JPH11102521A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JPH11102521A
JPH11102521A JP28308997A JP28308997A JPH11102521A JP H11102521 A JPH11102521 A JP H11102521A JP 28308997 A JP28308997 A JP 28308997A JP 28308997 A JP28308997 A JP 28308997A JP H11102521 A JPH11102521 A JP H11102521A
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thin film
film
magnetic layer
iron
magnetic
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JP28308997A
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English (en)
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Osamu Yoshida
修 吉田
Noriyuki Kitaori
典之 北折
Hirohide Mizunoya
博英 水野谷
Katsumi Endo
克巳 遠藤
Takeshi Miyamura
猛史 宮村
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘッドタッチが良好でエンベロープ特性に優
れた磁気記録媒体を得る。 【解決手段】 不飽和結合を有する炭化水素を炭素源と
して真空薄膜作成法により鉄又はコバルトの炭化物薄膜
からなる磁性層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化物系の磁性層
や炭化物系の保護層を有する磁気記録媒体の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体、例えば磁気テープには、
非磁性支持体であるフィルム上に磁性粉をバインダーに
分散させた磁性塗料を塗布してなる塗布型テープと、フ
ィルム上に真空中で磁性金属を蒸着する真空蒸着法等を
用いてバインダーを全く含まない金属薄膜の磁性層を非
磁性支持体上に付着させる金属薄膜型テープとがある。
そして、近年の磁気記録は高密度記録化の方向にあり、
金属薄膜型テープは、磁性層にバインダーを含まないこ
とから磁性材料の密度を高められるため、高密度記録に
有望であるとされている。
【0003】ところで、真空蒸着法等によって非磁性支
持体上に形成する磁性層用の磁性材料としては、従来で
は、Co系、Co−Ni系、Co−Cr系の強磁性合金
が用いられている。しかしながら、Co、Ni、Crは
共に価格が高い上に公害問題も有している。この点、F
e(金属鉄)は、価格が安く公害の安全性においても問
題はないが、高記録密度に不可欠な保磁力が低く、ま
た、耐食性が低いという欠点があり、Co−Ni系、C
o−Cr系等やFeに代わる磁性層用材料が望まれてい
る。加えて、記録密度を上げるため、テープとヘッドの
接触相対速度は速くなる傾向がある。しかしながら現状
では、金属薄膜型の磁性層については十分満足のゆく耐
久性が得られていない。
【0004】このような状況から、磁性層を構成する金
属の主体を低価格で環境汚染の心配のないFeとし、耐
食性を有する磁性層を形成するために、Feの蒸着中に
酸素源、窒素源、炭素源となるガスをイオン化して照射
する、いわゆるイオンアシストによる蒸着法により、F
e−C−O系、Fe−C−N系の磁性膜を形成すること
が試みられている。また、Co系磁性層を形成する際に
も同様のイオンアシスト蒸着法により、Co−C系の磁
性膜を形成することが試みられている。通常、Fe−C
−O系薄膜やCo−C系薄膜の成膜には、炭素源として
メタンガス、エタンガスなどの飽和炭化水素のガスが用
いられている。
【0005】一方、金属薄膜型の磁性層の上には、耐久
