JPH11199288A - セメント硬化遅延剤 - Google Patents

セメント硬化遅延剤

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JPH11199288A
JPH11199288A JP517498A JP517498A JPH11199288A JP H11199288 A JPH11199288 A JP H11199288A JP 517498 A JP517498 A JP 517498A JP 517498 A JP517498 A JP 517498A JP H11199288 A JPH11199288 A JP H11199288A
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retarder
resin binder
polybasic acid
cement
citrate
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JP517498A
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Nobuo Iwatani
宣夫 岩谷
Misuzu Ito
美鈴 伊藤
Toshikazu Matsumoto
俊和 松本
Osamu Wakizaka
治 脇坂
Yasuyuki Mitsutome
康幸 満留
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SHINKU KAGAKU KOGYO KK
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
SHINKU KAGAKU KOGYO KK
Sumitomo Riko Co Ltd
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B40/00Processes, in general, for influencing or modifying the properties of mortars, concrete or artificial stone compositions, e.g. their setting or hardening ability
    • C04B40/0028Aspects relating to the mixing step of the mortar preparation
    • C04B40/0039Premixtures of ingredients
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2103/00Function or property of ingredients for mortars, concrete or artificial stone
    • C04B2103/20Retarders
    • C04B2103/24Hardening retarders

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Abstract

(57)【要約】 【課題】セメントの硬化を遅延させる機能が良好で、水
によって溶出してしまうことがないセメント硬化遅延剤
を提供する。 【解決手段】多塩基酸金属塩および樹脂バインダーを含
有する(A)液と、ウレタンプレポリマーを含有する
(B)液とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート等の
構成成分であるセメントの硬化を遅らせるセメント硬化
遅延剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、コンクリート表面に洗い出し
模様を形成して化粧表現する場合、所定の模様形状にカ
ッティングしたセメント硬化遅延剤層付シートを型枠の
表面に取り付け、この型枠内にコンクリート材料を流し
込んで養生硬化させたのち、脱型し、コンクリート表面
のうちセメントの硬化が遅延した部分を高速噴射水によ
り洗い出して化粧表現することが行われている。また、
上記のようにセメント硬化遅延剤層付シートをカッティ
ングするのではなく所定の模様形状となるようにシート
にマスキングを施し、マスキングされていない部分をコ
ンクリート表面に直接接触させ、セメントの硬化が遅延
した部分を同様に洗い出して化粧表現することも行われ
ている。
【0003】上記セメント硬化遅延剤層の形成材料とし
ては、クエン酸,グルコヘプトン酸,グルコン酸,ガラ
クトン酸,酒石酸,リンゴ酸等の有機系硬化遅延剤、珪
フッ化マグネシウム等の無機系硬化遅延剤と、樹脂バイ
ンダーとを組み合わせたものが用いられている。このセ
