JPH11189643A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法

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JPH11189643A
JPH11189643A JP9361238A JP36123897A JPH11189643A JP H11189643 A JPH11189643 A JP H11189643A JP 9361238 A JP9361238 A JP 9361238A JP 36123897 A JP36123897 A JP 36123897A JP H11189643 A JPH11189643 A JP H11189643A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】反応初期段階から効率的に反応を行うことがで
き、色相に優れ、成形時の熱安定性、色相安定性などに
優れ、さらに耐水性にも優れたポリカーボネートを安定
して得ることができる。 【解決手段】ビスフェノール類と炭酸ジエステルとを、
予めビスフェノール類中に添加した(a) アルカリ金属化
合物および/またはアルカリ土類金属化合物を触媒とし
て溶融重縮合させてポリカーボネートを製造するに際し
て、前記ビスフェノール類中に含まれる(a) アルカリ金
属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物の触媒
として有効に作用する触媒有効量が、純粋なビスフェノ
ールA1モルに対して、ビスフェノールAの2Na塩と
して1×10-8〜1×10-6モルの範囲の量であるとき
と同様な触媒活性を有する量となるように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明はポリカーボネートの製造方
法に関し、さらに詳しくは色相に優れるとともに、成形
時の熱安定性、色相安定性などの滞留安定性、透明性お
よび耐水性に優れたポリカーボネートを効率よく製造す
ることができるようなポリカーボネートの製造方法に関
する。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリカーボネートは、耐衝撃性な
どの機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性などにも
優れており、各種機械部品、光学用ディスク、自動車部
品などの用途に広く用いられている。
【0003】このようなポリカーボネートは、従来、ビ
スフェノールAなどのビスフェノール類とホスゲンとを
直接反応させる方法(界面法)、あるいはビスフェノー
ル類とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルと
をエステル交換反応させる方法(溶融法、固相重合法)
によって製造されている。
【0004】これらのうちでもエステル交換法(溶融
法)は、界面法と比較して安価にポリカーボネートを製
造することができるという利点を有しており、またホス
ゲンあるいは塩化メチレンなどの毒性物質を用いないの
で環境衛生上も好ましく、近年特に注目されている。
【0005】このような溶融法によるポリカーボネート
の製造方法では、ビスフェノール類と炭酸ジエステルと
を、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金
属化合物からなる触媒の存在下に反応させるが、生成し
たポリカーボネートは製造工程中に長時間高温に晒され
るため、ポリカーボネートが着色してしまうことがあ
る。このような着色は、上記アルカリ(土類)金属化合
物の量が多量である場合に発生しやすくなるため、たと
えば本出願人は特公平6―92529号公報で提案した
溶融重縮合法によるポリカーボネートの製造方法では、
ビスフェノール類1モルに対して10-7〜10-6モル程
度の量で用いている。
【0006】また反応原料も、通常精製して溶融重縮合
反応に供されるが、特に上記のような触媒量の反応系で
は、反応原料に含まれるアルカリ性あるいは酸性を示す
不純物がポリカーボネートの生成反応速度および生成ポ
リカーボネートの物性などに大きな影響を与えるため、
このような不純物の量を反応に影響のない程度まで低減
するかあるいは制御することが重要である。
【0007】上記反応原料のうち、ジフェニルカーボネ
ートなどの炭酸ジエステル類は、蒸留などにより比較的
容易に精製することができる。一方ビスフェノール類
は、一般的にフェノール類とケトン類とを、塩酸などの
鉱酸あるいは強酸性イオン交換樹脂などの酸性触媒の存
在下に反応させることにより製造されるが、これら鉱酸
あるいは強酸性イオン交換樹脂から溶出した酸性物質が
微量残留する。具体的には、触媒として強酸性イオン交
換樹脂を用いてビスフェノール類を製造する場合には、
強酸性イオン交換樹脂触媒から微量の酸性物質が溶出し
てくることがあった。また鉱酸触媒を用いてビスフェノ
ール類を製造する場合には、得られるビスフェノール類
から酸性物質を除去しているが、この酸性物質を完全に
除去することは困難であった。
【0008】このようにして得られる原料ビスフェノー
ル類中の酸性物質量は、一般的に商業プラントで生産さ
れるもので2ppm 以下(酸滴定によるp-トルエンスルホ
ン酸換算)であるとされているが、このような量であっ
ても上記のように極微量のアルカリ(土類)金属化合物
を触媒とする溶融法によるポリカーボネートの製造にお
いては、原料ビスフェノール類中に含まれる酸性物質に
よって重合速度が大きく変化したり、得られるポリマー
の物性が低下するなどの問題が生じやすく、その影響は
無視できない。
【0009】このようなビスフェノール類の精製は、蒸
留により高沸点留分の除去時に熱分解を伴いやすいため
容易ではなく、一般的にはたとえばビスフェノールAは
フェノールとの付加体を生成させる方法により精製され
ている。
【0010】本願出願人も先に、特開平8−18384
4号公報において、溶融法によりポリカーボネートを製
造するに際して、上記のような付加体生成法によるビス
フェノール類の精製時に、予め触媒としてのアルカリ
(土類)金属化合物をビスフェノール類に添加し、この
アルカリ(土類)金属化合物を含むビスフェノール類を
溶融重縮合反応に供することを提案した。具体的には、
(1) 粗製ビスフェノール類とフェノール類との付加体を
形成し、(2) 得られた付加体に、触媒としてのアルカリ
(土類)金属化合物をビスフェノール類1モルに対して
5×10-8〜2×10-6モルの量で添加して、分散また
は溶解した後、(3) 該付加体からフェノール類を除去
し、(4) 得られたビスフェノール類を用いてポリカーボ
ネートを製造することを提案した。このような方法によ
れば、精製されたビスフェノール類を反応に供すること
ができるとともに、該ビスフェノール類は触媒を含んで
いるので溶融重縮合反応を反応初期段階から効率よく行
なうことができる。
【0011】ところで上記の公報では、触媒としてのア
ルカリ(土類)金属化合物をビスフェノール類1モルに
対して上記のような範囲内の一定量で添加していた。し
かしながら一定量のアルカリ(土類)金属化合物を原料
ビスフェノール類に添加したのでは、ポリカーボネート
の生成速度および得られるポリカーボネートの色相など
にばらつきを生じることを見出した。このような問題点
を解決すべく鋭意研究したところ、原料ビスフェノール
類中に含まれる酸性物質の量が変化しているためである
ことを見出して、本発明を完成するに至った。
【0012】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑み
てなされたものであり、ビスフェノール類と炭酸ジエス
テルとを、ある範囲量の有効触媒量下で安定して溶融重
縮合させることができ、また反応初期段階から効率的に
反応を行うことができ、しかも色相に優れ、成形時の熱
安定性、色相安定性などにも優れ、さらには耐水性にも
優れたポリカーボネートを得ることができるようなポリ
カーボネートの製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0013】
【発明の概要】本発明に係るポリカーボネートの製造方
法は、ビスフェノール類と炭酸ジエステルとを、予めビ
スフェノール類中に添加した(a) アルカリ金属化合物お
よび/またはアルカリ土類金属化合物を触媒として溶融
重縮合させ、ポリカーボネートを製造するに際して、前
記ビスフェノール類中に含まれる(a) アルカリ金属化合
物および/またはアルカリ土類金属化合物の触媒として
有効に作用する触媒有効量が、純粋なビスフェノールA
1モルに対して、ビスフェノールAの2Na塩として1
×10-8〜1×10-6モルの範囲の量であるときと同様
な触媒活性を有する量となるように、前記(a) アルカリ
金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物のビ
スフェノール類への添加量を制御して、得られたビスフ
ェノール類を連続的に溶融重縮合反応に供することを特
徴としている。
【0014】本発明では、上記触媒有効量を、上記ビス
フェノールAの2Na塩として1×10-8〜1×10-6
モルの範囲内から選ばれる特定値の10%以内に制御す
ることができる。
【0015】上記のようなビスフェノール類の触媒有効
量は、該ビスフェノール類中に含まれる(a) アルカリ金
属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物をエス
テル交換反応触媒として、該ビスフェノール類と炭酸ジ
エステルとをエステル交換反応させたときのエステル交
換反応度から求めることができる。
【0016】前記ビスフェノール類に添加する(a) アル
カリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物
の量を、前記エステル交換反応度から求められるビスフ
ェノール類の触媒有効量に基づいて制御することができ
る。
【0017】本発明の好ましい態様では、フェノール類
とケトン類との反応によって得られるビスフェノール類
と、フェノール類とから、これらの付加体あるいは該付
加体とフェノール類との混合物を形成し、該付加体ある
いは混合物からフェノール類を除去して、精製ビスフェ
ノール類を前記溶融重縮合反応に供するに際して、上記
付加体、該付加体とフェノール類との混合物あるいは精
製ビスフェノール類に、(a) アルカリ金属化合物および
/またはアルカリ土類金属化合物を添加して、(a) アル
カリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物
を前記触媒有効量で含む精製ビスフェノール類を前記溶
融重縮合反応に供している。
【0018】本発明では、溶融重縮合反応に供されるビ
スフェノール類の高速液体クロマトグラフィーで測定さ
れる純度は99重量%以上であることが望ましい。上記
ビスフェノール類はビスフェノールAであることが好ま
しい。
【0019】また本発明に係るポリカーボネートの製造
方法では、上記のような溶融重縮合反応によって得られ
た[A]ポリカーボネートが溶融状態にある間に、
[B]pKa値が3以下であるイオウ含有酸性化合物お
よび/または該酸性化合物から形成される誘導体を、
