JPH11199870A

JPH11199870A - ネマチック液晶組成物およびそれを用いた液晶表示装置

Info

Publication number: JPH11199870A
Application number: JP469598A
Authority: JP
Inventors: Tomijiro Naito; 富次郎内藤
Original assignee: Citizen Watch Co Ltd
Current assignee: Citizen Watch Co Ltd
Priority date: 1998-01-13
Filing date: 1998-01-13
Publication date: 1999-07-27

Abstract

(57)【要約】【課題】液晶温度範囲が広く、また粘度も小さく、Ｖ
ｔｈが低く、目的に応じた屈折率の異方性を得ることが
出来る、優れたネマチック液晶組成物、および液晶表示
装置を提供すること。【解決手段】一般式（Ｉ）で表されるカルボン酸系化
合物の少なくとも一種を含有するネマチック液晶組成物
を用いる。【化１】

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ネマチック液晶組
成物、詳しくは特定のカルボン酸系化合物を含有する、
液晶表示素子に用いられるネマチック液晶組成物に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置は、時計、電卓をはじめワ
ープロ、テレビ等に広く利用されている。これらの液晶
表示装置の中で特に多く使用されているのは、液晶材料
の光学的異方性および誘電率異方性を利用した液晶表示
装置である。

【０００３】液晶表示装置に用いられる液晶材料に要求
される特性としては、液晶温度範囲が広いこと、電気光
学的に速い応答速度を得るために粘度が小さいこと、広
い視野角範囲、高いコントラストを得るために適切な複
屈折（△ｎ）をもつこと、低い駆動電圧を得るために誘
電率異方性（△ε）が大きいこと、化学的および光学的
に安定であることなどが挙げられる。

【０００４】実用されている液晶組成物は通常、室温付
近に液晶相を有する化合物と、室温より高い温度領域に
液晶相を有する化合物とを混合して調整される。液晶表
示装置が屋外で使用し得る為には−４０℃〜９０℃の温
度範囲で安定に存在しなければならず、また誘電率異方
性、屈折率異方性の温度依存性を考慮すると、Ｎ−Ｉ点
（ネマチック−等方相転移温度）付近では急激な変化が
起こるので、Ｎ−Ｉ点の高い液晶材料が必要となる。

【０００５】駆動電圧はしきい値電圧Ｖｔｈの値に依存
し、しきい値電圧Ｖｔｈは誘電率の異方性△εの平方根
に反比例する。そのため誘電率の異方性△εが大きい液
晶材料を用いるとしきい値電圧Ｖｔｈを低い値に抑える
ことができる。

【０００６】これまで、種々の液晶化合物が開発され、
使用されているが、以上のような特性を全て満足する単
一の液晶化合物は未だに見い出されていない。また、液
晶表示装置によって、上記要求される特性の、度合いが
異なるため、液晶表示装置の目的に応じた適切な特性を
与える液晶組成物の提供が求められている。そのために
いろいろな特性をもった数種の液晶化合物を混合した
り、あるいは非液晶化合物を混合したりして液晶組成物
を調整し、実用に供しているのが現状であるが、やは
り、充分満足できるものではなかった。

【０００７】上記液晶組成物の調整に用いられる液晶化
合物としては、アルキルもしくはアルコキシ安息香酸ま
たはアルキルシクロヘキサンカルボン酸等のフェニルエ
ステル化合物、芳香族ニトリル化合物、アルキルまたは
アルコキシビフェニルあるいはターフェニル誘導体、ア
ルキル安息香酸、アルキルシクロヘキサンカルボン酸等
が知られている。

【０００８】上記液晶組成物の中でも、アルキル安息香
酸、アルキルシクロヘキサンカルボン酸等の環状カルボ
ン酸を用いた液晶組成物はＮ−Ｉ点が高く、低粘度であ
る等の特徴を有しており、例えば、特開昭５４−１５１
９５１号公報、特開昭５９−２０７９８２号公報、特開
昭６０−１５５２８９号公報、特開平３−２６３４８２
号公報、特開平４−１００８９１号公報、特開平５−１
３２６７１号公報、特開平６−５７２５２号公報、米国
特許第４４９０２７７号明細書にはこれら環状カルボン
酸を用いた液晶組成物が記載されている。しかしなが
ら、液晶組成物についての記載において、アルケニルシ
クロヘキシルカルボン酸化合物に関する記載は見られな
かった。

【０００９】また、アルケニルシクロヘキシルカルボン
酸化合物は、例えば、特公平４−３０３８２号公報、特
公平５−６６３７７号公報、ＭＣＬＣ１９９１Ｖｏ
ｌ．１９９ｐ．３４５等に記載されているが、やはり
それらを液晶組成物として用いた記載は見られなかっ
た。

