JPH11183919A - 液晶表示パネルの液晶注入方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶注入口付近に液晶の配向乱れを生じな
い、また液晶使用効率の高い液晶表示パネルの液晶注入
方法を提供する。 【解決手段】 大気中にて空の液晶セル１１の液晶注入
口１５に液晶１６を滴下して、この液晶１６を毛細管現
象を用いて液晶セル１１内に注入する。次いで、減圧雰
囲気中で液晶注入口１５に液晶１６を滴下した後、大気
圧に戻して液晶１６を液晶セル内外の気圧差を用いて液
晶セル１１内にさらに注入する。その後、液晶注入口１
５を封止する。この手順を経る方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示パネルの
空の液晶セル内に液晶を注入する方法に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置は、軽量、低電圧作動、低
電力消費等の利点を生かして、その応用は民生分野から
産業分野に至るまで、多方面に亘り展開しつつある。ま
た、これに伴ってパネルサイズの大型化、表示の高精細
化が進んでいる。パネルサイズが大型化すると問題とな
るのが、液晶表示パネルの空セル内に液晶を注入する時
間が長くなることである。そこで、液晶表示パネルの空
セル内に液晶を注入する方法も従来から種々の方法が提
案されている。現在、広く採用されている注入方法は、
減圧注入法である。

【０００３】図７は減圧注入法を用いた従来における液
晶注入方法の一例を示すもので、図８及び図９は液晶を
注入する液晶セルの構造を示すものである。なお、図８
は空の液晶セルの斜視図、図９は空の液晶セルを模式的
に示す側面図である。図８及び図９における空の液晶セ
ル５１は、周縁部にシール材５２を介在させて２枚の電
極基板５３，５４を対向配置させている。その液晶セル
５１は、使用時に文字や記号が表示される主表面と、こ
れと反対側の裏面とを有している。また、セル一端部の
電極基板５３と５４との間には液晶注入用開口としての
液晶注入口５５が形成されており、この液晶注入口５５
を用いて空の液晶セル５１の内部に液晶の注入が可能に
なっている。

【０００４】次に、液晶注入方法を図７を用いて説明す
ると、従来の液晶注入方法は次のからの手順で作業
が進行する。 まず、空の液晶セル５１と液晶５６が入れられた液晶
皿５７とが真空槽内に入れられ、この真空槽内で液晶注
入口５５を下にして空の液晶セル５１が液晶皿５７の上
方に配置される（図７（ａ）参照）。 次いで、真空槽内を序々に減圧する。この減圧では、
急激に減圧を行うと液晶内に気泡ができ、液晶皿より液
晶がこぼれ出す不都合が生じるため、時間を掛けて序々
に減圧しなければならない。 液晶注入口５５と液晶皿５７を密着させる（図７
（ｂ））。 真空槽内を段階的に大気圧に戻す。すると、空の液晶
セル５１の毛細管現象及びこの液晶セル内外に作用する
気圧差とにより、液晶皿５７内の液晶５６が液晶注入口
５５から液晶セル５１内に吸い込まれて行く（図７
（ｃ））。そして、液晶セル５１内に液晶５６が略完全
に吸い込まれるまで、そのままの状態を放置する。 液晶セル５１内に液晶５６が略完全に吸い込まれた
ら、液晶注入口５５が上向きとなるように液晶セル５１
を１８０度回転させる（図７（ｄ））。 液晶注入口５５をシール材５２で封止する（図７
（ｅ））。これにより、液晶セル５１が完成する。 なお、この液晶注入方法を用いた場合では、液晶５６の
注入開始から完成までに約７〜８時間を要している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、空の
液晶セル５１の毛細管現象とこの液晶セル５１の内外に
作用する気圧差を同時に作用させて液晶５６の注入を行
っている従来における液晶注入方法では、次のような問
題があった。すなわち、液晶注入口５５からの液晶注入
が急激に行われるため、液晶注入口５５の付近に液晶５
６の配向みだれが生じる。この配向みだれは、液晶５６
が急激に注入されることに伴って空の液晶セル５１の配
向規制力が減少することに起因する。そこで、この配向
みだれを解消するのに、次の（ａ）及び（ｂ）の方法が
採られている。 （ａ）真空槽内を大気圧に戻すときに、段階的に戻す方
法。 （ｂ）液晶注入後、液晶注入口５５を封止し、その後、
液晶材料のＮＩ点以上にベークして冷却し、再配向させ
る方法。ここで、上記ＮＩ点とは、液晶がネマティック
からアイソトロピック（等方性）に移転する転移点であ
り、ここでは液晶セル５１の液晶注入口５５を封止後、
ＮＩ点以上に温度を上げてベーキングをして、液晶５６
を一旦、液晶状態から液体にし、その後、冷却して液体
から液晶５６に戻す。 しかし、上記（ａ）及び（ｂ）の何れの方法も配向みだ
れを解消するには十分ではなかった。

