JP2002123928A - 磁気テープ - Google Patents

磁気テープ

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JP2002123928A
JP2002123928A JP2000311769A JP2000311769A JP2002123928A JP 2002123928 A JP2002123928 A JP 2002123928A JP 2000311769 A JP2000311769 A JP 2000311769A JP 2000311769 A JP2000311769 A JP 2000311769A JP 2002123928 A JP2002123928 A JP 2002123928A
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Japan
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magnetic tape
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layer
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Application number
JP2000311769A
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English (en)
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Masatoshi Takahashi
昌敏 高橋
Hiroaki Doshita
廣昭 堂下
Minoru Sueki
実 居樹
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リニア記録方式を利用し、磁気抵抗型の再生ヘ
ッドを組み込んだ磁気記録再生システムに適した磁気テ
ープを提供すること。 【解決手段】支持体の一方の面に、非磁性粉末及び結合
剤を含む実質的に非磁性である非磁性層と強磁性粉末及
び結合剤を含む磁性層とをこの順に有し、他方の面にカ
ーボンブラックを含むバックコート層を有する磁気テー
プ。該磁気テープの幅方向の温度膨張係数が0.001
5%/℃以下で、湿度膨張係数が0.0015%/%R
H以下であり、該磁気テープの長手方向のオフセット耐
力が10N以上で、破断強度が30N以上であり、該磁
気テープの磁性層表面に存在する、高さが50nm以
上、高さと幅の比が0.02以下の突起が6個/cm2
以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピューターデ
ータを記録するために用いられる磁気テープに関するも
のである。特に磁気抵抗型の再生ヘッド(MRヘッド)
を用いる磁気記録再生システムで使用される磁気テープ
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータデータを記録再生す
るための磁気記録再生システムにおいて、薄膜磁気ヘッ
ドを組み込んだシステムが実用化されている。薄膜磁気
ヘッドは、小型化やマルチトラックヘッドに加工し易い
ために、特に磁気テープを記録媒体としたシステムで
は、薄膜磁気ヘッドのマルチトラック固定ヘッドが多く
利用されている。薄膜磁気ヘッドの利用によって、小型
化によるトラック密度の向上や記録効率の向上が可能と
なり、高密度の記録を実現できると共に、またマルチト
ラック化によりデータの転送速度の向上も可能になる。
薄膜磁気ヘッドは、磁束の時間変化に応答する誘導型ヘ
ッドと、磁束の大きさに応答する磁気抵抗効果を利用し
た磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)に大別できる。誘導
型ヘッドは平面構造のためにヘッドコイルの巻き数が少
なく、起磁力を大きくすることが困難となり、従って再
生出力が十分得られないと云う問題がある。このため、
再生用には高い再生出力が得られ易いMRヘッドが用い
られ、一方、記録用には誘導型ヘッドが用いられてい
る。これらの記録及び再生ヘッドは通常一体型(複合
型)としてシステム中に組み込まれている。そして上記
のような磁気記録システムでは、より速いデータの転送
を実現できるリニア記録方式が採用されている。
【0003】MRヘッドが組み込まれた磁気記録再生シ
ステムに用いられるコンピュータデータ記録用磁気テー
プは、システム毎に決められており、例えば、IBMの
規格による3480型、3490型、3590型、ある
いは3570型対応の磁気テープが知られている。これ
らの磁気テープは、支持体上に層厚が2.0〜3.0μ
m程度と比較的厚い単層構造の強磁性粉末及び結合剤を
含む磁性層が設けられた基本構成を有している。また、
通常上記のようなデータ記録用の磁気テープでは、磁性
層とは反対側の裏面に巻き乱れの防止や良好な走行耐久
性を保つためにバックコート層が設けられている。
【0004】上記のような単層構造の磁性層を有する磁
気テープは、昨今の大量のデータを保存する媒体として
ニーズに十分対応できないという問題がある。このよう
な問題に対して、例えば、薄膜磁気ヘッドが組み込まれ
た磁気記録システムに用いられる磁気記録媒体として、
非磁性支持体上に無機質非磁性粉末を結合剤に分散して
なる下層非磁性層と、該非磁性層の上に強磁性金属粉末
を結合剤に分散してなる薄い上層磁性層を設けた磁気記
録媒体(磁気テープ)が提案されている(特開平8−2
27517号公報)。上層の磁性層を薄くすることで厚
み損失による出力低下が抑制され、また高い記録密度が
達成できるため、単層構造の磁性層を有する磁気テープ
に比べてより大きな容量のデータの保存が可能となる。
ここには実施例として、厚さ10μmのポリエチレンテ
レフタレート製支持体の一方の側に、厚さ2.7μmの
非磁性層及び厚さ0.3μmの磁性層が順に設けられた
コンピュータデータ記録用の磁気テープが記載されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】リニア記録方式を採用
する磁気記録再生システムにおいて、より高い記録密度
でかつより大きな記録容量を実現するために、磁気テー
プの記録・再生時のトラック幅は狭くなる傾向にある。
記録・再生時には、磁気ヘッドが磁気テープの幅方向
(上下方向)に移動し、いずれかのトラックを選択しな
ければならないが、トラック幅が狭くなるに従い、磁気
テープとヘッドとの相対位置を制御するために高い精度
が必要になる。
【0006】従来のリニア記録方式では、磁気テープの
走行位置をガイド等で固定し、ヘッドは予め決められた
位置を上下方向に移動するように設計されている。しか
し、トラック幅が狭くなると、温度や湿度などの環境変
化の影響でテープが伸縮した場合やテープの走行位置が
予想される走行位置からずれた場合には、再生ヘッド
は、データが記録されたトラックの最適な位置からずれ
て走行するため、出力が低下し易くなる。そこで、最近
では、サーボ信号を磁気テープの長手方向に記録し、こ
のサーボ信号によりヘッドのテープに対する相対位置を
検出し、ヘッドがトラックの最適な位置を走行できるよ
うにヘッドの位置を制御する方法が利用されている。こ
のサーボ信号は複数のサーボバンドからなり、それぞれ
のサーボバンド内で幅方向に変化する信号を有してい
る。従ってそのサーボ信号を再生することで再生ヘッド
がサーボバンドに対してどの位置にあるかを検出するこ
とができる。このようなサーボ信号を記録した磁気テー
プを用いるシステムにおいては、サーボバンド間の幅方
向の間隔、及びサーボバンドの幅が変動しないことが好
ましい。即ち、磁気テープの幅方向の寸法が変化しない
ことが好ましい。
【0007】一方、上記のシステム用の磁気テープは、
高速走行、繰り返し走行が行なわれるため、その長手方
向の寸法も変化しにくいことが従来に増して必要にな
る。即ち、高密度記録が可能なMRヘッドを用いるシス
テムでは、磁気テープのMRヘッドに対する当たり(M
Rヘッドへの接触状態)を確保するために、磁気テープ
の張力はシステム内で大きくなる傾向があるためであ
る。特に、磁気テープのBOT部(テープリールに巻か
れるテープの始端部)やEOT部(テープリールに巻か
れるテープの終端部)の走行停止時の張力は大きくな
り、その結果、磁気テープが伸ばされて出力低下を起し
たり、またこれに伴って磁気テープの幅方向の寸法も影
響を受け、特に上記のようなサーボ信号を記録した磁気
テープでは、トラック制御に支障が生じ、エラーが発生
し易くなる。このため、上記のシステム用の磁気テープ
