JPH11185245A - 磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法

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JPH11185245A
JPH11185245A JP9347786A JP34778697A JPH11185245A JP H11185245 A JPH11185245 A JP H11185245A JP 9347786 A JP9347786 A JP 9347786A JP 34778697 A JP34778697 A JP 34778697A JP H11185245 A JPH11185245 A JP H11185245A
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JP9347786A
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English (en)
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Shoji Aoyanagi
祥二 青柳
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】偽造、変造の困難な磁気記録媒体等を提供す
る。 【解決手段】カードの走査方向Xとほぼ直交する方向に
レーザ光を照射して、支持体4に凹凸部を形成するの
で、支持体上に形成される磁性層には磁性層存在部14
および磁性層欠如部16が形成される。磁性層厚肉部1
4および磁性層薄肉部16を組合わせ走査方向Xに沿っ
て配置することで、書換え不能な磁気バーコード20が
形成される。これにより、個々の磁気記録媒体固有の識
別情報を記録することができる。このため、磁気記録媒
体の偽造、変造が困難となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、磁気記録媒体お
よび磁気記録媒体の製造方法に関し、特に、情報を書換
え不能に磁気的に記録する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】予め代金を支払って購入し、以降、現金
を使用することなく商品代金等の決済を行なうことがで
きる磁気カードとして、プリペイドカード等が知られて
いる。プリペイドカードの磁気記録トラックには、使用
できる金額が度数として予め磁気的に書き込まれてい
る。物品等を購入してプリペイドカードで決済を行う場
合、使用した金額に応じた度数の引き落としが、店頭の
端末機器等を通じて行われる。
【0003】つり銭に相当する残高情報は、磁気記録情
報として磁気記録トラックに記録されるとともに、残高
パンチ穴位置情報の形でプリペイドカード上の所定の位
置に残される。継続使用にあたっては、磁気記録情報、
残高パンチ穴位置情報等により前回の残高が確認され
る。確認された残高分が使用可能となる。このようにし
て、現金を使用することなく商品代金等の決済を行なう
ことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
プリペイドカードには、次のような問題があった。パン
チ穴位置の読取りは、通常、カード平面に垂直に光をあ
て、あてた光がプリペイドカードの端で遮光されてか
ら、つぎにパンチ穴を透過してくるまでの時間を測定す
ることにより行なう。
【0005】したがって、なんらかの方法でパンチ穴を
埋めることで、残高パンチ穴位置情報を改変することが
できる。さらに、磁気記録トラックに記録され残高の磁
気記録情報を上書きして更新することもできる。このた
め、残高情報の改変が容易であった。また、磁気記録ト
ラック等に記録された個々のプリペイドカードを識別す
るための個別情報の改変も、比較的容易であった。すな
わち、プリペイドカードの偽造、変造が比較的容易であ
った。
【0006】この発明は、従来のこのようなプリペイド
カードなど磁気記録媒体の問題点を解決し、偽造、変造
の困難な磁気記録媒体等を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の磁気記録媒体
は、片側に複数の凹部および/または凸部を備えた支持
体と、該凹部を充填および/または該凸部を被覆して前
記支持体上の少なくとも一部を覆い、情報を書換え不能
に磁気的に記録する固定記録領域を有する磁性層とを備
えるよう構成したことを特徴とする。
【0008】請求項2の磁気記録媒体は、請求項1記載
の磁気記録媒体において、前記複数の凹部および/また
は凸部の配列によって該磁性層の固定記録領域が書換え
不能の情報を記録するよう構成したことを特徴とする。
請求項3の磁気記録媒体は、請求項2記載の磁気記録媒
体において、前記複数の凹部および/または凸部の配列
の方向を該固定記録領域に対する走査方向とし、当該走
査方向に対する前記凹部および/または凸部の走査方向
長さをランダムに与えられた長さとするよう構成したこ
とを特徴とする。
【0009】請求項4の磁気記録媒体は、請求項1〜3
のいずれかの磁気記録媒体において、前記磁気層が前記
凹部の少なくとも一部については、該凹部のみを充填
し、その周囲の支持体の表面を被覆しないよう構成した
ことを特徴とする。請求項5の磁気記録媒体は、請求項
1〜4のいずれの磁気記録媒体において、更に第2の磁
気層を備えるよう構成したことを特徴とする。
【0010】請求項6の磁気記録体の製造方法は、請求
項1〜5のいずれかの磁気記録媒体の製造方法であっ
て、前記複数の凹部および/または凸部を前記支持体に
レーザ光を照射することにより形成することを特徴とす
る。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の一実施形態に
よる磁気記録媒体である磁気記録カード(プリペイドカ
ード等)の支持体の構造を模式的に表わした斜視図であ
る。図1に示すように、支持体4は、後で説明する次の
工程で磁気記録層を塗布等によって形成することによ
り、2つの磁気トラックすなわち磁気バートラックおよ
び磁気記録トラックをその上に形成することになる。支
持体4のみの段階の図1では、それぞれのトラックが形
成されることになる磁気バートラック形成領域10およ
び磁気記録トラック形成領域12を示している。なお磁
気バートラックは固定記憶領域に対応し、磁気記録トラ
ックは可変記憶領域に対応する。図示を簡単にするため
に、尚、本図1は磁気記録層の図示を省略した磁気記録
カード2の簡単な構造図として解釈されてよい。
【0012】図2は、図1に示す支持体4の磁気バート
ラック形成領域10部分の断面構造(断面P1−P1)
を示す図面である。図2においては、支持体4の上に、
後に形成される磁気記録層6および保護層8も理解を助
けるために示しており、一種の積層構造を有しているこ
とが分かる。従って図2では磁気記録カード2の断面構
造を示していることになる。
【0013】後述するように、磁気バートラックの走査
方向Xにほぼ直交する方向にレーザ光を照射して、支持
体4に凹部Rを形成し、その後磁気記録層を形成するこ
とにより、磁気記録層6に磁性層薄肉部16および磁性
層厚肉部14が形成される。すなわち、磁気記録層6の
うち支持体4のレーザ加工により凹部Rが形成された部
分に対応する箇所が磁性層薄肉部16であり、凹部の非
形成部分に対応する箇所が磁性層厚肉部14である。
【0014】磁性層厚肉部14の走査方向Xの長さLB
は、長短2種類設定されている。磁性層薄肉部16の走
査方向Xの長さLAも、同様である。これら、合計4種
類の磁性層厚肉部14および磁性層薄肉部16を組合わ
せ走査方向Xに沿って配置するよう構成している。すな
