JPH11198320A - 化粧シート - Google Patents

化粧シート

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JPH11198320A
JPH11198320A JP2154598A JP2154598A JPH11198320A JP H11198320 A JPH11198320 A JP H11198320A JP 2154598 A JP2154598 A JP 2154598A JP 2154598 A JP2154598 A JP 2154598A JP H11198320 A JPH11198320 A JP H11198320A
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decorative sheet
pattern
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polypropylene
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JP2154598A
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Tsutomu Ichihashi
市橋  力
Akira Kawai
明 川合
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 端部が目立ちにくく意匠効果が低下せず、塩
化ビニル樹脂ベースのものと同等の物性とする。 【解決手段】 基材シート1と絵柄着色層3と透明な表
面シート2とをこの順に積層してなり、基材シートの少
なくとも絵柄着色層側表面について、色相を絵柄着色層
の色相と概略合わせ、且つ光学濃度を絵柄着色層の光学
濃度の最も低い部分の値に合わせ、しかも、基材シート
が高密度ポリエチレン、又はポリプロピレンを主原料と
し、これにエラストマー、無機充填剤及び着色剤を添加
したものからなり、表面シートが、アイソタクチックポ
リプロピレンからなるハードセグメントとアタクチック
ポリプロピレンからなるソフトセグメントとを混合して
なる透明なオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる
構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来のポリ塩化ビ
ニルベースの化粧シートと同等の物性を有するオレフィ
ン系樹脂ベースの化粧シートに関し、また、絵柄模様の
印刷管理が容易で、且つ化粧シートの端部が目立ちにく
く、更に外装用途で使用時には褪色等で絵柄が劣化して
も劣化が目立ちにくい化粧シートに関する。本発明の化
粧シートは、壁材や床材や天井材などの内装建材、窓枠
や扉や手摺や柵などの外装建材、箪笥や机や戸棚などの
家具類、厨房流し台などの住設器機、テレビやラジオや
スピーカなどの弱電器機などの表面化粧に使用する。
【0002】
【従来の技術】従来の化粧シートには次のようなものが
あった。すなわち、晒したり、チタン白等の隠蔽性顔料
を添加した上質紙、薄葉紙等の白色系統の紙に、所望の
絵柄を印刷した化粧シート。あるいは、透明もしくは、
適当な隠蔽性着色顔料を添加した合成樹脂シートに所望
の絵柄を印刷した化粧シートなどである。また、従来か
ら必要に応じて紙や合成樹脂からなる基材シートについ
て、その色を印刷した絵柄の色に大略近づける場合があ
った。
【0003】従来、上記のような用途に用いる化粧シー
トとしては、ポリ塩化ビニルフィルムを使用し、これに
印刷、エンボス加工等で装飾した化粧シート(特公昭2
8−5036号公報、特公昭58−14312号公報
等)が用いられてきたが、近年、これに代わるものとし
て、(I)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン系フィルムを使用した化粧シートが堤案され(特
開昭54−62255号公報参照)、(II)更に、
(I)の改良仕様として、極性官能基をグラフト重合さ
せたポリオレフィン系樹脂に、オレフィン系熱可塑性エ
ラストマーを混合させたもの(特開平6−210808
号公報、特表平4一504384号公報等)、あるい
は、ポリオレフィン系樹脂に相溶化剤を用いてポリウレ
タン樹脂を混合させたもの(特開平7−26038号公
報等)、等も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のオレ
フィン系樹脂ベースの化粧シートは、その要求機能を必
ずしも満足しなかった。例えば、建築物の内外装用、建
具・家具等の表面化粧用、車両内装用等に用いる表面化
粧シートには、通常、その機能としては下記(1)〜(10)
の様な条件を満たす事が要求される。
【0005】(1) ポリ塩化ビニル並みの熱成形性。特
に、温度変化にともなう一定荷重時伸度の変化がポリ塩
化ビニルとほぼ同等の緩やかで連続的に変化すること。
また、加熱→冷却にともなって、強度低下等の材料力学
的特性の劣化が生じないこと。 (2) 耐クリープ変形性。外装材や内装材には建具や家具
による定荷重が長時間かけられる場合が多く、クリープ
変形が生じると、荷重部分がめくれたり剥がれたりす
る。従って、極力クリープ変形が生じない材料であるこ
とが求められる。 (3) 耐寒折り曲げ強度。寒冷時にVカット加工等の折り
曲げ加工を行うと応力緩和が不十分な場合は、折リ曲げ
部に白化、亀裂、破断等が生じ易くなる。
【0006】(4) 耐有機溶剤性。化粧シートと被着体を
接着する接着剤中の溶剤により化粧シートが膨潤・変形
するのを防止する。多層構造の化粧シートを得る場合も
同様である。 (5) 破断時伸度、耐衝撃強度。Vカット加工時の折り曲
げ部の亀裂を防止するために、この特性を求められる。 (6) 適度な曲げ弾性率を持つ。曲げ加工部での化粧シー
トの追従性が十分であるためには必要とされる。
【0007】(7) 透明性が良好。 (8) エンボス加工等にともなう加熱と冷却が加わって
も、再結晶による白化、濁りを生じない。 (9) 易接着性。 (10)耐候性に優れる。
【0008】前記(I)の仕様の化粧シートは、工業的
に量産が難しく、かつ、ポリオレフィン系樹脂は結晶化
度が高いため等の理由から、図1の曲線bに示すよう
に、ポリ塩化ビニル樹脂に比べて融点前後の物性の変化
が急峻であり、従来汎用のポリ塩化ビニル樹脂シートに
比べ加工可能な条件範囲が狭い欠点を有しており、上記
の条件の内、特に、(1) 、(5) 〜(10)の条件を十分には
満足できないものであった。(II)の仕様のものは、
エラストマーを混合させたことにより、(1) 、(5) 、
(6) の条件は改善され、熱成形性、エンボス加工性等は
向上したが、透明性、耐候性、及び耐熱性では不十分な
ものであった。
【0009】なお、図1は、定荷重下における温度と伸
びの関係を示すグラフであり、曲線aは半硬質塩化ビニ
