JPH11174685A - 平版印刷版の製版方法及び平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版の製版方法及び平版印刷版原版

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JPH11174685A
JPH11174685A JP34035897A JP34035897A JPH11174685A JP H11174685 A JPH11174685 A JP H11174685A JP 34035897 A JP34035897 A JP 34035897A JP 34035897 A JP34035897 A JP 34035897A JP H11174685 A JPH11174685 A JP H11174685A
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polymer compound
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Hidekazu Ohashi
秀和 大橋
Koichi Kawamura
浩一 川村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度で、汚れの少ない、水現像可能
な、あるいは画像書き込み後湿式現像処理やこすり等の
特別な処理を必要とせず、そのまま印刷機に装着し印刷
することが可能な感光性平版印刷版の製版方法及びそれ
に用いる平版印刷版原版を提供する。 【解決手段】 支持体の上に(a)側鎖に−COOR、
−COOM、−SO2 R、−SO2 M、−OH、−NR
1 2 (ここで、Rは水素原子、アルキル基又はアリー
ル基を示し、Mは金属原子を示し、R1 、R2 はそれぞ
れ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を示
す。)等から選ばれる官能基を有する親水性高分子化合
物からなる層と、(b)側鎖に、熱によりスルホン酸、
カルボン酸等を発生しうる特定の官能基の少なくとも一
つを有し、熱により親水性に変化する疎水性高分子化合
物からなる層とを、順次積層してなる平版印刷版原版を
露光し、印刷機上の湿し水により現像することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は紫外域〜赤外域に到
る広い範囲で充分な感度を有する水現像可能あるいは現
像することなしにそのまま印刷機に装着し印刷すること
ができるポジ型感光性平版印刷版の製版方法及びそれに
用いる、ディジタル信号に基づいてレーザーを操作する
ことにより直接製版可能であり、無処理刷版製造に適し
た感光性平版印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、PS版による印刷版の製造には、
露光工程の後に、支持体表面の上に設けられた感光層を
画像状に除去するための湿式による現像工程や現像処理
された印刷版を水洗水で水洗したり、界面活性剤を含有
するリンス液、アラビアガム、澱粉誘導体を含む不感脂
化液で処理する後処理工程が含まれる。
【0003】一方、近年の製版、印刷業界では現像廃液
がアルカリ性であるため環境問題が生じてきている。ま
た製版作業の合理化が進められており、上記のような複
雑な湿式現像処理を必要とせず、露光後にそのまま印刷
に使用できる印刷版用原版が望まれている。画像形成
後、湿式現像処理を必要としない平版印刷版原版とし
て、ポリオレフィン類をスルホン化したフィルムを版材
として用い、熱書き込みによって、表面の親水性を変化
させることにより、現像処理を必要としない版材を形成
することが、特開平5−77574号、特開平4−12
5189号、US5,187,047号および特開昭6
2−195646号等に開示されている。このシステム
では、熱書き込みにより、感光材料の表面に存在するス
ルホン基を脱スルホンさせることにより画像形成してお
り、現像処理は不要になるが、書き込み時に有害なガス
を発生させる欠点を有する。
【0004】US5,102,771号、US5,22
5,316号には酸感受性基を側鎖にもつポリマーと光
酸発生剤を組み合わせた感材が提示されており、無現像
システムが提案されている。この版材は発生する酸がカ
ルボン酸であるために、親水性の程度が低くなり、汚れ
やすく、版材の耐久性や印刷画像の鮮明さに劣る欠点を
持つ。
【0005】ポジ型無処理平版印刷用版材の製造に適し
た輻射線感応性の画像形成材料としては、特定のカルボ
ン酸エステル、もしくはスルホン酸エステルを画像形成
材料として用いた特開平7−186562号公報に記載
のものが知られている。この公報に記載されている画像
形成材料によれば満足できる印刷物を与える水現像可能
な平版印刷版を得ることができるが、露光の際のエネル
ギーが低い場合、支持体近傍の画像形成材料が完全に親
水化せず、画像形成材料が完全に除去できないために印
刷物に汚れが発生する傾向があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高感度でありかつ残色、汚れの少ない、水現像可能
な、あるいは画像書き込み後湿式現像処理やこすり等の
特別な処理を必要とせず、そのまま印刷機に装着し印刷
することが可能な感光性平版印刷版の製版方法、さら
に、この製版方法に好適に使用しうる紫外域〜赤外域に
到る広い範囲で充分な感度を有し、ディジタル信号に基
づいて可視光もしくは赤外線を放射する固体レーザー又
は半導体レーザー等を用いて直接製版可能である感光性
平版印刷版原版を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下の本
発明により達成される。即ち、本発明の平版印刷版の製
版方法は、支持体の上に(a−1)側鎖に−COOR、
−COOM、−SOR、−SO2 R、−SO3 R、−S
OM、−SO2M、−SO3 M、−OH、−NR1 2
(ここで、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を
示し、Mは金属原子を示し、R1 、R2 はそれぞれ独立
に、水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。)か
ら選ばれる官能基を有する親水性高分子化合物からなる
層と、(b)側鎖に下記一般式(1)〜(5)の何れか
で表される官能基の内の少なくとも一つを有し、熱によ
り親水性に変化する疎水性高分子化合物からなる層と
を、順次積層してなる平版印刷版原版を露光し、印刷機
上の湿し水又はpHが2以上の水を主成分とする現像液
により現像することを特徴とする。
【0008】
【化2】
【0009】式中、Lは疎水性高分子化合物主鎖に連結
した多価の非金属原子から成る有機基を表し、R1 はア
リール基、アルキル基又は環状イミド基を表し、R2
3はアリール基又はアルキル基を表し、R4 はアリー
ル基、アルキル基又は−SO 2 5 を表し、R5 はアリ
ール基又はアルキル基を表し、R6 、R7 及びR8 はそ
れぞれ独立にアリール基又はアルキル基を表し、R6
7 及びR8 の内の任意の2つもしくは3つで環を形成
してもよい。R9 及びR10の内の一方は水素原子を、他
方は水素原子、アリール基又はアルキル基を表し、R11
はアルキル基を表し、R9 とR11又はR10とR11で環を
形成してもよい。
【0010】また、請求項2に記載の平版印刷版の製版
方法は、支持体の上に(a−2)分子内にアルキレンオ
キシド基を有する親水性高分子化合物からなる層と、
(b)側鎖に前記一般式(1)〜(5)の何れかで表さ
れる官能基の内の少なくとも一つを有し、熱により親水
性に変化する疎水性高分子化合物からなる層とを、順次
積層してなる平版印刷版原版を露光し、印刷機上の湿し
水又はpHが2以上の水を主成分とする現像液により現
像することを特徴とする。
【0011】本発明の平版印刷版原版は、支持体の上
に、(a)側鎖に−COOR、−COOM、−SOR、
−SO2 R、−SO3 R、−SOM、−SO2 M、−S
3 M、−OH、−NR1 2 (ここで、Rは水素原
子、アルキル基又はアリール基を示し、Mは金属原子を
示し、R1 、R2 はそれぞれ独立に、水素原子、アルキ
ル基又はアリール基を示す。)から選ばれる官能基を有
する親水性高分子化合物及び分子内にアルキレンオキシ
ド基を有する親水性高分子化合物のうち少なくとも1種
を含有する層と、(b)側鎖に前記一般式(1)〜
(5)の何れかで表される官能基の内の少なくとも一つ
を有し、熱により親水性に変化する疎水性高分子化合物
からなる層とを、順次積層してなることを特徴とする。
【0012】本発明の平版印刷版によれば、特定の官能
基を有し、熱により親水性に変化する疎水性高分子化合
物(以後感熱高分子化合物と呼ぶ)からなる層(以後
(b)層と呼ぶ)を所定の加熱手段により画像様に親水
化するときに、支持体と(b)層の間に、特定の官能基
を有する親水性高分子化合物からなる層(以後(a−
1)のみを含む層、(a−2)のみを含む層及びその1
種以上を含む層を包含して(a)層と呼ぶ)が存在する
ことで、露光による熱が支持体に拡散することなく、熱
効率よく(b)層の露光部分を親水化することができ、
その結果として感度が向上すると共に、非画像部におい
て親水化した(b)層は湿し水により可溶化し、支持体
上に残ることがなくなるため印刷物の汚れが著しく改良
される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
まず(a)層について説明する。本発明に用いられる
(a)特定の官能基を有する親水性高分子化合物成る層
は、以下に例示する親水性高分子化合物を主成分とする
層である。本発明に用いられる親水性高分子化合物の親
水性とは、水溶性(水に完全に溶解するものを意味す
る)、疑似水溶性(両親媒性を意味し、マクロには水に
溶解するがミクロには非溶解部分を含むものを意味す
る)、水膨潤性(水に膨潤するが溶解しないものを意味
する)の特性を有するものを包含する。即ち、通常の使
用条件下で水を吸着又は吸収するポリマー、水に溶ける
かあるいは水に膨潤するポリマーを含む。上記の定義に
当てはまるものとして、(a−1)側鎖に−COOR、
−COOM、−SOR、−SO2 R、−SO3 R、−S
OM、−SO2 M、−SO3 M、−OH、−NR1 2
(ここで、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を
示し、Mは金属原子を示し、R1 、R2 はそれぞれ独立
に、水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。)か
ら選ばれる官能基を有する親水性高分子化合物、(a−
2)分子内にアルキレンオキシド基を有する親水性高分
子化合物が挙げられ、これらの官能基を有する公知の天
然高分子化合物又は合成高分子化合物を使用することが
できる。
【0014】(a−1)側鎖に−COOR、−COO
M、−SOR、−SO2 R、−SO3R、−SOM、−
SO2 M、−SO3 M、−OH、−NR1 2 (ここ
で、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を示し、
Mは金属原子を示し、R1 、R2はそれぞれ独立に、水
素原子、アルキル基又はアリール基を示す。)から選ば
れる官能基を有する親水性高分子化合物としての合成高
分子化合物には以下のような化合物がある。 カルボン
酸塩系共重合体、N−ビニルカルボン酸アミド系共重合
体、スルホン酸塩系共重合体、ビニルピロリドン系共重
合体、ポリビニルアルコール、水性ウレタン樹脂、水溶
性ポリエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト系ポリマー、ポリ(ビニルメチルエーテル−co−無
水マレイン酸)、ポリエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート系架橋重合体、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート系架橋重合体等。側鎖に−COO
R又は−COOMを有するカルボン酸塩系共重合体とし
ては、吸水性及び耐久性の観点から、カルボキシル基、
カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸イミド、
カルボン酸無水物等のカルボキシル基又はカルボキシル
基に誘導しうる官能基を分子中に1個又は2個有する
α、β−不飽和化合物をモノマー成分として含有するカ
ルボン酸系共重合体のケン化反応物が挙げられる。
【0015】α、β−不飽和化合物の具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メ
タクリル酸エステル類、アクリル酸アミド類、メタクリ
ル酸アミド類、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン
酸アミド類、マレイン酸イミド類、イタコン酸、クロト
ン酸、フマル酸、メサコン酸等が挙げられる。アクリル
酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、(n−またはi−)プロピルアク
リレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチル
アクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシ
ルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチル
アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2
−ヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペ
ンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ア
リルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリ
レート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベン
ジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、ク
ロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリ
レート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロ
キシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレー
ト、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルア
クリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロ
フェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリ
レート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)
エチルアクリレート等が挙げられる。
【0016】メタクリル酸エステル類の具体例として
は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、
(n−またはi−)プロピルメタクリレート、(n−、
i−、sec−またはt−)ブチルメタクリレート、ア
ミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレー
ト、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチ
ルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ア
リルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタ
クリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレー
ト、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジル
メタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、
ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフ
ェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、
テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタ
クリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロ
ロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメ
タクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオ
キシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
【0017】アクリルアミド類の具体例としては、アク
リルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルア
クリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチ
ルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−
ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリ
ルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキ
シフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフ
ェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)
アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルア
ミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−
N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−
N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
【0018】マレイン酸アミド類の具体例としては、マ
レイン酸アミド、N−メチルマレイン酸アミド、N−エ
チルマレイン酸アミド、N−プロピルマレイン酸アミ
ド、N−ブチルマレイン酸アミド、N−ベンジルマレイ
ン酸アミド、N−ヒドロキシエチルマレイン酸アミド、
N−フェニルマレイン酸アミド、N−トリルマレイン酸
アミド、N−(ヒドロキシフェニル)マレイン酸アミ
ド、N−(スルファモイルフェニル)マレイン酸アミ
ド、N−(フェニルスルホニル)マレイン酸アミド、N
−(トリルスルホニル)マレイン酸アミド、N,N−ジ
メチルマレイン酸アミド、N−メチル−N−フェニルマ
レイン酸アミド、N−ヒドロキシエチル−N´−メチル
マレイン酸アミド等が挙げられる。マレイン酸イミド類
の具体例としては、マレイン酸イミド、N−メチルマレ
イン酸イミド、N−エチルマレイン酸イミド、N−プロ
ピルマレイン酸イミド、N−ブチルマレイン酸イミド、
N−ベンジルマレイン酸イミド、N−ヒドロキシエチル
マレイン酸イミド、N−フェニルマレイン酸イミド、N
−トリルマレイン酸イミド、N−(ヒドロキシフェニ
ル)マレイン酸イミド、N−(スルファモイルフェニ
ル)マレイン酸イミド、N−(フェニルスルホニル)マ
レイン酸イミド、N−(トリルスルホニル)マレイン酸
イミド等が挙げられる。
【0019】本発明に使用するカルボン酸塩系共重合体
は、上記のα、β−不飽和化合物の単独重合体でもよい
し、本発明に必要な親水性を示す範囲である限り共重合
可能な他のモノマーとの共重合体でもよい。共重合可能
な他のモノマー成分の例としては、エチレン、プロピレ
ン、イソブチレン、1−ブチレン、ジイソブチレン、メ
チルビニルエーテル、アクリロニトリル、ビニルエステ
ル類、スチレン類等の公知のモノマーが挙げられる。
【0020】ビニルエステル類の具体例としては、ビニ
ルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート
等が挙げられる。スチレン類の具体例としては、スチレ
ン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルス
チレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘ
キシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロ
メチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシ
メチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレ
ン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレ
ン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシス
チレン等が挙げられる。
【0021】他のモノマと組み合わせる場合、カルボキ
シル基もしくはこれに転化しうる基を含有するα、β−
不飽和化合物は、通常全モノマー成分中の10モル%以
上で、40モル%以上であることがより好ましい。カル
ボキシル基又はこれに転化しうる基を含有するα、β−
不飽和化合物をモノマーとして含有する重合体は、公知
の方法を用いて製造することができる。例えば高分子化
学、7巻、142頁(1950)。すなわち、これらカ
ルボン酸塩系共重合体は、ランダムポリマー、ブロック
ポリマー、グラフトポリマー等何れでもよいが、ランダ
ムポリマーであることが好ましく、重合方式によって適
宜選択されるが、例えばジ−t−ブチルパーオキシド、
ベンゾイルパーオキシド等のパーオキシド類、過硫酸ア
ンモニウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリ
ル等のアゾ化合物等の重合開始剤を用いたラジカル重合
により合成される。重合方式としては、溶液重合、乳化
重合、懸濁重合等が摘要される。
【0022】これらカルボン酸塩系は共重合体を合成す
る際に用いられる好適な溶媒としては、例えばテトラヒ
ドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、
メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルア
セテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1
−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プ
ロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチ
ル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、
水等が挙げられる。これらの溶媒は単独であるいは2種
以上混合して用いられる。これらカルボン酸塩系共重合
体の重合度は特に限定されるものではない。
【0023】上記に説明した重合体又共重合体はアルカ
リ触媒の存在下でケン化反応することが好ましい。ケン
化反応に用いられる溶媒としては水、アルコール及びア
ルコール水溶液が好ましい。また、ケン化反応に用いら
れる触媒としては公知のアルカリ触媒が用いられるが、
特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金
属水酸化物が好ましい。ケン化反応は該重合体又は該共
重合体を前述の溶媒に溶解又は分散させ、そこにアルカ
リ触媒を添加し20〜80℃で1〜10時間攪拌するこ
とにより達成される。また、本発明のケン化反応物は、
公知の方法によって塩を任意に変えることが可能であ
る。通常用いられる塩形成物質としては、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、モノメチ
ルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエ
チルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ
イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソ
プロピルアミン、モノエタノ−ルアミン、ジエタノ−ル
アミン、トリエタノ−ルアミン、モノイソプロパノ−ル
アミン、ジイソプロパノ−ルアミン、トリイソプロパノ
−ルアミン、N,N−ジメチルエタノ−ルアミン、N,
N−ジメチルイソプロパノ−ルアミン、シクロヘキシル
アミン、ベンジルアミン、アニリン、ビリジンなどが挙
げられる。また、マグネシウム、カルシウムなどのアル
カリ土類金属塩類の多価金属塩類も前記の塩と混合塩の
形態で添加することが可能である。
【0024】カルボン酸塩系共重合体の具体例として
は、アクリル酸重合体、メタクリル酸重合体、アクリル
酸メチル重合体のケン化反応生成物、メタクリル酸アミ
ド共重合体のケン化反応生成物、アクリル酸/メタクリ
ル酸共重合体、マレイン酸/スチレン共重合体、アクリ
ル酸メチル/酢酸ビニル共重合体のケン化反応生成物等
のような化合物が挙げられる。N−ビニルカルボン酸ア
ミド系共重合体とは、下記一般式(1)で示されるN−
ビニルカルボン酸アミド(以下、NVAと略す)を必須
の繰り返し単位とする共重合体(以下、NVA系共重合
体と略する)を意味する。
【0025】N−ビニルカルボン酸アミド系共重合体と
は、下記一般式(6)で示されるN−ビニルカルボン酸
アミドを必須の繰り返し単位とする共重合体を意味す
る。
【0026】
【化3】
【0027】式中、R1 は水素原子または炭素数1〜4
のアルキル基、R2 は水素原子またはメチル基、フエニ
ル基、R3 は水素原子または炭素数1〜8の直鎖または
分岐アルキル基を表わす。
【0028】NVAの具体例としては、N−ビニルホル
ムアミド、N−ビニルプロピオン酸アミド、N−ビニル
安息香酸アミド、N−メチル−N−ビニル安息香酸アミ
ド、N−フエニル−N−ビニルアセトアミド、N−フエ
ニル−N−ビニル安息香酸アミドなどが挙げられるが、
本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0029】本発明に好ましく用いられるN−ビニルカ
ルボン酸アミド系共重合体は、吸水性及び耐久性の観点
から、カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボン酸アミ
ド、カルボン酸イミド、カルボン酸無水物等のカルボキ
シル基又はカルボキシル基に誘導しうる官能基を分子中
に1個又は2個有するα、β−不飽和化合物を共重合単
位として含有することが好ましい。α、β−不飽和化合
物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アク
リル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリル
酸アミド類、メタクリル酸アミド類、無水マレイン酸、
マレイン酸、マレイン酸アミド類、マレイン酸イミド
類、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、メサコン酸等
が挙げられる。アクリル酸エステル類、メタクリル酸エ
ステル類、アクリル酸アミド類、メタクリル酸アミド
類、マレイン酸アミド類、マレイン酸イミド類の具体例
としては前述のような化合物が挙げられる。
【0030】本発明に好ましく用いられるNVA系共重
合体は更に、本発明に必要な親水性を示す範囲である限
り共重合可能な他のモノマーを共重合単位として含有す
ることが可能である。共重合可能な他のモノマー成分の
例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1
−ブチレン、ジイソブチレン、メチルビニルエーテル、
アクリロニトリル、ビニルエステル類、スチレン類等の
公知のモノマーが挙げられる。ビニルエステル類、スチ
レン類の具体例としては前述のような化合物が挙げられ
る。NVA系共重合体は、通常ラジカル重合により調製
される。これらNVA系共重合体はランダムポリマー、
ブロックポリマー、グラフトポリマー等何れでもよい
が、ランダムポリマーであることが好ましく、公知の方
法を用いて製造することができる。例えば高分子化学、
7巻、142頁(1950)。すなわち、これらカルボ
ン酸塩系共重合体は、ランダムポリマー、ブロックポリ
マー、グラフトポリマー等何れでもよいが、ランダムポ
リマーであることが好ましく、重合方式によって適宜選
択されるが、例えばジ−t−ブチルパーオキシド、ベン
ゾイルパーオキシド等のパーオキシド類、過硫酸アンモ
ニウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル等
のアゾ化合物等の重合開始剤を用いたラジカル重合によ
り合成される。重合方式としては、溶液重合、乳化重
合、懸濁重合等が摘要される。
【0031】これらNVA系共重合体を合成する際に用
いられる溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、エ
チレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケ
