JPH11159379A - エンジン冷却系の異常診断装置 - Google Patents

エンジン冷却系の異常診断装置

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JPH11159379A
JPH11159379A JP32839597A JP32839597A JPH11159379A JP H11159379 A JPH11159379 A JP H11159379A JP 32839597 A JP32839597 A JP 32839597A JP 32839597 A JP32839597 A JP 32839597A JP H11159379 A JPH11159379 A JP H11159379A
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coolant temperature
water temperature
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克昭 内山
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克彦 川村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジン冷却系の異常診断装置において、診
断精度を高める。 【解決手段】 冷却水温度Twを検出する冷却水温セン
サ14を備え、コントロールユニット12は暖機時に吸
入空気量Qaを積算してエンジン1の発熱量を算出し、
エンジン1の発熱量に基づいて判定時間T1が経過した
後の水温上昇判定基準値を算出し、検出される冷却水温
度Twに基づいて判定時間T1が経過した後の水温上昇
値を算出し、水温上昇値が水温上昇判定基準値より低い
場合に冷却系に異常が生じたものと診断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン冷却系の
異常を診断する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エンジン冷却系に起こる異常として、例
えば冷却水温センサの故障や、あるいはサーモスタット
バルブの故障がある。サーモスタットバルブに洩れがあ
ったり開弁したままとなって閉弁できなくなる開故障を
起こすと、暖機時に冷却水がラジエータを循環してエン
ジンの暖機が遅れる。
【0003】図10はエンジンの始動後に車両の発進と
停止が繰り返される所定のFTPテストモードで運転さ
れるときに冷却水温度が変化する様子を測定した結果
を、サーモスタットバルブが開故障した場合(Open
Stuck)と、サーモスタットバルブの洩れ量が6
リットル/分と大きい場合(Large Leak)
と、サーモスタットバルブの洩れ量が3リットル/分と
小さい場合(SmallLeak)のそれぞれの状況に
ついて示している。これから、サーモスタットバルブの
洩れ量が大きくなるほど冷却水の温度上昇が遅くなり、
サーモスタットバルブが開故障した場合は冷却水温度が
基準値(70°C)に到達しないことがわかる。
【0004】従来、この種のエンジン冷却系の異常を診
断する装置として、例えば特開平4−187854号公
報、特開平7−34943号公報に開示されているよう
に、設定された時間だけ暖機運転が行われた後に達する
冷却水温度Twと基準値を比較して、冷却水温度Twが
基準値に達しない場合にエンジン冷却系に異常が生じて
いると診断するものがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のエンジン冷却系の異常診断装置にあっては、
例えばサーモスタットバルブに洩れ等の異常があったと
しても、暖機中にエンジンが高負荷で運転される場合は
冷却水温度Twが急速に上昇するので、この異常を診断
できない。また、サーモスタットバルブが正常に作動し
ていても、暖機中にエンジンがアイドル運転されるよう
な場合は冷却水温度Twの上昇が遅くなるので、サーモ
スタットバルブに異常を来しているものと誤って診断す
る可能性があった。
