JPH11175958A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH11175958A
JPH11175958A JP35618397A JP35618397A JPH11175958A JP H11175958 A JPH11175958 A JP H11175958A JP 35618397 A JP35618397 A JP 35618397A JP 35618397 A JP35618397 A JP 35618397A JP H11175958 A JPH11175958 A JP H11175958A
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JP
Japan
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magnetic
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back coat
binder
coat layer
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Withdrawn
Application number
JP35618397A
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English (en)
Inventor
Tatsuro Ishikawa
達郎 石川
Satoru Hayakawa
悟 早川
Yuichiro Murayama
裕一郎 村山
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 改善されたバックコート層により、薄型化さ
れた磁気テープであってもテープの変形が生じにくく、
走行耐久性や電磁変換特性が改良された磁気テープとし
て有利に用いることができる磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 支持体の一方の面に磁性層を、他方の面
に平均粒子サイズの異なる二種類のカーボンブラックと
結合剤とを含むバックコート層をそれぞれ有し、該バッ
クコート層の結合剤が、樹脂中に、環状構造を有する短
鎖ジオールを17〜40重量%、エーテル基を含む長鎖
ジオールを10〜50重量%、そして該長鎖ジオール単
位中のエーテル結合を1.0〜6.0ミリモル/g含
み、かつガラス転移温度が80〜155℃の範囲にあ
る、ジオールと有機ジイソシアネートとを主原料として
用いて得たポリウレタン樹脂を含む磁気記録媒体。磁性
層と支持体との間に更に非磁性層が設けられた態様の磁
気記録媒体も開示されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に関
し、特に、改良されたバックコート層を持つ磁気テープ
として有利に利用できる磁気記録媒体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、録音用磁気テープ、ビデオ用磁気
テープ、あるいはコンピュータデータを記録するための
磁気テープ(バックアプテープ)などの磁気記録媒体用
の磁気記録再生システムは、高い密度で記録することが
でき、また記録再生を高速度で処理することができるよ
うに改良が進んでいる。一方、磁気テープ自体は、より
大きな記録容量を達成するために益々薄型化する傾向に
ある。従って、このような薄型化された磁気テープであ
っても従来に増して高い走行耐久性が必要とされる。ま
た、高密度記録用として開発されたシステムにおいて
は、僅かなテープの変形が安定な走行性を妨げる原因に
なったり、また磁気ヘッドとの接触状態(所謂ヘッド当
り)に影響を与え、出力低下の発生の原因になるなどの
問題も生じ易くなる。このため、上記のような薄型化さ
れた磁気テープであってもできる限り変形が少なく、高
い品質で製造されていることが望まれている。
【0003】一般に磁気テープは、合成樹脂などの可撓
性の支持体上に磁性層が設けられた構成である。また、
より高い記録密度を達成させるために、支持体上に非磁
性層を設け、更にこの上に薄い磁性層を設けた構成の磁
気テープも提案されている。そして一般に良好な感度を
維持させるためには磁性層の表面は平滑であることが好
ましいが、この平滑化による巻き乱れや走行性の悪化を
防止するために、支持体の磁性層とは反対側の面にバッ
クコート層が設けられている。支持体の一方の面に磁性
層を有し、そして他方の面にバックコート層が設けられ
た構成の磁気テープは、例えば、特開平5−21714
6号公報や同6−215350号公報に開示されてい
る。また、支持体の一方の面に非磁性層及び薄い磁性層
が順に設けられ、そして該支持体の他方の面にバックコ
ート層が設けられた構成の磁気テープは、例えば、特開
平5−182178号公報に開示されている。
【0004】特開平9−115134号公報には、薄型
化された磁気テープに拘らず、高い走行耐久性が付与さ
れたバックコート層に特徴を有するコンピュータデータ
記録用の磁気テープが開示されている。このバックコー
ト層は、二種類の異なる粒子サイズを持つカーボンブラ
ックと、特定の粒子サイズの炭酸カルシウム及び特定の
粒子サイズの5〜9のモース硬度を持つ硬質無機粉末と
が結合剤中に分散されてなるものである。そして上記公
報には、磁気テープのバックコート層の結合剤に、一般
に機械的な強度が強いとされるニトロセルロース(N
C)とポリウレタン樹脂が約9:1の重量比で使用され
た例が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、高密度記
録用の磁気記録再生システムに適した磁気テープなどの
磁気記録媒体を求めて検討を行なった。その検討による
と、バックコート層をニトロセルロースのようなガラス
転移温度(Tg)の高い樹脂を主体として形成すること
は上記のようなシステムに用いる磁気テープの性能上必
ずしも有利とはいえないことが判明した。即ち、一般に
磁気テープは各製造工程においてテンションの影響を受
け、磁性層やバックコート層にはひずみが生じる。そし
てニトロセルロースのような硬い樹脂を含むバックコー
ト層には残留した内部応力が蓄積され易く、この蓄積さ
れた内部応力によって、支持体や磁性層が変形を受け、
テープの幅方向のカール(カッピング)や長手方向のカ
ール(コイリング)が生じ易くなることがわかった。こ
のようなテープの変形は、薄型化された磁気テープにお
いて顕著に発生し、特に問題となることがわかった。例
えば、カッピングが生じると、ヘッド当りが不良とな
り、出力低下が発生したり、あるいは走行時にテープの
エッジが削られるなどの損傷が発生し易くなる。またコ
イリングが生じると、磁気テープの製造工程において、
テープをスリット用ハブに巻きつける操作が困難になる
などの問題が生じる。またTgが高いために、バックコ
ート層自体が硬く、脆く、支持体との充分な密着力が得
られにくくなって走行中にバックコート層の一部がテー
プエッジから剥れたり、脱落するなどの問題が生じ、走
行性を悪化させる原因になる。
【0006】上記のような問題を解決するために、ニト
ロセルロースの使用量を低減してバックコート層の結合
剤のTgを低下させることも考えられるが、このように
しても満足した走行耐久性は得られない。また、特開平
3−295019号公報には、ガラス転移温度が比較的
低いポリウレタン樹脂を主成分とした結合剤を使用した
バックコート層を持つ磁気テープが提案されているが、
この場合でもバックコート層には充分な走行耐久性を得
るまでの硬さが付与されないためか、満足した結果は得
られない。
【0007】本発明の目的は、高密度記録用の磁気記録
再生システムに適した磁気記録媒体を提供することであ
る。特に本発明は、改善されたバックコート層により、
薄型化された磁気テープであってもカールなどのテープ
の変形が生じにくく、主に走行耐久性や電磁変換特性が
改良された磁気テープとして有利に用いることができる
磁気記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、バックコー
ト層の結合剤に着目して更に研究を重ねた結果、前述し
た特定の組成からなり、かつ特定の範囲のTgを持つポ
リウレタン樹脂を用いることにより、バックコート層に
適度な硬さとその層の表面に高い平滑性が付与されるこ
とを見出した。即ち、本発明に係るポリウレタン樹脂
は、Tgが80〜155℃と比較的高い範囲にあり、従
って性能上必要な走行耐久性を達成するために充分な硬
さを有している。また原料となるジオールに由来するエ
ーテル基の量を当該ポリウレタン樹脂を基準として特定
の範囲に制御しているため分散性に優れ、従って平滑性
の高い表面層の形成が可能である。このように、特定の
ポリウレタン樹脂を用いたバックコート層を有する本発
明に係る磁気テープは、薄型化されているのにも拘らず
カールなどのテープの変形が生じにくく、従って高い走
行耐久性を示し、かつ良好な電磁変換特性を示す。
【0009】本発明は、支持体の一方の面に、強磁性粉
末及び結合剤を含む磁性層を有し、そして該支持体の他
方の面に平均粒子サイズが10〜20mμのカーボンブ
ラック及び平均粒子サイズが230〜300mμのカー
ボンブラックと結合剤とを含むバックコート層を有する
磁気記録媒体において、該バックコート層の結合剤が、
樹脂中に、環状構造を有する短鎖ジオール成分を17〜
40重量%、エーテル基を含む長鎖ジオール成分を10
〜50重量%、及び該長鎖ジオール単位中のエーテル結
合を1.0〜6.0ミリモル/g含み、かつガラス転移
温度が80〜155℃の範囲にある、ジオールと有機ジ
イソシアネートとを主原料として用いて得たポリウレタ
ン樹脂を含むことを特徴とする磁気記録媒体(以下、第
一の態様の磁気テープ)にある。
【0010】また、本発明は、支持体の一方の面に、非
磁性粉末及び結合剤を含む実質的に非磁性の非磁性層及
び強磁性粉末及び結合剤を含む磁性層をこの順に有し、
そして該支持体の他方の面に平均粒子サイズが10〜2
0mμのカーボンブラック及び平均粒子サイズが230
〜300mμのカーボンブラックと結合剤とを含むバッ
クコート層を有する磁気記録媒体において、該バックコ
ート層の結合剤が、樹脂中に、環状構造を有する短鎖ジ
オール成分を17〜40重量%、エーテル基を含む長鎖
ジオール成分を10〜50重量%、及び該長鎖ジオール