性、耐食性を向上させる目的で潤滑層やSiC、TiC
等の炭化物薄膜からなる保護層が設けられる。これらの
炭化物薄膜も、蒸着法、スパッタ法のような物理気相成
長法(Physical Vapor Deposit
ion:PVD法)や化学気相成長法(Chemica
l Vapor Deposition:CVD法)を
真空雰囲気中で行うことにより形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】鉄やコバルトの炭化物
薄膜は、それ自体、比較的剛性の高い物質であり、薄層
化された支持体を用いた場合でも媒体に適度な剛性を与
えることができると考えられるが、従来の真空薄膜形成
法により形成された鉄やコバルトの炭化物薄膜は、磁気
記録媒体の磁性層とした場合にヘッドとの接触性が十分
でなく、エンベロープ特性に劣る傾向を示す。
【0007】また、従来の方法で作成されたSiC、T
iC等の炭化物薄膜は、固体潤滑を示す物質ではあるも
のの、その潤滑性能は十分とは言えず、潤滑性を向上さ
せるためには、SiC膜或いはTiC膜上に別途潤滑剤
を塗布するなどの工程が必要となり、その結果、工程面
や材料面での負荷が増し、収率の低下、販売価格の上昇
などにつながっていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな状況に鑑み鋭意研究した結果、鉄やコバルトの炭化
物からなる磁性層或いは珪素やチタンの炭化物からなる
保護層を形成するにあたり、炭素源として不飽和結合を
有する炭化水素を用いて真空薄膜作成法を行うことによ
り、極めて潤滑性能に優れ、且つ緻密でエンベロープ特
性に優れた炭化物薄膜が形成できることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、不飽和結合を有する炭化
水素と鉄又はコバルトとを原料とする真空薄膜作成法に
より、支持体上に鉄又はコバルトの炭化物薄膜からなる
磁性層を形成する工程を含むことを特徴とする磁気記録
媒体の製造方法を提供するものである。
【0010】また、本発明は、不飽和結合を有する炭化
水素と珪素又はチタンとを原料とする真空薄膜作成法に
より、支持体上に形成された磁性層上に珪素又はチタン
の炭化物薄膜からなる保護層を形成する工程を含むこと
を特徴とする磁気記録媒体の製造方法を提供するもので
ある。
【0011】更に、本発明は、不飽和結合を有する炭化
水素と鉄又はコバルトとを原料とする真空薄膜作成法に
より、支持体上に鉄又はコバルトの炭化物薄膜からなる
磁性層を形成する工程と、不飽和結合を有する炭化水素
と珪素又はチタンとを原料とする真空薄膜作成法によ
り、前記磁性層上に珪素又はチタンの炭化物薄膜からな
る保護層を形成する工程とを含むことを特徴とする磁気
記録媒体の製造方法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、支持体上に、真空薄膜
作成法により鉄又はコバルトの炭化物薄膜からなる磁性
層を形成するにあたり、炭素源として不飽和結合を有す
る炭化水素を使用する磁気記録媒体の製造方法に関す
る。
【0013】本発明で採用できる真空薄膜作成法として
は、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の
PVD法、また、熱CVD法、常圧CVD法、減圧CV
D法、プラズマCVD法、ECR−CVD法、光CVD
法などのCVD法が挙げられる。中でも蒸着法、スパッ
タ法が好適で、特にイオンアシスト蒸着法、高周波(R
F)スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、高周波(R
F)マグネトロンスパッタ法のような方法が好適であ
る。
【0014】また、本発明に用いられる不飽和結合を有
する炭化水素(以下、不飽和炭化水素という場合もあ
る)としては、ベンゼン、アセチレン、エチレン、ナフ
タレン及びアントラセンからなる群から選ばれる1種又
は2種以上が挙げられる。
【0015】これら不飽和炭化水素の供給条件は、採用
する真空薄膜作成法や目的とする炭化鉄薄膜の性質など