【0006】また、実開昭55−135983号公報に
開示されたエンジン冷却系の異常診断装置にあっては、
複数の冷却水温センサを設けて、サーモスタットバルブ
の洩れを検出するようになっている。
【0007】さらに、特開昭58−8225号公報に開
示されたエンジン冷却系の異常診断装置にあっては、サ
ーモスタットバルブに可動接点を設けて、開固着や閉固
着を検出するようになっている。
【0008】しかしながら、このような従来のエンジン
冷却系の異常診断装置にあっては、センサ類を設ける必
要があるため、製品のコストアップを招くという問題点
が考えられる。
【0009】本発明は上記の問題点を鑑みてなされたも
のであり、エンジン冷却系の異常診断装置において、診
断精度を高めることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のエンジ
ン冷却系の異常診断装置は、冷却液温度Twを検出する
冷却液温センサと、エンジンの負荷を検出する手段と、
検出されるエンジンの負荷を積算してエンジンの発熱量
を算出する手段と、検出される冷却液温度Twと算出さ
れるエンジンの発熱量に応じて冷却系に異常が発生した
かどうかを診断する手段とを備えるものとした。
【0011】請求項2に記載のエンジン冷却系の異常診
断装置は、冷却液温度Twを検出する冷却液温センサ
と、検出される冷却液温度Twに基づいて判定期間にお
ける冷却液温度Twの上昇値を算出する手段と、エンジ
ンの負荷を検出する手段と、エンジンの負荷を積算して
エンジンの発熱量を算出する手段と、算出される発熱量
に応じて判定期間における液温上昇判定基準値を算出す
る手段と、検出される冷却液温度Twの上昇値が液温上
昇判定基準値より低い場合に冷却系に異常が生じたもの
と診断する手段とを備えるものとした。
【0012】請求項3に記載のエンジン冷却系の異常診
断装置は、請求項2に記載の発明において、前記液温上
昇判定基準値を車速または吸気温度に応じて補正する構
成とした。
【0013】請求項4に記載のエンジン冷却系の異常診
断装置は、冷却液温度Twを検出する冷却液温センサ
と、エンジンの負荷を検出する手段と、検出されるエン
ジンの負荷を積算してエンジンの発熱量を算出する手段
と、算出されるエンジンの発熱量に応じて冷却液温度を
推定する手段と、推定される冷却液温度が判定許可液温
に達する時点で検出される冷却液温度Twが予め設定さ
れた判定値より低い場合に冷却系に異常が生じたものと
診断する手段とを備えるものとした。
【0014】請求項5に記載のエンジン冷却系の異常診
断装置は、請求項4に記載の発明において、前記判定許
可液温を車速または吸気温度に応じて補正する構成とし
た。
【0015】請求項6に記載のエンジン冷却系の異常診
断装置は、請求項1、2、4のいずれか一つに記載の発
明において、エンジンの発熱量を車速、点火時期、混合
比、エンジン回転数の少なくとも一つに応じて補正する
構成とした。
【0016】
【発明の作用および効果】請求項1に記載のエンジン冷
却系の異常診断装置において、エンジンの負荷を積算し
てエンジンの発熱量を算出し、エンジンの発熱量と冷却
液温センサによって検出される冷却液温度Twに応じて
冷却系に異常が発生したかどうかを診断する。
【0017】例えば、暖機中にエンジンが高負荷で運転
される場合はエンジンの発熱量が多いので冷却液温度T
wが急速に上昇するが、エンジンの発熱量に応じて判定
値または判定期間を補正することにより、冷却液温度T
wに基づいてサーモスタットバルブ等が正常に作動して
いるかどうかを的確に診断することができる。
【0018】また、エンジンの負荷を検出する手段とし
て既存のエアフロメータ等を用いたり、燃料噴射量の信
号を用いることにより、新たにセンサ類を追加する必要
がなく、構造の簡素化がはかれる。
【0019】請求項2に記載のエンジン冷却系の異常診
断装置において、検出される冷却液温度Twに基づいて
判定期間における冷却液温度Twの上昇値を算出する一
方、エンジンの負荷を積算して算出される発熱量に応じ
て判定期間における液温上昇判定基準値を算出し、検出
される冷却液温度Twの上昇値が液温上昇判定基準値よ
