JPH1035196A - 水圧転写用シート、該水圧転写用シートによる転写層を有する成形体の製造方法、及び該水圧転写用シートによる転写層を有する成形体 - Google Patents

水圧転写用シート、該水圧転写用シートによる転写層を有する成形体の製造方法、及び該水圧転写用シートによる転写層を有する成形体

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JPH1035196A
JPH1035196A JP21197796A JP21197796A JPH1035196A JP H1035196 A JPH1035196 A JP H1035196A JP 21197796 A JP21197796 A JP 21197796A JP 21197796 A JP21197796 A JP 21197796A JP H1035196 A JPH1035196 A JP H1035196A
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JP21197796A
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Mitsutoyo Miyakoshi
光豊 宮越
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写用シートに形成した転写用の印刷層の
輪郭形状及び厚さを忠実に近い状態に再現してなること
によって鮮鋭性に優れ、しかも焼き付け塗装のような高
熱に曝されても黄変したり褪色したりすることのない転
写層を形成することのできる水圧転写用シート、該水圧
転写用シートによる転写層を有する成形体の製造方法、
及び該水圧転写用シートによる転写層を有する成形体を
提供すること。 【解決手段】 水溶性もしくは水膨潤性を有する基材
フィルムと、セルロースアセテートブチレート樹脂をビ
ヒクルとする印刷インキで形成してある転写用の印刷層
とを有する水圧転写用シート、該水圧転写用シートによ
る転写層を有する成形体の製造方法、及び該水圧転写用
シートによる転写層を有する成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として凹凸によ
る立体面や曲面を有する成形体の表面に転写層を形成す
るのに好適な水圧転写用シート、該水圧転写用シートに
よる転写層を有する成形体の製造方法、及び該水圧転写
用シートによる転写層を有する成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】主として凹凸による立体面や曲面を有す
る成形体の表面に対して、意匠性を付与したり又は表面
物性を向上させたりする目的で以って、転写層を形成す
ることがしばしば行なわれている。
【0003】この転写層を形成する1手段として、表面
に転写用の印刷層を形成した水溶性又は水膨潤性フィル
ムからなる水圧転写用シートを、該水圧転写用シートに
おける転写用の印刷層面を上面にして水面に浮かべた
後、被転写体である各種の成形体をその上方から押し入
れることにより、水圧を利用して成形体の表面に水圧転
写用シートにおける転写用の印刷層を転写する方法が知
られている(特公昭52−41683号公報、特開昭5
4−33115号公報)。
【0004】そしてこの水圧転写法に使用する水圧転写
用シートには、従来ニトロセルロースをビヒクルとする
印刷インキによる印刷層を有するものが利用されてお
り、このニトロセルロースをビヒクルとする印刷インキ
による印刷層は、水圧転写に際して、該印刷層に溶剤を
塗布してこの印刷層を膨潤、溶解させて粘着性を発現さ
せる所謂活性化を行なうと、軟化して著しく変形し、流
動し易くなるという性質を有している。
【0005】そして、上記の水圧転写方式においては、
基材フィルムの性質である水溶性又は水膨潤性を利用し
て該水圧転写用シートを水面に展延させながら、転写用
の印刷層を所定の成形体の表面に転写するものであるた
め、基材フィルムの延展によって転写用の印刷層が大き
く変形して拡大する。
【0006】従って、水圧転写用シートにおける転写用
の印刷層をそのままの歪みの無い形状で転写することが
困難であり、転写層が鮮鋭性に欠けるという欠点を有す
る。なお、転写用の印刷層がベタ刷りの印刷層である場
合においても、過度に印刷層が延展、流動すると、印刷
層の濃度の低下や色ムラ等を生じるために、好ましくな
い。
【0007】又、従来の水圧転写方式によって転写層を
形成した成形体においては、水圧転写用シートにおける
転写用の印刷層に使用されているビヒクルが熱によって
黄変するため、被転写体に転写層を転写した後に例えば
熱硬化型樹脂による塗工層の硬化のための加熱を付す
と、転写層中のビヒクルが黄変することから、転写層自
体の地肌が黄変したり、転写層の色彩が褪色したりする
欠点を有する。
【0008】なお、特公平7−439号公報に説明され
ているような焼き付け硬化型樹脂をビヒクルとする転写
用の印刷層を転写した成形体の場合には、上記の転写層
中のビヒクルが黄変する問題はないが、この焼き付け硬
化型樹脂をビヒクルとする転写用の印刷層を有する水圧
転写用シートは、時間の経過と共に印刷層中のビヒクル
が徐々に硬化する。このために、水圧転写の際に、転写
用の印刷層を予め決定しておいた所定の活性化条件で活
性化することができなく、製造後の水圧転写用シートを