を考慮して適宜設定すればよい。
【0016】本発明においては、鉄又はコバルトの炭化
物薄膜が、炭化物のコラムから構成されることが磁気分
離による磁気特性の向上がより良好となるため好まし
い。磁性層のコラム構造は断面TEM(透過顕微鏡)写
真により確認できる。更に、コラムが酸化物層で覆われ
ていることが耐蝕性の面から好ましい。
【0017】なお、磁性層の構成元素は、薄膜の一部を
FESTEM−DEX法(エネルギー分散X線分光法)
により分析することにより、確認することができる。ま
た、電子線回折と電子線プローブ微量分析法(EPM
A)を組み合わせた解析により、磁性層が鉄の炭化物或
いはコバルトの炭化物を含有するかどうかを確認するこ
ともできる。
【0018】本発明の磁気記録媒体において、鉄の炭化
物薄膜から磁性層を形成する場合、磁性層がFe3C及
びFe52 の少なくとも一種の化合物を含むと、ヘッ
ド磨耗の低減(機械的特性)と減磁の抑制(磁気特性)
の面で有利となるため、好ましい。
【0019】本発明においては、磁性層の形成時に酸素
を供給して磁性層として酸素を含む磁性層を形成しても
よい。酸素はイオンガンなどで供給してもよいし、また
蒸着法の場合は蒸着領域に雰囲気ガスとして供給しても
よい。
【0020】また、本発明において、鉄又はコバルトの
炭化物薄膜からなる磁性層の厚さは限定されないが、通
常50〜200nmである。多層の磁性層を形成する場
合、各磁性層の合計の厚さは150〜200nm程度で
ある。
【0021】本発明に用いられる支持体としては、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフ
タレート(PEN)のようなポリエステル;ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン; セルロースト
リアセテート、セルロースジアセテート等のセルロース
誘導体;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリイミ
ド;芳香族ポリアミド等のプラスチック、Al、Ti等
の金属などが挙げられる。これらの支持体の厚さは磁気
テープでは2〜50μm、フレキシブルディスクでは3
0〜300μm、ハードディスクでは0.1〜3.5m
mである。
【0022】図1により本発明の磁気記録媒体の製造方
法の一例を示す。図1はイオンアシスト蒸着装置の要部
であり、図1中、1は冷却キャンロール、2は巻出ロー
ル、3は巻取ロール、4はベースフィルム、5は電子銃
を備えたルツボ、6はイオンガン、7は遮蔽板、8は真
空チャンバであり、ルツボ5は金属鉄を収容している。
ベースフィルム4は、円筒状のキャンロール1を搬送さ
れる。また、キャンロール1の下方には、MgO製のル
ツボ5が置かれ、この中に鉄(例えば純度99.95%
のFe)が収容され、このルツボ5内のFe面に対して
電子銃から電子ビームが照射される。これにより、Fe
が加熱気化して、キャンロール1上を走行するベースフ
ィルム4に付着する。一方、Feの蒸着時には、フィル
ム4の蒸着面に対して垂直方向に炭素イオンが照射され
るようにイオンガン6を配置し、このイオンガン6には
炭素源となる不飽和炭化水素のガス、例えばベンゼンガ
スやエチレンガスなどを供給し炭素イオンを生成させ、
蒸着領域中に供給する。また、任意に酸素ガス導入管
(図示せず)を設置して酸素ガスを蒸着領域中に通気し
て酸素源としてもよい。これにより、Feを主体として
炭素を含む本発明の磁性層が形成される。なお、多層構
造の磁性層を形成する場合は、図1のような装置を用い
て連続的に形成してもよいし、蒸着を複数回繰り返して
(いわゆるバッチ式で)形成することもできるが、いず
れの方法の場合も炭素源として不飽和炭化水素を用いる
必要がある。
【0023】また、本発明において、炭化鉄薄膜からな
る磁性層は図2のような装置を用い形成することもでき
る。図2は真空蒸着装置の要部であり、図2中、21は
冷却キャンロール、22は巻出ロール、23は巻取ロー
ル、24はPETフィルム、25は電子銃を備えたルツ
ボ、26は熱フィラメント、27は加速電極、28は遮
