JPH11179902A - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents
インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置Info
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- JPH11179902A JPH11179902A JP23051798A JP23051798A JPH11179902A JP H11179902 A JPH11179902 A JP H11179902A JP 23051798 A JP23051798 A JP 23051798A JP 23051798 A JP23051798 A JP 23051798A JP H11179902 A JPH11179902 A JP H11179902A
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Abstract
境界近傍で、応力集中によるクラックの発生、疲労破壊
等を防止する。 【解決手段】 ノズル開口に連通する圧力発生室の一部
を構成する振動板50を介して下電極60、圧電体層7
0及び上電極80からなる圧電素子300を備えたイン
クジェット式記録ヘッドにおいて、前記圧電体層70が
前記振動板50を実質的に駆動する領域である圧電体能
動部320の長手方向の少なくとも一方の端部近傍に対
向する領域の前記振動板50が、前記圧電素子300と
は反対側に凸になっている。
Description
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板を介して圧電素子を設け、この圧電素
子の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧して
ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦
振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、た
わみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの
2種類が実用化されている。
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばか
りでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能
になるという利点がある。
面全体に設けたままで少なくとも上電極のみを各圧力発
生室毎に設けることにより、各圧力発生室に対応する圧
電素子を駆動することができるが、単位駆動電圧当たり
の変位量および圧力発生室に対向する部分とその外側と
を跨ぐ部分で圧電体層にかかる応力の問題から、圧電体
層及び上電極からなる圧電体能動部を、圧力発生室に対
向する領域内に設けるか、少なくとも一端部以外は圧力
発生室に対向する領域外に出ないように形成するのが望
ましい。
層上に上電極パターンを形成した圧電体能動部を駆動す
ると、特に圧電体能動部の端部にクラックが発生しやす
く、圧電体能動部に致命的なダメージを引き起こす虞が
ある。
壁上まで延設すると、圧力発生室内と周壁との境界近傍
に対向する部分からクラックが発生するという問題があ
る。
技術で形成した場合に生じ易い。これは、成膜技術で形
成した圧電材料層は非常に薄いため、圧電素子を貼付し
たものに比較して剛性が低いためである。
動部端部及び圧力発生室と周壁との境界近傍で、応力集
中によるクラックの発生、疲労破壊等を防止することが
できるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット
式記録装置を提供することを課題とする。
明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室の
一部を構成する振動板を介して下電極、圧電体層及び上
電極からなる圧電素子を備えたインクジェット式記録ヘ
ッドにおいて、前記圧電素子の圧電体能動部の長手方向
の少なくとも一方の端部近傍に対向する領域の前記振動
板が、前記圧電素子非形成面側に凸になることを特徴と
するインクジェット式記録ヘッドにある。
動部の端部が振動板から引っ張り応力を受けることがな
く、応力集中が低減される。
て、前記圧電体能動部の端部近傍に対向する領域の前記
振動板は、前記圧電素子の駆動時に前記圧電素子非形成
面側に凸になり、非駆動時には前記圧電素子形成面側に
凸になっていることを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドにある。
の圧電体能動部への応力集中が回避される。
て、前記圧電体能動部の端部近傍に対向する領域の前記
振動板の前記圧電体層側の表面近傍には、前記圧電素子
の駆動時に圧縮方向の応力がかかることを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッドにある。
動部の端部近傍に対向する振動板が圧縮され、圧電体能
動部の端部には引張り応力がかからない。
の態様において、前記圧電体能動部の端部と、その外側
の前記圧力発生室の周壁との間のクリアランスが、前記
圧力発生室の幅の0.3〜5倍の範囲に設定されている
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
部を周壁から所定の距離に配置することにより、当該端
部が駆動時に引張り応力を受けないようになる。
の態様において、前記圧電体能動部の端部とは、前記圧
力発生室に対向する領域内に設けられた前記圧電体層の
端部であり、且つ当該圧電体層の端部には前記下電極及
び前記上電極が有効に存在することを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
する領域内にパターニングされた圧電体層の端部の破壊
及び剥がれが防止される。
て、前記圧電体能動部の端部は、前記圧電体層及び前記
上電極が前記圧力発生室に対向する領域内にパターニン
グされた端部であることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドにある。
極の端部の破壊及び剥がれが防止される。
の態様において、前記圧電体能動部の長手方向の少なく
とも一端部の外側には、実質的に駆動されない圧電体非
能動部が連続的に設けられていることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。
の境界部分に対向する領域近傍での破壊が抑制され、ま
た、圧電体非能動部を介して下電極を圧力発生室へ導く
ことができる。
の態様において、前記圧電体能動部の端部の長手方向の
少なくとも一端部の外側には、前記圧電体層と前記下電
極及び前記上電極とを有するが少なくとも当該圧電体層
の幅が前記圧電体能動部の幅より幅狭で前記振動板を実
質的に駆動しない圧電体非能動部が連続的に設けられて
いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
の境界部分に対向する領域近傍での破壊が防止され、ま