長時間に亙ってストックしておくことができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、水圧転写用シートに形成した転写用の印刷層を忠実
に再現した状態に近い鮮鋭性に優れた転写層を形成する
ことのできる水圧転写用シート、該水圧転写用シートに
よる転写層を有する成形体の製造方法、及び該水圧転写
用シートによる転写層を有する成形体を提供することに
ある。
【0010】又本発明の別の目的は、水圧転写用シート
の製造後の時間の経過によって、水圧転写工程での転写
用の印刷層の活性化条件を変える必要がなく、又例えば
熱硬化型樹脂による塗工層の硬化のための加熱を経て
も、地肌が黄変したり色彩が褪色したりすることのない
転写層を形成することのできる水圧転写用シート、該水
圧転写用シートによる転写層を有する成形体の製造方
法、及び該水圧転写用シートによる転写層を有する成形
体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、以下の構
成による本発明の水圧転写用シート、該水圧転写用シー
トによる転写層を有する成形体の製造方法、及び該水圧
転写用シートによる転写層を有する成形体によって解決
される。
【0012】すなわち本発明の水圧転写用シートは、水
溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムと、セルロ
ースアセテートブチレート樹脂をビヒクルとする印刷イ
ンキによって形成してある転写用の印刷層とを具備して
なるものである。
【0013】又、本発明の水圧転写による転写層を有す
る成形体の製造方法は、水溶性もしくは水膨潤性を有す
る基材フィルムと、セルロースアセテートブチレート樹
脂をビヒクルとする印刷インキによって形成してある転
写用の印刷層とを具備する水圧転写用シートを水面に浮
かべた後、被転写体をその上方から押し入れることによ
り、水圧を利用して成形体の表面に転写用の印刷層を転
写することからなる。
【0014】更に本発明の水圧転写による転写層を有す
る成形体の製造方法は、成形体の被転写面に未硬化又は
半硬化状態の熱硬化型樹脂による塗工層を形成した後、
該成形体におけるこの未硬化又は半硬化状態の熱硬化型
樹脂による塗工層面に、水溶性もしくは水膨潤性を有す
る基材フィルムとセルロースアセテートブチレート樹脂
をビヒクルとする印刷インキによって形成してある転写
用の印刷層とを具備してなる水圧転写用シートの前記転
写用の印刷層を、水圧によって転写し、次いで前記成形
体の被転写面に形成してある未硬化又は半硬化状態の熱
硬化型樹脂による塗工層を硬化させることからなる。
【0015】更に又、本発明の水圧転写による転写層を
有する成形体の製造方法は、成形体の被転写面に、水溶
性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムとセルロース
アセテートブチレート樹脂をビヒクルとする印刷インキ
によって形成してある転写用の印刷層とを具備してなる
水圧転写用シートの前記転写用の印刷層を、水圧によっ
て転写した後、前記転写用の印刷層の転写面に熱硬化型
樹脂による塗工層を形成し、次いでこの塗工層を硬化さ
せることからなる。
【0016】更に本発明の水圧転写による転写層を有す
る成形体の製造方法は、成形体の被転写面に未硬化又は
半硬化状態の熱硬化型樹脂による塗工層を形成した後、
該成形体におけるこの未硬化又は半硬化状態の熱硬化型
樹脂による塗工層面に、水溶性もしくは水膨潤性を有す
る基材フィルムとセルロースアセテートブチレート樹脂
をビヒクルとする印刷インキによって形成してある転写
用の印刷層とを具備してなる水圧転写用シートの前記転
写用の印刷層を、水圧によって転写し、続いてこの転写
用の印刷層の転写面に熱硬化型樹脂による塗工層を形成
し、次いで前記成形体の被転写面に形成してある未硬化
又は半硬化状態の熱硬化型樹脂による塗工層と、転写用
の印刷層の転写面に形成してある熱硬化型樹脂による塗
工層とを硬化させることからなる。
【0017】本発明の水圧転写による転写層を有する成
形体は、前記転写層が、セルロースアセテートブチレー
ト樹脂をビヒクルとする印刷インキによる印刷層からな
るものである。
【0018】又本発明の水圧転写による転写層を有する
成形体は、成形体の被転写面に熱硬化型樹脂の硬化塗膜
が形成されており、該硬化塗膜の上にセルロースアセテ
ートブチレート樹脂をビヒクルとする印刷インキによる
印刷層を水圧転写した転写層を有してなるものであり、
又本発明の水圧転写による転写層を有する成形体は、セ
ルロースアセテートブチレート樹脂をビヒクルとする印
刷インキによる印刷層を水圧転写した転写層の上に、熱
硬化型樹脂の硬化塗膜が形成されてなるものであり、更
に又本発明の水圧転写による転写層を有する成形体は、
成形体の被転写面熱硬化型樹脂の硬化塗膜が形成されて
おり、該硬化塗膜の上にセルロースアセテートブチレー
ト樹脂をビヒクルとする印刷インキによる印刷層を水圧
転写した転写層を有し、更にこの転写層の上に熱硬化型
樹脂の硬化塗膜が形成されてなるものである。
【0019】
【作用】本発明の水圧転写用シートは、水圧によって被
転写体に転写される転写用の印刷層をセルロースアセテ
ートブチレート樹脂をビヒクルとする印刷インキによっ
て形成してあるために、例えば230℃、40分程度の
焼き付け硬化条件の加熱に曝しても、この印刷層のビヒ
クルが黄変することがない。