蔽板、29は不飽和炭化水素の導入管、30は真空チャ
ンバであり、ルツボ25は金属鉄を収容している。熱フ
ィラメント26には2〜300Aの電流を流し、加速電
極27には10〜1000Vの加速電圧をかける。ま
た、ガス導入管29から所望の流量でアセチレンガスの
ような不飽和炭化水素のガスを熱フィラメント26と加
速電極27の近傍に導入し、イオンアシスト蒸着を行う
ことにより、炭化鉄薄膜が形成される。
【0024】また、本発明は、磁気記録媒体の磁性層上
に、珪素又はチタンの炭化物の薄膜からなる保護層を形
成する方法に関するものである。本発明において、保護
層は、真空薄膜作成法により形成され、その際、本発明
では炭素源として不飽和結合を有する炭化水素を用い
る。
【0025】本発明において保護層の形成に用いられる
真空薄膜作成法としては、PVD法、CVD法のいずれ
でもよく、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング
法等のPVD法、また、熱CVD法、常圧CVD法、減
圧CVD法、プラズマCVD法、光CVD法などのCV
D法が挙げられる。中でも蒸着法、スパッタ法が好適
で、特にイオンアシスト蒸着法、高周波(RF)スパッ
タ法、マグネトロンスパッタ法、高周波(RF)マグネ
トロンスパッタ法のような方法が好適である。
【0026】本発明では、珪素又はチタンの炭化物を得
る際の炭素源として、不飽和炭化水素が用いられる。不
飽和炭化水素としては、ベンゼン、アセチレン、エチレ
ン、ナフタレン及びアントラセンからなる群から選ばれ
る1種又は2種以上が挙げられる。これらの不飽和炭化
水素は、ガス状で用いられ、プラズマ化された状態で金
属に供給されるのが好ましい。
【0027】本発明の製造方法における磁気記録媒体の
保護層として、珪素の炭化物薄膜を形成する場合を例
に、図3により説明する。。図3は高周波スパッタ装置
の要部であり、図1中、31は真空チャンバ、32はS
iターゲット、33は基板、34は不飽和炭化水素ガス
導入管、35はシャッタである。また、図3中、Aはス
パッタ電源系であり、DC高圧電源、高周波電源、整合
回路などからなっている。また、図3中、Bはアルゴン
ガス導入系であり、ガスボンベ、減圧弁などからなって
いる。また、図3中、Cは排気系であり、各種ポンプ、
バルブなどからなっている。チャンバ31中にガス導入
系Bよりアルゴンガスを導入し、高周波電極、高周波マ
グネトロン電極などの適当な手段によりSiターゲット
32にアルゴンイオンを衝突させ、Si原子をターゲッ
ト32から放出させ、同時に炭素源である不飽和炭化水
素のガスをガス導入管34よりプラズマ領域に導入して
SiC薄膜を基板33上に堆積させる。本発明におい
て、スパッタ条件は限定されない。また、不飽和炭化水
素ガスの導入量もガスの種類やスパッタ法の種類などに
より適宜決めればよい。
【0028】なお保護層を形成する磁性層は、通常の金
属薄膜型の磁気記録媒体の製造に用いられる強磁性金属
材料、例えばCo、Ni、Fe等の強磁性金属或いはこ
れらの合金から成膜されたもので構わないが、前記した
本発明の方法により形成された鉄又はコバルトの炭化物
薄膜からなる磁性層とすることもできる。従って、本発
明は、不飽和結合を有する炭化水素と鉄又はコバルトと
を原料とする真空薄膜作成法により、支持体上に鉄又は
コバルトの炭化物薄膜からなる磁性層を形成する工程
と、不飽和結合を有する炭化水素と珪素又はチタンとを
原料とする真空薄膜作成法により、前記磁性層上に珪素
又はチタンの炭化物薄膜からなる保護層を形成する工程
とを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法を提
供するものである。この場合、磁性層と形成する工程と
保護層を形成する工程は連続的に行っても、別途行って
もよい。
【0029】また、磁性層上もしくは保護層上に、厚さ
0.2〜5nm程度の潤滑層、特にパーフルオロポリエ
ーテル等のフッ素系潤滑剤からなる潤滑層を形成するの
が好ましい。更に、支持体の磁性層が形成される面と反
対の面には、カーボンブラックを主成分とする厚さ0.
