JP2014192388A - 光電変換素子用部材 - Google Patents

光電変換素子用部材 Download PDF

Info

Publication number
JP2014192388A
JP2014192388A JP2013067488A JP2013067488A JP2014192388A JP 2014192388 A JP2014192388 A JP 2014192388A JP 2013067488 A JP2013067488 A JP 2013067488A JP 2013067488 A JP2013067488 A JP 2013067488A JP 2014192388 A JP2014192388 A JP 2014192388A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photoelectric conversion
semiconductor
impurity element
semiconductor portion
conversion element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013067488A
Other languages
English (en)
Inventor
直生 ▲高▼林
Sunao Takabayashi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Equos Research Co Ltd
Original Assignee
Equos Research Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Equos Research Co Ltd filed Critical Equos Research Co Ltd
Priority to JP2013067488A priority Critical patent/JP2014192388A/ja
Publication of JP2014192388A publication Critical patent/JP2014192388A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/52PV systems with concentrators

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

【課題】光電変換効率を向上できる光電変換素子用部材を提供すること。
【解決手段】金属酸化物半導体、シリコン系半導体、化合物半導体、有機半導体等により構成される半導体部2が、板状または膜状に形成される。その半導体部2の一面側に複数の微細な金属体3が配置される。プラズモン共鳴により入射光が金属体3に吸収され、電気エネルギーに変換される。さらに、半導体部2にドナー又はアクセプタとしてではない所定の不純物元素が導入される。これにより、光電変換素子用部材1を用いた光電変換素子の光電変換効率を向上できる。
【選択図】図1