【0020】又、本発明の水圧転写用シートにおける転
写用の印刷層は、上記の通りセルロースアセテートブチ
レート樹脂をビヒクルとする印刷インキによって形成し
てある。このために水圧転写を行なう際に、この印刷層
に接着力を発現させるための該印刷層を膨潤乃至は一部
溶解させる所謂活性剤による活性化を行なったときに、
この印刷層の軟化、流動の程度が極めて小さい。これに
より、本発明の水圧転写用シートにおける上記の転写用
の印刷層は、水圧転写の際に水中で軟化、延展する基材
フィルムの伸びを抑制するように有効に働く。
【0021】従って、本発明の水圧転写用シートによれ
ば、該水圧転写用シートに形成してある転写用の印刷層
を、そのままの歪みの無い形状で被転写体に転写するこ
とができ、転写用シートに形成した転写用の印刷層を、
その輪郭形状及び厚さの両面において、忠実に再現した
状態に近い鮮鋭性に優れた転写層を被転写体に形成する
ことができる。
【0022】又、本発明の水圧転写用シートにおける転
写用の印刷層は、硬化型皮膜を形成する際の焼き付け硬
化の加熱を受けても黄変することがないので、被転写体
に転写した後の転写層を、後工程によって焼き付け硬化
する硬化塗膜との組み合わせ構成にしても、該硬化塗膜
の硬化の際の加熱によって黄変したり褪色することのな
い転写層を形成することができる。
【0023】更に、本発明の水圧転写用シートにおける
転写用の印刷層は、水圧転写用シートの製造後の時間の
経過と共に該印刷層中のビヒクルが徐々に硬化するよう
なことがなく、製造後の水圧転写用シートを長時間に亙
ってストックしておくことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の水圧転写用シートは、水
溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムと、転写用
の印刷層とを有するものであって、前記転写用の印刷層
をセルロースアセテートブチレート樹脂をビヒクルとす
る印刷インキで形成してなるものである。
【0025】上記の水圧転写用シートにおいて、水溶性
もしくは水膨潤性を有する基材フィルムとして好適なも
のは、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂フィルムで
ある。ポリビニルアルコール樹脂フィルムは、ポリビニ
ルアルコールの重合度、ケン化度、及び澱粉やゴム等の
添加剤の配合量等を変えることにより、基材フィルムに
対して転写用の印刷層を形成する際に必要な機械的強
度、取り扱い中の耐湿性、水面に浮かべてからの吸水に
よる柔軟化の速度、水中での延展又は拡散に要する時
間、水圧転写工程での水中での変形のし易さ等を適宜調
節することができる。
【0026】なお、ポリビニルアルコール樹脂フィルム
は水溶性ではあるが、水に溶解する前段階では水に膨潤
して軟化しつつもフィルムとして存続するので、好まし
くはフィルムとして存続している状態にあるときに水圧
転写を行なうことにより、水圧転写時の転写用の印刷層
の過度の流動、変形を防止するようにするのがよい。
【0027】特にポリビニルアルコール樹脂フィルムか
らなる基材フィルムとして好適なものは、特開昭54−
92406号公報に説明されているようなものであり、
PVA樹脂・・・・80重量%、高分子水溶性樹脂・・・・15
重量%、澱粉・・・・5重量%の混合組成からなり、平衡水
分3%程度のものである。
【0028】水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィ
ルムとしては、上記のポリビニルアルコール樹脂フィル
ム以外にも、水溶性もしくは水膨潤性を有するものであ
ればよく、例えば、デキストリン、ゼラチン、にかわ、
カゼイン、シェラック、アラビアゴム、澱粉、ポリアク
リル酸アミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルメチ
ルエーテル、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸と
の共重合体、酢酸ビニルとイタコン酸との共重合体、ポ
リビニルピロリドン、セルロース、アセチルセルロー
ス、アセチルブチルセルロース、カルボキシメチルセル
ロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、アルギン酸ソーダ等によるフィ
ルムを使用することができる。
【0029】この水溶性もしくは水膨潤性を有する基材
フィルムとしては、10〜100μm、好ましくは20
〜60μm程度の厚さのものを使用するのがよい。
【0030】なお、上記の水溶性もしくは水膨潤性を有
する基材フィルムは、例えば紙、不織布、布等の水浸透
性を有する基材と積層して使用することもできるが、こ
のような水浸透性を有する基材と水溶性もしくは水膨潤
性を有する基材フィルムとを積層したときには、水圧転
写用シートを水面に浮かべる前に前記水浸透性を有する
基材を水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムか
ら分離させるか、又は水面に浮かべた後の水の作用によ
って水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムから
前記水浸透性を有する基材が分離するように構成してお
くことが好ましい。
【0031】水圧転写用の印刷層を上記の水溶性もしく