【０００６】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は液晶注入口付近に液晶の配向みだ
れを生じない、また液晶使用効率の高い液晶表示パネル
の液晶注入方法を提供することにある。さらに、他の目
的は、以下に説明する内容の中で順次明らかにして行
く。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項１に記載の発明においては、透明電極付ガラス
基板と薄膜トランジスタ付ガラス基板を対向配置し、両
基板の周縁部をシール材により液晶注入口を残して接合
した空の液晶セルの前記液晶注入口から液晶を注入し、
その後、前記液晶注入口が封止される液晶表示パネルの
液晶注入方法において、大気中にて前記空の液晶セルの
液晶注入口に液晶を滴下して、この液晶を毛細管現象を
用いて前記液晶セル内に注入し、次いで減圧雰囲気中で
前記液晶注入口に液晶を滴下した後、大気圧に戻し、前
記液晶を前記液晶セル内外の気圧差を用いて前記液晶セ
ル内にさらに注入するようにした。

【０００８】この方法によれば、大気中にて空の液晶セ
ルの液晶注入口に液晶を滴下し、この液晶を毛細管現象
を用いて前記液晶セル内に毛細管現象を用いて徐々に注
入する工程と、その後、減圧雰囲気中で液晶セル内に残
留している気泡を取り除き、さらに液晶注入口に液晶を
滴下した後に大気圧に戻し、この液晶セル内外の気圧差
を用いて液晶セル内に液晶を注入する工程の、２つの工
程を経て注入がなされる。これにより、全体として液晶
セル内に液晶が緩やかに注入され、液晶注入口付近での
配向みだれを解消することができる。

【０００９】上記目的を達成するために請求項２に記載
の発明においては、請求項１に記載の発明において、前
記空の液晶セルの前記シール材により形成された液晶注
入口を除いた部分に少なくとも一箇所の排気口を設け、
前記排気口を通して前記空の液晶セル内の空気を抜きな
がら前記液晶を前記空の液晶セル内に注入するようにし
たものである。

【００１０】この方法によれば、液晶注入口とは別に、
液晶セル内の空気を排気させるための排気口を設けてい
るので、液晶注入口より液晶が注入されると同時に液晶
セル内の空気が排気口を通して排気される。したがっ
て、緩やかで、かつスムーズな液晶注入が可能になる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べ
る実施形態は、本発明の好適な具体例であるから技術的
に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲
は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載
がない限り、これらの実施形態に限られるものではない
ものである。

【００１２】図１は本発明に係る液晶表示パネルの液晶
注入方法の一実施形態を示す工程図で、図２及び図３は
本実施形態で使用する液晶セルの構造を示すものであ
る。なお、図２は空の液晶セルを模式的に示す斜視図、
図３は空の液晶セルを模式的に示す側面図である。ま
ず、図２及び図３における空の液晶セル１１の構造につ
いて説明する。この液晶セル１１は、周縁部にシール材
１２を介在させて電極基板としての薄膜トランジスタ付
ガラス基板１３と同じく電極基板としての透明電極付ガ
ラス基板１４を、間に約６〜２μｍのギャップ（以下、
このギャップを「セルギャップ」と言う）を設けて対向
配置させている。その液晶セル１１は、シール材１２の
一部を残し、この残した一部で薄膜トランジスタ付ガラ
ス基板１３と透明電極付ガラス基板１４との間に、液晶
注入用開口としての液晶注入口１５が形成されており、
この液晶注入口１５を使用して空の液晶セル１１の内部
に液晶１６の注入が可能になっている。