メント硬化遅延剤は、コンクリートの凝結時間を遅ら
せ、その後は通常のプレーンコンクリートと同様に、活
発な水和反応を起こせるので賞用されている。
【0004】また、特開平8−309717号公報に
は、硬化遅延能を有し、かつフィルム形成能を有する不
飽和ポリエステル樹脂等の樹脂バインダーに、オキシカ
ルボン酸またはその塩等の硬化遅延剤を含有したセメン
ト硬化遅延剤が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記セ
メント硬化遅延剤はすべて、水溶性であるため、屋外に
てコンクリートを打設して化粧表現する場合に、雨水や
夜露によって溶出してしまうという問題がある。そし
て、この溶出によって、目的とする化粧表現が行えず、
高品質なコンクリート製品を提供することができない。
また、雨天の場合には化粧表現が乱れ、晴天の場合には
化粧表現が良好であるといったように天候に影響を受け
たのでは、常時、高品質な製品を提供することができ
ず、その結果、作業者に対する信頼性が損なわれ、ひい
ては製造元に対する信頼性が損なわれることになる。一
方、こうした事態を解消するため、晴天の場合にのみ作
業を行うことも考えられるが、こうすると工期が長くな
るという問題がある。したがって、水によって溶出せ
ず、良好なセメント硬化遅延能を有するセメント硬化遅
延剤の開発が望まれている。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、セメントの硬化を遅延させる機能が良好で、水
によって溶出してしまうことがないセメント硬化遅延剤
の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のセメント硬化遅延剤は、多塩基酸金属塩お
よび樹脂バインダーを含有する(A)液と、ウレタンプ
レポリマーを含有する(B)液とからなるという構成を
とる。
【0008】すなわち、本発明のセメント硬化遅延剤
は、多塩基酸金属塩および樹脂バインダーを含有する
(A)液と、ウレタンプレポリマーを含有する(B)液
とからなる。このため、(A)液と(B)液とを混合し
塗工すると、樹脂バインダーがウレタン架橋されて、塗
膜が形成される。この塗膜は、ウレタン架橋によって、
耐水性が向上し、雨水や夜露に強いものとなる。しか
も、ウレタン架橋の導入に伴い、塗膜は網目構造になる
ため、セメント硬化遅延能を有する多塩基酸金属塩が塗
膜内部で保持されるようになり、水によって溶出しにく
くなる。一方、コンクリート材料はアルカリ性であるの
で、コンクリート材料が接触すると、塗膜が加水分解さ
れて多塩基酸金属塩を溶出するようになり、所定部分の
セメントの硬化を遅延させることができる。
【0009】特に、上記多塩基酸金属塩として前記一般
式(1)で表されるクエン酸金属塩を用いれば、セメン
ト硬化遅延剤としてより良好であることを突き止めた。
【0010】また、上記多塩基酸金属塩として前記式
(2)で表されるクエン酸マグネシウム・カルシウムを
用いれば、セメント硬化遅延剤として特に良好であると
推定される。
【0011】さらに、上記クエン酸金属塩を上記特定の
割合で配合すれば、セメント硬化遅延能をより効果的に
発揮することを突き止めた。
【0012】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を説
明する。
【0013】本発明のセメント硬化遅延剤(以下単に
「遅延剤」という)は、特殊な(A)液と(B)液とを
用いて得られる。
【0014】上記(A)液は、多塩基酸金属塩および樹
脂バインダーを含有する。
【0015】上記多塩基酸金属塩は、多塩基酸の金属塩
であって、多塩基酸のカルボキシル基に金属元素が結合
したものである。この多塩基酸金属塩は、単独で用いて
もよいし、二種以上併用してもよい。
【0016】上記多塩基酸としては、特に限定されるも
のではないが、クエン酸,酒石酸,リンゴ酸,粘液酸等
のオキシカルボン酸や、コハク酸,マレイン酸,シュウ
酸等のジカルボン酸等があげられる。
【0017】上記金属元素としては、特に限定されるも
のではないが、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の二
価の金属元素があげられる。
【0018】上記多塩基酸金属塩のなかでも、セメント
硬化遅延性の大きさ、耐水性の観点から、下記の一般式
(1)で表されるクエン酸金属塩が好ましい。
【0019】
【化4】
【0020】上記一般式(1)中のM1 ,M2 およびM
3 で表される二価の金属元素としては、マグネシウム,
カルシウム,亜鉛等があげられる。
【0021】上記一般式(1)で表されるクエン酸金属
塩のなかでも、特に、コンクリート製品に施される模様
形状の精度の観点から、下記の式(2)で表されるクエ