は水膨潤性を有する基材フィルムに形成するための印刷
インキ、つまりセルロースアセテートブチレート樹脂を
ビヒクルとする印刷インキには、0.5〜10重量%程
度の紫外線吸収剤や、同じく0.5〜10重量%程度の
光安定剤を添加してもよいすることにより、転写用の印
刷層によって成形体の表面に形成される転写層の耐候性
を高めることができる。
【0032】上記の紫外線吸収剤としては、例えばベン
ゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル
等の有機系化合物や、粒径0.2μm以下の微粒子状の
酸化亜鉛、酸化セリウム等の無機質系化合物を、又、光
安定剤としては、例えばビス−(2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダー
ドアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉
剤等のラジカル捕捉剤を使用することができる。
【0033】転写用の印刷層を形成するための上記の印
刷インキには、着色剤の配合を必ずしも必要としない
が、着色による意匠性の高い転写層を得る目的で以っ
て、印刷層を形成するための印刷インキ中に着色剤を配
合するときには、耐候性に優れた着色剤、例えばイソイ
ンドリノン(40黄)、キナクリドン(15赤)、ペリ
レン(100赤)、フタロシアニンブルー(青)、アニ
リンブラック(黒)、縮合アゾ/キナクリドン(耐候
赤)等からなる有機顔料、黄鉛(黄)、チタンイエロー
(黄)、弁柄(赤)、カドミウムレッド(赤)、コバル
トブルー(青)、群青(青)、カーボン(黒)、チタン
白(白)等からなる無機顔料を使用することにより、転
写層の耐候性を高めることができる。
【0034】又、転写用の印刷層を形成するための上記
の印刷インキ中には、セルロースアセテートブチレート
樹脂をビヒクルとする印刷インキのセルロースアセテー
トブチレート樹脂による上記の特性を損なわない範囲に
おいて、その他の樹脂を適量添加してもよい。
【0035】更に、転写用の印刷層を形成するための上
記の印刷インキには、必要に応じて、炭酸カルシウム、
マイクロシリカ等の体質顔料を充填剤として添加しても
よい。
【0036】本発明の水圧転写用シートにおける転写用
の印刷層は、上記のセルロースアセテートブチレート樹
脂をビヒクルとする印刷インキにより、例えば凹版印刷
方式、平版印刷方式、凸版印刷方式、スクリーン印刷方
式等による印刷方法、はけ塗り、へら塗り、吹付け塗り
等の塗布方法、筆等による描画等の公知の方法により、
ベタ刷り、又は文字、図形、記号、各種の絵柄等の任意
の形状、更にはベタ刷りと文字、図形、記号、各種の絵
柄との組み合わせ等に形成される。
【0037】本発明の水圧転写用シートによる転写層を
有する成形体の製造方法は、上記の転写用の印刷層をセ
ルロースアセテートブチレート樹脂をビヒクルとする印
刷インキによって形成してなる水圧転写用シートを使用
するものであり、この水圧転写用シートを水面に浮かべ
た後、被転写体をその上方から押し入れることにより、
水圧を利用して成形体の表面に転写用の印刷層を転写す
ることからなる。
【0038】つまり、本発明の水圧転写用シートによる
転写層を有する成形体の製造方法は、転写用の印刷層を
セルロースアセテートブチレート樹脂をビヒクルとする
印刷インキによって形成してなる水圧転写用シートを水
面に浮かべると共に、該水圧転写用シートにおける転写
用の印刷層を活性化させる第1工程と、水面に浮いてい
る水圧転写用シートの上方から、所定の成形体からなる
被転写体を被転写面が下方になるようにして降下させる
第2工程と、水圧転写用シートにおける転写用の印刷層
が被転写体の表面に十分に固着した後に、該水圧転写用
シートにおける基材フィルムを除去する第3工程と、被
転写面に転写用の印刷層を転写させた被転写体を十分に
乾燥させて目的製品を得る第4工程とからなる。
【0039】より詳しく説明すると、本発明の水圧転写
用シートによる転写層を有する成形体の製造方法の上記
の第1工程は、水圧転写用シートにおける基材フィル
ム、すなわち、水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フ
ィルム側が下を向くようにして水圧転写用シートを水面
に浮かべた後、この転写用シートの上面に、該転写用シ
ートにおける転写用の印刷層中のビヒクル成分を活性化
させる、つまり印刷層に接着力を発現させるための活性
剤を塗布するか、または転写用シートにおける転写用の
印刷層の形成面に、該転写用シートにおける転写用の印
刷層中のビヒクル成分を活性化させるための活性剤を塗
布した後に、これを転写用シートにおける基材フィルム
面が下側となるようにして水面に浮かべる工程からな
る。
【0040】水圧転写用シートを水面に浮かべるこの第
1工程において、水面に浮かべた水圧転写用シートに上
方からのブロアーを適用するようにすれば、水圧転写用
シートを水面に密着させた状態にすることができる。
【0041】水圧転写用シートにおける転写用の印刷層
の形成面に適用する上記の活性剤は、該水圧転写用シー
トにおける転写用の印刷層を溶解〜膨潤させる溶剤を含
有するものであって、プラスチック成形体、金属成形
体、陶磁器、ガラス、セメント成形体、木質成形体等の
被転写体の表面に転写用の印刷層を転写させる工程が水
中で完了するまでは蒸発することがなく、しかも被転写