はその長手方向に対して従来に増して更に高い力学的強
度を有していることが望まれる。
【0008】本発明者の検討によると、前記特開平8−
227517号公報に記載の磁気テープを上記のシステ
ム用として利用するには、トラッキング特性やテープの
走行特性においては尚改善を要することが判明した。即
ち、この磁気テープは、温度や湿度の変化に対してその
幅方向の変化が比較的大きくなり、従ってこのテープを
用いて記録再生を行った場合には、サーボ信号によるト
ラック制御が行なわれている場合でもトラッキング精度
が低下し、十分な再生出力が得られにくくなったり、ま
た繰り返し走行後には、エラーが発生し易くなることが
判明した。
【0009】そこで、本発明者らは、磁気テープの幅方
向の寸法の変化が少なく、幅の狭いトラックにも拘らず
走行時のトラックずれ(オフトラック)を少なくして記
録再生を高い信頼性を持って行なうことができる、リニ
ア記録方式を利用し、磁気抵抗型の再生ヘッドを組み込
んだ磁気記録再生システムに適した磁気テープを提供す
ることを目的として、支持体の一方の面に、非磁性粉末
及び結合剤を含む実質的に非磁性である非磁性層と、強
磁性粉末及び結合剤を含む磁性層とをこの順に有し、そ
して該支持体の他方の面にカーボンブラックを含むバッ
クコート層を有する磁気テープであって、該磁気テープ
の幅方向の温度膨張係数が0.0015%/℃以下で、
湿度膨張係数が0.0015%/%RH以下であり、か
つ該磁気テープの長手方向のオフセット耐力が10N以
上で、破断強度が30N以上であることを特徴とする磁
気テープを提案した(特開平11−250449号公
報)。
【0010】この磁気テープでは、磁気テープの幅方向
の温度・湿度膨張係数を一定値以下に抑えると共に、テ
ープの長手方向の力学的強度を従来に比べて更に強化す
ることで、特にテープの幅方向の寸法変化を低減し、幅
の狭いトラックにも拘らず走行時のオフトラックが少な
く、安定したトラッキング特性が得られた。具体的に
は、この磁気テープは、磁気テープの寸法の変化に対し
て特にその影響が出現し易い支持体材料として、テープ
が上記のような特性を示すようにその幅方向や長手方向
の力学的強度が適度に調整された支持体材料を用いるこ
とで、MRヘッドを組み込んだ磁気記録再生システムに
適した磁気テープであった。
【0011】しかるに、リニア記録方式ではヘッドに対
してほぼ平行に走行し接触するためヘリカル記録方式に
比べヘッド当たりが取りにくい。特開平11−2504
49号公報に記載の磁気テープでは、上記のように張力
を大きしてヘッド当たりを確保する工夫がなされている
が十分ではなかった。そのため、ヘリカル記録方式では
問題になりにくい磁性層表面の突起がDO(ト゛ロッフ゜アウ
ト)の原因となることがあった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、リニア記録方式を利用し、磁気抵抗型の再生ヘッド
を組み込んだ磁気記録再生システムに適した磁気テープ
を提供することである。特に、本発明の目的は、磁気テ
ープの幅方向の寸法の変化が少なく、幅の狭いトラック
にも拘らず走行時のトラックずれ(オフトラック)を少
なくして記録再生を高い信頼性を持って行なうことがで
き、しかもニア記録方式において、磁性層表面の突起が
DO(ト゛ロッフ゜アウト)の発生を抑制できる磁気テープを提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁気テープの
幅方向の温湿度膨張係数を一定値以下に抑えることとテ
ープ長手方向の力学強度を強化することで、特に、テー
プ幅方向のい寸法変化を低減し、幅の狭いトラックにも
関わらず走行時のオフトラックが少なく、安定したトラ
ッキング特性が得られることを見いだした。さらに、磁
性層表面に存在する特定の寸法を有する突起の数を低減
することで、突起に起因したDOやエラーが少ない安定
したトラッキング特性を有する磁気テープが得られるこ
とを見出して本発明を完成した。本発明は、支持体の一
方の面に、非磁性粉末及び結合剤を含む実質的に非磁性
である非磁性層と強磁性粉末及び結合剤を含む磁性層と
をこの順に有し、他方の面にカーボンブラックを含むン
バクコート層を有する磁気テープであって、該磁気テー
プの幅方向の温度膨張係数が0.0015%/℃以下
で、湿度膨張係数が0.0015%/%RH以下であ
り、該磁気テープの長手方向のオフセット耐力が10N
以上で、破断強度が30N以上であり、該磁気テープの
磁性層表面に存在する、高さが50nm以上、高さと幅
の比が0.02以下の突起が18個/cm2以下である
ことを特徴とする磁気テープに関する。
【0014】
【0015】本発明の磁気テープは以下の態様であるこ
とが好ましい。 (1)磁気テープの幅方向の温度膨張係数が0.001
0%/℃以下(更に好ましくは0.0008%/℃以
下)である。 (2)磁気テープの幅方向の湿度膨張係数が0.001
3%/%RH以下(更に好ましくは0.0010%/%
RH以下)である。 (3)磁気テープの長手方向のオフセット耐力が11N
以上(更に好ましくは15N以上、20N以下)であ
る。 (4)磁気テープの長手方向の破断強度が30N以上
(更に好ましくは、31N以上、35N以下)である。
【0016】(5)支持体の横方向のヤング率が5.9
GPa(600kg/mm2)以上(更に好ましくは、
6.2GPa(630kg/mm2)以上、特に好まし
くは、6.4GPa(650kg/mm2)以上、6.
9GPa(700kg/mm2)以下)である。 (6)支持体の長手方向のヤング率が7.4GPa(7
50kg/mm2)以上(更に好ましくは、7.8GP
a(800kg/mm2)以上、8.3GPa(850
kg/mm2)以下)である。 (7)支持体がポリエチレンナフタレート製である。 (8)磁気テープの横方向のヤング率が6.4GPa
(650kg/mm2)以上(更に好ましくは、6.9
GPa(700kg/mm2)以上、特に好ましくは、
7.2GPa(730kg/mm2)以上、7.8GP
a(800kg/mm2)以下)である。 (9)磁気テープの長手方向のヤング率が9.3GPa
(950kg/mm2)以上(更に好ましくは、9.6
GPa(980kg/mm2)以上、特に好ましくは、
9.8GPa(1000kg/mm2)以上、10.8
GPa(1100kg/mm2)以下)である。
【0017】(10)磁気テープの幅が5〜13mm
(更に好ましくは、7〜13μm、特に好ましくは10
〜13μm)の範囲にある。 (11)磁気テープの全体の厚みが5〜10μm(更に
好ましくは、7〜9.5μm、特に好ましくは7.5〜
9.5μm)の範囲にある。
【0018】(12)カーボンブラックが、10〜30
nmの微粒子状カーボンブラックと150〜300nm
の粗粒子状カーボンブラックの異なる平均粒子サイズを
持つ二種類のカーボンブラックを含む。 (13)バックコート層が更にモース硬度5〜9の硬質
無機質粉末を含む。 (14)上記モース硬度5〜9の無機質粉末の平均粒子
サイズが0.08〜1μm(更に好ましくは、0.05
〜0.5μm、特に、0.08〜0.3nm)の範囲に
ある。 (15)上記モース硬度5〜9の無機質粉末が、α−ア
ルミナである。 (16)バックコート層の厚さが、0.2〜0.8μm
の範囲にある。
【0019】(17)記録及び再生ヘッドの磁気テープ
に対する幅方向の相対位置を制御するために、磁気テー
プの長手方向に沿ってサーボ信号が記録されている。 (18)上記の磁気テープが磁気抵抗型の再生ヘッドを
用いる磁気記録再生システム用である。 (19)上記の磁気テープがコンピュータデータ記録用
である。 (20)非磁性支持体の磁性面塗布側の表面に存在す
る、高さ273nm以上の突起が600個/100cm
2以下(好ましくは0〜300個/100cm2)であ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の磁気テープは、支持体の
一方の面に、非磁性粉末及び結合剤を含む実質的に非磁
性である非磁性層と、強磁性粉末及び結合剤を含む磁性
層とをこの順に有し、そして該支持体の他方の面にカー
ボンブラックを含むバックコート層を有する。本発明
は、磁気テープの幅方向の温度膨張係数が0.0015
%/℃以下で、湿度膨張係数が0.0015%/%RH
以下であり、かつ該テープの長手方向のオフセット耐力
が10N以上で、破断強度が30N以上であり、該磁気
テープの磁性層表面に存在する、高さが50nm以上、
高さと幅の比が0.02以下の突起が18個/cm2
下であることを特徴とするものである。
【0021】本発明の磁気テープは、その幅方向の温度
膨張係数が、0.0015%/℃以下、好ましくは0.