ン酸マグネシウム・カルシウムが好ましい。すなわち、
洗い出しにより除去されるコンクリートの量が適度とな
って、模様形状の凹部が深すぎたり浅すぎたりするおそ
れがないからである。そして、洗い出しによる模様形状
の再現性が特に好ましいからである。
【0022】
【化5】
【0023】上記式(2)で表されるクエン酸マグネシ
ウム・カルシウムは、例えばつぎのようにして作製する
ことができる。まず、クエン酸1/2モルを水浴(70
0g)中に溶解させる。ついで、塩基性炭酸マグネシウ
ム〔3MgCO3 ・Mg(OH)2 ・3H2 O〕1/1
6モルを水浴中に添加して反応させる。つづいて、この
水浴を60℃程度まで昇温し、この水浴中にクエン酸と
略等モルの炭酸カルシウムを徐々に添加する。添加後、
炭酸ガスの発生が殆ど収まるまで攪拌させる(例えば7
0℃×4時間)。その後、さらに昇温して攪拌し(例え
ば80℃×30分間)、反応を完遂させる。そして、こ
のようにして得られた反応液を濾過することにより、沈
殿物を得、これを乾燥させて、粉末状の、上記式(2)
で表されるクエン酸マグネシウム・カルシウムを得るこ
とができる。この合成の場合、下記の式(3)で表され
るクエン酸マグネシウム・カルシウムも得られるが、上
記式(2)で表されるクエン酸マグネシウム・カルシウ
ムの方がセメント硬化遅延能が大きいと推定される。
【0024】
【化6】
【0025】なお、上記前記一般式(1)で表されるク
エン酸金属塩の分析は、赤外分光法(IR),元素分析
法,示差熱分析法を組み合わせて行うことができる。
【0026】上記多塩基酸金属塩とともに用いられる樹
脂バインダーとしては、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢
酸ビニル共重合体(EVA)、酢酸ビニル−バーサチッ
ク酸ビニル共重合体(VA−VeoVa)等のビニルエ
ステル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体等のビニルエステル系樹脂のケン
化物、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系
ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリ(1,4−ジメチロール−シクロ
ヘキサンテレフタレート)等のポリエステル、ポリアミ
ド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6
10、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド
12等のポリアミド、エチレン−アクリル酸エチル共重
合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタ
クリル酸共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合
体、ポリクロロプレン等のハロゲン含有ポリマー、アク
リル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、ス
チレン−メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系
ポリマー、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合
体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体
等のスチレン系ポリマー、メチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系
ポリマー、天然高分子等があげられる。また、熱硬化性
アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステ
ル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、尿素
樹脂、フェノール樹脂等があげられる。また、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトー
ルトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタ
クリレート等のアクリレート、トリレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート等に2−ヒドロキシエ
チルアクリレート(HEA)を反応させた化合物、ヘキ
サンジオールとイソホロンジイソシアネートにHEAを
反応させた化合物、ビスフェノールA−ジグリシジルエ
ーテルのジアクリレート等の紫外線硬化型樹脂があげら
れる。また、ホスホン酸基を有する樹脂、ポリウレタン