体の被転写面を侵食することのない溶剤を含有するもの
が好ましい。
【0042】このような溶剤の具体例としては、ペンタ
ン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン等、あるいはこれら
の混合液であるガソリン,石油,ベンジン,ミネラルス
ピリット,石油ナフサ等の脂肪族炭化水素類、ベンゼ
ン,トルエン,キシレン,シクロヘキサン,エチルベン
ゼン等の芳香族炭化水素類、トリクロルエチレン,パー
クロルエチレン,クロロホルム,四塩化炭素等のハロゲ
ン化炭化水素類、メチルアルコール,エチルアルコー
ル,プロピルアルコール,ブチルアルコール,アミルア
ルコール,ベンジルアルコール,ジアセトンアルコール
等の一価のアルコール類、エチレングリコール,プロピ
レングリコール,グリセリン等の多価アルコール類、ア
セトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケト
ン,シクロヘキサノン,メチルシクロヘキサノン,イソ
ホロン等のケトン類、エチルエーテル,イソプロピルエ
ーテル,エチレングリコール・モノ・メチルエーテル,
エチレングリコール・モノ・エチルエーテル,ジエチレ
ングリコール・モノ・メチルエーテル,ジエチレングリ
コール・モノ・エチルエーテル,ジエチレングリコール
・モノ・ブチルエーテル,ジエチレングリコール・ジ・
ブチルエーテル等のエーテル類、エチレングリコール・
モノ・メチルエーテル・アセテート,エチレングリコー
ル・モノ・エチルエーテル・アセテート,ジエチレング
リコール・モノ・メチルエーテル・アセテート,ジエチ
レングリコール・モノ・エチルエーテル・アセテート,
ジエチレングリコール・モノ・ブチルエーテル・アセテ
ート等の酢酸エステル類、酪酸エステル等のエステル
類、ニトロ炭化水素類、ニトリル類、アミン類、その他
アセタール類、酸類、フラン類等の単独、あるいは混合
溶剤を使用し得る。
【0043】転写用の印刷層を活性化させる活性剤とし
て、上記の溶剤に溶解する樹脂を該溶剤の5〜60重量
%程度配合することにより、活性剤の粘度調整を行なう
ことができ、かつ活性剤の塗布手段を限定されるような
ことがなくなり、しかも水圧転写用シートにおける転写
用の印刷層のインキの活性保持時間が長くなるので転写
工程に長時間を掛けることができるようになる。
【0044】活性剤中の溶剤に溶解する樹脂としては、
例えば塩化ビニル,塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニ
ル単量体、スチレンならびにその誘導体、酢酸ビニル等
のビニルエステル単量体、アリルアルコール及びアリル
エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、
クロトン酸、マレイン酸又はフマール酸等の不飽和カル
ボン酸類、これらの不飽和カルボン酸類のエステル誘導
体、同じくこれらの不飽和カルボン酸類のニトリル誘導
体や酸アミド誘導体、これらの不飽和カルボン酸類の酸
アミド誘導体のN−メチロール誘導体及び同じくN−ア
ルキルメチロールエーテル誘導体、グリシジルアクリレ
ート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエ
ーテル、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネー
ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレング
リコール−モノ(メタ)アクリレート、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、メチルビニルケトン、ブタジエ
ン、エチレン、プロピレン、ジメチルアミノエチルメタ
クリレート、ビニルピリジン、tert−ブチルアミノ
エチルメタクリレート、多価アルコールのモノアリルエ
ーテル等の単独重合体あるいは共重合体類からなる熱可
塑性樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フ
ェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、エポキシ
系樹脂、フタル酸ジアリル系樹脂、ケイ素樹脂、ポリウ
レタン系樹脂等の熱硬化性樹脂、またはそれらの変性樹
脂、もしくは初期縮合物、天然樹脂、ロジン及びその誘
導体、天然又は合成ゴム、石油樹脂等を使用し得る。
【0045】更に上記の活性剤には、必要に応じて、硫
酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ等の粉末からなる
体質顔料を添加してもよい。
【0046】活性剤の塗布手段としては、グラビアコー
ト,オフセットグラビアコート,ロールコート,バーコ
ート,スプレーコート,超音波コート等を利用すること
ができ、活性剤を2〜30g/m2 程度、好ましくは3
〜15g/m2 程度に塗布するのがよい。
【0047】水圧転写用シートを水面に浮かべるには、
枚葉状のものを1枚宛浮かべることもできるし、又水を
一定方向に流しながら巻き取り状のものを連続的に送り
出しながら水面に浮かべることもできる。
【0048】前記水圧転写用シートを水面に浮かべる際
の水は、水圧転写用シートにおける基材フィルム、すな
わち、水溶性もしくは水膨潤性を有する基材フィルムの
性質により、温度等を適宜に調整する。