Description

本発明は光電変換素子用部材に関し、特に光電変換効率を向上できる光電変換素子用部材に関するものである。
光検出器や太陽電池等を目的とする光電変換素子、特に太陽電池を目的とする光電変換素子では、より安価に効率良く太陽光を利用するため、様々な方式が提案されている。例えば特許文献1〜3には、局在型表面プラズモン共鳴を用いた光電変換素子が開示されている。その技術によれば、複数の金属ナノ粒子を光電変換層(半導体)の一面側に配置し、複数の金属ナノ粒子の形状を制御することにより、白色光の中から所望の光を吸収し発電させることができる。
特開2009−71147号公報 特開2012−38541号公報 国際公開第2011/27830号
しかしながら、光電変換素子は光電変換効率のさらなる向上が要求されている。
本発明は上述した要求に応えるためになされたものであり、光電変換効率を向上できる光電変換素子用部材を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段および発明の効果
この目的を達成するために請求項1記載の光電変換素子用部材によれば、板状または膜状に半導体部が形成される。その半導体部の一面側に配置された複数の微細な金属体のプラズモン共鳴により入射光が金属体に吸収され、電気エネルギーに変換される。さらに、半導体部にドナー又はアクセプタとしてではない所定の不純物元素を導入することによって、メカニズムは検討中だが、光電変換効率を向上できる効果がある。
請求項2記載の光電変換素子用部材によれば、不純物元素は、半導体部に意図的に導入されているので、請求項1の効果に加え、不可避不純物等の影響を受け難くすることができ、光電変換効率を安定して向上できる効果がある。
請求項3記載の光電変換素子用部材によれば、不純物元素は、イオン注入により半導体部の格子欠陥を伴って導入されるので、半導体部に導入される不純物元素の量や深さを正確に制御できる。また、半導体部にアニールが施されるので、イオン注入によって生じた格子欠陥の濃度を減少させることができると共に、導入された不純物元素を活性化させることができる。その結果、請求項2の効果に加え、光電変換効率を再現性良く向上できる効果がある。
請求項4記載の光電変換素子用部材によれば、不純物元素はFeであるので、請求項3の効果に加え、材料コストを低減できると共に環境負荷を小さくできる効果がある。
請求項5記載の光電変換素子用部材によれば、半導体部は、金属体が配置される一面側から20nm以上150nm以下の深さ位置に、導入された不純物元素の濃度分布の極大値を有している。これにより、請求項1から4のいずれかの効果に加え、金属体が配置される半導体部の一面側の不純物濃度を高め、金属体との相乗効果により光電変換効率を向上できる効果がある。
(a)は本発明の一実施の形態における光電変換素子用部材の正面図であり、(b)は図1(a)の矢印Ib−Ib線における光電変換素子用部材の断面図である。 不純物元素の深さ方向濃度分布の計算結果である。 二次イオン質量分析法により測定した不純物元素の深さ方向濃度分布である。 光電変換素子用部材の光電変換効率の測定回路を示す模式図である。 半導体部に導入した不純物元素と分光感度特性(IPCE)との関係を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1(a)は本発明の一実施の形態における光電変換素子用部材1の正面図であり、図1(b)は図1(a)の矢印Ib−Ib線における光電変換素子用部材1の断面図である。図1(a)及び図1(b)に示すように、光電変換素子用部材1は、金属酸化物半導体により板状に形成される半導体部2と、その半導体部2の一面に2次元配置された複数の微細な金属体3とを主に備えて構成されている。
半導体部2は、太陽光等の光が照射されることにより光電変換するための部材である。本実施の形態では、TiOの単結晶基板により半導体部2が形成されている。しかし、これに限定されるものではなく、ZnO,SnO,ZrO,Ta,Nb,SrTiO,BaTiO,CaTiO,KTaO,WO等の他の金属酸化物半導体、これら金属酸化物の複合系の半導体、TiOとの複合系の半導体など種々の金属酸化物半導体を用いることができる。
また、半導体部2は単結晶基板で形成されるものに限定されず、例えば、焼結により板状に形成されるものや、ガラス製等の基板の表面に成膜し焼結して膜状に形成されるものも含まれる。また、フィルム等のフレキシブル基板の表面に成膜して製造することも可能である。半導体部2を焼結により形成する場合には、スピンコート、ドクターブレード、スクリーン印刷等の湿式プロセスで基板の上に成膜することができる。スパッタリング、CVD、蒸着、電子層堆積、パルスレーザ堆積等の乾式プロセスを採用することも可能であり、電着法、水熱処理法、ゾルゲル法等のプロセスを採用することもできる。
さらに、金属酸化物半導体(半導体部2)をナノチューブ等の中空構造や多孔体構造とすることも可能である。金属酸化物半導体をナノチューブ等の中空構造や多孔体構造とすることで半導体部2の表面積を大きくできるので、光電変換効率を上げることができる。
