JPH09198643A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH09198643A
JPH09198643A JP573596A JP573596A JPH09198643A JP H09198643 A JPH09198643 A JP H09198643A JP 573596 A JP573596 A JP 573596A JP 573596 A JP573596 A JP 573596A JP H09198643 A JPH09198643 A JP H09198643A
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magnetic
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magnetic recording
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JP573596A
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Inventor
Junko Ishikawa
准子 石川
Noriyuki Kitaori
典之 北折
Katsumi Sasaki
克己 佐々木
Katsumi Endo
克巳 遠藤
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気記録媒体、特に鉄、窒素及び酸素を含む
磁性層を有する磁気記録媒体の高域出力を向上させる。 【解決手段】 支持体上に形成された少なくとも二層の
磁性層を有する磁気記録媒体において、全磁性層のう
ち、支持体から最も遠い第一磁性層とこれに隣接する第
二磁性層を共にFe−N −O 系磁性層とし、且つ第一磁性
層中の鉄濃度を第二磁性層中の鉄濃度よりも低くする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に関
する。より詳しくは、鉄、窒素及び酸素を含む磁性層を
有する金属薄膜型の磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体、例えば磁気テープには、
非磁性支持体であるフィルム上に磁性粉をバインダーに
分散させた磁性塗料を塗布してなる塗布型テープと、フ
ィルム上に真空中で磁性金属を蒸着する真空蒸着法等を
用いてバインダーを全く含まない金属薄膜の磁性層を非
磁性支持体上に付着させる金属薄膜型テープとがある。
そして、近年の磁気記録は高密度記録化の方向にあり、
金属薄膜型テープは、磁性層にバインダーを含まないこ
とから磁性材料の密度を高められるため、高密度記録に
有望であるとされている。
【0003】ところで、真空蒸着法等によって非磁性支
持体上に形成する磁性層用の磁性材料としては、従来で
は、Co系、Co−Ni系、Co−Cr系の強磁性合金が用いられ
ている。しかしながら、Co、Ni、Crは共に価格が高い上
に公害問題も有している。この点、Fe(金属鉄)は、価
格が安く公害の安全性においても問題はないが、高記録
密度に不可欠な保磁力が低く、また、耐蝕性が低いとい
う欠点があり、Co−Ni系、Co−Cr系及びFeに代わる磁性
層用材料が望まれている。加えて、記録密度を上げるた
め、テープとヘッドの接触相対速度は速くなる傾向があ
る。しかしながら現状では、金属薄膜型の磁性層につい
ては十分満足のゆく耐久性が得られていない。
【0004】このような状況から、磁性層を構成する金
属の主体を低価格で環境汚染の心配のないFeとし、耐食
性を有する磁性層を形成するために、Feの蒸着中に酸
素、窒素等のガスやこれらの混合ガスをイオン化して照
射する、いわゆるイオンアシストによる蒸着法により、
Fe−N 系、Fe−N −O 系の磁性膜を形成することが試み
られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特にFe
−N −O 系の磁性層では磁性層中の各元素の存在状態
(濃度)によっては必ずしも高域出力、特に5MHz 以上
の高域出力が充分がとはいえない場合があり、この問題
を解決するために、どのような割合でこれら三つの元素
を磁性層中に存在させるかについては充分に検討されて
いないのが現状である。特に、Fe−N −O 系磁性層を複
数有する多層構造の磁気記録媒体において、それぞれの
磁性層中の元素濃度が高域出力に及ぼす影響については
殆ど検討されていない。従って、本発明の目的は、Fe−
N −O 系の磁性層を複数有する磁気記録媒体において、
三つの元素、特に鉄の存在量に着目して、より高域出力
