JPH11197512A - 光触媒薄膜、光触媒反応方法、並びに光触媒薄膜の製造方法 - Google Patents

光触媒薄膜、光触媒反応方法、並びに光触媒薄膜の製造方法

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JPH11197512A
JPH11197512A JP10002242A JP224298A JPH11197512A JP H11197512 A JPH11197512 A JP H11197512A JP 10002242 A JP10002242 A JP 10002242A JP 224298 A JP224298 A JP 224298A JP H11197512 A JPH11197512 A JP H11197512A
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JP
Japan
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thin film
photocatalytic
titanium oxide
substrate
light
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JP10002242A
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Shoichi Anpo
正一 安保
Hiromi Yamashita
弘巳 山下
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光領域の光照射によっても安定的に作用
し、一酸化窒素の分解反応において窒素の生成する選択
性が高い光触媒薄膜を提供すること、該光触媒薄膜に紫
外光から可視光の波長領域の光を照射することによる光
触媒反応方法を提供すること、ならびに、該光触媒薄膜
の製造方法を提供すること。 【解決手段】 基板上に作製した酸化チタン薄膜に、
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、およびCuからな
る群から選ばれる金属の金属イオンをイオン注入した後
に、アニール処理して得られる光触媒薄膜、該光触媒薄
膜に、反応基質存在下で紫外光から可視光の波長領域を
含む光を照射して行なう光触媒反応方法、ならびに、基
板上に作製した酸化チタン薄膜に、V、Cr、Mn、F
e、Co、Ni、およびCuからなる群から選ばれる金
属の金属イオンをイオン注入した後に、アニール処理す
る光触媒薄膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視光の照射によ
っても光触媒活性を発現することができる光触媒薄膜、
該光触媒薄膜の存在下に行なう光触媒反応方法、ならび
に該光触媒薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンを用いた光触媒反応は、クリ
ーンな光エネルギーを常温で化学エネルギーに変換する
環境調和型プロセスとして注目され、環境浄化への応用
研究の他種々の研究が活発に行われている。例えば特開
平9−71437号公報では、窓ガラスにプレコート層
をはさんで酸化チタン薄膜を成膜することで、透明度の
高い安定した光触媒能を有する窓ガラスが得られること
を示している。
【0003】しかしながら、従来の酸化チタンを用いた
光触媒では約380nmよりも短い波長の紫外光領域で
は作用するが、波長の長い可視光領域での定常的な光触
媒反応は不可能とされてきた。このため、太陽光を用い
ると紫外光領域の光が5%程度しか存在しないため、実
際に効率的に反応を進行させるためには、水銀ランプの
ような高価な紫外光源が別途必要であった。
【0004】可視光領域(約400nm〜800nm)
の光を有効に利用する研究も行われている。例えば、色
素を酸化チタンに吸着させる研究などが挙げられる。し
かし、これらの光触媒では色素の寿命に問題があるな
ど、定常的な光触媒反応は困難であった。
【0005】WO97/26991号公開明細書には、
Cr、Vなどの金属の金属イオンを酸化チタンにイオン
注入することにより、可視光領域での光の吸収を可能に
し、可視光の照射下で窒素酸化物の分解やブテンの異性