(a) アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金
属化合物の触媒量の1〜20モル倍の量で、さらに必要
に応じて[C]水をポリカーボネートに対して5〜10
00ppm の量で添加して混練することもできる。
【0020】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るポリカーボネ
ートの製造方法について具体的に説明する。本発明に係
るポリカーボネートの製造方法では、ビスフェノール類
と炭酸ジエステルとを、予めビスフェノール類中に添加
した(a) アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土
類金属化合物(以下(a) アルカリ(土類)金属化合物と
もいう)を触媒として溶融重縮合させ、ポリカーボネー
トを製造するに際して、上記ビスフェノール類中に含ま
れる(a) アルカリ(土類)金属化合物の溶融重縮合触媒
として有効に作用する触媒有効量が、純粋なビスフェノ
ールA1モルに対して、ビスフェノールAの2Na塩と
して1×10-8〜1×10-6モルの範囲の量であるとき
と同様な触媒活性を有するように、上記(a) アルカリ
(土類)金属化合物のビスフェノール類への添加量を制
御して、得られたビスフェノール類を連続的に溶融重縮
合反応に供している。
【0021】本発明では、ビスフェノール類と炭酸ジエ
ステルとを溶融重縮合させるに際して、上記のように予
めビスフェノール類中に(a) アルカリ(土類)金属化合
物を添加して、(a) アルカリ(土類)金属化合物を触媒
有効量で含むビスフェノール類を溶融重縮合工程に供し
ている。まずこのような(a) アルカリ(土類)金属化合
物を含むビスフェノール類の製造工程について説明す
る。
【0022】ビスフェノール類の製造 本発明でビスフェノール類と炭酸ジエステルとを溶融重
縮合反応に供されるビスフェノール類は、特に限定され
ないがたとえば下記式[I]で示される。
【0023】
【化1】
【0024】上記のような式[I]で示されるビスフェ
ノール類としては、具体的には、1,1-ビス(4-ヒドロキ
シフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパ
ン(以下ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ
フェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)
オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、ビス
(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス
(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビ
ス(4-ヒドロキシ-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-
ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパンなど
のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1-ビス
(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス
(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス
(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類などが挙げら
れる。
【0025】また本発明では、上記式中、Xが−O−、
−S−、−SO−または−SO2−であるようなビスフ
ェノール類も挙げられ、たとえば4,4'-ジヒドロキシジ
フェニルエーテル、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチル
フェニルエーテルなどのビス(ヒドロキシアリール)エ
ーテル類、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルフィ
ドなどのビス(ヒドロキシジアリール)スルフィド類、
4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'-ジヒ
ドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルホキシドなどの
ビス(ヒドロキシジアリール)スルホキシド類、4,4'-
ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'-ジヒドロキシ-
3,3'-ジメチルジフェニルスルホンなどのビス(ヒドロ
キシジアリール)スルホン類などを挙げることもでき
る。
【0026】またビスフェノール類として下記式[II]
で示される化合物も挙げられる。
【0027】
【化2】
【0028】(式中、Rf はハロゲン原子または炭素数
1〜10の炭化水素基またはハロゲン置換炭化水素基で
あり、nは0〜4の整数である。nが2以上のとき、R
f は同一であっても異なっていてもよい。) この式[II]で示されるビスフェノール類としては、具
体的に、レゾルシンおよび3-メチルレゾルシン、3-エチ
ルレゾルシン、3-プロピルレゾルシン、3-ブチルレゾル
シン、3-t-ブチルレゾルシン、3-フェニルレゾルシン、
3-クミルレゾルシン、2,3,4,6-テトラフルオロレゾルシ
ン、2,3,4,6-テトラブロムレゾルシンなどの置換レゾル
シン、カテコール、ハイドロキノンおよび3-メチルハイ
ドロキノン、3-エチルハイドロキノン、3-プロピルハイ
ドロキノン、3-ブチルハイドロキノン、3-t-ブチルハイ
ドロキノン、3-フェニルハイドロキノン、3-クミルハイ
ドロキノン、2,3,5,6-テトラメチルハイドロキノン、2,
3,5,6-テトラ-t-ブチルハイドロキノン、2,3,5,6-テト
ラフルオロハイドロキノン、2,3,5,6-テトラブロムハイ
ドロキノンなどの置換ハイドロキノンを挙げることがで
きる。
【0029】ビスフェノール類としては、さらに下記式
で示される2,2,2',2'-テトラヒドロ-3,3,3',3'-テトラ
メチル-1,1'-スピロビ-[IH-インデン]-6,6'-ジオール
を用いることもできる。
【0030】
【化3】
【0031】これらのうちでも、上記式[I]で示され
るビスフェノール類が好ましく、特にビスフェノールA
が好ましい。上記のようなビスフェノール類は、フェノ
ール類とケトン類とを酸性触媒の存在下に縮合反応させ
る公知のビスフェノール類の生成反応により得ることが
できる。フェノール類としては、たとえば上記式[I]
中Xで結合していない構造のフェノール類が用いられ
る。また上記のようなビスフェノール類を得ることがで
きれば、フェノール類とホルムアルデヒド、スルホン酸
類などとを縮合反応させてもよい。
【0032】本発明では、フェノール類とケトン類との
反応により生成するビスフェノール類に、触媒有効量の
(a) アルカリ(土類)金属化合物を含ませるが、本発明
の好ましい態様例では、以下に示すような工程(1)〜(7)
および必要に応じて工程(8)により、フェノール類とケ
トン類との反応によって前記式[I]で示されるビスフ
ェノール類を生成させ、得られたビスフェノール類と、
フェノール類とから、これらの付加体あるいは該付加体
とフェノール類との混合物を形成し、該付加体あるいは
混合物からフェノール類を除去して、精製ビスフェノー
ル類を溶融重縮合反応に供するに際して、上記で得られ
た付加体、該付加体とフェノール類との混合物あるいは
精製ビスフェノール類に、溶融重縮合触媒としての(a)
アルカリ(土類)金属化合物を一定の触媒有効量となる
ように添加する。
【0033】以下、好ましい具体的態様例を、図1に示
すプロセスフローを参照しながら主としてフェノールと
アセトンとの脱水縮合反応によりビスフェノールA(以
下BPAと略すこともある)を製造する場合について説
明する。
【0034】工程(1) 本発明では、まずフェノール類とケトン類とを反応させ
てたとえば上記式[I]で示されるビスフェノール類を
生成させている。
【0035】上記反応では、通常フェノールはアセトン
に対して過剰量で用いられ、フェノールとアセトンとの
モル比(フェノール/アセトン)は、通常3〜30好ま
しくは5〜20であることが望ましい。
【0036】酸性触媒としては、公知の酸性イオン交換
樹脂触媒を特に限定することなく用いることができる
が、通常ゲル型で架橋度が1〜8%好ましくは2〜6%
のスルホン酸型陽イオン交換樹脂が好ましく用いられ
る。
【0037】また塩酸、硫酸などの鉱酸触媒を用いるこ
ともできる。反応は、通常、温度が30〜100℃好ま
しくは50〜90℃、圧力が常圧〜5kg/cm2G の条件
下に行われる。
【0038】上記のようなフェノールとアセトンとの反
応では、通常生成したビスフェノールAとともに未反応
フェノール、未反応アセトン、反応副生水および着色物
質などの反応副生物を含む反応混合物が得られる。
【0039】工程(2) 上記で得られたビスフェノール類を含む反応混合物から
触媒および低沸点物を除去する。
【0040】上記反応触媒として鉱酸を用いたときに
は、反応混合物から低沸点物を蒸留除去するに先立っ
て、水洗などの触媒の分離除去処理を行なう。イオン交
換樹脂触媒が充填された固定床反応器を用いる反応で
は、触媒を含まない反応混合物が得られるので、脱触媒
処理は通常行なわない。
【0041】反応混合物の蒸留は、通常、50〜300
mmHg、70〜130℃の条件下で行われる。この減
圧蒸留では、アセトン、水などの低沸点物とともに、共
沸によりフェノールの一部も除去されることもある。
【0042】工程(3) フェノール類の添加または除去により濃度調整されたビ
スフェノール類の均一溶液を得る。
【0043】フェノール類としてはフェノールが好まし
く用いられ、たとえばビスフェノールAとフェノールと
の付加体を生成させることが好ましい。ビスフェノール
Aとフェノールとの付加体を効率よく晶析させるには、
ビスフェノールAとフェノールとの均一溶液を形成し、
かつ均一溶液中のビスフェノールAの濃度を20〜50
重量%好ましくは30〜45重量%とすることが望まし
い。この均一溶液は、上記付加体からなってもよく、ま
た付加体とフェノールとの混合物からなってもよい。
【0044】工程(4) 上記で得られた均一溶液を冷却し、ビスフェノール類と
フェノール類との付加体を晶析させてスラリーとする。
【0045】ビスフェノールAとフェノールとの均一溶
液は、35〜60℃に冷却することが好ましく、冷却は
外部熱交換器あるいは減圧による除熱などによって行う
ことができる。
【0046】工程(5) 上記で得られたスラリーを固液分離して、ビスフェノー
ル類とフェノール類との付加体を固体で得る。
【0047】スラリーの固液分離は、遠心分離、減圧濾
過などにより行うことができる。固液分離によりビスフ
ェノール類とフェノール類との付加体結晶は、反応副生
物などを含む母液から分離される。分離された付加体
(ウエットケーキ)はたとえばフェノールなどで洗浄し
てもよい。
【0048】工程(6) 上記で得られた固体状付加体を加熱溶融する。上記で分
離された付加体結晶たとえばビスフェノールAとフェノ