わち、このような磁性層厚肉部14および磁性層薄肉部
16の配列により、磁気バーコード20を形成してい
る。つまり、磁気バートラック10に形成された磁気バ
ーコードの形で、所望の情報が書換え不能に磁気的に記
録されることになる。記録すべき所望の情報としては、
たとえば個々の磁気記録カードを識別するための識別情
報や、カードの使用可能金額がある。
【0015】図3は、図1に示す磁気記録カード2の磁
気記録トラック12部分の断面構造(断面P2−P2)
を示す図面である。図3においても図2と同様に、支持
体4の上に、後に形成される磁気記録層6および保護層
8も理解を助けるために示している。図3に示すよう
に、磁気記録トラック12部分は、磁気記録層6が走査
方向Xに沿って連続的に形成されており、通常の書換え
可能な磁気記録部として機能する。
【0016】図4は、磁気記録カード2の製造工程を示
すフローチャートである。図4に基づいて、磁気記録カ
ード2の製造方法を説明する。まず、支持体4であるロ
ール状のPET(polyethylene terephthalate)フィル
ムを用意する。支持体4の素材としては、PETフィル
ム以外に、たとえば、ポリエステル、ポリエチレン、ナ
イロン等のプラスティックフィルム、貼り合わせプラス
チックシート、発泡プラスチックシート、銅、アルミニ
ウムなどの金属板、紙、ラミネート紙、合成紙、不織
布、網などを単体で、あるいは複合体として使用しても
よい。なお、この実施形態においては、支持体4の素材
として、ロール状のフィルムを用い、後の工程(ステッ
プS8)でこれをシート状にカットするようにしている
が、最初からシート状の素材を用いてもよい。
【0017】つぎに、支持体上に凹部Rをレーザ加工に
より形成する(ステップS2)。凹部Rは、支持体ート
ラック10(図1参照)の部分に相当する支持体の表面
層4aを、レーザ光を用いて部分的に切除することによ
り成形する。図5に、このステップで使用するレーザ加
工装置21の構成を簡略化して示す。図7は、レーザ加
工装置21の信号処理経路およびレーザ光の照射光路を
示すブロック図である。図5に示すように、レーザ加工
装置21は、レーザ光を発生するレーザ発生装置22、
レーザ光を反射して所定方向に導くミラー24、レーザ
光を収束させるレンズ26、冷却用または加熱用の不活
性ガスなどを噴出するノズル30等により構成されてい
る。ミラー24およびレンズ26により、光学系28を
構成している。
【0018】レーザ光は、磁気バートラック10の走査
方向Xにほぼ直交する方向に照射される。照射されたレ
ーザ光は、照射光路の最後に設けられたスクリーン32
(マスク)のスリット34を介して、支持体の表面層4
aに到達する。スクリーン32の平面構造を表わす図6
に示すように、スクリーン32には一つのスリット34
が設けられている。スリット34は、走査方向Xの幅d
が、前述(図2参照)の支持体上に凹部Rの走査方向X
の長さLBの最小寸法以下になるよう形成されている。
なお、スリット34の走査方向Xに直交する方向の寸法
cは、磁気バーコードの幅W(図1参照)とほぼ等しく
なるよう形成されている。
【0019】一方、レンズ26により収束させられたレ
ーザ光の、スクリーン32上におけるスポット44は、
スリット34よりも大きくなるよう設定されている。し
たがって、図7に示すように、パーツハンドラー40上
をX1方向に搬送されるフィルム状の支持体42に対
し、制御用コンピュータ36を用いてレーザ光を照射す
るタイミングを制御することにより、磁気バートラック
形成領域10(図1参照)上の所望の位置に、所望の走
査方向Xの長さを有する支持体の凹部Rおよび支持体上
の凹部非形成部S(図1参照)を、所望の数量、形成す
ることができる。普通はSはR以外の部分なのでR部分
が形成された残りの部分である。すなわち、同一のスリ
ットパターンのスクリーン32を用いて、個々の磁気記
録カードを形成する前の支持体4に対して別々の識別情
報を、書換え不能な磁気バーコード情報となる領域とし
て記録することができる。支持体42の搬送方向X1の
位置、速度等は、センサ38を介して制御用コンピュー
タ36に、逐次取込まれ、レーザ光の照射タイミングを
決定する情報として用いられる。
【0020】なお、レーザ光による支持体の表面層4a
の切断に際しては、支持体4を構成する材質、支持体表
面の吸収係数、切断深さ、切断速度、スクリーン32の
スリット34の開口面積等によりレーザ出力がきめられ
る。この実施形態においては、少なくとも数ワット以上
のレーザビーム強度が必要であった。目的の強度がえら
れれば、レーザ発生装置22のレーザ物質や、発振形態
(パルス発振、連続発振等)等はとくに限定しないが、
たとえばYAGレーザ、CO2 レーザ等を用いることが
できる。
【0021】また、スクリーン32のスリット34の走
査方向Xの幅dは、磁気カードの強度、記録密度、外観
上の観点から、1〜500μm程度が好ましい。スリッ
ト34の走査方向Xに直交する方向の寸法cすなわち磁
気バーコードの幅Wは、後述する磁気ヘツドH1(図9
参照)の検出巾に近い方が、検出精度の点から好まし
い。
【0022】また、スクリーン32の材質は、レーザ光
で変形しにくいものであれば、特に限定はしない。スリ
ット加工が困難な場合、複数のスクリーンを組み合わせ
て微細なスリット34を構成してもよい。また、必要で
あれば、レーザ加工時に発生する切り子を除去するため
の吸塵設備(図示省略)を設けてもよい。
【0023】なお、上述の実施形態においては、使用す
るレーザ光をパルス発振光とし、パルス幅の高速制御に
より照射、遮断を繰り返して支持体に凹部Rを形成する
よう構成したが、使用するレーザ光を連続光とするとと
もに、たとえばミラー24(図5参照)を揺動可能と
し、これによりレーザ光の照射方向を変化させること
で、レーザ光の照射、遮断を行ない、支持体上の凹部を
形成するよう構成することもできる。
【0024】後述するように、このようにして形成され
た支持体上に形成される磁気バーコードを読み取る際の
SN比は、極めて高い。これは、磁気バーコードを構成
することになる支持体の凹部の壁面が、磁気バートラッ
ク10の走査方向Xとほぼ直交する平面を有しているこ
と、レーザー加工によりほぼ直角のエッジ部E(図2参
照)が得られること、等によるものである。
【0025】すなわち、細いレーザービームで支持体4
を切除して行くため、グラビアロールによるパターンコ
ーティング加工のように、塗料やインクのレベリングに
より凹部が変形するということがなく、また、エンボス
加工のように、エンボス加工時のロールの物理的接触に
よる変形で凹部のエッジ部がつぶれるということがない
ためと考えられる。なお、この実施形態においては、ノ
イズの大きさの数百倍の大きさの信号が得られた。
【0026】また、ノイズが小さいため、最終的に得ら
れる磁気バーコードの情報記録密度を上げることができ
る。この実施形態においては、磁気バーコードを構成す
る磁性層厚肉部14、磁性層薄肉部16の走査方向Xの
最小寸法を約0.05mmにすることが可能であった。
このため、磁気バーコードの情報記録密度を100〜4
00bpiにすることができた。
【0027】つぎに、支持体4の表面に、磁気記録層6
を形成する(ステップS4)。磁気記録層6の素材とし
ては、酸化クロム、酸化鉄、金属鉄、バリウムフェライ
ト等の強磁性体を用いる。上記素材を、ポリウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合
体、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂等の単体あるいは
混合系樹脂に分散して得られた塗料を、フィルム状の支
持体4の表面にグラビアコーティング、ナイフコーティ