り低い場合に冷却系に異常が生じたものと診断する。
【0020】例えば、暖機中にエンジンが高負荷で運転
されてエンジンの発熱量の増加に伴い冷却液温度Twが
急速に上昇する場合、エンジンの発熱量に応じて算出さ
れる液温上昇判定基準値が高くなる。一方、暖機中にエ
ンジンがアイドル運転されて冷却液温度Twの上昇が遅
くなる場合、液温上昇判定基準値が低くなることによ
り、サーモスタットバルブ等が正常に作動しているかど
うかをエンジン発熱量の増減に影響されることなく的確
に診断することができる。
【0021】また、前記従来装置のように暖機運転が十
分に行われるまで診断を待つ必要がなく、冷却液温度T
wが従来装置で設定されていた判定値(例えば70°
C)に達する前に診断を終了することができる。
【0022】請求項3に記載のエンジン冷却系の異常診
断装置において、液温上昇判定基準値を車速または吸気
温度に応じて補正することにより、液温上昇判定基準値
をラジエータやエンジンの放熱量に応じて算出すること
ができ、診断精度を高められる。
【0023】請求項4に記載のエンジン冷却系の異常診
断装置において、検出されるエンジンの負荷を積算して
算出されるエンジンの発熱量に応じて冷却液温度を推定
し、推定される冷却液温度が判定許可液温に達する時点
で検出される冷却液温度Twが予め設定された判定値よ
り低い場合に冷却系に異常が生じたものと診断する。例
えば、暖機中にエンジンが高負荷で運転されてエンジン
の発熱量の増加に伴い冷却液温度Twが急速に上昇する
場合、エンジンの発熱量に応じて算出される判定期間が
短くなる。一方、暖機中にエンジンがアイドル運転され
て冷却液温度Twの上昇が遅くなるような場合、判定期
間が長くなることにより、サーモスタットバルブ等が正
常に作動しているかどうかを的確に診断することができ
る。
【0024】請求項5に記載のエンジン冷却系の異常診
断装置において、判定許可液温を車速または吸気温度に
応じて補正することにより、判定許可液温をラジエータ
やエンジンの放熱量に応じて算出することができ、診断
精度を高められる。
【0025】請求項6に記載のエンジン冷却系の異常診
断装置において、エンジンの発熱量を車速、点火時期、
混合比、エンジン回転数の少なくとも一つに応じて補正
することにより、エンジンの発熱量を精度よく算出する
ことができ、診断精度を高められる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0027】図1に示すように、V型6気筒エンジンに
備えられる冷却装置は、シリンダブロックに形成された
ウォータジャケット34と、シリンダヘッドに形成され
たウォータジャケット35とを備える。ブロック側ウォ
ータジャケット34はピストンを収装する各シリンダの
周囲に冷却水(冷却液)を循環させる一方、ヘッド側ウ
ォータジャケット35は燃焼室壁の周囲に冷却水を循環
させるようになっている。冷却水は図中矢印で示すよう
に流れる。
【0028】各ウォータジャケット34,35に冷却水
を送り込むウォータポンプ33が設けられる。ウォータ
ポンプ33は図示しないベルトおよびプーリを介してク
ランクシャフトの回転が伝えられる。ウォータポンプ3
3から吐出する冷却水は、図中矢印で示すようにブロッ
ク側ウォータジャケット34を循環した後にヘッド側ウ
ォータジャケット35に流入する流れF1と、ブロック
側ウォータジャケット34の端部から直接ヘッド側ウォ
ータジャケット35に流入する流れF2がある。
【0029】ヘッド側ウォータジャケット35の出口3
5aから流出する冷却水をラジエータ44を介してウォ
ータポンプ33の吸込口33aに導く冷却通路40が配
設される。ラジエータ44はこれを循環する冷却水から
外気への放熱を促す熱交換器の働きをする。ヘッド側ウ
ォータジャケット35の出口35aから流出する冷却水
をラジエータ44を迂回してウォータポンプ33の吸込
口33aに導くバイパス通路41が配設される。バイパ
ス通路41の通水抵抗が冷却通路40の通水抵抗より所
定の比率で大きく形成される。ヘッド側ウォータジャケ
ット35の出口35aから流出する冷却水をラジエータ