エマルジョンやポリウレタンディスパージョン等の水溶
性ウレタン樹脂があげられる。これらは、単独でもしく
は二種以上併せて用いられる。これらの樹脂バインダー
は、通常、適当な有機溶媒に溶解させて用いるか、ある
いは水を分散媒として用いるかのいずれかの方法で用い
られる。なかでも、酢酸ビニル樹脂エマルジョンが好ま
しい。最適には、酢酸ビニルと水との重量基準混合比が
50/50に設定された酢酸ビニル樹脂エマルジョンで
ある。このような酢酸ビニル樹脂エマルジョンは、粘度
が適度で、酸性であるため、(A)液の調製が行いやす
いという利点がある。
【0027】上記(A)液において、多塩基酸金属塩
と、樹脂バインダーとの配合割合は、硬化を遅延させる
セメントや、洗い出しによって除去するコンクリート材
料の量等により適宜に設定されるが、通常、樹脂バイン
ダー100重量部(以下「部」と略す)に対して、15
〜50部の範囲に設定されていることが好ましい。より
好ましくは、20〜40部である。
【0028】上記(A)液は、上記多塩基酸金属塩およ
び樹脂バインダーを含有するものであり、その使用に際
しては、適当な溶媒に溶解もしくは液状の樹脂バインダ
ーに混合分散させて液状粘性物にするのが作業性の観点
から好ましい。この場合、上記液状粘性物には、本発明
の目的を損なわない範囲内で、他の充填剤を含有させて
もよい。具体的には、着色剤,粘着剤,接着剤,樹脂
液,粘度調整液,起泡剤,吸水膨潤剤,酸化防止剤,紫
外線吸収剤,熱安定剤,可塑剤,帯電防止剤,増量剤,
顔料等があげられる。
【0029】一方、上記(A)液とともに用いられる
(B)液は、ウレタンプレポリマーを含有する。
【0030】上記ウレタンプレポリマーは、ポリイソシ
アネートとポリオールとを部分的に重合して得られるも
のである。
【0031】上記ポリイソシアネートとしては、特に限
定されるものではなく、4,4′−ジフェニルメタンジ
イソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、イソ
ホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−ジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、
トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHD
I)、トリレンジイソシアネート(TDI)、カルボジ
イミド変性MDI、ポリメチレンフェニルポリイソシア
ネート(PAPI)、オルトトルイジンジイソシアネー
ト(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(ND
I)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメ
チレンジイソシアネート(HMDI)、パラフェニレン
ジイソシアネート(PDI)、リジンジイソシアネート
メチルエステル(LDI)、ジメチルジイソシアネート
(DDI)等があげられる。
【0032】また、上記ポリイソシアネートとともに用
いられるポリオールとしては、特に限定されるものでは
なく、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレ
ンアジペート(PBA)、ポリヘキシレンアジペート、
エチレンアジペートとブチレンアジペートとの共重合体
等のポリエステルポリオールや、ポリカプロラクトン、
ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロ
ピレングリコール等のポリエーテルポリオールがあげら
れる。
【0033】そして、上記ポリイソシアネートおよびポ
リオールを用いたウレタンプレポリマーの調製は、特に
制限するものではなく、例えば、つぎのようにして調製
される。すなわち、まず、上記ポリイソシアネートとポ
リオールとを配合して混合する。そして、この混合物
を、80〜100℃の温度で、120〜240分間反応
させて、ウレタンプレポリマーを得ることができる。
【0034】上記(B)液には、本発明の目的を損なわ
ない範囲内で、他の充填剤を含有させてもよい。具体的
には、着色剤,粘度調整液,熱安定剤,増量剤,顔料等
があげられる。
【0035】本発明の遅延剤は、前記特殊な(A)液と
(B)液とを組み合わせたものであり、使用時に両者は
混合される。両者の混合比(重量比)は、(A)液/
(B)液=1/0.1〜1/1程度が好ましい。
【0036】本発明の遅延剤を用いて、例えばつぎのよ
うにしてコンクリート表面に洗い出し模様を形成して化
粧表現することができる。すなわち、まず、図1に示す
ように、基材シート1を準備し、この基材シート1の表
面に、上記(A)液と(B)液とを混合した遅延剤をス