【0049】前記第1工程に続く第2工程では、水面に
浮いている水圧転写用シートの上方から、各種の成形体
からなる被転写体を、被転写面が下方になるようにして
降下させると共に、水圧転写用シートと被転写体との間
に気泡が入らないようにしながら水圧転写用シートを被
転写体の被転写面に沿って延展させ、水圧により被転写
面と水圧転写用シートとを密接させる。
【0050】なお、被転写体の被転写面には、水圧転写
用シートにおける転写用の印刷層の表面との間の密着性
を良好にさせるための例えばイソシアネート系樹脂等に
よるプライマー層を予め形成して置くこともできる。
【0051】続く第3工程では、水圧転写用シートにお
ける転写用の印刷層が被転写体の表面に十分に固着した
後に、該水圧転写用シートにおける基材フィルムを除去
する。この第3工程における基材フィルムの除去方法と
しては、水を用いて被転写体をシャワー洗滌するのが最
も能率的で好ましい方法である。
【0052】これにより、被転写体の表面に付着した基
材フィルムを完全に除去し得ると共に、転写の際に生ず
る汚れも洗滌し得る。このときに利用する水の温度は、
利用した転写用シートにおける基材フィルムの材質など
によっても異なるが、一般的には15〜60℃程度が適
当であり、また洗滌時間は1〜10分程度で十分であ
る。
【0053】最終工程である第4工程では、被転写面に
転写層を転写させた被転写体を十分に乾燥させ、目的製
品である転写層を有する所定の成形体を得る。
【0054】上記の工程からなる本発明の水圧転写用シ
ートによる転写層を有する成形体の製造方法において、
水圧転写を施す被転写体として成形体の被転写面に未硬
化又は半硬化状態の熱硬化型樹脂による塗工層を形成し
てあるものを使用するとき、及び/又は前記の転写用の
印刷層の転写を行なった後に更に該転写面に熱硬化型樹
脂による塗工層を形成する工程をとるときの熱硬化型樹
脂には、例えば弗素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹
脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエス
テル樹脂等からなる単量体、又はプレポリマーを使用す
る。従って、この熱硬化型樹脂による塗工層は、後工程
での焼き付け(加熱)処理によって、前記単量体又はプ
レポリマーが重合、架橋反応して3次元構造の高分子を
形成し、耐久性及び錆止め防止性等を備える硬化皮膜に
なる。
【0055】これらの熱硬化型樹脂の単量体又はプレポ
リマー中には、通常、重合触媒、重合開始剤、硬化剤等
が添加される。例えば不飽和ポリエステルに対しては、
有機過酸化物、有機スルホン酸塩、多価イソシアネー
ト、スチレンモノマー等が、又ウレタン樹脂に対して
は、多価イソシアネートが、水酸基含有弗化炭素樹脂に
対しては、多価イソシアネート、メラミン等が、エポシ
キ樹脂に対してはアミン等が添加される。
【0056】又、この熱硬化型樹脂による塗工層に紫外
線吸収剤や光安定剤を含有させることにより、焼き付け
処理によって形成される硬化皮膜の耐候性を高めるのが
よい。
【0057】なお、上記の半硬化状態の熱硬化型樹脂に
よる塗工層とは、熱硬化型樹脂による塗工層の硬化反応
が完全には終了していない状態を意味するものであり、
熱硬化型樹脂による塗工層の硬化反応が、必ずしも50
%にあることを意味するものではない。
【0058】しかして、上記の後工程での焼き付け処理
によって硬化皮膜を形成する工程を付加する転写層を有
する成形体の製造方法は、例えばフェノール樹脂等の耐
熱性プラスチック成形体、アルミニウムや鉄等の金属成
形体、陶磁器、耐熱ガラス、セメント成形体等に対して
適用するのがよい。成形体の形状は、平板、曲面板、各
種の3次元形状をなす立体成形体等のいかなるものであ
ってもよい。
【0059】なお、この熱硬化型樹脂による塗工層を硬
化させるための焼き付け工程は、塗工層の樹脂の種類に
もよるが、通常130〜230℃、1〜40分というよ
うな条件が適用される。
【0060】本発明の水圧転写による転写層を有する成
形体は、該成形体における転写層が、セルロースアセテ
ートブチレート樹脂をビヒクルとする印刷インキによる
印刷層からなるものであり、上記の本発明の水圧転写用
シートによる転写層を有する成形体の製造方法によって
得られる。
【0061】水圧転写によって被転写面に形成されてい
る転写層(印刷層)は、一連の塗膜からなる被覆層であ
っても、又は模様をなすものであっても、更には模様層
と該模様層の上に該模様層を被覆するようにして形成さ
れている一連の塗膜からなる被覆層との組み合わせであ
ってもよい。
【0062】
【実施例】以下、本発明の水圧転写用シート、該水圧転
写用シートによる転写層を有する成形体の製造方法、及
び該水圧転写用シートによる転写層を有する成形体につ
いてのより具体的な構成を、実施例に基づいて説明す
る。
【0063】実施例1 下記の組成成分(1)からなる白色の印刷用インキを製
造した。 組成成分(1) (1) 二酸化チタン顔料(粉末)・・・・・・・・・・・・・・・・10.0重量部 (2) セルロースアセテートブチレート樹脂・・・・・・29.9重量部 (3) 四弗化エチレン樹脂による弗素ワックス(分散剤) ・・・・・・・・ 3.0重量部 (4) メチルエチルケトン(真溶剤)・・・・・・・・・・・・10.0重量部 (5) 遅乾溶剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47.1重量部 遅乾溶剤 (1) トルエン:24.5重量部 (2) 酢酸エチル:10.0重量部 (3) 酢酸ブチル:12.6重量部