44を迂回してウォータポンプ33の吸込口33aに導
くヒータ通路42が配設される。ヒータ通路42の途中
には図示しない車室内の暖房用ヒータコアが介装され
る。
【0030】冷却通路40を冷却水温度に応じて開閉す
るサーモスタットバルブ43がラジエータ44とウォー
タポンプ33の間に位置してバイパス通路41の合流部
より上流側に介装され、サーモスタットバルブ43の感
温部がバイパス通路41とヒータ通路42の合流部より
下流側に臨んで設けられる。
【0031】冷却水温度が所定値より低い冷間時に、サ
ーモスタットバルブ43が閉弁し、ウォータポンプ33
から吐出する冷却水の全量はバイパス通路41を通りラ
ジエータ44を迂回して流れる。これにより暖機が促さ
れ、未燃焼HC排出量が低減される。
【0032】冷却水温度が所定値以上に上昇した温間時
に、サーモスタットバルブ43が開弁し、ウォータポン
プ33から吐出する冷却水はヘッド側とブロック側の各
ウォータジャケット34,35を循環した後にラジエー
タ44を循環して放熱する。これにより、冷却水の温度
が所定の範囲に維持される。
【0033】図2に示すように、エンジン1は吸気弁が
開かれるのに伴って吸気通路2からシリンダに吸気(混
合気)を吸入し、この吸気をピストンで圧縮して、点火
プラグ6で着火燃焼させ、排気弁が開かれるのに伴って
排気が排気通路3に排出され、これらの各行程が連続し
て繰り返されるようになっている。
【0034】吸気通路2の途中には吸気ポートに燃料を
噴射するインジェクタ7と、アクセルペダルに連動して
吸気を絞るスロットルバルブ8がそれぞれ設けられ、そ
の上流側には吸気量を検出するエアフロメータ9が設け
られる。
【0035】排気通路3の途中には三元触媒10が設置
され、排気中の未燃焼HC、COを酸化するとともに、
NOxを還元する。
【0036】コントロールユニット12には、エアフロ
メータ9で検出される吸気量Qaと、アイドルスイッチ
信号SWと、エンジン回転数センサ13で検出されるエ
ンジン回転数Neと、吸気温センサ16で検出される吸
気温度Taと、車速センサ17で検出される車速Vと、
冷却水温センサ14で検出される冷却水温度Tw等を入
力して、燃料噴射量Tiと点火時期ADV等をこれら運
転状態に応じて演算する。
【0037】コントロールユニット12は、冷却水温セ
ンサ14で検出される冷却水温度Twが所定値Tw1
上に上昇する暖機後に、O2センサ15で検出される排
気中の酸素濃度に応じた出力を入力して、混合気が理論
空燃比となるようにインジェクタ7からの燃料噴射量を
フィードバック制御して、三元触媒10での転化効率を
最大限に維持するようになっている。
【0038】ところで、例えばサーモスタットバルブ4
3のまわりに洩れが生じたり、サーモスタットバルブ4
3が開弁したままとなって閉弁できなくなる故障が生じ
ると、暖機時から冷却水がラジエータ14を循環するた
め、エンジン1の暖機が遅れるという問題点がある。
【0039】本発明はこれに対処して、エンジン1の負
荷を積算してエンジン1の発熱量を算出し、エンジン1
の発熱量と冷却水温センサ14によって検出される冷却
水温度Twに応じて冷却系に異常が発生したかどうかを
診断する。
【0040】本実施の形態において、コントロールユニ
ット12は暖機時にエンジン1の吸入空気量Qaの積算
値に基づいてエンジン1の発熱量を算出し、エンジン1
の発熱量に基づいて判定時間T1が経過した後の水温上
昇判定基準値を算出し、冷却水温センサ14で検出され
る冷却水温度Twに基づいて判定時間T1が経過した後
の水温上昇値を算出する。図4に示すように、水温上昇
値が水温上昇判定基準値以上の場合に冷却系が正常であ
ると診断し、水温上昇判定基準値より低い場合に冷却系
に異常が生じたものと診断する。
【0041】例えば、暖機中にエンジン1が高負荷で運
転される場合、エンジン1の発熱量の増加に伴い冷却水
温度Twが急速に上昇するが、エンジン1の発熱量が増
加するに応じて算出される水温上昇判定基準値が高くな
り、サーモスタットバルブ43や冷却水温センサ14等
に異常を来したかどうかを的確に診断することができ