単位中のエーテル結合を1.0〜6.0ミリモル/g含
み、かつガラス転移温度が80〜155℃の範囲にあ
る、ジオールと有機ジイソシアネートとを主原料として
用いて得たポリウレタン樹脂を含むことを特徴とする磁
気記録媒体(以下、第二の態様の磁気テープ)にもあ
る。
【0011】本発明の磁気記録媒体は、以下の態様であ
ることが好ましい。 (1)バックコート層の結合剤に、本発明に係る前記の
ポリウレタン樹脂が80重量%以上含まれている。 (2)本発明に係るポリウレタン樹脂が、−SO3
1 、−OSO32 、−COOM3 、−PO34
5 、−OPO367 、−NR12 、および−N+
345 COO- (M1 、M2 、M3 、M4 、M
5 、M6 及びM7 は、各々独立に、水素原子、アルカリ
金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアンモニウ
ムイオンを表し、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は各
々独立に炭素数1〜12のアルキル基を表す)からなる
群より選ばれる少なくとも一種の極性基を有している。 (3)バックコート層が、更にモース硬度3〜4.5の
軟質無機粉末とモース硬度5〜9の硬質無機粉末とを含
んでいる。 (4)磁気記録媒体の全体の厚みが、5〜9μm(更に
好ましくは、6〜9μm)の範囲にある。 (5)モース硬度3〜4.5の軟質無機粉末が、30〜
50mμの平均粒子サイズを有する。 (6)モース硬度5〜9の硬質無機粉末が、80〜25
0mμの平均粒子サイズを有する。 (7)モース硬度3〜4.5の軟質無機粉末が、炭酸カ
ルシウムである。 (8)モース硬度5〜9の硬質無機粉末が、α−酸化鉄
又はα−アルミナである。 (9)バックコート層の厚さが、0.1〜1.5μm
(更に好ましくは、0.2〜1.2μm、特に0.3〜
1.0μm)の範囲にある。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体は、磁気テ
ープとして利用することが有利であるため、以下の説明
では磁気テープ(以下、本発明の磁気テープと称する)
を例に取って説明する。本発明の磁気テープには、以下
の二つの態様が含まれる。第一の態様は、長尺状支持
体、その一方の側に設けられた、強磁性粉末及び結合剤
を含む磁性層、そして該支持体の他方の側に設けられた
バックコート層から構成されてなる磁気テープである。
第二の態様は、長尺状支持体の一方の側に、非磁性粉末
及び結合剤を含む実質的に非磁性である非磁性層、及び
強磁性粉末及び結合剤を含む磁性層をこの順に有し、そ
して該支持体の他方の側にバックコート層を有する構成
の磁気テープである。
【0013】本発明の磁気テープは、上記のいずれの態
様においてもバックコート層の結合剤として特定の組成
からなり、かつ特定の範囲のTgを持つポリウレタン樹
脂を使用したことを特徴とするものである。まず、第一
の態様の磁気テープについて説明する。第一の態様の磁
気テープの磁性層は、その厚みが、1.0〜3.0μm
(更に好ましくは、1.2〜2.5μm、特に、1.5
〜2.5μm)の範囲にあることが好ましい。またバッ
クコート層は、その厚みが、0.1〜1.5μm(更に
好ましくは、0.2〜1.2μm、特に0.3〜1.0
μm)の範囲にあることが好ましい。第一の態様の磁気
テープの全体の厚みは、5.0〜9.0μm(更に好ま
しくは、6.0〜9μm)の範囲にあることが好まし
い。
【0014】以下に、支持体、本発明に係るポリウレタ
ン樹脂を含むバックコート層、及び磁性層ついて順に詳
述する。支持体としては、従来から磁気テープの支持体
材料として用いられているものを使用することができ、
特に非磁性のものが好ましい。これらの例としては、ポ
リエステル類(例、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチ
レンテレフタレートとポリエチレンナフタレートとの混
合物、エチレンテレフタレート成分とエチレンナフタレ
ート成分を含む重合物)、ポリオレフィン類(例、ポリ
プロピレン)、セルロース誘導体類(例、セルロースジ
アセテート、セルローストリアセテート)、ポリカーボ
ネート、ポリアミド(中でも芳香族ポリアミド、アラミ
ド)、ポリイミド(中でも全芳香族ポリイミド)などの
合成樹脂フィルムを挙げることができる。これらの中で
は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチ
レンナフタレート(PEN)、及びポリアミド(芳香族
ポリアミド、アラミド)が好ましい。中でもポリアミ
ド、あるいはポリイミドは、高い剛性を有するため、比
較的薄い支持体材料として使用することができる。従っ
て、磁気テープの全体の厚みを薄くする場合に有利であ
る。支持体の厚みは、特に制限はない。一般に、2.0
〜12.0μmの範囲のものが用いられる。支持体材料
としてポリアミド、あるいはポリイミドを用いる場合の
支持体の厚みは、2.0〜6.0μm(更に好ましくは
3.0〜5.0μm)の範囲にあることが好ましい。
【0015】バックコート層は、基本的に平均粒子径が
異なる二種類のカーボンブラックと結合剤とから形成さ
れてなる層である。磁気テープの中でもコンピュータデ
ータ記録用の磁気テープとして使用する場合には、特に
繰り返し走行耐久性が強く要求されるために、バックコ
ート層には、更にモース硬度3〜4.5の軟質無機粉末
及びモース硬度5〜9の硬質無機粉末が含有されている
ことが好ましい。カーボンブラックとしては、平均粒子
サイズが10〜20mμの微粒子状カーボンブラックと
平均粒子サイズが230〜300mμの粗粒子状カーボ
ンブラックが組み合わせて使用される。一般に、上記の
ような微粒子状のカーボンブラックの添加により、バッ
クコート層の表面電気抵抗を低く設定でき、また光透過
率も低く設定できる。磁気記録装置によっては、テープ
の光透過率を利用し、動作の信号に使用しているものが
多くあるため、このような場合には特に微粒子状のカー
ボンブラックの添加は有効になる。また微粒子状カーボ
ンブラックは一般に液体潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤
併用時、摩擦係数の低減化に寄与する。一方、粒子サイ
ズが230〜300mμの粗粒子状カーボンブラック
は、固体潤滑剤としての機能を有しており、またバック
層の表面に微小突起を形成し、接触面積を低減化して、
摩擦係数の低減化に寄与する。
【0016】微粒子状カーボンブラックの具体的な商品
としては、以下のものを挙げることができる。RAVE
N2000B(18mμ)、RAVEN1500B(1
7mμ)(以上、コロンビアカーボン社製)、BP80
0(17mμ)(キャボット社製)、PRINTEX9
0(14mμ)、PRINTEX95(15mμ)、P
RINTEX85(16mμ)、PRINTEX75
(17mμ)(以上、デグサ社製)、#3950(16
mμ)(三菱化学(株)製)。また粗粒子カーボンブラ
ックの具体的な商品の例としては、サーマルブラック
(270mμ)(カーンカルブ社製)、RAVEN M
TP(275mμ)(コロンビアカーボン社製)を挙げ
ることができる。
【0017】バックコート層において、10〜20mμ
の微粒子状カーボンブラックと230〜300mμの粗
粒子状カーボンブラックの含有比率(重量比)は、前
者:後者=98:2〜75:25の範囲にあることが好
ましく、更に好ましくは、95:5〜85:15の範囲
である。バックコート層中のカーボンブラックの含有量
(全含有量)は、結合剤100重量部に対して、通常3
0〜80重量部の範囲であり、好ましくは、45〜65
重量部の範囲である。
【0018】モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末を
添加することで、繰り返し走行による摩擦係数の安定化
を図ることができる。しかもこの範囲の硬さでは、摺動
ガイドポールが削られることもない。またこの無機粉末
の平均粒子サイズは、30〜50mμの範囲にあること
が好ましい。モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末と
しては、例えば、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪
酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸
亜鉛、及び酸化亜鉛を挙げることができる。これらは、
単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用すること
ができる。これらの中では、特に、炭酸カルシウムが好
ましい。
【0019】軟質無機粉末を用いる場合の含有量は、カ
ーボンブラック100重量部に対して10〜140重量
部の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、35
〜100重量部である。
【0020】モース硬度が5〜9の硬質無機粉末を添加
することにより、バックコート層の強度が強化され、走
行耐久性が向上する。これらの無機粉末をカーボンブラ
ックや前記軟質無機粉末と共に使用すると、繰り返し摺
動に対しても劣化が少なく、強いバックコート層とな
る。またこの無機粉末の添加により、適度の研磨力が付
与され、テープガイドポール等への削り屑の付着が低減
する。特に軟質無機粉末(中でも、炭酸カルシウム)と
併用すると、表面の粗いガイドポールに対しての摺動特
性が向上し、バックコート層の摩擦係数の安定化も図る
ことができる。硬質無機粉末は、その平均粒子サイズが
80〜250mμ(更に好ましくは、100〜210m
μ)の範囲にあることが好ましい。
【0021】モース硬度が5〜9の硬質無機質粉末とし
ては、例えば、α−酸化鉄、α−アルミナ、及び酸化ク
ロム(Cr23 )を挙げることができる。これらの粉
末は、それぞれ単独で用いても良いし、あるいは併用し
ても良い。これらの内では、α−酸化鉄又はα−アルミ
ナが好ましい。硬質無機粉末を用いる場合の含有量は、
カーボンブラック100重量部に対して通常3〜30重
量部であり、好ましくは、3〜20重量部である。
【0022】バックコート層に前記軟質無機粉末と硬質
無機粉末とを併用する場合、軟質無機粉末と硬質無機粉
末との硬さの差が、2以上(更に好ましくは、2.5以