ールとの付加体は、通常100〜160℃で加熱溶融し
て、溶融物(液状混合物)とする。
【0049】工程(7) 溶融物からフェノール類を除去する。溶融物(液状混合
物)から減圧蒸留などによってフェノール類を除去して
ビスフェノール類を回収する。蒸留によりフェノールを
留去させるときには、10〜100mmHgの圧力下、
蒸留温度150〜190℃で減圧蒸留を行う。この際、
蒸留塔内に存在するビスフェノールAとフェノールとの
混合液の融点よりも少なくとも10℃高い温度で行われ
る。
【0050】この工程(7) では、さらに特開平2−28
126号公報、特開昭63−132850号公報などに
記載された利用してビスフェノールA中に残存するフェ
ノール類をスチームストリッピングなどにより除去して
もよい。
【0051】工程(8) 上記のようなビスフェノール類の製造工程(7) では、液
状(溶融状態)の精製ビスフェノール類が得られる。本
発明では、このビスフェノール類を液状のまま以下のよ
うなポリカーボネートの製造工程に供給することもでき
るが、一旦ビスフェノール類を冷却、造粒することもで
きる。
【0052】ビスフェノール類の造粒は、上記工程(7)
で得られた液状のビスフェノール類をスプレードライヤ
ーなどを用いて噴霧、滴下、散布等の方法により液滴と
し、これを窒素、空気等によって冷却固化することによ
り行われる。
【0053】上記工程を連続的に行なってビスフェノー
ル類を製造することが好ましい。本発明では、上記のよ
うにしてビスフェノールAを製造するに際して、付加
体、該付加体とフェノール類との混合物あるいは精製ビ
スフェノール類に、触媒としての(a) アルカリ(土類)
金属化合物を添加するが、具体的には工程(3) 〜工程
(7) のうち少なくとも一つの工程において(a) アルカリ
(土類)金属化合物を添加し、かつ溶融重縮合反応に供
されるビスフェノール類中の(a) アルカリ(土類)金属
化合物が後述するような一定の触媒有効量となるように
添加量を制御している。
【0054】(a) アルカリ(土類)金属化合物の添加場
所としては、より具体的には、上記工程(3) で得られる
均一溶液、工程(4) で得られるスラリー、工程(5) で固
液分離された付加体(ウエットケーキ)の洗浄液に、工
程(6) で得られる溶融物(液状混合物)、工程(7) で得
られる溶融ビスフェノール類などを挙げることができ
る。
【0055】(a) アルカリ(土類)金属化合物として
は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の有機酸塩、
無機酸塩、酸化物、水酸化物、水素化物あるいはアルコ
ラートなどが好ましく用いられる。
【0056】具体的には、アルカリ金属化合物として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素
リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウ
ム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ス
テアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステア
リン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ
素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナ
トリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン
酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水
素二リチウム、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、二
カリウム塩、二リチウム塩、フェノール類のナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙げられ、アルカリ
土類金属化合物としては、水酸化カルシウム、水酸化バ
リウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、
炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグ
ネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、
炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウ
ム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウ
ム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステ
アリン酸ストロンチウムなどが挙げられる。これら化合
物を2種以上併用することもできる。
【0057】上記のようなアルカリ(土類)金属化合物
は溶液状態で用いられることが望ましく、たとえばアル
カリ(土類)金属化合物の水溶液、メタノール、エタノ
ールなどのアルコール溶液、フェノール類溶液などで用
いられる。また上記アルカリ(土類)金属化合物を含む
ビスフェノール類を用いることもできる。
【0058】本発明では、上記のようにビスフェノール
類の製造工程において(a) アルカリ(土類)金属化合物
を添加するが、ビスフェノール類が溶融重縮合反応に供
される際の該(a) アルカリ(土類)金属化合物の触媒と
して有効に作用する触媒有効量が、純粋なビスフェノー
ルA1モルに対して、ビスフェノールAの2Na塩とし
て1×10-8〜1×10-6モルの範囲の量であるときと
同様な触媒活性を有する量となるように、前記(a) アル
カリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物
の添加量を制御している。
【0059】ここでビスフェノール類中に添加したアル
カリ(土類)金属化合物の触媒有効量は、通常、滴定に
より直接定量することが考えられるが、上記のように極
微量のNa量に相当する触媒有効量を滴定により測定す
ることは極めて困難である。このようなビスフェノール
類の触媒有効量は、該ビスフェノール類中に含まれるア
ルカリ(土類)金属化合物がエステル交換反応触媒とし
て有効に作用する量として求めることが正確でかつ最適
であると考えられる。
【0060】具体的には、以下のようにして求めること
ができる。予め、ビスフェノール類と炭酸ジエステルと
をエステル交換反応させたときの触媒量(触媒として有
効に作用する量)と、エステル交換反応度との関係を示
す検量線を作成する。この際、純粋なビスフェノール類
1モルに対するビスフェノール類の2Na塩の量を触媒
量とする。なお純粋なビスフェノール類とは、実質的に
酸性または塩基性不純物を含まないビスフェノール類で
ある。エステル交換反応度は、たとえば反応により生成
するフェノール類、オリゴマー、未反応のビスフェノー
ル類または炭酸ジエステルの量などとして求めることが
できる。フェノール類、オリゴマーまたは未反応のビス
フェノール類またはジフェニルカーボネートの量は、近
赤外計、屈折率計、高速液体クロマトグラフィーなどの
分析装置で測定することができる。
【0061】上記で製造されるアルカリ(土類)金属化
合物を含むビスフェノール類と、炭酸ジエステルとを、
検量線を作成する際のエステル交換反応(温度、圧力)
と同一条件下でエステル交換反応させたときのエステル
交換反応度を測定することにより、上記検量線から、ビ
スフェノール類中のアルカリ(土類)金属化合物がエス
テル交換反応触媒として有効に作用した量、すなわち純
粋なビスフェノール類1モルに対してビスフェノール類
の2Na塩含有量と同様な触媒活性を有する量としての
ビスフェノール類の触媒有効量を求める。
【0062】このような触媒有効量の測定は一定時間毎
に行ってもよいが、前記分析装置をビスフェノール類の
製造ラインにオンラインで付設し、製造されるビスフェ
ノール類の触媒有効量を連続的に測定することはさらに
好ましい。
【0063】上記のようにしてビスフェノール類の製造
工程で最終的に得られるビスフェノール類の触媒有効量
を測定し、この測定値に基づいて工程(3) 〜(7)で添加
するアルカリ(土類)金属化合物の添加量を制御するこ
とにより、溶融重縮合に供されるビスフェノール類の触
媒有効量を一定に制御することができる。
【0064】本発明では、上記のように溶融重縮合反応
に供されるビスフェノール類中のアルカリ(土類)金属
化合物の触媒有効量を、ビスフェノール類2Na塩とし
て1×10-8〜1×10-6モル/モル−BPAの範囲の
量であるときと同様な触媒活性を有するように制御して
いるが、この範囲内から選ばれる特定値の10%以内、
好ましくは6%以内に制御することが望ましい。
【0065】また溶融重縮合工程に供されるビスフェノ
ール類の純度は、ビスフェノールAの場合には高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)で測定される純度が9
9重量%以上さらには99.5重量%以上であることが
好ましい。
【0066】上記のようにして(a) アルカリ(土類)金
属化合物を一定の触媒有効量で含むビスフェノール類
は、次いで連続的に溶融重縮合工程に供給される。溶融
重縮合工程には、工程(7) から溶融状態のビスフェノー
ル類が直接供給されてもよく、あるいは工程(8) で造粒
されたビスフェノール類が供給されてもよい。
【0067】溶融重縮合工程には上記のビスフェノール
類を2種以上供することもできる。本発明では、色相に
優れた高純度のビスフェノール類を溶融重縮合工程に供
することができ、これにより色相の良好なポリカーボネ
ートを製造することができる。
【0068】またビスフェノール類は、溶融重縮合触媒
である(a) アルカリ(土類)金属化合物を予め含有して
いる。本発明で触媒として用いられる(a) アルカリ(土
類)金属化合物は極少量であるが、上記のようにビスフ
ェノール類中に予め分散性よく含有されており、したが
ってビスフェノール類と炭酸ジエステルとの溶融重縮合
反応を、少量でかつ均等に分散された触媒の存在下に行
なうことができる。しかもこの(a) アルカリ(土類)金
属化合物の触媒有効量は一定しており、安定して溶融重
縮合反応を行うことができる。
【0069】さらにこのように(a) アルカリ(土類)金
属化合物を予め含有するビスフェノール類を用いると、
ビスフェノール類と炭酸ジエステルの混合溶液に(a) ア
ルカリ(土類)金属化合物を直接添加する従来の方法に
比較して、ビスフェノール類と炭酸ジエステルとの溶融
重縮合反応の初期段階から着色の原因となる副反応物の
生成が抑制されるので、重縮合直後の初期色調に優れた
ポリカーボネートを得ることができる。またビスフェノ
ール類とフェノール類との付加体から、フェノール類が
除去されているので、重縮合工程を煩雑化することなく
効率よく実施することができる。
【0070】なお上記のようなビスフェノール類とフェ
ノール類との付加体あるいは該付加体とフェノール類と
の混合物より、フェノール類を除去してビスフェノール
類を製造する方法は、前述の特開平4−20523号公
報に詳述されている。
【0071】ポリカーボネートの製造 本発明では、上記のようなビスフェノール類と炭酸ジエ