る。一方、暖機中にエンジン1がアイドル運転される場
合、エンジン1の発熱量が減少するのに伴い冷却水温度
Twの上昇が遅くなるが、エンジン1の発熱量が減少す
るのに応じて水温上昇判定基準値が低くなり、サーモス
タットバルブ43や冷却水温センサ14等に異常を来し
たかどうかを的確に診断することができる。また、前記
従来装置のように暖機運転が十分に行われるまで診断を
待つ必要がなく、冷却水温度Twが従来装置で設定され
ていた判定値(例えば70°C)に達する前に診断を終
了することができる。
【0042】そして、エンジン1の発熱量は車速V、吸
気温度Ta、点火時期ADV、混合比、エンジン回転数
Ne等に応じて補正される。これにより、エンジン1の
発熱量を精度よく算出することができ、診断精度を高め
られる。
【0043】発熱量補正係数Keは図5に示すテーブル
に基づいて車速Vに応じて検索される。車速Vが高まる
のにしたがってエンジン1の発熱量が増えることに対応
して、吸気量積算値SUQIVLは発熱量補正係数Ke
によって車速Vが高まるのにしたがって増加するように
補正される。
【0044】さらに、水温上昇判定基準値は車速V、吸
気温度Ta等に応じて補正される。これにより、エンジ
ン1やラジエータ44の放熱量に応じて水温上昇判定基
準値を精度よく算出することができ、診断精度を高めら
れる。
【0045】放熱量補正係数Krは図6に示すテーブル
に基づいて車速Vに応じて検索される。車速Vが高まる
のにしたがってラジエータ44の放熱量が増えることに
対応して、水温上昇判定基準値は放熱量補正係数Krに
よって車速Vが高まるのにしたがって高まるように補正
される。
【0046】放熱量補正係数Kwは図7に示すテーブル
に基づいて吸気温度Taに応じて検索される。吸気温T
aが高まるのにしたがってエンジン1の放熱量が減少す
ることに対応して、水温上昇判定基準値は放熱量補正係
数Kwによって吸気温度Taが高まるのにしたがって低
下するように補正される。
【0047】図3のフローチャートは、コントロールユ
ニット12において実行される冷却装置の異常を診断す
る制御プログラムを示しており、これはエンジン1の運
転中に所定周期で実行される。
【0048】まず、ステップS1で診断条件が成立する
かどうかを判定する。この診断条件としては、エンジン
1の回転中であること、冷却水温センサ14、エアフロ
メータ9、エンジン回転数センサ13、吸気温センサ1
6、車速センサ17の異常が診断されていないことを判
定する。ここで診断条件が成立しない場合、ステップS
11に進んで後述するタイマーをクリアする。
【0049】ステップS2で基準水温が設定されている
かどうかを判定する。設定されていなければステップS
3に進んで、現時点の冷却水温度Twを基準水温として
セットする。設定されていればステップS4に進む。
【0050】ステップS4でエンジン1の発熱量を算出
する。エンジン1の発熱量は基本的にエアフロメータ9
で検出される吸気量Qaを積算した値SUQIVLとす
る。そして、この吸気量Qaの積算値SUQIVLを発
熱量補正係数Ke等によって補正する。なお、このステ
ップS4で行われる処理が請求項1、2、4に記載の発
明においてエンジンの発熱量を算出する手段に相当する
とともに、請求項6に記載の発明においてエンジンの発
熱量を補正する手段に相当する。また、エアフロメータ
9が請求項1、2、4に記載の発明においてエンジンの
負荷を検出する手段に相当する。なお、エンジン1の負
荷を検出する手段として、燃料噴射量Tiの信号を用い
てもよい。
【0051】続いてステップS5に進んで、基準水温が
設定された時点からタイマーをカウントアップし、ステ
ップS6でタイマー積算値が判定時間T1に相当する許
可条件に達するかどうかを判定する。
【0052】タイマー積算値が許可条件に達した場合、
ステップS7に進んで、水温上昇判定基準値を算出する
とともに、実際の水温上昇値を算出する。水温上昇判定
基準値は基準水温と判定区間におけるエンジン1の発熱
量に応じて算出される。そして、水温上昇判定基準値
は、放熱量補正係数Kr、放熱量補正係数Kw等によっ
て補正される。水温上昇値は基準水温と判定時間経過時