た圧電体非能動部を介して電圧の印加を行うことができ
る。
において、前記圧電体非能動部は、前記圧力発生室の周
壁まで延設されていることを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドにある。
印加は、圧力発生室外に引き出された圧電体非能動部を
介して行うことができる。
かの態様において、前記圧電体能動部の上面には絶縁体
層が形成され、前記上電極とリード電極との接続部であ
るコンタクト部が当該絶縁体層に形成されたコンタクト
ホール内に形成されていることを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドにある。
の電圧の印加は絶縁体層に形成されたコンタクトホール
内のコンタクト部を介して行われる。
おいて、前記上電極とリード電極との接続部であるコン
タクト部が前記圧力発生室の周壁上の前記圧電体非能動
部に連続する領域に形成されていることを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッドにある。
の印加は、圧力発生室外に設けられたコンタクト部を介
して行われる。
れかの態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶
基板に異方性エッチングにより形成され、前記振動板及
び前記圧電素子の各層が成膜及びリソグラフィ法により
形成されたものであることを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドにある。
開口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ
比較的容易に製造することができる。
れかのインクジェット式記録ヘッドを具備することを特
徴とするインクジェット式記録装置にある。
を向上したインクジェット式記録装置を実現することが
できる。
て詳細に説明する。
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図
であり、図2は、平面図およびその1つの圧力発生室の
長手方向における断面構造を示す図である。
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々
に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面
と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且
つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(1
11)面とが出現し、(110)面のエッチングレート
と比較して(111)面のエッチングレートが約1/1
80であるという性質を利用して行われるものである。
かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(11
1)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成され
る平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行う
ことができ、圧力発生室12を高密度に配列することが
できる。
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。なお、弾性膜50は、シ
リコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵さ
れる量がきわめて小さい。
各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅
く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリ
コン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハー
フエッチング)することにより形成されている。なお、
ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行わ
れる。
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要
がある。
ンク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室1
2の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク
供給連通口21を介して連通されており、インクはこの
インク供給連通口21を介して共通インク室31から供
給され、各圧力発生室12に分配される。
対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例
えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下
で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラ
スセラミックスからなる。なお、インク供給連通口21
は、図3(a),(b)に示すように、各圧力発生室1
2のインク供給側端部の近傍を横断する一のスリット孔
21Aでも、あるいは複数のスリット孔21Bであって
もよい。封止板20は、一方の面で流路形成基板10の
一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力
から保護する補強板の役目も果たす。また、封止板20
は、他面で共通インク室31の一壁面を構成する。
室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、イ
ンク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を
打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共
通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしてい
る。
なり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成する
ものである。また、インク室側板40には、他方の面の
一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成するこ
とにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのイ
ンク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されて
いる。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生す
るノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するため
のもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を