化反応などの種々の光触媒反応に活性を示すことが開示
されている。該公開明細書には、原料として使用する酸
化チタンの形状は粉末状が好ましいと記載され、得られ
た光触媒の形態も粉末が好ましいと記載されている。ま
た得られた光触媒は、光触媒粉末とバインダーとの混合
物を塗布して膜状にしてもよいし、また紙などの支持体
に担持させてもよいと記載されている。しかしながら、
かかる粉末状の光触媒を一酸化窒素の分解反応に用いる
と、窒素の生成する選択性が低く、改善が望まれてい
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題、即ち本発明の目的は、可視光領域の光照射に
よっても安定的に作用し、一酸化窒素の分解反応におい
て窒素の生成する選択性が高い光触媒薄膜を提供するこ
と、該光触媒薄膜に紫外光から可視光の波長領域の光を
照射することによる光触媒反応方法を提供すること、な
らびに、該光触媒薄膜の製造方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の状
況に鑑み、紫外光から可視光の波長領域の光で反応する
光触媒について鋭意研究を続け、本発明を完成させるに
至った。即ち本発明は、基板上に作製した酸化チタン薄
膜に、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、およびCu
からなる群から選ばれる金属の金属イオンをイオン注入
した後に、アニール処理して得られる光触媒薄膜、該光
触媒薄膜に、反応基質存在下で紫外光から可視光の波長
領域を含む光を照射して行なう光触媒反応方法、ならび
に、基板上に作製した酸化チタン薄膜に、V、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、およびCuからなる群から選ば
れる金属の金属イオンをイオン注入した後に、アニール
処理する光触媒薄膜の製造方法にかかるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明において使用する基板としては、該基板上
に酸化チタン薄膜を作成し得るものであれば特に制限は
ないが、光触媒薄膜を作成していない側からの光も活用
し得る透明基板が好ましい。透明基板として好ましくは
ガラス基板であり、特に制限はないが透明性の高いガラ
ス基板がさらに好ましい。用途に合わせて選択すること
ができる。例えば、窓ガラス用にはソーダ石灰ガラスな
どを用いることができる。特に光触媒薄膜を作製してい
ない側から光を照射する場合には、可視光を透過して効
率よく反応を進行させるために、可視光領域で吸収の少
ないものが好ましい。
【0009】本発明において作製する酸化チタン薄膜は
チタン酸化物が含まれていればその組成に特に制限はな
い。一般にはTiO2が用いられるが、チタン以外の金
属とチタンとの複合酸化物を用いることも可能である。
好ましくはTiO2である。TiO2の結晶形は特に制限
はない。アナターゼ型やルチル型その他種々のタイプの
ものを用いることができる。好ましくはアナターゼ型を
含むものである。作製する酸化チタン薄膜は酸化チタン
単独でもその他の光触媒およびその他の酸化物を含有す
ることも可能である。
【0010】酸化チタン薄膜の作製方法については特に
制限はない。実用上、透明基板と酸化チタン薄膜との結
合が強く、かつ透明度に優れた酸化チタン薄膜を作製す
る方法が好ましい。かかる酸化チタン薄膜作製方法の具
体例としては、クラスターイオンビーム法やゾル−ゲル
法、ディップコート法などが挙げられる。クラスターイ
オンビーム法は、膜厚の制御が容易であり、基板との接
着性が良好であるため、好ましい。また、クラスターイ
オンビーム法で作成したTiO2は、アナターゼ型の結
晶形を多く含む条件に制御しやすいため、特に好まし
い。
【0011】クラスターイオンビーム法では、金属クラ
スターをイオン化し加速した後、酸素の存在下で基板に
照射する。装置としては、クラスターイオンビーム法成
膜用の市販の蒸着装置を用いることができる。この時の
加速電圧は0.1〜2.5kVが好ましい。クラスター
イオンビーム法を用いた酸化チタン薄膜作製方法に特に
制限はないが、酸素分圧は1×10-5〜1×10-3To
rr、基板温度は200℃〜500℃、成膜速度は0.