クリーン印刷によって塗布し、乾燥固化させて遅延剤層
2による模様を形成する。一方、基材シート1の裏面に
は、その全面にわたって粘着剤を塗布して粘着剤層3を
形成する。そして、この粘着剤層3の上に剥離シート4
を貼着し、上記粘着剤層3を覆うことにより、洗い出し
用シート5を作製する。ついで、図2に示すように、上
記洗い出し用シート5の剥離シート4を剥離除去するこ
とによって露呈した粘着剤層3を、型枠6の表面に貼着
して固定する。つぎに、図3に示すように、洗い出し用
シート5が固定された型枠6を他の型枠6aに対して所
定の間隔で配置し、これらの側方の開口(図示せず)と
底部開口を板材7等で塞ぎ、上部開口からコンクリート
材料8を流し込む。図において、9はコンクリート材料
中の骨材である。そして、養生硬化させることにより、
コンクリート材料8をコンクリート化したのち、図4に
示すように、コンクリート製品10から型枠6および洗
い出し用シート5を剥離する。この状態で、得られたコ
ンクリート製品10表面の遅延剤層2と接触した部分
は、硬化が抑制もしくは遅延されて軟らかい未硬化表面
層11が形成される。つぎに、上記コンクリート製品1
0に水を噴射(例えば2〜40kg/cm2 )すること
により洗い出しを施し、図5に示すように、上記未硬化
表面層11のコンクリートを洗い流して、骨材9が露出
し微小凹凸の粗面12が形成された洗い出し面13を形
成し、コンクリート製品10の表面に洗い出し模様を形
成する。
【0037】上記基材シート1としては、紙,木材,プ
ラスチック,ゴム,金属等の各種の材質のシートが用い
られるが、特に限定されるものではない。また、基材シ
ート1の厚みは、作業性を損なわなければ特に限定され
るものではないが、通常0.05〜1mmに設定されて
いることが好ましい。
【0038】上記遅延剤の基材シート1への塗布は、ス
クリーン印刷に限定されるものではなく、刷毛塗り,ス
プレー噴霧,ローラー塗布,ディッピング等の各種の方
法により行われる。また、模様形状となるように塗布し
てもよいし、基材シート1の表面すべてに塗布しマスキ
ングを施すようにしてもよい。
【0039】上記遅延剤層2の厚みは、0.05〜1m
m程度が好ましい。0.05mm未満では、充分なコン
クリートの硬化抑制作用が得られず、1mmを超えると
洗い出しによって洗い出されるコンクリート材料が多く
なりすぎて歩留りが悪くなるうえ、塗布と乾燥を何回も
繰り返す必要が生じ、生産性が悪くなるからである。
【0040】本発明の遅延剤は、屋外で洗い出し工法を
行う場合に、従来の遅延剤と比較して良好な効果を奏す
るが、この場合に限定されるものではなく、屋内で行っ
ても、良好な洗い出し模様を形成することができる。
【0041】つぎに、実施例について従来例と併せて説
明する。
【0042】まず、実施例に先立ち、クエン酸マグネシ
ウム・カルシウム(以下「クエン酸Mg・Ca」とい
う)を、前述の方法に従って製造し、白色粉末を得た。
【0043】上記白色粉末が、クエン酸Mg・Caであ
ることを、つぎのようにして確認した。すなわち、ま
ず、上記白色粉末と、クエン酸と、クエン酸マグネシウ
ム(以下「クエン酸Mg」という)と、クエン酸カルシ
ウム(以下「クエン酸Ca」という)とを準備した。そ
して、上記白色粉末について、元素分析法にて分析を行
った。その結果を、図6に示した。また、上記四種の化
合物について、赤外分光法(IR)にて分析を行った。
その結果を、図7〜図10に示した。また、上記四種の
化合物について、示差熱分析法にて分析を行った。その
結果を、図11〜図14に示した。
【0044】〔元素分析法による分析結果〕図6から明
らかなように、上記白色粉末には、カルシウム(Ca)
とマグネシウム(Mg)が存在していることがわかる。
【0045】〔赤外分光法(IR)による分析結果〕図
8から明らかなように、クエン酸単体では、金属元素が
顕著に出る1000cm-1前後の吸収ピークが小さくな
っている。また、図9から明らかなように、クエン酸M
gでは、940cm-1付近のダブルピークの前半と10
70cm-1付近のダブルピークの前半が顕著に出てい
る。さらに、図10から明らかなように、クエン酸Ca
では、940cm-1付近のピークが出ていないが、10
70cm -1付近のダブルピークの後半が顕著に出てい
る。そして、図7から明らかなように、上記白色粉末で
は、940cm-1付近のダブルピークの前半が出ている
とともに、1070cm-1付近のダブルピークの後半が
出ている。したがって、上記白色粉末には、クエン酸M
gとクエン酸Caの特徴が見られるので、クエン酸Mg
・Caが合成されているといい得る。
【0046】〔示差熱分析法による分析結果〕図11〜
図14から明らかなように、上記白色粉末のピーク温度
(図11参照)は、クエン酸のピーク温度(図12参
照),クエン酸Mgのピーク温度(図13参照)とは明