の良い磁性層を有する磁気記録媒体を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな状況に鑑み、より高域出力が良好なFe−N −O 系の
磁性層を有する磁気記録媒体を得るために鋭意研究した
結果、全磁性層中、支持体から最も遠い磁性層(最表層
の磁性層)とこれに隣接する磁性層を共にFe−N −O 系
磁性層とし、且つ最表層の磁性層中の鉄濃度を下層のFe
−N −O 系磁性層中の鉄濃度よりも低くすることによ
り、前記の目的を達成できることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、支持体と、該支持体上
に形成された磁性層を少なくとも二層有する磁気記録媒
体であって、全磁性層のうち前記支持体から最も遠い第
一磁性層とこれに隣接する第二磁性層が、鉄、窒素及び
酸素を主成分として含む磁性層(以下、Fe−N −O 系磁
性層という)であり、前記第一磁性層中の鉄濃度(F
e1 )が前記第二磁性層中の鉄濃度(Fe2 )よりも低い
ことを特徴とする磁気記録媒体を提供するものである。
【0008】ここで、「鉄、窒素及び酸素を主成分とす
る」とは、その他の元素を含んでいたとしても、その量
が極めて微量であり、本発明所期の効果に影響しない程
度の濃度であることを意味する。
【0009】本発明の磁気記録媒体は少なくとも二層の
磁性層を有するものであり、そのうち支持体から最も遠
い第一磁性層とこれに隣接する磁性層である第二磁性層
が共にFe−N −O 系の磁性層である。そして、第一磁性
層中の鉄濃度(Fe1 )が、第二磁性層中の鉄濃度(F
e2 )よりも低い(Fe1 <Fe2 )ことを特徴とするもの
である。この関係を満たしていれば、その他の磁性層の
種類や形成位置は問わない。なお、ここで、Fe−N −O
系磁性層中の鉄濃度とは、それぞれの磁性層中のトータ
ルの鉄含量をいう。
【0010】本発明の磁気記録媒体において、各Fe−N
−O 系磁性層中の鉄の濃度分布は、それぞれの磁性層の
深さ方向で数%程度の濃度の変動があってもよい。ここ
で磁性層の深さ方向とは、磁性層表面から支持体へ垂直
に向かう方向をいう。
【0011】また、本発明の磁気記録媒体において、第
一磁性層中のトータル鉄濃度(Fe1)は60〜80原子%が
好ましい。また、第二磁性層中のトータル鉄濃度(F
e2 )は65〜90原子%が好ましい。更に、Fe1 とFe2
差 Fe2− Fe1が、5原子%以上あることが望ましい。
【0012】本発明の磁気記録媒体はFe−N −O 系磁性
層を少なくとも二層有するが、全Fe−N −O 系磁性層の
合計における鉄(Fe)、窒素(N) 及び酸素(O) の合計量の
割合は、原子比でFe:N:O=60〜88:7〜25:5〜35の
範囲が好ましい。
【0013】本発明の磁気記録媒体は、第二磁性層中の
鉄濃度がより高いため、高周波信号に対する感度が向上
し、高域出力が向上するものと考えられる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体において、
Fe−N −O 系磁性層は、鉄を蒸着させながら窒素イオン
と酸素イオンとを供給する、いわゆるイオンアシスト蒸
着法により形成される。磁性層を形成するイオンアシス
ト蒸着法は従来知られている方法により行なうことがで
きる。ただし前記したように、本発明では第一磁性層中
の鉄濃度Fe1 が、第二磁性層中の鉄濃度Fe2 よりも低く
なるように蒸着条件を調節する(例えば電子銃の出力に
差をつける)必要がある。
【0015】また、第一磁性層、第二磁性層中の窒素濃
度、酸素濃度の関係は限定しないが、Fe1 <Fe2 とする
際に、酸素イオンの供給量を調節して第一磁性層中の酸
素濃度(O1)を、前記第二磁性層中の酸素濃度(O2)よ
りも高くする(O1>O2)ことができる。なお、本発明に
おいて、「ほぼ同じ」濃度とは、厳密に同一濃度である
ことを意味せず、本発明の効果を損なわない範囲で数%
程度の濃度の差があってもよいが、濃度の差は5%未満
である。
【0016】磁性層中の元素濃度は、オージェ電子分光
法により測定できる。ただし、磁気記録媒体の表層部や
支持体と磁性層との界面付近は、異物の混入(コンタミ
ネーション)、潤滑剤、保護層及び支持体等の影響によ
り、オージェプロファイルの形状を正確に求めることは
困難であり、本発明において、これらの部分の元素濃度
の変化は考慮しない。
【0017】本発明においては、支持体上に形成される
磁性層はFe−N −O 系磁性層の三層以上であってもよい
が、その場合、前記した通り、全磁性層の最表層である
第一磁性層とこれに隣接する第二磁性層の鉄濃度を対比
して本発明で規定する関係を満たしていれば、その他の