半導体部2は、単結晶基板により形成することで可視光線を透過するものにできる。また、ガラス基板やフィルム等の基板の表面に成膜して形成することによっても、可視光線を透過するものにできる。なお、半導体部2は、金属酸化物半導体に限定するものではなく、多結晶や単結晶のシリコン系半導体、化合物半導体、有機半導体等を用いることは可能である。また、n型半導体に限定するものではなく、GaP,NiO等のp型半導体を採用することは当然可能である。光電変換素子用部材1を太陽電池に適用する場合、半導体部2にp型半導体を採用すると半導体部2はカソードとして機能し、半導体部2にn型半導体を採用すると半導体部2はアノードとして機能する。
金属体3は、複数の金属ナノ粒子により構成され、半導体部2の一面側に配置されている。金属体3は、半導体部2の表面に形成された金属薄膜を加熱処理する方法により形成される。この方法により金属体3を形成することによって、略球状や回転楕円体状等の金属体3を簡易に形成できる。
なお、金属体3を、半導体微細加工技術を用いて形成することは当然可能である。半導体微細加工技術を用いて金属体3を形成することにより、金属体3を、略球状、回転楕円体状、錘状、ロッド状等の制御された形状にすることができる。例えば、短辺約100nm、長辺約200nm、高さ約40nmの金(Au)のナノロッドを約100nmの間隔で半導体部2の表面に配列した場合、波長800nm以上の赤外線を吸収(電気エネルギーに変換)することが可能となる。金属体3による赤外線の吸収は局在型表面プラズモン共鳴によるものであると推察している。
局在型表面プラズモン共鳴によれば、照射された波長の光の波長が共鳴条件を満たした場合、金属体3表面の自由電子が集団的に移動し、光のエネルギーを電磁気学的なエネルギーとして蓄える。蓄えられた強い電磁場が金属中の電子を励起することにより、半導体への電子注入とそれに基づく電荷分離が誘起され、結果として電気エネルギーに変換される。局在型表面プラズモン共鳴を示す波長は、金属体3の形状やサイズ等に依存するので、これらを適宜設定することにより、例えば450〜1300nmの極めて広い波長範囲の光を電気エネルギーに変換することが可能である。
なお、金属体3は材質をAuに限定するものではなく、局在型表面プラズモン共鳴を発現するAg,Cu,Al等の他の金属を採用することは当然可能である。また、金属のナノ構造の形状、サイズ、ピッチ等を限定するものでもなく、これらは、光の波長に応じて適宜設定することが可能である。
半導体部2は、金属体3が一面側に形成される前に、光電変換効率を向上させるために不純物元素が導入される。不純物元素としては、ドナー又はアクセプタとして半導体部2にドープされる元素以外の元素が用いられる。そのような不純物元素としては、V,Cr,Mn,Fe,Ni,Cu,Zn,Nb,Au等が採用される。ドナー又はアクセプタとなる元素は半導体部2の種類に応じて異なるので、不純物元素も半導体部2の種類に応じて適宜選択される。本実施の形態では、金属体3が配置される一面側から不純物元素がイオン注入により導入される。イオン注入により不純物元素が半導体部2に導入されると、半導体部2内の不純物元素の量や深さを正確に制御できる。これにより不純物元素の導入効果の再現性を向上できる。
イオン注入の場合、不純物元素および半導体部2の材質が決まると、注入条件は注入エネルギー及びドーズ量によって決まる。不純物元素および半導体部2の材質にもよるが、注入エネルギーとしては80keV以上400keV以下が好適であり、ドーズ量としては5×1011個/cm以上5×1014個/cm以下が好適である。
注入エネルギーが80keVより小さくなると、不純物元素の注入深さが浅くなり、導入された不純物元素と半導体部2との相互作用が低下するので、光電変換効率を向上させ難くなる。一方、注入エネルギーが400keVより大きくなると、イオン注入により形成される半導体部2内の格子欠陥の濃度が高くなり、半導体部2の結晶格子を回復させるアニールに要する工数が増加する。また、イオン注入装置が大型化して設備費が高額化するので、工業的にみて採算上の合理性がなくなる。
また、ドーズ量が5×1011個/cmより少なくなると、光電変換効率にばらつきが生じ易くなる傾向がみられる。一方、ドーズ量が5×1014個/cmより多くなると、処理工数が大きくなるので工業的な採算上の合理性がなくなる。また、半導体部2の組織が破壊されるので、かえって光電変換効率が低下することも予想される。
イオン注入により不純物元素が導入された半導体部2は、金属体3が配置される一面側から20nm以上150nm以下の深さ位置に極大値を有するように、不純物元素の濃度分布が形成されることが望ましい。金属体3が配置される半導体部2の一面側の不純物濃度を高め、金属体3との相乗効果により光電変換効率を効率良く向上できるからである。
なお、不純物元素の濃度分布の極大値を示す深さ位置における不純物元素の質量濃度は、不純物元素や半導体部2の種類にもよるが、0.0001wt%以上0.1wt%以下、好ましくは0.001wt%以上0.01wt%以下であることが望ましい。質量濃度が0.001wt%より小さくなるにつれ、光電変換効率にばらつきが生じ易くなる傾向がみられる。質量濃度が0.01wt%より大きくなるにつれ、半導体部2の組織が破壊され、光電変換効率が低下する傾向がみられる。特に、質量濃度が0.0001wt%より小さくなるか0.1wt%より大きくなると、これらの傾向が著しくなる。