【００１０】アルケニルシクロヘキシルカルボン酸化合
物を、液晶組成物として用いられているものとしては、
特開平９−５９６３５号公報、特開平９−５９６３７号
公報等に記載されているが、やはり、あらゆる特性を満
足させるには充分なものではなかった。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】以上示したように、こ
れまで、液晶組成物については種々検討されているが、
未だ完全と言われるものは見いだされていない。また、
液晶組成物に用いられる化合物は、いずれもその特性に
一長一短があり、さらに液晶表示装置によって、前記要
求される特性の度合いも異なるため、目的に応じた特性
を与える液晶組成物の探索が行われている。そこで本発
明の目的は、粘度が小さく、使用する液晶素子の目的に
応じて、屈折率異方性を大きくしたり、あるいは、Ｖth
を下げる目的で使用できる新規な液晶組成物を提供する
ことであり、さらに、その液晶組成物を搭載してなる液
晶表示装置を提供する事である。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成させる
に、本発明のうち、請求項１記載の液晶組成物は下記化
３に示した一般式（Ｉ）で表されるカルボン酸系化合物
を少なくとも一種含有することを特徴とするネマチック
液晶組成物である。

【００１３】

【化３】

【００１４】（式中、ｎは０〜４の整数を示す）

【００１５】また、前記目的を達成させるための請求項
２に記載のもう一つの本発明の液晶組成物は化３で示し
た一般式（Ｉ）で表されるカルボン酸系化合物ととも
に、下記化４に示した一般式（II）で表されるアルキル
もしくはアルコキシ安息香酸またはアルキルもしくはア
ルコキシシクロヘキサンカルボン酸を少なくとも一種含
有することを特徴とするネマチック液晶組成物である。

【００１６】

【化４】

【００１７】（式中、Ｒ’はアルキル基またはアルコキ
シ基を表し、Ａはフェニル基またはシクロヘキシル基を
示す）

【００１８】また、請求項３に記載の発明は、請求項１
または２記載の発明の液晶組成物を搭載してなる液晶表
示装置である。

【００１９】本発明の液晶組成物に含有される前記化３
に示した一般式（Ｉ）で表されるカルボン酸系化合物に
おいては、前記一般式（Ｉ）のｎの値は大きすぎると粘
性等の特性を低くしたりするので０〜４が好ましいが、
更に好ましくは０〜２である。

【００２０】

【発明の実施の形態】本発明は前述した通り、化３の一
般式（Ｉ）で表されるカルボン酸系化合物を少なくとも
一種含有するネマチック液晶組成物、または、化３で示
した一般式（Ｉ）で表されるカルボン酸系化合物ととも
に、前記化４に示した一般式（II）で表されるアルキル
もしくはアルコキシ安息香酸またはアルキルもしくはア
ルコキシシクロヘキサンカルボン酸を少なくとも一種含
有するネマチック液晶組成物を提供するものである。

【００２１】以下、本発明のネマチック液晶組成物につ
いて、詳細に説明する。

【００２２】上記一般式（Ｉ）で表されるカルボン酸の
含有量は、特に制限を受けないが、通常は、全液晶組成
物に対して、１〜８０重量％、特に３〜５０重量％、と
りわけ５〜３０重量％の範囲にあるのが好ましい。上記
含有量が１重量％未満の場合は、その効果があまり認め
られず、８０重量％を超えた場合には、他の液晶成分が
少なくなるため、所望の特性の液晶組成物を調整するこ
とが困難となる傾向にある。

【００２３】次に、本発明の液晶組成物を構成するカル
ボン酸系化合物の融点（ＭＰ）を示す。ｎは一般式
（Ｉ）中のｎを示す。

【００２４】ｎ＝０ＭＰ（℃）＝４５ｎ＝２ＭＰ（℃）＝５９

【００２５】本発明のネマチック液晶組成物は前記一般
式（Ｉ）で表されるカルボン酸系化合物の少なくとも一
種を、従来既知のネマチック液晶化合物またはそれらの
混合物に配合することによって得られるものである。前
記ネマチック液晶化合物またはそれらの混合物の一部ま
たは全部として、上記化４に示した一般式（II）で表さ
れる化合物を用いる事もできる。

【００２６】また、前記一般式（Ｉ）で表されるカルボ
ン酸系化合物および化４に示した一般式（II）で表され
る化合物とともに、必要に応じて、従来既知の他のネマ
チック液晶化合物またはそれらの混合物を用いることも
できる。