ル樹脂シートを、曲線bは結晶性の高密度ポリエチレン
をべ一スとするシートを、曲線cは後述する本発明の化
粧シートの場合を示している。
【0010】また、化粧シートの外観においては、基材
シートの色を印刷した絵柄着色層の色に大略近づけたと
しても、次のような欠点があった。すなわち、化粧シー
トが使用環境下において長期間、日光や高温に曝された
場合には絵柄着色層の色が褪色したり、傷や磨耗により
絵柄の一部が脱落して当該部分で基材シートが露出する
などしたりすると、基材シートの色が浮き出てしまうこ
とがあり、その結果、基材シートの色によって褪色や傷
等が目立って来てしまい、化粧シートを貼着した当初の
意匠効果が低下してしまうという問題があった。また、
柱状の被着体に化粧シートを巻き付けて貼着する場合な
どには、化粧シートの継ぎ目において切断端面として見
える基材シートの色が絵柄着色層の色と調和するまで一
致してない為に、上記した経時的使用時の問題以外にも
使用当初から継ぎ目が目立ってしまうという問題があっ
た。
【0011】そこで、本発明の課題は、オレフィン系樹
脂を用いた従来の化粧シートの持つ上記のような不都合
を解消して、オレフィン系樹脂を用いながらポリ塩化ビ
ニル系樹脂を用いた化粧シートと同等の熱成形性及び耐
候性、透明性を持つ様にし、且つ使用時に基材シートの
色が目立たず、意匠効果が低下しない様にしすることで
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するために、本発明では図2の断面図に例示する如
く、本発明の意匠効果の低下しない化粧シートSとし
て、基材シート1と絵柄着色層2と透明な表面シート3
とをこの順に積層してなり、該基材シートの少なくとも
絵柄着色層側表面について、色相を絵柄着色層の色相と
概略合わせ、且つ光学濃度を絵柄着色層の光学濃度の最
も低い部分の値に合わせてなる化粧シートであって、該
基材シートが高密度ポリエチレン、又はポリプロピレン
を主原料とし、これにエラストマー、無機充填剤及び着
色剤を添加したものからなり、該表面シートが、アイソ
タクチックポリプロピレンからなるハードセグメントと
アタクチックポリプロピレンからなるソフトセグメント
とを混合してなる透明なオレフィン系熱可塑性エラスト
マーからなる構成とした。
【0013】その結果、オレフィン系樹脂を用いている
が、基材シート及び表面シートを特定材料の組み合わせ
としてあるので、(1) ポリ塩化ビニル並みの熱成形性
(図1の曲線c参照)、(2) 耐クリープ変形性、(3) 耐
寒折り曲げ強度、(4) 耐有機溶剤性、(5) 破断時伸度及
び耐衝撃強度、(6) 適度な曲げ弾性率、(7) 透明性(表
面シートにのみ要求)、(8) エンボス加工適性、(9) 易
接着性、(10)耐候性の各条件を満たすことができる。し
かも、図3に例示する如く、化粧シートSを、特に使用
条件下において経時的に化粧シートが収縮した際に、化
粧シート端部継ぎ目が開口して芯材たる被着体が露出す
ることがない様に、被着体Bの周囲に囲繞し貼着する化
粧シートの端部を余剰させて重複して被着体に貼着した
場合でも、基材シート1と絵柄着色層2とが同様の色で
あるために、シート切断端面Eが見える方向からでも、
該端面の色が絵柄着色層の色と違和感無く溶け合って見
え、化粧シート端部からなる継ぎ目が目立ちにくくな
り、切断端面による意匠効果低下が無い。また、表面シ
ートがあるので、傷や磨耗により絵柄着色層の一部が脱
落して当該部分で基材シートが露出しにくく、また、た
とえ露出したとしても、基材シートが目立ちにくい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の化粧シートについ
て詳述する。
【0015】先ず、化粧シートの材料構成において、基
材シートには前記従来技術で列記した条件における(1)
〜(6) 及び(9) を担わせることとし、基材シートの表面
に積層する表面シートには条件(1) 〜(8) 及び(10)を担
わせることとした。
【0016】〔基材シート〕その前提の基に、基材シー
トの配合ベースとなるポリオレフィンとしては、基本的
性能が優れるものとして高密度ポリエチレン(HDP
E)、又はポリプロピレン(PP)を選択してみた。表
1は高密度ポリエチレン又はポリプロピレンに求められ
る前記(1) 〜(10)の条件の充足程度を示している。
【0017】
【表1】 ※1:融点前後の変化急唆。エンボス加工時、冷却による結晶化向上により、 伸度低下。 ※2:降伏点応力高い。 ※3:曲弾性率高すぎる。 ※4:微結晶粒による白濁の傾向。
【0018】そこで、エラストマーを添加し、結晶化を
阻害すると共に、形成加工時の応力の吸収・緩和を行っ
た。その結果、表2に示すように各条件は変化した。
【0019】
【表2】
【0020】それにより、条件(1) 、(5) 、(6) は満足
するものとなったが、(2) の耐クリープ性が幾分低下し
た。それで、さらに無機充填剤として無機質微粒子体質
顔料を加えた。その結果、表3に示すように各条件は変
化した。
【0021】
【表3】
【0022】これにより、耐クリープ変形も良好とな
り、基材シートとしての性能(1) 〜(6) 、(9) を満足す
るものが得られることを確認した。
【0023】一方、基材シート表面に重ねる表面シート
としては、透明度が高くかつ耐候性に優れたアイソタク
チックポリプロピレンシートを選択してみた。このシー
トについて前記 (1) 〜(10)の条件の充足程度を調べ
た。表4にその程度を示す。
【0024】
【表4】 ※5:アイソタクチックポリプロピレンの結晶性が高いことによる。 ※6:再結晶化による白濁が生じた。
【0025】そこで、アイソタクチックポリプロピレン
と結晶化率の低いアタクチックポリプロピレンとの混合
系樹脂を用い、結晶化度を低下させて前記(1) 〜(10)の
条件の充足程度を調べた。表5にその程度を示す。
【0026】
【表5】
【0027】表5に示すように、アイソタクチックポリ
プロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合系の樹
脂を用いることにより、(1) 及び(3) の充足度がまだ幾
分低いが、基材シートと積層することによってその分の
補強は受けており、また、折り曲げ時の応力も基材シー
ト層に一部分散されるため、表面シートと積層された化
粧シートの状態では白化、亀裂は目立たないものとなっ
た。また(9) の易接着性が完全には満たされないが、表
面シートの場合には基材シートとの接着が良好であれば
十分であり、化粧シートとして支承ないことを確認し
た。
【0028】本発明の化粧シートの材料構成は、上記の
実験結果に基づくものであリ、基本的に、オレフィン系
樹脂をベースとする本発明の化粧シートは、高密度ポリ
エチレン、又はポリプロピレンを主原料とし、これにエ
ラストマー、着色剤及び無機充填剤を添加してなる基材
シートとしての着色フィルムに、その上に、アイソタク
チックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの
混合系からなる複合立体構造を有する無色又は着色透明
なオレフィン系熱可塑性エラストマーフィルムを表面シ
ートとして積層した層構成とする。なお、基材シートと
表面シートとの間に位置する絵柄着色層は、基材シート
又は表面シートのいずれか又は両方に施しおく。
【0029】本発明における高密度ポリエチレンとして
は、好ましくは、比重が0.94〜0.96のポリエチ
レンであって、低圧法で得られる結晶化度が高く分子に
枝分かれ構造の少ない高分子である高密度ポリエチレン
が用いられる。また、ポリプロピレンとしては、好まし
くは、結晶化度の高いアイソタクチックポリプロピレン
が用いられる。
【0030】基材シートに対し用いるエラストマーとし
ては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィ
ンエラストマー等が用いられる。水素添加ジエン系ゴム
は、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に
水素原子を付加させてなるもので、樹脂フィルムの改質
材として使用され、ポリオレフィン系樹脂(本発明にお
いては高密度ポリエチレン、又はポリプロピレン)の結
晶化を抑え、柔軟性をアップさせる。ジエン系ゴムとし
ては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、
プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタ
ジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチ
レン・ブタジエンゴム等がある。オレフィン系エラスト
マーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共
重合しうるポリエンを少なくとも1種加えた弾性共重合
体であり、オレフィンはエチレン、プロピレン、α一オ
レフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4ヘキ
サジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。
好ましいオレフィン系共重合体ゴムとしては、例えばエ
チレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレ
ン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体
ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げ
られる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて
架橋させて用いる。架橋剤としては硫黄、脂肪族過酸化
物、芳香族過酸化物等の公知の物が用いられる。
【0031】添加量としては、10〜60重量%、好ま
しくは30重量%程度である。10重量%より低いと一
定荷重時伸度の変化が急峻になり過ぎシートの成形加工
条件の幅が狭くなり、また、破断時伸度、耐衝撃性の低
下が生じ、60重量%より高いと透明性、耐候性及び耐
クリープ性の低下が生じる。
【0032】本発明における無機充填剤としては、炭酸
カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、クレー、タルク等
の粒径0.1〜10μm程度の粉末が用いられる。添加
量としては、5〜60重量%程度、好ましくは30重量
%程度である。5重量%より低いと耐クリープ変形性及
び易接着性の低下が生じ、60重量%より高いと破断時
伸度及び耐衝撃性の低下が生じる。
【0033】着色剤は、基材シートの少なくとも表面シ
ート側を、所望の色相に着色させる。着色剤としては、
チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、
黄鉛、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソ
インドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パー
マネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔
料あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる
金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔
粉からなる真珠光沢(パール)顔料等の従来公知の着色
顔料が用いられる。着色は透明着色、不透明(隠蔽)着
色いずれでも良いが、一般的には、被着体を隠蔽するた
めに不透明着色が良い。
【0034】さらに、必要に応じて、熱安定剤、難燃
剤、ラジカル捕捉剤等を添加する。熱安定剤は、フェノ
ール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フォス
ファイト系、アミン系等公知のものであリ、熱加工時の
熱変色等の劣化の防止性をより向上させる場合に用いら
れる。難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム等の粉末が用いられ、これらは、難燃性を付
与する必要がある場合に添加する。
【0035】これらの材料をブレンドしたものをカレン
ダー製法等の常用の方法により製膜して不透明着色基材
シートを得る。前記のように、得られる基材シートは化
粧シートの基材シートに求められる前記(1) 〜(6) 、
(9) の条件を満足する。基材シートの厚みは50〜20
0μm程度、好ましくは100μm程度である。
【0036】基材シートの表面には、好ましくは、易接
着層の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処
理等の易接着処理が施される。易接着層(プライマー
層、或いはアンカー層とも言う)としては、アクリル樹
脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹
脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリ
エチレン等が使用されるが、特にウレタン樹脂が望まし
い。
【0037】アクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アク
リル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ
(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸
ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル
酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メ
タ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)ア
クリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル
酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含
む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂等が用いられ
る。なお、ここで「(メタ)アクリル」とはアクリル又
はメタクリルを意味する。
【0038】ウレタン樹脂とは、例えば、ポリオール
(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋
剤(硬化剤)とする反応生成物である。ポリオールとし
ては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例え
ばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポ
リエーテルポリオール等が用いられる。
【0039】また、イソシアネートとしては、分子中に
2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネー
トが用いられる。例えば、2,4トリレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネー
ト、或いは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ
ート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の
脂肪族(ないしは脂環族)イソシアネートが用いられ
る。或いはこれらイソシアネートの付加体又は多量体も
用いられる。
【0040】〔絵柄着色層〕絵柄着色層は、基材シート
或いは表面シートの適宜易接着処理を施した面に形成す
る。絵柄着色層は、化粧シートの用途により適宜デザイ
ン・材料・形成方法が選択されるものであり特に限定さ
れるものではないが、例えば、絵柄としては、例えば、
木目、石目、布目等の天然物の絵柄、水玉、縞模様、幾
何学模様等の抽象柄、単色全面ベタ等が挙げられる。ま
た、絵柄着色層を構成する材料としては、例えば、天然
樹脂又は合成樹脂からなるバインダーに顔料、染料等の
例えば前記基材シートで列記した様な着色剤を分散させ
たインキや塗料などが挙げられる。インキ或いは塗料
の、バインダーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポ
リプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル
樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等
を用い、一種又は二種以上混合して用いる。これに前記
に列挙した様な公知の顔料を添加した物を用いる。
【0041】基材シートに直接印刷する場合は、バイン
ダーとして塩素化ポリオレフィン、ウレタン樹脂等が接
着性の点で好ましいが、易接着プライマーを適当に選択
して層形成すれば、その他のバインダーを用いても十分
な接着性を与える。
【0042】また、絵柄着色層として、金属薄膜を併用
しても良い。金属薄膜は、アルミニウム、クロム、金、
銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の
方法で成膜する。或いはこれらの組み合わせでも良い。
該金属薄膜は、全面に設けても、或いは、部分的にパタ
ーン状に設けても良い。
【0043】〔基材シートと絵柄着色層の色相〕そし
て、本発明の化粧シートでは、上記絵柄着色層と前記基
材シートとの関係に於いて、両色相を特定のものとす
る。すなわち、絵柄着色層の色相と、基材シート(の少
なくとも絵柄着色層側、好ましくはその内部も含めた基
材シート自体)の色相とを概略合わせ、且つ基材シート
の該色相は、その光学濃度を絵柄着色層の光学濃度の最
も低い部分の値に合わせる。
【0044】本発明でいう色相が概略同じということ
は、単純なケースとして絵柄着色層が単色ベタの場合に
ついて言えば、具体的にはマンセル表色系(JIS Z
8721)で色相Hの色相値をHして、基材シートと
絵柄着色層の各々の色相の差をΔHとすれば、ΔH≦1
0、より好ましくはΔH≦5の範囲に入ることが好まし
い。次に、一般的なケースとして、絵柄着色層がパター
ンを成し文字通り絵柄がある場合については、場所によ
り色相Hも異なり色相のパターンをなすので、絵柄着色
層の色相Hは、以下の如く定義したものの中から、絵柄
のパターンを考慮して適宜選択して用いる。 絵柄着色層の全面積について、平均した色相とする。 絵柄着色層の中で、最も面積の広いパターン部分の色
相とする。 絵柄着色層の中で、最も光学濃度の低い部分の色相と
する。
【0045】以上のからにおいて、各々に相当する
色相は次の様に測色すれば容易に得ることが出来る。す
なわち、の全面積の平均的な色相値を求める方法とし
ては、絵柄の充分広い領域、特に通常の印刷絵柄は版面
(枚葉印刷の場合には一枚の印刷版、輪転印刷の場合に
は版胴の一円周)が印刷の一単位となり、絵柄はこの印
刷の一単位そのもの、あるいは絵柄の一単位が印刷の一
単位よりも小さい場合には、版面の縦及び横方向、ある
いは縦又は横のどちらか一方向について絵柄の一単位が
繰り返されているので、版面全体、すなわち印刷の一単
位全体を測色して平均すれば、着色絵柄層の全面積につ
いて完全に平均化した色相Hを得ることができる。の
最大面積部分の色相値を求める方法としては、絵柄着色
層の中で一番面積が広いパターンの色相を部分的に測色
すればよい。の最低光学濃度部分の色相値を求める方
法としては、絵柄着色層の中で後で述べる光学濃度が一
番低い部分のパターンについての色相を部分的に測色す
ればよい。
【0046】測色の具体的な方法としては、通常使用し
ている公知の分光光度計、測色系を使用すればよい。ま
た、それ程測色精度を要求しなければ、色票を用意して
当該色票と絵柄着色層とを目視で比較して、人間の感覚
により色相を決定することも可能である。
【0047】また、色相を表現するには、前記したマン
セル表色系の色相Hを利用する以外に、CIE(国際照
明委員会)のXYZ表色系の三刺激値 X、Y、Zから
導かれるxy色度図上の色度座標x及びy成分(x=X
/(X+Y+Z)、y=Y/(X+Y+Z))を使用す
ることも可能である。CIEのXYZ表色系での三刺激
値あるいは、それから導かれるxy色度図における任意
の二つの色を示す成分値の差、すなわち、それら評価系
での空間内での当該任意の二つの色が位置する座標間の
距離が同じでも、該任意の二つの色の組み合わせが異な
