JPH0969438A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH0969438A
JPH0969438A JP22526595A JP22526595A JPH0969438A JP H0969438 A JPH0969438 A JP H0969438A JP 22526595 A JP22526595 A JP 22526595A JP 22526595 A JP22526595 A JP 22526595A JP H0969438 A JPH0969438 A JP H0969438A
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magnetic
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JP22526595A
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Noriyuki Kitaori
典之 北折
Osamu Yoshida
修 吉田
Katsumi Sasaki
克己 佐々木
Junko Ishikawa
准子 石川
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気記録媒体、特に鉄、窒素及び酸素を含む
磁性層を有する磁気記録媒体の高域での出力を向上させ
る。 【解決手段】 支持体上に、鉄、窒素及び酸素を含む磁
性層であって、該磁性層中の窒素濃度が該磁性層の表面
から磁性層の深さ方向へと漸次増加し、且つ前記磁性層
中の最小窒素濃度が5原子%以上であり、更に該磁性層
における鉄(Fe)、窒素(N) 及び酸素(O) の割合が、原子
比でFe:N:O=55〜85:10〜40:5〜30であるFe−N−O
系磁性層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に関
する。より詳しくは、鉄、窒素及び酸素を含む磁性層を
有する金属薄膜型の磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体、例えば磁気テープには、
非磁性支持体であるフィルム上に磁性粉をバインダーに
分散させた磁性塗料を塗布してなる従来からある塗布型
テープと、フィルム上に真空中で磁性金属を蒸着する真
空蒸着法等を用いてバインダーを全く含まない金属薄膜
の磁性層を非磁性支持体上に付着させる金属薄膜型テー
プとがある。そして、近年の磁気記録は高密度記録化の
方向にあり、金属薄膜型テープは、磁性層にバインダー
を含まないことから磁性材料の密度を高められるため、
高密度記録に有望であるとされている。
【0003】ところで、真空蒸着法等によって非磁性支
持体上に形成する磁性層用の磁性材料としては、従来で
は、Co系、Co−Ni系、Co−Cr系の強磁性合金が用いられ
ている。しかしながら、Co、Ni、Crは共に価格が高い上
に公害問題も有している。この点、Fe(金属鉄)は、価
格が安く公害の安全性においても問題はないが、高記録
密度に不可欠な保磁力が低く、また、耐蝕性が低いとい
う欠点があり、Co−Ni系、Co−Cr系及びFeに代わる磁性
層用材料が望まれている。
【0004】このような状況から、ベースを低価格で環
境汚染の心配のないFeとし、高い保磁力と耐蝕性を有す
る磁性層を形成するために、Feの蒸着中に酸素、窒素、
二酸化炭素等のガスやこれらの混合ガスをイオン化して
照射する、いわゆるイオンアシストによる蒸着法によ
り、Fe−N系、Fe−C系、Fe−N−O系、Fe−C−N−O 系等
の磁性膜を形成することが試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特にFe
−N−O系の磁性層では磁性層中の各元素の存在状態(濃
度)によっては必ずしも出力、特に高域での出力が充分
とはいえない場合があり、どのような割合でこれら三つ
の元素を磁性層中に存在させるかは充分に検討されてい
ないのが現状である。従って本発明の目的は、Fe−N−O
系の磁性層において、特に三つの元素、特に窒素の存在
量に着目して、高域での出力がより高い磁気記録媒体を
得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな状況に鑑み、より高域出力の高いFe−N−O系の磁性
層を得るために鋭意研究した結果、これらの三成分の割
合を特定範囲とし、且つ磁性層中の窒素濃度が磁性層の
深さ方向で徐々に増加するような構成とすることにより
前記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0007】すなわち本発明は、支持体と、該支持体上