上、特に、3以上)であることが好ましい。
【0023】バックコート層には、前記それぞれ特定の
平均粒子サイズを有するモース硬度の異なる二種類の無
機粉末と、上記平均粒子サイズの異なる二種類のカーボ
ンブラックとが含有されていることが好ましい。特に、
この組み合わせにおいて、軟質無機粉末として炭酸カル
シウムが含有されていることが好ましい。バックコート
層中の特定の平均粒子サイズを有するモース硬度の異な
る二種類の無機粉末と、上記特定の粒子サイズの異なる
二種類のカーボンブラックとの含有比(重量比)は、前
者:後者=70:30〜30:70の範囲にあることが
好ましく、更に好ましくは、65:35〜35:65の
範囲にある。
【0024】バックコート層には、潤滑剤を含有させる
ことができる。潤滑剤は、後述する磁性層に使用するこ
とが潤滑剤を使用することができる。バックコート層に
おいて、潤滑剤は、結合剤100重量部に対して通常1
〜5重量部の範囲で添加される。
【0025】バックコート層の結合剤には本発明に係る
ポリウレタン樹脂が含まれている。このポリウレタン樹
脂は、ジオールと有機ジイソシアネートとを主原料とし
て用いて得たポリウレタン樹脂からならなり、該ジオー
ルとしては、環状構造を有する短鎖ジオール、及びエー
テル基を含む長鎖ジオールが用いられる。ここで、上記
「短鎖ジオール」とは、分子量が50以上、500未満
のものを意味し、上記「長鎖ジオール」とは分子量が5
00〜5000のものを意味する。
【0026】短鎖ジオールとしては、例えば、シクロへ
キサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−
ジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノー
ルA、ビスフェノールS、ビスフェノールP及びこれら
のエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物、シク
ロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の
芳香族、又は脂環式ジオールであって、分子量が50以
上、500未満であるものを挙げることができる。分子
量が50未満のものを多量に使用すると、バックコート
層が脆くなって耐久性が低下し易くなる。短鎖ジオール
の分子量は100〜300であることが好ましい。
【0027】長鎖ジオールとしては、例えば、ビスフェ
ノールA又は水素化ビスフェノールAの、エチレンオキ
シド付加物及び/又はプロピレンオシド付加物であっ
て、分子量が500〜5000であるものを挙げること
ができる。分子量が5000を越えるものを多量に使用
すると、バックコート層の強度が低下し、軟化して、耐
久性が低下し易くなる。
【0028】短鎖ジオール及び長鎖ジオールは、以下の
式(I)で表されるジオールであることが好ましい。
【0029】
【化1】
【0030】上記式(I)において、短鎖ジオールの場
合、m及びnは短鎖ジオールの分子量が50以上、50
0未満になるように選択される。一般に、m及びnは0
〜3である。長鎖ジオールの場合、m及びnは長鎖ジオ
ールの分子量が500〜5000になるように選択され
る。一般に、m及びnは3〜24、好ましくは3〜2
0、より好ましくは、4〜15である。m及びnが24
より大きくなるとバックコート層が軟化し、耐久性が低
下し易くなる。Xは水素原子又はメチル基を表す。Xは
メチル基であることが好ましい。なお、m及びnでくく
られるカッコ内のXは全て同じである必要はなく、水素
原子とメチル基が混在していても良い。式(I)で表さ
れる短鎖ジオールの中で好ましいのは、ビスフェノール
A、水素化ビスフェノールA、これらのエチレンオキシ
ド又はプロピレンオキシド付加物である。長鎖ジオール
として好ましいのは、ビスフェノールA又は水素化ビス
フェノールAのプロピレンオキシド付加物である。
【0031】短鎖ジオール成分は、樹脂中に17〜40
重量%含まれるように、好ましくは、18〜38重量
%、特に好ましくは、20〜30重量%含まれるように
使用される。17重量%未満では、得られるバックコー
ト層が軟らか過ぎて充分な強度を得ることができず、従
って充分な耐久性が得られにくくなる。40重量%より
多くなると、溶剤への溶解性が低下し、カーボンブラッ
クなどの固体粒子の分散性が悪化し易くなる。
【0032】長鎖ジオール成分は、樹脂中に10〜50
重量%含まれるように、好ましくは、15〜45重量
%、特に好ましくは、30〜40重量%含まれるように
使用される。10重量%未満では、溶剤への充分な溶解
性や分散性が得られにくくなる。50重量%より多くな
ると、得られるバックコート層に充分な強度が付与され
ず、そのため充分な耐久性が得られにくくなる。長鎖ジ
オールは、これに由来するエテール基がポリウレタン樹
脂中に1.0〜5.0ミリモル/g、より好ましく
は、、2.0〜5.5ミリモル/g、特に好ましくは、
2.5〜4.5ミリモル/gの量で含まれように調整さ
れる。1ミリモル/g未満では、カーボンブラックなど
への吸着性が低下し、充分な分散性が得られにくくな
る。一方、5ミルモル/gを越えた場合には、溶剤への
溶解性が低下するため分散性が悪化する。
【0033】なお、本発明に係るポリウレタン樹脂の調
製に際して、前記の短鎖ジオールと長鎖ジオールの他
に、他のジオールを併用することもできる。併用できる
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,
3−プロピレンジオール、1,2−プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロ
パンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノ
ナンジオール、ジエチレングリコール等の脂肪族ジオー
ル、N−ジエタノールアミンのエチレンオキシド又はプ
ロピレンオキシド付加物を挙げることができる。
【0034】反応させる有機ジイソシアネート化合物と
しては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4
−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネ
ート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−
ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,
2−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、
m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイ
ソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネー
ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’
−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート
などの芳香族ジイソシアネート、リジンジイソシアネー
トなどの脂肪族ジイソシアネート、及びイソホロンジイ
ソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素
化ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環族ジイ
ソシアネートを挙げることができる。
【0035】本発明に係るポリウレタン樹脂には、硬化
剤として使用されるポリイソシアネートを添加してバッ
クコート層の塗膜強度を上げるのに有利なように、樹脂
中に1分子当り3〜20個の水酸基が含まれていること
が好ましく、更に好ましくは1分子当り4〜5個の水酸
基を含むように調整される。ポリウレタン樹脂中の水酸
基の含有量を調整するために、水酸基を3個以上含む化
合物をポリウレタン樹脂の合成時に併用することが効果
的である。具体的には、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、無水トリメリット酸、グリセリン、
ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール、特公平6
−64726号公報中に成分(D)として説明されてい
る分岐ポリエステルポリオール、あるいはポリエーテル
エステルポリオールを挙げることができる。好ましく
は、3価のポリオールであり、4価以上のポリオールを
使用すると反応過程においてゲル化し易くなるので合成
上は不利である。
【0036】本発明に係るポリウレタン樹脂には分散性
を高めるために、樹脂中に−SO31 、−OSO32
、−COOM3 、−PO345 、−OPO36
7、−NR12 、及び−N+345 COO-
(M1 、M2 、M3 、M4 、M5 、M6 及びM7 は、各
々独立に、水素原子、アルカリ金属イオン、アルカリ土
類金属イオン、又はアンモニウムイオンを表し、R1
2 、R3 、R4 及びR5 は各々独立に炭素数1〜12
のアルキル基を表す)からなる群より選ばれる少なくと
も一種の極性基が導入されていることが好ましい。特に
好ましくは、−SO31 又は−OSO32 である。
極性基の含有量は、1×10-5〜2×10-4モル/gで
あり、特に好ましくは5×10-5〜1×10-4eモル/
gである。
【0037】本発明に係るポリウレタン樹脂の数平均分
子量(Mn)は5000〜100000の範囲にあるこ
とが好ましく、更に好ましくは、10000〜5000
0の範囲であり、特に好ましくは20000〜4000
0の範囲である。本発明に係るポリウレタン樹脂のガラ
ス転移温度(Tg)は、80〜155℃の範囲にあり、
好ましくは85〜130℃の範囲である。
【0038】バックコート層には、本発明に係るポリウ
レタン樹脂の以外の樹脂を含有させることができる。本
発明に係るポリウレタン樹脂の以外の樹脂としては、例
えば、後述する磁性層あるいは非磁性層の結合剤として
使用できる樹脂を挙げることができる。好ましくは、塩
化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化
ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、及びニ