トン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
エチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2
−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテー
ト、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳
酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
これらの溶媒は単独であるいは2種以上混合して用いら
れる。これらNVA系共重合体の重合度は特に限定され
るものではない。NVA系共重合体の具体例としては、
以下のポリマーが挙げられる。ポリ(N−ビニルアセト
アミド)、N−ビニルアセトアミド/(メタ)アクリル
酸共重合体およびその部分または完全中和物(「部分ま
たは完全中和物」とは、共重合体中のカルボン酸、スル
フォン酸、リン酸など重合性官能基中の水素イオンの一
部または全部がナトリウム、カリウムなどのアルカリ金
属塩、カルシウム、バリウムなどの金属土類塩化に置換
されたものを意味する)、N−ビニルアセトアミド/ク
ロトン酸共重合体およびその部分または完全中和物、N
−ビニルアセトアミド/マレイン酸共重合体およびその
部分または完全中和物、N−ビニルアセトアミド/フマ
ル酸共重合体およびその部分または完全中和物、N−ビ
ニルアセトアミド/シトラコン酸共重合体およびその部
分または完全中和物、N−ビニルアセトアミド/ケイ皮
酸共重合体およびその部分または完全中和物、N−ビニ
ルアセトアミド/ビニルスルフォン酸共重合体およびそ
の部分または完全中和物、N−ビニルアセトアミド/無
水マレイン酸共重合体およびその部分または完全中和
物、N−ビニルアセトアミド/イタコン酸共重合体およ
びその部分または完全中和物、N−ビニルアセトアミド
/アコニット酸共重合体およびその部分または完全中和
物、N−ビニルアセトアミド/3−ブテノン酸共重合体
およびその部分または完全中和物、N−ビニルアセトア
ミド/4−ペンテン酸共重合体およびその部分または完
全中和物、N−ビニルアセトアミド/アリルスルフォン
酸共重合体およびその部分または完全中和物、N−ビニ
ルアセトアミド/メタリルスルフォン酸共重合体および
その部分または完全中和物、N−ビニルアセトアミド/
アリルリン酸共重合体およびその部分または完全中和
物、N−ビニルアセトアミド/カルボキシエチルアクリ
レート共重合体およびその部分または完全中和物、N−
ビニルアセトアミド/2−アクロイルエチルリン酸共重
合体およびその部分または完全中和物、N−ビニルアセ
トアミド/3−アクロイルプロピルリン酸共重合体およ
びその部分または完全中和物、N−ビニルアセトアミド
/8−メタクリロイルオクチルリン酸共重合体およびそ
の部分または完全中和物、N−ビニルアセトアミド/2
−アクリルアミド−n−プロパンスルフォン酸共重合体
およびその部分または完全中和物、N−ビニルアセトア
ミド/2−アクリルアミド−n−オクタンスルフォン酸
共重合体およびその部分または完全中和物、N−ビニル
アセトアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルフォン酸共重合体およびその部分または完全中和
物など。
【0032】側鎖に−SO3 R、−SO3 Mを有するス
ルホン酸塩系共重合体としては、分子中にスルホン酸塩
もしくはスルホン酸アミド、スルホン酸エステル等のス
ルホン酸塩に誘導しうる官能基を有する不飽和化合物を
モノマー成分として含有する共重合体もしくは共重合体
のケン化反応物が挙げられる。そのような不飽和化合物
の具体例としては以下のような化合物が挙げられる。
【0033】
【化4】
【0034】これらモノマーの内一種のみを用いた単独
重合体を使用してもよいが、本発明に必要な親水性を示
す範囲で二種以上を用いた共重合体やこれらのモノマー
と他のモノマーとの共重合体を使用してもよい。共重合
可能な他のモノマー成分の例としては、エチレン、プロ
ピレン、イソブチレン、1−ブチレン、ジイソブチレ
ン、メチルビニルエーテル、アクリロニトリル、アクリ
ル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルア
ミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチ
レン類等の公知のモノマーが挙げられる。アクリル酸エ
ステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド
類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン
類の具体例は前述の通りである。
【0035】スルホン酸塩又はこれに転化しうる基を含
有する不飽和化合物をモノマーとして含有する重合体
は、通常ラジカル重合により調製される。これらスルホ
ン酸塩系共重合体はランダムポリマー、ブロックポリマ
ー、グラフトポリマー等何れでもよいが、ランダムポリ
マーであることが好ましく、公知の方法を用いて製造す
ることができる。例えば高分子化学、7巻、142頁
(1950)。すなわち、これらカルボン酸塩系共重合
体は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフト
ポリマー等何れでもよいが、ランダムポリマーであるこ
とが好ましく、重合方式によって適宜選択されるが、例
えばジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキ
シド等のパーオキシド類、過硫酸アンモニウム等の過硫
酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等
の重合開始剤を用いたラジカル重合により合成される。
重合方式としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等が
摘要される。
【0036】これらスルホン酸塩系共重合体を合成する
際に用いられる溶媒としては、例えばテトラヒドロフラ
ン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエ
チルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテー
ト、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メト
キシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピル
アセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−
ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メ
チル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げ
られる。これらの溶媒は単独であるいは2種以上混合し
て用いられる。これらスルホン酸塩共重合体の重合度は
特に限定されるものではない。
【0037】上記に説明した共重合体はアルカリ触媒の
存在下でケン化反応することが好ましい。ケン化反応に
用いられる溶媒としては水、アルコール及びアルコール
水溶液が好ましい。また、ケン化反応に用いられる触媒
としては公知のアルカリ触媒が用いられるが、特に水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化
物が好ましい。ケン化反応は該重合体又は該共重合体を
前述の溶媒に溶解又は分散させ、そこにアルカリ触媒を
添加し20〜80℃で1〜24時間攪拌することにより
達成される。
【0038】また、本発明のケン化反応物は、公知の方
法によって塩を任意に変えることが可能である。通常用
いられる塩形成物質としては、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化アンモニウム、モノメチルアミン、
ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミ
ン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロ
ピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピル
アミン、モノエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、
トリエタノ−ルアミン、モノイソプロパノ−ルアミン、
ジイソプロパノ−ルアミン、トリイソプロパノ−ルアミ
ン、N,N−ジメチルエタノ−ルアミン、N,N−ジメ
チルイソプロパノ−ルアミン、シクロヘキシルアミン、
ベンジルアミン、アニリン、ビリジンなどが挙げられ
る。また、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土
類金属塩類の多価金属塩類も前記の塩と混合塩の形態で
添加することが可能である。
【0039】スルホン酸塩系共重合体の具体例としては
以下のようなポリマーが挙げられる。
【0040】
【化5】
【0041】上記の親水性高分子化合物の内で本発明の
効果を十分に発揮する上で好ましい親水性を有するポリ
マーは、カルボン酸塩系共重合体、NVA系共重合体、
スルホン酸塩系共重合体、ポリビニルアルコールであ
り、より好ましくはカルボン酸塩系共重合体、NVA系
共重合体、スルホン酸塩系共重合体である。
【0042】カルボン酸塩系共重合体の中でも好ましい
のは、アクリル酸、メタクリル酸との重合体又は共重合
体、α−オレフィン、ビニル化合物と無水マレイン酸と
の共重合体であり、さらに好ましいのはビニルエステル
と(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化反応生
成物である(以下の説明で(メタ)アクリル酸とあるの
はアクリル酸はメタクリル酸を略したものである)。該
共重合体の中でも(メタ)アクリル酸エステル成分が該
共重合体の20〜80モル%を占めることが好ましく、
さらに吸水性と(a)層の力学強度を両立させるには3
0〜70モル%であることがより好ましい。また、NV
A系共重合体の中で好ましいのは、NVAとアクリル
酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等のカルボン酸との
共重合体であり、吸水性と耐久性の観点からNVA単位
は全モノマー成分中の10モル%以上であることが好ま
しく、40モル%以上であることがより好ましい。
【0043】更にスルホン酸塩系共重合体として好まし
いのはスチレンスルホン酸塩、スチレンスルホン酸エス
テルの重合体、共重合体あるいはスチレンスルホン酸塩
又はスチレンスルホン酸エステルと(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル及び
/又は無水マレイン酸との共重合体あるいはそれら重合
体、共重合体のケン化反応生成物である。吸水性と耐久
性の観点からスチレンスルホン酸塩あるいはスチレンス
ルホン酸エステル単位が全モノマー中の20モル%以上
であることが好ましく、50モル%であることがさらに
好ましい。
【0044】また、これらの側鎖に−COOR、−CO
OM、−SOR、−SO2 R、−SO3 R、−SOM、
−SO2 M、−SO3 M、−OH、−NR1 2 から選
ばれる官能基を有する親水性高分子化合物としての天然
高分子化合物にはデンプン−スチレンスルフォン酸系グ
ラフト重合体、デンプン−ビニルスルフォン酸系グラフ
ト重合体、デンプン−アクリルアミド系グラフト重合
体、カルボキシル化メチルセルロース、セルロース−ス
チレンスルフォン酸系グラフト重合体、カルボキシメチ
ルセルロース系架橋体等が挙げられる。
【0045】本発明に用いられる(a−2)分子内にア
ルキレンオキシド基を有する親水性高分子化合物は、主
鎖あるいは側鎖にアルキレンオキシド基を有するもので
あれば特に制限はなく、具体的には、例えば、ポリエチ
レンオキサイド、ポリ(エチレンオキサイド−co−プ
ロピレンオキサイド)等が挙げられ、また、天然高分子
化合物としては、デンプン−アクリロニトリル系グラフ
ト重合体加水分解物、デンプン−アクリル酸系グラフト
重合体、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサントゲ
ン酸セルロース、セルロース−アクリロニトリル系グラ
フト重合体、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲン、
ミルクカゼイン、酸カゼイン、レンネットカゼイン、ア
ンモニアカゼイン、カリ化カゼイン、ホウ砂カゼイン、
グルー、ゼラチン、グルテン、大豆蛋白、アルギン酸
塩、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、ア
ルギン酸ナトリウム、アラビヤガム、トラガカントガ
ム、カラヤガム、グアールガム、ロカストビーンガム、
アイリッシュモス、大豆レシチン、ペクチン酸、澱粉、
カルボキシル化澱粉、寒天、デキストリン、マンナン等
を挙げることができる。本発明における(a−1)層、
(a−2)層或いは(a)層には、上記の親水性高分子
化合物以外に発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ
て以下のような化合物を構成成分として含んでもよい。
【0046】本発明の平版印刷版の(a)層中には、印
刷条件に対する安定性を拡げるため、特開昭62−25
1740号公報や特開平3−208514号公報に記載
されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−1
21044号公報、特開平4−13149号公報に記載
されているような両性界面活性剤を添加することができ
る。非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタン
トリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソル
ビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられ
る。両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(ア
ミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリ
シン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N
−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テ
トラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモ
ーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。上記非
イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の、この親水性層
の全固形物中に占める割合は、0.05〜15重量%が
好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0047】本発明の平版印刷版の(a)層は、通常上
記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布する
ことにより製造することができる。ここで使用する溶媒
としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、
メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−
メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセ
テート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメ
トキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テ
トラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルス
ルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエ
ン、水等をあげることができるがこれに限定されるもの
ではない。
【0048】これらの溶媒は単独あるいは混合して使用
される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の
濃度は、好ましくは1〜50重量%である。塗布する方
法としては、種々の方法を用いることができるが、例え
ば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カー
テン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード
塗布、ロール塗布等を挙げることができる。本発明の平
版印刷版の(a)層中には、塗布性を良化するための界
面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記
載されているようなフッ素系界面活性剤を添加すること
ができる。好ましい添加量は、(a)層全固形物分に対
し、0.01〜1重量%更に好ましくは0.05〜0.
5重量%である。
【0049】(a)層は、露光部における親水性面の確
保と露光による熱効率の向上の機能を発現するものであ
り、このことから、塗布、乾燥後に得られる支持体上の
塗布量(固形分)は、一般的に0.5mg/m2 〜1.
0g/m2 が好ましく、より好ましくは1mg/m2
500mg/m2 、さらに好ましくは2mg/m2 〜3
00mg/m2 である。塗布量が、0.5mg/m2
満であると熱効率向上効果が不十分となり、1.0g/
2 を超えて塗布しても効果の向上は見られず、かえっ
て耐刷性が劣化するため好ましくない。
【0050】次に(b)層について説明する。本発明に
用いられる(b)層の主成分である感熱高分子化合物と
は、通常は水に対して溶解するあるいは膨潤する等の親
和性を示さない高分子化合物であり、熱によってその構
造の一部もしくは全部が変化して水に対して溶解するあ
るいは膨潤する等の親和性を示すようになる高分子化合
物を指す。そのような化合物の例として、側鎖に、以下
の一般式(1)〜(5)の何れかで表される官能基の内
の少なくとも一つを有する疎水性高分子化合物が挙げら
れる。
【0051】
【化6】
【0052】式中、Lは疎水性高分子化合物主鎖に連結
した多価の非金属原子から成る有機基を表し、R1 はア
リール基、アルキル基又は環状イミド基を表し、R2
3はアリール基又はアルキル基を表し、R4 はアリー
ル基、アルキル基又は−SO 2 5 を表し、R5 はアリ
ール基又はアルキル基を表し、R6 、R7 及びR8 はそ
れぞれ独立にアリール基又はアルキル基を表し、R6
7 及びR8 の内の任意の2つもしくは3つで環を形成
してもよい。R9 及びR10の内の一方は水素原子を、他
方は水素原子、アリール基又はアルキル基を表し、R11
はアルキル基を表し、R9 とR11又はR10とR11で環を
形成してもよい。Lは非金属原子からなる多価の連結基
であって、1〜60個の炭素原子、0〜10個の窒素原
子、0〜50個の酸素原子、1〜100個の水素原子、
及び0〜20個の硫黄原子から成り立つものである。よ
り具体的には下記の構造単位が組み合わさって構成され
るものを挙げることができる。
【0053】
【化7】
【0054】多価の連結基が置換基を有する場合、置換
基としてはメチル、エチルなどの炭素数1から20まで
のアルキル基、フェニル、ナフチルなどの炭素数6から
16までのアリール基、水酸基、カルボキシル基、スル
ホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシの
ような炭素数1から6までのアシルオキシ基、メトキ
シ、エトキシのような炭素数1から6までのアルコキシ
基、塩素、臭素のようなハロゲン原子、メトキシカルボ
ニル、エトキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカル
ボニルのような炭素数2から7までのアルコキシカルボ
ニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネートのような炭
酸エステル基などを用いることができる。
【0055】R1 〜R5 がアリール基若しくは置換アリ
ール基を表わすとき、アリール基には炭素環式アリール
基と複素環式(ヘテロ)アリール基が含まれる。炭素環
式アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アン
トラセニル基、ピレニル基等の炭素数6から19のもの
が用いられる。また、複素環式アリール基としては、ピ
リジル基、フリル基、その他ベンゼン環が縮環したキノ
リル基、ベンゾフリル基、チオキサントン基、カルバゾ
ール基等の炭素数3〜20、ヘテロ原子数1〜5を含む
ものが用いられる。R1 〜R5 がアルキル基若しくは置
換アルキル基を表わすとき、当該アルキル基としてはメ
チル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シ
クロヘキシル基等の直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素
数1から25までのものが用いられる。
【0056】R1 〜R5 が置換アリール基、置換ヘテロ
アリール基、置換アルキル基であるとき、置換基として
はメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10までのア
ルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロ
ゲン原子、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基
のようなハロゲン置換されたアルキル基、メトキシカル
ボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブチルオキシカ
ルボニル基、p−クロロフェニルオキシカルボニル基等
の炭素数2から15までのアルコキシカルボニル基若し
くはアリールオキシカルボニル基;水酸基;アセチルオ
キシ基、ベンゾイルオキシ基、p−ジフェニルアミノベ
ンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;t−ブチルオキ
シカルボニルオキシ基等のカルボネート基;t−ブチル
オキシカルボニルメチルオキシ基、2−ピラニルオキシ
基等のエーテル基;アミノ基、ジメチルアミノ基、ジフ
ェニルアミノ基、モルフォリノ基、アセチルアミノ基等
の置換、非置換のアミノ基;メチルチオ基、フェニルチ
オ基等のチオエーテル基;ビニル基、スチリル基等のア
ルケニル基;ニトロ基;シアノ基;ホルミル基、アセチ
ル基、ベンゾイル基等のアシル基;フェニル基、ナフチ
ル基のようなアリール基;ピリジル基のようなヘテロア
リール基等を挙げることができる。またR1〜R5 が置
換アリール基、置換ヘテロアリール基であるとき、置換
基として前述の他にもメチル基、エチル基等のアルキル
基を用いることができる。
【0057】R1 が環状イミド基を表すとき、環状イミ
ドとしては、琥珀酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘ
キサンジカルボン酸イミド、ノルボルネンジカルボン酸
イミド等の炭素原子4〜20までのものを用いることが
できる。
【0058】上記のうちR1 として特に好ましいもの
は、ハロゲン、シアノ、ニトロ等の電子吸引性基で置換
されたアリール基、ハロゲン、シアノ、ニトロ等の電子
吸引性基で置換されたアルキル基、2級若しくは3級の
分岐状のアルキル基、環状アルキル基及び環状イミドで
ある。また、上記のうちR2 〜R5 として特に好ましい
ものは、ハロゲン、シアノ、ニトロ等の電子吸引性基で
置換されたアリール基、ハロゲン、シアノ、ニトロ等の
電子吸引性基で置換されたアルキル基、及び2級若しく
は3級の分岐状のアルキル基である。上記のうちR6
11として好ましいものは、アルキル基又はアリール基
であって、R6 、R7 及びR8 の内の任意の2つもしく
は3つで環を形成した場合、及び、R9 とR11又はR10
とR11で環を形成した場合である。また、このとき、ア
ルキル基、アリール基は置換基を有していてもよく、好
ましい置換基としては、メチル基、メトキシ基、ハロゲ
ン原子等が挙げられる。本発明における感熱高分子化合
物の合成に好適に使用される、一般式(1)〜(5)で
表される官能基を有するモノマーの具体例を以下に示
す。
【0059】
【化8】
【0060】
【化9】
【0061】
【化10】
【0062】
【化11】
【0063】
【化12】
【0064】
【化13】
【0065】
【化14】
【0066】
【化15】
【0067】
【化16】
【0068】本発明では、好ましくは一般式(1)〜
(5)で表される官能基を有するモノマーの内の少なく
とも何れか一つを用い、ラジカル重合により得られる高
分子化合物を使用する。このような高分子化合物とし
て、一般式(1)〜(5)で表される官能基を有するモ
ノマーの内一種のみを用いた単独重合体を使用してもよ
いが、二種以上を用いた共重合体やこれらのモノマーと
他のモノマーとの共重合体を使用してもよい。本発明に
おいて、さらに好適に使用される高分子化合物は、上記
モノマーと他の公知モノマーとのラジカル重合により得
られる共重合体である。
【0069】共重合体に用いられる他のモノマーとし
て、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エス
テル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニ
ルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル
酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イ
ミド等の公知のモノマーも挙げられる。アクリル酸エス
テル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、
メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類の
具体例としては前述のような化合物が挙げられる。これ
らモノマーの内特に好適に使用されるのは、炭素原子数
20以下のアクリルエステル類、メタクリルエステル
類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエ
ステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、及
びアクリロニトリルである。共重合体の合成に使用され
る一般式(1)〜(5)で表される官能基を有するモノ
マーの割合は、5〜99重量%であることが好ましく、
さらに好ましくは10〜95重量%である。
【0070】以下に、一般式(1)〜(5)で表される
官能基を有する高分子化合物の具体例を示す。
【0071】
【化17】
【0072】
【化18】
【0073】
【化19】
【0074】
【化20】
【0075】
【化21】
【0076】また、本発明で使用される一般式(1)〜
(5)で表される官能基の少なくとも何れか一つを有す
る高分子化合物の重量平均分子量は好ましくは2000
以上であり、さらに好ましくは5000〜30万の範囲
であり、数平均分子量は好ましくは800以上であり、
さらに好ましくは1000〜25万の範囲である。多分
散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ま
しく、さらに好ましくは1.1〜10の範囲である。こ
れらの高分子化合物は、ランダムポリマー、ブロックポ
リマー、グラフトポリマー等何れでもよいが、ランダム
ポリマーであることが好ましい。
【0077】本発明で使用される感熱高分子化合物を合
成する際に用いられる溶媒としては、親水性高分子化合
物の合成において例示されたテトラヒドロフラン、エチ
レンジクロリド等を同様に、単独で又は2種以上混合し
て用いることができる。本発明で使用される感熱高分子
化合物を合成する際に用いられるラジカル重合開始剤と
しては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物
が使用できる。本発明で使用される(b)層は、感熱高
分子化合物単独で構成されてもよいし、また感熱高分子
化合物と必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で
他の成分により構成されてもよい。(b)層において、
感熱高分子化合物は(b)層の全固形物分の50〜90
重量%、好ましくは70〜90重量%の割合で使用する
ことができる。添加量が50重量%未満の場合は、印刷
画像が不鮮明になり、また添加量が90重量%を越える
場合は、レーザー露光による画像形成が十分できなくな
る。
【0078】本発明に使用される(b)層の感熱高分子
化合物以外の構成成分としては以下のような化合物が挙
げられる。
【0079】[赤外線吸収剤]本発明の平版印刷版を赤
外線照射により画像を形成する平版印刷版原版として用
いる場合には、平版印刷版の(b)層中に赤外線吸収剤
を添加する。本発明において好ましく使用される赤外線
吸収剤は、波長760nmから1200nmの赤外線を
有効に吸収する染料または顔料である。より好ましく
は、波長760nmから1200nmに吸収極大を有す