に形成された鉄、窒素及び酸素を含む磁性層を少なくと
も一層有する磁気記録媒体であって、鉄、窒素及び酸素
を含む前記磁性層中の窒素濃度が該磁性層の表面から該
磁性層の深さ方向へと漸次増加しており、且つ、鉄、窒
素及び酸素を含む前記磁性層中の最小窒素濃度が5原子
%以上であり、更に、鉄、窒素及び酸素を含む前記磁性
層における鉄(Fe)、窒素(N) 及び酸素(O) の割合が、原
子比でFe:N:O=55〜90:5〜40:5〜30であることを
特徴とする磁気記録媒体を提供するものである。ここで
磁性層の深さ方向とは、磁性層表面から支持体へ垂直に
向かう方向をいう。
【0008】本発明の磁気記録媒体は鉄、窒素及び酸素
を含む特定の磁性層(以下、Fe−N−O 系磁性層とい
う)を少なくとも一層有することであり、このFe−N−O
系磁性層の特徴は、 Fe−N−O系磁性層中の窒素濃度が、表面から支持体に
近づくにつれて漸次増加していること Fe−N−O系磁性層中の最小窒素濃度が5原子%以上で
あること Fe−N−O系磁性層中の鉄、窒素及び酸素の割合が特定
範囲にあること であり、これらの要件が全て満たされない場合は、高域
での出力に優れ、且つ良好な磁気特性を示す磁気記録媒
体を得ることはできない。
【0009】本発明の磁気記録媒体において、Fe−N−O
系磁性層は、鉄を蒸着させながら窒素イオンと酸素イオ
ンとを供給する、いわゆるイオンアシスト蒸着法により
形成される。磁性層を形成するイオンアシスト蒸着法は
従来知られている方法により行なうことができる。ただ
し本発明ではFe−N−O系磁性層中の窒素濃度を磁性層の
深さ方向で漸次増加させる必要があり、このためには窒
素イオンの供給量を調節する必要がある。具体的には、
イオンガンの中心(窒化スピードの一番速いところ)
を、蒸着領域の金属濃度が最も高い部分に合わせること
により、成膜初期の窒素濃度を低くして、漸次窒素濃度
を増加させることができる。
【0010】本発明の磁気記録媒体では、Fe−N−O系磁
性層中の最小窒素濃度は5原子%以上、好ましくは5〜
10原子%である。最小窒素濃度が5原子%未満である
と、窒素添加による耐食性向上効果が不十分となる。
【0011】また、本発明の磁気記録媒体では、Fe−N
−O系磁性層全体における鉄(Fe)、窒素(N) 及び酸素(O)
の割合は、原子比でFe:N:O=55〜90:5〜40:5〜3
0とする必要がある。この範囲を外れると出力が低下す
る。
【0012】また、Fe−N−O系磁性層中の窒素濃度の変
化(増加)は直線的(一次関数的)であることが望まし
く、特に磁性層の深さ方向で、表面から 500〜5000Åの
範囲で漸次増加していることが望ましい。ただし、窒素
濃度は全体として漸次増加していれば、数%程度の幅で
変動していてもよい。また、Fe−N−O系磁性層中の最大
窒素濃度 Nmax と最低窒素濃度 Nmin の差(Nmax)−(N
min)は5〜30原子%程度であることが望ましい。なお、
磁性層中の元素濃度は、オージェ電子分光法により測定
できる。ただし、磁気記録媒体の表層部や支持体と磁性
層との界面付近は、異物の混入(コンタミネーショ
ン)、潤滑剤、保護層及び支持体等の影響により、オー
ジェプロファイルの形状を正確に求めることは困難であ
り、本発明において、これらの部分の元素濃度の変化は
排除される。
【0013】本発明においては、支持体上に形成される
磁性層は多層構造であってもよいが、その場合、少なく
とも最表層(最も支持体から遠い層)は、前記した本発
明の特徴を有するFe−N−O系磁性層、即ち、磁性層中の
窒素濃度が磁性層の深さ方向で漸次増加しており、且つ
鉄、窒素、酸素の割合が上記の範囲にある磁性層とする
必要がある。複数のFe−N−O系磁性層を形成する場合
は、最表層がかかる本発明のFe−N−O系磁性層であれば
よく、下層のFe−N−O系磁性層においては窒素濃度の変
化の状況は問わない。また、下層に形成する磁性層は、
Fe−N−O系磁性層ではなく、別の金属材料、例えばCo、
Co−Ni等からなっても良い。本発明において、磁性層の
厚さは限定されないが、例えば本発明のFe−N−O系磁性
層が単層の場合は1000〜3000Å、多層の場合は本発明の
Fe−N−O系磁性層(最表層)が 500〜2000Å、その他の
磁性層が 500〜2000Åである。
【0014】また、本発明の磁気記録媒体は、面内の保
磁力が1200(Oe)以上であるのが好ましく、更に好ましく
は1300〜1700(Oe)である。面内の保磁力が1200(Oe)未満
であると、特に高周波記録での良好な出力特性が得られ
なくなる傾向を示す。
【0015】本発明の磁気記録媒体では、Fe−N −O 系
磁性層中の窒素濃度が表面に向かうにつれて漸次減少し
