JP3911783B2 - 土木建築構造物用フレキシブルシート及びそれを用いるシート防水工法 - Google Patents

土木建築構造物用フレキシブルシート及びそれを用いるシート防水工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温での柔軟性に優れ、耐水性を有し、表面に耐候性、耐久性に優れるフレキシブルシートを合成樹脂接着剤を用いて基体上に敷設するシート防水工法及びそれを用いる防水構造体に関し、特に施工作業性、下地追従性、耐久性に優れるシート防水工法、その構造体及びフレキシブルシートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シート防水工法に用いられるシート材としては、合成ゴム系の加硫ゴムシート、非加硫ゴムシート、熱可塑性樹脂系の塩化ビニルシートが代表例として挙げられる。また、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂をシート状に成形したもの及びこれらの熱硬化性樹脂をガラス繊維、有機繊維等に含浸させシート材料として使用することも公知である。また適当な熱硬化性樹脂、例えばポリエステル、エポキシ、アクリル、ウレタン樹脂及び有機繊維を組み合わせることにより、常温において、柔軟性を有するシート材料が得られることも公知である。(特開平1−275848号公報)
【0003】
また、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等を用いた柔軟性FRPシートを防水を目的として、例えばコンクリート面等に接合することも従来行われている。(特開平2−150456号公報)これらのシート防水工法は湿式による現場でのFRP含浸作業の煩雑さを軽減でき、また防水層となるシートを工場等での品質管理のもとで生産するので安定した品質の防水層が得られる利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来のシート材料、例えば合成ゴム系シートでは、表面の意匠性に乏しく、シート強度が弱いため引裂、引っかき等の表面の外的損傷に弱い等の問題点があった。また塩化ビニルシート及び従来の熱硬化性樹脂シートの場合、低温条件下では、硬く、脆い材料となり柔軟性が失われコンクリート等の基体への追従性が損なわれる。こうした追従性の不足を補うため、下地コンクリートとシート材料との接着層に温度依存性の少ない高伸び率の接着剤を用いることが行われるがシートの硬化、脆化により、基体への追従性は不十分であった。また一般にシート材料に柔軟性を持たせることにより耐水性等の物性が低下し、防水の機能が損なわれる。また、従来のシート防水工法では表面の耐候性、耐久性をより向上させるためシート敷設後、湿式による塗装を行う場合が多く、施工工程が煩雑であった。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決し、低温条件下においても柔軟性に富み、かつ耐久性、耐候性に優れるシートを用いかつ施工作業性にも優れるシート防水工法及びそれを用いた防水構造体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意研究した結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
即ち、本発明は、耐候性、耐久性に優れる表面被覆層と、(A)ウレタンアクリレート樹脂と(B)重合性不飽和単量体とからなる硬化性樹脂組成物と引張伸び率が常温で30%以上の繊維強化材(C)を含浸した層が積層硬化し、一体化したことを特徴とする土木建築構造物用フレキシブルシート、好ましくはウレタンアクリレート樹脂(A)が、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと活性水素を有するアクリル化合物から得られるものであること、好ましくは繊維強化材(C)がポリオレフィン系及びポリエステル系不織布からなること、前記フレキシブルシートを基体上にJIS K−6301で規定する引張試験において引張伸び率が30%以上を有する合成樹脂接着剤を介して敷設するシート防水工法提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のウレタンアクリレート樹脂(A)は、ポリイソシアネートとポリエーテルポリオール、及び活性水素を有するアクリル化合物とを反応させて得られるものである。