0010%/℃以下、更に好ましくは、0.0008%
/℃以下である。磁気テープの幅方向の温度膨張係数
が、0.0015%/℃を超えると、トラック制御に支
障が生じ、十分な再生出力が得られなくなるという問題
がある。磁気テープの幅方向の湿度膨張係数は、0.0
015%/%RH以下、好ましくは0.0013%/%
RH以下、更に好ましくは、0.0010%/%RH以
下である。磁気テープの幅方向の湿度膨張係数が0.0
015%/%RHを超えると、トラック制御に支障が生
じ、十分な再生出力が得られなくなるという問題があ
る。磁気テープの長手方向のオフセット耐力は10N以
上、好ましくは11N以上、更に好ましくは15N以
上、20N以下である。磁気テープの長手方向のオフセ
ット耐力は10N未満では、大きな張力がかかったとき
に、テープが伸ばされて出力低下を起こしたり、トラッ
ク制御に支障が生じエラーが発生するという問題があ
る。磁気テープの長手方向の破断強度は、30N以上、
好ましくは、31N以上、35N以下である。磁気テー
プの長手方向の破断強度が30N未満では、大きな張力
がかかったときにテープが伸ばされて変形することがあ
り、場合によっては切断に至る恐れがあるという問題が
ある。
【0022】まず、本発明の特徴的な要件である上記の
ような特徴を有する本発明の磁気テープを調製する方法
について説明する。本発明の磁気テープを調製する方法
は、特に限定されない。本発明では、支持体として用い
る材料の幅方向および/又は長手方向の力学的強度を調
整することにより得られた材料を用いることが好まし
い。具体的には、磁気テープの支持体材料には、後述す
るように合成樹脂が好ましく用いられるが、この合成樹
脂をフィルム状に形成(製膜)する際に、その幅方向、
及び/又は長手方向を適度に延伸する方法によりその力
学的強度が強化された材料を支持体として用いることが
好ましい。本発明で用いる支持体は、その横方向のヤン
グ率が5.9GPa(600kg/mm2)以上(更に
好ましくは、6.2GPa(630kg/mm2)以
上、特に好ましくは、6.4GPa(650kg/mm
2)以上、6.9GPa(700kg/mm2)以下)で
あることが好ましい。またその長手方向のヤング率が
7.4GPa(750kg/mm 2)以上(更に好まし
くは、7.8GPa(800kg/mm2)以上、8.
3GPa(850kg/mm2)以下)であることが好
ましい。
【0023】本発明の磁気テープに用いる支持体は、上
記のように合成樹脂フィルムから形成されていることが
好ましい。これらの材料は、従来から磁気テープにおい
て使用されている材料から選ぶことができる。特に非磁
性のものが好ましい。これらの例としては、ポリエステ
ル類(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチエレ
ンナフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリエ
チレンナフタレートとの混合物、エチレンテレフタレー
ト成分とエチレンナフタレート成分とを含む共重合
物)、ポリオレフィン類(例、ポリプロピレン)、セル
ロース誘導体類(例、セルロースジアセテート、セルロ
ーストリアセテート)、ポリカーボネート、ポリアミド
(例、芳香族ポリアミド、アラミド)、ポリイミド
(例、全芳香族ポリイミド)などの合成樹脂フイルムを
挙げることができる。これらの中では、ポリエチレンナ
フタレート(PEN)が特に好ましい。支持体の厚み
は、特に制限はないが、2.0〜7.5μm(更に好ま
しくは、3.0〜7.0μm、特に4.5〜6.5μ
m)の範囲にあることが好ましい。
【0024】以上のように、その幅方向及び/又は長手
方向の力学的強度が適度に調整された支持体を用いて調
製された本発明の磁気テープは、磁気テープの横方向の
ヤング率が6.4GPa(650kg/mm2)以上
(更に好ましくは、6.9GPa(700kg/m
2)以上、特に好ましくは、7.2GPa(730k
g/mm2)以上、7.8GPa(800kg/mm2
以下)であることが好ましい。また磁気テープの長手方
向のヤング率が9.3GPa(950kg/mm2)以
上(更に好ましくは、9.6GPa(980kg/mm
2)以上、特に好ましくは、9.8GPa(1000k
g/mm2)以上、10.8GPa(1100kg/m
2)以下)であることが好ましい。
【0025】本発明の磁気テープは、磁性層表面に存在
する、高さが50nm以上、高さと幅の比が0.02以
下の突起が6個/cm2以下である。高さが50nm以
上、高さと幅の比が0.02以下の突起が6個/cm2
以下であることで、突起に起因したDOやエラーが少な
い安定したトラッキング特性を有する磁気テープが得ら
れる。磁性層表面に存在する、高さが50nm以上、高
さと幅の比が0.02以下の突起は、3個/cm2以下
であることが好ましく、本来ないことが理想的である。
例えば、製膜時に目の細かいフィルターを使用して粗大
突起の核となるフィラーの凝集塊及び不純物の除去率を
高めて粗大突起を減らすことにより、磁性層表面に存在
する、高さが50nm以上、高さと幅の比が0.02以
下の突起の数を6個/cm2以下とすることができる。
【0026】次に、本発明の磁気テープの他の構成要件
について説明する。磁性層について詳述する。磁性層
は、強磁性粉末および結合剤から形成されている。また
磁性層には、通常、導電性粉末(例、カーボンブラッ
ク)、研磨剤、そして潤滑剤が含まれている。
【0027】強磁性粉末としては、例えば、磁性酸化鉄
FeOx(x=1.33〜1.5)、Co変性FeOx
(x=1.33〜1.5)、Fe、Ni又はCoを主成
分(75%以上)とする強磁性合金粉末(強磁性金属粉
末)、及び板状六方晶フェライト粉末などの公知の強磁
性粉末を使用することができる。特に、強磁性合金粉末
の使用が好ましい。強磁性粉末には所定の原子の他に、
Al、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、M
o、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、T
a、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、
Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr及びB
の内の少なくとも一つの原子を含んでいてもかまわな
い。
【0028】強磁性粉末は、分散剤、潤滑剤、界面活性
剤、帯電防止剤などで分散前に予め処理を行ってもかま
わない。具体的には、特公昭44−14090号、特公
昭45−18372号、特公昭47−22062号、特
公昭47−22513号、特公昭46−28466号、
特公昭46−38755号、特公昭47−4286号、
特公昭47−12422号、特公昭47−17284
号、特公昭47−18509号、特公昭47−1857
3号、特公昭39−10307号、及び特公昭48−3
9639号の各公報、そして米国特許第3026215
号、同3031341号、同3100194号、同32
42005号、及び同3389014号の各明細書に記
載されている処理方法を利用することができる。なお、
強磁性合金粉末には少量の水酸化物又は酸化物が含まれ
ていてもよい。
【0029】上記強磁性合金粉末は、その粒子の比表面
積が好ましくは30〜70m2/gであって、X線回折
法から求められる結晶子サイズは、50〜300オング
ストロームである。比表面積が余り小さいと高密度記録
に充分に対応できなくなり、又余り大き過ぎても分散が
充分に行えず、従って平滑な面の磁性層が形成できなく
なるため同様に高密度記録に対応できなくなる。
【0030】強磁性合金粉末には少なくともFeが含ま
れている。具体的には、Fe−Co、Fe−Ni、Fe
−Zn−Ni又はFe−Ni−Coを主体とした金属合
金である。なお、Fe単独でも良い。またこれらの強磁
性合金粉末は、高い記録密度を達成するために、好まし
くは、その飽和磁化量(飽和磁束密度)(σs )は11
0A・m2/kg(110emu/g)以上、更に好ま
しくは120A・m2/kg(120emu/g)以
上、170A・m2/kg(170emu/g)以下で
ある。保磁力(Hc)は119〜199kA/m(15
00〜2500エルステッド(Oe))(好ましくは、
135〜175kA/m(1700〜2200エルステ