ング、印刷等で塗工し、その後、乾燥硬化することによ
り、磁気記録層6を形成する。ここで磁気記録層を形成
する際には、先に設けた支持体の凹部に、隙間無く磁気
記録層部分が充填されるように留意する必要がある。
【0028】なお、磁気記録層6を形成する方法として
は、塗工や印刷の他に、たとえば、蒸着、スパッタリン
グ、イオンプレーティング、噴霧等を行なったり、金属
布、金属箔の貼り込みを行なったりする方法がある。ま
た、これらを組合せて磁気記録層6を形成してもよい。
なお、磁気記録層6を形成する工程を、磁場配向下で行
なうことにより、磁気記録層6を配向塗工することがで
きる。この塗工工程で磁気記録層6を磁化しておけば、
後述する磁気記録カード2の照合処理時に、磁気記録層
6に直流磁場をかける必要はない。また、カレンダー処
理等により、磁気記録層6の表面を平滑に仕上げると、
照合処理の際の出力信号波形のSN比がより高くなる傾
向があるため、好都合である。
【0029】このようにして、磁気バーコードを形成し
た後、磁気記録層6を覆うように、保護層8(図2参
照)を形成する(ステップS6)。保護層8は磁気記録
層6を保護するために設けられる層で、1種以上のポリ
ビニルアセタール、ポリビニルブチラール、アクリル樹
脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、エポキシ樹脂等の樹脂から形成される場合と、前記
の樹脂にアルミニウム、酸化チタン等の顔料や潤滑剤等
を分散させた塗料、インクから形成される場合とがあ
る。
【0030】なお、この層を形成した後の表面をスーパ
ーカレンダー等により平滑化することが好ましい。つぎ
に、上述の各工程を終了したフィルム状の磁気原反42
を、所定の縦横寸法を有するシート状にカットし(ステ
ップS8)、得られた各シートに印刷を施す(ステップ
S10)。印刷は、保護層8の上に施される。この工程
で、磁気記録カード2に装飾性を持たせる為の図柄(図
示省略)や、カード使用約款(図示省略)、機械による
読み取りのための可視バーコード(図示省略)、OP
(オーバープリンティング)ニス等が印刷される。印刷
は上記保護層8と共に、磁気記録層6に形成された磁気
バーコード20の凹凸パターンの判別を肉眼では困難に
する作用がある。つぎに、印刷後のシートをカットする
ことにより、最終形状の磁気記録カード2を得る。さら
に、得られた各磁気記録カード2の品質検査を行なう
(ステップS12)。このようにして、磁気記録カード
2を製造する。
【0031】図8は、磁気記録カード2の流通過程を示
すフローチャートである。図8に基づいて、製造された
磁気記録カード2が流通過程におかれ、使用される状況
を説明する。磁気塗工メーカーで製造された磁気記録カ
ード2は、カード発行会社に出荷され(ステップS1
4、S16)、カード発行会社において、書換え可能な
情報である所定の磁気情報の書込みが行なわれる(ステ
ップS18)。
【0032】磁気情報は、通常のカードライター(図示
省略)を用いて、磁気記録トラック12(図1参照)に
書込まれる。この工程において、カードの使用可能金
額、カード発行会社名等の情報が書込まれる。また、磁
気記録カード2の運用方法に応じて、他の情報も書込ま
れる。この実施形態においては、前述のステップS4に
おいて磁気バートラック10に記録された磁気バーコー
ド情報と同じ内容の情報を所定の方法で暗号化し、磁気
情報の形で磁気記録トラック12に記録するようにして
いる。このようにすれば、後述するように、小規模な磁
気カード運用システムにおける偽造防止に、とくに好都
合である。
【0033】磁気記録トラック12への磁気情報の書込
みが終了すると、磁気記録カード2の発行、販売がなさ
れ(ステップS20)、ユーザーは、これを購入する
(ステップS22)。ユーザーが、磁気記録カード2を
使用して物品等を購入する際、磁気記録カード2に対す
る所定の照合処理および使用度数の引き落とし処理が行
なわれる(ステップS24)。照合処理および引き落と
し処理は、カードリーダー/ライターを用いて行なわれ
る。この実施形態におけるカードリーダー/ライター4
6のブロック構成を図9に示す。
【0034】カードリーダー/ライター46は、磁気バ
ートラック10および磁気記録トラック12に、それぞ
れ対応する2個の磁気ヘッドH1,H2と、磁気バート
ラック10上にパンチ穴52を開ける打ち抜き機Pとを
備えている。このカードリーダー/ライター46は、従
来の2ヘッドのカードリーダー/ライターに、打ち抜き
機Pを追加することにより構成することができる。な
お、磁気ヘッドとして、リングヘッド、MR素子、ホー
ル素子等を用いることができる。
【0035】照合処理は、つぎのようにして行なわれ
る。カードリーダー/ライター46のカード挿入口(図
示省略)より挿入された磁気記録カード2は、搬送ベル
ト48によって、磁気ヘッド位置(図示省略)まで搬送
される。磁気ヘッド位置には、磁気記録カード2の磁気
バートラック10および磁気記録トラック12に対応す
る位置に、それぞれ専用の磁気ヘッドH1,H2が設置
されている。
【0036】磁気ヘッドH1により、磁気バートラック
10に記録された磁気バーコード20(図1参照)の内
容が読み取られる。上述のように、磁気バートラック1
0の磁気記録層6に形成された磁性層厚肉部14と磁性
層薄肉部16との境界面18から漏洩する磁束のパター
ンは、極めてSN比の高いものであるため、図10に示
すように磁気ヘッドH1には、SN比の高い極めて明瞭
な出力電圧の凹凸パターンが生ずる。
【0037】一方、磁気ヘッドH2により、磁気記録ト
ラック12の所定の位置に記録された、前述の暗号化情
報(ステップS18)が読み取られる。磁気ヘッドH1
から読み取られた磁気バーコード20の内容と、磁気ヘ
ッドH2から読み取られた暗号化情報は、マイクロコン
ピューターによって構成される制御装置50に送られ、
両方の情報に矛盾がないか確認される。
【0038】双方の情報に矛盾があった場合、磁気記録
カード2は搬送ベルト48によって逆送され挿入口より
排出される。一方、双方の情報に矛盾がない場合、以下
の手順で引き落とし処理がおこなわれる。まず、搬送ベ
ルト48を逆転させ、磁気記録カード2を磁気ヘッド位
置まで戻し、磁気ヘッドH2により、磁気記録トラック
12の記録内容を、使用残高に応じた内容に書換える。
【0039】その後、磁気記録カード2はパンチ穴開け
部(図示省略)に搬送され、磁気バートラック10の磁
気バーコード20の所定領域に、パンチャーPにより使
用に応じてパンチ穴52が開けられる。なお、パンチ穴
52の形状には特に制限はなく、円形の他、多角形、星
状等であってもよい。パンチ穴52の大きさは、磁気バ
ートラック10に形成されている磁気バーコード20の
前記所定領域部分の出力が読み出し困難になる程度の大
きさが必要である。すなわち磁気トラック幅の1/5以
上、望ましくは1/3以上、さらに望ましくは1/2以
上であることが好ましい。
【0040】パンチ穴開け後、磁気記録カード2は再び
磁気ヘッド位置まで逆送され、書き換え後の磁気記録ト
ラック12の記録内容と矛盾しない位置に確実にパンチ
穴52があけられたか、すなわち磁気バーコード20の
所定領域の磁気信号が消滅したかが、磁気ヘッドH1に
より確認される。その後、磁気記録カード2は、挿入口
より排出される。
【0041】上述の処理により、使用残高が「0」とな
った場合は、以後、この磁気記録カード2の使用は不能
となる(ステップS26、S28)。上述のように、こ
の実施形態においては、磁気バーコード20の内容を、
各磁気記録カード2ごとに異ならせることができる。し
たがって、多くの磁気記録カード2の打ち抜き片の中か
ら、偽造しようとする磁気記録カード2の磁気バーコー
ド20のパンチ穴片と同一のパンチ穴片を、正確に選び