って当該空間内での位置が違う場合、すなわち、それら
の色が空間内で存在する位置が異なると、人間の視覚に
は同程度の色の差としては認識されない。そこで色空間
内で何処に色が位置しても座標距離が同一であれば、人
間の視覚の尺度でも等量の色の差として感じるように考
えられたULCS表色系によって、色を測定評価すれば
より合理的に基材シートと絵柄着色層との色相を類似さ
せることが可能となる。ULCS表色系としては、例え
ばHunterのLab表色系のa及びb、あるいはC
IEのL* * * 表色系のa* 及びb* 、同じくCI
EのU* * * 表色系のU* 及びV* などの値を使用
すればよい。
【0048】外装材、内装材、住設器機、弱電器機等を
対象として木質感の化粧シートを使用する場合のよう
に、特に中間調となる茶系統の色となる化粧シートにつ
いては、任意の二つの色票間の色の差が感覚的に等間隔
となるように予め実験により作成しておいた独自の細か
く区分けされた色票を準備しておくと良い。更に、これ
らの色票を分光光度計、色差計等により測定し、各々の
色票間の色差をCIEのL* * * 表色系等により数
値として評価しておくことにより、基材シートと絵柄着
色層との色相の差、及び、その管理幅を(マンセル表色
系の色相HでΔHが5〜10に対応)数値的に決めて合
理的に管理することが可能となる。
【0049】本発明においては、基材シートと絵柄着色
層との色相を概略一致させるだけでは不十分であり目的
を達成できない。たとえ色相が完全に一致していたとし
ても、明るさが一方が非常に明るく、他方が非常に暗い
色であったならば、基材シートの色が目立ってしまう。
そこで、基材シートと絵柄着色層の明るさについても、
相応の関係におさまるようにする必要があり、そのため
に光学濃度を用いて、基材シートと絵柄着色層の明るさ
を相応の関係内におさめると効果的である。
【0050】先ず、単純な場合として絵柄着色層が単色
ベタの時は、全面にわたって光学濃度は同じであるか
ら、この場合は単に絵柄着色層の光学濃度を基準に合わ
せることで容易に目的を達成できる。次に、絵柄着色層
が単色ベタに近いが、僅かな光学濃度差が部分部分であ
る場合には、その光学濃度差がマンセル表色系の明度V
で明度差ΔVが2未満の時は、全面積の平均値、あるい
は最大濃度部と最低濃度部との平均値、あるいは最大濃
度部、あるいは最低濃度部の光学濃度を基準として基材
シートの光学濃度を合わせれば目的は達成できる。次
に、絵柄着色層がパターンをなし場所によって光学濃度
が異なる一般的な場合は、絵柄着色層のパターンの中
で、最も明るい、すなわち光学濃度が低い部分を基準と
して基材シートの光学の濃度を合わせる。なぜなら、通
常は基材シートが着色されている場合には、絵柄着色層
に加えて絵柄着色層を通して基材シートが見えることが
多々あり該基材シートの色も含めて化粧シートとしての
模様の色を形成することがある。すなわち、基材シート
の色を積極的に化粧シートの絵柄模様の一部として利用
しているのである。ところが、このような場合において
は、下地として見える基材シートの色は通常は薄い色が
多く従って基材シートの色を合わせる絵柄着色層の色の
光学濃度も明るい、すなわち最も光学濃度の低い部分を
基準とするのが最も好ましい結果を生ずるのである。
【0051】以上のような本発明における光学濃度と
は、光の反射率又は透過率を色感覚に合致するように定
量化したものを用いる。具体的には、次に示す〜の
中から一つを絵柄着色層のパータンを考慮して適宜選択
して使用する。
【0052】光透過率又は光反射率の対数をとり、符
号を反転させたいわゆる「光学濃度」Dを用いる。
【0053】D=−log(Iout /Iin
【0054】ここで、Iinは入射光強度、Iout は反射
又は透過光強度をあらわす。D値は、明るい色では0を
最小として小さく、暗い色では大きな値をとる。
【0055】マンセル表色系の明度Vを用いる。 CIEのL* * * 表色系のL* を用いる。 HunterのLab表色系のLを用いる。 CIEのXYZ表色系のYを用いる。
【0056】例えば、基材シートと絵柄着色層の最も低
い光学濃度部分との光学濃度の差は、のマンセル表色
系の明度Vを用いた場合では、大体明度差ΔVが2以
内、より好ましくは1以内に収めると良い。
【0057】〔表面シート〕そして、前記の様な絵柄着
色層を通常は基材シートに形成した後、絵柄着色層形成
面に対して、表面シートとして、ハードセグメントであ
るアイソタクチックポリプロピレンとソフトセグメント
であるアタクチックポリプロピレンの混合系からなる複
合立体構造を有する無色透明又は着色透明なオレフィン
系熱可塑性エラストマーのフィルムを積層して、化粧シ
ートとする。この、表面シートには、前述した条件(1)
〜(8) 及び(10)を担わせる。
【0058】アイソタクチックポリプロピレンとアタク
チックポリプロピレンとの混合系からなる複合立体構造
を有するオレフィン系熱可塑性エラストマーは、好まし
くは、(A)(イ)マグネシウム、チタン、ハロゲン原
子及び電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成
分、(ロ)有機アルミニウム化合物、及び(ハ)下記一
般式1
【0059】
【化1】
【0060】(式中のR1 は炭素数1〜20のアルキル
基、R2 は炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基又はニ
トロ基、mは1〜6の整数、nは0又は1〜(6−m)
の整数である)
【0061】で表されるアルコキシ基含有芳香族化合物
の組み合わせから成る触媒の存在下、プロピレンを重合
させることにより得られる、数平均分子量(Mn)が2
5,000以上で、かつ重量平均分子量(Mw)と数平
均分子量(Mn)との比Mw/Mnが7以下の沸騰ヘプ
タン可溶性ポリプロピレン(アタクチックポリプロピレ
ン)10〜90重量%と(B)メルトインデックスが
0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピ
レン(アイソタクチックポリプロピレン)90〜10重
量%とから成る軟質ポリプロピレン樹脂組成物である。
【0062】本発明において、表面シートである前記オ
レフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、破断伸び
(TB )が400%以上、好ましくは500〜700
%、100%伸長後の残留伸び(PS100 )が80%以
下、好ましくは50〜75%、及び破断時応力(MB
と降伏時応力(MY )との比MB /MY が1.0以上、
好ましくは1.5〜3.5の範囲である。これらの力学
的特性が前記範囲を逸脱すると本発明の目的が十分に達
せられない。
【0063】前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組
成物において、(A)成分のアタクチックポリプロピレ