【００１３】次に、図２及び図３に示した空の液晶セル
１１に液晶を封入する作業手順を図１を用いて説明する
と、本実施形態の液晶封入作業手順は次の〜の順で
行われる。なお、図１において図２及び図３と同一符号
を付したものは図２及び図３と同一のものを示してい
る。 まず、真空槽内をほぼ大気圧にし、この大気圧中に液
晶注入口１５を上に向けて空の液晶セル１１を配置す
る。 液晶１６を液晶注入口１５に滴下する（図１（ａ）参
照）。 液晶注入口１５に滴下された液晶１６は、そのままし
ばらく放置しておく。すると、液晶１６が毛細管現象に
より液晶注入口１５から液晶セル１１内に序々に吸い込
まれて行く（図１（ｂ）参照）。 滴下された液晶１６が液晶セル１１内に吸い込まれた
ら、真空槽内を減圧する。そして、この減圧でセルギャ
ップを狭めて液晶セル１１内に残っている気泡を取り除
く。 この減圧雰囲気中に液晶セル１１の液晶注入口１５に
液晶１６をさらに滴下する。 で液晶１６の滴下が済んだら、真空槽内を略大気圧
に戻す。すると、液晶セル１１のセルギャップの幅が減
圧前までの幅に復帰し、この復帰するときにで滴下さ
れた液晶１６が液晶セル１１内に吸い込まれる。すなわ
ち、大気圧に戻されるとき、液晶セル１１の内外との間
には気圧差が作られていて、この気圧差で液晶１６が液
晶セル１１内に吸い込まれることになる。液晶注入口
１５をシール材１２で封止する（図１（ｅ））。これに
より、液晶セル１１が完成する。

【００１４】次に、本実施形態から見出せる効果を以下
に記載する。 （１）大気中にて空の液晶セル１１の液晶注入口１５に
液晶１６を滴下し、この液晶１６を前記液晶セル１１内
に毛細管現象を用いて徐々に注入する工程と、その後、
減圧雰囲気中で液晶セル１１内に残留している気泡を取
り除き、さらに液晶注入口１５に液晶１６を滴下した
後、大気圧に戻し、液晶セル１１内外の気圧差を用いて
液晶セル１１内に液晶１６を注入する工程の、２つの工
程を経て注入がなされ、その後、シール材１２で封止す
るので、液晶セル１１内に液晶１６は緩やかに注入され
る。これにより、液晶注入口１５付近での配向みだれを
解消することができる。 （２）また、注入時間も従来の方法では７〜８時間程か
かっていたのに対して、本発明の場合では約１時間で済
み、大幅な時間の短縮が可能になった。 （３）さらに、液晶セル１１の向き等を上下逆さまに代
えたりする作業が要らなくなるので作業性が向上し、ま
た液晶１６を注入する時間も短縮されるので、インライ
ン化も可能になる。 （４）液晶１６の使用量も従来では液晶皿に、注入され
る液晶量以上の液晶を入れておく必要があった。本発明
の場合では注入される液晶量を滴下すればよく、液晶使
用量の効率が高い。

【００１５】なお、前記実施形態は次のように構成して
具体化することも可能である。すなわち、空の液晶セル
１１に、シール材１２により形成された液晶注入口１５
の他に、少なくとも１箇所の排気口を設け、この排気口
を通して空の液晶セル１１内部の空気を抜きながら液晶
１６を注入するようにすると、液晶１６が液晶セル１１
内に毛細管現象で吸い込まれるときに、よりスムーズに
吸い込ませることができ、注入時間の短縮が可能にな
る。図４乃至図６に、その具体的な実施例を示す。