出すことのできる確率は極めて小さく、偽造が殆ど不可
能である。
【0042】また、パンチ穴の打ち抜き片で磁気バート
ラック10のパンチ穴52を埋め込む際にできる不連続
線で生じる磁気信号は、無視できる程度まで小さくする
ことが困難である。したがって、万一、同一の打抜き片
が得られたとしても、パンチ穴埋めによって、かえって
磁気記録トラック12の暗号化信号には存在しない磁気
信号を、磁気バートラック10に作成すると同様の結果
を招く。このため、このような偽造カードは、照合処理
において排除される。すなわち、本発明に係わる不正使
用防止方法を用いた場合、偽造再生は事実上不可能に近
い。
【0043】また、上述の照合方法においては、照合処
理に用いる参照用の暗号化信号を、各磁気記録カード2
自体に記録している。したがって、ホストコンピュータ
との間で照合処理を行なう必要がない。このため、オン
ライン化されていない比較的小規模な磁気カード運用シ
ステムにおいても有効に不正使用防止を図ることができ
る。
【0044】つぎに、図11に、この発明の他の実施形
態による磁気記録カード62の構成を模式的に表わすこ
とになる斜視図を示す。本図11も図1と同様に支持体
の構造を模式的に表した斜視図であり、同様に、本図1
1は磁気記録層の図示を省略した磁気記録カード62の
簡単な構造図として解釈されてよい。64、66は正確
には後の工程で磁気記録層が形成されたときにトラック
となる。磁気記録カード62は、使用にしたがってパン
チ穴72があけられる運用用の磁気バートラック64
(固定記録領域)、および、照合処理の際に参照すべき
基準信号を記録した参照用の磁気バートラック66(第
2の固定記録領域)の、2つの磁気バートラックを備え
ている点で、磁気バートラック10、磁気記録トラック
12をそれぞれ一つずつ備えた図1の磁気記録カード2
と異なる。その他の構造は、磁気記録カード2と同様で
ある。
【0045】製造工程において、2つの磁気バートラッ
ク64、66には、支持体へのレーザ加工により、同一
パターンの磁気バーコード68、70が形成される。照
合処理、引き落とし処理は、図9に示すカードリーダー
/ライター46と同様の装置を用い、磁気記録カード2
の場合と同様に行なわる。つまり、使用残高に応じたパ
ンチ穴72が、運用用の磁気バーコード68の所定領域
にあけられる。ただし、参照用の磁気バーコード70
は、なんら変更されない。 使用残高を示す運用用の磁
気バーコード68に基づく磁気信号と、同時に読み取ら
れる参照用の磁気バーコード70に基づく磁気信号の、
特定部分の特徴が一致するときにのみ、該磁気記録カー
ド62が有効となるシステムとなっている。
【0046】なお、運用用の磁気バートラック64、参
照用の磁気バートラック66に加え、通常の磁気信号を
記録するための書換え可能な磁気記録トラック(図示省
略)を、さらに追加して設けるよう構成することもでき
る。つぎに、図12に、この発明のさらに他の実施形態
による磁気記録カード82の構成を模式的に表わすこと
になる斜視図を示す。本図12も図1と同様に支持体の
構造を模式的に表した斜視図であり、同様に、本図12
は磁気記録層の図示を省略した磁気記録カード62の簡
単な構造図として解釈されてよい。84、86は正確に
は後の工程で磁気記録層が形成されたときにトラックと
なる。磁気記録カード82は、1本の磁気トラック84
が、磁気バーコード86を形成する磁気トラックと、通
常の磁気信号を記録する磁気トラックを兼ねる点で、こ
れらの磁気トラックを別々に設けた図1の磁気記録カー
ド2と異なる。その他の構造は、磁気記録カード2と同
様である。
【0047】図12に示すように、磁気トラック84に
は、運用用の磁気バーコード86と、参照用の磁気記録
部88が形成されている。運用用の磁気バーコード86
は、図1に示す磁気記録カード2の磁気バーコード20
と同様の機能を果し、参照用の磁気記録部88は、磁気
記録カード2の磁気記録トラック12と同様の機能を果
す。
【0048】上述の場合同様、照合処理、引き落とし処
理は、図9に示すカードリーダー/ライター46と同様
の装置を用い、磁気記録カード2の場合と同様に行なわ
る。つまり、使用残高に応じたパンチ穴92が、運用用
の磁気バーコード86の所定領域にあけられる。ただ
し、運用用の磁気バーコード86と、参照用の磁気記録
部88がひとつの磁気トラック84に形成されているた
め、図9に示すカードリーダー/ライター46の磁気ヘ
ッドH2は、不要である。このため、カードリーダー/
ライターの構造が簡単になる。
【0049】なお、パンチ穴92を不正にふさいだ時の
不連続線で新たに発生する波形が容易に判読できるよう
に、磁気トラッック84の磁気記録部88近傍には本来
の磁気情報を記録しない無信号部90を設定しておくこ
とが好ましい。無信号部90はパンチ穴92よりも若干
広く設定しておくのが好ましい。なお、上述の各実施形
態においては、照合処理の際に基準となる参照用の信号
を、磁気記録カード自体に記録しておくよう構成した
が、参照用の信号を、カードリーダ/ライター46の制
御装置50内のマイクロコンピュータにあらかじめ記憶
させておいたり、カードリーダ/ライター46に接続さ
れている上位のホストコンピュータに記憶させておくよ
う構成することもできる。
【0050】また、上述の各実施形態においては、レー
ザー加工により磁気バーコード20等を形成する際、同
一のスリットパターンのスクリーン32を用いて、種々
のパターンの磁気バーコードを形成するよう構成した
が、各磁気バーコードごとに異なるマスクパターンのス
クリーンを用いるよう構成することもできる。また、磁
気バーコードを形成する方法としては、上述のレーザ加
工以外に、たとえば、所定のマスクパターンのスクリー
ンを介して、支持体の一部をドライエッチングする方法
等もある。
【0051】また、上述の各実施形態においては、磁気
バーコードを1つまたは2つの磁気トラックに形成する
よう構成したが、磁気バーコードを3つ以上の磁気トラ
ックに形成してもよい。さらに、カード上の全磁気トラ
ックに磁気バーコードを形成し、複数の磁気トラックに
おいてパンチ穴を開けるよう構成することもできる。こ
のようにすれば、磁気記録カードを偽造再生できる確率
をさらに低下させることができる。
【0052】なお、複数の磁気トラックに磁気バーコー
ドを形成する場合、磁気バーコードの一部のみを照合処
理に使用するよう構成することもできる。使用しない磁
気バーコード部分はダミーとしてもよいし、通常の記録
用に用いてもよい。このように、使用する磁気バーコー
ドのパターン数、磁気バーコードを形成する磁気トラッ
クの数、打ち抜くパンチ穴数、磁気バーコードを形成す
る磁性層の数をそれぞれ増加させることにより、磁気記
録カードを偽造できる確率は低下する。
【0053】また、磁気バーコードを形成する磁性層と
して、強磁性体により構成された層を用いたり、強磁性
体により構成された層と軟磁性体により構成された層と
を連続して用いたりする他、軟磁性体により構成された
層を単独で用いることもできる。ただし、軟磁性体によ
り構成された層を単独で用いる場合には、軟磁性体自体
の保磁力が極めて小さいため、磁気バーコードの読み取
りに際して、磁場をかける必要がある。
【0054】また、磁気カードの機能を多様化するた
め、たとえば磁気シールド層と保護層との間等に目視可
能情報記録層(図示省略)を形成することもできる。目
視可能情報記録層は磁気記録カードの使用残高等の情報
を、肉眼で確認できる文字情報として記録する必要があ
る場合に設けられる層で、錫等の蒸着膜を形成し、その
膜を熱破壊して記録するタイプやロイコ染料等の感熱発
色型の染料を塗布して記録層を形成し、その層に熱記録
するタイプ等がある。さらに、磁気カードの機能を多様