る染料または顔料である。染料としては、市販の染料お
よび文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、
昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用でき
る。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾ
ロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染
料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染
料、シアニン染料、金属チオレート錯体などの染料が挙
げられる。
【0080】好ましい染料としては例えば特開昭58−
125246号、特開昭59−84356号、特開昭5
9−202829号、特開昭60−78787号等に記
載されているシアニン染料、特開昭58−173696
号、特開昭58−181690号、特開昭58−194
595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−
112793号、特開昭58−224793号、特開昭
59−48187号、特開昭59−73996号、特開
昭60−52940号、特開昭60−63744号等に
記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112
792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国
特許第434,875号記載のシアニン染料等を挙げる
ことができる。
【0081】また、米国特許第5,156,938号記
載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特
許第3,881,924号記載の置換されたアリールベ
ンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645
号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチ
ンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同
58−220143号、同59−41363号、同59
−84248号、同59−84249号、同59−14
6063号、同59−146061号に記載されている
ピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載
のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記
載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13
514号、同5−19702号公報に開示されているピ
リリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料とし
て好ましい別の例として米国特許第4,756,993
号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近
赤外吸収染料を挙げることができる。これらの染料のう
ち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリ
リウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が
挙げられる。
【0082】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便
覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977
年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986
年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年
刊)に記載されている顔料が利用できる。顔料の種類と
しては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔
料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔
料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられ
る。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮
合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔
料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系
顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオ
キサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロ
ン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔
料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カー
ボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ま
しいものはカーボンブラックである。
【0083】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方
法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性
剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカッ
プリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)
を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表
面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、
「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)およ
び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)
に記載されている。
【0084】顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範
囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲
にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μm
の範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μ
m未満のときは分散物の感光性組成物の塗布液中での安
定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると塗
布後の画像記録層の均一性の点で好ましくない。顔料を
分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用
いられる公知の分散技術が使用できる。分散機として
は、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パール
ミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパ
ーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本
ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に
記載がある。
【0085】これらの染料もしくは顔料は、本発明の平
版印刷版の(b)層の組成物全固形物分に対し0.01
〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、染料の
場合特に好ましくは0.5〜10重量%、顔料の場合特
に好ましくは1.0〜10重量%の割合で添加すること
ができる。顔料もしくは染料の添加量が0.01重量%
未満であると感度が低くなり、また50重量%を越える
と印刷時非画像部に汚れが発生しやすい。
【0086】[酸発生剤]本発明の平版印刷版を赤外線
照射により画像を形成する平版印刷版原版として用いる
場合、あるいは紫外線〜可視光線照射により画像を形成
する平版印刷版原版として用いる場合には、平版印刷版
の(b)層中に光もしくは熱により酸を発生させる化合
物(以下、酸発生剤と呼ぶ)を添加することが望まし
い。ただし、前記の感熱高分子化合物はそれ自身熱によ
り酸を発生し、酸発生剤としての機能を発揮することも
あり、かかる場合には特に他の酸発生剤を併用しなくて
も画像を形成することができるため、酸発生剤は必須で
はない。
【0087】本発明に用いられる酸発生剤としては、以
下のような公知の化合物を選択して用いることができ
る。例えば、 S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,3
87(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980) 等に記
載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055 号、同4,06
9,056 号、特開平3-140,140 号等に記載のアンモニウム
塩、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、
C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 To
kyo,Oct(1988) 、米国特許第4,069,055 号、同4,069,05
6 号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal,Ma
cromorecules,10(6),1307(1977) 、Chem.&Eng.News,No
v.28,p31(1988) 、欧州特許第104,143 号、米国特許第3
39,049号、同第410,201 号、特開平2-150,848 号、特開
平2-296,514 号等に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivel
lo etal,Polymer J.17,73(1985) 、J.V.Crivello eta
l.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt etal,J.Polym
er Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984) 、J.V.Crive
llo etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello
etal,Macromorecules,14(5),1141(1981) 、J.V.Crivell
o etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(197
9)、欧州特許第370,693 号、米国特許3,902,114 号,欧
州特許第233,567 号、同297,443 号、同297,442 号、米
国特許第4,933,377 号、同410,201 号、同339,049 号、
同4,760,013 号、同4,734,444 号、同2,833,827 号、獨
国特許第2,904,626 号、同3,604,580 号、同3,604,581
号等に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macr
omorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello etal,J.P
olymerSci.,Polymer Chem.Ed., 17,1047(1979) 等に記
載のセレノニウム塩、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Ra
d.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988) 等に記載のアル
ソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、
特公昭46-4605 号、特開昭48-36281号、特開昭55-32070
号、特開昭60-239736 号、特開昭61-169835 号、特開昭
61-169837 号、特開昭62-58241号、特開昭62-212401
号、特開昭63-70243号、特開昭63-298339 号等に記載の
有機ハロゲン化合物、K.Meier etal,J.Rad.Curing,13
(4),26(1986)、T.P.Gill etal,Inorg.Chem.,19,3007(19
80) 、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1896) 、特
開平2-161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化
物、S.Hayase etal,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、 E.
Reichmanis etal,J.Pholymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,2
3,1(1985) 、 Q.Q.Zhu etal,J.Photochem.,36,85,39,317
(1987)、 B.Amit etal,Tetrahedron Lett.,(24)2205(197
3)、 D.H.R.Barton etal,J.Chem Soc.,3571(1965)、 P.M.
Collins etal,J.Chem.SoC.,Perkin I,1695(1975)、 M.Ru
dinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975) 、
J.W.Walker etalJ.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、 S.C.
Busman etal,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、 H.
M.Houlihan etal,Macormolecules,21,2001(1988)、 P.M.