トロセルロースの中から選ばれる少なくとも一種の樹脂
と硬化剤であるポリイソシアネートとを組み合わせた構
成である。特に好ましくは、ニトロセルロースとポリイ
ソシアネートとを組み合わせた構成である。
【0039】上記ポリイソシアネートとしては、例え
ば、トリレンジイソシアネート、4−4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,
5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネートなどのイソシアネート類、これらの
イソシアネート類とポリアルコールとの生成物、及びイ
ソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネ
−トを挙げることができる。
【0040】バックコート層は、前述した粒子径の異な
る二種類のカーボンブラック及び結合剤として本発明に
係るポリウレタン樹脂、そして好ましくは、前述した硬
度の異なる二種類の無機粉末、更に必要により、硬化剤
としてのポリイソシアネート、及び他の樹脂などを適当
な溶剤に溶解、分散させて塗布液を調製した後、この塗
布液を通常の塗布法に従って支持体の一方の面に塗布す
ることにより、形成することができる。この場合、バッ
クコート層には、本発明に係るポリウレタン樹脂が結合
剤中に60重量%以上含まれるように構成することが好
ましく、更に好ましくは、80重量%以上である。
【0041】磁性層は、強磁性粉末及び結合剤を含む層
である。また、磁性層には、通常、潤滑剤、導電性粉末
(例、カーボンブラック)及び研磨剤が含まれている。
強磁性粉末としては、例えば、磁性酸化鉄FeOx (x
=1.33〜1.5)、Co変性FeOx (x=1.3
3〜1.5)、Fe、Ni又はCoを主成分(75%以
上)とする強磁性合金粉末(強磁性金属粉末)、及び板
状六方晶フェライト粉末などの公知の強磁性粉末を使用
することができる。特に、強磁性合金粉末の使用が好ま
しい。
【0042】強磁性粉末には所定の原子の他に、Al、
Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、R
h、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、
Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、N
d、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr及びBの内の少
なくとも一つの原子を含んでいてもかまわない。
【0043】強磁性粉末は、分散剤、潤滑剤、界面活性
剤、帯電防止剤などで分散前に予め処理を行ってもかま
わない。具体的には、特公昭44−14090号、特公
昭45−18372号、特公昭47−22062号、特
公昭47−22513号、特公昭46−28466号、
特公昭46−38755号、特公昭47−4286号、
特公昭47−12422号、特公昭47−17284
号、特公昭47−18509号、特公昭47−1857
3号、特公昭39−10307号、及び特公昭48−3
9639号の各公報、そして米国特許第3026215
号、同3031341号、同3100194号、同32
42005号、及び同3389014号の各明細書に記
載されている処理方法を利用することができる。なお、
強磁性合金粉末には少量の水酸化物又は酸化物が含まれ
ていてもよい。
【0044】上記強磁性合金粉末は、その粒子の比表面
積が好ましくは30〜70m2 /gであって、X線回折
法から求められる結晶子サイズは、50〜300Åであ
る。比表面積が余り小さいと高密度記録に充分に対応で
きなくなり、又余り大き過ぎても分散が充分に行えず、
従って平滑な面の磁性層が形成できなくなるため同様に
高密度記録に対応できなくなる。
【0045】強磁性合金粉末には少なくともFeが含ま
れている。具体的には、Fe−Co、Fe−Ni、Fe
−Zn−Ni又はFe−Ni−Coを主体とした金属合
金である。なお、Fe単独でも良い。またこれらの強磁
性合金粉末の磁気特性については、高い記録密度を達成
するために、その飽和磁化量(飽和磁束密度)(σs)
は110emu/g以上、好ましくは120emu/g
以上、170emu/g以下である。又保磁力(Hc)
は、1900〜2600エルステッド(Oe)(好まし
くは、2000〜2500Oe)の範囲である。また透
過型電子顕微鏡により求められる粉末の長軸長(すなわ
ち、平均粒子径)は、0.5μm以下、好ましくは、
0.01〜0.3μmで軸比(長軸長/短軸長、針状
比)は、5〜20、好ましくは、5〜15である。更に
特性を改良するために、組成中にB、C、Al、Si、
P等の非金属、もしくはその塩、酸化物が添加されるこ
ともある。通常、前記金属粉末の粒子表面は、化学的に
安定させるために酸化物の層が形成されている。
【0046】板状六方晶フェライトとしては、平板状で
その平板面に垂直な方向に磁化容易軸がある強磁性体で
あって、具体的には、バリウムフェライト(マグネトブ
ランバイト型や一部にスピネル相を含有したマグネトブ
ランバイト型)、ストロンチウムフェライト(マグネト
ブランバイト型や一部にスピネル相を含有したマグネト
ブランバイト型)、鉛フェライト、カルシウムフェライ
ト、及びそれらのコバルト置換体等を挙げることができ
る。これらの中では、特にバリウムフェライトのコバル
ト置換体、ストロンチウムフェライトのコバルト置換体
が好ましい。本発明で用いる板状六方晶フェライトに
は、抗磁力を制御するために、必要に応じてCo−T
i、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti
−Zn、あるいはIr−Zn等の元素を添加したものを
使用することが出来る。
【0047】板状六方晶フェライト粉末において、板径
は六角板状の粒子の板の幅を意味し電子顕微鏡で測定す
ることができる。本発明で用いる板状六方晶フェライト
粉末は、粒子サイズ(板径)が0.001〜1.0μm
であり、板状比(板径/板厚)が2〜20であり、また
その比表面積が1〜60m2 /gであることが好まし
い。板状六方晶フェライト粉末は、強磁性金属粉末と同
じ理由からその粒子サイズが大きすぎても小さすぎても
高密度記録が難しくなる。またこれらの板状六方晶フェ
ライト粉末の磁気特性については、高い記録密度を達成
するために、前記のような粒子サイズが必要であると同
時に飽和磁化(σs )は少なくとも50emu/g以
上、好ましくは53emu/g以上である。又保磁力
(Hc)は、700〜2000エルステッド(Oe)の
範囲であり、900〜1600Oeの範囲であることが
好ましい。
【0048】上記強磁性粉末の含水率は0.01〜2重
量%の範囲とすることが好ましい。また結合剤の種類に
よって含水率を最適化することが好ましい。強磁性粉末
のpHは用いる結合剤との組み合わせにより最適化する
ことが好ましく、そのpHは通常4〜12の範囲であ
り、好ましくは5〜10の範囲である。強磁性粉末は、
必要に応じて、Al、Si、P又はこれらの酸化物など
で表面処理を施してもよい。表面処理を施す際のその使
用量は、通常強磁性粉末に対して、0.1〜10重量%
である。表面処理を施すことにより、脂肪酸などの潤滑
剤の吸着量を100mg/m2 以下に抑えることができ
る。強磁性粉末には、可溶性のNa、Ca、Fe、Ni
及びSiなどが無機イオンとして含まれる場合がある
が、その含有量は、5000ppm以下であれば特性に
影響を与えることはない。なお、上記のような強磁性粉
末及びその製造方法は、例えば、特開平7−22224
号公報に記載されている。
【0049】潤滑剤は、磁性層表面ににじみ出ることに
よって、磁性層表面と磁気ヘッドとの摩擦を緩和し、摺
接状態を円滑に維持させるために添加される。潤滑剤と
しては、例えば、脂肪酸及び脂肪酸エステルを挙げるこ
とができる。脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロピオ
ン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アラキン
酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン
酸、及びパルミトレイン酸等の脂肪族カルボン酸又はこ
れらの混合物を挙げることができる。
【0050】また脂肪酸エステルとしては、例えば、ブ
チルステアレート、sec-ブチルステアレート、イソプロ
ピルステアレート、ブチルオレエート、アミルステアレ
ート、3−メチルブチルステアレート、2−エチルヘキ
シルステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、
ブチルパルミテート、2−エチルヘキシルミリステー
ト、ブチルステアレートとブチルパルミテートとの混合
物、オレイルオレエート、ブトキシエチルステアレー
ト、2−ブトキシ−1−プロピルステアレート、ジプロ
ピレングリコールモノブチルエーテルをステアリン酸で
アシル化したもの、ジエチレングリコールジパルミテー
ト、ヘキサメチレンジオールをミリスチン酸でアシル化
してジオールとしたもの、そしてグリセリンのオレエー
ト等の種々のエステル化合物を挙げることができる。上
記のような脂肪酸、及び脂肪酸エステルは、単独である
いは二以上の化合物を組み合わせて使用することができ
る。潤滑剤の通常の含有量は、強磁性粉末100重量部
に対して、0.2〜20重量部(好ましくは、0.5〜
10重量部)の範囲にある。
【0051】カーボンブラックは、磁性層の表面電気抵
抗(RS )の低減、動摩擦係数(μK 値)の低減、走行
耐久性の向上、及び磁性層の平滑な表面性を確保する等
の種々の目的で添加される。カーボンブラックは、その
平均粒子径が5〜350mμ(更に好ましくは、10〜
300mμ)の範囲にあることが好ましい。またその比
表面積は、5〜500m2 /g(更に好ましくは、50
〜300m2 /g)であることが好ましい。DBP吸油
量は、10〜1000ml/100g(更に好ましく
は、50〜300ml/100g)の範囲にあることが
好ましい。またpHは、2〜10、含水率は、0.1〜
10%、そしてタップ密度は、0.1〜1g/ccであ
ることが好ましい。
【0052】カーボンブラックは様々な製法で得たもの
が使用できる。使用できるカーボンブラックの例として