化するため、両面磁気塗工、凹凸加工、光学マーク加工
等を行なうこともできる。
【0055】なお、上述の実施形態においては、磁気記
録カードとして、プリペイドカードを例に説明したが、
この発明は、磁気記録領域を備えたキャッシュカード、
クレジットカード、乗車券、定期乗車券、通行券、ID
カード等にも適用することができる。さらに、この発明
は磁気記録カードのみならず、円板状の磁気記録媒体、
帯状の磁気記録媒体等、磁気記録媒体全般に適用するこ
とができる。
【0056】なお、上述の各実施形態においては、図2
に示すように、磁気バートラック10(図1参照)等の
固定記録領域を構成する磁性層厚肉部14の走査方向X
の長さLAを、長短2種類設定するとともに、磁性層薄
肉部16の走査方向Xの長さLBも長短2種類設定し、
これら合計4種類の磁性層厚肉部14および磁性層薄肉
部16を組合わせ走査方向Xに沿って配置することで、
磁気バーコード20等を形成するよう構成したが、この
発明はこれに限定されるものではない。
【0057】たとえば、固定記録領域に記録する情報
が、個々の磁気記録カードを識別するための識別情報で
あるような場合には、固定記録領域を構成する磁性層厚
肉部14の走査方向Xの長さLBまたは磁性層薄肉部1
6の走査方向Xの長さLAのうち、少なくとも一方の走
査方向の長さをランダムに与えるよう構成することもで
きる。このようにして固定記録領域に記録された情報
を、磁気ランダムシグナルと呼ぶ。
【0058】図13に、磁気ランダムシグナルが形成さ
れた磁気バートラック10部分(図1参照)の断面構造
を示す。この磁気ランダムシグナル220は、磁性層厚
肉部14の走査方向Xの長さLBをランダムに与えると
ともに、磁性層薄肉部16の走査方向Xの長さLAを一
定としている。磁性層厚肉部14の走査方向Xの長さL
Bをランダムに与える方法は種々あるが、たとえば、L
Bを、所定の最小値LBminとLBmaxとの間で予め設定
された不連続な値LB1、LB2、・・・LBnの中から
ランダムに選択する方法や、LBを、所定の最小値LB
minとLBmaxとの間でランダムに決定された連続的な値
とする方法などがある。
【0059】なお、磁気ランダムシグナルは、磁性層厚
肉部14の走査方向Xの長さLBを一定とするととも
に、磁性層薄肉部16の走査方向Xの長さLAをランダ
ムに与えるようにしてもよい。また、磁性層厚肉部14
の走査方向Xの長さLBおよび磁性層薄肉部16の走査
方向Xの長さLAを、ともにランダムに与えるようにし
てもよい。
【0060】図14に、固定記録領域である磁気バート
ラック10(図1参照)として磁気ランダムシグナルが
形成された磁気記録カード202の製造工程を示すフロ
ーチャートを示す。図14に示すように、磁気記録カー
ド202の製造工程は、磁気記録カード2(図2参照)
の製造工程(図4参照)とほぼ同じである。ただし、磁
気記録カード202の製造工程においては、支持体に凹
部を形成(図4、ステップS2参照)ではなく、凹部を
ランダムに形成する(図14、ステップS2参照)点
で、磁気記録カード2の製造工程と異なる。
【0061】したがって、ここでは、凹部をランダムに
形成するステップ(図14、ステップS2参照)につい
て説明する。なお、磁気記録カード202に用いられる
磁性材料は、前述の磁気記録カード2の場合と同様に、
通常のプリペイドカード等に使用されるものが使用でき
る。すなわち、飽和磁化10〜300emu/g、保持
力1〜5000エルステッド、粒径0.01〜100μ
mの鉄化合物、クロム化合物、ニッケル化合物、または
コバルト化合物、たとえば、鉄、磁鉄鉱、γ−フェライ
ト、コバルトドープのγフェライト、ストロンチュウム
フェライト、クロム鋼、コバルト鋼、MK鋼、KS鋼、
二酸化クロム、コバルト鉄、メタル鉄、センダスト合
金、パーマロイ合金、または鉄アモルファス合金等が使
用できる。これらの球状、棒状、フレーク状、板状、ま
たは不定形の材料1種類以上を、単独または混合して用
いる。また、磁性材料の使用量としては0.1〜10.
0Mx/cm、好ましくは0.5〜5.0Mx/cmで
ある。
【0062】さて、磁気ランダムシグナル220は、前
述の磁気バーコード20((図2参照)の場合と同様
に、磁気バートラック10(図1参照)の支持体4を、
レーザ光を用いて部分的に切除することにより行なう。
このステップで使用するレーザ加工装置としては、前述
のように、スリット34を有するスクリーン32をレー
ザ光の照射光路の最後に設けたレーザ加工装置21(図
5参照)を用いてもよい(なお、図5に示すレーザ加工
装置21を用いた場合の例を、後述する「実施例3」に
示す。)が、図15に示すような構成のレーザ加工装置
221を用いることもできる。図15は、レーザ加工装
置221の信号処理経路およびレーザ光の照射光路を示
すブロック図である。図15に示すように、レーザ加工
装置221は、レーザ光を発生するレーザ発生装置2
2、レーザ光を反射して所定方向に導くミラー24、レ
ーザ光を収束させるレンズ226、冷却用または加熱用
の不活性ガスなどを噴出するノズル30等により構成さ
れているとともに、ミラー24およびレンズ226によ
り、光学系28を構成している点で、前述(図5参照)
のレーザ加工装置21と共通する。また、レーザ光が、
磁気バートラック10の走査方向Xにほぼ直交する方向
に照射される点も、前述(図5参照)のレーザ加工装置
21と同様である。
【0063】しかし、本実施形態においては、レーザ光
を収束させるレンズ226としてシリンドリカル(円
筒)レンズを用い、図16に示すように、支持体4に投
射されるレーザ光のスポット244がかなり小さくなる
ように絞り込んでいる。このため、前述のレーザ加工装
置21のように、スリット34を有するスクリーン32
をレーザ光の照射光路の最後に設ける必要はない。
【0064】レンズ226により形成されるスポット2
44は、走査方向Xの幅d1が、図13に示す磁性層厚
肉部14の走査方向Xの長さLB以下になるよう設定さ
れている。なお、スポット244の走査方向Xに直交す
る方向の寸法c1は、磁気バートラック10の有効幅W
よりもやや大きくなるよう設定されている。したがっ
て、小さいスポット244に絞り込まれた密度の高いレ
ーザ光を無駄なく用いて支持体4の加工を行なうことが
できる。このため、投射されたレーザ光のうちスリット
34を透過したレーザ光のみを用いて支持体4の加工を
行なう前述のレーザ加工装置21に比し、エネルギの利
用効率が高い。この結果、同じ出力のレーザ発生装置2
2を用いる場合には、より高速度で支持体4の加工を行
なうことができる。なお、前述の各実施形態(図2に示
す磁気記録カード2を製造する場合など)においても、
レーザ加工装置21のかわりに、図17に示すような構
成のレーザ加工装置221を用いることができる。
【0065】図17に示すように、パーツハンドラー4
0上をX1方向に搬送されるフィルム支持体42に対
し、制御用コンピュータ36を用いてレーザ光を照射す
るタイミングを制御することにより、磁気バートラック
10(図1参照)上の所望の位置に、所望の走査方向X
の長さを有する磁性層厚肉部14および磁性層薄肉部1
6(図15参照)を、所望の数量、形成することができ
る。
【0066】この実施形態においては、磁性層薄肉部1
6の長さLAに対応するレーザ光の非照射時間を一定に
するとともに、磁性層厚肉部14の長さLBに対応する
レーザ光の非照射時間を、制御用コンピュータ36によ
り発生された乱数等を用いて、ランダムに決定してい
る。このようにして、個々の磁気記録カード202に対
して別々のランダムな識別情報を、書換え不能な磁気ラ
ンダムシグナルとして記録することができる。
【0067】なお、この実施形態においては、レンズ2
26により形成されるスポット244の幅d1を、0.
