JPH11154316A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH11154316A
JPH11154316A JP32007897A JP32007897A JPH11154316A JP H11154316 A JPH11154316 A JP H11154316A JP 32007897 A JP32007897 A JP 32007897A JP 32007897 A JP32007897 A JP 32007897A JP H11154316 A JPH11154316 A JP H11154316A
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density
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magnetic
recording medium
magnetic layer
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JP32007897A
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Inventor
Satoshi Nagai
智 永井
Noriyuki Kitaori
典之 北折
Hirohide Mizunoya
博英 水野谷
Katsumi Endo
克巳 遠藤
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の蒸着型の磁気記録媒体に比してより高
記録密度化が可能であり、更に電磁変換特性に優れた磁
気記録媒体を提供すること。 【解決手段】 支持体2と、該支持体2の表面側に一種
以上の金属元素を蒸着させて設けられた磁性層3とを具
備する磁気記録媒体において、上記磁性層3における上
記金属元素の密度は、常温における該金属元素の平均密
度の60〜75%である磁気記録媒体1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属元素の蒸着膜
を磁性層としてなる磁気記録媒体に関し、更に詳しく
は、高出力化が可能な磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、支持体と、該支持体の表面側に一種以上の金属元素
を蒸着させて設けられた磁性層とを具備する磁気記録媒
体、即ち蒸着型の磁気記録媒体は、種々提案されてい
る。このような蒸着型の磁気記録媒体は、磁性塗料を塗
布して形成される塗布型の磁気記録媒体に比して、高記
録密度化が可能であることから、特に高記録密度が要求
される分野において有用である。しかし、最近では、更
に高記録密度化の要請が高くなっており、より、高記録
密度化が可能な、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体の
開発が要望されているのが現状である。
【0003】従って、本発明の目的は、従来の蒸着型の
磁気記録媒体に比してより高記録密度化が可能であり、
更に電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を提供すること
にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、磁性層を形成する金
属元素の密度を、特定の範囲内とした磁気記録媒体が上
記目的を達成しうることを知見した。
【0005】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
ので、支持体と、該支持体の表面側に一種以上の金属元
素を蒸着させて設けられた磁性層とを具備する磁気記録
媒体において、上記磁性層における上記金属元素の密度
は、常温における該金属元素の平均密度の60〜75%
である磁気記録媒体を提供するものである。
【0006】また、本発明は、上記金属元素が、Co及
びCrである磁気記録媒体を提供するものである。ま
た、本発明は、上記金属元素が、Coである磁気記録媒
体を提供するものである。また、本発明は、上記金属元
素は、斜め蒸着されている磁気記録媒体を提供するもの
である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体につ
いて更に詳細に説明する。本発明の磁気記録媒体は、支
持体と、該支持体の表面側に一種以上の金属元素を蒸着
させて設けられた磁性層とを具備する。そして、上記磁
性層における上記特定の金属元素の密度を有することを
特徴とする。
【0008】また、本発明の磁気記録媒体は、テープ、
ディスク、ドラム、シート及びその他の形態で使用され
るが、特に磁気テープの形態で使用される。
【0009】本発明の磁気記録媒体に用いられる上記支
持体としては、公知の磁性又は非磁性の支持体を特に制
限なく用いることができる。上記支持体の形成材料とし
ては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェ
ニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリアミド、
ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、芳香
族ポリアミド等の公知の樹脂;アルミニウムや銅等の金
属;セラミックス;紙等を使用することができる。ま
た、上記支持体の形態は、磁気記録媒体の形態に応じて
任意であるが、フィルム、テープ、シート、ディスク、
ドラム等の何れでもよい。また、上記支持体には、磁性
層を設ける前に、大気中及び/又は真空中においてその
表面に予めコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処
理、熱処理、除塵処理、ボンバード処理などを行うこと
もできる。上記支持体の好ましい厚さは、1〜300μ
mである。
【0010】上記磁性層は、上記支持体の表面側に一種
以上の金属元素を蒸着させて設けられた層であり、特定
の金属元素の密度を有する。上記の特定の金属元素の密
度は、常温における該金属元素の平均密度の60〜75
%であり、好ましくは60〜70%である。上記金属元
素の密度が、60%未満であると、電磁変換特性が劣化
し、75%を超えると、結晶粒の必要以上の増大が生
じ、却って電磁変換特性が劣化する。
【0011】ここで、上記平均密度とは、例えば、金属
元素としてCoのみを含有する場合には、8.8g/c
3 であり、上記の特定の金属元素の密度は、5.28
〜6.60g/cm3 となる。また、金属元素としてC
oとCrとを9:1の比で含有する場合には、Coの密
度が8.8g/cm3 でCrの密度が7.2g/cm 3
であるから、平均密度は8.64g/cm3 〔=(8.