1〜1.0μm程度のバックコート層を設けてもよい。
これらの層を形成する原料は従来公知のものが適宜使用
できる。また、Cu−Al合金等の金属を蒸着させて厚
さ50〜500nm程度の厚さの金属薄膜型のバックコ
ート層を形成してもよい。
【0030】
【実施例】以下に例を挙げて本発明を説明するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。
【0031】実施例1 直径2.5インチ、厚さ0.635mmのAl基板上に
テクスチャー処理を施し、データ領域の中央平均高さが
1.0nmとなったものを基板として用いた。この基板
上に無電解めっき法により厚さ50nmのNiPめっき
層を形成した。さらにその上に通常のDCマグネトロン
スパッタ法により厚さ40nmのCr層を形成し、その
上に厚さ50nmのCo−Cr−Pt系磁性層を形成し
た。
【0032】この基板のCo−Cr−Pt系磁性層上
に、図3の装置を用い、ターゲットをSiとするRFマ
グネトロンスパッタ法によりSiC膜を形成した。この
時スパッタ電力を500Wとし、エチレンガスを50S
CCMの流量で導入して60秒間RFマグネトロンスパ
ッタを行った。その結果、Co−Cr−Pt系磁性層上
に厚さ10nmのSiC膜を形成した(ディスク1A:
本発明品)。また、上記において、導入ガスとしてメタ
ンガスを用いた以外は上記と同様にSiC膜を成膜した
(ディスク1B:比較品)。
【0033】次にディスク1A又はディスク1BのSi
C膜上にフッ素系潤滑剤(商品名「フォンブリンAM2
001」アウジモント社製)からなる厚さ2nmの潤滑
層を形成し、ハードディスクを作成し、CSS特性を評
価したところ、比較品のディスク1Bは38万パスで目
視可能なキズが発生したが、本発明品のディスク1Aは
45万パスまでキズの発生が認められなかった。
【0034】このときのCSS特性評価方法は下記の通
りである。 <CSS特性評価方法>CSS特性は、ヤマハ社製の薄
膜ヘッド(Al23・TiC製スライダ)を用い、ヘッ
ド荷重3.5g、ヘッド浮上量2.8μインチ、450
0rpmで5秒間稼働、5秒間停止のサイクルを繰り返
し行い、静摩擦係数(μs)が0.6になるまでの回数
(パス)で評価した。
【0035】実施例2 直径2.5インチ、厚さ0.635mmのTi基板上に
テクスチャー処理を施し、データ領域の中央平均高さが
1.0nmとなったものを基板として用いた。この基板
上に無電解めっき法により厚さ50nmのNiPめっき
層を形成した。さらにその上に通常のDCマグネトロン
スパッタ法により厚さ40nmのCr層を形成し、その
上に厚さ50nmのCo−Cr−Pt系磁性層を形成し
た。
【0036】この基板のCo−Cr−Pt系磁性層上
に、図3の装置を用い、RFマグネトロンスパッタ法に
よりTiC膜を成膜した。具体的には、ターゲットをT
i、スパッタ電力を600W、ベンゼンガスを35SC
CMの流量で導入し、60秒間RFマグネトロンスパッ
タを行った。その結果、Ti基板の磁性層上に厚さ30
nmのTiC膜を形成した(ディスク2A:本発明
品)。また、上記において、導入ガスとしてメタンガス
を用いた以外は上記と同様にTiC膜を成膜した(ディ
スク2B:比較品)。
【0037】次にディスク2A又はディスク2BのTi
C膜上にフッ素系潤滑剤(商品名「フォンブリンAM2
001」アウジモント社製)からなる厚さ2nmの潤滑
層を形成し、ハードディスクを作成し、実施例1と同様
の方法でCSS特性を評価したところ、比較品のディス
ク2Bは120万パスで目視可能なキズが発生したが、
本発明品のディスク2Aは150万パスまでキズの発生
が認められなかった。
【0038】実施例3 <炭化鉄薄膜の形成> (1)フィルム3A(本発明品)の作成 図1の装置を用い、真空蒸着法により厚さ4.2μmの
PETフィルム上に、図1の装置を用いた蒸着により、
Fe−C系磁性層を形成した。本例における蒸着条件
は、フィルム走行速度2m/分、電子銃からの電子ビー
ム出力13kW、イオンガン6に60SCCMの流量で
ベンゼンガスを導入し、イオンガン6のフィラメントに
32Aの電流を流し、加速電圧を700Vとしてイオン
アシスト蒸着を行った。また、鉄は純度99.95%の