経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。
本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給
手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側
板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mm
の薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄
肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の
厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子30
0を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極
膜60、圧電体膜70、及び上電極膜80を含む部分を
いう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極
を共通電極とし、他方の電極及び圧電体膜70を各圧力
発生室12毎にパターニングして構成する。そして、こ
こではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体
膜70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電
歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施
形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極と
し、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としてい
るが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障は
ない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体
能動部が形成されていることになる。また、ここで、圧
電素子300と該圧電素子300の駆動により変位を生
じさせる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称す
る。なお、上述した例では、弾性膜50及び下電極膜6
0が振動板として作用するが、下電極膜が弾性膜を兼ね
るようにしてもよい。
なくとも周縁、及び圧電体膜70の側面を覆うように電
気絶縁性を備えた絶縁体層90が形成されている。絶縁
体層90は、成膜法による形成やまたエッチングによる
整形が可能な材料、例えば酸化シリコン、窒化シリコ
ン、有機材料、好ましくは剛性が低く、且つ電気絶縁性
に優れた感光性ポリイミドで形成するのが好ましい。
形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセス
を図4を参照しながら説明する。
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
リングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料
としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリン
グ法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、
成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜10
00℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるか
らである。すなわち、下電極膜60の材料は、このよう
な高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければなら
ず、殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合に
は、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望
ましく、これらの理由からPtが好適である。
70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッタ
リング法を用いることもできるが、本実施形態では、金
属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾
燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化
物からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法
を用いている。圧電体膜70の材料としては、チタン酸
ジルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記
録ヘッドに使用する場合には好適である。
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、Al、Au、Ni、Pt等の多くの金属
や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、P
tをスパッタリングにより成膜している。
圧電体膜70及び上電極膜80をパターニングする。
60、圧電体膜70及び上電極膜80を一緒にエッチン
グして下電極膜60の全体パターンをパターニングす
る。次いで、図5(b)に示すように、圧電体膜70及
び上電極膜80のみをエッチングして圧電体能動部32
0のパターニングを行う。次に、図5(c)に示すよう
に、各圧力発生室12(図5では圧力発生室12は形成
前であるが、破線で示す)の幅方向両側に対向した領域
である圧電体能動部320の両側の振動板の腕に相当す
る部分の下電極膜60を除去することにより、下電極膜
除去部350を形成する。このように下電極膜除去部3
50を設けることにより、圧電体能動部320への電圧
印加による変位量の向上を図るものである。
0を完全に除去せずに、厚さを薄くしたものでもよい。
また、圧電体能動部320の腕部に相当する部分に下電
極除去部350を形成しているが、これに限定されず、
例えば、圧電体能動部320の両端部よりも長手方向外
側まで形成するようにしてもよいし、圧力発生室12の
周縁部ほぼ全体に亘って形成してもよい。勿論、この下
電極除去部350は、必ずしも設ける必要はない。
ングした後には、好ましくは、各上電極膜80の上面の
少なくとも周縁、及び圧電体膜70および下電極膜60
の側面を覆うように電気絶縁性を備えた絶縁体層90を
形成する(図1参照)。
20の一端部に対応する部分の上面を覆う部分の一部に
は後述するリード電極100と接続するために上電極膜
80の一部を露出させるコンタクトホール90aが形成
されている。そして、このコンタクトホール90aを介
して各上電極膜80に一端が接続し、また他端が接続端
子部に延びるリード電極100が形成されている。