3〜0.4mmとしたが、スポット244の幅d1は、
0.3mm以下としてもよいし、0.4mm以上として
もよい。ただし、スポット244の幅d1を小さくすれ
ば、より桁数の大きい磁気ランダムシグナルを書込むこ
とができる。
【0068】また、磁性層厚肉部14の長さLBは特に
制限されるものではないが、10μm〜10mm程度が好
ましい。より好ましくは、50μm〜5mm程度である。
ただし、磁性層厚肉部14の長さLBは、スポット24
4の幅d1より小さくすることはできない。なお、磁性
層薄肉部16の長さLAは、10μm〜10mm程度が好
ましい。より好ましくは、50μm〜5mm程度である。
【0069】また、後述するカードリーダー/ライター
46の磁気ヘッドH1(図9参照)により、磁気バート
ラック10に記録された磁気ランダムシグナル220の
内容を読取る際、複数のカードリーダー/ライター46
間で、磁気ヘッドH1の位置が多少バラついていても安
定した読取り結果が得られるように、磁気バートラック
10の有効幅Wは、磁気ヘッドH1の読み取り巾よりも
十分大きくとることが好ましい。具体的には、磁気バー
トラック10の有効幅Wは、0.1mm〜100mm程度が好まし
い。より好ましくは、1mm〜10mm程度である。
【0070】なお、この実施形態においては、使用する
レーザ光をパルス発振光とし、パルス幅を制御すること
により照射、遮断を繰り返して磁気ランダムシグナル2
20を形成するよう構成したが、前述の実施形態(図2
参照)と同様に本実施形態においても、使用するレーザ
光を連続光とするとともに、ミラー24(図15参照)
を揺動可能とし、これによりレーザ光の照射方向を変化
させることで、レーザ光の照射、遮断を行ない、磁気ラ
ンダムシグナル220を形成するよう構成することもで
きる。
【0071】このようにして、磁気ランダムシグナルを
形成するステップ(図14、ステップS2参照)が実行
される。磁気記録カード202を製造する他のステップ
(図16、ステップS2、ステップS6〜ステップS1
2参照)は、前述の磁気記録カード2を製造するステッ
プ(図4、ステップS2、ステップS6〜ステップS1
2参照)と同様に実行される。このようにして、磁気記
録カード202が製造される。
【0072】なお、支持体4を部分的に除去する方法
は、レーザ光を用いる方法に限定されるものではない。
たとえば、支持体4の一部を針等を用いて機械的に除去
する方法もある。また、複数の支持体を貼り合わせて磁
気記録カードを構成する場合には、該複数の支持体の間
に磁気記録層6を形成するよう構成することも可能であ
る。
【0073】磁気記録カード202の流通過程は、前述
の磁気記録カード2の流通過程(図8参照)と、ほぼ同
じである。すなわち、磁気記録カード2の場合と同様
に、磁気塗工メーカーで製造された磁気記録カード20
2は、カード発行会社に出荷され(図8、ステップS1
4、S16参照)、カード発行会社において、書換え可
能な情報である所定の磁気情報の書込みが行なわれる
(図8、ステップS18参照)。
【0074】前述の磁気記録カード2の場合と同様に、
図14のステップS2において磁気バートラック10に
記録された磁気ランダムシグナルを形成するように支持
体に凹部を形成したのと同じ内容の情報を、所定の方法
で暗号化し、磁気情報の形で磁気記録トラック12に記
録するようにしている。磁気記録トラック12への磁気
情報の書込みが終了すると、磁気記録カード202の発
行、販売がなされ(図8、ステップS20参照)、ユー
ザーは、これを購入する(図8、ステップS22参
照)。
【0075】ユーザーが、磁気記録カード202を使用
して物品等を購入する際、磁気記録カード202に対す
る所定の照合処理および使用度数の引き落とし処理が、
たとえば図9に示すようなカードリーダー/ライター4
6を用いて行なわれるのも、前述の磁気記録カード2の
場合と同様である(図8、ステップS24参照)。磁気
記録カード202の照合処理について、やや詳しく説明
する。磁気記録カード202の場合も、磁気記録カード
2の場合と同様に、まず、図9に示すカードリーダー/
ライター46の磁気ヘッドH1により、磁気バートラッ
ク10に記録された磁気ランダムシグナル220(図1
8、(a)参照)の内容が読み取られる。
【0076】前述の磁気記録カード2の場合と同様に、
磁気バートラック10の磁気記録層6に形成された磁性
層厚肉部14と磁性層薄肉部16との境界面18から漏
洩する磁束のパターンは、極めてSN比の高いものであ
るため、図18(b)に示すように磁気ヘッドH1に
は、SN比の高い極めて明瞭なアナログ信号出力が生ず
る。なお、この実施形態においては、境界面18のう
ち、磁気ヘッドH1が磁性層薄肉部16から磁性層厚肉
部14へ移行するときの境界面18が、磁気被検出部に
対応する。
【0077】得られたアナログ信号出力は、適当に増幅
された後、所定のしきい値電圧Vthで2値化される。こ
のようにして2値化された磁気ヘッドH1の出力を図1
5(c)に示す。図19(a)に示す2値化された磁気
ヘッドH1の出力は、制御装置50により所定のアルゴ
リズムにしたがって暗号化される。暗号化のアルゴリズ
ムは種々考えられている。たとえば、図19(a)に示
す2値化された磁気ヘッドH1の出力と、同(b)に示
すような暗号キーとの排他論理和をとるようなアルゴリ
ズムもある。同(b)は、このアルゴリズムにより暗号
化された磁気ヘッドH1の出力である。
【0078】一方、図9の磁気ヘッドH2により、磁気
記録トラック12の所定の位置に記録された、前述の暗
号化情報(ステップS18)が読み取られる。磁気ヘッ
ドH1から読み取られたのち暗号化された出力(図19
(c)参照)と、磁気ヘッドH2から読み取られた暗号
化情報は制御装置50に送られ、両方の情報に矛盾がな
いか確認される。
【0079】このようにして、照合処理が行なわれた
後、前述の磁気記録カード2の場合と同様に、使用度数
の引き落とし処理などが行なわれ、使用残高が「0」と
なった場合は、以後、この磁気記録カード202の使用
は不能となる(図8、ステップS26、S28参照)。
磁気シールド層を磁性層の上に設けることも好ましい。
これは磁気シールド層に含有される高透磁率の軟磁性粉
により磁気記録層6の磁束を遮蔽することで、磁気記録
トラック12(図1参照)に記録された磁気信号のパタ
ーンを外部に漏れないようにすることができるためであ
る。
【0080】磁気シールド層は、センダスト、パーマロ
イ等の軟磁性材料粉を、ポリウレタン樹脂、ポリエステ
ル樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、セルロース
樹脂等の単体あるいは混合物に分散させて得られた塗料
を、磁気記録層6の上にグラビアコーティング、ナイフ
コーティング、印刷等によって塗工し、その後、乾燥硬
化することにより形成される。
【0081】以上の説明では支持体に単純に凹部を形成
し、その後その凹部を埋めて磁気層や磁気シールド層、
保護層等を形成して情報を書換え不能に記録する固定記
憶領域を形成した。単純な凹部以外にも、大きなまたは
長い凹部中に凸部をランダムにまたはおよび/またはラ
ンダムな長さで形成することによっても、固定記憶領域
を形成することができる。また凹部や凸部の深さ、高さ
を2種以上変化させて複雑な形状にして、より高度な情
報を書換え不能に記録する固定記憶領域を形成すること
も可能である。例えばこの場合は、真の固定記憶領域は
中間の高さの凸部によって記録されることにするとか、
その読み方の組合せを暗号化して別のトラックに記録す
る等、種々の組合せが考えられ、より高度な記録が可能
になる。このような状態の磁気カードの一例の断面を図
20に示した。図20は本発明の磁気カードの構成の一
例を示す断面図である。
【0082】以上の例では凹部を覆った磁気層はそれぞ
れの凹部を連結させた一つの磁気層を形成し支持体の表
面をも覆うような場合をあげている。これに対して凹部