は、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレ
ンブラック、チャンネルブラック及びランプブラックを
挙げることができる。カ−ボンブラックの具体的な商品
例としては、BLACKPEARLS 2000、13
00、1000、900、800、700、VULCA
N XC−72(以上、キャボット社製)、#35、#
50、#55、#60及び#80(以上、旭カ−ボン
(株)製)、#3950B、#3750B、#3250
B、#2400B、#2300B、#1000、#90
0、#40、#30、及び#10B(以上、三菱化学
(株)製)、CONDUCTEX SC、RAVEN、
150、50、40、15(以上、コロンビアカ−ボン
社製)、ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラック
ECDJ−500およびケッチェンブラックECDJ−
600(以上、ライオンアグゾ(株)製)を挙げること
ができる。
【0053】カーボンブラックの通常の添加量は、強磁
性粉末100重量部に対して、0.1〜30重量部(好
ましくは、0.2〜15重量部)の範囲にある。
【0054】研磨剤としては、例えば、溶融アルミナ、
α−アルミナ、炭化珪素、酸化クロム(Cr23 )、
コランダム、人造コランダム、ダイアモンド、人造ダイ
アモンド、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと
磁鉄鉱)を挙げることができる。これらの研磨剤は、モ
ース硬度5以上(好ましくは、6以上、特に好ましく
は、8μm以上)であり、平均粒子径が、0.05〜1
μm(更に好ましくは、0.2〜0.8μm)の大きさ
のものが好ましい。研磨剤の添加量は、通常強磁性粉末
100重量部に対して、3〜25重量部(好ましくは、
3〜20重量部)の範囲にある。
【0055】磁性層を形成する結合剤について説明す
る。結合剤としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性
樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができ
る。熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル、酢酸ビニ
ル、ビニルアルコ−ル、マレイン酸、アクルリ酸、アク
リル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、
メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタ
ジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセター
ル、及びビニルエーテルを構成単位として含む重合体、
あるいは共重合体を挙げることができる。共重合体とし
ては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリ
ルニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニ
トリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン
共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、メ
タアクリル酸エステル−アクリルニトリル共重合体、メ
タアクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタ
アクリル酸エステル−スチレン共重合体、塩ビニリデン
−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニ
トリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、クロ
ロビニルエーテル−アクリル酸エステル共重合体を挙げ
ることができる。
【0056】上記の他に、ポリアミド樹脂、繊維素系樹
脂(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイ
アセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロ
ースなど)、ポリ弗化ビニル、ポリエステル樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂なども利用することがで
きる。
【0057】また熱硬化性樹脂または反応型樹脂として
は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹
脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリ
コーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル
樹脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリ
エステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポ
リウレタンとポリイソシアネートの混合物を挙げること
ができる。なお、ポリイソシアネートとしては、例え
ば、前述したバックコート層の結合剤として挙げたポリ
イソシアネート(硬化剤)を使用することができる。
【0058】上記ポリウレタン樹脂は、ポリエステルポ
リウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテル
ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレ
タン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、及
びポリカプロラクトンポリウレタンなどの構造を有する
公知のものが使用できる。
【0059】本発明において、磁性層の結合剤は、塩化
ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、及びニト
ロセルロースの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂
と、ポリウレタン樹脂との組合せ、あるいはこれらに更
に効果剤としてのポリイソシアネートを加えた組み合わ
で構成されていることが好ましい。
【0060】なお、結合剤としては、より優れた分散性
と得られる層の耐久性を得るために必要に応じて、−C
OOM、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)
2 、−O−P=O(OM)2 (Mは水素原子、またはア
ルカリ金属塩を表わす。)、−OH、−NR2 、−N+
3 (Rは炭化水素基を表わす。)、エポキシ基、−S
H、−CNなどから選ばれる少なくともひとつの極性基
を共重合または付加反応で導入して用いることが好まし
い。このような極性基は、結合剤に10-1〜10-8モル
/g(さらに好ましくは、10-2〜10-6モル/g)の
量で導入されていることが好ましい。
【0061】磁性層中の結合剤は、強磁性粉末100重
量部に対して、通常5〜50重量部(好ましくは10〜
30重量部)の範囲で用いられる。なお、磁性層に結合
剤として塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポ
リイソシアネートを組み合わせて用いる場合は、全結合
剤中に、塩化ビニル系樹脂が5〜70重量%、ポリウレ
タン樹脂が2〜50重量%、そしてポリイソシアネート
が2〜50重量%の範囲の量で含まれるように用いるこ
とが好ましい。また、バックコート層中の結合剤は、カ
ーボンブラック100重量部に対して通常5〜250重
量部(好ましくは、10〜200重量部)の範囲で用い
られる。
【0062】磁気テープの磁性層及びバックコート層を
形成するための塗布液には、磁性粉末あるいは非磁性粉
末を結合剤中に良好に分散させるために、分散剤を添加
することができる。また必要に応じて、各層には、可塑
剤、カーボンブラック以外の導電性粒子(帯電防止
剤)、防黴剤などを添加することができる。分散剤とし
ては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン
酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン
酸、ステアロール酸等の炭素数12〜18個の脂肪酸
(RCOOH、Rは炭素数11〜17個のアルキル基、
又はアルケニル基)、前記脂肪酸のアルカリ金属又はア
ルカリ土類金属からなる金属石けん、前記の脂肪酸エス
テルのフッ素を含有した化合物、前記脂肪酸のアミド、
ポリアルキレンオキサイドアルキルリン酸エステル、レ
シチン、トリアルキルポリオレフィンオキシ第四級アン
モニウム塩(アルキルは炭素数1〜5個、オレフィン
は、エチレン、プロピレンなど)、硫酸塩、及び銅フタ
ロシアニン等を使用することができる。これらは、単独
でも組み合わせて使用しても良い。分散剤は、いずれの
層においても、結合剤100重量部に対して0.5〜2
0重量部の範囲で添加される。
【0063】次に、本発明の第二の態様である、長尺状
支持体の一方の側に、非磁性粉末及び結合剤を含む実質
的に非磁性である非磁性層、及び強磁性粉末及び結合剤
を含む磁性層をこの順に有し、そして他方の側にバック
コート層を有する構成の磁気テープについて説明する。
第二の態様の磁気テープは、基本的に、前述した第一の
態様の磁気テープにおいて、その支持体と磁性層との間
に、更に非磁性層が設けられた構成を有する。従って、
非磁性層以外は、第一の態様の磁気テープと同様に構成
することができる。
【0064】第二の態様の磁気テープの磁性層は、その
厚みが、0.05〜1.5μm(さらに好ましくは、
0.05〜1.0μm、特に、0.1〜0.5μm、最
も好ましくは、0.1〜0.4μm)の範囲にあること
が好ましい。また、非磁性層の厚みは、1.0〜3.0
μm(更に好ましくは、1.2〜2.5μm、特に、
1.5〜2.0μm、最も好ましくは1.5〜1.8μ
m)の範囲にあることが好ましい。磁性層の厚みと非磁
性層の厚みとの比は、1:2〜1:15(更に好ましく
は、1:3〜1:10)の範囲にあることが好ましい。
第二の態様の磁気テープの全体の厚みは、5.0〜9.