【0064】次いで、ポリビニルアルコールと澱粉との
混合物による厚さ40μmの水溶性フィルム(日本合成
フィルム (株) :ハイセロン)からなる基材フィルムの
表面に、上記の印刷用の白色インキにより、線幅1m
m、線の中心から並列隣接する線の中心迄の距離5mm
の碁盤目模様からなる転写用の印刷層を、グラビア印刷
法によって形成し、本発明の実施例品である水圧転写用
シートを得た。
【0065】実施例2 実施例1で得られた枚葉の水圧転写用シートにおける転
写用の印刷層面に、下記の混合組成(2)による活性剤
をスプレー塗工法によって13g/m2 に塗布した後、
水温30℃の水面に前記活性剤を塗布してある転写用の
印刷層面が上面になるようにして浮かべ、1分経過した
後に、被転写面にヘキサメチレンジイソシアネートとア
クリルポリオールとを含有するウレタン樹脂コーティン
グ剤の塗工層を有する鋼製の平板成形体を上方から押し
入れ、該成形体の表面に転写用シートを延展,密着させ
た。
【0066】次いで、表面に水圧転写用シートが延展,
密着している上記の鋼製の平板成形体を水中から引き出
し、40℃の温水で30分間シャワーした後、さらに清
水でシャワーし、水圧転写用シートにおける基材フィル
ムを除去し、続いて乾燥工程を経ることにより、水圧転
写による白色の碁盤目模様の転写層を有する鋼製の成形
体(A)を得た。
【0067】活性剤の混合組成(2) (1) ブチルセロソルブアセテート・・・・・・・・26重量部 (2) ブチルカルビトールアセテート・・・・・・26重量部 (3) ブチルメタクリレート重合体・・・・・・・・ 8重量部 (4) ジブチルフタレート・・・・・・・・・・・・・・・・20重量部 (5) 硫酸バリウム(粉末)・・・・・・・・・・・・・・20重量部
【0068】更に続いて、上記の鋼製の成形体(A)を
230℃、40分の焼き付け処理に付すことにより、被
転写体の転写面に形成してある塗工層を硬化して硬化皮
膜になし、白色の碁盤目模様の転写層を有する鋼製の成
形体(B)を得た。
【0069】比較例1 前記実施例1にて説明した印刷用の着色インキの組成に
おいて、セルロースアセテートブチレート樹脂によるビ
ヒクルの代わりに、ニトロセルロース100重量部とア
ルキッド樹脂25重量部との混合樹脂からなるビヒクル
を使用した白色の印刷インキにて、前記実施例1と同様
の処方により、線幅1mm、線の中心から並列隣接する
線の中心迄の距離5mmの碁盤目模様をグラビア印刷法
によって形成し、比較のための水圧転写用シートを得
た。
【0070】比較例2 比較例1で得た枚葉の水圧転写用シートを使用して、前
記実施例2と同様の処方によって、被転写面にヘキサメ
チレンジイソシアネートとアクリルポリオールとを含有
するコーティング剤の塗工層を有する鋼製の平板成形体
の表面に水圧転写を行なうことにより、水圧転写による
白色の碁盤目模様の転写層を有する鋼製の成形体(C)
を得た。
【0071】続いて、上記の鋼製の成形体(C)を23
0℃、40分の焼き付け処理に付すことにより、被転写
体の転写面に形成してある塗工層を硬化して硬化皮膜に
なし、白色の碁盤目模様の転写層を有する鋼製の成形体
(D)を得た。
【0072】[試験]実施例2及び比較例2によって得
られた各白色の碁盤目模様の転写層を有する鋼製の成形
体(B)及び(D)の碁盤目模様の鮮鋭性を、碁盤目模
様の格子の歪みの有,無の状態を目視観察することによ
って判定した。
【0073】又、同じく目視観察によって、各碁盤目模
様の転写層を有する鋼製の成形体(B)及び(D)の白
色の碁盤目模様の白色の状態を、焼き付け処理を行なう
前の鋼製の成形体(A)及び(C)の碁盤目模様の白色
状態と比較した。これらの各結果を[表1]にまとめて
示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】本発明の水圧転写用シートは、水圧によ
って被転写体に転写される印刷層を、セルロースアセテ
ートブチレート樹脂をビヒクルとする印刷インキで形成
してあるために、例えば230℃、40分程度の焼き付
け硬化条件の加熱に曝しても、この印刷層中のビヒクル
が黄変することがない。
【0076】又、本発明の水圧転写用シートは、該水圧
転写用シートにおける上記の転写用の印刷層を、上記の
通りセルロースアセテートブチレート樹脂をビヒクルと
する印刷インキによって形成してあるために、水圧転写
を行なう際に活性剤の塗布によってこの印刷層に接着力
を発現させる活性化を行なったときに、この印刷層の軟
化、流動の程度が極めて小さく、これによって本発明の
水圧転写用シートにおける上記の転写用の印刷層は、水
圧転写の際に水中で軟化、延展する基材フィルムの伸び
を抑制するように有効に働く。
【0077】従って、本発明の水圧転写用シートによれ
ば、該水圧転写用シートに形成してある転写用の印刷層
を、そのままの歪みの無い形状で被転写体に転写するこ
とができ、転写用シートに形成した転写用の印刷層を、
その輪郭形状及び厚さの両面において、忠実に再現した
状態に近い鮮鋭性に優れた転写層を被転写体に形成する
ことができる。
【0078】又、本発明の水圧転写用シートにおける転
写用の印刷層は、硬化型皮膜を形成する際の焼き付け硬