Collins etal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972) 、
S.Hayase etal,Macromolecules,18,1799(1985)、 E.Reic
hmanis etal,J.Electrochem.Soc.,Solid State Sci.Tec
hnol.,130(6)、 F.M.Houlihan etal,Macromolcules,21,2
001(1988) 、 欧州特許第0290,750号、同046,083 号、同
156,535 号、同271,851 号、同0,388,343 号、 米国特許
第3,901,710 号、同4,181,531 号、特開昭60-198538
号、特開昭53-133022 号等に記載の0−ニトロベンジル
型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKチ etal,Polyme
r Preprints Japan,35(8)、G.Berner etal,J.Rad.Curin
g,13(4)、 W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45
(1983),Akzo、 H.Adachi etal,Polymer Preprints,Japa
n,37(3)、 欧州特許第0199,672号、同84515 号、同199,6
72 号、同044,115 号、同0101,122号、米国特許第4,61
8,564 号、同4,371,605 号、同4,431,774 号、特開昭64
-18143号、特開平2-245756号、特願平3-140109号等に記
載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してス
ルホン酸を発生する化合物、特開昭61-166544 号等に記
載のジスルホン化合物、特開昭50−36209号(米
国特許第3969118号)記載のo−ナフトキノンジ
アジド−4−スルホン酸ハライド、特開昭55−624
44号(英国特許第2038801号)記載あるいは特
公平1−11935号記載のo−ナフトキノンジアジド
化合物を挙げることができる。
【0088】その他の酸発生剤としては、シクロヘキシ
ルシトレート、p−アセトアミノベンゼンスルホン酸シ
クロヘキシルエステル、p−ブロモベンゼンスルホン酸
シクロヘキシルエステル等のスルホン酸アルキルエステ
ル、本発明者らが先に出願した特願平9−26878号
に記載の下記構造式で表されるアルキルスルホン酸エス
テル等を用いることができる。
【0089】
【化22】
【0090】また、本発明の酸分解性末端基と、該末端
基に隣接して該末端基が分解することにより分解してス
ルホン酸を発生させる基と、を側鎖に有する高分子化合
物自体が、熱酸発生剤としての機能を有するため、特に
他の酸発生剤を併用しなくても画像を形成することがで
きる。
【0091】上記光、熱または放射線の照射により分解
して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられる
ものについて以下に説明する。 (1)トリハロメチル基が置換した下記一般式(PAG
1)で表されるオキサゾール誘導体または一般式(PA
G2)で表されるS−トリアジン誘導体。
【0092】
【化23】
【0093】式中、R1 は置換もしくは未置換のアリー
ル基、アルケニル基、R2 は置換もしくは未置換のアリ
ール基、アルケニル基、アルキル基、−CY3 をしめ
す。Yは塩素原子または臭素原子を示す。具体的には以
下の化合物を挙げることができるがこれらに限定される
ものではない。
【0094】
【化24】
【0095】
【化25】
【0096】(2)下記の一般式(PAG3)で表され
るヨードニウム塩、または一般式(PAG4)で表され
るスルホニウム塩、もしくはジアソニウム塩。
【0097】
【化26】
【0098】ここで式Ar1 、Ar2 は各々独立に置換
もしくは未置換のアリール基を示す。好ましい置換基と
しては、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ
ル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、メルカ
プト基およびハロゲン原子が挙げられる。
【0099】R3 、R4 、R5 は各々独立に、置換もし
くは未置換のアルキル基、アリール基を示す。好ましく
は炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜8のアルキ
ル基およびそれらの置換誘導体である。好ましい置換基
としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコ
キシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ニトロ基、カルボ
キシル基、ヒドロキシ基およびハロゲン原子であり、ア
ルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、カル
ボキシル基、アルコキシカルボニル基である。
【0100】Z- は対アニオンを示し、例えば BF4 -
AsF6 - 、PF6 - 、SbF6 - 、Si2F2 -、ClO4 - 、CF3SO3 -
等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン;ペンタ
フルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1
−スルホン酸アニオン等の結合多核芳香族スルホン酸ア
ニオン;アントラキノンスルホン酸アニオン;スルホン
酸基含有染料等を挙げることができるがこれらに限定さ
れるものではない。
【0101】またR3 、R4 、R5 のうちの2つおよび
Ar1 、Ar2 はそれぞれの単結合または置換基を介し
て結合してもよい。
【0102】具体例としては以下に示す化合物が挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
【化27】
【0104】
【化28】
【0105】一般式(PAG3)、(PAG4)で示さ
れる上記オニウム塩は公知であり、たとえばJ. W. Knap
czyk etal, J. Am. Chem. Soc., 91, 145(1969) 、A.
L. Maycok etal, J. Org. Chem., 35, 2532, (1970)、
B. Goethas etal, Bull. Soc.Chem. Belg., 73, 546,
(1964) 、H. M. Leicester, J. Ame. Chem. Soc., 51,3
587(1929) 、J. V. Crivello etal, J. Polym. Chem. E
d., 18, 2677(1980)、米国特許第2,807,648号
および同4,247,473号、特開昭53−101,
331号等に記載の方法により合成することができる。
【0106】(3)下記一般式(PAG5)で表される
ジスルホン誘導体または一般式(PAG6)で表される
イミノスルホネート誘導体。
【0107】
【化29】
【0108】式中Ar3 、Ar4 は各々独立に置換もし
くは未置換のアリール基を示す。R 6 は置換もしくは未
置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしく
は未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン
基を示す。具体例としては以下に示す化合物が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。
【0109】
【化30】
【0110】
【化31】
【0111】これら酸発生剤の含有量は、本発明の平版
印刷版の(b)層全固形物分に対して通常0.1〜30
重量%、より好ましくは1〜15重量%である。1%よ
り少ないと感度が低くなり、15%より多いと画像強度
が落ちる可能性がある。
【0112】[増感色素]酸発生剤が紫外〜可視域にま
で感度を持たない場合、紫外〜可視域の光に対して酸発
生剤を活性にするために種々の酸発生剤の増感色素が用
いられる。このような増感色素の例としては、US523878
2 記載のピラン系色素、US4997745 号記載のシアニン色
素、およびスクアリュウム系色素、US5262276 記載のメ
ロシアニン系色素、特公平8-20732 号記載のピリリュウ
ム色素、その他、ミヒラーズケトン、チオキサントン、
ケトクマリン色素、9-フェニルアクリジンなどを有効な
ものとして用いることができる。またそのほかにもUS49
87230 記載のビスベンジリデンケトン色素、9,10- ジフ
ェニルアントラセンのような多環芳香族化合物などを用
いることができる。そのほかの成分としては、例えば、
可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として
使用することができる。
【0113】具体的にはオイルイエロー#101、オイ
ルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグ
リーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#60
3、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイル
ブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)
製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレッ
ト(CI42555)、メチルバイオレット(CI42
535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI1
45170B)、マラカイトグリーン(CI4200
0)、メチレンブルー(CI52015)など、あるい
は特開昭62−293247号公報、特願平7−335
145に記載されている染料を挙げることができる。な
お、添加量は、本発明の平版印刷版の(b)層全固形物
分に対し、0.01〜10重量%の割合である。
【0114】[界面活性剤]また、本発明の平版印刷版
の(b)層中には、印刷条件に対する安定性を拡げるた
め、特開昭62−251740号公報や特開平3−20
8514号公報に記載されているような非イオン界面活
性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−1
3149号公報に記載されているような両性界面活性剤
を添加することができる。非イオン界面活性剤の具体例
としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモ
ノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン
酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル等が挙げられる。両性界面活性剤の具体例とし
ては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキル
ポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−
カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニ
ウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型
(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等
が挙げられる。上記非イオン界面活性剤及び両性界面活
性剤の(b)層全固形物中に占める割合は、0.05〜
15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量
%である。
【0115】[その他]さらに、本発明の平版印刷版の
(b)層中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与する
ために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリ
コール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタ
ル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチ
ル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸ト
リオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アク
リル酸またはメタクリル酸のオリゴマーおよびポリマー
等が用いられる。
【0116】本発明の平版印刷版の(b)層は、通常上
記各成分を溶媒に溶かして、(a)層を塗布した適当な
支持体上に塗布することにより製造することができる。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、
シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、
エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメ
チルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−
メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピ
ルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エ
チル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロ
リドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチ
ロラクトン、トルエン、水等をあげることができるがこ
れに限定されるものではない。
【0117】これらの溶媒は単独あるいは混合して使用
される。塗布液を調製する場合、溶媒中の上記(b)層
構成成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましく
は1〜50重量%である。塗布する方法としては、公知
の種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコ
ーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、
ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロー
ル塗布等を挙げることができる。本発明の平版印刷版の
(b)層中には、塗布性を良化するための界面活性剤、
例えば特開昭62−170950号公報に記載されてい
るようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。
好ましい添加量は、(b)層全固形物分に対し、0.0
1〜1重量%更に好ましくは0.05〜0.5重量%で
ある。
【0118】塗布、乾燥後に得られる(b)層塗布量
(固形分)は、用途によって異なるが、一般的な平版印
刷用原版についていえば、0.5〜5.0g/m2 が好
ましく、0.5〜1.5g/m2 がより好ましい。本発
明においては、(a)層の形成後に(b)層を塗布する
が、両者は界面において一部相溶するため、親水性の
(a)層と疎水性の(b)層との間の密着性が良好とな
り、層間の剥離などを効果的に防止しうる。
【0119】本発明の(a)層及び(b)層を塗布すべ