プロセスを図6に示す。
80の周縁部、圧電体膜70および下電極膜60の側面
を覆うように絶縁体層90を形成する。この絶縁体層9
0の好適な材料は上述した通りであるが、本実施形態で
はネガ型の感光性ポリイミドを用いている。
90をパターニングすることにより、各圧力発生室12
のインク供給側の端部近傍に対応する部分にコンタクト
ホール90aを形成する。このコンタクトホール90a
は、後述するリード電極100と上電極膜80との接続
をするためのものである。なお、コンタクトホール90
aは、圧力発生室12の圧電体能動部320に対応する
部分に設ければよく、例えば、中央部やノズル側端部に
設けてもよい。
全面に成膜した後、パターニングすることにより、リー
ド電極100を形成する。
して膜形成を行った後、図6(c)に示すように、前述
したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エ
ッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。
ッドでは、上述の一連の膜形成及び異方性エッチング
で、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プ
ロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの
流路形成基板10毎に分割する。また、分割した流路形
成基板10を、封止板20、共通インク室形成基板3
0、及びインク室側板40と順次接着して一体化し、イ
ンクジェット式記録ヘッドとする。
ヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したイ
ンク導入口42からインクを取り込み、共通インク室3
1からノズル開口11に至るまで内部をインクで満たし
た後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従
い、リード電極100を介して下電極膜60と上電極膜
80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60
及び圧電体膜70をたわみ変形させることにより、圧力
発生室12内の圧力が高まりノズル開口11からインク
滴が吐出する。
電体能動部320との位置関係及び圧電体能動部320
を駆動させた際の圧力発生室12端部付近の拡大断面を
図7に示す。
よび上電極膜80からなる圧電体能動部320は、圧力
発生室12に対向する領域内に帯状に設けられている。
また、弾性膜50及び下電極膜60は、圧電体能動部3
20に電圧を印加による変形に伴い、図7(b)に示す
ように、圧電体能動部320から見て、圧力発生室12
の周壁近傍では上に凸状に変形し、圧力発生室12の大
部分では下に凸状(凹状)に変形する。そして、圧電体
能動部320の端部Eは、このように変形した際に、弾
性膜50及び下電極膜60が凹状に変形している範囲、
すなわち、曲がりの曲率中心が圧電体膜70形成側にあ
る範囲Sに位置する。この範囲Sは、弾性膜50が圧電
体能動部320が設けられている側とは反対方向に凸に
変形する範囲であり、圧電体能動部が弾性膜の下側に設
けられている場合には、上に凸に変形した領域に圧電体
能動部の端部が存在するようにすればよい。
能動部320を駆動した際に、圧電体能動部320の端
部に引張り応力が発生しなくなり、また圧力発生室12
の周壁近傍での応力集中が緩和されるため、これらの部
分での剥がれ、クラックの発生等を抑制することができ
る。なお、上述した範囲Sの条件は、少なくとも駆動時
に満たせばよく、非駆動時には反対方向に変形していて
も上述した効果を奏する。
のパターニング形状は、特に限定されず、例えば、図8
に示すように、圧電体能動部320Aの端部形状は圧力
発生室12と略同一形状であってもよい。この場合、圧
電体能動部320Aの端部は、圧力発生室12の端部に
向かって突出している隅部E1であり、この隅部E1が
上述の範囲Sに位置するように形成される。さらに、例
えば、図9に示すように、圧電体能動部320Bの端部
形状は略円弧形状としてもよく、この場合、圧電体能動
部320Bは、円弧の先端部E2が上述の範囲Sに位置
するように形成する。
発生室12の端部近傍でのクラック等の発生をさらに効
果的に抑えるために、本実施形態の構造に加え、例え
ば、図10〜図12に示すような構造を採るようにして
もよい。
動部320Cの長手方向端部の外側に、上電極膜80が
除去されて圧電体膜70のみが形成された圧電体非能動
部330を形成して、圧電体能動部320Cの長手方向
端部での振動を抑制するようにしてもよい。この圧電体
非能動部330は圧電体能動部320Cへの電圧印加に
よっても駆動されることがないため、圧電体能動部32
0Cの端部近傍での振動を抑制し、この部分での剥が
れ、クラックの発生等を効果的に抑えることができる。
この場合、圧電体能動部320Cの端部は、圧電体非能
動部330との境界部E3であり、この境界部E3が上
述の範囲Sに位置するように形成される。なお、圧電体
非能動部330は、両端部外側に設けてもよいが、例え
ば、リード電極100とコンタクト部となるコンタクト
ホール90aに近い端部のみに設けてもよい。
と同様に、圧電体能動部320Dの長手方向端部の外側
に、圧電体非能動部330Aを圧力発生室12の端部を
越えて周壁上まで延設、すなわち、圧電体非能動部33
0Aが圧力発生室12に対向する領域から周壁に対向す
る領域まで両者の境界を跨ぐように形成するようにして
もよい。この場合も、上述と同様に、圧電体能動部32
0Dは、圧電体非能動部330Aとの境界部E4が上述
の範囲Sに位置するように形成される。このような構造
とすることにより、圧電体能動部320Dの端部及び圧
力発生室12の周壁近傍において、電圧印加による振動
が実質的になくなり、これらの部分での剥がれ及びクラ
ックの発生等を効果的に抑えることができる。さらに、
圧力発生室12とその周壁との境界部分近傍では、一般
的には繰り返し変位によりに圧電体膜70等に割れが発
生しやすいが、この部分の圧電体膜70が圧電体非能動
部330Aであるので、この部分での割れの発生が抑え
られる。
能動部320Eを圧力発生室12の端部を越えて周壁上
まで延設して、圧力発生室12と周壁とを跨ぐ領域に、
圧電体能動部320Eと同一の層構造を有するが幅狭で
あり実質的に駆動部ではない圧電体非能動部330Bを
設けてもよい。この場合、実質的な駆動部は圧電体能動
部320Eであるので、圧電体能動部320Eと圧電体
非能動部330Bとの境界部E5が上述の範囲Sに位置
するように形成される。このような構造にすることによ
り、電圧を印加した際に、圧電体能動部320Eの端部
及び圧力発生室12の周壁近傍での剥がれ、クラックの
発生等が効果的に抑えられる。なお、この構造では、上
述したリード電極とのコンタクトを圧力発生室外で行う
ことができる。 (実施形態2)実施形態2に係るインクジェット式記録
ヘッドの要部平面を図13に示す。本実施形態の基本的
構成は実施形態1と同一であるが、圧電体能動部320
の長手方向の端部の短辺320a、320bと、これら
に対向する圧力発生室12の周壁の短辺12a、12b