ているため、磁性層上層部の飽和磁束密度(Bs)が増大
し、出力も向上する。磁気記録では媒体の表面層が主の
記録部となるため、表層の磁性層のBsが向上すると出力
も向上する。
【0016】また、本発明の磁気記録媒体の支持体の材
料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレートのようなポリエステル;ポリエチレン、
ポリプロピレン等のポリオレフィン; セルローストリア
セテート、セルロースジアセテート等のセルロース誘導
体;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;
芳香族ポリアミド等のプラスチック等が使用される。こ
れらの基材の厚さは3〜50μm程度である。
【0017】また、磁性層上には、厚さ10〜200 Å程度
の保護層、特にダイヤモンドライクカーボン、グラファ
イト等の炭素薄膜からなる保護層を設けることが望まし
い。また、かかる保護層上には、厚さ2〜50Å程度の潤
滑層、特にパーフルオロポリエーテル等のフッ素系潤滑
剤からなる潤滑層を形成するのが好ましく、磁性層が形
成される面と反対の面には、更にカーボンブラックを主
成分とする厚さ 0.1〜1.0 μm程度のバックコート層等
を設けてもよい。これらの層を形成する原料は従来公知
のものが適宜使用できる。また、バックコート層は、Al
−Cu合金等の金属を蒸着させて形成してもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】図1に本発明の磁気記録媒体の製
造に使用する斜め蒸着のための真空蒸着装置の一例を示
す。図1において、真空容器1内は、ターボポンプ2と
ロータリポンプ3とで真空状態が維持されている。前記
真空容器1内には、巻出しロール4と巻取りロール5と
が設けられ、巻出しロール4から巻出されて巻取りロー
ル5に巻取られる間で、PET (ポリエチレンテレフタレ
ート)、ポリイミドあるいはアラミド等で製造される支
持体としてのフィルム6は、内部に冷却水が流れる平板
状の冷却板7に沿って走行して移動する。前記冷却板7
には、冷却水供給管8から冷却水が供給されて図示しな
い排水管から排水されるようになっており、冷却水が外
部の冷却水タンクから循環供給される。また、前記冷却
板7の下方には、MgO 製のルツボ9が置かれ、この中に
例えば純度 99.95%のFeを入れ、このルツボ9内のFe面
に対して斜め上方の電子ビーム銃10から電子ビームを照
射する。これにより、Feを加熱気化させるようになって
いる。このFeの蒸着の際に、ルツボ9からのFeの蒸気流
のフィルム6に対する入射角αが所望の範囲になるよう
に冷却板7の傾斜を設定する。このような斜め蒸着法を
採用することにより、磁性層の磁気異方性によって磁気
特性が向上する。Feの蒸着時には、フィルム6の蒸着面
に対して垂直方向にイオン銃11を配置し、該イオン銃11
に窒素ガスを供給し窒素イオンを生成して、フィルム6
にFeを蒸着させつつ、また酸素ガス導入管13から酸素ガ
スを通気しながら、その蒸着面に前記窒素イオンと酸素
イオンを照射するようにしている。イオン銃11は窒素イ
オンの照射方向を変えることができる。なお、イオン銃
11に窒素ガスと酸素ガスの混合ガスを供給し窒素イオン
と酸素イオンを生成して、フィルムの蒸着面に前窒素イ
オンと酸素イオンとを照射する方法も可能である。図中
12は、フィルム6への蒸着範囲を規制するための遮蔽板
である。
【0019】
【実施例】以下実施例にて本発明を説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0020】実施例1 (1) 磁気記録媒体の製造 PET フィルム上に、Fe−N−O系の磁性層を形成し、更に
保護層、潤滑剤及びバックコート層を形成し、磁気フィ
ルムを製造した。各層の形成条件等は以下の通りであ
る。図1に示すイオンアシスト斜め蒸着装置に厚さ6.3
μmのPETフィルム6を装着し、フィルム6を冷却板7
上に走行させた。走行速度は1.0 m/分であった。そし
て、酸化マグネシウム製のルツボ9に純度99.95 %程度
の鉄を入れ、出力5kWで電子銃10を作動させて鉄を蒸発
させ、PET フィルム6に鉄粒子を蒸着(入射角α=70
°)させると共に、窒素ガスをカウフマン型イオンガン
11に供給し、PETフィルム6の鉄蒸着面に向けて窒素イ
オンを照射した。また同時に酸素ガス導入管13より酸素
ガスを通気させ酸化処理した。これによりFe−N−O系の
磁性層を形成した。次いでPET フィルムの磁性層面とは
反対の面に、平均粒径40nmのカーボンブラックをウレタ
ンプレポリマーと塩化ビニル系樹脂とのバインダー樹脂
中に分散させてなるバックコート用の塗料をダイコーテ
