイドバイサイド
型が望ましい。すなわち、この一代表例としてエチレン
テレフタレート単位を主体とする全酸成分に対し5−ス
ルホイソフタル酸金属塩を1〜3モル%およびイソフタ
ル酸を2〜10モル%含有する共重合ポリエステル
(A)と、ポリエチレンテレフタレートまたはエチレン
テレフタレート単位を主体とした前記共重合ポリエステ
ル(A)よりも低収縮性の共重合ポリエステル(B)と
がサイドバイサイドに偏芯的接合した複合繊維が挙げら
れる。本発明の偏芯型複合繊維において、その一方の高
収縮成分を構成する共重合ポリエステル(A)は、共重
合成分として金属塩スルホネート基を有する構成単位を
含有しているので他方の低収縮成分のポリエチレンテレ
フタレートまたは共重合ポリエステル(B)に比べ、紡
糸延伸後の弾性回復性に優れている。そのため、この複
合繊維は、高収縮成分である共重合ポリエステル(A)
の側を内側にして湾曲する。また、この共重合ポリエス
テル(A)は上記の金属塩スルホネート基を有する構成
単位のほかにイソフタル酸を共重合成分として含有して
いるので、上記の金属塩スルホネート基を有する構成単
位のみを含有する場合に比べて、高収縮成分としての熱
収縮率が大きく、低収縮成分との熱収縮差がより一層大
きくなる。その結果、潜在捲縮能が増すとともに、複合
繊維としての強度が向上する。この場合、共重合ポリエ
ステル(A)における金属塩スルホネート基を有する構
成単位の共重合割合が1モル%未満では、延伸後の弾性
回復が不足して潜在捲縮能が不十分となり、反対に3モ
ル%を超えると複合繊維の強度が低下する。また上記共
重合ポリエステル(A)におけるイソフタル酸の共重合
量が2モル%以下の場合はポリエチレンテレフタレート
または共重合ポリエステル(B)との熱収縮率の差が小
さくなり、また10モル%を超えると延伸後の弾性回復
性が不足するため、どちらの場合にも潜在捲縮能が不十
分となる。
【0009】さらに、ポリエステル(A)及び(B)に
は本発明の目的を損なわない範囲で他の共重合成分を含
んでもよい。更には、ポリエステル(A)及び(B)ま
たはどちらかに抗菌剤、消臭剤、親水化剤、難燃剤、撥
水剤、柔軟剤、染料、顔料、セラミックス等の特性付与
剤や添加物を必要に応じ配合することができる。本発明
の潜在捲縮性紡績糸に用いられる前記偏芯型複合繊維
は、160℃における荷重36mg/dでの乾熱収縮率
が10%以上である必要がある。これは、捲縮発現によ
って、高収縮部分と低収縮部分との間で糸長に差を生ぜ
しめるためである。また、糸の捲縮発現に必要な熱処理
は、通常の染色加工、或いは、仕上加工により実施する
ことができる。
【0010】また、前記偏芯型複合繊維は、160℃、
無荷重下での熱処理時に発現する捲縮数が40ケ/イン
チ以上であることが望ましい。これは、パイル糸が十分
に収縮とバルキー化を生じ、凹部形成能力や地糸被覆効
果を高めるためである。発現する捲縮数が40ケ/イン
チ未満では、糸の収縮や膨らみにおいて非捲縮性パイル
糸との差が十分に生じないため、表面に明瞭な凹凸模様
は形成されない。パイル布帛の凹凸模様を十分に際だた
せ、優れた意匠効果を与えると共に、ソフトで弾力性の
ある触感を得るためには、発現捲縮数は50ケ/インチ
以上であることがより好ましい。更にまた、上述のポリ
エステル系偏芯型複合繊維を含んでなる、潜在捲縮性紡
績糸の熱処理による収縮は、ポリエステル自体の乾熱収
縮部と発現捲縮部とがミックスされたものであるため、
160℃における糸の乾熱収縮率は20%以上であるこ
とが必要である。20%未満では捲縮性が低下するので
好ましくない。
【0011】本発明では、以上で述べた潜在捲縮性紡績
糸を単糸または合撚糸の形でパイル糸に用いることで布
帛を構成する。布帛は製織工程においては、上記の潜在
捲縮性糸条からなるパイル糸と通常の非捲縮性糸条から
なるパイル糸を、ドビー機またはジャカード機を用い、
タテ/又はヨコ方向に所定の分布状態で織り込み、布体
を形成する。パイル布帛を構成する、経及び緯方向の地
糸については特に素材の種類を限定するものではなく、
ポリエステル、アクリル、ポリアミド等の合成繊維、或
いは、アセテート繊維等の半合成繊維、レーヨン、キュ
プラ、ポリノジック、テンセル(登録商標)等の再生繊
維は、或いは、木綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維を単独
または2種類以上複合してなる糸条を用いることができ