8×9+7.2)/10〕となり、上記の特定の金属元
素の密度は、5.18〜6.48g/cm3 となる。こ
のように、密度が平均密度に比して低くなるのは、上記
磁性層が上記金属元素により形成される複数のコラム
と、各コラム間に形成される空隙とにより形成されてお
り、更に該コラムの表面には必要に応じて酸化膜が形成
されることによる。
【0012】また、上記密度は、下記の及びの何れ
を用いても測定することができ、何れによっても同じ値
を得ることができる。 RBS法を用いる方法:RBS法(Ratherford Backsc
attering Spectoroscopy) を用いて、磁性層の単位面積
当たりの原子数を、構成元素それぞれについて測定す
る。この測定値と検出された元素の原子量、別途段差計
等を用いて測定された磁性層厚を用いてその密度を算出
する。 質量と体積とから算出する方法:バックコート層を剥
離した試料を適当長用意し、支持体込みの質量を正確に
秤量した後、磁性層を塩酸等を用いて溶解し、改めて支
持体の質量を秤量して、磁性層質量を算出する。更に、
事前に把握しておいた磁性層厚、サンプル面積から磁性
層の体積を得、これらをもとに磁性層密度を算出する。
【0013】上記金属密度を上述の範囲内とすることに
より、電磁変換特性が向上する理由については定かでな
いが、磁性層中の空隙、磁気分離に寄与しない無駄な酸
化物が減少することにより、記録に関与する実効磁性層
成分(金属元素量)が増大し、結果として特に電磁変換
特性が改善されるものと考えられる。また、密度が増大
することにより磁性層の力学的物性も改善されて、耐久
性も改善されると考えられる。
【0014】上記金属元素としては、例えばFe、C
o、Ni、Pt、Cr、等を挙げることができ、使用に
際しては単独で又は2種以上併用することができる。ま
た、蒸着させる際に用いる材料としては、例えばFe、
Co、Ni、Cr等の金属の他に、Co−Ni合金、C
o−Pt合金、Co−Ni−Pt合金、Fe−Co合
金、Fe−Ni合金、Fe−Co−Ni合金、Fe−C
o−B合金、Co−Ni−Fe−B合金、Co−Cr合
金等が用いられる。また、上記金属元素は、Co及びC
rであるか、Coであるのが好ましい。即ち、上記磁性
層は、金属元素として、Co及びCrを併用して用いる
か、Coのみを用いて、形成されていることが好まし
く、Co及びCrを併用して用いた場合には、Co−C
r合金を用いる。また、上記金属元素として、Coと他
の金属元素をとを併用した場合、該Coは、磁性層全体
の重量100重量部中80重量部以上とするのが好まし
い。
【0015】また、上記金属元素は、斜め蒸着されてい
るのが好ましい。上記斜め蒸着とは、支持体の厚み方向
に対して所定の角度をもって金属元素を蒸着することを
意する。斜め蒸着されていることにより、それぞれ支持
体の厚み方向に対して所定の角度をもって斜め方向に成
長された複数のコラムが形成されるので、上記磁性層
は、斜め蒸着膜となる。尚、上記コラムの角度等の上記
磁性層の構造については、上記の金属元素の密度の範囲
を満足すれば任意である。
【0016】なお、上記金属蒸着膜の形成時に酸化性ガ
スを供給して、上記金属コラムの表面に、酸化膜を形成
することが好ましい。尚、酸化性ガスとしては例えば、
酸素、空気などが用いられるが酸素が好ましい。
【0017】また、上記磁性層全体の厚さは、30〜3
00nmであることが好ましく、50〜200nmであ
ることが更に好ましい。該厚さが30nmに満たないと
磁性層の耐久性が十分でない場合があり、300nmを
越えると自己減磁が増加する場合があるので、上記範囲
内とすることが好ましい。
【0018】上記磁性層は、長手方向の保磁力が100
0〜2500Oeであり且つ垂直方向の保磁力が150
0〜3000Oeであることが好ましい。なお、本明細
書において、「長手方向」とは、主として磁気ヘッドの
進行方向を意味し、磁気テープの場合にはテープの長手
方向を含む方向をいい、「垂直方向」とは、磁性層面に
対して法線方向を意味する。
【0019】次いで、本発明の磁気記録媒体について、
その1形態を図1を参照しつつ説明する。ここで、図1
は、本発明の磁気記録媒体の1形態を示す拡大断面図で
ある。
【0020】図1に示す磁気記録媒体としての磁気テー
プ1は、支持体2と、該支持体2上に設けられた磁性層
3とを具備してなり、該磁性層3上には、保護層4と潤