き平版印刷用原版に使用される支持体(基板)は、寸法
安定性の良好な板状物であり、これまで印刷版の支持体
として使用された公知のものはいずれも好適に使用する
ことができる。かかる支持体としては、紙、プラスチッ
クス(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レンなど)がラミネートされた紙、例えばアルミニウム
(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、鉄、銅などのよう
な金属の板、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロー
ス、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酪酸酢
酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレ
ン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのよ
うなプラスチックスのフイルム、上記のような金属がラ
ミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフ
ィルムなどが含まれるが、特にアルミニウム板が好まし
い。アルミニウム板には純アルミニウム板及びアルミニ
ウム合金板が含まれる。アルミニウム合金としては種々
のものが使用でき、例えばけい素、銅、マンガン、マグ
ネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルなど
の金属とアルミニウムの合金が用いられる。これらの合
金組成物には、いくらかの鉄およびチタンに加えてその
他無視し得る程度の量の不純物を含むことが容認され
る。
【0120】支持体は、必要に応じて表面処理される。
例えば感光/感熱性平版印刷版原版を作製する場合に
は、支持体の表面に、感光/感熱層を塗布するに先立っ
て親水化処理が施される。また金属、特にアルミニウム
の表面を有する支持体の場合には、砂目立て処理、珪酸
ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶
液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理
がなされていることが好ましい。また、米国特許第2,
714,066号明細書に記載されているように、砂目
立てしたのち珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理したアル
ミニウム板、米国特許第3,181,461号明細書に
記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理を
行った後にアルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理した
ものも好適に使用される。上記陽極酸化処理は、例え
ば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、若しくは
蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはこれらの塩の水
溶液又は非水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電
解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことに
より実施される。
【0121】表面処理としては、米国特許第3,65
8,662号明細書に記載されているようなシリケート
電着も有効である。これらの親水化処理は、支持体の表
面を親水性とするために施される以外に、その上に設け
られる感光/感熱性組成物との有害な反応を防ぐ為や、
感光層との密着性を向上させるために施されるものであ
る。アルミニウム板を砂目立てにより粗面化するに先立
って、必要に応じて表面の圧延油を除去するため、ある
いは清浄なアルミニウム面を表出させるためにその表面
に前処理を施しても良い。通常、圧延油等の除去には、
トリクレン等の溶剤、界面活性剤等が用いられている。
また、清浄な面の表出のためには水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等のアルカリエッチング剤を用いる方法が
広く行われている。
【0122】砂目立て方法としては、機械的、化学的お
よび電気化学的な方法のいずれの方法も有効である。機
械的方法としては、ボール研磨法、ブラスト研磨法、軽
石のような研磨剤の水分散スラリーをナイロンブラシで
擦りつけるブラシ研磨法などがあり、化学的方法として
は、特開昭54−31187号公報に記載されているよ
うな鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法
が適しており、電気化学的方法としては塩酸、硝酸また
はこれらの組合せのような酸性電解液中で交流電解する
方法が好ましい。このような粗面化方法のうち、特に特
開昭55−137993号公報に記載されているような
機械的粗面化と電気化学的粗面化を組合せた粗面化方法
が、感脂性画像の支持体への接着力が強いので好まし
い。上記の如き方法による砂目立ては、アルミニウム板
の表面の中心線表面粗さ(Ha)が0.3〜1.0μm
となるような範囲で施されることが好ましい。このよう
にして砂目立てされたアルミニウム板は必要に応じて水
洗および化学的にエッチングされる。
【0123】エッチング処理液は、通常アルミニウムを
溶解する塩基あるいは酸の水溶液より選ばれる。この場
合、エッチングされた表面に、エッチング液成分から誘
導されるアルミニウムと異なる被膜が形成されないもの
でなければならない。好ましいエッチング剤を例示すれ
ば、塩基性物質としては水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン
酸三カリウム、リン酸二カリウム等;酸性物質としては
硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸及びその塩等であるが、ア
ルミニウムよりイオン化傾向の低い金属例えば亜鉛、ク
ロム、コバルト、ニッケル、銅等の塩はエッチング表面
に不必要な被膜を形成するから好ましくない。これらの
エッチング剤は、使用濃度、温度の設定において、使用
するアルミニウムあるいは合金の溶解速度が浸漬時間1
分あたり0.3g/m2から40g/m2になる様に行なわ
れるのが最も好ましいが、これを上回るあるいは下回る
ものであっても差支えない。
【0124】エッチングは上記エッチング液にアルミニ
ウム板を浸漬したり、該アルミニウム板にエッチング液
を塗布すること等により行われ、エッチング量が0.5
〜10g/m2の範囲となるように処理されることが好ま
しい。上記エッチング剤としては、そのエッチング速度
が早いという特長から塩基の水溶液を使用することが望
ましい。この場合、スマットが生成するので、通常デス
マット処理される。デスマット処理に使用される酸は、
硝酸、硫酸、りん酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水
素酸等が用いられる。これらのエッチング剤は、使用濃
度、温度の設定において、使用するアルミニウムあるい
は合金の溶解速度が浸漬時間1分あたり0.3g/m2
ら40g/m2になる様に行なわれるのが最も好ましい
が、これを上回るあるいは下回るものであっても差支え
ない。
【0125】エッチングは上記エッチング液にアルミニ
ウム板を浸漬したり、該アルミニウム板にエッチング液
を塗布すること等により行われ、エッチング量が0.5
〜10g/m2の範囲となるように処理されることが好ま
しい。上記エッチング剤としては、そのエッチング速度
が早いという特長から塩基の水溶液を使用することが望
ましい。この場合、スマットが生成するので、通常デス
マット処理される。デスマット処理に使用される酸は、
硝酸、硫酸、りん酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水
素酸等が用いられる。エッチング処理されたアルミニウ
ム板は、必要により水洗及び陽極酸化される。陽極酸化
は、この分野で従来より行なわれている方法で行なうこ
とができる。具体的には、硫酸、りん酸、クロム酸、蓚
酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはそ
れらの二種類以上を組み合せた水溶液又は非水溶液中で
アルミニウムに直流または交流の電流を流すと、アルミ
ニウム支持体表面に陽極酸化被膜を形成させることがで
きる。
【0126】陽極酸化の処理条件は使用される電解液に
よって種々変化するので一般には決定され得ないが、一
般的には電解液の濃度が1〜80重量%、液温5〜70
℃、電流密度0.5〜60アンペア/dm2、電圧1〜10
0V、電解時間30秒〜50分の範囲が適当である。こ
れらの陽極酸化処理の内でも、とくに英国特許第1,4
12,768号明細書に記載されている硫酸中で高電流
密度で陽極酸化する方法および米国特許第3,511,
661号明細書に記載されている燐酸を電解浴として陽
極酸化する方法が好ましい。上記のように粗面化され、
さらに陽極酸化されたアルミニウム板は、必要に応じて
親水化処理しても良く、その好ましい例としては米国特
許第2,714,066号及び同第3,181,461
号に開示されているようなアルカリ金属シリケート、例
えば珪酸ナトリウム水溶液または特公昭36−2206
3号公報に開示されている弗化ジルコニウム酸カリウム
および米国特許第4,153,461号明細書に開示さ
れているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法が
ある。
【0127】また、支持体の裏面には、必要に応じてバ
ックコートが設けられる。支持体の裏面には、必要に応
じてバックコートが設けられる。かかるバックコートと
しては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化
合物および特開平6−35174号公報記載の有機また
は無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られ
る金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。こ
れらの被覆層のうち、Si(OCH3)4 、Si(OC2 5)
4 、Si(OC3 7) 4 、Si(OC4 9)4 などのケイ素
のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得ら
れる金属酸化物の被覆層が親水性に優れており特に好ま
しい。以上のようにして支持体上に、順次(a)層、
(b)層を形成することで本発明の平版印刷版原版を作
製することができる。
【0128】次に、この平版印刷版原版の製版方法につ
いて説明する。この平版印刷版原版は、例えば、熱記録
ヘッド等により直接画像様に感熱記録を施されたり、波
長760nm〜1200nmの赤外線を放射する固体レ
ーザー又は半導体レーザーにより画像露光されたり、波
長400nm〜760nmの可視光線を放射する可視光
レーザーにより画像露光されたり、紫外線や可視光線を
放射する光源により画像露光される。画像露光された平
版印刷版原版は、露光後に水現像し、さらに必要であれ
ばガム引きを行ったのち、印刷機に版を装着し印刷を行
うこともでき、さらに、露光後ただちに(現像工程を経
ずに)印刷機に版を装着し印刷を行うこともできる。即
ち、本発明の平版印刷版原版を使用する製版方法では、
特に現像処理を経ることなく平版印刷版を製版しうる。
本発明における水現像とは、水或いは水を主成分とする
pH2以上の現像液により現像することを指す。水現像
を行う場合も、現像処理を行わない場合も、露光後に加
熱処理を行うことが記録時の感度向上の観点から好まし
い。加熱処理の条件は、80℃〜150℃の範囲内で1
0秒〜5分間行うことが好ましい。即ち、この加熱処理
を施すことにより、レーザー照射時、記録に必要なレー
ザーエネルギーを減少させることができる。
【0129】この様な処理によって得られた本発明の平
版印刷版原版は水現像されるかあるいは現像工程を経ず
にそのままオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印
刷に用いられる。
【0130】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0131】[親水性高分子化合物の合成]酢酸ビニル
60gとアクリル酸メチル40gに重合開始剤としてベ
ンゾイルパーオキシド0.5gを加えたものを、分散安
定剤として部分ケン化ポリビニルアルコール3gとNa
Cl 10gを含む水300ml中に分散させた。分散
液を65℃において6時間攪拌し、懸濁重合を行った。
得られた共重合体のアクリル酸メチル成分はNMRスペ
クトルから同定した結果48モル%であった。また30
℃におけるベンゼン溶液中での極限粘度は2.10であ
った。次に該共重合体8.6gを200gのメタノール
と10gの水及び5NのNaOH40mlからなるケン
化反応液中に添加し攪拌懸濁させ、25℃において1時
間ケン化反応を行った後、温度を65℃に昇温し、さら
に5時間ケン化反応を行った。得られたケン化反応物は
メタノールで十分に洗浄し、凍結乾燥した。ケン化度は
98.3モル%であり、赤外吸収スペクトルの測定の結
果、1570cm-1に−COO−基に帰属される強い吸
収が確認された。
【0132】[感熱高分子化合物の合成] モノマー(4)の合成 アセトニトリル200ml、シクロヘキシルアルコール
11g及びピリジン8.8gを500mlの三口フラス
コに入れ攪拌した。氷冷下ビニルベンゼンスルホニルク
ロリド20.2gを滴下した。滴下終了後室温にて2時
間攪拌した後、1リットルの水にあけ、酢酸エチルで抽
出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去
し、残渣をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィ
により精製すると、モノマー(4)が得られた。元素分
析の計算値は、C:63.13%、H:6.81%であ
り、実測値はC:63.01%、H:6.85%であっ
た。
【0133】モノマー(5)の合成 シクロヘキシルアルコールの代わりに2,2,2−トリ
フルオロエチルアルコールを使用した他は、モノマー
(4)の合成方法と同様の方法でモノマー(5)を合成
した。 モノマー(10)の合成 シクロヘキシルアルコールの代わりに下記のアルコール
を使用した他は、モノマー(4)の合成方法と同様の方
法でモノマー(5)を合成した。
【0134】
【化32】
【0135】モノマー(49)の合成 5リットルの三口フラスコに、1.06gの2,4−ジ
ニトロトルエン、次いで500gのメタクリル酸及び4
88gのジヒドロピランを入れた。氷冷下攪拌しながら
この混合物に濃塩酸を滴下した。滴下終了後、反応混合
物を約60℃に暖め、そのまま2時間30分攪拌を続け
た。反応混合物を室温まで冷却し、水酸化ナトリウム水
溶液により反応混合物をアルカリ性にした。ここから酢
酸エチルにより抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾
燥後、減圧濃縮した。得られた溶液はNMRでの同定に
よりモノマー(49):88.1重量%、酢酸エチル:
12.9重量%であることが判明した。
【0136】感熱高分子化合物(1)の合成 200mlの三口フラスコにモノマー(4)を20g、
及びメチルエチルケトンを40g入れ、65℃で窒素気
流下アゾビスジメチルバレロニトリル0.25gを加え
た。5時間攪拌しながら同温度に保った後減圧下溶媒を
留去し、固体を得た。GPCにより重量平均分子量1.