ッド)、特に好ましくは、143〜167kA/m(1
800〜2100エルステッド))の範囲にあることが
好ましい。また透過型電子顕微鏡により求められる粉末
の長軸長(すなわち、平均粒子径)は、0.5μm以
下、好ましくは、0.01〜0.3μmで軸比(長軸長
/短軸長、針状比)は、5〜20、好ましくは、5〜1
5である。更に特性を改良するために、組成中にB、
C、Al、Si、P等の非金属、もしくはその塩、酸化
物が添加されることもある。通常、前記金属粉末の粒子
表面は、化学的に安定させるために酸化物の層が形成さ
れている。
【0031】板状六方晶フェライトとしては、平板状で
その平板面に垂直な方向に磁化容易軸がある強磁性体で
あって、具体的には、バリウムフェライト(マグネトブ
ランバイト型や一部にスピネル相を含有したマグネトブ
ランバイト型)、ストロンチウムフェライト(マグネト
ブランバイト型や一部にスピネル相を含有したマグネト
ブランバイト型)、鉛フェライト、カルシウムフェライ
ト、及びそれらのコバルト置換体等を挙げることができ
る。これらの中では、特にバリウムフェライトのコバル
ト置換体、ストロンチウムフェライトのコバルト置換体
が好ましい。本発明で用いる板状六方晶フェライトに
は、抗磁力を制御するために、必要に応じてCo−T
i、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti
−Zn、あるいはIr−Zn等の元素を添加したものを
使用することができる。
【0032】板状六方晶フェライト粉末において、板径
は六角板状の粒子の板の幅を意味し電子顕微鏡で測定す
ることができる。本発明で用いる板状六方晶フェライト
粉末は、粒子サイズ(板径)が0.001〜1.0μm
の範囲にあることが好ましく、板状比(板径/板厚)が
2〜20の範囲にあることが好ましく、またその比表面
積が1〜60m2/gの範囲にあることが好ましい。板
状六方晶フェライト粉末は、強磁性金属粉末と同じ理由
からその粒子サイズが大きすぎても小さすぎても高密度
記録が難しくなる。またこれらの板状六方晶フェライト
粉末は、高い記録密度を達成するために、その飽和磁化
(σs )は少なくとも50A・m2/kg(50emu
/g)以上(更に好ましくは53A・m2/kg(53
emu/g)以上)であることが好ましい。また保磁力
(Hc)は119〜199kA/m(1500〜250
0エルステッド(Oe))(好ましくは、135〜17
5kA/m(1700〜2200エルステッド)、特に
好ましくは、143〜167kA/m(1800〜21
00エルステッド))の範囲にあることが好ましい。
【0033】強磁性粉末の含水率は0.01〜2重量%
とすることが好ましい。また結合剤(樹脂)の種類によ
って含水率を最適化することが好ましい。強磁性粉末の
pHは用いる結合剤との組み合わせにより最適化するこ
とが好ましく、そのpHは通常4〜12の範囲であり、
好ましくは5〜10の範囲である。強磁性粉末は、必要
に応じて、Al、Si、P、Y又はこれらの酸化物など
でその表面の少なくとも一部が被覆されているものが好
ましい。表面処理を施す際のその使用量は、通常強磁性
粉末に対して、0.1〜10重量%である。このように
被覆された強磁性粉末は、脂肪酸などの潤滑剤の吸着が
100mg/m2以下に抑えられるので、潤滑剤の磁性
層への添加量を少なくしても、所望の効果が達成でき
る。強磁性粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、
及びSrなどの無機イオンが含まれる場合があるが、そ
の含有量はできるだけ少ないことが好ましい。通常は5
000ppm以下であれば特性に影響を与えることはな
い。尚、上記のような強磁性粉末及びその製造方法は、
例えば、特開平7−22224号公報に記載されてい
る。
【0034】磁性層のカーボンブラックは、磁性層の表
面電気抵抗(RS )の低減、動摩擦係数(μK 値)の
低減、走行耐久性の向上、及び磁性層の平滑な表面性を
確保する等の種々の目的で添加される。カーボンブラッ
クは、その平均粒子径が5〜350nm(更に好ましく
は、10〜300nm)の範囲にあることが好ましい。
またその比表面積は5〜500m2/g(更に好ましく
は、50〜300m2/g)であることが好ましい。D
BP吸油量は、10〜1000ml/100g(更に好
ましくは、50〜300ml/100g)の範囲にある
ことが好ましい。またpHは、2〜10、含水率は、
0.1〜10%、そしてタップ密度は、0.1〜1g/
ccであることが好ましい。
【0035】カーボンブラックは様々な製法で得たもの
が使用できる。使用できるカーボンブラックの例として
は、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレ
ンブラック、チャンネルブラック及びランプブラックを
挙げることができる。カーボンブラックの具体的な商品
例としては、BLACKPEARLS 2000、13
00、1000、900、800、700、VULCA
N XC−72(以上、キャボット社製)、#35、#
50、#55、#60及び#80(以上、旭カーボン
(株)製)、#3950B、#3750B、#3250
B、#2400B、#2300B、#1000、#90
0、#40、#30、及び#10B(以上、三菱化学
(株)製)、CONDUCTEX SC、RAVEN、
150、50、40、15(以上、コロンビアカーボン
社製)、ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラック
ECDJ−500およびケッチェンブラックECDJ−
600(以上、ライオンアグゾ(株)製)を挙げること
ができる。カーボンブラックの通常の添加量は、強磁性
粉末100重量部に対して、0.1〜30重量部(好ま
しくは、0.2〜15重量部)の範囲にある。
【0036】磁性層の研磨剤としては、例えば、溶融ア
ルミナ、α−アルミナ、炭化珪素、酸化クロム(Cr2
3)、コランダム、人造コランダム、ダイアモンド、
人造ダイアモンド、ザクロ石、エメリー(主成分:コラ
ンダムと磁鉄鉱)を挙げることができる。これらの研磨
剤は、モース硬度5以上(好ましくは、6以上、特に好
ましくは、8μm以上)であり、平均粒子径が、0.0
5〜1μm(更に好ましくは、0.2〜0.8μm)の
大きさのものが好ましい。研磨剤の添加量は、通常強磁
性粉末100重量部に対して、3〜25重量部(好まし
くは、3〜20重量部)の範囲にある。
【0037】磁性層の潤滑剤は、磁性層表面ににじみ出
ることによって、磁性層表面と磁気ヘッドとの摩擦を緩
和し、摺接状態を円滑に維持させるために添加される。
潤滑剤としては、例えば、脂肪酸及び脂肪酸エステルを
挙げることができる。脂肪酸としては、例えば、酢酸、
プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、
アラキン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、
リノレン酸、及びパルミトレイン酸等の脂肪族カルボン
酸又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0038】また脂肪酸エステルとしては、例えば、ブ
チルステアレート、sec-ブチルステアレート、イソプロ
ピルステアレート、ブチルオレエート、アミルステアレ
ート、3−メチルブチルステアレート、2−エチルヘキ
シルステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、
ブチルパルミテート、2−エチルヘキシルミリステー
ト、ブチルステアレートとブチルパルミテートとの混合
物、オレイルオレエート、ブトキシエチルステアレー
ト、2−ブトキシ−1−プロピルステアレート、ジプロ
ピレングリコールモノブチルエーテルをステアリン酸で
アシル化したもの、ジエチレングリコールジパルミテー
ト、ヘキサメチレンジオールをミリスチン酸でアシル化
してジオールとしたもの、そしてグリセリンのオレエー
ト等の種々のエステル化合物を挙げることができる。上
記のような脂肪酸、及び脂肪酸エステルは、単独である
いは二以上の化合物を組み合わせて使用することができ
る。潤滑剤の通常の含有量は、強磁性粉末100重量部
に対して、0.2〜20重量部(好ましくは、0.5〜
10重量部)の範囲にある。
【0039】磁性層の結合剤としては、例えば、熱可塑