を埋めるだけで支持体の表面は覆わず、一つ一つの凹部
を埋めた磁気層部が互いに連結しない、独立した状態で
磁気層を形成することもできる。このような場合は磁気
層と呼ぶより、磁気部分とでも呼ぶほうがより正確であ
る。
【0083】このような状態の磁気カードの断面を図2
1に示した。図21は本発明の磁気カードの構成の一例
を示す断面図である。図21より分かるように、一つ一
つ独立した磁気部分6,6,6が情報を書換え不能に記
録する固定記憶領域を形成することになる。このような
磁性層を磁気シールド層と同様の磁性材料で構成する
と、磁性層が切除された磁気記録トラック10(図21
参照)においては、磁気バーコード20に対応した磁束
の漏れが生ずる。これを、前述の、図9に示すカードリ
ーダー/ライター46の磁気ヘッドH1で読み取ること
になる。この場合、磁束の漏れ量が少ないときは、読み
取り時に、所定の直流磁場をかけ、直流磁場の下で、磁
気バーコード20に対応した磁束の漏れを読み取ればよ
い。
【0084】なお凹部、凸部断面は磁性層を形成した時
に走査方向に直角な磁性層の断面が得られる点で矩形が
好ましい。
【0085】
【実施例】以下の実施例1において、図2に示す磁気記
録カードの各層の形成法の具体例を説明する。また、実
施例2において、図23に示す磁気記録カードの形成法
の具体例を説明する。ただし、本発明はこれらの例に限
定されるものではない。また、特に断りのない場合、有
機溶剤であるメチルエチルケトン、トルエンを除く以下
の実施例のすべての部は固形分重量部である。
【0086】〔実施例1〕図1に、この実施形態による
磁気カードの加工途中の基板のレーザ光加工時の斜視
図、図2に磁気カードの断面図を示す。 <支持体へ凹部の形成加工>カード支持体4として、1
88μm厚みの乳白ポリエステルフィルムを使用した。
この支持体に、図5に示したレーザ加工装置を用いて凹
部を形成した。使用したレーザは20ミリワットのYA
Gレーザであり、スクリーン32として100μm×4mmの
スリットのある厚さ1mmステンレス板を通を使用した。
照射時間2msecのレーザ光を支持体を移動させながら、
レーザをランダムに照射することにより行なった。凹部
を掘削加工したところ、移動方向に不規則な間隔で定形
の凹部が加工できた。 <磁性層の塗布形成>支持体の凹部を埋めて磁気記録層
6を以下のような条件で塗布形成した。磁気記録層の磁
性材料として保持力2750エルステッド、平均粒径
0.7μmのバリウムフェライト80部を使用し、バイ
ンダーとしてイソシアネート架橋ウレタン樹脂20部を
使用し溶剤系磁性塗料を作製した。この磁性塗料を中心
磁界3000ガウスのNN対向永久磁石の配向磁場下
で、飽和磁束密度1.6Mx /CM,角形比89%にな
るようマイヤーバーを用いて塗工、乾燥した。これによ
り、磁気バートラック10(図1参照)上に、磁気ラン
ダムシグナルを形成した。
【0087】<保護層塗工>上記磁気記録層6上に、下
記原料をホモミキサーで攪拌して得られた保護層塗料を
グラビアコーテイングし、厚さ5μmの保護層8を形成
した。 アルミフレーク 40部 (旭化成工業株式会社製 M−301) ポリウレタン樹脂 15部 (日本ポリウレタン工業株式会社製 ニッポランN−3113) 部分ケン化塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 15部 (積水化学工業株式会社製 エスレックA) ポリエチレンワックス 40部 (ヘキストジャパン株式会社製 10%トルエン分散液 S150D) メチルエチルケトン 170部 トルエン 60部 イソシアネート系硬化剤 10部 (日本ポリウレタン工業株式会社製 コロネートL)
【0088】<評価>このようにして形成した磁気記録
カード2について、磁性層厚肉部および薄肉部16を含
む磁気ランダムシグナル220を、図18に示すよう
に、巾(図18の紙面奥行方向の寸法)が1mmであるリ
ングヘッドタイプの磁気ヘッドH1を用いて走査したと
ころ、磁性層厚肉部と薄肉部の界面18にて、±600
mVのアナログ信号出力を得た。+300mVのしきい値電
圧Vthでこのアナログ信号出力を2値化したところ、境
界面18のランダム性に相当する2値化データが得られ
た。磁気ヘッドH1を走査方向Xに直交する方向(図1
8の紙面奥行方向)に1mmずらして走査したところ、同
じ2値化データを得た。支持体の凹部を含むトラックを
巾1mmリングヘッドを用いて支持体の加工方向に走査し
たところ、欠落部の端部にて、±600mVの磁気出力を得
た。+ 300 mVのしきい値で磁性層の欠落部の不規則な間
隔に由来するランダム信号に相当する2値化データが得
られた。リングヘッドをトラックの巾方向に1mmずらし
て走査したところ、同じ2値化データを得た。
【0089】実施例2 本実施例では第1の磁気カード部と第2の磁気カード部
を貼りあわせた構成の磁気カードを作製した。断面図を
図23に示した。 <第1の磁気カード部の作製> <支持体へ凹部の形成加工>カード支持体として100
μm厚みの乳白ポリエステルフィルムを使用した。図1
7に示した20ミリワットのYAGレーザを用いて、直
径3mm円形の凹部を、照射時間2msecのレーザ光を支持
体を手動で移動させながら凹部を掘削加工したところ、
移動方向に不規則な間隔で円形の凹部が加工できた。 <磁性層の塗布形成>支持体4dの凹部を埋めて磁気記
録層6bを以下のような条件で塗布形成した。上記支持
体に、保磁力7エルステッド、平均粒径12μmのセン
ダスト粉80部、バインダーとしてイソシアネート架橋
ウレタン樹脂20部からなる溶剤系磁性塗料を中心磁界
2000ガウスの直流電磁石の水平配向磁場下で飽和磁
束密度0.5Mx /CM,角形比88%になるようマイ
ヤーバーを用いて塗工、乾燥し第1の磁気カード部を作
製した。 <第2の磁気カード部の作製>50μm厚みの乳白ポリ
エステルフィルムを支持体4cとし、磁性材料として保
持力2750エルステッド、平均粒径0.7μmのバリ
ウムフェライト80部、バインダーとしてイソシアネー
ト架橋ウレタン樹脂20部からなる溶剤系磁性塗料を中
心磁界3000ガウスのNN対向永久磁石の配向磁場下
で、飽和磁束密度1.6Mx /CM,角形比89%にな
るようマイヤーバーを用いて塗工、乾燥して磁性層6a
を支持体上に形成した。その後実施例1と同様に保護層
8を形成して第2の磁気カード部を作成した。 <磁気カードの作製>次に、第1の磁気カード部の磁気
記録層6b上に第2の磁気カード部の支持体4cを接着
剤を用いて積層して図22に示した断面を有する磁気カ
ードを得た。図22から分かるように、本実施例の磁気
カードではペット支持体内部の欠落部に磁性層が隣接し
て設けられ、且つ表面層側に磁気記録層が設けてある磁
気カードとなっている。 <評価>内層の欠落部を含むトラックをバイアス磁界付
きのリングヘッドを用いて走査したところ、欠落部の端
部にて、± 1000 mVの磁気出力を得た。+ 500 mVのしき
い値で磁性層の欠落部のランダム性に相当する2値化デ
ータが得られた。
【0090】比較例1 木材パルプNBKP100部と長さ2mm、太さ10μmの
ステンレス繊維 0.2部を水中に分散し、金網で抄いた
後、乾燥して磁性金属抄き込み紙米坪 109g/m2、紙厚17
9μmを作製した。この表面をホール素子を用いた磁気セ
ンサーで走査したところ、磁性繊維の位置に対応して出
力が得られた。磁気センサーを走査方向に直行する方向
に1mmずらして走査したところ、異なる磁気出力パター
ンを得た。
【0091】
【発明の効果】請求項1の磁気記録媒体は、支持体の凹
部および/または凸部を充填または被覆した磁性層が、
結果的に磁性層厚肉部と磁性層薄肉部とを隣接して有す
ることにより固定記録領域を構成したことを特徴とす
る。この磁性層厚肉部と磁性層薄肉部との境界面から漏
洩する磁束の分布が、凹凸パターンを形成する。このた
め、情報を、境界面の位置に対応する情報に変換して記