との間のクリアランスΔyを所定の範囲になるように設
定したものである。
て決定される。すなわち、このクリアランスΔyを一定
値より大きくすると、圧電体能動部320の短辺320
a、320b近傍に対向する領域の弾性膜50が、上述
した実施形態1と同様に下に凸に変位しており、応力集
中による弾性膜50及び圧電体能動部320の破壊が防
止される。一方、クリアランスΔyを一定値を越えて大
きくすると、弾性膜50の剛性が低くなり、製造工程で
弾性膜50の圧電体能動部320が存在しない領域に皺
が生じてインク滴の吐出が不安定になる上、圧電体能動
部320の面積が小さくなるため、駆動時の性能が低下
する。また、クリアランスΔyは、圧力発生室12の幅
Xに依存する。
リアランスΔyを変化させて、例えば、駆動周波数1
4.4kHzの駆動信号を1時間印加して、クリアラン
スΔyと、圧電能動部320の破壊の有無との関係を調
査した結果を表1に示す。下記表1に示すように、クリ
アランスΔyが圧力発生室12の幅Xの0.3倍以上で
あれば破壊が生じないことが判明した。
の端部に対向する領域の弾性膜50は、下に凸に変形し
ていることが確認された。従って、実施形態1に詳細に
示したように、圧電体能動部320の端部の位置を弾性
膜50が下に凸に変形している領域存在するようにする
ためには、例えば、上述したクリアランスΔyを圧力発
生室12の幅Xの0.3倍以上にすればよいことが確認
された。
範囲で変化させて、クリアランスΔyと、流路形成基板
10をエッチングして圧力発生室12を形成した後の弾
性膜50における皺の発生率との関係を調査した結果を
表2に示す。下記表2に示すように、クリアランスΔy
が圧力発生室12の幅Xの5倍以下の場合には皺は発生
しなかった。
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
ンク室形成板30をガラスセラミックス製としてもよ
く、さらには、薄肉膜41を別部材としてガラスセラミ
ックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由であ
る。
を流路形成基板10の端面に形成しているが、面に垂直
な方向に突出するノズル開口を形成してもよい。
を図14、その流路の断面を図15にぞれぞれ示す。こ
の実施形態では、ノズル開口11が圧電素子とは反対の
ノズル基板120に穿設され、これらノズル開口11と
圧力発生室12とを連通するノズル連通口22が、封止
板20,共通インク室形成板30及び薄肉板41A及び
インク室側板40Aを貫通するように配されている。
Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板
40に開口40bを形成した以外は、基本的に上述した
実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付して
重複する説明は省略する。
態1及び2と同様に、電圧印加による振動板の変形の
際、曲率中心が圧電体膜側にある範囲に圧電体能動部の
端部が位置するように形成することにより、圧電体能動
部の端部及び圧力発生室の周壁近傍での応力集中を低減
させ、割れ等の発生を防止することができる。
に形成したタイプのインクジェット式記録ヘッドにも同
様に応用できる。
びリソグラフィプロセスを応用することにより製造でき
る薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、
勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積
層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシ
ートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を
形成するもの、又は結晶成長により圧電体膜を形成する
もの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本
発明を採用することができる。
的には上述したコンタクトホール90aを介してリード
電極と接続を図るが、リード電極のパターン形状は特に
限定されない。
縁体層を設けた例を説明したが、これに限定されず、例
えば、絶縁体層を設けないで、各上電極に異方性導電膜
を熱溶着し、この異方性導電膜をリード電極と接続した
り、その他、ワイヤボンディング等の各種ボンディング
技術を用いて接続したりする構成としてもよい。
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
内に形成したタイプのインクジェット式記録ヘッドにも
同様に応用できる。
びリソグラフィプロセスを応用することにより製造でき
る薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、
勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積
層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシ
ートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を
形成するもの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘ
ッドに本発明を採用することができる。
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図16
は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図
である。
録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、
インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが
着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び
1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付け
られたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に
沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ロ
ーラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シ
ートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるように
なっている。
加による振動板の変形の際に、圧電体能動部の端部に対
応する部分を含んだ領域が圧電素子とは反対方向に凸に
変形するように形成することにより、圧電体能動部の端
部及び圧力発生室の周壁近傍での応力集中を低減させる
ことができ、割れ等の発生を防止することができる。さ
らに、応力の低減により、圧電体能動部に印加する駆動
電圧を増加することができる。
録ヘッドの分解斜視図である。
録ヘッドを示す図であり、図1の平面図及び断面図であ