【0009】
ここでいうポリエーテルポリオールとは、好ましくは数平均分子量400以上のもので、好ましくは600〜2000のものであり、例えばポリプロピレングリコール(以下PPGと略す)、ポリテトラメチレングリコール(以下PTMG)、ポリオキシエチレンジオール等が挙げられる。
【0010】
ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネートと及びその異性体または異性体の混合物(以下TDIと略す)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、バーノックD−750、クリスボンNX(大日本インキ化学工業(株)製品)、デスモジュールL(住友バイエル社製品)、コロネートL(日本ポリウレタン社製品)、タケネートD102(武田薬品社製品)等が挙げられるが、特にTDIが好ましく用いられる。
【0011】
活性水素を有するアクリル化合物としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピレンメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等が挙げられる。
【0012】
重合性不飽和単量体(B)としては、エチレン性不飽和単量体で、ウレタンアクリレート樹脂と架橋反応可能な不飽和モノマーあるいは不飽和オリゴマー等が挙げられ、特に好ましくはアクリロイル基を有するモノマー又はオリゴマーであり、(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましい。例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸2−ハイドロキシエチル、アクリル酸2−ハイドロキシプロピル、アクリル酸β−エトキシエチル、アクリル酸2−シアノエチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸2−ハイドロキシエチル、メタアクリル酸2−ハイドロキシプロピル、フェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、ノニフェノキシプロピルアクリレート、N−ビニルピロリドン、ポリカプロラクトンアクリレート、アクリロイルオキシエチルフタレート、アクリロイルオキシサクシネート等が挙げられる。
【0013】
本発明のウレタンアクリレート樹脂の製造方法としては、まずポリイソシアネートとポリエーテルポリオール(数平均分子量好ましくは400以上で、特に好ましくは600〜2000である)とを、NCO/OH=2〜1.5となるように反応させ、末端イソシアネート基含有化合物を生成し、次いでそれに水酸基含有アクリル化合物をイソシアネート基に対して水酸基がほぼ当量となるように反応する。或いは、まず水酸基含有アクリル化合物とポリイソシアネートを反応させ次いで得られたイソシアネート基含有化合物とポリエーテルポリオールとを反応させても得られる。
【0014】
本発明のウレタンアクリレート樹脂(A)と重合性不飽和単量体(B)とからなる樹脂組成物には、硬化剤が使用され、好ましくは、有機過酸化物が挙げられる。具体的にはジアリルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等の公知のものが使用され、硬化条件により適宣選択される。その添加量は、通常使用される量であり、好ましくは、樹脂組成物100重量部に対して0.01〜4重量部である。上記硬化剤は、組み合わせて使用されても良い。
【0015】
また、硬化促進剤、すなわち硬化剤の有機過酸化物をレドックス反応によって分解し、活性ラジカルの発生を容易にする作用のある物質は、例えばコバルト系、バナジウム系、マンガン系等の金属石鹸類、第3級アミン類、第4級アンモニウム塩、メルカプタン類等がある。
【0016】
繊維補強材としては、本発明の樹脂組成物の引張伸び率が損なわれないものが好ましく、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、アミド、アラミド、カーボン、ビニロン等の有機繊維或いはこれらを組み合わせて用いられ、繊維の形態は、平織り、朱子織り、不織布、マット状等があるが作業性、厚み保持等より不織布、マット状が好ましい。
【0017】
