JP5276636B2 - 内燃機関温度制御システム - Google Patents
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Description
上記実情に鑑み、本発明の目的は、冷却液の循環を通じて実行されるブロックヒータの使用判定処理と、暖機運転のような冷却液の循環停止状態での内燃機関始動という、相反する要望をバランスよく解決することである。
(1)ソーク時間が内燃機関にブロックヒータを取り付けて加熱するだけの十分な時間でなければ、ブロックヒータは使用されていないと推定できる。
(2)ブロックヒータの使用は寒冷地における内燃機関の温めを目的としているので、環境温度がブロックヒータによる内燃機関の温めを必要としないような温度である場合、ブロックヒータは使用されていないと推定できる。
(3)ソーク時間が十分に長いと、冷却液温と環境温度(外気温つまり吸気温と実質的には等価と考えられる)とはほぼ同じ温度になると考えられる。したがって、長いソーク時間にも関わらず冷却液温が環境温度より高い場合、ブロックヒータの使用を疑うことができる。言い換えると、長いソーク時間であって冷却液温と環境温度との差が少ない場合、ブロックヒータは使用されていないと推定できる。
このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、ブロックヒータ不使用推定部は、前記内燃機関の再始動までの停止時間(一般にはソーク時間と呼ばれる)、前記内燃機関の環境温度、前記冷却液の循環経路における液温分布のうちの少なくとも1つに応じて前記ブロックヒータの不使用を推定するように構成されている。
図1は、本発明による内燃機関温度制御システムの一例を、内燃機関を構成する1つの気筒20を用いて示している模式図であり、図2は、内燃機関の全体構成を用いて示している模式図である。
車両に搭載された多気筒20の内燃機関は、シリンダブロック11及びシリンダヘッド12等からなる内燃機関ハウジングを備えており、ここでは内燃機関ハウジングを壁体、特に気筒20を作り出している気筒20周辺の壁体部分を気筒壁体と称することがある。シリンダヘッド12の壁体には、各気筒20(シリンダ)が作り出している燃焼室にその先端が突出している点火装置42が設けられている。また、気筒20毎にピストン13が設けられ、各ピストン13はクランクシャフト14に連動している。シリンダブロック11及びシリンダヘッド12の壁体内部には、各燃焼室に吸気弁23を介して空気を取り込むために吸気通路21の一部と各燃焼室から排気弁24を介して排気ガスを排出するために排気通路22の一部が形成されている。その吸気通路21には、所定量の燃料を吸気通路21に噴射する燃料噴射弁41が配置されている。さらに、吸気通路21には、各燃焼室に取り込まれる空気を清浄化するエアクリーナ25及び吸気通路21を流れる空気量を調節するためのスロットルバルブ26が設けられている。エアクリーナ25の領域には、吸気温(すなわち外気温)を検出する吸気温センサ82が設けられている。この吸気温センサ82によって検出される吸気温は、この実施の形態では環境温度として取り扱われる。吸気弁23と排気弁24には、それぞれ、弁の開閉タイミングを可変する可変バルブタイミング機構43(可変吸気バルブタイミング機構43aと可変排気バルブタイミング機構43b)が設けられている。
ブロックヒータ使用判定部62には、現在の冷却水温が最高冷却水温との温度差、つまりエンジン始動から現在までの冷却水温低下量がしきい値よりも大きいか否かをチェックし、大きいならば、ブロックヒータ19が使用されたと判定し、しきい値以下ならば、ブロックヒータ19は使用されなかったと判定するような判定アルゴリズムが設定される。
まず、イグニッションスイッチのONなどによって、この制御ルーチンがスタートすると、ソーク時間が算出され、算出されたソーク時間が前設定されたソーク時間しきい値:t1 と比較される(#01)。このしきい値:t1 は、内燃機関にブロックヒータ19を取り付けて加熱するに必要とされる時間に対応しているので、ソーク時間がしきい値:t1 を下回っていれば(#01Yes 分岐)、ブロックヒータ19が使用されていないと推定され、ブロックヒータフラグに「不使用」が設定される(#04)。
ソーク時間がしきい値:t1 以上であれば(#01No分岐)、次に現時点の吸気温である初期吸気温が環境温度しきい値:T1 と比較される(#02)。このしきい値:T1 は、ブロックヒータ19による内燃機関の温めを必要としないような環境温度に対応しているので、初期吸気温がしきい値:T1 を上回っていれば(#02Yes 分岐)、ブロックヒータ19が使用されていないと推定され、ブロックヒータフラグに「不使用」が設定される (#04)。