に検出される冷却水温度Twの差として算出される。な
お、こステップS5からS7における処理が請求項2に
記載の発明において水温上昇判定基準値を算出する手段
に相当するとともに、請求項5に記載の発明において水
温上昇判定基準値を補正する手段に相当する。
【0053】続いてステップS8に進んで、水温上昇値
が水温上昇判定基準値より低いかどうかを判定する。水
温上昇値が水温上昇判定基準値以上の場合にステップS
10に進んで冷却系が正常であると診断する。一方、水
温上昇値が水温上昇判定基準値より低い場合にステップ
S9に進んで冷却系に異常が生じたものと診断し、警告
灯24を点灯して運転者にこれを知らせる。なお、この
ステップS8における処理が請求項1または2に記載の
発明において冷却系に異常が発生したかどうかを診断す
る手段に相当する。
【0054】他の実施の形態として、コントロールユニ
ット12は、暖機時に検出されるエンジン1の負荷を積
算してエンジン1の発熱量を算出し、エンジン1の発熱
量に基づいて冷却水温度を推定し、推定水温が判定許可
水温に達する時点で冷却水温センサ14で検出される冷
却水温度Twと予め設定された判定値とを比較する。図
9に示すように、冷却水温度Twが判定値以上の場合に
冷却系が正常であると診断し、判定値より低い場合に冷
却系に異常が生じたものと診断する。
【0055】これにより、サーモスタットバルブ43や
冷却水温センサ14等に異常を来したかどうかを、暖機
時におけるエンジン1の負荷状態に影響されることなく
的確に診断することができる。
【0056】そして、前記実施の形態と同じく、エンジ
ン1の発熱量は車速V、吸気温度Ta、点火時期AD
V、混合比、エンジン回転数Ne等に応じて補正され
る。これにより、エンジン1の発熱量を精度よく算出す
ることができ、診断精度を高められる。
【0057】さらに、判定許可水温は車速V、吸気温度
Ta等に応じて補正される。これにより、エンジン1お
よびラジエータ44の放熱量に基づいて判定許可水温を
精度よく算出することができ、診断精度を高められる。
【0058】放熱量補正係数Krは図6に示すテーブル
に基づいて車速Vに応じて検索される。車速Vが高まる
のにしたがってラジエータ44の放熱量が増えることに
対応して、判定許可水温は放熱量補正係数Krによって
車速Vが高まるのにしたがって高まるように補正され
る。
【0059】放熱量補正係数Kwは図7に示すテーブル
に基づいて吸気温度Taに応じて検索される。吸気温T
aが高まるのにしたがってエンジン1の放熱量が減少す
ることに対応して、判定許可水温は放熱量補正係数Kw
によって吸気温度Taが高まるのにしたがって低下する
ように補正される。
【0060】図8のフローチャートは、コントロールユ
ニット12において実行される冷却装置の異常を診断す
る制御プログラムを示しており、これはエンジン1の運
転中に所定周期で実行される。
【0061】まず、ステップS21で診断条件が成立す
るかどうかを判定する。この診断条件としては、エンジ
ン1の回転中であること、冷却水温センサ14、エアフ
ロメータ9、エンジン回転数センサ13、吸気温センサ
16、車速センサ17の異常が診断されていないことを
判定する。
【0062】ステップS22でエンジン1の発熱量を算
出する。エンジン1の発熱量は基本的にエアフロメータ
9で検出される吸気量Qaを積算した値S2UQIVL
とする。そして、この吸気量Qaの積算値S2UQIV
Lを発熱量補正係数Ke等によって補正する。なお、こ
のステップS22で行われる処理が請求項1、2、4に
記載の発明においてエンジンの発熱量を算出する手段に
相当するとともに、請求項6に記載の発明においてエン
ジンの発熱量を補正する手段に相当する。
【0063】続いてステップS23に進んで、エンジン
1の発熱量に基づいて冷却水温度を推定し、ステップS
24に進んで推定水温が判定許可水温に達するかどうか
を判定する。
【0064】推定水温が判定許可水温に達すると判定さ
れた時点でステップS25に進んで冷却水温センサ14
で検出される冷却水温度Twと予め設定された判定値
(例えば70°C)と比較する。冷却水温度Twが判定