滑層5とが設けられており、該支持体2の裏面側にはバ
ックコート層6が設けられている。
【0021】上記支持体及び上記磁性層については上述
したので、以下、保護層4、潤滑層5及びバックコート
層6について説明する。
【0022】上記保護層4は上記磁性層3上に、一般に
真空中で、炭素或いは炭化物、窒化物、特にダイヤモン
ドライクカーボン、ダイヤモンド、炭化ホウ素、炭化ケ
イ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アル
ミニウム等を成膜することにより形成される。上記保護
層の形成法としては、化学的気相成長法(CVD法)及
びPVD法の何れでもよい。CVD法では特にマイクロ
波を用いたECR(Electron Cyclotron Resonance) 法
や、高周波(RF)を用いた方法が有効である。CVD
法により上記保護層を形成する場合、原料はガス状、液
状及び固体状の何れのものを用いてもよい。
【0023】上記保護層4は、特にダイヤモンドライク
カーボンからなることが好ましい。この場合、該保護層
4は、ガス状の原料、液状の原料又は固体状の原料を用
いて形成することができる。ガス状の原料を用いる場合
は、上記ガス状の原料としてメタンとアルゴンとの混合
ガス、エタンと水素との混合ガス、又はメタンと水素と
の混合ガスを用いるのが好ましい。また、液状の原料を
用いる場合は、上記液状の原料としてアルコールや不飽
和炭化水素を用いるのが好ましい。更に、固体状の原料
を用いる場合は、上記固体状の原料としてナフタリンや
高級パラフィンを用いるのが好ましく、この場合、固体
を加熱したり超音波をかけてもよい。
【0024】また、PVD法としては、熱蒸発法、スパ
ッタ法、イオンプレーティング法等が挙げられ、何れを
用いることもできるが、中でも特にスパッタ法が有効で
ある。例えば、ダイヤモンドライクカーボンからなる保
護層は、グラファイトのターゲットを用いてメタンとア
ルゴンとの混合ガス又はメタンと水素との混合ガス中で
スパッタして形成するのが、窒化ケイ素からなる保護層
は、ケイ素のターゲットを用いてアルゴンと窒素との混
合ガス、アルゴンとアンモニアとの混合ガス、窒素ガ
ス、アンモニアガス、又はアンモニアとモノシラン(S
iH4 )との混合ガス中でスパッタして形成するのが、
酸化アルミニウムからなる保護層は、アルミニウムのタ
ーゲットを用いてアルゴンと酸素との混合ガス中でスパ
ッタして形成するのが好ましい。
【0025】上記保護層形成の際の真空度は、CVD法
の場合、10-1〜10-5Torr程度であることが好ま
しく、PVD法の場合、10-4〜10-7Torr程度が
好ましい。また、上記保護層の厚さは特に限定しない
が、1〜30nmであることが好ましく、更に好ましく
は3〜15nmである。
【0026】次に、上記潤滑層5について説明する。上
記潤滑層5は、超音波発振器を備えた噴霧器(以下、
「超音波噴霧器」という)を用い、潤滑剤を上記磁性層
上(上記磁性層上に上記保護層が形成されている場合に
は、上記保護層上)に噴霧して形成することが好まし
い。より詳細には、上記超音波噴霧器は、上記潤滑剤の
供給手段と、該供給手段から供給された上記潤滑剤に超
音波を印加して霧化する手段(超音波発振器)と、霧化
された上記潤滑剤を噴霧するノズルとからなる。また、
ノズルタイプの噴霧装置を用いてもよい。ノズルタイプ
の噴霧装置は、一般に一流体ノズルと呼ばれる装置が使
用できる。
【0027】超音波噴霧器を使用して潤滑剤を微細な粒
子として噴霧することができるので、高温(200℃以
上)に弱く蒸気圧が低いため、従来空気中での塗布によ
ってのみ潤滑剤層を形成することができたパーフルオロ
ポリエーテル等のフッ素系潤滑剤の真空中での噴霧が可
能となる。なお、従来方法のように、大気中において、
グラビア方式、リバース方式又はダイ塗工方式を用いて
上記潤滑剤を塗布しても良い。
【0028】上記パーフルオロポリエーテルとしては、
分子量2000〜5000のものが好適であり、例えば
「FOMBLIN Z DIAC」〔カルボキシル基変性、アウジモン
ト(株)製〕、「FOMBLIN Z DOL 」〔アルコール変性、
アウジモント(株)製〕の商品名で市販されているもの
が使用できる。これらは末端に水酸基又はカルボキシル
基を有するため、潤滑剤と磁性層との結着を高め得るの
で、好適に用いられる。