不純物元素は、80keV以上400keV以下の複数の異なる注入エネルギーによって半導体部2に多段的に注入することが可能である。半導体部2に注入される不純物元素の注入深さは注入エネルギーで決まるので、注入エネルギーを変えて多段的に注入することにより、深さ方向に広い分布をもった注入領域が形成される。80keV以上400keV以下のイオンを多段注入することにより、金属体3が配置される半導体部2の表面(一面)から10〜150nmの深さの範囲に広く不純物元素が分散する。これにより半導体部2の一面側の不純物濃度を高め、金属体3と不純物元素との相乗効果により光電変換効率を向上できる。但し、光電変換効率の向上に寄与しない不純物元素の割合が増加するので、採算性が低下する。
また、基板(図示せず)の表面に膜状の半導体部2の合成と、不純物元素のイオン注入とを交互に複数回繰り返す方法を採用することも可能である。この方法の場合には、注入深さに制限はなく、任意厚さの不純物元素注入相を形成することができる。
イオン注入後、半導体部2はアニールが施される。アニールは、イオン注入に伴って生じた半導体部2の格子欠陥を減少させることで、注入された不純物元素を結晶格子に固定し活性化させるために行われる。アニールは、炉内で半導体部2を加熱する方法やレーザ光を半導体部2に照射する方法等によって行われる。アニールの温度は、半導体部2の材質にもよるが、400〜800℃に設定される。アニールは、真空中、大気中、不活性ガス中などの種々の雰囲気で行うことが可能である。
なお、アニールは、通常、イオン注入の後に行われるが、イオン注入とアニールとを同時に行うことは可能である。イオン注入とアニールとを同時に行う場合には、半導体部2を所定のアニール温度に保持しつつイオン注入が行われる。また、イオン注入を行うと同時にイオンが注入された部位にレーザ光を照射することで、イオン注入とアニールとを同時に行うことも可能である。
本実施の形態では、イオン注入によって不純物元素が半導体部2に意図的に導入される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の方法によって不純物元素を半導体部2に意図的に導入することは当然可能である。他の方法としては、例えば、熱拡散法(不純物元素を含むガスを高温にして半導体部2に吹き付け拡散させる方法)、プラズマやレーザを用いる方法、半導体部2を構成する出発原料に不純物元素を混合し、気相法やゾルゲル法等の液相法等によって半導体部2を調製する方法が挙げられる。
以上のように、意図的に不純物元素を半導体部2に導入することによって、不可避不純物等の影響を受け難くすることができ、光電変換効率を安定して向上できる。また、気相法や液相法によれば不純物元素の量(濃度)を制御しつつ半導体部2を調製できる。特に、気相法によれば、不純物元素および半導体部2を構成する元素を積層して半導体部2を調製することができるので、半導体部2の表面からの深さ位置における不純物元素の濃度の制御も可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
半導体部として厚さ0.5mmのTiO単結晶(n型半導体)を用いた。イオン注入装置を用い、表1に示す条件で各半導体部の一面側に室温でイオン注入を行い、各半導体部に不純物元素(Cr,Fe又はAu)を導入した。
Figure 2014192388
なお、この条件でイオン注入された不純物元素の深さ方向濃度分布をStopping and Range of Ions Matter(SRIM)と呼ばれる計算手法により計算した。図2はSRIMによる不純物元素の深さ方向濃度分布の計算結果である。図2に示すように、Cr,Fe及びAuはいずれも半導体部の表面から約60nmの深さ位置(ピーク深さ)に濃度分布の極大値(ピーク濃度)を有する。表1に示すように、Feのドーズ量は他の不純物元素(Cr,Au)のドーズ量と比較して約1/10なので、図2に示す深さ約60nmにおけるFeのピーク濃度は、Cr,Auのピーク濃度と比較して約1/10である。
イオン注入によって半導体部に不純物元素を導入した後、半導体部を窒素ガス中で450℃に加熱してアニールを行った。図3は、アニール後の半導体部について、二次イオン質量分析法(SIMS)により測定した不純物元素(Cr,Fe)の深さ方向濃度分布である。
図3に示すように、Cr,Feは約60nmの深さ位置にピーク濃度を有する点、Feのピーク濃度はCrのピーク濃度の約1/10である点は、計算結果(図2参照)と一致した。Auの深さ方向濃度分布は測定していないが、Cr及びFeのピーク深さ及びピーク濃度の計算結果(図2)が実測結果(図3)とほぼ一致することから、Auのピーク深さ及びピーク濃度も計算結果とほぼ同じであると推測される。
なお、図3に示すFeの濃度分布において、約100nm以上の深部における測定上の濃度値が略一定値を示すのは、その深部のFeの実際の濃度が、この実験に使用したSIMSによるFeの検出限界を下回ったからであると推察される。
次に、アニールを施した半導体部の一面側(イオン注入を行った側)に、スパッタリングによって3nmの厚さになるようにAuを成膜した。Au膜が形成された半導体部を炉内で窒素ガス中800℃に加熱した。この加熱により、Au電子は基板(半導体部)の表面を移動し、Au膜は表面張力により略球状や回転楕円体状等の形状へ変化し、半導体部の一面側に複数の微細な金属体が配置された。これにより、不純物元素が導入された半導体部に金属体が配置された光電変換素子用部材が得られた。