ステルとを、ビスフェノール類中に一定触媒有効量で含
まれる(a) アルカリ(土類)金属化合物の存在下に溶融
重縮合させてポリカーボネートを製造する。
【0072】炭酸ジエステルとしては、具体的には、ジ
フェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス
(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネ
ート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カ
ーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネ
ート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボ
ネートなどを用いることができ、これらを2種以上併用
することもできる。これらのうちでも特にジフェニルカ
ーボネートが好ましく用いられる。
【0073】本発明で用いられる炭酸ジエステル中に
は、ジカルボン酸あるいはジカルボン酸エステルが含有
されていてもよい。具体的に、炭酸ジエステルは、ジカ
ルボン酸あるいはジカルボン酸エステルを好ましくは5
0モル%以下さらに好ましくは30モル%以下の量で含
有していてもよい。
【0074】このようなジカルボン酸あるいはジカルボ
ン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、
テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニルなど
の芳香族ジカルボン酸類、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、セバシン酸ジフェ
ニル、デカン二酸ジフェニル、ドデカン二酸ジフェニル
などの脂肪族ジカルボン酸類、シクロプロパンジカルボ
ン酸、1,2-シクロブタンジカルボン酸、1,3-シクロブタ
ンジカルボン酸、1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,
3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジ
カルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シ
クロヘキサンジカルボン酸、シクロプロパンジカルボン
酸ジフェニル、1,2-シクロブタンジカルボン酸ジフェニ
ル、1,3-シクロブタンジカルボン酸ジフェニル、1,2-シ
クロペンタンジカルボン酸ジフェニル、1,3-シクロペン
タンジカルボン酸ジフェニル、1,2-シクロヘキサンジカ
ルボン酸ジフェニル、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸
ジフェニル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジフェニ
ルなどの脂環族ジカルボン酸類を挙げることができる。
炭酸ジエステルは、これらのジカルボン酸あるいはジカ
ルボン酸エステルを2種以上含有していてもよい。
【0075】本発明では、上記のような炭酸ジエステル
とビスフェノール類とを、重縮合反応させるに際して、
炭酸ジエステルはビスフェノール類1モルに対して、通
常1.0〜1.30モル、好ましくは1.01〜1.20モ
ルの量で用いられることが望ましい。
【0076】また本発明では、ポリカーボネートを製造
するに際して、上記のようなビスフェノール類と炭酸ジ
エステルとともに、1分子中に3個以上の官能基を有す
る多官能化合物を用いることもできる。多官能化合物と
しては、フェノール性水酸基またはカルボキシル基を有
する化合物が好ましく、特にフェノール性水酸基を3個
含有する化合物が好ましい。このような多官能化合物と
しては、たとえば1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニ
ル) エタン、2,2',2"-トリス(4-ヒドロキシフェニル)
ジイソプロピルベンゼン、α-メチル-α,α',α'-トリ
ス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジエチルベンゼン、α,
α',α"-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリ
イソプロピルベンゼン、フロログリシン、4,6-ジメチル
-2,4,6-トリ(4-ヒドロキシフェニル)-ヘプタン-2、1,
3,5-トリ(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,2-ビス-
[4,4-(4,4'-ジヒドロキシフェニル)-シクロヘキシル]
-プロパン、トリメリット酸、1,3,5-ベンゼントリカル
ボン酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
【0077】これらのうちでは、1,1,1-トリス(4-ヒド
ロキシフェニル) エタン、α, α',α"-トリス(4-ヒド
ロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼンなど
が好ましく用いられる。
【0078】このような多官能化合物は、ビスフェノー
ル類1モルに対して、通常0.03モル以下、好ましく
は0.001〜0.02モル、さらに好ましくは0.00
1〜0.01モルの量で用いることができる。
【0079】ポリカーボネートを製造する際には、上記
の炭酸ジエステルおよび他の多官能化合物は、固体状で
用いられてもよく、またこれらの製造装置から直接、溶
融状態で供給されてもよい。
【0080】また本発明では、溶融重縮合触媒として、
上記のような(a) アルカリ(土類)金属化合物に加えて
(b) 塩基性化合物を併用することもできる。このような
(b) 塩基性化合物としては、たとえば高温で易分解性あ
るいは揮発性の含窒素塩基性化合物が挙げられ、具体的
には、以下のような化合物を挙げることができる。
【0081】テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド
(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
(Bu4NOH)、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキ
シド(φ−CH2(Me)3NOH )などのアルキル、アリール、
アルアリール基などを有するアンモニウムヒドロオキシ
ド類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチル
ベンジルアミン、トリフェニルアミンなどの三級アミン
類、R2NH(式中Rはメチル、エチルなどのアルキ
ル、フェニル、トルイルなどのアリール基などである)
で示される二級アミン類、RNH2(式中Rは上記と同
じである)で示される一級アミン類、4-ジメチルアミノ
ピリジン、4-ジエチルアミノピリジン、4-ピロリジノピ
リジンなどのピリジン類、2-メチルイミダゾール、2-フ
ェニルイミダゾールなどのイミダゾール類、あるいはア
ンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド
(Me4NBH4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドラ
イド(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフ
ェニルボレート(Bu4NBPh4)、テトラメチルアンモニウ
ムテトラフェニルボレート(Me4NBPh4)などの塩基性
塩。
【0082】これらのうち、テトラアルキルアンモニウ
ムヒドロキシド類、特に金属不純物の少ない電子用テト
ラアルキルアンモニウムヒドロキシド類が好ましく用い
られる。
【0083】上記のような(b) 含窒素塩基性化合物は、
ビスフェノール類1モルに対して、1×10-6〜1×1
-1モル好ましくは1×10-5〜1×10-2モルの量で
用いることができる。
【0084】またさらに触媒として、(c) ホウ酸化合物
を用いることもできる。このような(c) ホウ酸化合物と
しては、ホウ酸およびホウ酸エステルなどを挙げること
ができる。
【0085】ホウ酸エステルとしては、下記一般式で示
されるホウ酸エステルを挙げることができる。 B(OR)n(OH)3-n 式中、Rはメチル、エチルなどのアルキル、フェニルな
どのアリールなどであり、nは1,2または3である。
【0086】このようなホウ酸エステルとしては、具体
的には、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸
トリブチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリヘプチ
ル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリトリル、ホウ酸ト
リナフチルなどが挙げられる。
【0087】このような(c) ホウ酸またはホウ酸エステ
ルは、ビスフェノール類1モルに対して、1×10-8
1×10-1モル、好ましくは1×10-7〜1×10-2
ル、さらに好ましくは1×10-6〜1×10-4モルの量
で用いることができる。
【0088】本発明では、溶融重縮合触媒としては、た
とえば(a) アルカリ(土類)金属化合物と(b) 含窒素塩
基性化合物とを組合せて、さらには(a) アルカリ(土
類)金属化合物と(b) 含窒素塩基性化合物と(c) ホウ酸
またはホウ酸エステルとの三者を組合せて用いることが
好ましい。
【0089】これらの(b) 含窒素塩基性化合物、(c) ホ
ウ酸またはホウ酸エステルは、溶融重縮合反応系に(ビ
スフェノール類と炭酸ジエステルの混合溶液)に添加す
ることができる。
【0090】触媒として、上記のような量の(a) アルカ
リ(土類)金属化合物と(b) 含窒素塩基性化合物とを組
合せて用いると、重縮合反応を十分な速度で進行させる
ことができるとともに、高分子量のポリカーボネートを
高い重合活性で生成させることができて好ましい。
【0091】このような触媒の存在下、ビスフェノール
類と炭酸ジエステルとの重縮合反応は、従来知られてい
る重縮合反応条件と同様な条件下で行なうことができ
る。具体的には、第一段目の反応を80〜250℃、好
ましくは100〜230℃、さらに好ましくは120〜
190℃の温度で、0〜5時間、好ましくは0〜4時
間、さらに好ましくは0〜3時間、常圧下、ビスフェノ
ール類と炭酸ジエステルとを反応させる。次いで反応系
を減圧にしながら反応温度を高めて、ビスフェノール類
と炭酸ジエステルとの反応を行ない、最終的には5mmH
g以下、好ましくは1mmHg以下の減圧下で、240〜
320℃でビスフェノール類と炭酸ジエステルとの重縮
合反応を行なう。
【0092】上記のような重縮合反応は、連続式で行な
ってもよく、バッチ式で行なってもよい。また上記の反
応を行なうに際して用いられる反応装置は、槽型であっ
ても管型であっても塔型であってもよい。
【0093】上記のようにして得られる反応生成物であ
るポリカーボネートの20℃塩化メチレン中で測定した
極限粘度は、通常0.10〜1.0dl/g好ましくは0.