らかに相違し、またクエン酸Caのピーク温度(図14
参照)と近似しているが、高温側にシフトしていること
がわかる。したがって、上記白色粉末において、クエン
酸と結合している金属元素は、カルシウムがメインであ
るが、マグネシウムも一部に入り込んでいることがわか
る。
【0047】以上の分析結果から、上記白色粉末は、少
なくとも前記式(2)で表されるクエン酸Mg・Ca、
前記式(3)で表されるクエン酸Mg・Caが含まれて
いることがわかる。
【0048】
【実施例1〜9】上記白色粉末を用い、これと下記の表
1および表2に示す各成分とを同表に示す割合で配合
し、(A)液および(B)液を調製した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】つぎに、上記各遅延剤を用い、下記に示す
方法で洗い出し用シートを製造し、この洗い出し用シー
トについて、耐水性,洗い出し性および直線性を評価し
た。その結果を、下記の表3および表4に示した。な
お、各評価は下記に示す方法で行った。
【0052】〔洗い出し用シートの製造方法〕上記表1
および表2に示す(A)液および(B)液を、同表に示
す割合で混合し、各混合液を、両面にコーティング処理
(ポリエチレンフィルムをラミネート)が施された紙か
らなる基材シート表面の模様形状予定部に、それぞれス
クリーン印刷によって塗布し(塗布量20〜60g/m
2 )、20℃で4時間乾燥固化させて遅延剤層を形成し
た。つづいて、各基材シート裏面にアクリル系エマルジ
ョンからなる粘着剤を塗布し(塗布量50〜600g/
2 )、粘着剤層を形成した。さらに、上記粘着剤層に
シリコーンワックスをコーティングした剥離紙を貼着し
て、各洗い出し用シートを得た。
【0053】〔耐水性〕まず、上記各洗い出し用シート
を、裏面側の剥離紙を剥離除去して粘着剤層を露呈さ
せ、壁面に粘着して固定した。ついで、固定された洗い
出し用シートの遅延剤層表面に水を散布した。そして、
散布後の遅延剤層表面を目視することにより評価した。
その結果、遅延剤層に乱れがないものを○、遅延剤層に
乱れが見られたものを×として表示した。
【0054】〔洗い出し性〕上記各洗い出し用シート
を、裏面側の剥離紙を剥離除去して粘着剤層を露呈さ
せ、型枠に粘着して固定し、枠組みしたのちコンクリー
ト材料を打設し、耐水テストなしで常温養生(Dry)
または耐水テスト後常温養生(Wet)により硬化させ
た。そして、型枠および洗い出し用シートを剥離したの
ち、水(20kg/cm2 )の噴射により洗い出しを施
し、表面の未硬化表面層のセメントを除去し、コンクリ
ート製品を得た。そして、このようにして得られたコン
クリート製品の表面を目視した。その結果、洗い出しに
より形成された模様形状が非常に高精度に再現されてい
たものを◎、高精度に再現されていたものを○、品質面
で問題のない程度に再現されていたものを△、再現性が
悪く品質面で問題となるものを×として表示した。
【0055】〔直線性〕上記洗い出し性試験において、
遅延剤層と接触する部分のコンクリート材料の凝結量
と、凝結時間との関係を調べ、比例関係にあるものを
○、略比例関係にあるものを△、比例関係にないものを
×として表示した。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】上記結果より、実施例品はすべて、クエン
酸Mg・Caが水によって溶出せず遅延剤層に保持され
ていることがわかる。また、コンクリート材料に接触さ
せた後、洗い出しを施すと、良好な模様形状が形成され
ていることがわかる。さらに、直線性についても良好で
あることがわかる。
【0059】
【従来例】特開平8−309717号公報に記載の方法
に準じて硬化遅延用フィルムを製造した。すなわち、ま
ず、ポリエチレングリコール(分子量300)/プロピ
レングリコール/エチレングリコール/無水マレイン酸
=1/1/1/3(モル比)を主成分とする分子量30
00の不飽和ポリエステル樹脂50部、ヒドロキシエチ
ルメタクリレート35部、炭酸カルシウム10部を混合
するとともに、得られた混合液に、ナフテン酸コバルト
0.1部、t−ブチルパーオキシベンゾエート1部を混
合し、遅延剤を調製した。
【0060】上記遅延剤を用いて、上記洗い出し用シー
トの製造方法と同様にして、洗い出し用シートを製造し
た。この洗い出し用シートを用い、上記耐水性試験を行
った。その結果、模様形状を忠実に再現できないと思わ
れる程度にまで、遅延剤層の表面が大きく乱れていた。
【0061】
【発明の効果】以上のように、本発明の遅延剤は、多塩
基酸金属塩および樹脂バインダーを含有する(A)液
と、ウレタンプレポリマーを含有する(B)液とからな
る。このため、上記(A)液と(B)液とを混合し塗工
すると、樹脂バインダーがウレタン架橋されて、塗膜が