る。また、糸条の形態としては、フィラメント糸、紡績
糸、または、フィラメント糸に短繊維をカバリングした
もの等、任意の形態を有する糸条を用いることがでか
る。
【0012】上記により織製された布帛はその後、パイ
ル糸のカッティング処理を行い、起毛パイル布帛を作製
する。パイル糸のカッティング工程には通常カッティン
グマシンを用いることができる。また、布帛のカットパ
イル長は特に限定されないが、一般的には、10mm以
内に設定することが望ましい。次に、染色加工や仕上加
工等において、加熱処理を行ない、潜在捲縮性紡績糸の
捲縮能力を発現させることにより、生地の立体的な凹凸
模様を形成する。この時、布帛に十分な凹凸感を与える
ため、湿熱125℃以上または乾熱160℃以上で、し
かもテンションフリーの状態を維持しながら加熱処理を
行なう必要がある。これは、パイル糸の潜在捲縮機能を
ほぼ完全に発現させ、残留潜在捲縮を除くためである。
熱処理条件としては、湿熱125℃未満または乾熱16
0℃未満になると捲縮発現が不完全となり、望ましくな
い。また、湿熱140℃以上または、乾熱180℃以上
になると布帛の風合が低下するだけでなく、加熱温度の
上昇により加工コストも増大する。従って、湿熱で12
5〜140℃、乾熱で160℃〜180℃で熱処理を実
施するのがより好ましい。染色加工においては、通常行
なわれる染色方法や加工装置を用いることができる。更
に、起毛パイルの調整や仕上げを行なうために、ブラッ
シング、シェアリング、バッキング等の処理を随意実施
することが可能である。
【0013】尚、パイル布帛表面の風合、感触をソフト
に仕上げるため、熱処理前後で、減量率20%以下、好
ましくは5%以上、10%以下の減量加工を実施するこ
とが推奨される。この減量処理に際しては、通常のポリ
エステル繊維の減量に用いられる加工方法や条件を使用
することができる。さらに本発明においては、必要に応
じ、パイル布帛構成後の仕上げ工程において、抗菌剤、
防臭剤、難燃剤、柔軟剤、撥水撥油剤、親水化剤、防汚
剤、黄変防止剤、などの加工剤で処理を施すことによ
り、所望の機能を付加することも勿論可能である。
【0014】本発明で作製されたパイル布帛は、後工程
における熱処理にて、偏芯型複合繊維からなるパイル糸
を織り込まれた部分は熱捲縮機能の発現により、パイル
が引き締まり、窪み部が形成される。さらに、繊維の収
縮、バルキー化により、通常の非捲縮性パイル糸を織り
込まれた部分に比べ、地糸の被覆効果が顕著になり、布
帛表面の形状や色合いに変化がもたらされる。その結
果、表面に所定の立体的かつ審美的な外観を有する模様
が形成され、優れた意匠性が得られることとなる。
【0015】また、本発明では、潜在捲縮性を有するパ
イル糸の使用に関しては、1種類の潜在捲縮性糸条を用
いるのみならず、熱捲縮率等が異なる2種類以上の糸条
を用いても何ら差し支えない。この場合には、捲縮特性
の異なるパイル糸を任意に使用することで、パイルの凹
凸の度合が異なる模様が形成されるので、更に優れた意
匠性を有する、多様な表面形態の実現が可能となる。捲
縮特性の異なるパイル糸は、例えば、本発明のポリエス
テル系偏芯型複合繊維の含有率を種々に調整すること
で、容易に得ることができる。
【0016】以上のようにして得られるパイル布帛は、
意匠性の優れた凹凸模様を有しており、表面感触もソフ
トで、膨らみ感があるのが特徴である。また、耐熱性、
耐薬品性、などの耐久性も極めて良好であり、品位の劣
化が起こりにくい。また、パイル布帛の作製には特別な
加工装置や処理工程及び特別な処理剤等を必要としない
ため、加工が極めて容易に行なえる共に、製品の低コス
ト化が図れるという利点がある。上記に示したように、
本発明のパイル布帛は、様々な特長、利点を有している
ため、アウター衣料分野な、椅子張材、カーペット、シ
ーツ、毛布、壁掛け、等のインテリア製品や日用品な
ど、ファッション性や審美性、ソフト風合等を必要とさ
れる用途や分野に、広く使用することができる。
【0017】以下、本実施例で採用した測定方法につい
て述べる。 外観:男性5人、女性5人からなる検査員による、布帛
表面の外観について、目視による官能評価を行ない、良
否を判定する。○は意匠性が良好であることを示す。 風合:男性5人、女性5人からなる検査員により、布帛
表面の風合について触感による官能評価を行い、良否を
判定する。○は風合、タッチが良好であることを示す。 パイル糸の伸長回復率(%):JISL1095 7.