ンとして、沸騰ヘプタンに可溶性であって、数平均分子
量(Mn)が25,000以上、好ましくは30,00
0〜60,000の範囲にあり、かつ、重量平均分子量
(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが7
以下、好ましくは2〜6の範囲にあるものが用いられ
る。このMnが25,000未満のものや比Mw/Mn
が7を超えるものでは得られ樹脂における該アタクチッ
クポリプロピレンの力学的特性への寄与効果が十分に発
揮されず、得られる樹脂の破断時応力(MB )と降伏時
応力(MY )との比が1.00 未満になったり、100
%伸長後の残留伸び(PS100 )が80%を超えたりし
て、本発明の目的が達せられない。
【0064】上記(A)成分のアタクチックポリプロピ
レンはプロピレンの単独重合体であってもよく、プロピ
レン単位と40重量%以下、好ましくは30重量%以下
の他の炭素数2〜30のα−オレフィン単位とを含有す
るプロピレン共重合体であってもよい。また、このアタ
クチックポリプロピレンは1種用いてもよいし、2種以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】このような(A)成分のアタクチックポリ
プロピレンは公知の方法(特公平6−23278号公
報)によって製造することができる。具体的には、
(イ)マグネシウム、チタン、ハロゲン原子及び電子供
与体を必須成分として含有する固体触媒成分、(ロ)有
機アルミニウム化合物、及び(ハ)下記一般式1
【0066】
【化2】
【0067】(式中のR1 は炭素数1〜20のアルキル
基、R2 は炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基又はニ
トロ基、mは1〜6の整数、nは0又は1〜(6−m)
の整数である)
【0068】で表されるアルコキシ基含有芳香族化合物
の組み合わせからなる触媒の存在下、プロピレンを重合
させることにより、所望のアタクチックポリプロピレン
を得ることができる。
【0069】前記オレフィン系熱可塑性エラストマーに
おいて、(B)成分として、好ましくは、メルトインデ
ックス(MI)が0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン
不溶性の結晶性アイソタクチックポリプロピレンが用い
られる。このメルトインデックスが0/1g/10分未
満では溶融特性が低く、シート成形が困難になる。4g
/10分を超えると機械的性質が不十分となってVカッ
ト加工が良好に行えなくなる。
【0070】この(B)成分のアイソタクチックポリプ
ロピレンは、アイソタクチックの立体規則性を有するプ
ロピレン単独重合体であってもよいし、該立体規則性を
有するプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体で
あってもよい。この共重合体に用いられる他のα−オレ
フィンとしては、炭素数2〜8のもの、例えば、エチレ
ン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテ
ン−1、オクテン−1等が好ましく、中でも、エチレン
及びブテン−1が好適である。また、共重合体として
は、前記の他のα−オレフィン単位を通常40重量%以
下、好ましくは30重量%以下含有するブロック共重合
体やランダム共重合体が用いられる。
【0071】この(B)成分のアイソタクチックポリプ
ロピレンの好ましいものとしては、プロピレン単独重合
体、及びエチレン単位1〜30重量%、好ましくは3〜
25重量%を含有するプロピレンとエチレンとのランダ
ム共重合体又はブロック共重合体が挙げられる。このよ
うなアイソタクチックポリプロピレンの製造方法につい
ては特に制限はなく、従来結晶性ポリプロピレンの製造
に慣用されている方法の中から任意の方法を選択して用
いることができる。
【0072】本発明で使用するオレフィン系熱可塑性エ
ラストマーにおいて、この(B)成分のアイソタクチッ
クポリプロピレンは1種用いてもよいし、2種以上を組
み合わせて用いてもよい。また、前記(A)成分のアタ
クチックポリプロピレンと(B)成分のアイソタクチッ
クポリプロピレンは、(A)成分の含有量が10〜90
重量%、好ましくは25〜80重量%で、(B)成分の
含有量が90〜10重量%、好ましくは75〜20重量
%になるような割合で用いられる。該(A)成分の含有
量が10重量%未満では、樹脂の降伏時応力(MY )が
大きくなりすぎて、破断時応力(MB )と降伏時応力
(MY )との比MB /MY が1.0未満となり、かつ1
00%伸長後の残留伸びPS100 も80%より大きくな
って、本発明の目的が達せられないし、一方90重量%
を超えると破断時応力(MB )が小さくなりすぎて、該
B /MY 比が1.0 未満となり、かつ機械的強度が低下
し、本発明の目的が達せられない。また、(B)成分の
比率を高くすることにより、得られるオレフィン系熱可
塑性エラストマーのヤング率は高くなる。(A)成分と
(B)成分の特に好ましい比率は1:1である。
【0073】このオレフィン系熱可塑性エラストマー組
成物には、化粧シートの表面層としして求められる機能
を補強するために、所望により、各種添加剤、補強剤、
充填剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定
剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤等が添加される。
【0074】紫外線吸収剤、光安定剤は、樹脂により良
好な耐候性(耐光性)を付与するためのものであり、そ
の添加量は紫外線吸収剤、光安定剤とも通常0.1〜5
重量%程度である。一般的には、紫外線吸収剤と光安定
剤とを併用するのが好ましい。紫外線吸収剤としては、
ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸
エステル系等の有機系の紫外線吸収剤の他、粒径0.2
μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チ
タン等の無機系の紫外線吸収剤も用いることができる。
光安定剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミ
ン系ラジカル捕捉剤を用いることができる。難燃剤は、
基材シートの場合と同様であってよい。
【0075】これらの材料をブレンドしたものをカレン
ダー製法等の常用の方法により製膜して無色又は着色透
明なオレフィン系熱可塑性エラストマーフィルムを得
る。前記のように、得られたフィルムは化粧シートの表
面シートに求められる前記(1)〜(8) 、特に、(7) 、(8)
の条件を満足する。表面シートの厚みは50〜100
μm程度、好ましくは80μm程度である。
【0076】〔付加的装飾〕本発明の化粧シートにおい
ては、エンボス加工を基材シートと表面シートとを積層