【００１６】図４及び図５は液晶セル１１の第１の実施
例を示すもので、図４は液晶１６を注入する前の状態で
示す液晶セルの模式図、図５は液晶１６を注入している
途中の状態で示す液晶セル１１の模式図である。図４及
び図５に示す実施例では、液晶注入口１５と反対の液晶
セル下端の左右の角に排気口２０を１つずつ、すなわち
液晶注入口１５の他に２つの排気口２０を設けたもので
ある。この構造では、液晶注入口１５に滴下された液晶
１６が、その液晶注入口１５より内部に吸い込まれる
と、この液晶セル１１の内部に入っていた空気が反対の
排気口２０から排出される。これにより液晶１６を液晶
セル１１内にスムーズに吸い込ませることができる。

【００１７】図６は液晶セル１１の第２の実施例を示す
模式図である。この図６に示す実施例では、液晶セル１
１の上端の左右に分かれて、一方に液晶注入口１５を設
け、他方に排気口２０を設けたものである。この構造で
は、液晶注入口１５に滴下された液晶１６が、その液晶
注入口１５より内部に吸い込まれると、この液晶セル１
１の内部に入っていた空気が排気口２０から排出され
る。これにより、液晶１６を液晶セル１１内にスムーズ
に吸い込ませることができる。

【００１８】

【発明の効果】本発明は、以上のように構成されている
ため、次のような効果を奏する。請求項１に記載の発明
によれば、大気中にて液晶を液晶セル内に毛細管現象を
用いて徐々に注入する工程と、液晶セル内外の気圧差を
用いて液晶セル内に液晶を注入する工程の、２つの工程
を経て注入がなされるので、全体として液晶セル内に液
晶は緩やかに注入され、液晶注入口付近での配向みだれ
を解消することができる。

【００１９】請求項２に記載の発明によれば、請求項１
に記載の発明の効果に加えて、液晶注入口より液晶が注
入されると同時に液晶セル内の空気が排気口を通して排
気されるので、さらに緩やかで、かつスムーズな液晶注
入が可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態として示す液晶封止工程図
である。

【図２】本発明の実施形態で使用する液晶セルの一例を
模式的に示す斜視図である。

【図３】本発明の実施形態で使用する液晶セルの一例を
模式的に示す側面図である。

【図４】別の液晶セルの一実施例を模式的に示す側面図
である。

【図５】別の液晶セルの一実施例を模式的に示す側面図
である。

【図６】更に別の液晶セルの一実施例を模式的に示す斜
視図である。

【図７】従来の液晶封止工程を示す図である。

【図８】従来の液晶封止工程で使用する液晶セルの一例
を模式的に示す斜視図である。

【図９】従来の液晶封止工程で使用する液晶セルの一例
を模式的に示す側面図である。

【符号の説明】

１１…液晶セル、１２…シール材、１３…薄膜トランジ
スタ付ガラス基板、１４…透明電極付ガラス基板、１５
…液晶注入口、１６…液晶、２０…排気口

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透明電極付ガラス基板と薄膜トランジス
   タ付ガラス基板を対向配置し、両基板の周縁部をシール
   材により液晶注入口を残して接合した空の液晶セルの前
   記液晶注入口から液晶を注入し、その後、前記液晶注入
   口が封止される液晶表示パネルの液晶注入方法におい
   て、 大気中にて前記空の液晶セルの液晶注入口に液晶を滴下
   して、この液晶を毛細管現象を用いて前記液晶セル内に
   注入し、 次いで減圧雰囲気中で前記液晶注入口に液晶を滴下した
   後、大気圧に戻し、前記液晶を前記液晶セル内外の気圧
   差を用いて前記液晶セル内にさらに注入する、ことを特
   徴とする液晶表示パネルの液晶注入方法。
2. 【請求項２】 前記空の液晶セルの前記シール材により
   形成された液晶注入口を除いた部分に少なくとも一箇所
   の排気口を設け、前記排気口を通して前記空の液晶セル
   内部の空気を抜きながら前記液晶を前記空の液晶セル内
   に注入することを特徴とする請求項１に記載の液晶表示
   パネルの液晶注入方法。