1〜3.0Å/秒で通常実施される。
【0012】酸化チタン薄膜の膜厚に制限はないが、金
属イオンを注入する際に、注入したイオンが通り抜けな
い程度の、100〜50000Åの厚さで一般に実施さ
れる。また酸化チタン薄膜表面は、実用上平滑性が高い
方が埃などが付着しにくく好ましい。酸化チタン薄膜は
基板の片面のみに作製しても、必要に応じ両面に作製し
てもよい。
【0013】本発明で酸化チタン薄膜にイオン注入する
金属イオンとしては、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
i、およびCuからなる群から選ばれる金属の金属イオ
ンである。該金属として好ましくはV、Cr、Mn、F
e、またはNiであり、さらに好ましくはVまたはCr
である。注入する金属イオンは1種類単独で用いること
も、2種類以上を組み合わせて用いることも可能であ
る。前記金属イオンの電荷は特に制限はないが、通常、
注入前の金属イオンが加速された状態では1価で存在す
ることが多い。なお注入後の金属イオンは通常、酸化チ
タン中で1〜5価として存在する。
【0014】本発明における金属イオンのイオン注入法
は通常、イオン注入装置を用いて金属イオンを30ke
V以上500keV以下のエネルギーに加速して酸化チ
タンに照射して行う。この場合、酸化チタンの表面と表
面から約300Åの間の深さに、注入された金属イオン
はそのほとんどが分布することになり好ましい。注入エ
ネルギーとしては、50keV以上400keV以下が
より好ましい。さらに好ましくは100keV以上20
0keV以下である。
【0015】イオン注入装置については特に制限はな
い。半導体分野で不純物のドーピングに使用されてい
る、市販の装置を用いることができる。ただし注入エネ
ルギーと注入量を必要な値に設定できる装置を選択する
ことが好ましい。
【0016】酸化チタンにイオン注入される金属イオン
の注入量は、照射面積1cm2あたり1×1014イオン
以上1×1019イオン以下が好ましい。より好ましく
は、照射面積1cm2あたり1×1016イオン以上1×
1017イオン以下である。金属イオンの導入量が少なす
ぎると、可視光領域の光を吸収して光触媒活性を発現す
る効果が小さくなり、逆に多すぎると活性が低下するこ
とがあるので好ましくない。
【0017】本発明の光触媒薄膜は、イオン注入後にア
ニール処理して得られる。アニール処理を行うことによ
り、定常的な光触媒活性を発現し得る。アニール処理の
方法は特に制限はない。一般には空気中で電気炉を用い
て行われる。アニール処理の温度は通常200℃以上1
000℃以下であり、好ましくは300℃以上500℃
以下である。アニール処理の時間は特に制限はなく、適
宜選択されるが、通常1時間〜10時間で行われる。
【0018】本発明の光触媒薄膜を用いる光触媒反応方
法においては、紫外光から可視光(およそ400nm〜
800nm)の波長領域を含む光を用いる。紫外光のみ
を用いることも可視光のみを用いることも可能で、特定
の波長の光を照射してもよい。また、この範囲外の光、
例えば遠紫外光や赤外光が含まれていてもよい。好まし
くは250nm〜600nmの範囲の光を用いることが
好ましい。
【0019】本発明の光触媒反応方法において使用され
る光の照射強度は、特に制限はない。光触媒反応の種類
に応じて適宜選定すればよい。
【0020】本発明の光触媒反応方法において使用され
る光触媒の量は、特に制限はない。光触媒反応の種類に
応じて適宜選定すればよい。
【0021】本発明の光触媒薄膜は、種々の光触媒反応
に用いることができる。例えば、窒素酸化物の存在下で
紫外光から可視光の波長領域を含む光を光触媒薄膜に照
射して行う、窒素酸化物分解反応が挙げられる。この反
応を利用すれば、各種の燃焼機関より排出され人体に悪
影響を及ぼすおそれのある窒素酸化物の効率的な除去に
も本発明の光触媒は有用である。建造物や自動車などの
ガラス上に光触媒を固定化し、太陽光あるいは電灯など
の人工光源による光を照射することで、大気中の窒素酸
化物を分解除去して無害化するといった実施態様も有効
である。
【0022】かかる分解反応に適用し得る窒素酸化物と
しては、例えばN2O、NO、N2 3、NO2、N2
5等、またはこれらの混合物等が挙げられるが、NO
(一酸化窒素)に特に好適に適用し得る。本発明の光触
媒薄膜は、NO(一酸化窒素)の分解反応におけるN2
(窒素)の生成する選択性が高い。
【0023】また本発明の光触媒薄膜を適用し得る光触