【0029】なお、上記潤滑剤以外にも、ベンゼン環、
二重結合、分岐鎖等を含むフッ素系の潤滑剤、脂肪酸系
の潤滑剤、その他の潤滑剤を使用することもできる。こ
れらのうち、上記フッ素系潤滑剤は、脂肪酸系潤滑剤と
比べ耐久性だけでなく耐蝕性も向上させるため、好適に
用いられる。
【0030】また、上記潤滑剤の噴霧にあたっては、上
記潤滑剤をフッ素系不活性溶媒(例えば住友スリーエム
(株)製,商品名「フロリナート」等のパーフルオロカ
ーボン、アウジモント(株)製,商品名「ガルデン」等
のパーフルオロポリエーテル)、トルエン等の芳香族炭
化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒等の適
当な溶媒に溶解させた0.001〜10重量%程度、特
に0.02〜2.0重量%の溶液として用いることが好
ましい。上記潤滑剤としてパーフルオロポリエーテルを
用いる場合、溶媒としてはパーフルオロカーボンが使用
でき、その場合の濃度は0.001〜1.0重量%程
度、特に0.05〜0.2重量%が好ましい。また、上
記潤滑剤の噴霧量は、磁気記録媒体の用途や潤滑剤の種
類等を考慮して適宜決定すればよいが、形成された潤滑
剤層の厚さは0.5〜20nm程度となるように調節す
るのが好ましい。
【0031】上記バックコート層6は、カーボンブラッ
ク等を適当な溶剤に分散させた液を塗布して形成しても
よいし、金属又は半金属を物理的蒸着法(PVD)、特
に熱蒸発法、スパッタリング法により蒸着させて形成さ
せてもよい。
【0032】上記バックコート層6を塗布により形成す
る場合は、粒径10〜100nmのカーボンブラック
を、塩ビ系、ウレタン系又は硝化綿系等のバインダー中
に分散させ、グラビア方式、リバース方式又はダイ塗工
方式等で、乾燥後の厚さが好ましくは0.4〜1.0μ
mになるように塗布する。
【0033】上記バックコート層6を蒸着により形成す
る場合は、上記金属又は半金属材料としてアルミニウム
やシリコンを用いることが好ましい。また、この場合の
上記バックコート層の厚さは好ましくは0.05〜1.
0μmである。
【0034】なお、上記磁性層3の形成に先立ち、上記
支持体2の表面に上記磁性層3の密着性を向上させる為
のアンダーコート層を設けてもよい。かかるアンダーコ
ート層は、例えばSiO2 等の粒子を含有させた厚さが
0.05〜0.5μmの塗膜からなる。あるいは、厚さ
が5〜50nmの金属又は金属酸化物、窒化物等のセラ
ミックス膜をアンダーコート層としても良い。かかるア
ンダーコート層を用いることにより、例えば斜め蒸着法
により形成される磁性層の密着性を向上させると共に、
上記磁性層の表面粗さを適度なものとして走行性を改善
することができる。
【0035】なお、上記バックコート層6の上には、走
行性や耐久性等を一層向上せしめることを目的として、
トップコート層を設けてもよい。
【0036】次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法に
ついて詳述する。本発明の磁気記録媒体は、通常の斜め
蒸着法により、支持体上に磁性層を形成し、更に上述し
た手法をそれぞれ用いて、保護層、潤滑層及びバックコ
ート層並びにアンダーコート層などを必要に応じて設け
るなどして製造することができる。斜め蒸着法等の上記
の各方法としては、従来公知の方法を特に制限なく用い
て行うことができるが、特に本発明においては、上述し
た金属元素の密度を満足させるために、上記磁性層は下
記の如き連続斜め蒸着法により形成するのが好ましい。
【0037】以下、本発明において好適に用いられる連
続斜め蒸着法について詳述する。上記連続斜め蒸着法
は、図2に示す如き通常の斜め蒸着法を行うための蒸着
装置を用いて行うことができる。ここで、図2は、本発
明の磁気記録媒体の製造に際して好ましく用いられる蒸
着装置を示す概略図である。
【0038】図2に示す蒸着装置100は、脱気ポンプ
(図示せず)に連結された排気口11を備えた真空チャ
ンバー10と、該真空チャンバー10の内部に設置され
たテープ状の支持体原反2を巻き出す巻き出しロール2
0と、巻き出された支持体原反2を連続的に蒸着させる
金属の入射角を変化させながら蒸着に供するキャンロー
ル40と、金属元素が蒸着されて磁性層が形成された支
持体原反(磁気テープ原反)2’を巻き取る巻き取りロ
ール30と、金属元素の蒸気のうち入射角の小さな金属