30〜0.65dl/gである。
【0094】このようなポリカーボネートのメルトフロ
ーレートは、高粘度品では、温度300℃、荷重1.2k
gで測定して1〜70g/10分、好ましくは2〜50g
/10分であり、低粘度品では同様に測定して5〜20g
/10分、好ましくは8〜16g/10分であることが望ま
しい。
【0095】上記のように本発明に係る製造方法は、溶
融重縮合に際して、毒性物質であるホスゲンや塩化メチ
レンなどを用いないので、環境衛生上好ましい。上記の
ような本発明によれば、初期色相に優れた反応生成物で
あるポリカーボネート(以下ポリカーボネート[A])
が得られる。
【0096】本発明では、上記のようにして得られる反
応生成物である[A]ポリカーボネートを冷却すること
なく重縮合反応後ただちに、下記のような[B]pKa
値が3以下であるイオウ含有酸性化合物および/または
該酸性化合物から形成される誘導体(以下[B]酸性化
合物ということもある)を添加することが好ましい。
【0097】さらに[B]酸性化合物とともに[C]特
定量の水を添加することが好ましい。本発明では、
[B]イオウ含有酸性化合物および該酸性化合物から形
成される誘導体としては、亜硫酸、硫酸、スルフィン酸
系化合物、スルホン酸系化合物およびこれらの誘導体を
挙げることができる。具体的に、亜硫酸誘導体として
は、ジメチル亜硫酸、ジエチル亜硫酸、ジプロピル亜硫
酸、ジブチル亜硫酸、ジフェニル亜硫酸などを挙げるこ
とができる。
【0098】硫酸誘導体としては、ジメチル硫酸、ジエ
チル硫酸、ジプロピル硫酸、ジブチル硫酸、ジフェニル
硫酸などを挙げることができる。スルフィン酸系化合物
としては、ベンゼンスルフィン酸、トルエンスルフィン
酸、ナフテレンスルフィン酸などを挙げることができ
る。
【0099】またスルホン酸系化合物およびこの誘導体
としては、下記一般式[III]で表わされる化合物また
はそのアンモニウム塩を挙げることができる。
【0100】
【化4】
【0101】式中、Rg は炭素数1〜50の炭化水素基
またはハロゲン置換炭化水素基であり、Rh は水素原子
または炭素数1〜50の炭化水素基またはハロゲン置換
炭化水素基であり、nは0〜3の整数である。
【0102】このようなスルホン酸系化合物およびこの
誘導体としては、たとえばベンゼンスルホン酸、p-トル
エンスルホン酸などのスルホン酸、ベンゼンスルホン酸
メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン
酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスル
ホン酸フェニル、p-トルエンスルホン酸メチル、p-トル
エンスルホン酸エチル、p-トルエンスルホン酸ブチル、
p-トルエンスルホン酸オクチル、p-トルエンスルホン酸
フェニルなどのスルホン酸エステル、p-トルエンスルホ
ン酸アンモニウムなどのスルホン酸アンモニウム塩が挙
げられる。
【0103】さらにトリフルオロメタンスルホン酸、ナ
フタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリ
ル酸メチル-スルホン化スチレン共重合体などのスルホ
ン酸化合物を用いてもよい。
【0104】これらを2種以上併用することもできる。
本発明では、[B]酸性化合物として、上記一般式[II
I]で表されるスルホン酸系化合物およびこの誘導体が
好ましく用いられる。
【0105】特に上記一般式[III]において、Rg
炭素数1〜6の置換脂肪族炭化水素基、Rh は炭素数1
〜8の置換脂肪族炭化水素基、nは0〜3の整数で表さ
れるエステル化合物が好ましく用いられ、具体的に、ベ
ンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、
p-トルエンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸エ
チル、p-トルエンスルホン酸ブチルなどが好ましく用い
られる。
【0106】これらのうちでも、p-トルエンスルホン酸
メチル、p-トルエンスルホン酸エチル、p-トルエンスル
ホン酸ブチルが特に好ましく用いられる。これらを2種
以上併用することもできる。
【0107】本発明では、上記のような[B]酸性化合
物を、上記[A]ポリカーボネートの反応に用いられた
(a) アルカリ(土類)金属化合物の量に対して1〜20
モル倍、好ましくは1〜10モル倍、1〜8モル倍の量
で含んでいることが好ましい。
【0108】このような量で酸性合物[B]を反応生成
物(ポリカーボネート)[A]に添加することにより、
ポリカーボネート中に残存するアルカリ性金属化合物が
中和されあるいは弱められて、最終的に滞留安定性およ
び耐水性がさらに向上されたポリカーボネートを得るこ
とができる。
【0109】また本発明では、上記の[B]酸性化合物
とともに[C]水を添加することが好ましく、ポリカー
ボネート[A]に対して5〜1000ppm 好ましくは1
0〜500ppm さらに好ましくは20〜300ppm の量
で添加することが望ましい。
【0110】このように[B]酸性化合物とともに
[C]水を添加すると、[B]酸性化合物によるととも
に[A]ポリカーボネート中の塩基性触媒の中和効率が
高められ、溶融時の滞留安定性に優れ、色相、透明性、
耐水性および耐候性に優れたポリカーボネートが得られ
る。
【0111】なお水を1000ppm より多く添加する
と、ポリカーボネートの加水分解が起こり易くなって、
ポリカーボネートの物性が低下してしまうことがある。
本発明では、反応生成物である[A]ポリカーボネート
に、上記[B]酸性化合物と、少量の[C]水とを添加
して、混練することによりポリカーボネートを得ること
が好ましい。
【0112】[A]ポリカーボネートと[B]酸性化合
物と[C]水との混練は、一軸押出機、二軸押出機、ス
タティックミキサ−などの通常の混練機により行われ、
これらの混練機はベント付きでもベントなしでも有効に
使用される。
【0113】具体的には、重縮合反応により得られる
[A]ポリカーボネートが反応器内または押出機内で溶
融状態にある間に、[B]酸性化合物と[C]水とを添
加することが好ましい。この[B]酸性化合物と[C]
水とは、別々に添加してもよいし、あるいは同時に添加
してもよく、添加順序は限定されないが、同時に添加す
るのが好ましい。
【0114】より具体的に[A]ポリカーボネートと
[B]酸性化合物と[C]水とからポリカーボネートを
製造するには、たとえば、反応器内にある重縮合反応で
得られた[A]ポリカーボネートに、[B]酸性化合物
と[C]水を添加してポリカーボネートを形成した後、
押出機を通してペレタイズしてもよく、また重縮合反応
で得られた[A]ポリカーボネートが反応器から押出機
を通ってペレタイズされる間に、[B]酸性化合物と
[C]水を添加して、これらを混練してポリカーボネー
トとすることもできる。
【0115】一般的にポリカーボネートを使用する時に
はポリカーボネートペレットを再溶融して耐熱安定剤な
どの種々添加剤を配合している。本発明で得られるポリ
カーボネートペレットは、各種添加剤の配合時あるいは
成形時に溶融しても、熱安定性が向上され、溶融時の滞
留安定性に優れているので、溶融による熱分解が特に抑
制されて分子量が低下しにくく、着色しにくい。
【0116】さらに本発明においては、本発明の目的を
損なわない範囲で、ポリカーボネート[A]には上記
[B]酸性化合物、[C]水とともに[D]添加剤を添
加することが好ましい。
【0117】このような[D]添加剤は、溶融状態にあ
る[A]ポリカーボネートに[B]酸性化合物および
[C]水と同時に添加することもできるし、別々に添加
することもできる。本発明では、以下に示すような
[D]添加剤のうちでも、反応性の添加剤は、[B]酸
性化合物および[C]水を添加した後に添加することが
好ましい。
【0118】本発明で用いられる[D]添加剤として
は、具体的に、使用目的に応じて一般的にポリカーボネ
ートに添加される添加剤を広く挙げることができ、耐熱
安定剤、エポキシ化合物、紫外線吸収剤、離型剤、着色
剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、
滑剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系充填
剤、無機系充填剤などを挙げることができる。
【0119】これらのうちでも、以下に示すような耐熱
安定剤、エポキシ化合物、紫外線吸収剤、離型剤、着色
剤などが好ましく用いられる。これらを2種以上併用す
ることもできる。
【0120】本発明で用いられる耐熱安定剤としては、
具体的にはたとえば、リン化合物、フェノール系安定
剤、有機チオエーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安
定剤などを挙げることができる。
【0121】リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、
次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、リン酸エステル
および亜リン酸エステルを用いることができる。このよ
うなリン酸エステルとしては、たとえば、トリメチルホ
スフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホス
フェート、トリオクチルホスフェート、トリデシルホス
フェート、トリオクタデシルホスフェート、ジステアリ
ルペンタエリスリチルジホスフェート、トリス(2-クロ
ロエチル)ホスフェート、トリス(2,3-ジクロロプロピ
ル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート、ト
リシクロヘキシルホスフェートなどのトリシクロアルキ
ルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレ
ジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェ
ート、2-エチルフェニルジフェニルホスフェートなどの
トリアリールホスフェートなどを挙げることができる。
【0122】また亜リン酸エステルとしては、下記一般
式で表される化合物を挙げることができる。 P(OR)3 (式中、Rは脂環族炭化水素基、脂肪族炭化水素基また
は芳香族炭化水素基を表す。これらは同一であっても異
なっていてもよい。) このような式で表される化合物としては、たとえば、ト
リメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリ
ブチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリ
ス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリノニルホス
ファイト、トリデシルホスファイト、トリオクタデシル
ホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリス
(2-クロロエチル)ホスファイト、トリス(2,3-ジクロ
ロプロピル)ホスファイトなどのトリアルキルホスファ
イト、トリシクロヘキシルホスファイトなどのトリシク
ロアルキルホスファイト、トリフェニルホスファイト、
トリクレジルホスファイト、トリス(エチルフェニル)
ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t- ブチルフェニル)ホ
スファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、
トリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイトなどのトリ
アリールホスファイト、フェニルジデシルホスファイ
ト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルイソオ
クチルホスファイト、フェニルイソオクチルホスファイ
ト、2-エチルヘキシルジフェニルホスファイトなどのア
リールアルキルホスファイトなどを挙げることができ
る。
【0123】さらに亜リン酸エステルとしては、たとえ
ば、ジステアリルペンタエリスリチルジホスファイト、
ビス(2,4-ジ-t- ブチルフェニル)ペンタエリスリチル
ジホスファイトなどを挙げることができる。これらを2
種以上併用することもできる。
【0124】これらのうちでは、上記一般式で表される
亜リン酸エステルが好ましく、さらに芳香族亜リン酸エ
ステルが好ましく、特にトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェ
ニル)ホスファイトが好ましく用いられる。
【0125】またフェノール系安定剤としては、たとえ
ばn-オクタデシル-3-(4-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチル
フェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン-3-
(3',5'-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]メタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキ
シ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、ジステアリル(4-ヒ
ドロキシ-3-メチル-5-t-ブチル)ベンジルマロネート、
4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-t-ブチルフェノールなどが
挙げられる。
【0126】チオエーテル系安定剤としては、たとえば
ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル・チ
オジプロピオネート、ジミリスチル-3,3'-チオジプロピ
オネート、ジトリデシル-3,3'-チオジプロピオネート、
ペンタエリスリトール-テトラキス-(β-ラウリル-チオ
プロピオネート)などが挙げられる。
【0127】またヒンダードアミン系安定剤としては、
たとえばビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)
セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリ
ジル)セバケート、1-[2-{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒ
ドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]-4-
{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ
オニルオキシ}-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-
ベンジル-7,7,9,9-テトラメチル-3-オクチル-1,2,3-ト
リアザスピロ[4,5 ]ウンデカン-2,4-ジオン、4-ベン
ゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-
(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチ
ルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジ
ル)、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジ
ル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げ
られる。
【0128】これらの化合物を2種以上併用することも
できる。これらの耐熱安定剤は、ポリカーボネート10
0重量部に対して、0.001〜5重量部、好ましくは
0.005〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜
0.3重量部の量で用いることができる。
【0129】また耐熱安定剤は、固体状で添加してもよ
く、液体状で添加してもよい。このような耐熱安定剤
を、[B]または[C]と同様に[A]ポリカーボネー
トが溶融状態にある間に添加すると、製造時の熱履歴回
数が少ないポリカーボネートを製造することができて好
ましく、得られたポリカーボネートペレットは耐熱安定
剤を含有しているので、再溶融時の熱分解を抑制するこ
とができる。
【0130】またエポキシ化合物としては、1分子中に
エポキシ基を1個以上有する化合物が用いられる。具体
的には、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、フェ
ニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、
t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシ
クロヘキシルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキシルカ
ルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシ
ルメチル-3',4'-エポキシ-6'-メチルシクロヘキシルカ
ルボキシレート、2,3-エポキシシクロヘキシルメチル-
3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4-
(3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシル)ブチル-3',
4'-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エ
ポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシ
ルメチル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレー
ト、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6'-
メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノール
−Aジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノー
ル−Aグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエ
ステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステ
ル、ビス-エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、
ビス-エポキシエチレングリコール、ビス-エポキシシク
ロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テト
ラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレ
ート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4-ジメチル-1,2-
エポキシシクロヘキサン、3,5-ジメチル-1,2-エポキシ
シクロヘキサン、3-メチル-5-t-ブチル-1,2-エポキシシ
クロヘキサン、オクタデシル-2,2-ジメチル-3,4-エポキ
シシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2,2-ジ
メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレー
ト、シクロヘキシル-2-メチル-3,4-エポキシシクロヘキ
シルカルボキシレート、N-ブチル-2-イソプロピル-3,4-
エポキシ-5-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、
オクタデシル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシ
レート、2-エチルヘキシル-3',4'-エポキシシクロヘキ
シルカルボキシレート、4,6-ジメチル-2,3-エポキシシ
クロヘキシル-3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボキ
シレート、4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3-
t-ブチル-4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジ
エチル4,5-エポキシ- シス-1,2-シクロヘキシルジカル
ボキシレート、ジ-n-ブチル-3-t-ブチル-4,5-エポキシ-
シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレートなどを挙
げることができる。
【0131】これらを2種以上併用することもできる。
これらのうち、脂環族エポキシ化合物、特に3,4-エポキ
シシクロヘキシルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキシ
ルカルボキシレートが好ましく用いられる。
【0132】このようなエポキシ化合物は、上記[A]
ポリカーボネートに対して、1〜2000ppm 、好まし
くは10〜1000ppm の量で添加することができる。
特に[D]添加剤としてエポキシ化合物が用いられる場
合には、エポキシ化合物を[B]酸性化合物および
[C]水の添加後に添加して、過剰に添加された[B]
酸性化合物を中和することが好ましい。このように過剰
な[B]酸性化合物をエポキシ化合物で中和しておく
と、特に耐水性および透明性に優れたポリカーボネート
が得られる。