性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を
挙げることができる。熱可塑性樹脂の例としては、塩化
ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、
アクルリ酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、ア
クリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステ
ル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラー
ル、ビニルアセタール、及びビニルエーテルを構成単位
として含む重合体、あるいは共重合体を挙げることがで
きる。共重合体としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、
塩化ビニル−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸エ
ステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステ
ル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−ス
チレン共重合体、メタアクリル酸エステル−アクリルニ
トリル共重合体、メタアクリル酸エステル−塩化ビニリ
デン共重合体、メタアクリル酸エステル−スチレン共重
合体、塩ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジ
エン共重合体、クロロビニルエーテル−アクリル酸エス
テル共重合体を挙げることができる。
【0040】上記の他に、ポリアミド樹脂、繊維素系樹
脂(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイ
アセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロ
ースなど)、ポリ弗化ビニル、ポリエステル樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂なども利用することがで
きる。
【0041】また熱硬化性樹脂または反応型樹脂として
は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹
脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリ
コーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル
樹脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリ
エステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポ
リウレタンとポリイソシアネートの混合物を挙げること
ができる。
【0042】上記ポリイソシアネートとしては、例え
ば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,
5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネートなどのイソシアネート類、これらの
イソシアネート類とポリアルコールとの生成物、及びイ
ソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネ
ートを挙げることができる。
【0043】上記ポリウレタン樹脂は、ポリエステルポ
リウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテル
ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレ
タン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、及
びポリカプロラクトンポリウレタンなどの構造を有する
公知のものが使用できる。
【0044】本発明において、磁性層の結合剤は、塩化
ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、及びニト
ロセルロースの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂
と、ポリウレタン樹脂との組合せ、あるいはこれらに更
に硬化剤としてのポリイソシアネートを加えた組み合わ
で構成されていることが好ましい。
【0045】結合剤は、より優れた分散性と得られる層
の耐久性を得るために必要に応じて、−COOM、−S
3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=
O(OM)2(Mは水素原子又はアルカリ金属を表わ
す。)、−OH、−NR2、−N +3(Rは炭化水素基
を表わす。)、エポキシ基、−SH、−CNなどから選
ばれる少なくともひとつの極性基を共重合または付加反
応で導入して用いることが好ましい。このような極性基
は、結合剤に10-1〜10-8モル/g(更に好ましくは
10-2〜10-6モル/g)の量で導入されていることが
好ましい。
【0046】磁性層中の結合剤は、強磁性粉末100重
量部に対して、通常5〜50重量部(好ましくは10〜
30重量部)の範囲で用いられる。なお、磁性層に結合
剤として塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポ
リイソシアネートを組み合わせて用いる場合は、全結合
剤中に、塩化ビニル系樹脂が5〜70重量%、ポリウレ
タン樹脂が2〜50重量%、そしてポリイソシアネート
が2〜50重量%の範囲の量で含まれるように用いるこ
とが好ましい。
【0047】磁性層を形成するための塗布液には、強磁
性粉末、カーボンブラックなどの粉末を結合剤中に良好
に分散させるために、分散剤を添加することができる。
また必要に応じて、可塑剤、カーボンブラック以外の導
電性粒子(帯電防止剤)、防黴剤などを添加することが
できる。分散剤としては、例えば、カプリル酸、カプリ
ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノ
ール酸、リノレン酸、ステアロール酸等の炭素数12〜
18個の脂肪酸(RCOOH、Rは炭素数11〜17個
のアルキル基、又はアルケニル基)、前記脂肪酸のアル
カリ金属又はアルカリ土類金属からなる金属石けん、前
記の脂肪酸エステルのフッ素を含有した化合物、前記脂
肪酸のアミド、ポリアルキレンオキサイドアルキルリン
酸エステル、レシチン、トリアルキルポリオレフィンオ
キシ第四級アンモニウム塩(アルキルは炭素数1〜5
個、オレフィンは、エチレン、プロピレンなど)、硫酸
塩、及び銅フタロシアニン等を使用することができる。
これらは、単独でも組み合わせて使用しても良い。分散
剤は、結合剤100重量部に対して0.5〜20重量部
の範囲で添加される。
【0048】非磁性層について詳述する。非磁性層は、
非磁性粉末及び結合剤を含む実質的に非磁性の層であ
る。この非磁性層は、その上の磁性層の電磁変換特性に
影響を与えないように実質的に非磁性であることが必要
であるが、磁性層の電磁変換特性に悪影響を与えなけれ
ば磁性粉末が含まれていても特に問題とはならない。ま
た非磁性層には通常、これらの成分以外に潤滑剤が含ま
れている。
【0049】非磁性層で用いられる非磁性粉末として
は、例えば、非磁性無機粉末、カーボンブラックを挙げ
ることができる。非磁性無機粉末は、比較的硬いものが
好ましく、モース硬度が5以上(更に好ましくは、6以
上)のものが好ましい。これらの非磁性無機粉末の例と
しては、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、
炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、
コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化チタ
ン、二酸化珪素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、及び硫酸バリウムを挙げることが
できる。これらは単独でまたは組合せて使用することが