後の表面シートの表面、或いは、基材シートの絵柄着色
層形成後の面、或いは積層前の表面シートの面等に行っ
ても良い。エンボス加工としては、表面シート等の対象
シートを加熱軟化させ、エンボス版で加圧、賦形し、冷
却固定して形成するもので、公知の枚葉、或いは輪転式
のエンボス機が用いられる。凹凸形状としては、木目板
導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テク
スチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等であ
る。更に、凹凸が特に化粧シート表面の場合は、凹部に
着色インキを充填しても良い。充填は従来公知のワイピ
ング法等によれば良い。着色インキは前記と同様の物が
可能である。但し、耐磨耗性、表面シートとの接着性の
点で、2液硬化型ウレタン樹脂をバインダーとする物が
好ましい。
【0077】〔化粧シートの用途〕なお、本発明の化粧
シートの用途は特に制限されず、各種被着体の表面化粧
に用いる。被着体としては、各種素材の平板、曲面板等
の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)等の
各種形状の物品が対象となる。例えば、板材や立体形状
物品等として用いられる素材としては、木材単板、木材
合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等
の木質繊維板等の木質板素材、或いは、ガラス、陶磁器
等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、A
LC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材
料等の窯業系素材があり、板材や立体形状物品或いはシ
ート等として用いられる素材としては、鉄、アルミニウ
ム等の金属素材、或いは、アクリル樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−
スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル
樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂素材があり、専
らシートとして用いられる素材としては、上質紙、和紙
等の紙、炭素、石綿、ガラス、合成樹脂等の繊維からな
る不織布または織布がある。
【0078】これらの各種被着体への化粧シートの積層
方法しては、例えば接着剤を間に介して板状基材に加
圧ローラーで加圧して積層する方法、特公昭50−1
9132号公報、特公昭43−27488号公報等に記
載される様に、化粧シートを射出成形の雌雄両金型間に
配置した後、溶融樹脂を型内に射出充填し、樹脂成型品
の成形と同時にその表面に化粧シートを接着積層する、
所謂射出成形同時ラミネート方法、特公昭56−45
768号公報、特公昭60−58014号公報等に記載
される様に、成形品等の立体形状物品の表面に化粧シー
トを、間に接着剤を介して対向又は載置し、立体形状物
品側からの真空吸引による圧力差により化粧シートを立
体形状物品の表面に積層する、所謂真空プレス積層方
法、特公昭61−5895号公報、特公平3−266
6号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状
基材の長軸方向に、化粧シートを間に接着剤層を介して
供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状
基材を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着
して積層してゆく、所謂ラッピング加工方法が有る。
【0079】なお、化粧シートを積層して化粧板とした
物に対する更なる加工法としては、実公大15−311
22号公報、特開昭48−47972号公報に記載され
る様に、まず化粧シートを板状基材に間に接着剤層を介
して積層して化粧板とし、化粧シートとは反対側の面
に、化粧シートと板状基材との界面に到達する、断面が
V字状、又はU字状溝を切削し、次いで該溝内に接着剤
層を塗布した上で該溝を折り曲げ箱体又は柱状体を成形
する所謂、Vカット又はUカット加工法等がある。
【0080】なお、化粧シートの積層物は、被着体が板
材の場合は化粧板として使用され、、被着体がシートの
場合は積層物自体も化粧シートとして使用されることも
ある。そして、化粧シートを積層し化粧された物品は、
例えば、壁面、天井、床等の建築物の内装、外壁、塀、
屋根等の建築物の外装、窓枠、扉枠、扉、手摺等の建具
類の表面化粧、家具やテレビ受像機等の弱電・OA機器
のキャビネットの表面化粧、自動車、電車、航空機、船
舶等の乗物の内装、或いは化粧された窓ガラス等として
用いられる。
【0081】
【実施例】以下、本発明の化粧シートを実施例及び比較
例により更に詳述する。
【0082】〔実施例〕先ず、基材シートは、高密度ポ
リエチレン60重量%をベースにエラストマーとしてス
チレン−ブタジンゴムを30重量%、無機充填剤として
炭酸カルシウム粉末10重量%、また、着色剤としてチ
タン白と弁柄とカーボンブラックと黄鉛を5重量%添加
して、熱安定剤及び光安定剤(ヒンダードアミン系ラジ
カル捕捉剤)を5重量%混合したものをカレンダー製法
にて厚み100μmに黄褐色不透明着色シートを成膜し
て基材シートとした。
【0083】次に、上記基材シートの表裏両面にコロナ
放電処理を施した後、裏面側に2液硬化型ウレタン系樹
脂のプライマーコート(ヘキサメチレンジイソシアネー
トとアクリルポリオール)、表面側に2液硬化型ウレタ
ン系樹脂をバインダーとするプライマーコート(内容は
同上)、さらにその上に、樹脂系はプライマーコートと
同じで着色剤は弁柄とカーボンブラックとからなる茶褐
色のインキで杉柾目柄を印刷して絵柄着色層を形成し、
印刷シートを得た。
【0084】一方、表面シートとしては、ハードセグメ
ントとしてアイソタクチックポリプロピレン50重量%
とソフトセグメントとしてアタクチックポリプロピレン
50重量%を混合したオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を30
00ppm、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を50
00ppm添加した厚さ100μmの透明なオレフィン
系熱可塑性エラストマーフィルムを用意した。
【0085】そして、表面シートの裏側ラミネート面を
コロナ放電処理した後、2液硬化型ウレタン系樹脂の接
着剤(アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシア
ネートからなる)を用いて、前記印刷シートをラミネー
トして、基材シート、絵柄着色層、表面シートが順に積
層された化粧シートとした。