特に、引っ張り伸び率が常温で30%以上、更に好ましくは70%以上のもので、縦横の伸び率に差異のない物が好ましい。また樹脂の含浸性よりポリエステル系不織布が好ましく、特に長繊維のスパンボンドタイプのものが特に好ましい。また樹脂の含浸性をよくするため表面処理やニードルパンチによる穴あけ処理を施したものでもよく、バインダーには反応性モノマーに溶解するものが使用される。繊維補強材の目着量は、好ましくは30〜300g/m2のものが使用できるが、特に好ましくは50〜120g/m2のものがよい。
【0018】
本発明のフレキシブルシートの表面被覆層としては、シートの柔軟性に追従でき、且つ耐候性、耐久性に優れるもので、例えばウレタンアクリレート樹脂、ビニルエステル樹脂等であり、ウレタンアクリレート樹脂としては本発明の樹脂組成物を使用してもよいが、耐候性の面から原料のポリイソシアネートとしては脂肪族系のイソシアネートが好ましく、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0019】
また、ビニルエステル樹脂とは、好ましくは飽和、または不飽和ポリエステル末端のカルボキシル基と不飽和グリシジル化合物を付加反応せしめた飽和又は不飽和ポリエステル(メタ)アクリレートと称されるものと、エポキシ骨格(エポキシ樹脂)の末端をα、β−不飽和二塩基酸と当量比で1対2となるように反応せしめて得られるエポキシアクリレートと称されるものの単独、もしくは混合物とが挙げられる。これら表面被覆層には更に耐侯性を向上させるため公知の紫外線吸収剤を添加してもよい。
【0020】
本発明の繊維強化材を含んで成るフレキシブルシートの製造法としては、離型性の材料、好ましくは離型フィルム上で本発明の樹脂組成物を繊維補強材に含浸し、更に上から離型フィルムをかぶせ、ローラー等により完全に含浸、脱泡をおこなう。また用いる離型フィルムの表面に艶消し、エンボス等の加工を施すことにより、それら加工面をフレキシブルシートに転写することも可能である。また、上からフィルムをかぶせず、珪砂、セラミック骨材等を樹脂が硬化するまえに散布し、シートに意匠性を持たせることもできる。
【0021】
離型フィルム表面にあらかじめ耐候性、耐久性に優れるゲルコート樹脂層を塗布、硬化させておき、その上から本発明の樹脂組成物と繊維強化材を含浸、積層することにより、表面被覆層が一体となったフレキシブルシートを得ることができる。さらに用いるフィルムを離型性のものとせず本発明の樹脂組成物及び繊維強化材と一体のものとして表面被覆層とすることもできる。
【0022】
シートを連続的に製造する場合、上下2枚の離型フィルムの層間に本発明の樹脂組成物と繊維強化材の混合物を挿入しながら連続的に製造していき、製造後フィルムを取り除く方法が好ましい。
【0023】
また、上下両面に離型フィルムを残したまま、常温で養生するかあるいは、60〜90℃の乾燥炉で30分〜120分加熱硬化させることにより、表面タックのないフレキシブルシートを得ることができる。
【0024】
得られるフレキシブルシートの厚みは、施工性、低温での柔軟性、基体への追従性に大きな影響を与え、好ましくは、0.1〜3.0mmでより好ましくは0.4mm〜2.0mmで、これより薄いと基体追従性が小さくなる。これより厚くなると施工性、低温での柔軟性が十分でない。
【0025】
フレキシブルシートは、柔軟性に優れるため、ロール状に巻いても巻き癖がつかず現場で容易に展開でき、ハサミ、カッター等で容易に裁断可能であるので、加工性に優れ、コーナー部など、複雑な形状への付形性にも優れる。
【0026】
本発明のシート防水工法では、表面被覆層を設けたフレキシブルシートをそのまま用いることができ、例えば酸、アルカリ、有機溶剤等にさらされる使用条件、具体的には薬品工場、食品工場の床等では、ビニルエステル系トップコートを表面層としてもよい。これらの表面保護層はフレキシブルシート敷設後、湿式によりシート上に塗装する必要がなく、施工現場における塗装作業を軽減することが出来る。また意匠性の面から表面層に顔料のような着色剤を混入したり、柄付きの塩化ビニル製またはPET製フィルムを複層化したシートを用いても良い。
【0027】
本発明の防水構造体とは、本発明のフレキシブルシートを、土木建築構造物 例えば、工場等床・屋根、ビル屋上、開放廊下、ベランダ、外壁、駐車場、橋脚、床版、陸上競技場、テニスコート等の基体、例えばコンクリート、アスファルト、ALC板、PC板、FRP、プラスチック、木質物、金属、既設防水シート等に次のようにして施工される。