0μm(更に好ましくは、6.0〜9.0μm)の範囲
にあることが好ましい。
【0065】以下に、非磁性層について詳述する。非磁
性層は、非磁性粉末及び結合剤を含む実質的に非磁性の
層である。この非磁性層は、その上の磁性層の電磁変換
特性に影響を与えないように実質的に非磁性であること
が必要であるが、磁性層の電磁変換特性に悪影響を与え
なければ磁性粉末が含まれていても特に問題とはならな
い。また非磁性層には通常、これらの成分以外に潤滑剤
が含まれている。
【0066】非磁性層で用いられる非磁性粉末として
は、例えば、非磁性無機粉末、カーボンブラックを挙げ
ることができる。非磁性無機粉末は、比較的硬いものが
好ましく、モース硬度が5以上(更に好ましくは、6以
上)のものが好ましい。これらの非磁性無機粉末の例と
しては、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、
炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、
コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化チタ
ン、二酸化珪素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、及び硫酸バリウムを挙げることが
できる。これらは単独でまたは組合せて使用することが
できる。これらのうちでは、二酸化チタン、α−アルミ
ナ、α−酸化鉄又は酸化クロムが好ましい。非磁性無機
粉末の平均粒子径は、0.01〜1.0μm(好ましく
は、0.01〜0.5μm、特に、0.02〜0.1μ
m)の範囲にあることが好ましい。
【0067】カーボンブラックは、磁性層に導電性を付
与して帯電を防止すると共に、非磁性層上に形成される
磁性層の平滑な表面性を確保する目的で添加される。非
磁性層で用いるカーボンブラックとしては前述した磁性
層に含有させることができるカーボンブラックを使用す
ることができる。但し、非磁性層で使用するカーボンブ
ラックは、その平均粒子径が35mμ以下(更に好まし
くは、10〜35mμ)であることが好ましい。カーボ
ンブラックの通常の添加量は、全非磁性無機粉末100
重量部に対して、3〜20重量部であり、好ましくは、
4〜18重量部、更に好ましくは、5〜15重量部であ
る。
【0068】潤滑剤としては、前述した第一の態様の磁
気テープの磁性層にて記載した脂肪酸、あるいは脂肪酸
エステルを使用することができる。潤滑剤の通常の添加
量は、非磁性層の全非磁性粉末100重量部に対して、
0.2〜20重量部の範囲である。
【0069】非磁性層の結合剤としては、前述した磁性
層にて記載した結合剤を用いることができる。結合剤
は、非磁性層の非磁性粉末100重量部に対して、通常
5〜50重量部(好ましくは、10〜30重量部)の範
囲である。なお、非磁性層に結合剤として塩化ビニル系
樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイソシネートを組み
合わせて用いる場合は、全結合剤中に、塩化ビニル系樹
脂が5〜70重量%、ポリウレタン樹脂が2〜50重量
%、そしてポリイソシアネートが2〜50重量%の範囲
の量で含まれるように用いることが好ましい。なお、非
磁性層においても前述した磁性層に添加することができ
る任意成分を添加することができる。
【0070】次に、本発明の磁気テープの製造方法につ
いて簡単に説明する。本発明の磁気テープは、通常の方
法に従って支持体の一方の面に磁性層(非磁性層を有す
る第二の態様においては、非磁性層及び磁性層)を、そ
して他方の面にバックコート層を順にそれぞれ形成する
ことにより、製造することができる。
【0071】第二の態様の磁気テープを製造する際に
は、その磁性層は、非磁性層が湿潤状態にあるうちにこ
の上に設けられたものであることが好ましい。すなわ
ち、磁性層は、非磁性層用塗布液を塗布後、形成された
塗布層(非磁性層)が湿潤状態にあるうちにこの上に磁
性層用塗布液を塗布する、所謂ウエット・オン・ウエッ
ト方式による塗布方法を利用して形成されたものである
ことが好ましい。
【0072】上記ウエット・オン・ウエット方式による
塗布方法としては、例えば以下の方法を挙げることがで
きる。 (1)グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、ある
いはエクストルージョン塗布装置などを用いて、支持体
上にまず非磁性層を形成し、該非磁性層が湿潤状態にあ
るうちに、支持体加圧型エクストルージョン塗布装置に
より、磁性層を形成する方法(特開昭60−23817
9号、特公平1−46186号、特開平2−26567
2号公報参照)。 (2)二つの塗布液用スリットを備えた単一の塗布ヘッ
ドからなる塗布装置を用いて支持体上に磁性層、及び非
磁性層をほぼ同時に形成する方法(特開昭63−880
80号、特開平2−17921号、特開平2−2656
72号各公報参照)。 (3)バックアップローラ付きエクストルージョン塗布
装置を用いて、支持体上に磁性層及び非磁性層をほぼ同
時に形成する方法(特開平2−174965号公報参
照)。本発明において、非磁性層及び磁性層は、同時重
層塗布法を利用して形成することが好ましい。
【0073】本発明の磁気テープは、そのいずれの態様
においてもバックコート層は、その表面粗さRa(カッ
トオフ0.08mmの中心線平均粗さ)が、0.003
0〜0.060μmの範囲にあることが好ましい。この
範囲以外では、バックコート層の表面状態が、磁気テー
プが巻かれた状態で磁性層の表面に転写され、再生出力
に影響を与えたり、ガイドポールに対する摩擦係数に影
響を与え易くなる。なお、この表面粗さRaの調整は、
通常バックコート層を塗布形成後、カレンダーロールに
よる表面処理工程において、用いるカレンダーロールの
材質、その表面性、圧力等の調整により行われる。
【0074】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を記載し、本発明
を更に具体的に説明する。尚、下記の「部」は、「重量
部」を表わす。
【0075】 [実施例1] [磁性層形成用塗布液の調製] (磁性層形成用塗布液組成) 強磁性金属粉末(Fe−Co合金) 100部 [Coの含有量:30重量%、Alの含有量:5重量% Yの含有量:5重量%、 Hc:2350Oe、σs :145emu/g、 SBET :50m2 /g] 塩化ビニル共重合体樹脂 9部 [(MR−110、日本ゼオン(株)製)] ポリウレタン樹脂(スルホン酸基含有ポリエステル ポリウレタン樹脂) 4.5部 [東洋紡績(株)製UR8300] ポリイソシアネート 4.5部 [(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)] カ−ボンブラック(平均粒子径:80mμ) 1部 アルミナ(平均粒子サイズ:200mμ] 5部 フェニルホスホン酸 3部 ステアリン酸 0.5部 ブチルステアレート 1.2部 メチルエチルケトン 120部 シクロヘキサノン 120部
【0076】上記磁性層を形成する各成分を連続ニーダ
で混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得られ
た分散液に上記ポリイソシアネートを4.5部加え、更
に酢酸ブチル40部を加え、1μmの平均孔径を有する
フィルターを用いて濾過し、磁性層形成用塗布液を調製
した。
【0077】 [バックコート層形成用塗布液の調製] (バックコート層形成用塗布液組成) 微粒子状カーボンブラック粉末 100部 [(キャボット社製、BP−800、 平均粒子サイズ:17mμ)] 粗粒子状カーボンブラック粉末 10部 [(カーンカルブ社製、サーマルブラック、 平均粒子サイズ:270mμ)] ポリウレタン樹脂A 130部 [水素化ビスフェノールA/ビスフェノールAのポリプロピレンオキシド付加 物/ビス(2−ヒドロキシエチル)5−スルホイソフタレート・ナトリウム塩/ トリメチロールプロパン/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートからな り、スルホン酸ナトリウム基を6.0×10-5モル/g含有する。] ポリイソシアネート 25部 メチルエチルケトン 1330部 シクロヘキサノン 220部
【0078】微粒子状カーボンブラック粉末、粗粒子状
カーボンブラック粉末、及びポリウレタン樹脂Aをメチ
ルエチルケトン330部、シクロヘキサノン220部と
共に混練した後、サンドミルを用いて分散した。得られ
た分散液に上記ポリイソシアネート25部とメチルチル
ケトン1000部を加え、平均孔径1μmのフィルター
を用いて濾過することにより、バックコート層形成用塗
布液を調製した。
【0079】[磁気テープの作製]厚さ6.0μmのポ
リエチレンテレフタレート(PET)製支持体の表面
に、得られた磁性層形成用塗布液をその乾燥後の厚みが
2.0μmとなるように塗布し、乾燥した後、その反対
面に上記で得たバックコート層形成用塗布液をその乾燥
後の厚みが0.6μmとなるように塗布し、乾燥した。
このようにして支持体の一方の面に磁性層を、もう一方
の面にバックコート層をそれぞれ有する磁気記録積層体
ロールを得た。得られた磁気記録積層体ロールに対して
カレンダー処理を施した。次いで、カレンダー処理後、
磁気記録積層体ロールを8mm幅にスリットし、その
後、テープの表面研磨処理を行い、本発明に従う磁気テ
ープ(以下単に、サンプルという)を得た。得られたテ
ープを所定のカートリッジに巻き込んだ。
【0080】[比較例1]実施例1において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、ポリウレタン樹脂
Aの代わりに、水素化ビスフェノールAとビスフェノー
ルAのポリプロピレンオキシド付加物の量を変えた以外
はポリウレタン樹脂Aと同じ組成からなるオールポリウ
レタン樹脂Dを用いたこと以外は同様にしてサンプルを
作成した。
【0081】上記の実施例及び比較例で用いたポリウレ
タン樹脂A及びDの特徴を下記の表1に示す。
【0082】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── ポリウ 環状構造を持 エーテ基含有長鎖ジオール ガラス転移 BC層中 レタン つ短鎖ジオール 含量 エーテル含量 温度(Tg)のPU含量 樹脂 含量(重量%) (重量%)(ミリモル/g) (℃) (重量%) ──────────────────────────────────── A 20 40 5.0 90 84 D 15 55 6.3 70 84 ──────────────────────────────────── 注)「BC層中のPU含量」は、バックコート層における結合剤中のポリウレタ ン樹脂の含量を表す。