媒反応の他の例としては、水中有機物の存在下で紫外光
から可視光の波長領域を含む光を光触媒薄膜に照射して
行う、有機物分解反応が挙げられる。この反応を利用す
れば、水中に混入する有害有機物の効率的な除去に本発
明の光触媒は有用である。水槽などのガラス上に光触媒
を固定化し、太陽光あるいは電灯などの人工光源による
光を照射することで、水中の有害有機物を分解除去して
無害化するという利用形態が考えられる。このような液
相反応の場合、本発明の光触媒は基板上に固定化してい
るため、光触媒粉末を水中に懸濁して行う反応と比較し
て、反応後の処理が簡便であったり後処理の必要がなく
好ましい。さらに光触媒が可視光で応答するため、光触
媒薄膜を固定化していない側から光を照射したとして
も、可視光領域で透明な基板であれば紫外光を吸収しや
すいものでも、使用することが可能となる。
【0024】かかる分解反応に適用し得る有機物として
は、例えば、トリクロロエタン、ジクロロメタン、クロ
ロホルム、トリクロロエチレンなどの有機ハロゲン化
物、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコー
ル、フェノール、界面活性剤などが挙げられる。好まし
くは有機ハロゲン化物またはアルコールである。
【0025】本発明の光触媒反応のその他の考えられる
利用例として、例えば、アルケンの光異性化反応、プロ
ピレンと水からのエタンやメタン生成のようなアルケン
・アルキンの水による光水素化分解反応、一級アミンか
らの二級アミン生成反応、メタン・水・アンモニアから
のグリシン・アラニンなどの光アミノ酸合成反応、一酸
化炭素と水から水素と二酸化炭素を生成する光水性ガス
シフト反応・その逆反応など、種々の光触媒反応が挙げ
られる。
【0026】また、無尽蔵でクリーンな太陽光エネルギ
ーの変換と蓄積という観点で重要なものとして、二酸化
炭素の水による還元固定によって有用な有機化合物に導
く光触媒反応にも適用の可能性が考えられる。具体的に
は、二酸化炭素と水からのメタン合成反応・メタノール
合成反応・ホルムアルデヒド合成反応などである。同様
に、可視光領域の光を利用した水の水素と酸素への光分
解は、枯渇しないエネルギー源と無尽蔵で安価な原料を
用い、貯蔵可能で環境汚染を伴わないという点から、太
陽光エネルギーの理想的な有効利用法である。
【0027】本発明の光触媒反応は常温で行うことがで
きるが、それに限定されず各々の光触媒反応に応じて温
度を設定することができる。通常、0〜200℃の間で
反応は実施される。
【0028】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0029】実施例1(1) 1cm×1cmで厚さ1mmの多孔性バイコールガラス
(バイコール社製)表面に、クラスターイオンビーム法
成膜用の蒸着装置を用いて1×10-4Torrの酸素存
在下でTiを蒸着した。この時の加速電圧は500V、
基板温度は360℃〜400℃で、成膜速度は1.0〜
1.5Å/秒であった。この結果、厚さが3000Å、
結晶形がアナターゼ型の透明な酸化チタン薄膜がガラス
基板上に作製された。
【0030】実施例1(2) このようにして得られた、バイコールガラス上酸化チタ
ン薄膜に、Crイオンを加速して150keVのエネル
ギーにした後照射した。照射には、200keVイオン
注入装置を用い、照射量は1cm2あたり6×1016
オンとした。その後、電気炉中450℃で5時間焼成し
た。
【0031】実施例1(3) 90mlの石英製容器に、実施例1(2)で調製したC
rイオンを注入した酸化チタン光触媒薄膜を入れて密封
した。真空排気後に12.3μmolの一酸化窒素を導
入し、波長450nm以下の光を光学フィルターにて遮
断した水銀ランプを光源として、室温で照射した。この
時の光の照度は2000μW/cm2であった。少量の
反応生成物をサンプリングチューブにより1時間ごとに
採取し、ガスクロマトグラフィーにてN2、O2、N2
の生成量を定量した。一酸化窒素は生成物の量に応じて
減少していること、N2Oは検出されないことが確認さ
れた。この結果を図1に示す。
【0032】比較例1 実施例1(1)と同様にして作製した酸化チタン薄膜を
光触媒として用いたことを除いて実施例1(3)と同じ
条件で一酸化窒素の分解反応を行った。この結果を図1
に合わせて示した。
【0033】図1から明らかなように、450nm以上
の可視光照射下では、イオン注入を行っていない酸化チ
タン薄膜ではほとんど反応が進行しない(比較例1)の