【0028】
即ち、基体上に、まず、プライマーと称されるものを塗布する工程が挙げられるが、かかるプライマーとしては、ウレタン系、エポキシ系またはポリエステル系などの、種々のものがあって、施工性や基体状況などの面から、適宣、選択される。プライマーが乾燥した後、本発明のフレキシブルシートを基体に接着または接合施工せしめる。
【0029】
接着、接合施工方法としては、各種合成樹脂接着剤を用いる方法があるが、接着剤としてはフレキシブルシートの基体への追従性を十分に発揮するためJISK−6301に規定する引張伸び率が30%以上であるポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、アクリルゴム系の接着剤の使用が好ましい。伸び率が30%未満になった場合は、フレキシブルシートの基体追従性が十分に発揮されず、クラック追従性が著しく悪くなる。特に本発明で使用するウレタンアクリレート樹脂組成物をこの接着剤として用いた場合、シートとの馴染みも良く高伸び率であるためコンクリートへの追従性に優れ、施工作業性も良い。
【0030】
更に、ウレタンアクリレート樹脂組成物は、ラジカル硬化型樹脂であるため、従来他のシート工法、例えば塩化ビニルシートの接着に用いられる溶剤乾燥型接着剤等で必要なオープンタイムをとる必要がなく、迅速な施工が可能であり、かつシート敷設後の強度発現も硬化がラジカル反応で進行するため速く、施工条件にもよるが約1〜2時間で所定の強度に達する。
【0031】
これら接着剤をコンクリート面に好ましくは0.2Kg〜1.0kg/m2の量を櫛目コテにて塗布し、その上にロール状に巻いたシートを展開し、重量のあるローラーにてシートとコンクリートの間に空気が残らないように十分に圧着する。また、櫛目コテで塗布する場合、作業性及び櫛目立ちを良くするため、接着剤に炭カル、タルク、シリカ等の充填剤を加えることも好ましく行われる。また、接着剤と併用して例えばリベット等の機械的な接合、両面粘着テープ等を補助的に用いることもできる。
【0032】
また、シート間の継ぎ目部分は、本発明の樹脂組成物及び繊維強化材で積層するか、ウレタン系シーリング材で目止めする等の方法により仕上げることができる。また、乾式の方法として本発明のフレキシブルシートを両面粘着テープにより貼りつけて継ぎ目処理とすることもできるが、その場合、貼り付けるシートの厚みが厚すぎると防水層としての納まりが悪いので好ましくは、0.1〜0.5mmの厚みが適当である。
【0033】
こうして得られる防水構造体は、さらに各種塗料での被覆、あるいはウレタン床材等合成樹脂層やFRP防水材層を設けてもよい。
【0034】
【実施例】
以下に、本発明を実施例と比較例で詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。尚、文中「部」、「%」は特に断わりのない限り重量基準である。
【0035】
合成例1〔ウレタンアクリレート(UA−1)の調製〕
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた1リットルの四つ口フラスコに数平均分子量1000のプロピレングリコール(PPGと略す)1000gとトリレンジイソシアネート(TDIと略す)350gを仕込み、窒素気流下80℃で4時間反応させた。NCO当量が600とほぼ理論当量値となったので、50℃まで冷却した。空気気流下、ハイドロキノン0.14gを加え、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMAと略す)260gを加え、90℃で5時間反応させた。NCO%が0.1%以下となった時点で、t−ブチルカテコール(TBCと略す)0.16g添加し、ポリエーテルウレタンアクリレート樹脂組成物を得た。これをメチルメタアクリレート(MMAと略す)1072gに希釈溶解させ、不揮発分60%のウレタンアクリレート樹脂(UA−1)とした。
【0036】
合成例2〔ウレタンアクリレート(UA−2)の調整〕
上記合成例1と同様にして、数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール(PTMGと略す)1000g、TDI350g、HEMA260gを用いてポリエーテルウレタンアクリレート樹脂組成物を合成した。得られた樹脂組成物をMMA1072gに希釈溶解し、不揮発分60%のウレタンアクリレート樹脂(UA−2)とした。
【0037】