層の鉄濃度、窒素濃度、酸素濃度は問わない。また、第
二磁性層の下方に別の金属材料、例えばCo、Co−Ni等か
らなる磁性層を形成してもよい。また、支持体と第二磁
性層の間、或いは第一磁性層と第二磁性層の間に非磁性
の中間層を形成してもよい。
【0018】なお、本発明の磁気記録媒体は、保磁力
(Hc)が1000(Oe)以上であることが好ましく、より好
ましくは1200(Oe)以上である。
【0019】本発明において、Fe−N −O 系磁性層の厚
さは限定されないが、通常、第一磁性層、第二磁性層と
も500 〜2000Å、その他の磁性層を形成する場合、その
厚さは500 〜2000Å程度である。
【0020】本発明の磁気記録媒体の支持体の材料とし
ては、ポリエチレンテレフタレートポリエチレンナフタ
レートのようなポリエステル;ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等のポリオレフィン; セルローストリアセテー
ト、セルロースジアセテート等のセルロース誘導体;ポ
リカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;芳香族
ポリアミド等のプラスチック等が使用される。これらの
基材の厚さは3〜50μm程度である。
【0021】また、磁性層上には、厚さ10〜200 Å程度
の保護層、特にダイヤモンドライクカーボン、グラファ
イト等の炭素薄膜、酸化珪素、炭化珪素等の含珪素薄
膜、酸化ジルコニウム薄膜等からなる保護層を設けるこ
とが望ましい。また、かかる保護層上には、厚さ2〜50
Å程度の潤滑層、特にパーフルオロポリエーテル等のフ
ッ素系潤滑剤からなる潤滑層を形成するのが好ましく、
磁性層が形成される面と反対の面には、更にカーボンブ
ラックとバインダーを主成分とする厚さ 0.1〜1.0 μm
程度のバックコート層等を設けてもよい。これらの層を
形成する原料は従来公知のものが適宜使用できる。ま
た、バックコート層は、Cu−Al合金等の金属を蒸着させ
て形成してもよい。
【0022】図1に本発明の磁気記録媒体の製造に使用
する斜め蒸着のための真空蒸着装置の一例を示す。図1
において、真空容器1内は、図示しない真空系により真
空状態が維持されている。前記真空容器1は複数のチャ
ンバに画定されており、この装置では第二磁性層(下
層)を形成するチャンバAと第一磁性層(上層)を形成
するチャンバBを有する。真空容器内には、巻出ロール
2と巻取ロール3とが設けられ、巻出ロール2から巻出
されて巻取ロール3に巻取られる間で、PET (ポリエチ
レンテレフタレート)、ポリイミドあるいはアラミド等
で製造される支持体としてのフィルム4は、チャンバA
内に設置された、円筒状のキャンロール5を経てチャン
バB内のキャンロール5’上を走行して移動する。各キ
ャンロールは内部に冷却機構を備えている。また、各キ
ャンロールの下方には、MgO 製のルツボ6,6’が置か
れ、この中に鉄(例えば純度 99.95%のFe)7,7’を
入れ、このルツボ6,6’内のFe面に対して斜め上方の
電子ビーム銃8,8’から電子ビームを照射する。これ
により、Feを加熱気化させるようになっている。Feの蒸
着時には、フィルム4の蒸着面に対して垂直方向にイオ
ンが照射されるようにイオン銃9,9’を配置し、該イ
オン銃9,9’に窒素ガスを供給し窒素イオンを生成し
て、フィルム4にFeを蒸着させつつ、また酸素ガス導入
管10,10'から酸素ガスを通気しながら第二磁性層と第一
磁性層を形成する。イオン銃9,9’は窒素イオンの照
射方向を変えることができる。また、イオン銃9,9’
に窒素ガスと酸素ガスの混合ガスを供給し窒素イオンと
酸素イオンを生成して、フィルムの蒸着面に窒素イオン
と酸素イオンを照射する方法も可能である。図1中11,
11’は、フィルム4への蒸着範囲を規制するための遮蔽
板である。また、図1のようなチャンバを一つ有する装
置を用いてバッチ式で下層、上層のFe−N −O 系磁性層
を形成することももちろんできる。
【0023】
【実施例】以下実施例にて本発明を説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0024】実施例1 (1) 磁気記録媒体の製造 PET フィルム上に、二層のFe−N −O 系の磁性層を形成
し、更に保護層、潤滑層及びバックコート層を形成し、
磁気フィルムを製造した。各層の形成条件等は以下の通
りである。図1に示すイオンアシスト斜め蒸着装置に厚
さ 6.3μmのPET フィルム4をセットし、毎分1.0 mの
速度で走行させながら、チャンバA内で電子銃8を作動
させて(出力10kW)ルツボ6(酸化マグネシウム製)内