次に、得られた光電変換素子用部材を用いた光電変換素子の光電変換効率を測定した。図4を参照して、光電変換効率の測定方法について説明する。図4は光電変換素子用部材1を用いた太陽電池を目的とする光電変換素子の光電変換効率の測定回路を示す模式図である。
図4に示すように、半導体部2の背面(金属体3が配置された一面側の反対面)に、Cu板からなる電極4が設けられる。電極4と半導体部2との間には、オーミック接触を確保するために半導体部2に擦り付けられたIn−Ga合金と、In−Ga合金と接触させるために電極4に塗布されたAgペーストとが設けられている。
半導体部2の一面側(金属体3側)に透明な液容器5が配置される。液容器5にはPt製の電極6が配置され、電解液(0.1mol/LのKClO水溶液)が充填される。半導体部2の一面側および電極6間は電解液に浸漬される。光電変換素子用部材1及び電極4を作用電極、電極6を対極とし、飽和カロメル電極(図示せず)を参照電極とする。これが光電変換効率の測定回路である。
キセノン光源(図示せず)から照射された光をバンドパスフィルタ(波長600nm、半値全幅が約10nm)を通して液容器5に入射すると、液容器5を通過して光が半導体部2に達する。そうすると、金属体3に光が吸収されて電気エネルギーに変換される。光電変換によって生じた半導体部2の電子は、電極4から電極6に移動する一方、液容器5内の電解液で生じる電気化学的な酸化還元反応によって、電極6から電解液を経て半導体部2に移動する。電気化学アナライザを用いて電極4(作用電極)と電極6(対極)との間の電流(短絡電流)を測定することで、光電変換効率を算出できる。
単色光あたりの光電変換効率は、照射光量に対して得られた電子数から求められる。その波長依存性を示したものが分光感度特性(IPCE)であり、JIS C8936を準拠して式1で表すことができる。
IPCE(%)=1240×Jph/(λ×Φ)×100 …式1
但し、式1に示すJphは単色光照射下での短絡電流密度(mA/cm)であり、短絡電流を有効受光面積で除したものである。また、λは波長(nm)であり、Φは照射単色光の強度(mW/cm)である。ここでは、半導体部に光を照射してから5秒後の分光感度特性(IPCE)を算出し、IPCEを評価することで光電変換効率を評価する。
図5は半導体部2に導入した不純物元素と分光感度特性(IPCE)との関係を示す図である。図5において、横軸はイオン注入によって半導体部に導入された不純物元素の種類(Cr,Fe,Au)を示す。但し、「None」は不純物元素が導入されていない比較例における光電変換素子用部材を示す。
比較例における光電変換素子用部材は、厚さ0.5mmのTiO単結晶に、スパッタリングによって3nm厚さのAu膜を形成した後、炉内で窒素ガス中800℃に加熱し、Au膜を溶融・固化させたものである。比較例における光電変換素子用部材は、イオン注入およびアニールが施されていない以外は、実施例における光電変換素子用部材と同一に調製されている。
図5の縦軸は、比較例における光電変換素子用部材(サンプル数は7)のIPCEの平均値を1としたときの各実施例におけるIPCEの比率である。実施例における光電変換素子用部材の各サンプル数は3〜5である。
図5に示すように実施例における分光感度特性(IPCE)は、比較例(None)に対し、Crの導入により1.8倍、Feの導入により1.5倍、Auの導入により1.3倍となった。以上のように、実施例における光電変換素子用部材は、不純物元素が導入されていない比較例に対してIPCEの増加が顕著である。従って、本実施例によれば、半導体部に所定の不純物元素を導入することによって光電変換効率を向上できることが明らかである。このメカニズムは検討中である。
特に、半導体部にCrを導入することにより、不純物元素が導入されていない比較例に対して、IPCEを1.8倍にできることがわかった。また、半導体部にFeを導入することにより、光電変換素子用部材の材料コストを低減しつつ環境負荷を小さくできると共に、不純物元素が導入されていない比較例に対して、IPCEを1.5倍にできることもわかった。また、Feは、Crをイオン注入するときのドーズ量の約1/10のドーズ量でIPCEを向上できることが確認された。
なお、この実施例では説明を省略するが、V,Mn,Ni,Cu,Nb,Znの各不純物元素をイオン注入によってTiO単結晶に導入した場合にも、説明した実施例と同様に、IPCEが増大することは予測される。また、TiO単結晶以外に、気相法により合成したTiO多結晶においてもCr,Fe,Au等の不純物元素を導入することで、光電変換素子用部材のIPCEを向上できることは予測される。さらに、TiO以外に、他の金属酸化物半導体(ZnO,SnO,Nb等)においても、不純物元素(Cr,Fe,Au等)の導入によってIPCEを向上できることが予測される。
以上、実施の形態および実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。また、上記実施の形態および実施例で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記実施の形態では、太陽電池としての分光感度特性(IPCE)を測定することよって光電変換素子用部材を評価したが、太陽電池に適用されるものに光電変換素子用部材を限定するものではない。例えば、光検出器等の他の光電変換素子を目的とする光電変換素子用部材に適用することは当然可能である。
1 光電変換素子用部材
2 半導体部
3 金属体