合成例3〔表面被覆用ウレタンアクリレート(UA−3)の調整〕
上記合成例1と同様にして、数平均分子量700のPPG350g、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)84g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)111g、HEMA130gを用いてポリエーテルウレタンアクリレート樹脂組成物を合成した。得られた樹脂組成物をMMA450gに希釈溶解し、不揮発分60%のウレタンアクリレート樹脂(UA−3)とした。
【0038】
実施例1 (フレキシブルシートの製造・施工試験)
厚み150μのポリエステルフィルムの上に合成例3で調整したUA−3の100部にパーカドックス16(硬化剤、化薬アクゾ(株)製)2.0部、グレー顔料5.0部を加え、0.3mm厚に塗布し、80℃にて15分間加熱硬化させ表面被覆層を形成しその上に、 合成例1で調整したUA−1の100部に、BPOペースト(ベンゾイルパーオキサイド50%)2部、6%ナフテン酸コバルト0.4部、DMA(ジメチルアニリン)0.5部を加え攪拌溶解したものを展開し、樹脂分に対して10重量%のポリエステル系不織布(商品名:EL-5590、日本バイリーン(株)製)を置き、更に上からポリエステルフィルムをかぶせ、ローラーにて含浸、脱泡を行い、ゲル化後、両面にポリエステルフィルムを付けたまま、80℃、2時間後硬化し、ポリエステルフィルムを離型し、表面タックのないフレキシブルシートを得た。
【0039】
このシートを、ベランダ部分のコンクリート面に、プライマーPD(一液湿気硬化ウレタン、大日本インキ化学工業(株)製)0.2kg/m2を塗布乾燥させ、その上にディオバーVU−180(大日本インキ化学工業(株)製ビニルウレタン樹脂)/アエロジル/ジメチルアニリン/6%ナフテン酸コバルト/BPO(ベンゾイルパーオキサイド50%)を100/5/0.05/0.4/1.5の割合で配合した接着剤を0.3kg/m2塗布して、ローラーにて圧着し、シートの継ぎ目部分をUA−1及び不織布EL−5590にて積層し接合処理を行った。
【0040】
この防水層から30×30cmの形状にサンプルを採取した。−20℃と80℃湿度95%以上の雰囲気下で、冷熱繰り返し試験を各温度4時間で8時間を1サイクルとして、30サイクル行ったが、炉の中に静置したが剥離、ひび割れ、膨れ等は生じなかった。また、屋外での実暴露6カ月後も変色等著しい外観変化はなかった。
【0041】
実施例2(フレキシブルシートの製造・施工試験)
厚み150μのポリエステルフィルムの上に合成例3で調整したUA−3の100部にパーカドックス16(硬化剤、化薬アクゾ(株)製)2.0部、グレー顔料5.0部を加え、0.3mm厚に塗布し、80℃にて15分間加熱硬化させ表面被覆層を形成しその上に、 合成例2で調整したUA−2の100部に、BPOペースト(ベンゾイルパーオキサイド50%)2部、6%ナフテン酸コバルト0.4部、DMA(ジメチルアニリン)0.5部を加え攪拌溶解したものを展開し、樹脂分に対して10重量%のポリエステル系不織布(商品名:EL-5590、日本バイリーン(株)製)を置き、更に上からポリエステルフィルムをかぶせ、ローラーにて含浸、脱泡を行い、ゲル化後、両面にポリエステルフィルムを付けたまま、80℃、2時間後硬化し、ポリエステルフィルムを離型し、表面タックのないフレキシブルシートを得た。
【0042】
このシートを、ビル屋上のコンクリート面に、プライマーPD(一液湿気硬化ウレタン、大日本インキ化学工業(株)製)0.2kg/m2を塗布乾燥させ、その上にディオバーVU−180(大日本インキ化学工業(株)製ビニルウレタン樹脂)/アエロジル/ジメチルアニリン/6%ナフテン酸コバルト/BPO(ベンゾイルパーオキサイド50%)を100/5/0.05/0.4/1.5の割合で配合した接着剤を0.3kg/m2塗布して、ローラーにて圧着し、シートの継ぎ目部分をUA−1及び不織布EL−5590にて積層し接合処理を行った。
【0043】
この防水層から30×30cmの形状にサンプルを採取した。−20℃と80℃湿度95%以上の雰囲気下で、冷熱繰り返し試験を各温度4時間で8時間を1サイクルとして、30サイクル行ったが、炉の中に静置したが剥離、ひび割れ、膨れ等は生じなかった。また、屋外での実暴露6カ月後も変色等著しい外観変化はなかった。
【0044】
実施例3 (施工試験)