に対し、本発明のCrイオン注入酸化チタン光触媒薄膜
を使用することにより、一酸化窒素の分解反応が常温で
効率よく進行する(実施例1)ことが分かる。
【0034】比較例2(1) デグサ社製酸化チタン粉末(商品名:P−25)に、C
rイオンを加速して150keVのエネルギーにした後
照射した。照射には、200keVイオン注入装置を用
い、照射量は1cm2あたり1×1016イオンとした。
照射後の酸化チタン粉末を電気炉中450℃で5時間焼
成した。
【0035】比較例2(2) 50mlのパイレックスガラス製容器に、比較例2
(1)で調製したCrイオンを注入した酸化チタン粉末
250mgを入れて密封した。真空排気後に20tor
rの一酸化窒素を導入し、波長450nm以下の光を光
学フィルターにて遮断した水銀ランプを光源として、室
温で照射した。この時の光の照度は2000μW/cm
2であった。少量の反応生成物をサンプリングチューブ
により1時間ごとに採取し、ガスクロマトグラフィーに
てN2、O2、N2Oの生成量を定量した。一酸化窒素は
生成物の量に応じて減少していることが確認された。照
射3時間後の(生成したN2Oのモル数)/(生成した
2のモル数)の値は、1.5であった。
【0036】実施例2(1) 酸化チタン薄膜の厚さが5000Åであることを除い
て、実施例1(1)と同様の方法で、結晶形がアナター
ゼ型の透明な酸化チタン薄膜をガラス基板上に作製し
た。
【0037】実施例2(2) このようにして得られた、バイコールガラス上酸化チタ
ン薄膜に、Vイオンを加速して150keVのエネルギ
ーにした後照射した。照射には、200keVイオン注
入装置を用い、照射量は1cm2あたり6×1016イオ
ンとした。その後、電気炉中450℃で5時間焼成し
た。
【0038】実施例2(3) 石英製試験管に、実施例2(2)で調製したVイオンを
注入した酸化チタン光触媒薄膜、2.6×10-3mol
/lの2−プロパノール水溶液25mlを入れた。波長
450nm以下の光を光学フィルターにて遮断した水銀
ランプを光源として、室温で照射した。この時の光の照
度は2000μW/cm2であった。反応液を採取し、
ガスクロマトグラフィーにて2−プロパノールの反応量
を定量した。この結果を図2に示す。
【0039】比較例3 実施例2(1)と同様にして作製した酸化チタン薄膜を
光触媒として用いたことを除いて実施例2(3)と同じ
条件で2−プロパノールの分解反応を行った。この結果
を図2に合わせて示した。
【0040】図2から明らかなように、450nm以上
の可視光照射下では、イオン注入を行っていない酸化チ
タン薄膜ではほとんど反応が進行しない(比較例3)の
に対し、本発明のVイオン注入酸化チタン光触媒薄膜を
使用することにより、2−プロパノールの分解反応が常
温で効率よく進行する(実施例2)ことが分かる。
【0041】
【発明の効果】本発明の光触媒薄膜は、基板の透明度を
損なうことなく、可視光領域の光照射によっても効率的
かつ安定的に作用、一酸化窒素の分解反応において窒素
の生成する選択性が高い光触媒である。この光触媒を用
いることにより、紫外光から可視光の波長領域を含む光
の照射下で、より効率的な光触媒反応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1および比較例1における一酸
化窒素の分解反応方法において、経過時間に対するN2
の生成量を示した図である。
【図2】図2は、実施例2および比較例3における水中
2−プロパノールの分解反応方法において、経過時間に
対する2−プロパノールの転化率を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C02F 1/58 C07B 35/06 C03C 17/245 B01D 53/36 J // C07B 35/06 102D

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に作製した酸化チタン薄膜に、V、
    Cr、Mn、Fe、Co、Ni、およびCuからなる群
    から選ばれる金属の金属イオンをイオン注入した後に、
    アニール処理して得られることを特徴とする光触媒薄
    膜。
  2. 【請求項2】金属イオンが、VまたはCrの金属イオン
    であることを特徴とする請求項1記載の光触媒薄膜。
  3. 【請求項3】金属イオンを30keV以上500keV
    以下のエネルギーに加速した後に、酸化チタン薄膜にイ