12.A法(一般紡績糸)に準じ、10%伸長時の回復
率を求めた。 ステープルの乾熱収縮率(%):JISL1015
7.15法に準じ、表面が滑らかな紙片に長さ25mm
の試料を1本づつ緩ませた状態で両端を貼り付け、垂下
装置を用いてつかみ間隔を適当に設定して取り付け、試
料を取り付けた紙片を切断した後、36mg/dの荷重
をかけ、つかみ間の距離Lを測定する。試料を装置から
外し、乾燥機(温度160℃)の中に吊り下げ、30分
放置後取り出し、室温まで冷却後、再び前記の荷重をか
けたときのつかみ間の距離L′を求め、[(L−L′)
/L]×100の式より求める。 ステープル捲縮数(個/インチ):JIS L1015
7.12法に準じ、表面から滑らかな紙片に長さ25
mmの試料を1本づつ緩ませた状態で、両端を張り付
け、捲縮試験機のつかみ取り付け、紙片を切断した後試
料に2mg/dの荷重をかけたときのつかみ間の距離
(mm)を読み、その間の山と谷との数を数え、2で除
した値からインチ当たりに換算して求める。 製品コスト:○は低コストであることを示す。
【0018】
【実施例】(実施例1)高収縮成分としてエチレンテレ
フタレート単位を主体とし、5−ゾウムスルホイソフタ
ル酸ジエチレングリコールエステル1.5モル%及びイ
ソフタル酸8モル%を共重合した共重合ポリエステル
を、低収縮成分としてポリエチレンテレフタレートを使
用し、紡糸温度290℃、単孔吐出量1g/分(吐出割
合50:50)、紡糸速度1600m/分で紡出し、サ
イドバイサイド型の未延伸糸を製造した。この未延伸糸
を収束し、延伸倍率1.4倍、延伸温度140℃で延伸
し、次いで、スタッフィングボックスで機械捲縮(10
ケ/インチ)を付与し、ついで等長カットして繊維長5
0mm、繊度2.0デニールのサイドバイサイド型の偏
芯型複合繊維ステープルを製造した。乾熱160℃、3
6mg/dの荷重下の乾熱収縮率は8%、乾熱160℃
における無荷重下の熱処理時の発現捲縮数は55ケ/イ
ンチであった。ついで、前記偏芯型複合繊維ステープル
100重量%を用いて、英式綿番30′s/1の紡績糸
(撚係数3.2)製造し、さらに右撚14t/インチの
双糸(30′s/2)を製造した。その後、20番単糸
の通常ポリエステル糸を経、緯方向の地糸に用い、また
前記偏芯型複合繊維からなる紡績糸の30番双糸と通常
ポリエステル繊維の30番双糸とを一定間隔毎にパイル
糸として用い、製織した後、パイルのカッティングを行
ない、更に布帛にブラッシング、シェアリング処理を施
した。その後、減量率5%の減量加工を行ない、通常の
ウインス染色機にて130℃の染色加工を行なったとこ
ろ、得られた布帛は表面に意匠性に富む凹凸の縞模様が
形成され、風合、タッチも極めて良好であった。上記布
帛について各種物性の評価を行ない、その結果を表1に
示した。
【0019】(実施例2)実施例1の偏芯型複合繊維8
0重量%と通常ポリエステル繊維20重量%とを混紡し
てなる30番双糸の紡績糸と、通常ポリエステル繊維の
30番双糸とをパイル糸として用いた以外は、実施例1
と同様にして、パイル布帛を作製した。得られた布帛
は、表面に意匠性に富む凹凸模様が形成され、風合も極
めて良好であった。上記布帛について各種物性の評価を
行ない、その結果を表1に示した。
【0020】(実施例3)実施例1の偏芯型複合繊維6
0重量%と通常のポリエステル繊維40重量%とを混紡
してなる30番双糸の紡績糸と、通常ポリエステル繊維
の30番双糸とをパイル糸として用い、20番単糸のポ
リエステル/レーヨン混紡糸を経、緯方向の地糸に用い
た以外は、実施例1と同様にしてパイル布帛を作製し
た。得られた布帛は意匠性に優れた凹凸模様が形成さ
れ、風合も極めて良好であった。上記の布帛について各
種物性の評価を行ない、その結果を表1に示した。
【0021】(実施例4)実施例1の偏芯型複合繊維8
0重量%と綿20重量%とを混紡してなる30番双糸の
紡績糸と、通常ポリエステル繊維の30番双糸とをパイ
ル糸として用い、経及び緯方向の地糸には、20番単糸
のポリエステル/綿の混紡糸を用いた以外は、実施例1
と同様にしてパイル布帛を作製した。得られた布帛は、
表面に意匠性に富む凹凸模様が形成され、触感も極めて