実施例1で調製したシートを、ベランダ部分のコンクリート面に、プライマーPD(一液湿気硬化ウレタン樹脂、大日本インキ化学工業(株)製)0.2kg/m2を塗布乾燥させ、その上にディックバインダー520(溶剤系一液ウレタン接着剤、大日本インキ化学工業(株)製)を0.3g/m2塗布して、ローラーにて圧着し、シート継ぎ目部分を、同接着剤で目止めし、接合処理を行った。
【0045】
この防水層から30×30cmの形状にサンプルを採取した。−20℃と80℃湿度95%以上の雰囲気下で、冷熱繰り返し試験を各温度4時間で8時間を1サイクルとして、30サイクル行ったが、炉の中に静置したが剥離、ひび割れ、膨れ等は生じなかった。また、屋外での実暴露6カ月後も変色等著しい外観変化はなかった。
【0046】
実施例4 (施工試験)
実施例2で調製したシートを、ベランダ部分のコンクリート面に、プライマーPD(一液湿気硬化ウレタン樹脂、大日本インキ化学工業(株)製)0.2kg/m2を塗布乾燥させ、その上にディックバインダー520(溶剤系一液ウレタン接着剤、大日本インキ化学工業(株)製)を0.3g/m2塗布して、ローラーにて圧着し、シート継ぎ目部分を、同接着剤で目止めし、接合処理を行った。
【0047】
この防水層から30×30cmの形状にサンプルを採取した。−20℃と80℃湿度95%以上の雰囲気下で、冷熱繰り返し試験を各温度4時間で8時間を1サイクルとして、30サイクル行ったが、炉の中に静置したが剥離、ひび割れ、膨れ等は生じなかった。また、屋外での実暴露6カ月後も変色等著しい外観変化はなかった。
【0048】
比較例1
軟質タイプの不飽和ポリエステル樹脂(商品名:ポリライト FR−110、大日本インキ化学工業(株)製)100部に55%MEKPO(メチルエチルケトンパーオキサイド)1部を加え攪拌溶解後、厚み150μのポリエステルフィルムの上に展開し、樹脂分にたいして10wt%の不織布(商品名:EL-5590、日本バイリーン(株)製)を2プライ置き更に上からポリエステルフィルムをかぶせ、ローラーにて含浸、脱泡を行い、ゲル化後、両面にポリエステルフィルムを付けたまま、80℃、2時間後硬化し、ポリエステルフィルムを離型し、表面タックのないフレキシブルシートを得た。
【0049】
このシートを実施例1と同様にしてベランダ部分のコンクリート面に施工処理した。この防水層から30×30cmの形状にサンプルを採取した。実施例1同様の冷熱繰り返し試験を行ったところ、3サイクルで剥離が生じた。
【0050】
比較例2
比較例1で調製したシートを、実施例3と同様にしてベランダ部分のコンクリート面に施工処理した。この防水層から30×30cmの形状にサンプルを採取した。実施例1同様の冷熱繰り返し試験を行ったところ、3サイクルで剥離が生じた。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、特定のフレキシブルシートを利用することにより施工性に優れたシート防水工法及びその防水構造体を提供することができる。特に本発明は、低温での柔軟性に優れ、耐水性を有し、表面に耐候性、耐久性に優れるウレタンアクリレート樹脂を用いてなるフレキシブルシートを用いることにより、施工性に優れるシート防水施工方法、それによる防水構造体及びフレキシブルシートの製造方法を提供できる。

Claims (4)

  1. 耐候性、耐久性に優れる表面被覆層と、(A)ウレタンアクリレート樹脂と(B)重合性不飽和単量体とからなる硬化性樹脂組成物と引張伸び率が常温で30%以上の繊維強化材(C)を含浸した層が積層硬化し、一体化したことを特徴とする土木建築構造物用フレキシブルシート。
  2. 前記ウレタンアクリレート樹脂(A)が、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと活性水素を有するアクリル化合物から得られるものであることを特徴とする請求項1記載の土木建築構造物用フレキシブルシート。
  3. 前記繊維強化材(C)がポリオレフィン系及びポリエステル系不織布からなるなることを特徴とする請求項1〜2いずれか記載の土木建築構造物用フレキシブルシート。
  4. 請求項1〜いずれか記載の土木建築構造物用フレキシブルシートを基体上にJIS K−6301で規定する引張試験において引張伸び率が30%以上を有する合成樹脂接着剤を介して敷設することを特徴とするシート防水工法。
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