の鉄(純度99.95 %)7を蒸発させ、PET フィルム4上
に鉄粒子を蒸着させると共に、カウフマン型イオン銃9
(出力500W)に窒素ガスを供給し(流量20SCCM)、窒素
イオンを生成せしめPET フィルム4の鉄蒸着面に向けて
窒素イオンを照射し、更に酸素ガス導入管10より酸素ガ
スを通気(流量5SCCM)させて第二磁性層(下層)を形
成した。引き続きチャンバB内で同様にして第二磁性層
上に、第一磁性層(上層)を形成した。なお、チャンバ
B内の電子銃8’の出力は5kW、酸素ガス導入管10’へ
の酸素ガスの通気量は10SCCMとした。
【0025】また、PET フィルムの磁性層面とは反対の
面に、「AMB-6 」(三菱マテリアル社製、Cu:Al:Fe:
Mn:Ni=84:10:4:1:1)を厚さ3000Åとなるよう
に蒸着しバックコート層を形成した。その後、上層のFe
−N −O 系磁性層上に、ECR プラズマCVD 法により厚さ
100Åのダイヤモンドライクカーボン薄膜からなる保護
層を形成した。更に、保護層及びバックコート層上に、
パーフルオロポリエーテル(FOMBLIN ZDOL、アウジモン
ト社製)をフッ素系不活性液体(フロリナート FC-77、
住友スリーエム株式会社製)に0.05重量%となるように
希釈、分散させた塗料をダイコーティング方式により、
乾燥膜厚が20Åとなるようにそれぞれ塗布し、100 ℃で
乾燥させて潤滑層を形成した。上記により、上層及び下
層のFe−N −O 系磁性層が形成されたフィルムを8mm幅
に裁断し、8mmVTR 用カセットケースに装填して8mmビ
デオテープを得た。
【0026】該磁気テープの磁性層全体の元素の分布を
オージェ電子分光法により分析した結果を図2に示す。
この時のオージェ電子分光法の測定条件は、電子銃条件
は加速電圧は10kV、エミッション電流は10nA、倍率は20
00倍であり、エッチング条件はエッチング用ガスはアル
ゴンガスであり、加速電圧は3kV、イオン電流300nAで
あり、この条件下で30秒間毎にエッチングして分析を行
なった。オージェ電子分光分析の結果、上層のFe−N −
O 系磁性層中の鉄濃度は、下層のFe−N −O 系磁性層中
の鉄濃度よりも低いことがわかる。なお、オージェプロ
ファイルのスタート部の炭素原子は、潤滑剤と保護層の
影響である。
【0027】また、本実施例1で得られた8mmテープの
磁性層全体の元素比率は、Fe:N :O =67:12:21(原
子%)であった。
【0028】(2) 性能評価 上記で得られた8mmビデオテープについて、再生出力を
評価した。再生出力の評価は、8mmVTR を改造した電磁
変換特性評価装置を用いて、表1に示す各周波数の正弦
波信号を8mmビデオテープに記録した後、再生出力をス
ペクトルアナライザにより測定した。なお、出力は比較
例1を基準(0dB)として表した。その結果を表1に示
す。
【0029】実施例2 実施例1における磁性層の成膜条件を、チャンバAの電
子銃8の出力を20kW、酸素ガス導入管10への酸素ガスの
流量を5SCCMとし、また、チャンバBの電子銃8’の出
力を5kW、酸素ガス導入管10’への酸素ガスの流量を20
SCCMとし、それ以外は実施例1と同様にして磁気フィル
ムを製造し、実施例1と同様の評価を行なった。その結
果を表1に示す。
【0030】なお、該磁気テープの磁性層全体の元素の
分布を実施例1と同様の条件でのオージェ電子分光法に
より分析した結果を図3に示す。オージェ電子分光分析
の結果、実施例1と同様、上層のFe−N −O 系磁性層中
の鉄濃度は、下層のFe−N −O 系磁性層中の鉄濃度より
も低いことがわかる。なお、オージェプロファイルのス
タート部の炭素原子は、潤滑剤と保護層の影響である。
また、本実施例2で得られた8mmテープの磁性層全体の
元素比率は、Fe:N :O =70:14:16(原子%)であっ
た。
【0031】実施例3 実施例2における成膜スピードを3.0m/分とした他は実
施例2と同様にして磁気フィルムを製造し、実施例1と
同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。なお、
該磁気テープの磁性層全体の元素の分布を実施例1と同
様の条件でのオージェ電子分光法により分析した結果を
図4に示す。オージェ電子分光分析の結果、実施例1と
同様、上層のFe−N −O 系磁性層中の鉄濃度は、下層の
Fe−N −O 系磁性層中の鉄濃度よりも低いことがわか
る。なお、オージェプロファイルのスタート部の炭素原
子は、潤滑剤と保護層の影響である。また、本実施例3
で得られた8mmテープの磁性層全体の元素比率は、Fe:
N :O =68:14:18(原子%)であった。
【0032】実施例4 実施例2において、上層と下層のFe−N −O 系磁性層の