Claims (5)

  1. 板状または膜状に形成された半導体部と、
    その半導体部にドナー又はアクセプタとしてではなく導入された所定の不純物元素と、
    前記半導体部の一面側に配置された複数の微細な金属体とを備え、プラズモン共鳴を利用することを特徴とする光電変換素子用部材。
  2. 前記不純物元素は、前記半導体部に意図的に導入されていることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子用部材。
  3. 前記不純物元素は、イオン注入により前記半導体部の格子欠陥を伴って導入されアニールが施されることを特徴とする請求項2記載の光電変換素子用部材。
  4. 前記不純物元素は、Feであることを特徴とする請求項3記載の光電変換素子用部材。
  5. 前記半導体部は、前記金属体が配置される一面側から20nm以上150nm以下の深さ位置に、導入された前記不純物元素の濃度分布の極大値を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子用部材。
JP2013067488A 2013-03-27 2013-03-27 光電変換素子用部材 Pending JP2014192388A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013067488A JP2014192388A (ja) 2013-03-27 2013-03-27 光電変換素子用部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013067488A JP2014192388A (ja) 2013-03-27 2013-03-27 光電変換素子用部材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014192388A true JP2014192388A (ja) 2014-10-06

Family

ID=51838371

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013067488A Pending JP2014192388A (ja) 2013-03-27 2013-03-27 光電変換素子用部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014192388A (ja)

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09262482A (ja) * 1996-01-22 1997-10-07 Sekiyu Sangyo Kasseika Center 光触媒、光触媒の製造方法および光触媒反応方法
JPH11197512A (ja) * 1998-01-08 1999-07-27 Sumitomo Chem Co Ltd 光触媒薄膜、光触媒反応方法、並びに光触媒薄膜の製造方法
JP2000123778A (ja) * 1998-10-14 2000-04-28 Hitachi Ltd イオン注入装置およびイオン注入方法
JP2005044758A (ja) * 2003-07-25 2005-02-17 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 可視光応答性の膜状多孔質半導体光電極
JP2007052933A (ja) * 2005-08-15 2007-03-01 Institute Of National Colleges Of Technology Japan チタニア粒子のイオン注入方法及びイオン注入したチタニア薄膜電極の製造方法
JP2007265694A (ja) * 2006-03-27 2007-10-11 Japan Science & Technology Agency 色素増感型太陽電池及びその製造方法
JP2009129552A (ja) * 2007-11-20 2009-06-11 Konica Minolta Holdings Inc 色素増感型太陽電池
JP2010225478A (ja) * 2009-03-24 2010-10-07 Ulvac Japan Ltd 光電変換素子及びその製造方法
WO2011027830A1 (ja) * 2009-09-07 2011-03-10 国立大学法人北海道大学 光電変換装置、光検出装置、及び光検出方法
JP2011187426A (ja) * 2010-03-11 2011-09-22 Sony Corp 色素増感型光電変換装置
JP2012216755A (ja) * 2011-03-28 2012-11-08 Toshiba Corp 光電変換素子