ものを使用した。その結果、PETフィルム上に厚さ1
60nmのFe−C系磁性膜を形成した(フィルム3
A:本発明品)。
【0039】(2)フィルム4A(本発明品)の作成 図2の装置を用い、真空蒸着法により厚さ4.2μmの
PETフィルム上にFe−C系磁性層を形成した。本例
においては、フィルム走行速度を2m/分とし、熱フィ
ラメントに150Aの電流を流し、加速電圧を850V
とし、熱フィラメント26と加速電極27の距離は9m
mに保った。また、ガス導入管29から70SCCMの
流量でアセチレンガスを熱フィラメント26と加速電極
27の近傍に導入し、イオンアシスト蒸着を行った。そ
の結果、PETフィルム上に厚さ165nmのFe−C
系磁性膜を形成した(フィルム4A:本発明品)。
【0040】(3)フィルム5A(本発明品)の作成 上記(2)において、熱フィラメント26に流す電流を
170A、加速電圧を900Vとし、更に原料ガスとし
て流量50SCCMのベンゼンガスと流量20SCCM
の酸素ガスを導入し、それ以外は上記(2)と同様にし
てPETフィルム上に厚さ171nmのFe−C−O系
磁性膜を形成した(フィルム5A:本発明品)。得られ
たフィルム5AのFe−C−O系薄膜部分の断面TEM
(透過顕微鏡)写真を図4に、その部分拡大写真を図5
に、また図5のA−A’線部分をFESTEM−DEX
法(エネルギー分散X線分光法)により分析した結果を
図6に示す。図4から明らかなようにこの薄膜はコラム
構造を有しており、図6の結果よりFe−C−O系薄膜
であることが確認され、A−A’線において酸素が鉄の
両端に存在し、コラムのまわりを酸化していることがわ
かる。
【0041】(4)フィルム6A(本発明品)の作成 上記(1)において、鉄の代わりにコバルトをルツボに
入れ、フィルム走行速度を1.7m/分、電子銃からの
電子ビーム出力を12kW、イオンガンへのベンゼンガ
スの導入割合を70SCCMとし、イオンガンのフィラ
メントに35Aの電流を流し、加速電圧を750Vとし
てイオンアシスト蒸着を行った。また、図示しない酸素
ガス導入管から酸素ガスを30SCCMの流量で蒸着領
域に導入した。それ以外は上記(1)と同様にして蒸着
を行った。その結果、PETフィルム上に厚さ165n
mのCo−C−O系磁性膜を形成した(フィルム6A:
本発明品)。
【0042】(5)フィルム3B(比較品)の作成 上記(1)において、イオンガン6への導入ガスとして
ベンゼンガスの代わりにメタンガスを90SCCMの流
量で導入し、更にフィルム走行速度を1.4m/分、電
子ビーム出力を9kWとし、それ以外は上記(1)と同
様にしてPETフィルム上に厚さ165nmのFe−C
系磁性膜を形成した(フィルム3B:比較品)。
【0043】(6)フィルム4B(比較品)の作成 上記(2)において、導入ガスとしてアセチレンガスの
代わりにエタンガスを70SCCMの流量で導入し、そ
れ以外は上記(2)と同様にしてPETフィルム上に厚
さ165nmのFe−C系磁性膜を形成した(フィルム
4B:比較品)。
【0044】(7)フィルム5B(比較品)の作成 上記(4)において、イオンガンへの導入ガスをプロパ
ンガスとした以外は上記(4)と同様にしてPETフィ
ルム上に厚さ165nmのCo−C−O系磁性膜を形成
した(フィルム5B:比較品)。
【0045】<磁気テープの作製>上記で得られたフィ
ルム3A〜6A(本発明品)及び3B〜5B(比較品)
の炭化物系磁性層上にベンゼンを炭素源とするECRプ
ラズマCVD法により、厚さ100Åのダイヤモンドラ
イクカーボン薄膜からなる保護層を形成した。更に、こ
の保護層上にアルキル基とフッ化ポリエーテル鎖を持つ
潤滑剤〔商品名「フォンブリンAM2001」アウジモ
ント社製〕を厚さが2nmとなるように付着して潤滑層
を形成した。また、このフィルムの磁性層形成面と反対
の面に、バックコート層を形成した。バックコート層
は、20〜30nmの直径のカーボンを含有するバイン
ダーを乾燥後の厚さが0.5μmとなるようにフィルム
に塗布して乾燥して形成し、磁気フィルムを得た。上記
により得られた、炭化鉄系磁性層、ダイヤモンドライク
カーボン保護層、フッ素系潤滑層及びバックコート層が
形成されたフィルムを1/4インチ巾に裁断し、磁気テ
ープを作製した。