元素をカットするマスク50と、支持体原反の表面に酸
化性ガスを導入する導入管60と、蒸着させる金属元素
の材料金属71が投入された坩堝70とからなる。ま
た、坩堝70の上方には、蒸気流を励起させるためのR
F放電装置80が設けられている。上記導入管60にお
ける排気口(図示せず)は、幅広の長方形状であり、そ
の幅は、支持体原反の幅の1.2倍程度(例えば、支持
体原反2の幅が150mmなら180mm程度)である
のが好ましい。
【0039】上記蒸着装置100を用いて蒸着を行うに
は、まず、真空チャンバーの内部を1×10-5〜1×1
-6Torr程度に脱気した後、坩堝70を電子銃(図
示せず)を用いて電子ビームなどにより加熱して金属元
素の蒸気を発生させ、必要に応じてRF放電を行って、
蒸気流を励起させる。この際、支持体原反2を巻き出し
ロ−ル20から矢印方向に巻き出してキャンロール上を
移送させ、且つマスク50で金属元素の入射角を調節し
つつ、蒸着を行った後、巻き取りロール30により巻き
取る。また、蒸着に際しては、必要に応じて上記導入管
より、上記酸化性ガスを導入して、各コラムに酸化物の
皮膜を形成する。
【0040】そして、上記金属元素の密度を調節するに
は、例えば、磁性層の製膜速度を低くすること、キャン
ロール40の温度を高くすること又は印加電圧を高くす
ること、酸化性ガス供給量を少なくすること、キャンロ
ール40の内部に永久磁石を設置すること等により行う
ことができ、これらの手法を適宜組み合わせるなどし
て、上記金属元素の密度を上述した範囲内に調節するこ
とができる。具体的には、下記(1)〜(5)の条件を
満足するようにすることで調節することができ、特に下
記(3)の条件を満たすのが好ましい。 (1)上記磁性層の成膜速度は、キャンロール径に大き
く依存するが、成膜速度は、十分に遅いほうがベースフ
ィルム表面に飛来した原子(以下、飛来原子という)が
十分にベースフィルム表面を移動する余裕を与えること
ができるため、結果的に密度が高い磁性層を得ることが
できる。一方、むやみに遅い成膜速度は生産性の点にお
いて好ましくない。従って、20〜200nm/sec
とするのが好ましい。 (2)また、キャンロールの温度が低いと飛来原子がベ
ースフィルム表面を移動する余裕を与えることができ
ず、密度が高い磁性層を得ることができない場合があ
り、一方、高すぎるとベースフィルムが高分子からなる
場合にベースフィルムの収縮等の悪影響を及ぼす場合が
ある。従って、−30〜90℃とするのが好ましい。 (3)また、キャンロールの印加電圧(Bias電圧)は、
高い方が飛来原子に与える運動エネルギーを増大させ、
結果密度の高い磁性層を得ることに繋がるが、一方、高
すぎるとベースフィルムの加熱による悪影響、アーク放
電による悪影響等を与える場合がある。従って、0〜2
00Vとするのが好ましい。 (4)また、キャンロールの内部に入れる永久磁石とし
ては、経験的に強力なものを用いた方が密度の高い磁性
層が得られるが、非常に強力な永久磁石はハンドリング
が著しく困難なものとなるため、10〜50M・Gau
ss・Oeの磁石を用いることができ、キャンロールの
表面を構成する非磁性部材の裏面側(キャンロールの内
部)等に配置することができる。 (5)また、酸化性ガスの供給量は、少ない方が磁性層
の酸化を減少させ、また同時に磁性層中の空隙を減少さ
せ、結果として密度の高い磁性層を得ることができ、不
十分な酸化は静磁気特性、ひいては電磁変換特性を悪化
させるため、上記導入管60からの流量で20〜400
SCCMとするのが好ましい。尚、上述の各条件は、それぞ
れ上述の金属元素の密度を満足するのであれば上述の範
囲内には特に制限されない。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0042】〔実施例1〕図2に示す蒸着装置を用い、
下記の製膜条件で、支持体上に金属元素を蒸着させて磁
性層を形成した。次いで、バックコート層、保護層及び
潤滑層を、それぞれ、下記の製造法に記載のようにして
形成した後、6mm幅(DVC幅)にスリットして、磁
気記録媒体としてのDVC用の磁気テープを得た。
【0043】〔成膜条件〕 ・蒸発原材料(金属元素):Co ・支持体:4.5μmのポリアミドフィルム ・支持体テンション:1.5kg/155mm ・支持体幅:155mm ・最大入射角度:90° ・最小入射角度:60° ・ボンバードガス:酸素ガス ・ボンバード条件:ガス流量40SCCM、ボンバード