化の加熱を受けても黄変することがないので、被転写体
に転写した後の転写層を、後工程によって焼き付け硬化
する硬化塗膜との組み合わせ構成にしても、該硬化塗膜
の硬化の際の加熱によって黄変したり褪色することのな
い転写層を形成することができる。
【0079】このために、本発明の水圧転写用シートに
よる転写層を転写してなる成形体は、例えば車両用の外
装材、建築物の外壁、屋根、窓枠等の外装材、容器、
扉、塀、冷蔵庫等の電気機器のキャビネット、外板等と
して好適である。
【0080】更に、本発明の水圧転写用シートにおける
転写用の印刷層は、水圧転写用シートの製造後の時間の
経過と共に該印刷層中のビヒクルが徐々に硬化するよう
なことがないため、製造後の水圧転写用シートを長時間
に亙ってストックしておくことができるという取り扱い
容易性に優れている。
【0081】又、本発明の水圧転写シートによる転写層
を有する成形体の製造方法は、上記の特性を有する転写
層を有する成形体を、的確に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41M 3/12 B41M 3/12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性もしくは水膨潤性を有する基材
    フィルムと、セルロースアセテートブチレート樹脂をビ
    ヒクルとする印刷インキによって形成してある転写用の
    印刷層とを具備することを特徴とする水圧転写用シー
    ト。
  2. 【請求項2】 水溶性もしくは水膨潤性を有する基材
    フィルムと、セルロースアセテートブチレート樹脂をビ
    ヒクルとする印刷インキによって形成してある転写用の
    印刷層とを具備する水圧転写用シートを水面に浮かべた
    後、被転写体をその上方から押し入れることにより、水
    圧を利用して成形体の表面に転写用の印刷層を転写する
    ことを特徴とする転写層を有する成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】 成形体の被転写面に、未硬化又は半硬
    化状態の熱硬化型樹脂による塗工層を形成した後、該成
    形体におけるこの未硬化又は半硬化状態の熱硬化型樹脂
    による塗工層面に、水溶性もしくは水膨潤性を有する基
    材フィルムとセルロースアセテートブチレート樹脂をビ
    ヒクルとする印刷インキによって形成してある転写用の
    印刷層とを具備してなる水圧転写用シートの前記転写用
    の印刷層を、水圧によって転写し、次いで前記成形体の
    被転写面に形成してある未硬化又は半硬化状態の熱硬化
    型樹脂による塗工層を硬化させることを特徴とする転写
    層を有する成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 成形体の被転写面に、水溶性もしくは
    水膨潤性を有する基材フィルムとセルロースアセテート
    ブチレート樹脂をビヒクルとする印刷インキによって形
    成してある転写用の印刷層とを具備してなる水圧転写用
    シートの転写用の印刷層を、水圧によって転写した後、
    前記転写用の印刷層の転写面に熱硬化型樹脂による塗工
    層を形成し、次いでこの塗工層を硬化させることを特徴
    とする転写層を有する成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】 成形体の被転写面に、未硬化又は半硬
    化状態の熱硬化型樹脂による塗工層を形成した後、該成
    形体におけるこの未硬化又は半硬化状態の熱硬化型樹脂
    による塗工層面に、水溶性もしくは水膨潤性を有する基
    材フィルムとセルロースアセテートブチレート樹脂をビ
    ヒクルとする印刷インキによって形成してある転写用の
    印刷層とを具備してなる水圧転写用シートの前記転写用
    の印刷層を、水圧によって転写し、更にこの転写用の印
    刷層の転写面に熱硬化型樹脂による塗工層を形成し、次
    いで前記成形体の被転写面に形成してある未硬化又は半
    硬化状態の熱硬化型樹脂による塗工層と、転写用の印刷
    層の転写面に形成してある熱硬化型樹脂による塗工層と
    を硬化させることを特徴とする転写層を有する成形体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 水圧転写による転写層を有する成形体
    であって、前記転写層が、セルロースアセテートブチレ
    ート樹脂をビヒクルとする印刷インキによる印刷層であ
    ることを特徴とする水圧転写による転写層を有する成形
    体。
  7. 【請求項7】 成形体の被転写面、水圧転写による転
    写層の上、又は成形体の被転写面と水圧転写による転写
    層の上との両者に、熱硬化型樹脂の硬化塗膜が形成され
    ていることを特徴とする請求項6に記載の水圧転写によ
    る転写層を有する成形体。
JP21197796A 1996-07-23 1996-07-23 水圧転写用シート、該水圧転写用シートによる転写層を有する成形体の製造方法、及び該水圧転写用シートによる転写層を有する成形体 Pending JPH1035196A (ja)

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