良好であった。上記布帛について各種物性の評価を行な
い、その結果を表1に示した。
【0022】(比較例1)実施例1の偏芯型複合繊維5
0重量%と通常ポリエステル繊維50重量%とを混紡し
てなる30番双糸の紡績糸と、通常ポリエステル繊維の
30番双糸とをパイル糸として用いた以外は、実施例1
と同様にしてパイル布帛を作製した。得られた布帛は、
パイル糸の捲縮発現が十分でないため、布帛表面に明瞭
な凹凸模様が形成されなかった。上記布帛について、各
種物性の評価を行ない、その結果を表1に示した。
【0023】(比較例2)潜在捲縮性パイル糸として、
実施例1と同一のレジン組成からなる繊度5デニールの
偏芯型複合繊維ステープルを含有する紡績糸(30′s
/2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、パイル
布帛を作製した。得られた布帛の表面には良好な凹凸模
様が形成されていたが、パイルの風合はソフト性に乏し
いものであった。上記布帛について、各種物性評価を行
ない、その結果を表1に示した。
【0024】(比較例3)パイル糸として、通常ポリエ
ステル繊維からなる30番双糸の紡績糸を用い、経及び
緯方向の地糸には20番単糸のポリエステル/レーヨン
混紡糸を用い、通常方法により、起毛パイル布帛を作製
した。次に、一般に実施される方法により、染色加工を
行なった後、さらに、加熱エンボスローラーにて、パイ
ル布帛に圧着し、繊維を部分的に熱溶着することで、表
面に凹凸模様を形成した。得られた布帛は、高温処理の
ため、強度低下と風合の硬化が生じた。上記パイル布帛
の物性評価を行ない、その結果を表1に示した。尚、表
中*1)の「C−ES」は偏芯型複合繊維を、*2)の
「ES」はレキュラーポリエステル繊維を意味する。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】本発明による凹凸感のある意匠性に優れ
た表面形状を有すると同時に、品質の良好な起毛パイル
布帛が得られる。さらに、本発明のパイル布帛は、ソフ
トな風合や、膨らみ感を有しているのが特徴どあり、パ
イル糸に用いる繊維の種類や混紡率を任意に設定するこ
とで、様々な表面形態や風合を有するパイル布帛を形成
することができる。また、本発明においては、繊維物性
の劣化を生じるような加工条件や、特別な加工装置及び
処理剤等を必要としないため、加工コストも安価である
のが特長であり、製品の高品質化を同時に図れることが
利点である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単繊維繊度が0.5〜6dのポリエステ
    ル系偏芯型複合繊維を55重量%以上含有してなる潜在
    捲縮性糸条と、通常の非捲縮性繊維糸条をパイル糸に用
    いてなることを特徴とする意匠性パイル布帛。
  2. 【請求項2】 潜在捲縮性糸条の10%伸長時の伸長回
    復率が70%以上の紡績糸であることを特徴とする請求
    項1記載の意匠性パイル布帛。
  3. 【請求項3】 偏芯型複合繊維がエチレンテレフタレー
    ト単位を主体とする全酸成分に対し5−スルホイソフタ
    ル酸金属塩を1〜3モル%及びイソフタル酸を2〜10
    モル%含有する共重合ポリエステル(A)と、ポリエチ
    レンテレフタレートまたはエチレンテレフタレート単位
    を主体とした前記共重合ポリエステル(A)よりも低収
    縮性の共重合ポリエステル(B)とが偏芯的に接合され
    ている複合繊維であることを特徴とする請求項1記載の
    意匠性パイル布帛。
JP00482898A 1998-01-13 1998-01-13 意匠性パイル布帛 Expired - Fee Related JP3900323B2 (ja)

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JP2019065449A (ja) * 2017-10-02 2019-04-25 Tbカワシマ株式会社 液体センサー布帛、及び、繊維製品

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