電圧/電流400V/0.4A ・キャンロール径:250mm ・キャンロール温度:50℃ ・キャンロール表面粗さ:0.1s ・キャンロールノズル間距離:12mm ・キャンロールのベースフィルム抱き角:280° ・成膜開始前真空度;4.0×10-6Torr ・成膜部導入酸素ガス温度:32℃ ・導入管のガス放出孔高さ:0.3mm ・導入管の排気口幅:180mm ・蒸気流励起RF放電条件:13.56MHz、120
W ・電子銃出力:15kW ・Bias電圧:100V ・永久磁石:有り(30M・Gauss・Oeの永久磁
石41をキャンロールの内部における図2に示す位置に
配置)
【0044】(バックコート層、保護層及び潤滑層の製
造法)バックコート層は、下記の各点を除いて磁性層と
同じ条件で支持体の裏面側に成膜して、形成した。 ・ボンバードは実施しない。 ・蒸気流励起はしない。 ・Bias電圧はかけない。 ・永久磁石は用いない。 ・成膜速度:100nm/sec ・O2 流量:200SCCM 保護層は、ECRプラズマCVD装置を用いて、常法に
準じて100Å厚のダイヤモンドライクカーボンからな
る保護層を磁性層上に設けることにより製造した。ま
た、潤滑層は、該保護層の表面にパーフルオロポリエー
テル〔アオジモント(株)製商品名「FOMBLIN
Z DIAC」〕を厚さ1.2nmでコーティングする
ことにより製造した。
【0045】得られた磁気テープについて、密度を上述
の測定法により測定した。また、電磁変換特性を、下記
の如くして測定した。その結果を〔表2〕に示す。 (電磁変換特性)電磁変換特性は、常法に従い、ドラム
テスターを用いて測定した。この際、磁気ヘッドには市
販のDVCデッキ用ヘッド(アルプス電気製、商品名
「HWHAC20744」)を用いた。入力信号は記録
電流が最適化された矩形波5MHz、10MHz、20
MHzとした。
【0046】〔実施例2〜5及び比較例1〜7〕蒸発原
材料、成膜速度、Bias電圧、永久磁石の有無及び成膜部
酸素流量を、それぞれ〔表1〕に示す値とした以外は、
実施例1と同様にして磁気テープを製造した。また、得
られた磁気テープについて、それぞれ、実施例1と同様
にして密度、電磁変換特性を測定した。その結果を〔表
2〕に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、従来の蒸着型
の磁気記録媒体に比してより高記録密度化が可能であ
り、更に電磁変換特性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の磁気記録媒体の1形態を示す
拡大断面図である。
【図2】図2は、本発明の磁気記録媒体の製造に際して
好ましく用いられる蒸着装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体 2 支持体 3 磁性層 4 保護層 5 潤滑層 6 バックコート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 克巳 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体の表面側に一種以上
    の金属元素を蒸着させて設けられた磁性層とを具備する
    磁気記録媒体において、 上記磁性層における上記金属元素の密度は、常温におけ
    る該金属元素の平均密度の60〜75%であることを特
    徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記金属元素が、Co及びCrであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記金属元素が、Coであることを特徴
    とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記金属元素は、斜め蒸着されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
JP32007897A 1997-11-20 1997-11-20 磁気記録媒体 Pending JPH11154316A (ja)

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