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09262482A (ja) * 1996-01-22 1997-10-07 Sekiyu Sangyo Kasseika Center 光触媒、光触媒の製造方法および光触媒反応方法
US6077492A (en) * 1996-01-22 2000-06-20 Petroleum Energy Center Photocatalyst, process for producing the photocatalyst, and photocatalytic reaction method
JPH11197512A (ja) * 1998-01-08 1999-07-27 Sumitomo Chem Co Ltd 光触媒薄膜、光触媒反応方法、並びに光触媒薄膜の製造方法
JP2000123778A (ja) * 1998-10-14 2000-04-28 Hitachi Ltd イオン注入装置およびイオン注入方法
JP2005044758A (ja) * 2003-07-25 2005-02-17 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 可視光応答性の膜状多孔質半導体光電極
JP2007052933A (ja) * 2005-08-15 2007-03-01 Institute Of National Colleges Of Technology Japan チタニア粒子のイオン注入方法及びイオン注入したチタニア薄膜電極の製造方法
JP2007265694A (ja) * 2006-03-27 2007-10-11 Japan Science & Technology Agency 色素増感型太陽電池及びその製造方法
JP2009129552A (ja) * 2007-11-20 2009-06-11 Konica Minolta Holdings Inc 色素増感型太陽電池
JP2010225478A (ja) * 2009-03-24 2010-10-07 Ulvac Japan Ltd 光電変換素子及びその製造方法
WO2011027830A1 (ja) * 2009-09-07 2011-03-10 国立大学法人北海道大学 光電変換装置、光検出装置、及び光検出方法
JP2011187426A (ja) * 2010-03-11 2011-09-22 Sony Corp 色素増感型光電変換装置
JP2012216755A (ja) * 2011-03-28 2012-11-08 Toshiba Corp 光電変換素子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Rothmann et al. Microstructural characterisations of perovskite solar cells–from grains to interfaces: Techniques, features, and challenges
Howard et al. Humidity-induced photoluminescence hysteresis in variable Cs/Br ratio hybrid perovskites
Chu et al. Fabrication and characterization of Ni-Doped ZnO nanorod arrays for UV photodetector application
Van Hieu Comparative study of gas sensor performance of SnO2 nanowires and their hierarchical nanostructures
Lee et al. Anodic nanotubular/porous hematite photoanode for solar water splitting: substantial effect of iron substrate purity
Hu et al. Large-scale and rapid synthesis of ultralong ZnO nanowire films via anodization
Gupta et al. Doping-induced room temperature stabilization of metastable β-Ag2WO4 and origin of visible emission in α-and β-Ag2WO4: low temperature photoluminescence studies
Nakajima et al. Rapid formation of black titania photoanodes: pulsed laser-induced oxygen release and enhanced solar water splitting efficiency
Mao et al. Synthesis and photoelectrochemical cell properties of vertically grown α-Fe 2 O 3 nanorod arrays on a gold nanorod substrate
Jeong et al. Transparent zirconium-doped hematite nanocoral photoanode via in-situ diluted hydrothermal approach for efficient solar water splitting
Barison et al. Characterisation of surface oxidation of nickel–titanium alloy by ion-beam and electrochemical techniques
Guo et al. ZnO@ TiO2 core–shell nanorod arrays with enhanced photoelectrochemical performance
Cen et al. New aspects of improving the performance of WO 3 thin films for photoelectrochemical water splitting by tuning the ultrathin depletion region
Ruff et al. Visible light photo response from N-doped anodic niobium oxide after annealing in ammonia atmosphere
Alfakes et al. Enhanced photoelectrochemical performance of atomic layer deposited Hf-doped ZnO
Soares et al. Understanding the fundamental electrical and photoelectrochemical behavior of a hematite photoanode
Abdellaoui et al. Photocarrier recombination dynamics in BiVO4 for visible light-driven water oxidation
Bak et al. Photoelectrochemical Performances of Hematite (α‐Fe2O3) Films Doped with Various Metals
Al Saqri et al. Investigation of defects in indium doped TiO2 thin films using electrical and optical techniques
Kim et al. Enhanced photocatalytic activity of TiO 2 modified by e-beam irradiation
Murkute et al. Effects of phosphorus implantation time on the optical, structural, and elemental properties of ZnO thin films and its correlation with the 3.31-eV peak
Kolodziejak et al. When eutectic composites meet photoelectrochemistry–Highly stable and efficient UV–visible hybrid photoanodes
Ruan et al. Simultaneous doping and growth of Sn-doped hematite nanocrystalline films with improved photoelectrochemical performance
Li et al. Preparation of CuInS2/TiO2 nanotube heterojunction arrays electrode and investigation of its photoelectrochemical properties
Luo et al. Effects of Ag-ion implantation on the performance of DSSCs with a tri-layer TiO 2 film

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160804

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161220

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170627