録する場合、当該情報の読み取り時におけるSN比は極
めて大きい。この結果、情報記録密度を高くすることが
できる。このため、たとえば個々の磁気記録媒体ごとに
別々の識別情報を書換え不能に磁気的に記録することが
できる。すなわち、磁気記録媒体の偽造、変造が困難に
なる。
【0092】請求項2の磁気記録媒体は、固定記録領域
を、走査方向の長さが異なる2種類以上の磁性層厚肉部
と磁性層薄肉部を組合わせて走査方向に沿って配置する
よう構成したことを特徴とする。したがって、情報を磁
気バーコードの形態で書換え不能に記録することができ
る。すなわち、既存のコード体系を利用して容易に偽
造、変造を防止することができる。
【0093】請求項3の磁気記録媒体は、固定記録領域
を構成する磁性層厚肉部と磁性層薄肉部の少なくとも一
方の走査方向の長さが、ランダムに与えられた長さであ
ることを特徴とする。したがって、磁性層厚肉部と磁性
層薄肉部の少なくとも一方の走査方向の長さをランダム
に与えることにより、ランダムな情報を記憶することが
できる。このため、たとえば、磁気記録媒体の識別情報
としてこのようなランダムな情報を用いた場合、情報に
規則性がないため、偽造が極めて困難となる。
【0094】また、コンピュータ等を用い人工的にラン
ダムな情報を与えることにより、情報の計算上の重複確
率を容易に知ることができる。したがって、計算上の重
複確率と実際の使用状況における重複率とを比較するこ
とにより、不正な偽造の有無を容易に発見することがで
きる。また、発行数量等に見合った桁数のランダム情報
を容易に設定することができる。このため、無駄のない
桁数で、偽造の発見の容易な磁気記録媒体を実現するこ
とができる。
【0095】請求項4の磁気記録媒体は、固定記録領域
が凹部を充填する磁性層が存在する部分と磁性層が存在
しない部分によって構成されることを特徴とする。つま
り、この場合は磁性層薄肉部が極端に薄くなった場合に
無くなるということもあるということである。この場合
は特に磁性層部分の有無が磁気記録媒体の識別情報とな
る。
【0096】請求項5の磁気記録媒体は、情報を書換え
可能に磁気的に記録する可変記録領域を、さらに備えた
ことを特徴とする。したがって、たとえば固定記録領域
の記録内容と同一の情報を暗号化して可変記録領域に記
録するようにしておき、使用時に固定記録領域の記録内
容と可変記録領域の記録内容とが所定の関係を有するか
否かを照合することにより、当該磁気記録媒体の真偽を
判定することができる。このため、ホストコンピュータ
に真偽照合のための参照用データを持たせる必要がな
い。すなわち、ホストコンピュータを持たない小規模シ
ステムにおいても、有効に偽造、変造を防止することが
できる。
【0097】請求項6の磁気記録媒体の製造方法は、固
定記録領域の走査方向にほぼ直交する方向にレーザ光を
照射して、支持体を凹凸加工することにより、磁性層厚
肉部と磁性層薄肉部を形成することを特徴とする。した
がって、レーザ光の直進性により、磁性層厚肉部と磁性
層薄肉部との境界面が、当該走査方向にほぼ直交するほ
ぼ平坦な面となる。このため、容易かつ確実に、理想的
な境界面を得ることができる。すなわち、偽造、変造が
困難な磁気記録媒体を、容易かつ確実に製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による磁気記録媒体であ
る磁気記録カード(プリペイドカード等)の支持体の構
造を模式的に表わした斜視図である。
【図2】図1に示す磁気バートラック形成領域10部分
の断面P1−P1における磁気カード2の断面図であ
る。
【図3】図1に示す磁気記録トラック形成領域12部分
の断面P2−P2における磁気カード2の断面図であ
る。
【図4】磁気記録カード2の製造工程を示すフローチャ
ートである。
【図5】レーザ加工装置21の構成を簡略化して示す図
面である。
【図6】スクリーン32の平面構造を表わす図面であ
る。
【図7】レーザ加工装置21の信号処理経路およびレー
ザ光の照射光路を示すブロック図である。
【図8】磁気記録カード2の流通過程を示すフローチャ
ートである。
【図9】カードリーダー/ライター46のブロック構成
を示す図面である。
【図10】磁気ヘッドH1に生ずる出力電圧のパターン
を示す図面である。
【図11】この発明の他の実施形態による磁気記録カー
ド(プリペイドカード等)の支持体の構造を模式的に表
わした斜視図である。
【図12】この発明のさらに他の実施形態による磁気記
録カード(プリペイドカード等)の支持体の構造を模式
的に表わした斜視図である。
【図13】磁気ランダムシグナルが形成された磁気バー
トラック10部分(図1参照)の断面構造を示す。
【図14】固定記録領域である磁気バートラック10
(図1参照)として磁気ランダムシグナルが形成された
磁気記録カード202の製造工程を示すフローチャート
を示す。
【図15】レーザ加工装置221の構成を簡略化して示
す図面である。
【図16】磁気記録カード202の磁気記録層6に投射
されるレーザ光のスポット244を示す図面である。
【図17】レーザ加工装置221の信号処理経路および
レーザ光の照射光路を示すブロック図である。
【図18】磁気記録カード202の照合処理を説明する
ための図面である。
【図19】磁気記録カード202の照合処理を説明する
ための図面である。
【図20】本発明の磁気カードの構成の一例を示す断面
図である。
【図21】本発明の磁気カードの別の構成の一例を示す
断面図である。
【図22】本発明の磁気カードの構成の一例で第1の磁
気カード部と第2の磁気カード部を貼りあわせた構成の
磁気カードの断面図である。
【符号の説明】
6・・・・・磁気記録層 14・・・・磁性層厚肉部 16・・・・磁性層薄肉部 18・・・・境界面 20・・・・磁気バーコード X・・・・・走査方向 E・・・・・エッジ部
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 20/10 G06K 19/00 B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】片側に複数の凹部および/または凸部を備
    えた支持体と、該凹部を充填および/または該凸部を被
    覆して前記支持体上の少なくとも一部を覆い、情報を書
    換え不能に磁気的に記録する固定記録領域を有する磁性
    層とを備えた磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】前記複数の凹部および/または凸部の配列
    によって該磁性層の固定記録領域が書換え不能の情報を
    記録する請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】前記複数の凹部および/または凸部の配列
    の方向を該固定記録領域に対する走査方向とし、当該走
    査方向に対する前記凹部および/または凸部の走査方向
    長さをランダムに与えられた長さとする請求項2記載の
    磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】前記磁気層が前記凹部の少なくとも一部に
    ついては、該凹部のみを充填し、その周囲の支持体の表
    面を被覆しないように形成された請求項1〜3のいずれ
    か一項に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】更に第2の磁気層を備えた請求項1〜4の
    いずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】前記複数の凹部および/または凸部を前記
    支持体にレーザ光を照射することにより形成する請求項
    1〜5のいずれか一項に記載の磁気記録体の製造方法。
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