【００２７】また、本発明のネマチック液晶組成物には
本発明の目的を損なわない範囲でネマチック液晶化合物
と類似の化学構造を有する非液晶性化合物を配合するこ
とも可能であり、場合によっては、該非液晶性化合物を
配合することによって液晶組成物の特性をさらに改善す
ることもできる。

【００２８】本発明のネマチック液晶組成物は、液晶の
電気光学的効果を利用した液晶表示素子にもちいられる
ものである。

【００２９】

【実施例】以下、実施例をもって本発明を更に詳細に説
明する。しかしながら、本発明は以下の実施例によって
制限をうけるものではない。なお、ηは２０℃における
粘度（センチポイズ）、△ｎは２５℃における屈折率の
異方性、Ｖｔｈは液晶組成物をセル厚９μｍのＴＮ型液
晶表示装置に搭載して測定した２５℃のしきい値電圧
（Ｖ）である。

【００３０】（実施例１）４−プロピルシクロヘキサン
カルボン酸３３．４重量％、４−ブチルシクロヘキサン
カルボン酸３３．３重量％、４−ペンチルシクロヘキサ
ンカルボン酸３３．３重量％、からなる混合物（母液
晶）を調整した。この母液晶９５重量部に化５に示した
化合物を５重量部加えてネマチック液晶組成物を調整し
た。その組成物の特性は、Ｎ−Ｉ点８３℃、η３５．
５、△ｎ０．０５６であった。

【００３１】

【化５】

【００３２】ここで、比較のために母液晶のみからなる
液晶組成物の特性を測定したところ、Ｎ−Ｉ点９６℃、
η３５．０、△ｎ０．０５３であった。

【００３３】（実施例２）実施例１と同様に母液晶９５
重量部に化６に示した化合物を５重量部加えてネマチッ
ク液晶組成物を調整した。その組成物の特性は、Ｎ−Ｉ
点８８℃、η３５．４、△ｎ０．０５７であった。

【００３４】

【化６】

【００３５】（実施例３）市販のネマチック液晶組成物
ＺＬＩ−１１３２（メルク社製）９５重量部に実施例１
で使用したカルボン酸系化合物を５重量部加えネマチッ
ク液晶組成物を調整した。その液晶組成物の特性は、Ｎ
−Ｉ点６１℃、η３１．０、△ｎ０．１２５、Ｖｔｈ
１．４８であった。

【００３６】ここで、比較のためにＺＬＩ−１１３２の
みからなる液晶組成物の特性を測定したところ、Ｎ−Ｉ
点７２℃、η２７．９、△ｎ０．１３８、Ｖｔｈ１．８
３であった。

【００３７】（実施例４）実施例３と同様にネマチック
液晶組成物ＺＬＩ−１１３２（メルク社製）９５重量部
に実施例２で使用したカルボン酸系化合物を５重量部加
えネマチック液晶組成物を調整した。その液晶組成物の
特性は、Ｎ−Ｉ点６６℃、η３０．９、△ｎ０．１２
９、Ｖｔｈ１．５２であった。

【００３８】上記実施例の結果から次のことが明らかで
ある。すなわち、上記一般式（Ｉ）で表されるカルボン
酸系化合物を用いることにより、液晶組成物のＮ−Ｉ点
をさほど損なうことなく、駆動電圧Ｖｔｈを低くし、ま
た目的に応じて屈折率の異方性を変化させることができ
る。

【００３９】

【発明の効果】以上示した通り、上記一般式（Ｉ）で表
されるカルボン酸系化合物を含有する本発明のネマチッ
ク液晶組成物は、駆動電圧Ｖｔｈが低く、また目的に応
じた種々の屈折率異方性を得ることが出来、優れた特性
を有し、液晶表示素子に有用である。また、本発明の液
晶組成物を搭載した液晶表示装置は、ＴＮ型あるいはＳ
ＴＮ型表示装置として、急峻性等の特性の優秀な表示装
置である。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】下記化１に示した一般式（Ｉ）で表され
るカルボン酸系化合物を少なくとも一種含有することを
特徴とするネマチック液晶組成物。【化１】（式中、ｎは０〜４の整数を示す）
【請求項２】前記化１で示した一般式（Ｉ）で表され
るカルボン酸系化合物とともに、下記化２に示した一般
式（II）で表されるアルキルもしくはアルコキシ安息香
酸またはアルキルもしくはアルコキシシクロヘキサンカ
ルボン酸を少なくとも一種含有することを特徴とする請
求項１記載のネマチック液晶組成物。【化２】（式中、Ｒ’はアルキル基またはアルコキシ基を表し、
Ａはフェニル基またはシクロヘキシル基を示す）
【請求項３】請求項１または２記載の液晶組成物を搭
載してなる液晶表示装置。