52万のポリマーであることが分かった。
【0137】[感熱高分子化合物(2)〜(4)の合
成]用いた原料モノマーをモノマー(4)から、下記表
1に示すモノマーに代えたこと以外は、感熱高分子化合
物(1)と同様にして感熱高分子化合物(2)〜(4)
を合成した。得られたポリマーの平均分子量を下記表1
に示す。
【0138】
【表1】
【0139】感熱高分子化合物(5)の合成 モノマー(4)7.18g、アクリル酸エチル0.31
g及びメチルエチルケトン15gを100mLの三口フ
ラスコに入れ、窒素気流下65℃においてアゾビスジメ
チルバレロニトリル0.1gを加えた。同温度で5時間
攪拌した後、メチルエチルケトンを減圧留去し、固体を
得た。GPC(ポリスチレン標準)により重量平均分子
量1.8万のポリマーであることが分かった。
【0140】感熱高分子化合物(6)〜(8)の合成 用いた原料モノマーをモノマー(4)から、下記表2に
示すモノマーに代えたこと以外は、感熱高分子化合物
(5)と同様にして感熱高分子化合物(6)〜(8)を
合成した。得られたポリマーの平均分子量を下記表2に
示す。
【0141】
【表2】
【0142】(実施例1〜8)厚さ0.30mmのアル
ミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄
して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパ
ミストン−水懸濁液を用いその表面を砂目立てし、水で
よく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウ
ム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、
更に2%硝酸に20秒間浸漬して水洗した。このときの
砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2 であった。
次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/
dm2 で3g/m2 の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水
洗乾燥した。さらに、上記の処理済みのアルミニウム板
に、下記の溶液[A]を塗布し、100℃で2分間乾燥
して(a)層を塗布したアルミニウム板を得た。乾燥後
の重量は g/m2 であった。
【0143】 溶液[A] 親水性高分子化合物 1.0g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.06g メチルアルコール 5.0g 精製水 5.0g
【0144】次に、下記の溶液[B]において、感熱高
分子化合物の種類を表3に示すように変えて、8種類の
溶液[B−1]〜[B−8]を調製した。この溶液をそ
れぞれ、上記の(a)層を塗布したアルミニウム板に塗
布し、80℃で3分間乾燥して平版印刷版用原版[B−
1]〜[B−8]を得た。乾燥後の重量は1.2g/m
2 であった。
【0145】 溶液[B] 感熱高分子化合物(表3) 4.0g 赤外線吸収剤(IR−125、和光純薬(株)製) 0.15g 酸発生剤 ジフェニルヨードニウムアントラキノンスルホン酸塩 0.15g ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを 1−ナフタレン−スルホン酸にした染料 0.05g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.06g メチルエチルケトン 20g γ−ブチロラクトン 10g 1−メトキシ−2−プロパノール 8g 水 2g
【0146】
【表3】
【0147】得られた平版印刷版用原版[B−1]〜
[B−8]を、波長1064nmの赤外線を発するYA
Gレーザーによりレーザーパワー:360mW、走査速
度:3.0m/sで露光した。露光後、110℃で1分
間加熱処理した後、ハイデルKOR−D機で印刷した。
この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどう
かを観察した。結果を表4に示す。
【0148】
【表4】
【0149】表4の結果より明らかなように、本発明の
平版印刷版によれば、走査速度:3.0m/sという低
エネルギーの露光によっても、何れも非画像部に汚れの
ない良好な印刷物が得られた。
【0150】(比較例1〜8)厚さ0.30mmのアル
ミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄
して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパ
ミストン−水懸濁液を用いその表面を砂目立てし、水で
よく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウ
ム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、
更に2%硝酸に20秒間浸漬して水洗した。このときの
砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2 であった。
次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/
dm2 で3g/m2 の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水
洗乾燥した。
【0151】次に、下記の溶液[C]において、感熱高
分子化合物の種類を変えて、8種類の溶液[C−1]〜
[C−8]を調製した。この溶液をそれぞれ、上記の処
理を施したアルミニウム板に塗布し、100℃で2分間
乾燥して平版印刷版用原版[C−1]〜[C−8]を得
た。乾燥後の重量は1.2g/m2 であった。
【0152】 溶液[C] 感熱高分子化合物(表5) 4.0g 赤外線吸収剤(IR−125、和光純薬(株)製) 0.15g 酸発生剤 ジフェニルヨードニウムアントラキノンスルホン酸塩 0.15g ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを 1−ナフタレン−スルホン酸にした染料 0.05g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.06g メチルエチルケトン 20g γ−ブチロラクトン 10g 1−メトキシ−2−プロパノール 8g 水 2g
【0153】
【表5】
【0154】得られた平版印刷版用原版[C−1]〜
[C−8]それぞれ2枚を、波長1064nmの赤外線
を発するYAGレーザーにより1枚はレーザーパワー:
360mW、走査速度:2.0m/sでもう1枚はレー
ザーパワー:360mW、走査速度:3.0m/sで露
光した。露光後、110℃で1分間加熱処理した後、ハ
イデルKOR−D機で印刷した。この際、印刷物の非画
像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。結果を
表6に示す。
【0155】
【表6】
【0156】表6の結果より明らかなように、本発明に
おいて、(b)層に当たる記録層のみを形成した比較例
の平版印刷版は、走査速度2.0m/sで露光した場合
には問題はないが、走査速度3.0m/sで露光した場
合、何れも非画像部に汚れが有る印刷物が得られ、低エ
ネルギーで露光した場合の現像性に問題があることがわ
かった。
【発明の効果】本発明の製版方法によれば、紫外〜可視
光露光もしくは赤外線などの各種のレーザーにより直接
製版可能であり、また水現像可能な、あるいは画像露光
後湿式現像処理やこすり等の特別な処理を必要とせず平
版印刷版の製版が可能であり、さらに、本発明の平版印
刷版原版によれば、高感度で、且つ、画像露光した後そ
のまま印刷機に装着し、印刷することができ、非画像部
において汚れのない良好な印刷物が得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の上に(a)側鎖に−COOR、
    −COOM、−SOR、−SO2 R、−SO3 R、−S
    OM、−SO2 M、−SO3 M、−OH、−NR1 2
    (ここで、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を
    示し、Mは金属原子を示し、R1 、R2 はそれぞれ独立
    に、水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。)か
    ら選ばれる官能基を有する親水性高分子化合物からなる
    層と、(b)側鎖に下記一般式(1)〜(5)の何れか
    で表される官能基の内の少なくとも一つを有し、熱によ
    り親水性に変化する疎水性高分子化合物からなる層と
    を、順次積層してなる平版印刷版原版を露光し、印刷機
    上の湿し水又はpHが2以上の水を主成分とする現像液
    により現像することを特徴とする平版印刷版の製版方
    法。 【化1】 式中、Lは疎水性高分子化合物主鎖に連結した多価の非
    金属原子から成る有機基を表し、R1 はアリール基、ア
    ルキル基又は環状イミド基を表し、R2 、R3はアリー
    ル基又はアルキル基を表し、R4 はアリール基、アルキ
    ル基又は−SO 2 5 を表し、R5 はアリール基又はア
    ルキル基を表し、R6 、R7 及びR8 はそれぞれ独立に
    アリール基又はアルキル基を表し、R6 、R7 及びR8
    の内の任意の2つもしくは3つで環を形成してもよい。
    9 及びR10の内の一方は水素原子を、他方は水素原
    子、アリール基又はアルキル基を表し、R11はアルキル
    基を表し、R9 とR11又はR10とR11で環を形成しても
    よい。
  2. 【請求項2】 支持体の上に(a)分子内にアルキレン
    オキシド基を有する親水性高分子化合物からなる層と、
    (b)側鎖に前記一般式(1)〜(5)の何れかで表さ
    れる官能基の内の少なくとも一つを有し、熱により親水
    性に変化する疎水性高分子化合物からなる層とを、順次
    積層してなる平版印刷版原版を露光し、pHが2以上の
    水を主成分とする現像液又は印刷機上の湿し水により現
    像することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
  3. 【請求項3】 支持体の上に、(a)側鎖に−COO
    R、−COOM、−SOR、−SO2 R、−SO3 R、
    −SOM、−SO2 M、−SO3 M、−OH、−NR1
    2 (ここで、Rは水素原子、アルキル基又はアリール
    基を示し、Mは金属原子を示し、R1 、R2 はそれぞれ
    独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を示
    す。)から選ばれる官能基を有する親水性高分子化合物
    及び分子内にアルキレンオキシド基を有する親水性高分
    子化合物のうち少なくとも1種を含有する層と、(b)
    側鎖に前記一般式(1)〜(5)の何れかで表される官
    能基の内の少なくとも一つを有し、熱により親水性に変
    化する疎水性高分子化合物からなる層とを、順次積層し
    てなることを特徴とする平版印刷版原版。
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