る。
図である。
図である。
図である。
録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
録ヘッドの変形例の要部を示す平面図である。
録ヘッドの変形例の要部を示す平面図である。
記録ヘッドの変形例の要部を示す平面図である。
記録ヘッドの変形例の要部を示す平面図である。
記録ヘッドの変形例の要部を示す平面図である。
記録ヘッドの要部を示す平面図である。
式記録ヘッドの分解斜視図である。
式記録ヘッドの断面図である。
記録装置の概略図である。
Claims (13)
- 【請求項1】 ノズル開口に連通する圧力発生室の一部
を構成する振動板を介して下電極、圧電体層及び上電極
からなる圧電素子を備えたインクジェット式記録ヘッド
において、 前記圧電素子の圧電体能動部の長手方向の少なくとも一
方の端部近傍に対向する領域の前記振動板が、前記圧電
素子非形成面側に凸になっていることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッド。 - 【請求項2】 請求項1において、前記圧電体能動部の
端部近傍に対向する領域の前記振動板は、前記圧電素子
の駆動時に前記圧電素子非形成面側に凸になり、非駆動
時には前記圧電素子形成面側に凸になることを特徴とす
るインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項3】 請求項2において、前記圧電体能動部の
端部近傍に対向する領域の前記振動板の前記圧電体層側
の表面近傍には、前記圧電素子の駆動時に圧縮方向の応
力がかかることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ド。 - 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記圧
電体能動部の端部と、その外側の前記圧力発生室の周壁
との間のクリアランスが、前記圧力発生室の幅の0.3
〜5倍の範囲に設定されていることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッド。 - 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記圧
電体能動部の端部とは、前記圧力発生室に対向する領域
内に設けられた前記圧電体層の端部であり、且つ当該圧
電体層の端部には前記下電極及び前記上電極が有効に存
在することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項6】 請求項5において、前記圧電体能動部の
端部は、前記圧電体層及び前記上電極が前記圧力発生室
に対向する領域内にパターニングされた端部であること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項7】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記圧
電体能動部の長手方向の少なくとも一端部の外側には、
実質的に駆動されない圧電体非能動部が連続的に設けら
れていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ド。 - 【請求項8】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記圧
電体能動部の端部の長手方向の少なくとも一端部の外側
には、前記圧電体層と前記下電極及び前記上電極とを有
するが少なくとも当該圧電体層の幅が前記圧電体能動部
の幅より幅狭で前記振動板を実質的に駆動しない圧電体
非能動部が連続的に設けられていることを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項9】 請求項7又は8において、前記圧電体非
能動部は、前記圧力発生室の周壁まで延設されているこ
とを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項10】 請求項1〜9の何れかにおいて、前記
圧電体能動部の上面には絶縁体層が形成され、前記上電
極とリード電極との接続部であるコンタクト部が当該絶
縁体層に形成されたコンタクトホール内に形成されてい
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項11】 請求項10において、前記上電極とリ
ード電極との接続部であるコンタクト部が前記圧力発生
室の周壁上の前記圧電体非能動部に連続する領域に形成
されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ド。 - 【請求項12】 請求項1〜11の何れかにおいて、前
記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチング
により形成され、前記振動板及び前記圧電素子の各層が
成膜及びリソグラフィ法により形成されたものであるこ
とを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項13】 請求項1〜12の何れかのインクジェ
ット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジ
ェット式記録装置。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP23051798A JP4021065B2 (ja) | 1997-10-14 | 1998-08-17 | インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 |
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JP2009190398A (ja) * | 2008-01-17 | 2009-08-27 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 |
JP2010208137A (ja) * | 2009-03-10 | 2010-09-24 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置 |
JP2012016900A (ja) * | 2010-07-08 | 2012-01-26 | Seiko Epson Corp | 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 |
US12076992B2 (en) | 2021-11-09 | 2024-09-03 | Ricoh Company, Ltd. | Liquid discharge head, liquid discharge device, and liquid discharge apparatus |
-
1998
- 1998-08-17 JP JP23051798A patent/JP4021065B2/ja not_active Expired - Fee Related
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