【0133】また紫外線吸収剤としては、一般的な紫外
線吸収剤でよく、特に限定されないが、たとえば、サリ
チル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収
剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリ
レート系紫外線吸収剤などを挙げることができる。
【0134】サリチル酸系紫外線吸収剤としては、具体
的には、フェニルサリシレート、p-t-ブチルフェニルサ
リシレートが挙げられる。ベンゾフェノン系紫外線吸収
剤としては、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒド
ロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ
-4-メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-
ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-
2'-カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキ
シ-5- スルホベンゾフェノントリヒドレート、2-ヒドロ
キシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テト
ラヒドロキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒド
ロキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロ
キシ-2-メトキシフェニル)メタン、2-ヒドロキシ-4-メ
トキシベンゾフェノン-5-スルホン酸などが挙げられ
る。
【0135】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチル-フェニル)ベンゾト
リアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチル-フ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3'-t
-ブチル-5'-メチル-フェニル)-5-クロロベンゾトリア
ゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチル- フェ
ニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキ
シ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-
(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-3'-(3",4",5",6"-テ
トラヒドロフタルイミドメチル)-5'-メチルフェニル]
ベンゾトリアゾール、2,2'-メチレンビス[4-(1,1,3,3
-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-
イル)フェノール]などが挙げられる。
【0136】シアノアクリレート系紫外線吸収剤として
は、2-エチルヘキシル-2- シアノ-3,3-ジフェニルアク
リレート、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレー
トなどが挙げられる。これらを2種以上併用することも
できる。
【0137】紫外線吸収剤は、[A]ポリカーボネート
100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好
ましくは0.005〜1.0重量部、さらに好ましくは
0.01〜0.5重量部の量で用いることができる。
【0138】また離型剤としては、一般的に離型剤とし
て知られているものが、特に限定されることなく広く用
いられる。たとえば天然、合成パラフィン類、ポリエチ
レンワックス類、フルオロカーボン類などの炭化水素系
離型剤、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸などの
高級脂肪酸、オキシ脂肪酸類などの脂肪酸系離型剤、ス
テアリン酸アミド、エチレンビスステアロアミドなどの
脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド類などの脂
肪酸アミド系離型剤、ステアリルアルコール、セチルア
ルコールなどの脂肪族アルコール、多価アルコール、ポ
リグリコール、ポリグリセロール類などのアルコール系
離型剤、ブチルステアレート、ペンタエリスリトールテ
トラステアレートなどの脂肪族酸低級アルコールエステ
ル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコ
ールエステル類などの脂肪酸エステル系離型剤、シリコ
ーンオイル類などのシリコーン系離型剤を用いることが
でき、これらを2種以上併用することもできる。
【0139】離型剤は、[A]ポリカーボネート100
重量部に対して、通常、0.001〜5重量部、好まし
くは0.005〜1重量部、さらに好ましくは0.01〜
0.5重量部の量で用いることができる。
【0140】着色剤としては、顔料であってもよく、染
料であってもよく、また無機系着色剤、有機系着色剤の
いずれを用いてもよく、これらを併用してもよい。無機
系着色剤として具体的には、二酸化チタン、ベンガラな
どの酸化物、アルミナホワイトなどの水酸化物、硫化亜
鉛などの硫化物、セレン化物、紺青などのフェロシアン
化物、ジンククロ メート、モリブデンレッドなどのク
ロム酸塩、硫酸バリウムなどの硫酸塩、炭酸カルシウム
などの炭酸塩、群青などの硅酸塩、マンガンバイオレッ
トなどのリン酸塩、カーボンブラックなどの炭素、ブロ
ンズ粉やアルミニウム粉などの金属粉着色剤などが挙げ
られる。
【0141】有機系着色剤としては、具体的には、ナフ
トールグリーンBなどのニトロソ系、ナフトールイエロ
ーSなどのニトロ系、リソールレッドやボルドー10
B、ナフトールレッド、クロモフタールイエローなどの
アゾ系、フタロシアニンブルーやファストスカイブルー
などのフタロシアニン系、インダントロンブルーやキナ
クリドンバイオレット、ジオクサジンバイオレットなど
の縮合多環系着色剤などが挙げられる。
【0142】着色剤は、[A]ポリカーボネート100
重量部に対して、通常1×10-6〜5重量部、好ましく
は1×10-5〜3重量部、さらに好ましくは1×10-5
〜1重量部の量で用いることができる。
【0143】また本発明では、上記のような[B]酸性
化合物、[C]水および[D]添加剤は、上述したよう
に溶融状態にあるポリカーボネート[A]に添加される
が、本発明の目的を損なわない範囲で、これら[B]、
[C]または[D]をポリカーボネート粉末で希釈して
ポリカーボネート[A]に添加してもよく、予め
[B]、[C]または[D]を高濃度に含むマスタ−ペ
レットをポリカーボネート[A]に添加してもよい。こ
のときポリカーボネート粉末あるいはペレットに吸水量
分の水が同伴されることがあるので、上記の[C]水と
しては、この吸水量分を差し引いた量で添加すれば良
い。
【0144】
【発明の効果】上記のように本発明に係るポリカーボネ
ートの製造方法によれば、ビスフェノール類と炭酸ジエ
ステルとの溶融重縮合反応を、反応初期段階から極少量
の一定範囲に制御された触媒量下に反応を行なうことが
できる。このような本発明によれば色相に優れ、しかも
成形時の熱安定性、色相安定性などに優れ、透明性、耐
水性にも優れたポリカーボネートを効率よく製造するこ
とができる。
【0145】さらに溶融重縮合反応直後の溶融状態にあ
る反応生成物に、酸性化合物などの添加剤を添加する
と、触媒が安定化され、耐熱性、耐水性などがさらに向
上されたポリカーボネートが得られる。
【0146】このような本発明の方法により製造された
ポリカーボネートは、一般の成形材料はもとより、シ−
トなどの建築材料、自動車用ヘッドランプレンズ、メガ
ネなどの光学用レンズ類、光学用記録材料などに好適に
用いられる。
【0147】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0148】本明細書において、ビスフェノールAの2
Na塩濃度に相当する触媒有効量、ビスフェノールAの
色相、純度、ポリカーボネートのMFR、色相は、以下
のようにして測定した。
【0149】[ビスフェノールAの2Na塩濃度に相当
する触媒有効量]100mlスケールの反応器に、実施
例で製造されたビスフェノールA(以下BPAともい
う)と、ジフェニルカーボネートとを1:1のモル比で
合計で200ml/hrの量で連続的に導入し、160
℃で滞留時間30分でエステル交換反応させ、反応器か
ら出てくる液を近赤外分析計で測定し、該液中のフェノ
ール濃度(反応により生成したフェノールの量すなわち
エステル交換反応度)を測定し、予め同一エステル交換
反応条件下で作成された下記の検量線から触媒有効量を
求めた。
【0150】触媒有効量(ビスフェノールAの2Na塩
モル/モル−BPA)=3.33×10-7×フェノール
濃度(重量%) [ビスフェノールAの色相]ビスフェノールAを空気中
で250℃にて10分間加熱した時の色相を、APHA
標準比色液を用いて目視により測定した。
【0151】[ビスフェノールAの純度]高速液体クロ
マトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。 [ポリカーボネートの色相(黄色度:YI)]3mm厚の
射出成形板をシリンダー温度290℃、射出圧力100
0kg/cm、1サイクル45秒、金型温度100℃で成形
し、X、Y、Z値を日本電色工業(株) 製の Colorand
Color Defference Meter ND-1001 DP を用いて透過法で
測定し、黄色度〔YI〕を測定した。
【0152】 YI=100(1.277X−1.060Z)/Y [ポリカーボネートのMFR]JIS K−7210の
方法に準拠し、温度250℃、荷重1.2kgで測定し
た。
【0153】以下に実施例における基本的なビスフェノ
ールAの製造工程およびポリカーボネートの製造工程を
示す。ビスフェノールAの製造工程 (1) フェノールとアセトンとを、フェノール/アセトン
=5のモル比で、50℃、常圧で、酸性触媒として架橋
度4%のスルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いて反応さ
せ、反応混合物を得た。 (2) 上記で得られた反応混合物を、200mmHg、1
20℃で減圧蒸留して未反応アセトン、反応副生水など
を除去して粗製液(ビスフェノールA)を得た。 (3) 上記で得られた粗製液からフェノールを留去してビ
スフェノールAの濃度を30重量%に調整した。 (4) 上記で濃度調整された粗製液(均一溶液)を、外部
熱交換器により除熱して42℃まで冷却してビスフェノ
ールAとフェノールとの付加体を晶析し、スラリーとし