【0046】<磁気テープの性能評価>上記で得られた
磁気テープをDVCカセットケースに装填し、市販のD
VC−VTR装置で記録し、再生エンベロープ波形(F
M変調出力)をオシロスコープで観察した。図7に示す
エンベロープ(出力波形)の最大値Bと最小値Aから、
A/B×100(%)により比率(%)算出した。この
値が100%に近いほど優れた磁気テープであるといえ
る。その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、ヘッドタッチが良好で
エンベロープ特性に優れた磁気記録媒体が得られる。ま
た、本発明によれば、耐久性の良好な炭化物薄膜からな
る保護層が形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる蒸着装置の要部の一例を示
す略図
【図2】本発明に用いられる蒸着装置の要部の他の例を
示す略図
【図3】本発明に用いられるスパッタ装置の要部の一例
を示す略図
【図4】実施例で得たフィルム5Aの金属薄膜部分の断
面TEM(透過顕微鏡)写真
【図5】図4の部分拡大TEM写真
【図6】図5のA−A’線部分のFESTEM−DEX
法(エネルギー分散X線分光法)による分析結果を示す
チャート
【図7】エンベロープ波形の最大値Bと最小値Aを示す
略図
【符号の説明】
6 イオンガン 26 熱フィラメント 27 加速電極 31 真空チャンバ 32 ターゲット 33 基板 34 不飽和炭化水素ガス導入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 克巳 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 宮村 猛史 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和結合を有する炭化水素と鉄又はコ
    バルトとを原料とする真空薄膜作成法により、支持体上
    に鉄又はコバルトの炭化物薄膜からなる磁性層を形成す
    る工程を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 不飽和結合を有する炭化水素と珪素又は
    チタンとを原料とする真空薄膜作成法により、支持体上
    に形成された磁性層上に珪素又はチタンの炭化物薄膜か
    らなる保護層を形成する工程を含むことを特徴とする磁
    気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 不飽和結合を有する炭化水素と鉄又はコ
    バルトとを原料とする真空薄膜作成法により、支持体上
    に鉄又はコバルトの炭化物薄膜からなる磁性層を形成す
    る工程と、不飽和結合を有する炭化水素と珪素又はチタ
    ンとを原料とする真空薄膜作成法により、前記磁性層上
    に珪素又はチタンの炭化物薄膜からなる保護層を形成す
    る工程とを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 真空薄膜作成法が蒸着法である請求項1
    〜3の何れか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 蒸着法がイオンアシスト蒸着法である請
    求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 真空薄膜作成法がスパッタ法である請求
    項1〜3の何れか1項記載の方法。
  7. 【請求項7】 スパッタ法が高周波(RF)スパッタ
    法、マグネトロンスパッタ法又は高周波(RF)マグネ
    トロンスパッタ法である請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 不飽和結合を有する炭化水素が、ベンゼ
    ン、アセチレン、エチレン、ナフタレン及びアントラセ
    ンからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求
    項1〜7の何れか1項記載の方法。
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