【0083】[磁気テープとしての性能評価]上記のよ
うにして得られた各磁気テープ(サンプル)ついて下記
の項目を評価した。 (1)カッピング(テープの幅方向のカール) 長さ300mmに切断したテープを用意した。テープの
磁性層面又はバックコート層面を下にして、平面台の上
に自然に置いた。そしてテープが平面から幅方向に浮き
上がっている量(カール量)を測定し、カッピングの値
とした。但し、磁性層側が凸にカールしている場合を
「マイナス(−)」、バックコート層側が凸にカールし
ている場合を「プラス(+)」の符号をつけて表した。
表示の絶対値が小さい程、カッピングは小さい。
【0084】(2)コイリング(テープの長さ方向のカ
ール) 長さ35mmに切断したテープを用意した。テープの側
面(エッジ面)を下にして、平面台の上に自然に置い
た。そしてテープの両端部が重なることなく、円弧状に
カールした場合はその弦(両端部を結んだ直線)の長さ
から曲率半径を求め、コイリングの曲率半径とした。ま
たテープの両端部が重なり、円状にカールした場合はそ
の直径から曲率半径を求め、コイリングの曲率半径とし
た。但し、磁性層側が凸にカールしている場合を「プラ
ス(+)」、バックコート層側が凸にカールしている場
合を「マイナス(−)」の符号をつけて表した。表示の
絶対値(曲率半径)が小さい程、コイリングは小さい。
【0085】(3)バックコート層と支持体との間の密
着力(180度剥離強度g/cm) 長さ約380mmに切断したテープ(試験サンプル)を
用意した。試験サンプルの一方の端から125mmの位
置のバックコート層面にけがき線を、テープの幅方向に
支持体面に達するまで引いた。得られた試験サンプルの
バックコート層面を下にして、両面接着テープで試験サ
ンプルの一方の端から125mmの位置までその全幅に
渡って台紙上に張り付けた。そして他方の端を180度
の方向に引っ張り、バックコート層から支持体が剥れ始
めた時の力を測定し、密着力とした。
【0086】(4)繰り返し走行後のテープダメージ 磁気テープをVTR(富士写真フイルム(株)製FUJ
IX8)にて100回繰り返し走行させた。走行後の磁
気テープのバックコート層表面、エッジ等の損傷の発
生、あるいはバックコート層表面の汚れの付着を目視、
及び顕微鏡で観察し、以下のようなランク付けで評価し
た。 A:損傷の発生、汚れの付着も全くなかった。 B:損傷の発生、汚れの付着が僅かにあった。 C:損傷の発生、汚れの付着が著しかった。
【0087】(5)バックコート層の摩擦係数(μ値)
の測定 4mmφのSUS420Jにバックコート層面を接触さ
せるように180度の角度でテープを渡し、荷重20
g、秒速14mm摺動させて、オイラーの式に基づいて
バックコート層の摩擦係数を求めた。 μ=(1/π)ln(T2 /10) T2 :摺動抵抗値(g) 測定は、繰り返し500パスまで行ない、1パス目の摩
擦係数μ1 と500パス目の摩擦係数μ500 を求めた。
【0088】(6)電磁変換特性(7M出力)の測定 各サンプルにVTR(FUJIX8)を用いて7MHz
の信号を記録し、再生して出力を測定した。再生出力
は、実施例1のサンプルの再生出力0dBとした時の相
対値で表した。以上の評価結果を表2に示す。
【0089】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── カッピ コイリ バック層 テープ バックコート層 電磁変換 ング ング 密着力 ダメー の摩擦係数(μ) 特性 (mm)(mm)(g/cm) ジ (μ1 ) (μ500 )(dB) ──────────────────────────────────── 実施例 1 −0.2 4.8 120 A 0.25 0.35 0 ──────────────────────────────────── 比較例 1 −0.1 5.0 140 C 0.27 0.40 −0.1 ────────────────────────────────────
【0090】上記の表2の結果から、本発明に係るポリ
ウレタン樹脂を用いて調製した本発明に従うサンプル
(第一の態様のサンプル:実施例1)の場合には、比較
用のサンプル(比較例1)の場合に比較して、バックコ
ート層は高いTgを持つポリウレタン樹脂で構成されて
いるため、形成された層が硬く、高い強度を持つことか
ら、テープダメージが比較的少なく、また摩擦係数の上
昇が少ないことから、良好な走行性能が得られることが
わかる。
【0091】 [実施例2] [非磁性層形成用塗布液の調製] (非磁性層形成用塗布液の組成) 非磁性粉末 二酸化チタン(ルチル型) 100部 [TiO2 含有量:90%以上 平均一次粒子径:0.035μm BET法による比表面積:40m2 /g pH:7.5 DBP吸油量:27〜38g/100g モース硬度:6.0 表面被覆化合物(A123 )] フェニルホスホン酸 3部 カーボンブラック(三菱カーボン(株)製) 15部 [平均一次粒子径:20mμ DBP吸油量:80ml/100g pH:8.0 BET法による比表面積:250m2 /g 揮発分:1.5%] 極性基(−SO3 K基、エポキシ基)含有 12部 塩化ビニル樹脂 [(MR−110、日本ゼオン(株)製)] ポリウレタン樹脂 6部 [(東洋紡績(株)製UR8300)] ポリイソシアネート 6部 [(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)] ステアリン酸 0.5部 ブチルステアレート 1.2部 メチルエチルケトン 120部 シクロヘキサノン 120部
【0092】上記磁性層を形成する各成分を連続ニーダ
で混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得られ
た分散液に上記ポリイソシアネートを4.5部加え、更
に酢酸ブチル40部を加え、1μmの平均孔径を有する
フィルターを用いて濾過し、磁性層形成用塗布液を調製
した。
【0093】[磁気テープの作製]厚さ6.0μmのポ
リエチレンテレフタレート(PET)製支持体の表面
に、上記組成の非磁性層形成用塗布液を、乾燥後の非磁
性層の厚さが1.7μmとなるように、またこの上に前
記実施例1で用いた磁性層形成用塗布液を乾燥後の磁性
層の厚さが0.3μmとなるように同時重層塗布した。
次いで、磁性層塗布液が未乾燥の状態で3000ガウス
の磁石を用いて磁場配向を行なった。その後、支持体の
他方の側(磁性層とは反対側)に、上記実施例1で用い
たバックコート層形成用塗布液を乾燥後の厚さが0.6
μmとなるように塗布し、乾燥してバックコート層を設
けた。このようにして支持体の一方の面に非磁性層と磁
性層とが、そして他方の面にバックコート層がそれぞれ
設けられた磁気記録積層体ロールを得た。次いで、カレ
ンダー処理後、磁気記録積層体ロールを8mm幅にスリ
ットし、本発明に従う磁気テープ(サンプル)を得た。
得られたテープを所定のカートリッジに組み込んだ。
【0094】[実施例3]及び[実施例4] 実施例2において、バックコート層形成用塗布液の調製
に際して、ポリウレタン樹脂Aの代わりに、下記の表3
に示されるように、ポリウレタン樹脂B(実施例3)、
又はポリウレタン樹脂C(実施例4)を用いたこと以外
は同様にしてサンプルを作成した。
【0095】[実施例5]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、ポリウレタン樹脂
Aの使用量を110部に変更し、更にニトロセルロース
を25部加えたこと以外は同様にしてサンプルを作成し
た。
【0096】[実施例6]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、更に炭酸カルシウ
ム(白石工業(株)製、白艶華O、平均粒子サイズ:4
0mμ、モース硬度:3.0)80部及びα−Al2
3 (住友化学工業(株)製、HIT55、平均粒子サイ
ズ:200mμ、モース硬度:8.5)5部加えたこと
以外は同様にしてサンプルを作成した。
【0097】[実施例7]実施例2において、支持体材
料として、厚さ6.0μmのポリエチレンテレフタレー
ト(PET)の代わりに、厚さ6.0μmのポリエチレ
ンナフタレート(PEN)を用いたこと以外は、同様に
してサンプルを作成した。
【0098】[実施例8]実施例2において、支持体材
料として、厚さ6.0μmのポリエチレンテレフタレー
ト(PET)の代わりに、厚さ4.4μmの芳香族ポリ
アミド(アラミド)を用いたこと以外は、同様にしてサ
ンプルを作成した。
【0099】[比較例2]及び[比較例3] 実施例2において、バックコート層形成用塗布液の調製
に際して、ポリウレタン樹脂Aの代わりに、下記の表3
に示されるように、ポリウレタン樹脂D(比較例2)、
又はポリウレタン樹脂E(比較例3)を用いたこと以外
は同様にしてサンプルを作成した。
【0100】[比較例4]及び[比較例5] 実施例2において、粗粒状カーボンブラックを使用しな
かった(比較例4)こと、又は微粒子状カーボンブラッ
クを使用しなかった(比較例5)こと以外は同様にして
サンプルを作成した。
【0101】[比較例6]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、ポリウレタン樹脂
Aの代わりに、下記の表3に示されるように、ポリウレ
タン樹脂N−2301(ニッポラン(N)−2301、
日本ポリウレタン工業(株)製)35部、及びニトロセ
ルロース105部を用いたこと以外は同様にしてサンプ
ルを作成した。
【0102】[比較例7]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、ポリウレタン樹脂
Aの代わりに、下記の表3に示されるように、ポリウレ
タン樹脂UR8200(東洋紡(株)製)65部、及び
塩化ビニル樹脂70部を用いたこと以外は同様にしてサ
ンプルを作成した。上記実施例及び比較例で用いたポリ
ウレタン樹脂の特徴を下記の表3に示す。なお、表3に
は、前記実施例1及び比較例1で用いたポリウレタン樹
脂A及びDについての特徴も併記する。
【0103】