間に、中間のFe−N −O 系磁性層を形成した。この場
合、図1の装置のチャンバAとBの間に中間層を形成す
るための同様のチャンバを有する装置を用い、そのチャ
ンバ内の電子銃の出力は12kW、カウフマン型イオン銃の
出力は500 W 、窒素ガスの通気量は20SCCM、酸素ガスの
通気量は12SCCMとした。その他の条件は実施例2と同様
にして上層、中間層及び下層の三層のFe−N −O 系磁性
層を有する磁気フィルムを製造し、実施例1と同様の評
価を行なった。その結果を表1に示す。また、本実施例
4で得られた8mmテープの磁性層全体の元素比率は、F
e:N :O =72:10:18(原子%)であった。
【0033】比較例1 実施例1において、チャンバAにおける電子銃8の出力
を10kWとし、カウフマン型イオン銃9への窒素ガスの流
量を20SCCM、酸素ガス導入管10への酸素ガスの流量を10
SCCMとし、下層のFe−N −O 系磁性層を形成し、チャン
バBにおいても同様の条件で同一の組成の上層のFe−N
−O 系磁性層を形成した。それ以外は実施例1と同様に
して磁気フィルムを製造し、実施例1と同様の評価を行
なった。その結果を表1に示す。なお、該磁気テープの
磁性層全体の元素の分布を実施例1と同様の条件でのオ
ージェ電子分光法により分析した結果を図5に示す。な
お、オージェプロファイルのスタート部の炭素原子は、
潤滑剤と保護層の影響である。また、本比較例1で得ら
れた8mmテープの磁性層全体の元素比率は、Fe:N :O
=71:15:14(原子%)であった。
【0034】
【表1】
【0035】上記の表1の結果からわかる通り、実施例
1〜4の8mmテープは何れも比較例1に比べて出力が向
上しているが、特に5MHz 以上の高域の出力における向
上効果が大きいことが分かる。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、鉄−窒素−酸素系の磁
性層を有する磁気記録媒体の高域出力が著しく向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体を製造する装置の一例を
示す略図
【図2】実施例1で形成した磁性層のオージェ電子分光
分析のチャート
【図3】実施例2で形成した磁性層のオージェ電子分光
分析のチャート
【図4】実施例3で形成した磁性層のオージェ電子分光
分析のチャート
【図5】比較例1で形成した磁性層のオージェ電子分光
分析のチャート
【符号の説明】
1 真空容器 4 支持体 8,8' 電子ビーム銃 9,9' イオン銃 10,10' 酸素ガス導入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 克巳 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体上に形成された磁性
    層を少なくとも二層有する磁気記録媒体であって、 全磁性層のうち前記支持体から最も遠い第一磁性層とこ
    れに隣接する第二磁性層が、鉄、窒素及び酸素を主成分
    として含む磁性層であり、 前記第一磁性層中の鉄濃度(Fe1 )が前記第二磁性層中
    の鉄濃度(Fe2 )よりも低いことを特徴とする磁気記録
    媒体。
  2. 【請求項2】 Fe1 とFe2 の差 Fe2−Fe1 が5原子%以
    上である請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記第一磁性層中の窒素濃度(N1)と前
    記第二磁性層中の窒素濃度(N2)がほぼ同じである請求
    項1又は2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記第一磁性層中の酸素濃度(O1)が前
    記第二磁性層中の酸素濃度(O2)よりも高い請求項1〜
    3の何れか1項記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 Fe1+O1が Fe2+O2とほぼ同じである請
    求項1〜4の何れか1項記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記第一磁性層中の鉄濃度分布及び前記
    第二磁性層中の鉄濃度分布が、それぞれ磁性層の深さ方
    向で一定である請求項1〜5の何れか1項記載の磁気記
    録媒体。
  7. 【請求項7】 保磁力(Hc)が1000(Oe)以上である請
    求項1〜6の何れか1項記載の磁気記録媒体。
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