ィング方式により、乾燥膜厚0.5 μmとなるように塗布
し、乾燥してバックコート層を形成した。その後 ECRプ
ラズマCVD 法により厚さ65Åのダイヤモンドライクカー
ボン薄膜からなる保護層を前記磁性層上に形成し、更に
該保護層上にパーフルオロポリエーテル(FOMBLIN Z DO
L、モンテカチーニ社製)をフッ素系不活性液体(フロ
リナート FC-77、住友スリーエム株式会社製)に0.05重
量%となるように希釈、分散させた塗料をダイコーティ
ング方式により、乾燥膜厚が20Åとなるように磁性層上
に塗布し、105 ℃で乾燥させて潤滑層を形成した。上記
により得られた磁気記録媒体の磁性層は、磁性層全体の
Fe:N:O原子比が70:15:15であり、窒素の最大濃度は
30原子%、最小濃度は9原子%であった。なお、該磁性
層中の元素の分布をオージェ電子分光法により分析した
結果を図2に示す。この時のオージェ電子分光法の測定
条件は、電子銃条件は加速電圧は10kV、エミッション電
流は10mA、倍率は2000倍であり、エッチング条件はエッ
チング用ガスはアルゴンガスであり、加速電圧は3kV、
イオン電流300nA であり、この条件下で30秒間毎にエッ
チングして分析を行なった。オージェ電子分光分析の結
果、該磁性層中の窒素濃度は磁性層の表面付近で最小
で、深さ方向に従って徐々に増加していることがわか
る。なお、オージェプロファイルのスタート部の炭素原
子は潤滑剤及びダイヤモンドライクカーボン保護層の影
響である。
【0021】(2) 性能評価 上記により磁性層、保護層、潤滑層及びバックコート層
が形成されたPET フィルムを8mm幅に裁断し、8mmVTR
用カセットに入れた。このテープについて市販の8mmVT
R を改造し、1MHz 、5MHz 、10MHz 及び15MHz の正弦
波信号を入力し、この信号の再生出力をスペクトルアナ
ライザーにより測定し、出力とした。またこのテープの
面内の保磁力を、VSM を用いて10kOe の外部磁場をかけ
て測定した。その結果を表1に示す。
【0022】実施例2 実施例1において、イオンガンの位置はそのままで、ガ
ス量、イオンガン出力等の磁性層の成膜条件を代えて、
Fe:N:O原子比が80:10:10で、窒素の最大濃度が15原
子%、最小濃度が5原子%の磁性層を形成し、その他は
実施例1と同様にして磁気フィルムを製造し、実施例1
と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。な
お、該磁性層中の元素の分布を実施例1と同様の条件で
のオージェ電子分光法により分析した結果を図3に示
す。オージェ電子分光分析の結果、該磁性層中の窒素濃
度も磁性層の表面付近で最小で、深さ方向に従って徐々
に増加していることがわかる。
【0023】実施例3 実施例1において、イオンガンの位置はそのままで、ガ
ス量、イオンガン出力等の磁性層の成膜条件を代えて、
Fe:N:O原子比が60:20:20で、窒素の最大濃度が30原
子%、最小濃度が10原子%の磁性層を形成し、その他は
実施例1と同様にして磁気フィルムを製造し、実施例1
と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0024】実施例4 実施例1において、イオンガンの位置はそのままで、ガ
ス量、イオンガン出力等の磁性層の成膜条件を代えて、
Fe:N:O原子比が55:40:5で、窒素の最大濃度が45原
子%、最小濃度が20原子%の磁性層を形成し、その他は
実施例1と同様にして磁気フィルムを製造し、実施例1
と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0025】実施例5 実施例1において、イオンガンの位置はそのままで、ガ
ス量、イオンガン出力等の磁性層の成膜条件を代えて、
Fe:N:O原子比が60:10:30で、窒素の最大濃度が20原
子%、最小濃度が5原子%の磁性層を形成し、その他は
実施例1と同様にして磁気フィルムを製造し、実施例1
と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。な
お、該磁性層中の元素の分布を実施例1と同様の条件で
のオージェ電子分光法により分析した結果を図4に示
す。オージェ電子分光分析の結果、該磁性層中の窒素濃
度も磁性層の表面付近で最小で、深さ方向に従って徐々
に増加していることがわかる。
【0026】実施例6 厚さ6.5 μmのPET フィルムを図5に示す装置にセット
し、該フィルム上に蒸着によりコバルトからなる磁性層
を形成した。図5において、51は冷却キャンロール、52
a は巻取ロール、52b は巻出ロール、53はフィルム、54