初期吸気温がしきい値:T1 以下であれば(#02No分岐)、さらに、現時点の冷却水温である初期水温と初期吸気温との温度差が温度差しきい値:ΔT1 と比較される(#03)。この温度差しきい値:ΔT1 は、十分な時間経過によってもたらされる冷却水温と吸気温度との差に対応しているので、初期水温と初期吸気温との温度差が温度差しきい値:ΔT1 を下回っていると(#03Yes 分岐)、ブロックヒータ19が使用されていないと推定され、ブロックヒータフラグに「不使用」が設定される(#04)。
まず、このブロックヒータ使用・不使用判定は、冷却水循環が前提となるため、冷却水の循環を開始する(#11)。冷却水の循環が開始されると、冷却水温度を算定するとともにその冷却水温度の経時的な変化である水温変化値、つまり内燃機関停止中の冷却流路における冷却水の温度分布を算定する(#12)。次に、算定された水温変化値が前設定されたしきい値: ΔT2 と比較される(#13)。水温変化値がしきい値: ΔT2 を上回った場合(#13Yes 分岐)、前述したアルゴリズムに基づいてブロックヒータが使用されたと判定され、ブロックヒータフラグに「使用」が設定される(#14)。水温変化値がしきい値: ΔT2 以下の場合(#13No分岐)、判定に必要なだけの冷却水循環が行われたかどうかチェックされる(#15)。ステップ#13でYes 分岐することなしに、この判定に必要なだけの冷却水循環が行われた場合(#15No分岐)、ブロックヒータが使用されなかったと判定され、ブロックヒータフラグに「不使用」が設定される(#16)。ステップ#14またはステップ#16の処理が終わると、冷却水の循環を停止して(#17)、このブロックヒータ使用・不使用判定ルーチンを終える。
12:シリンダヘッド
20:気筒
31:冷却流路(冷却液循環装置)
32:電動ポンプ(冷却液循環装置)
33:ラジエータ
34:流量制御弁(冷却液循環装置)
35:ヒータコア
84:第1液温検出センサ(液温検出手段)
85:第2液温検出センサ(冷却液循環装置)
5:制御ユニット
51:ソーク時間算定部
52:環境温度算定部
53:液温分布算定部
56:液温検出故障判定部
57:暖機運転管理部
58:冷却循環制御部
60:ブロックヒータ使用判定手段
61:ブロックヒータ不使用推定部
62:ブロックヒータ使用判定部
Claims (5)
- 冷却液を保温するブロックヒータの装着が可能な内燃機関のための内燃機関温度制御システムであって、
前記冷却液を循環させる冷却液循環装置と、
前記冷却液の液温を検出する液温検出手段と、
前記ブロックヒータの不使用の可能性を前記冷却液の循環を停止させた状態で推定するブロックヒータ不使用推定部と、
前記ブロックヒータ不使用推定部が前記ブロックヒータの不使用可能性を推定しなかった場合に前記ブロックヒータの使用または不使用を前記冷却液の循環下での液温変化に基づいて判定するブロックヒータ使用判定部と、
前記ブロックヒータ使用判定部による判定の前に前記冷却液循環装置によって前記冷却液の循環を実行し、前記ブロックヒータ使用判定部による判定の後に前記冷却液循環装置によって前記冷却液の循環を停止させる冷却液循環制御部と、
を備えている内燃機関温度制御システム。 - 前記冷却液循環制御部は、前記冷却液の循環を実行し、前記ブロックヒータ使用判定部が冷却液温度の経時的な変化である冷却液温変化値としきい値を比較して判定した後に、前記冷却液の循環を停止させる請求項1記載の内燃機関温度制御システム。
- 前記ブロックヒータ不使用推定部は、前記内燃機関の再始動までの停止時間、前記内燃機関の環境温度、前記冷却液の循環経路における液温分布のうちの少なくとも1 つに応じて前記ブロックヒータの不使用を推定する請求項1又は2に記載の内燃機関温度制御システム。
- 循環中の前記冷却液の液温変化に基づいて前記液温検出手段の故障を判定する故障判定部を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関温度制御システム。
- 前記冷却液の循環を停止させた状態で前記内燃機関を運転する暖機運転管理部を備える請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関温度制御システム。
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