値以上の場合にステップS27に進んで冷却系が正常で
あると診断し、判定値より低い場合にステップS26に
進んで冷却系に異常が生じたものと診断し、警告灯24
を点灯して運転者にこれを知らせる。なお、このステッ
プS25における処理が請求項1または4に記載の発明
において、冷却系に異常が発生したかどうかを診断する
手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す冷却装置の構成図。
【図2】同じくエンジンの制御系を示すシステム図。
【図3】同じく冷却装置の異常を診断する制御内容を示
すフローチャート。
【図4】同じく冷却水温度が変化する例を示す線図。
【図5】同じく発熱量補正係数Keと車速Vの関係を示
す特性図。
【図6】同じく放熱量補正係数Krと車速Vの関係を示
す特性図。
【図7】同じく放熱量補正係数Kwと吸気温度Taの関
係を示す特性図。
【図8】他の実施の形態を示す冷却装置の異常を診断す
る制御内容を示すフローチャート。
【図9】同じく冷却水温度が変化する例を示す線図。
【図10】冷却水温度が変化する例を示す線図。
【符号の説明】
1 エンジン 9 エアフロメータ 12 コントロールユニット 14 冷却水温センサ 16 吸気温センサ 17 車速センサ 34 ブロック側ウォータジャケット 35 ヘッド側ウォータジャケット 40 冷却通路 41 バイパス通路 43 サーモスタットバルブ 44 ラジエータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G05B 23/02 302 G05B 23/02 302S

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷却液温度Twを検出する冷却液温センサ
    と、 エンジンの負荷を検出する手段と、 検出されるエンジンの負荷を積算してエンジンの発熱量
    を算出する手段と、 検出される冷却液温度Twと算出されるエンジンの発熱
    量に応じて冷却系に異常が発生したかどうかを診断する
    手段と、 を備えたことを特徴とするエンジン冷却系の異常診断装
    置。
  2. 【請求項2】冷却液温度Twを検出する冷却液温センサ
    と、 検出される冷却液温度Twに基づいて判定期間における
    冷却液温度Twの上昇値を算出する手段と、 エンジンの負荷を検出する手段と、 エンジンの負荷を積算してエンジンの発熱量を算出する
    手段と、 算出される発熱量に応じて判定期間における液温上昇判
    定基準値を算出する手段と、 検出される冷却液温度Twの上昇値が液温上昇判定基準
    値より低い場合に冷却系に異常が生じたものと診断する
    手段と、 を備えたことを特徴とするエンジン冷却系の異常診断装
    置。
  3. 【請求項3】前記液温上昇判定基準値を車速または吸気
    温度に応じて補正することを特徴とする請求項2に記載
    のエンジン冷却系の異常診断装置。
  4. 【請求項4】冷却液温度Twを検出する冷却液温センサ
    と、 エンジンの負荷を検出する手段と、 検出されるエンジンの負荷を積算してエンジンの発熱量
    を算出する手段と、 算出されるエンジンの発熱量に応じて冷却液温度を推定
    する手段と、 推定される冷却液温度が判定許可液温に達する時点で検
    出される冷却液温度Twが予め設定された判定値より低
    い場合に冷却系に異常が生じたものと診断する手段と、 を備えたことを特徴とするエンジン冷却系の異常診断装
    置。
  5. 【請求項5】前記判定許可液温を車速または吸気温度に
    応じて補正することを特徴とする請求項4に記載のエン
    ジン冷却系の異常診断装置。
  6. 【請求項6】前記エンジンの発熱量を車速、点火時期、
    混合比、エンジン回転数の少なくとも一つに応じて補正
    することを特徴とする請求項1、2、4のいずれか一つ
    に記載のエンジン冷却系の異常診断装置。
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