はルツボ、55はコバルト、56は遮蔽板、57は酸素ガス導
入管、58は電子ビーム銃、59は真空チャンバである。蒸
着時の入射角は60°、電子ビーム銃のパワーは15kW、酸
素ガスの通気量は80SCCMとし、コバルト系磁性層の厚さ
は800 Åとし、フィルムの走行速度は2.0 m/分とし
た。このコバルト系磁性層上に、実施例1と同様にFe−
N−O系の磁性層、保護層潤滑剤及びバックコート層を形
成して磁気フィルムを製造し、実施例1と同様の評価を
行なった。その結果を表1に示す。
【0027】比較例1 実施例1における磁性層の成膜条件を代えて、Fe:N:O
原子比が65:20:15で、窒素の最大濃度が40原子%、最
小濃度が5原子%の磁性層を形成し、その他は実施例1
と同様にして磁気フィルムを製造し、実施例1と同様の
評価を行なった。その結果を表1に示す。なお、該磁性
層中の元素の分布を実施例1と同様の条件でのオージェ
電子分光法により分析した結果を図6に示す。オージェ
電子分光分析の結果、該磁性層中の窒素濃度は磁性層中
で増減していることがわかる。
【0028】比較例2 実施例1における磁性層の成膜条件を代えて、Fe:N:O
原子比が60:10:30で、窒素の最大濃度が20原子%、最
小濃度が3原子%の磁性層を形成し、その他は実施例1
と同様にして磁気フィルムを製造し、実施例1と同様の
評価を行なった。その結果を表1に示す。なお、該磁性
層中の元素の分布を実施例1と同様の条件でのオージェ
電子分光法により分析した結果を図7に示す。オージェ
電子分光分析の結果、該磁性層中の窒素濃度も磁性層の
表面付近で最大で、深さ方向に従って徐々に減少してい
ることがわかる。
【0029】比較例3 実施例1における磁性層の成膜条件を代えて、Fe:N:O
原子比が45:50:5で、窒素の最大濃度が60原子%、最
小濃度が10原子%の磁性層を形成し、その他は実施例1
と同様にして磁気フィルムを製造し、実施例1と同様の
評価を行なった。その結果を表1に示す。なお、該磁性
層中の元素の分布を実施例1と同様の条件でのオージェ
電子分光法により分析した結果を図8に示す。オージェ
電子分光分析の結果、該磁性層中の窒素濃度は磁性層の
表面付近で急激に増加した後、緩やかに増加しているこ
とがわかる。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、鉄−窒素−酸素系の磁
性層を有する磁気記録媒体の高域における出力が向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体を製造する装置の概略図
【図2】実施例1で形成した磁性層のオージェ電子分光
分析のチャート
【図3】実施例2で形成した磁性層のオージェ電子分光
分析のチャート
【図4】実施例5で形成した磁性層のオージェ電子分光
分析のチャート
【図5】実施例6で用いた蒸着装置の概略図
【図6】比較例1で形成した磁性層のオージェ電子分光
分析のチャート
【図7】比較例2で形成した磁性層のオージェ電子分光
分析のチャート
【図8】比較例3で形成した磁性層のオージェ電子分光
分析のチャート
【符号の説明】
1 真空容器 6 支持体 10 電子ビーム銃 11 イオン銃 13 酸素ガス導入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 准子 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体上に形成された鉄、
    窒素及び酸素を含む磁性層を少なくとも一層有する磁気
    記録媒体であって、 鉄、窒素及び酸素を含む前記磁性層中の窒素濃度が該磁
    性層の表面から該磁性層の深さ方向へと漸次増加してお
    り、 且つ、鉄、窒素及び酸素を含む前記磁性層中の最小窒素
    濃度が5原子%以上であり、 更に、鉄、窒素及び酸素を含む前記磁性層における鉄(F
    e)、窒素(N) 及び酸素(O) の割合が、原子比でFe:N:O
    =55〜90:5〜40:5〜30であることを特徴とする磁気
    記録媒体。
  2. 【請求項2】 鉄、窒素及び酸素を含む前記磁性層中の
    窒素濃度の増加が直線的である請求項1記載の磁気記録
    媒体。
  3. 【請求項3】 鉄、窒素及び酸素を含む前記磁性層が、
    前記支持体から最も遠い磁性層として形成されている請
    求項1又は2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 面内の保磁力が1200(Oe)以上である請求
    項1〜3の何れか1項記載の磁気記録媒体。
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