できる。これらのうちでは、二酸化チタン、α−アルミ
ナ、α−酸化鉄又は酸化クロムが好ましい。非磁性無機
粉末の平均粒子径は、0.01〜1.0μm(好ましく
は、0.01〜0.5μm、特に、0.02〜0.1μ
m)の範囲にあることが好ましい。
【0050】非磁性層のカーボンブラックは、磁性層に
導電性を付与して帯電を防止すると共に、非磁性層上に
形成される磁性層の平滑な表面性を確保する目的で添加
される。非磁性層で用いるカーボンブラックとしては前
述した磁性層に含有させることができるカーボンブラッ
クを使用することができる。但し、非磁性層で使用する
カーボンブラックは、その平均粒子径が35nm以下
(更に好ましくは、10〜35nm)であることが好ま
しい。カーボンブラックの通常の添加量は、全非磁性無
機粉末100重量部に対して、3〜20重量部であり、
好ましくは、4〜18重量部、更に好ましくは、5〜1
5重量部である。
【0051】非磁性層の潤滑剤としては、前述の磁気テ
ープの磁性層にて記載した脂肪酸あるいは脂肪酸エステ
ルを使用することができる。潤滑剤の通常の添加量は、
非磁性層の全非磁性粉末100重量部に対して0.2〜
20重量部の範囲である。
【0052】非磁性層の結合剤としては、前述した磁性
層にて記載した結合剤を用いることができる。結合剤
は、非磁性層の非磁性粉末100重量部に対して、通常
5〜50重量部(好ましくは、10〜30重量部)の範
囲である。なお、非磁性層に結合剤として塩化ビニル系
樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイソシネートを組み
合わせて用いる場合は、全結合剤中に、塩化ビニル系樹
脂が5〜70重量%、ポリウレタン樹脂が2〜50重量
%、そしてポリイソシアネートが2〜50重量%の範囲
の量で含まれるように用いることが好ましい。なお、非
磁性層においても前述した磁性層に添加することができ
る分散剤やその他の添加剤を添加することができる。
【0053】次に、バックコート層について詳述する。
バックコート層はカーボンブラックが主体として含まれ
てなる層である。バックコート層では、カーボンブラッ
クは、平均粒子サイズの異なる二種類のものを使用する
ことが好ましい。この場合、その平均粒子サイズが10
〜30nmの微粒子状カーボンブラックと平均粒子サイ
ズが150〜300nmの粗粒子状カーボンブラックを
使用することが好ましい。一般に、上記のような微粒子
状のカーボンブラックの添加により、バックコート層の
表面電気抵抗を低く設定できる。また微粒子状カーボン
ブラックは一般に液体潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤併
用時、摩擦係数の低減化に寄与する。一方、粒子サイズ
が150〜300nmの粗粒子状カーボンブラックは、
固体潤滑剤としての機能を有しており、またバック層の
表面に微小突起を形成し、接触面積を低減化して、摩擦
係数の低減化に寄与する。
【0054】バックコート層において、平均粒子サイズ
の異なる二種類のものを使用する場合、10〜30nm
の微粒子状カーボンブラックと150〜300nmの粗
粒子状カーボンブラックの含有比率(重量比)は、前
者:後者=2:98〜20:80の範囲にあることが好
ましく、更に好ましくは、4:96〜15:85の範囲
である。また、バックコート層におけるカーボンブラッ
ク(二種類のものを使用する場合はその全量)の含有量
は、好ましくは結合剤100重量部に対して、500〜
1500重量部の範囲であり、更に好ましくは、800
〜1200重量部の範囲である。なお、バックコート層
に用いられる結合剤としては、前述した磁性層に記載し
たものを使用することができる。ニトロセルロース樹脂
とポリエステルポリウレタン樹脂を併用することが好ま
しい。
【0055】テープに繰り返し走行耐久性を付与し、バ
ックコート層を強化する目的でモース硬度が5〜9の無
機質粉末を添加してもよい。無機質粉末をカーボンブラ
ックと共に使用すると、繰り返し摺動に対しても劣化が
少なく、強いバックコート層となる。またモース硬度が
5〜9の無機質粉末を使用すると、適度の研磨力が生
じ、テープガイドポール等へ削り屑等の付着が低減す
る。モース硬度5〜9の無機質粉末は、その平均粒子サ
イズが0.01〜1μm(更に好ましくは、0.05〜
0.5μm、特に好ましくは、0.08〜0.3μm)
の範囲にあることが好ましい。
【0056】モース硬度が5〜9の無機質粉末として
は、例えば、α−酸化鉄、α−アルミナ、及び酸化クロ
ム(Cr23)を挙げることができる。これらの粉末
は、それぞれ単独で用いても良いし、あるいは併用して
も良い。これらの内では、α−酸化鉄又はα−アルミナ
が好ましい。モース硬度が5〜9の無機質粉末の含有量
は、カーボンブラック100重量部に対して0.01〜
5重量部であり、好ましくは、0.05〜2重量部であ
る。
【0057】バックコート層には磁性層の説明で記載し
た分散剤を添加することができる。バックコート層で
は、分散剤は、オレイン酸銅、銅フタロシアニン、及び
硫酸バリウムを組み合わせて使用することが好ましい。
分散剤は、通常結合剤100重量部に対して0.5〜2
0重量部の範囲で添加される。
【0058】次に、本発明の磁気テープの製造方法につ
いて簡単に説明する。本発明の磁気テープは、通常の方
法に従って支持体の一方の面に非磁性層及び磁性層を、
そして他方の面にバックコート層を順にそれぞれ形成す
ることにより、製造することができる。
【0059】磁性層は非磁性層が湿潤状態にあるうちに
この上に設けられたものであることが好ましい。すなわ
ち、磁性層は、非磁性層用塗布液を塗布後、形成された
塗布層(非磁性層)が湿潤状態にあるうちにこの上に磁
性層用塗布液を塗布する、所謂ウエット・オン・ウエッ
ト方式による塗布方法を利用して形成されたものである
ことが好ましい。
【0060】上記ウエット・オン・ウエット方式による
塗布方法としては、例えば以下の方法を挙げることがで
きる。 (1)グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、ある
いはエクストルージョン塗布装置などを用いて、支持体
上にまず非磁性層を形成し、該非磁性層が湿潤状態にあ
るうちに、支持体加圧型エクストルージョン塗布装置に
より、磁性層を形成する方法(特開昭60−23817
9号、特公平1−46186号、特開平2−26567
2号公報参照)。 (2)塗布液用スリットを二つ備えた単一の塗布ヘッド
からなる塗布装置を用いて支持体上に磁性層と非磁性層
をほぼ同時に形成する方法(特開昭63−88080
号、特開平2−17921号、特開平2−265672
号各公報参照)。 (3)バックアップローラ付きエクストルージョン塗布
装置を用いて、支持体上に磁性層及び非磁性層をほぼ同
時に形成する方法(特開平2−174965号公報参
照)。本発明において、非磁性層及び磁性層は、同時重
層塗布法を利用して形成することが好ましい。
【0061】以上のようにして形成された磁性層は、そ
の表面粗さ(Ra)が、3D−MIRAU法(三次元
法)による測定で、1〜5nm(更に好ましくは、2〜
2.8nm、特に好ましくは、2.2〜2.7nm)の
範囲にあることが好ましい。
【0062】またバックコート層の表面性は、テープが
巻かれた状態で磁性層の表面に転写される傾向にある。
このためバックコート層も比較的高い平滑性を有してい
ることが好ましい。本発明の磁気テープのバックコート
層は、その表面粗さRa(カットオフ0.08mmの中
心線平均粗さ)が、0.0030〜0.060μmの範
囲にあるように調整されていることが好ましい。なお、
表面粗さは、通常塗膜形成後、カレンダーによる表面処
理工程において、用いるカレンダロールの材質、その表
面性、そして圧力等により、調節することができる。
【0063】本発明の磁気テープの非磁性層は、0.2
〜3.0μm(更に好ましくは、1.0〜2.5μm)
の範囲の厚さとなるように形成することが好ましい。磁
性層は、0.01〜1.0μm(更に好ましくは、0.
05〜0.8μm、特に好ましくは、0.08〜0.5
μm、最も好ましくは、0.1〜0.3μm)の範囲の
厚さとなるように形成することが好ましい。バックコー
ト層は、0.2〜0.8μmの範囲の厚さとなるように
形成することが好ましい。また本発明の磁気テープの全
体の厚さは、5〜10μm(更に好ましくは、7〜9.