た。 (5) 該スラリーを遠心分離および減圧濾過することによ
り、付加体(結晶部)と母液とに分離した。 (6) 固液分離されたビスフェノールAとフェノールとの
付加体を130℃で加熱溶融した。 (7) 溶融物(液状混合物)を、100mmHg、190
℃で減圧蒸留してフェノールを除去し、溶融状態のビス
フェノールAを回収した。 (8) 上記工程(7) で得られた溶融状態のビスフェノール
Aを、スプレードライヤーにより液滴にし、窒素で冷却
固化してビスフェノールAを造粒した。
【0154】ポリカーボネートの製造工程 工程(7) から送液されてきた溶融状態のビスフェノール
Aまたは工程(8) で造粒されたビスフェノールA(供給
速度36.0kg/hr)と、蒸留後に直接配管にて送
液されてきた溶融状態のジフェニルカーボネート(供給
速度34.7kg/hr)とを、以下の温度に保った原
料のミキシング用の攪拌槽に連続して供給して、目標M
FRが11.0g/10分のポリカーボネートを製造し
た。
【0155】ポリカーボネートの重合装置は、原料のミ
キシング用の攪拌槽を一基、前重合槽を二基、横形重合
槽を二基、備え付けられたものを使用し、ビスフェノー
ルA換算で36.0kg/hrの供給速度で前重合槽
I、前重合槽II、横形重合槽I、横形重合槽IIに順次供
給し、下記反応条件下で重合を行った。
【0156】 反応器 圧力 温度(℃) 平均滞留時間(hr) 攪拌槽 窒素雰囲気 160 2.0 前重合槽I 100torr 230 1.0 前重合槽II 20torr 240 0.5 横形重合槽I 3〜5torr 270 0.5 横形重合槽II 0.1〜1.0torr 275 0.5 2時間ごとに測定されるMFRを見ながら、横形重合槽
Iと横形重合槽IIの圧力を調節して、できるだけ目標の
MFRを外れないよう運転した。
【0157】
【実施例1】ビスフェノールAの製造 上記工程(3) において、濃度調製された粗製液(ドラ
ム)に0.5%の水酸化ナトリウムのフェノール溶液を
添加して、ビスフェノールAの2Na塩として2×10
-7モル/モル−BPAの量に相当する触媒有効量に調整
されたビスフェノールAを連続的に製造した。
【0158】この際、上記工程(8) で得られる造粒ビス
フェノールAの触媒有効量を連続的に測定して、ビスフ
ェノールAが、ビスフェノールAの2Na塩として2×
10 -7モル/モル−BPAの量に相当する触媒活性を示
すように、上記工程(c) で添加する0.5%の水酸化ナ
トリウムのフェノール溶液を添加量を制御した。
【0159】ポリカーボネートの製造 上記工程(7) より直接配管にて連続して送液されてきた
溶融状態のビスフェノールAを用いて上記のポリカーボ
ネートの重合方法にて、14日間連続して、ポリカーボ
ネートを製造した。
【0160】ビスフェノールAとポリカーボネートは、
2時間ごとにサンプルを採取し、ビスフェノールA、純
度、色相、ポリカーボネートの色相、MFRを評価し
た。結果を表1に示す。
【0161】
【実施例2】実施例1において、0.5%の水酸化ナト
リウムのフェノール溶液の添加場所を、工程(4) で得ら
れた付加体結晶を含んだスラリー(スラリーが流れる配
管中)に変えた以外は、実施例1と同様にして、連続的
にビスフェノールAを製造し、実施例1と同様にしてポ
リカーボネートを製造した。結果を表1に示す。
【0162】
【実施例3】実施例1において、0.5%の水酸化ナト
リウムのフェノール溶液の添加場所を、工程(5) での遠
心分離と減圧濾過により得られた付加体結晶を取り出す
配管に変えた以外は、実施例1と同様にして、連続的に
ビスフェノールAを製造し、実施例1と同様にしてポリ
カーボネートを製造した。結果を表1に示す。
【0163】
【実施例4】実施例1において、0.5%の水酸化ナト
リウムのフェノール溶液の添加場所を、工程(6) での付
加体結晶の溶解槽中に変えた以外は、実施例1と同様に
して、連続的にビスフェノールAを製造し、実施例1と
同様にしてポリカーボネートを製造した。結果を表1に
示す。
【0164】
【実施例5】実施例1において、0.5%の水酸化ナト
リウムのフェノール溶液の添加場所を、工程(7) で得ら
れる溶融ビスフェノールAの取出配管中に変えた以外
は、実施例1と同様にして、連続的にビスフェノールA
を製造し、実施例1と同様にしてポリカーボネートを製
造した。結果を表1に示す。
【0165】
【実施例6】実施例5において、0.5%の水酸化ナト
リウムのフェノール溶液に代えてビスフェノールA2N
a塩を用い、ビスフェノールA2Na塩濃度が8×10
-7モル/モル−BPAとなるように制御した以外は、実
施例5と同様にして、ビスフェノールAとポリカーボネ
ートを製造した。結果を表1に示す。
【0166】
【比較例1】ビスフェノールAの触媒有効量の測定と、
アルカリ(土類)金属化合物の添加制御は行わずビスフ
ェノールAを製造した。
【0167】工程(7) より直接配管にて連続して攪拌槽
に送液されてきた溶融状態のビスフェノールAに、ビス
フェノールA1モルに対してビスフェノールAの2Na
塩を2×10-7モルの量の一定割合で添加して、上記の
ポリカーボネートの重合方法にて、14日間連続して、
ポリカーボネートを製造した。結果を表1に示す。
【0168】
【比較例2】比較例1において、ビスフェノールA1モ
ルに対してビスフェノールAの2Na塩を4×10-7
ルの量の割合で添加した以外は、比較例1と同様にして
ポリカーボネートを製造した。結果を表1に示す。
【0169】
【比較例3】実施例5において、ビスフェノールA2N
a塩濃度が2×10-6モル/モル−BPAとなるように
制御した以外は、実施例5と同様にして、ビスフェノー
ルAとポリカーボネートを製造した。結果を表1に示
す。
【0170】比較例3のように触媒有効量が多いと、ビ
スフェノールAの色相、ポリカーボネート色相(YI)
に劣る。
【0171】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るポリカーボネートの製造方法の
プロセスフローを模式的に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下 田 智 明 千葉県市原市有秋台西2−5 三井有秋西 社宅C22−404

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビスフェノール類と炭酸ジエステルとを、
    予めビスフェノール類中に添加した(a) アルカリ金属化
    合物および/またはアルカリ土類金属化合物を触媒とし
    て溶融重縮合させ、ポリカーボネートを製造するに際し
    て、 前記ビスフェノール類中に含まれる(a) アルカリ金属化
    合物および/またはアルカリ土類金属化合物の触媒とし
    て有効に作用する触媒有効量が、純粋なビスフェノール
    A1モルに対して、ビスフェノールAの2Na塩として
    1×10-8〜1×10-6モルの範囲の量であるときと同
    様な触媒活性を有する量となるように、前記(a) アルカ
    リ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物の
    ビスフェノール類への添加量を制御して、得られたビス
    フェノール類を連続的に溶融重縮合反応に供することを
    特徴とするポリカーボネートの製造方法。
  2. 【請求項2】前記触媒有効量を、前記ビスフェノールA
    の2Na塩として1×10-8〜1×10-6モルの範囲内
    から選ばれる特定値の10%以内に制御することを特徴
    とする請求項1に記載のポリカーボネートの製造方法。
  3. 【請求項3】前記ビスフェノール類の触媒有効量が、 該ビスフェノール類中に含まれる(a) アルカリ金属化合
    物および/またはアルカリ土類金属化合物をエステル交
    換反応触媒として、該ビスフェノール類と炭酸ジエステ
    ルとをエステル交換反応させたときのエステル交換反応
    度から求められたものであることを特徴とする請求項1
    または2に記載のポリカーボネートの製造方法。
  4. 【請求項4】前記ビスフェノール類に添加する(a) アル
    カリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物
    の量を、前記エステル交換反応度から求められるビスフ
    ェノール類の触媒有効量に基づいて制御することを特徴
    とする請求項3に記載のポリカーボネートの製造方法。
  5. 【請求項5】フェノール類とケトン類との反応によって
    得られるビスフェノール類と、フェノール類とから、こ
    れらの付加体あるいは該付加体とフェノール類との混合
    物を形成し、該付加体あるいは混合物からフェノール類
    を除去して、得られた精製ビスフェノール類を前記溶融
    重縮合反応に供するに際して、 上記付加体、該付加体とフェノール類との混合物あるい
    は精製ビスフェノール類に、(a) アルカリ金属化合物お
    よび/またはアルカリ土類金属化合物に添加して、(a)
    アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化
    合物を前記触媒有効量で含むビスフェノール類を調製
    し、このビスフェノール類を前記溶融重縮合反応に供す
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポ
    リカーボネートの製造方法。
  6. 【請求項6】溶融重縮合反応に供されるビスフェノール
    類の高速液体クロマトグラフィーで測定される純度が9
    9重量%以上であることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
  7. 【請求項7】ビスフェノール類がビスフェノールAであ
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポ
    リカーボネートの製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜7で得られる[A]ポリカーボ
    ネートが溶融状態にある間に、[B]pKa値が3以下
    であるイオウ含有酸性化合物および/または該酸性化合
    物から形成される誘導体を、(a) アルカリ金属化合物お
    よび/またはアルカリ土類金属化合物の含有量の1〜2
    0モル倍の量で添加することを特徴とするポリカーボネ
    ートの製造方法。
  9. 【請求項9】前記[A]ポリカーボネートが溶融状態に
    ある間に、[B]pKa値が3以下であるイオウ含有酸
    性化合物および/または該酸性化合物から形成される誘
    導体に加えて、[C]水をポリカーボネートに対して5
    〜1000ppm の量で添加することを特徴とする請求項
    8に記載のポリカーボネートの製造方法。
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