【表3】 表3 ──────────────────────────────────── ポリウ 環状構造を持 エーテ基含有長鎖ジオール ガラス転移 BC層中 レタン つ短鎖ジオール 含量 エーテル含量 温度(Tg)のPU含量 樹脂 含量(重量%) (重量%)(ミリモル/g) (℃) (重量%) ──────────────────────────────────── A 20 40 5.0 90 84 B 25 35 4.2 115 84 C 35 20 2.8 150 84 D 15 55 6.3 70 84 E 42 15 2.2 160 84 N−2301 −− −− −− 33 35 UR8200 −− −− −− 75 65 ──────────────────────────────────── 注)「BC層中のPU含量」は、バックコート層における結合剤中のポリウレタ ン樹脂の含量を表す。
【0104】[磁気テープとしての性能評価]上記のよ
うにして得られた各磁気テープ(サンプル/第二の態様
の磁気テープ)ついて、前記の第一の態様の磁気テープ
と同様な方法で評価した。なお、再生出力の評価は、実
施例2のサンプルの再生出力0dBとした時の相対値で
表した。以上の評価結果を表4に示す。
【0105】
【表4】 表4 ──────────────────────────────────── カッピ コイリ バック層 テープ バックコート層 電磁変換 ング ング 密着力 ダメー の摩擦係数(μ) 特性 (mm)(mm)(g/cm) ジ (μ1 ) (μ500 )(dB) ──────────────────────────────────── 実施例 2 −0.2 4.7 120 A 0.25 0.35 0 3 −0.4 4.4 100 A 0.25 0.33 0 4 −0.8 3.8 80 A 0.26 0.32 −0.2 5 −0.7 4.1 95 A 0.26 0.33 −0.1 6 −0.2 4.7 120 A 0.23 0.25 0 7 −0.3 4.6 120 A 0.26 0.34 0 8 −0.3 4.6 100 A 0.27 0.36 +0.4 ──────────────────────────────────── 比較例 2 −0.1 5.0 140 C 0.27 0.40 0 3 −1.3 3.3 50 A 0.24 0.33 −0.4 4 −0.2 4.7 120 B 0.33 0.58 +0.3 5 −0.2 4.7 120 C 0.26 0.45 0 6 −1.8 2.7 30 A 0.25 0.33 −0.7 7 −0.3 4.8 120 C 0.29 0.42 −0.3 ────────────────────────────────────
【0106】上記の表4の結果から、本発明に係るポリ
ウレタン樹脂を用いて調製した本発明に従うサンプル
(第二の態様のサンプル:実施例2〜8)の場合には、
テープの変形(カール)は比較的少なく、許容範囲にあ
り、また摩擦係数の上昇も少ないことが示されており、
従ってテープダメージが少なく、良好な走行性能や電磁
変換特性が得られることがわかる。
【0107】一方、本発明に係るポリウレタン樹脂に比
べて低いTgを持つポリウレタン樹脂を用いて調製した
サンプル(比較例2)の場合には、バックコート層に充
分な強度が付与されないためか、走行耐久性が充分でな
い。一方、余り高過ぎるTgを持つポリウレタン樹脂を
用いて調製したサンプル(比較例3)の場合には、形成
されるバックコート層が硬くなり過ぎて支持体との密着
性が充分でなくなり、また大きなカッピングが生じ、再
生出力が低下し易くなる。バックコート層に微粒子状の
カーボンブラック、あるいは粗粒子状のカーボンブラッ
クのいずれかのカーボンブラックが含まれてないサンプ
ル(比較例4及び5)の場合には、充分な走行耐久性を
得ることができなくなる。従来から用いていたポリウレ
タン樹脂を含み、かつニトロセルロースの含有量の多い
従来の構成のバックコート層を持つサンプル(比較例
6)の場合には、前記の比較例3の場合より更に大きな
カッピングが生じ易くなり、再生出力が大きく低下す
る。またTgが75℃のポリウレタン樹脂及び塩化ビニ
ル、そして硬化剤で構成されるバックコート層を持つサ
ンプル(比較例7)の場合には、なおバックコート層の
硬さは充分でないためか、テープダメージも生じ易く、
また摩擦係数が上昇し易くなり、充分な走行耐久性が得
られにくくなる。
【0108】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体として利用される
磁気テープは、特定の組成からなり、かつ特定の範囲に
Tgを持つポリウレタン樹脂で形成されたバックコート
層を有している。このため、薄型の磁気テープであって
もカッピングやコイリングなどの変形が生じにくく、ま
たバックコート層には適度な硬さが付与されるため、繰
り返し走行後の摩擦係数の上昇も少ない。従って、走行
中のテープのエッジなどのダメージは少なく、また高い
走行耐久性や電磁変換特性を得ることができる。特に、
高密度記録用の磁気記録再生システムに有利に用いるこ
とができる。本発明の磁気記録媒体は、特にコンピュー
タデータ記録用の磁気テープとして有利に用いることが
できる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年3月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】長鎖ジオール成分は、樹脂中に10〜50
重量%含まれるように、好ましくは、15〜45重量
%、特に好ましくは、30〜40重量%含まれるように
使用される。10重量%未満では溶剤への充分な溶解性
や分散性が得られにくくなる。50重量%より多くなる
と、得られるバックコート層に充分な強度が付与され
ず、そのため充分な耐久性が得られにくくなる。長鎖ジ
オールは、これに由来するエーテル基がポリウレタン樹
脂中に1.0〜5.0ミリモル/g、より好ましくは、
2.0〜5.0ミリモル/g、特に好ましくは、2.5
〜4.5ミリモル/gの量で含まれように調整される。
1ミリモル/g未満では、カーボンブラックなどへの吸
着性が低下し、充分な分散性が得られにくくなる。一
方、5ミモル/gを越えた場合には、溶剤への溶解性
が低下するため分散性が悪化する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】本発明に係るポリウレタン樹脂には分散性
を高めるために、樹脂中に−SO、−OSO
、−COOM、−PO、−OPO
、−NR、及び−NCOO
(M、M、M、M、M、M及びMは、各
々独立に、水素原子、アルカリ金属イオン、アルカリ土
類金属イオン、又はアンモニウムイオンを表し、R
、R、R及びRは各々独立に炭素数1〜12
のアルキル基を表す)からなる群より選ばれる少なくと
も一種の極性基が導入されていることが好ましい。特に
好ましくは、−SO又は−OSOである。
極性基の含有量は、1×10−5〜2×10−4モル/
gであり、特に好ましくは5×10−5〜1×10 −4
ル/gである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】本発明において、磁性層の結合剤は、塩化
ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、及びニト
ロセルロースの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂
と、ポリウレタン樹脂との組合せ、あるいはこれらに更
硬化剤としてのポリイソシアネートを加えた組み合わ
で構成されていることが好ましい。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一方の面に、強磁性粉末及び結
    合剤を含む磁性層を有し、そして該支持体の他方の面に
    平均粒子サイズが10〜20mμのカーボンブラック及
    び平均粒子サイズが230〜300mμのカーボンブラ
    ックと結合剤とを含むバックコート層を有する磁気記録
    媒体において、該バックコート層の結合剤が、樹脂中
    に、環状構造を有する短鎖ジオール成分を17〜40重
    量%、エーテル基を含む長鎖ジオール成分を10〜50
    重量%、及び該長鎖ジオール単位中のエーテル結合を
    1.0〜6.0ミリモル/g含み、かつガラス転移温度
    が80〜155℃の範囲にある、ジオールと有機ジイソ
    シアネートとを主原料として用いて得たポリウレタン樹
    脂を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 支持体の一方の面に、非磁性粉末及び結
    合剤を含む実質的に非磁性の非磁性層及び強磁性粉末及
    び結合剤を含む磁性層をこの順に有し、そして該支持体
    の他方の面に平均粒子サイズが10〜20mμのカーボ
    ンブラック及び平均粒子サイズが230〜300mμの
    カーボンブラックと結合剤とを含むバックコート層を有
    する磁気記録媒体において、樹脂中に、環状構造を有す
    る短鎖ジオール成分を17〜40重量%、エーテル基を
    含む長鎖ジオール成分を10〜50重量%、及び該長鎖
    ジオール単位中のエーテル結合を1.0〜6.0ミリモ
    ル/g含み、かつガラス転移温度が80〜155℃の範
    囲にある、ジオールと有機ジイソシアネートとを主原料
    として用いて得たポリウレタン樹脂を含むことを特徴と
    する磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 バックコート層が、更にモース硬度3〜
    4.5の軟質無機粉末とモース硬度5〜9の硬質無機粉
    末とを含む請求項1又は2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁気記録媒体の全体の厚みが5〜9μm
    の範囲にある請求項1〜3のうちのいずれかの項に記載
    の磁気記録媒体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1367567A2 (en) * 2002-05-30 2003-12-03 Fuji Photo Film Co., Ltd Magnetic recording medium
JP2005293769A (ja) * 2004-04-02 2005-10-20 Toyobo Co Ltd 磁気記録媒体およびコーティング剤

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