5μm、特に好ましくは、7.5〜9.5μm)の範囲
にあることが好ましい。本発明の磁気テープの幅は、用
いられる磁気記録再生システムによっても異なるが、コ
ンピュータデータ記録用として有利に用いられるため、
その幅は、5〜13mm(更に好ましくは、7〜13μ
m、特に好ましくは10〜13μm)の範囲にあること
が好ましい。
【0064】本発明の磁気テープは、特にテープの幅方
向の寸法の変化が温度、湿度の影響を受けにくく構成さ
れているため、リニア記録方式を利用し、再生MRヘッ
ドを用いる磁気記録システムに有利に用いることができ
る。特に、本発明の磁気テープは、サーボ信号によって
ヘッドの位置が制御するようにされたシステムを利用す
る際に効果的であり、このため、磁気テープには、その
長手方向に沿ってサーボ信号が記録されていることが好
ましい。これによって、トラッキング精度を更に向上さ
せることができる。
【0065】再生ヘッドは特に制限はなく、従来から利
用されているものを使用することができる。特に、シー
ルド型あるいは縦形といったMR素子(例えば、Fe/
Ni(パーマロイ)合金薄膜からなるもの)が磁気テー
プに摺動するように構成されたMRヘッドを使用するこ
とが好ましい。
【0066】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を記載し、本発明
を更に具体的に説明する。尚、以下に示す「部」は、特
に断らない限り「重量部」を表わす。
【0067】 [非磁性層形成用塗布液及び磁性層形成用塗布液の調製] (非磁性層形成用成分) 非磁性粉末 二酸化チタンTiO2 (ルチル型) 90部 [TiO2 含有量:90%以上 平均一次粒子径:0.035μm BET法による比表面積:40m2/g pH:7.0 DBP吸油量:27〜38g/100g モース硬度:6.0 表面被覆化合物(A123):1.5重量%] カーボンブラック(三菱カーボン(株)製) 10部 [平均一次粒子径:16nm DBP吸油量:80ml/100g pH:8.0 BET法による比表面積:250m2/g 揮発分:1.5%] 極性基(−SO3K基、エポキシ基)含有 12部 塩化ビニル樹脂 [(MR−110、日本ゼオン(株)製)] 極性基(−SO3Na基)含有ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 [ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/ ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI) =0.9/2.6/1(重量比) −SO3Na基1×10-4モル/g含有] ポリイソシアネート 3部 [(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)] ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 150部 シクロヘキサノン 50部
【0068】 (磁性層形成用成分) 強磁性金属粉末 100部 [組成/Fe:Co=90:10(原子比) 保磁力(Hc):147kA/m(1850エルステッド(Oe)) BET法による比表面積:58m2/g 結晶子サイズ:175 オンク゛ストローム 飽和磁化量(σs):130A・m2/kg(130emu/g) 粒子サイズ(平均長軸径):0.09μm 針状比:7.0 pH:8.6 水溶性Na:70ppm 水溶性Ca:10ppm 水溶性Fe:10ppm] 極性基(−SO3K基)含有塩化ビニル系共重合体 12部 [−SO3K基含有量:5×10-6モル/g、重合度350 エポキシ基含有量:モノマー単位で3.5重量% (MR−110、日本ゼオン(株)製)] 極性基(−SO3Na基)含有ポリエステルポリウレタン樹脂 3部 [ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/ ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI) =0.9/2.6/1(重量比) −SO3Na基含有量:1×10-4モル/g] ポリイソシアネート 3部 [(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)] α−アルミナ[(粒子サイズ:0.2μm)] 5部 カーボンブラック[(粒子サイズ:0.08μm)] 0.5部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 150部 シクロヘキサノン 50部
【0069】上記非磁性層又は磁性層を形成する各成分
をそれぞれ連続ニーダで混練したのち、サンドミルを用
いて分散させた。得られたそれぞれの分散液に、上記ポ
リイソシアネートを非磁性層の分散液、及び磁性層の分
散液に共に3部を加え、更にそれぞれに酢酸ブチル40
部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用い
て濾過し、非磁性層形成用塗布液および磁性層形成用塗
布液をそれぞれ調製した。
【0070】 [バックコート層形成用塗布液の調製] (バックコート層形成用成分) カーボンブラック 100部 [平均一次粒子径:17nm DBP吸油量:75ml/100g pH:8.0 BET法による比表面積:220m2/g 揮発分:1.5% 嵩密度:15 lbs/ft3] ニトロセルロース樹脂 100部 ポリエステルポリウレタン樹脂 30部 [(ニッポラン、日本ポリウレタ工業(株)製)] 分散剤:オレイン酸銅 10部 銅フタロシアニン 10部 硫酸バリウム(沈降性) 5部 メチルエチルケトン 500部 トルエン 500部
【0071】上記の成分を予備混練し、ロールミルで混
練した。得られた分散物100重量部に対して、下記の
成分を添加してサンドグラインダーで分散した。 カーボンブラック 100部 [平均一次粒子径:200nm DBP吸油量:36ml/100g pH:8.5 BET法による比表面積:200m2/g] α−アルミナ[(粒子サイズ:0.2μm)] 0.1部 得られた分散物を濾過後、該分散物100重量部に対し
て、メチルエチルケトン120部及びポリイソシアネー
ト5部を添加してバック層形成用塗布液を調製した。
【0072】[コンピュータデータ記録用磁気テープの
作製]得られた非磁性層形成用塗布液と磁性層形成用塗
布液を、乾燥後の非磁性層の厚さが2.1μmとなるよ
うに、またこの上に乾燥後の磁性層の厚さが0.20μ
mとなるように表1又は表4に記載のポリエチレンナフ
タレート(PEN)製支持体(厚さ:6.0μm、中心
線表面粗さが5nm)上に同時重層塗布を行った。但
し、表4の比較例6の支持体のみポリエチレンテレフタ
レート(PET)製である。次いで、両層がまだ湿潤状
態にあるうちに、0.3T(3000ガウス)の磁束密
度を持つコバルト磁石と0.15T(1500ガウス)
の磁束密度を持つソレノイドを用いて配向処理を行っ
た。その後、乾燥させることにより、非磁性層及び磁性
層を形成した。尚、表1及び4に記載の実施例に使用し
た支持体は、製膜時に目の細かいフィルターを使用して
粗大突起の核となるフィラーの凝集塊及び不純物の除去
率を高めて粗大突起を減らすことにより、磁性層表面に
存在する、高さが50nm以上、高さと幅の比が0.0
2以下の突起の数を6個/cm2以下となるように調整
して作製した。実施例5〜8の支持体は、実施例1の支
持体を縦方向に延伸したものである。比較例5の支持体
は実施例5〜8の支持体を縦横に延伸したものである。
比較例6の支持体はPETで、実施例5〜8の支持体よ
り製膜時に建てに延伸したものである。
【0073】その後、該支持体の他方の側(磁性層とは
反対側)に、上記バックコート層形成用塗布液を乾燥後
の厚さが、0.5μmとなるように塗布し、乾燥してバ
ックコート層を設けて、支持体の一方の面に非磁性層と
磁性層とが、そして他方の面にバックコート層がそれぞ
れ設けられた磁気記録積層体ロールを得た。
【0074】得られた磁気記録積層体ロールを金属ロー
ルのみから構成される7段のカレンダー処理機(温度9
0℃、線圧29.4MPa(300kg/cm2))に
通してカレンダー処理を行った。次いでカレンダー処理
後の磁気記録積層体ロールを1/2インチ幅にスリット
し、本発明に従うコンピュータデータ記録用磁気テープ
(以下、単に磁気テープという)を得た。得られた磁気
テープを3480型1/2インチカートリッジに580
m巻き込んだ。
【0075】(1)薄膜磁気ヘッド 記録ヘッド 構造:2ターン薄膜コイルをCo系アモルファス磁性薄
膜ヨークで挟持したインダクティブヘッドである。 トラック幅:66μm、ギャップ長:1.4μm 再生ヘッド 構造:両シールド型シャントバイアスMR(磁気抵抗
型)ヘッドである。MR素子は、Fe/Ni(パーマロ
イ)合金薄膜である。 トラック幅:22μm、シールド間隔:0.45μm (2)磁気記録再生システムの組み立て 記録再生ヘッドを富士通(株)製F613Aドライブ
(3480型1/2インチカートリッジ磁気テープ記録
再生装置)に装着し、テープスピード40インチ/秒の
磁気記録再生システムを作成した。
【0076】[磁気テープとしての評価] (1)上記実施例1〜8及び比較例1〜7で得られた各
磁気テープの温度膨張係数及び湿度膨張係数、オフセッ
ト耐力及び破断強度、磁性層表面の高さが50nm以
上、高さと幅の比が0.02以下の突起の数、及び出力
比を下記の方法にて測定した。 温度膨張係数及び湿度膨張係数の測定 磁気テープをその幅方向に30mm、長手方向に幅5m
mで切り出したサンプルを用意した。このサンプルをT
MA装置のチャック部にセットしてデシケータ中で24
時間エージングした。エージング後のサンプルをTMA
装置にセットし、温度が20〜30℃における寸法変化
を測定し、温度膨張係数を以下の式により求めた。 温度膨張係数=(寸法変化/サンプル長)/温度変化 また同様にして、湿度が30%RH〜80%RHにおけ
る寸法変化を測定し、温度膨張係数を下記の式により求
めた。 湿度膨張係数=(寸法変化/サンプル長)/湿度変化
【0077】オフセット耐力及び破断強度の測定 長さ200mmに切り出した磁気テープの力学的強度を
テンシロンを用いて100mm/分の延伸速度で測定し
た。
【0078】磁気テープの全体の厚みの測定 ミツトヨ製マイクロメータを用いて磁気テープ10枚を
重ねて測定し、1枚の厚みを算出した。磁気テープの全
体の厚みは8.8μmであった。
【0079】磁性層表面突起の測定 磁性層表面の高さが50nm以上、高さと幅の比が0.