形成される。この塗膜は、ウレタン架橋によって、耐水
性が向上し、雨水や夜露に強いものとなる。しかも、ウ
レタン架橋の導入に伴い、塗膜は網目構造になるため、
セメント硬化遅延能を有する多塩基酸金属塩が塗膜内部
で保持されるようになり、水によって溶出しにくくな
る。また、上記多塩基酸金属塩は、優れたセメント硬化
遅延能を有している。したがって、上記遅延剤を用いて
洗い出し工法を行った場合、良好な洗い出し模様が形成
されたコンクリート製品を得ることができるという利点
がある。
【0062】特に、上記多塩基酸金属塩として前記一般
式(1)で表されるクエン酸金属塩を用いれば、セメン
ト硬化遅延剤としてより良好であるという利点がある。
【0063】また、上記多塩基酸金属塩として前記式
(2)で表されるクエン酸マグネシウム・カルシウムを
用いれば、セメント硬化遅延剤として特に良好であると
思われる。
【0064】さらに、上記クエン酸金属塩を上記特定の
割合で配合すれば、セメント硬化遅延能をより効果的に
発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遅延剤を使用したシートの一実施の形
態を示す断面図である。
【図2】上記シートを型枠に貼着する状態を示す説明図
である。
【図3】上記シートを用いてコンクリート材料を打設し
た状態を示す説明図である。
【図4】コンクリート製品から型枠およびシートを剥離
させる状態を示す説明図である。
【図5】コンクリート製品の未硬化表面層を洗い出しに
より除去した状態を示す説明図である。
【図6】白色粉末を元素分析法にて分析した結果を示す
グラフ図である。
【図7】白色粉末を赤外分光法(IR)にて分析した結
果を示すグラフ図である。
【図8】クエン酸を赤外分光法(IR)にて分析した結
果を示すグラフ図である。
【図9】クエン酸Mgを赤外分光法(IR)にて分析し
た結果を示すグラフ図である。
【図10】クエン酸Caを赤外分光法(IR)にて分析
した結果を示すグラフ図である。
【図11】白色粉末を示差熱分析法にて分析した結果を
示すグラフ図である。
【図12】クエン酸を示差熱分析法にて分析した結果を
示すグラフ図である。
【図13】クエン酸Mgを示差熱分析法にて分析した結
果を示すグラフ図である。
【図14】クエン酸Caを示差熱分析法にて分析した結
果を示すグラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 俊和 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 脇坂 治 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 満留 康幸 愛知県名古屋市西区鳥見町2丁目21番地 シンク化学工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多塩基酸金属塩および樹脂バインダーを
    含有する(A)液と、ウレタンプレポリマーを含有する
    (B)液とからなることを特徴とするセメント硬化遅延
    剤。
  2. 【請求項2】 上記多塩基酸金属塩が、下記の一般式
    (1)で表されるクエン酸金属塩である請求項1記載の
    セメント硬化遅延剤。 【化1】
  3. 【請求項3】 上記多塩基酸金属塩が、下記の式(2)
    で表されるクエン酸マグネシウム・カルシウムである請
    求項1または2記載のセメント硬化遅延剤。 【化2】
  4. 【請求項4】 上記多塩基酸金属塩が、下記の式(3)
    で表されるクエン酸マグネシウム・カルシウムである請
    求項1〜3のいずれか一項に記載のセメント硬化遅延
    剤。 【化3】
  5. 【請求項5】 上記多塩基酸金属塩の配合量が、上記樹
    脂バインダー100重量部に対して、15〜50重量部
    に設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の
    セメント硬化遅延剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008194892A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Tokai Rubber Ind Ltd 洗い出しクロス

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JP2008194892A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Tokai Rubber Ind Ltd 洗い出しクロス

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