    オン注入して得られることを特徴とする請求項1または
    2記載の光触媒薄膜。
  4. 【請求項4】金属イオンの注入量が、1cm2あたり1
    ×1014イオン以上1×1019イオン以下であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光触媒薄
    膜。
  5. 【請求項5】アニール処理が、200℃以上1000℃
    以下の温度でのアニール処理であることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の光触媒薄膜。
  6. 【請求項6】基板上に作製した酸化チタン薄膜が、透明
    基板上に作製した透明な酸化チタン薄膜であることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光触媒薄膜。
  7. 【請求項7】基板上に作製した酸化チタン薄膜が、透明
    基板上にクラスターイオンビーム法により作製した透明
    な酸化チタン薄膜であることを特徴とする請求項1〜6
    のいずれかに記載の光触媒薄膜。
  8. 【請求項8】透明基板が、ガラス基板であることを特徴
    とする請求項6または7記載の光触媒薄膜。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の光触媒薄
    膜に、反応基質存在下で紫外光から可視光の波長領域を
    含む光を照射して行なうことを特徴とする光触媒反応方
    法。
  10. 【請求項10】光触媒反応が、該光触媒薄膜に、窒素酸
    化物の存在下で紫外光から可視光の波長領域を含む光を
    照射して行なう窒素酸化物分解反応であることを特徴と
    する請求項9記載の光触媒反応方法。
  11. 【請求項11】窒素酸化物が、一酸化窒素であることを
    特徴とする請求項10記載の光触媒反応方法。
  12. 【請求項12】光触媒反応が、該光触媒薄膜に、有機物
    を含有する水溶液の存在下で紫外光から可視光の波長領
    域を含む光を照射して行なう有機物分解反応であること
    を特徴とする請求項9記載の光触媒反応方法。
  13. 【請求項13】有機物が、有機ハロゲン化物またはアル
    コールであることを特徴とする請求項12記載の光触媒
    反応方法。
  14. 【請求項14】基板上に作製した酸化チタン薄膜に、
    V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、およびCuからな
    る群から選ばれる金属の金属イオンをイオン注入した後
    に、アニール処理することを特徴とする光触媒薄膜の製
    造方法。
  15. 【請求項15】金属イオンが、VまたはCrの金属イオ
    ンであることを特徴とする請求項14記載の光触媒薄膜
    の製造方法。
  16. 【請求項16】金属イオンを30keV以上500ke
    V以下のエネルギーに加速した後に、酸化チタン薄膜へ
    イオン注入することを特徴とする請求項14または15
    記載の光触媒薄膜の製造方法。
  17. 【請求項17】金属イオンの注入量が、1cm2あたり
    1×1014イオン以上1×1019イオン以下であること
    を特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の光触
    媒薄膜の製造方法。
  18. 【請求項18】アニール処理が、200℃以上1000
    ℃以下の温度でのアニール処理であることを特徴とする
    請求項14〜17のいずれかに記載の光触媒薄膜の製造
    方法。
  19. 【請求項19】基板上に作製した酸化チタン薄膜が、透
    明基板上に作製した透明な酸化チタン薄膜であることを
    特徴とする請求項14〜18のいずれかに記載の光触媒
    薄膜の製造方法。
  20. 【請求項20】基板上に作製した酸化チタン薄膜が、透
    明基板上にクラスターイオンビーム法により作製した透
    明な酸化チタン薄膜であることを特徴とする請求項14
    〜19のいずれかに記載の光触媒薄膜の製造方法。
  21. 【請求項21】透明基板が、ガラス基板であることを特
    徴とする請求項19または20記載の光触媒薄膜の製造
    方法。
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