02以下の突起の数は以下の方法で測定した。2cm×
2cmのサンプルを微分干渉顕微鏡(100倍以下)で
観察し、突起をマーキングした。WYKO社製HD−2
000型でマーキングした突起の高さと幅を計測した。
測定条件は、以下の通りである。 対物レンズ ×50、中間レンズ ×0.5 測定範囲 242μm×184μm 得られたデータに傾き補正及び円筒補正を施した後、突
起の頂点と平面との距離を計測して突起高さとする。
【0080】(2)下記の(A)〜(C)の方法に従
い、磁気テープの性能を評価した。 (A)上記の磁気記録再生システムに実施例及び比較例
の磁気テープを装着して下記の条件で再生出力を測定
し、環境変化による磁気テープの特性を評価した。 (A−1)サーボ制御がない場合 5℃、10%RHの条件でトラック幅80μm、トラッ
ク数128でデータを0.8μmの記録波長で記録し、
50μmの幅を持つ再生ヘッドで再生した。再生時の環
境条件が上記の環境条件の場合と55℃、70%RHで
ある場合の出力を比較し、評価した。
【0081】(A−2)サーボ制御がある場合 5℃、10%RHの条件でトラック幅80μm、トラッ
ク数128で0.5μmの記録波長で記録し、3本のサ
ーボバンドでサーボによるトラック制御をしつつ、50
μmの幅を持つ再生ヘッドで再生した。再生時の環境条
件が上記の環境条件の場合と55℃、70%RHである
場合の出力を比較し、評価した。 出力比(%)=(55℃、70%RHでの出力)/(5
℃、10%RHでの出力)×100
【0082】(B)上記の磁気記録再生システムに実施
例及び比較例の磁気テープ(サーボ信号によるトラック
制御なし)を装着してテープ全長を5000パスの繰り
返し走行を行なった。そして磁気テープの全長に渡って
再生出力を測定し、磁気テープの走行特性を評価した。
【0083】(C)上記の磁気記録再生システムに実施
例及び比較例の磁気テープ(サーボ信号によるトラック
制御有り)を装着して繰り返し走行を行ない(完走:5
0000回)、エラーが発生した時のパス回数を測定
し、磁気テープの走行特性を評価した。エラーの測定は
以下のように行った。21℃、50%RH下でサーボ制御を行
い、1トラック(トラック幅80μm)を30m長再生し、以下
の条件を満たす信号の欠落をエラーとし、その発生数を
測定した。出力が50%以上低下し、かつ低下した時間が
0.25μsec以上である。尚、上記(B)及び(C)のい
ずれの場合にも磁気テープのシステム内(ドライブ内)
の走行時のテンションは1.0Nであるとする。但し、
磁気テープのBOT部やEOT部に達した時にテープに
掛るテンションはこの限りではない。以上の評価の結果
を表2、3、5及び6に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】表3に示された比較例4及び表6に示され
た比較例7は、いずれも特開平11−250449号公
報に記載の磁気テープの例である。比較例4及び7は、
いずれも磁性層表面の高さが50nm以上、高さと幅の
比が0.02以下の突起の数が7と本発明の範囲外であ
り、その結果、出力低下及び走行性は、実施例と同様で
あるが、エラー数(DO)が多かった。それに対して、
実施例1〜8は、いずれも、サーボ制御によるトラッキ
ングが可能であり、かつ出力低下、走行性及びエラー数
(DO)ともに良好であった。また、比較例1〜3及び
5〜6は、磁気テープの幅方向の温度膨張係数が0.0
015%/℃を超える(比較例1)か、磁気テープの長
手方向のオフセット耐力が10N未満である(比較例
2、3、5、6)か、破断強度が30N未満である(比
較例2、5、6)例である。比較例1、3、6はサーボ
制御してもトラッキングが不能であり、また、比較例2
及び5は、サーボ制御によるトラッキングは可能である
が、エラー数は小さいが、出力低下が顕著であり、かつ
走行性(走行耐久性)が劣るものであった。
【0091】
【発明の効果】本発明によれば、リニア記録方式を利用
し、磁気抵抗型の再生ヘッドを組み込んだ磁気記録再生
システムに適した磁気テープを提供することができる。
特に、本発明によれば、磁気テープの幅方向の寸法の変
化が少なく、幅の狭いトラックにも拘らず走行時のトラ
ックずれ(オフトラック)を少なくして記録再生を高い
信頼性を持って行なうことができ、しかもニア記録方式
において、磁性層表面の突起がDO(ト゛ロッフ゜アウト)の発
生を抑制できる磁気テープを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 居樹 実 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社小田原工場内 Fターム(参考) 5D006 CB01 CB07 FA03 FA04

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体の一方の面に、非磁性粉末及び結合
    剤を含む実質的に非磁性である非磁性層と強磁性粉末及
    び結合剤を含む磁性層とをこの順に有し、他方の面にカ
    ーボンブラックを含むバックコート層を有する磁気テー
    プであって、該磁気テープの幅方向の温度膨張係数が
    0.0015%/℃以下で、湿度膨張係数が0.001
    5%/%RH以下であり、該磁気テープの長手方向のオ
    フセット耐力が10N以上で、破断強度が30N以上で
    あり、該磁気テープの磁性層表面に存在する、高さが5
    0nm以上、高さと幅の比が0.02以下の突起が6個
    /cm 2以下であることを特徴とする磁気テープ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7494728B2 (en) 2002-04-25 2009-02-24 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic tape and magnetic tape cartridge
JP2011165266A (ja) * 2010-02-09 2011-08-25 Teijin Dupont Films Japan Ltd データストレージ用ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体支持体

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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