【0086】さらにこの化粧シートの表側の表面シート
の面に対して、木目導管模様をエンボス版の熱プレスに
よりエンボス加工した。次いで、該エンボス加工面をコ
ロナ放電処理した後、エンボス面の凹部に着色インキ
(バインダーがアクリルポリオールとヘキサメチレンジ
イソシアネートとの混合物に、平均粒径3μmの球状α
−アルミナを10重量%添加したもの)をワイピング法
にて充填し、さらに全面に2液硬化型ウレタン系樹脂
(アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネー
トからなる)の上塗塗膜を5μm厚施して、本発明の化
粧シートを得た。
【0087】〔比較例〕実施例の基材シート及び表面シ
ートとして、着色剤としてチタン白を5重量%、無機充
填剤として炭酸カルシウム粉末を10重量%、熱安定剤
及びヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤5重量%を添加
した、延伸倍率3倍の2軸延伸アイソタクチックポリプ
ロピレンの厚さ100μmの基材シートを用いた。ま
た、表面シートには延伸倍率3倍で厚さ100μmのア
イソタクチックポリプロピレンを用いた。その他は、実
施例と同様にした。
【0088】〔性能評価結果〕実施例及び比較例の化粧
シートとの性能を次の様にして比較評価した。
【0089】(試験法) 1.透明性:ヘイズ値を東洋精機械式会社製の直読式ヘ
イズメーターにて測定する。装飾処理無しのオレフィン
系熱可塑性エラストマーフィルム単層で測定する。
【0090】2.耐候性:カーボンアーク燈型サンシャ
インウエザオメータで最長3000時間迄照射し、亀
裂、自化、変色等の外観変化が著しくなった所(目視判
定)で停止する。ブラックパネル温度は63℃、降雨時
間が120分中18分の条件にて照射後のサンプルを目
視にて評価する。
【0091】3.耐熱性:80℃雰囲気中で3分問加熱
し、その前後での変色状態を目視で確認する。
【0092】4.Vカット時のシート破断・亀裂:化粧
シートの基材シート側を、エチレン−酢酸ビニル共重合
体エマルションの,接着剤を用い、厚さ10mmのラワ
ン合板に接着、積層し、該合板の化粧シート側と反対側
に、合板と接着剤層との界面に迄達する断面V字型の条
溝を切削し、該条溝内にエチレン−酢酸ビニル共重合体
エマルションの接着剤を塗布し、該条溝を閉じる様にし
て合板を折り曲げて合板をL字型(断面)に折り曲げ
た。加工時の雰囲気温度は10℃であった。
【0093】5.凹凸模様の再現:目視で評価した。
【0094】6.接着力:基材シート/表面シートの積
層体を幅1cmに切り抜いたサンプルを幅方向と直交す
る方向に引張速度50mm/min、雰囲気温度20℃
で、両サンプルの引張方向が互いに180°になる様に
引張試験を行い、層間界面の剥離時の張力を測定した。
【0095】7.加熱寸法収縮:化粧シートを100℃
雰囲気中で30分問加熱して、〔(加熱後の寸法)一
(加熱前の寸法)〕×100/(加熱前の寸法)=加熱
寸法収縮率(%) を長手方向(MD)、及び幅方向
(TD)各々について求めた。
【0096】8.シート切断端面の外観:目視にて、基
材シートの切断端面の外観を評価。
【0097】
【表6】
【0098】
【発明の効果】先ず、化粧シートの温度−伸び依存性
は、図1の如く約15℃程度温度領域が高いものの、現
在用いられているポリ塩化ビニルシートを主材とする化
粧シートと同様な温度−伸び依存性を有する。その結
果、Vカット加工可能な伸び率、耐引き裂き抵抗、柔軟
性を有しており、耐熱性も良好である。また、一般のオ
レフィン系フィルムに比べて、エンボス加工適性に優れ
ている。
【0099】さらに、基材シートと着色絵柄層との色
相と明度が類似しているので、化粧シートが使用環境下
において長期間、日光や高温に曝された場合に絵柄が褪
色したり、あるいは傷や磨耗により絵柄の一部が脱落し
た場合に当該部分は基材シートが露出するなどしたりす
ることがあっても、基材シートの色が目立って、化粧シ
ートが使われる商品の美観を損ねることがなく、意匠効
果が低下しない。また、特に柱状の被着体に化粧シート
を巻き付けて貼着するような場合にでも、化粧シートの
継ぎ目にて切断端面として基材シートが見えても、化粧
シートの切断端面の色が絵柄着色層の色と違和感無く溶
け合って見える為、継目が目立たず、意匠効果が低下せ
ず、美的効果の高い商品を得ることが可能である。
【0100】さらに、継目が目立ちにくいから化粧シ
ートを被着体に貼着する際に、継ぎ目を目立たなくする
ために化粧シートの継目をどの面にして貼着するかとい
う美的観点と、継ぎ目を何処にしたら化粧シートを被着
体に貼着し易いかという製造上の観点と、さらには、化
粧シートが貼着された部材を組み立て又は取り付け加工
等する施工時に継ぎ目を何処にしたら目立ちにくく出来
るかという施工上の観点などの点において、美的観点と
製造上の観点及び施工上の観点が従来は両立しない場合
においても、美的効果と製造容易性、施工容易性を両立
させることができるという効果を奏する。従って、絵柄
模様の印刷管理も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】素材の違う各種化粧シートの温度−伸びの関係
を示すグラフ。
【図2】本発明の化粧シートの一形態を示す断面図。
【図3】化粧シートを柱状の被着体に巻き付けて貼着時
に、シート切断端面が露出する様子を示す断面図。
【符号の説明】
1 基材シート 2 絵柄着色層 3 表面シート B 被着体 E シート切断端面 S 化粧シート

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シートと絵柄着色層と透明な表面シ
    ートとをこの順に積層してなり、該基材シートの少なく
    とも絵柄着色層側表面について、色相を絵柄着色層の色
    相と概略合わせ、且つ光学濃度を絵柄着色層の光学濃度
    の最も低い部分の値に合わせてなる化粧シートであっ
    て、該基材シートが高密度ポリエチレン、又はポリプロ
    ピレンを主原料とし、これにエラストマー、無機充填剤
    及び着色剤を添加したものからなり、該表面シートが、
    アイソタクチックポリプロピレンからなるハードセグメ
    ントとアタクチックポリプロピレンからなるソフトセグ
    メントとを混合してなる透明なオレフィン系熱可塑性エ
    ラストマーからなる、化粧シート。
JP2154598A 1998-01-20 1998-01-20 化粧シート Pending JPH11198320A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2009011446A1 (ja) * 2007-07-19 2010-09-24 リンテック株式会社 遮光性装飾シート

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