JP3076543B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3076543B2
JP3076543B2 JP09321449A JP32144997A JP3076543B2 JP 3076543 B2 JP3076543 B2 JP 3076543B2 JP 09321449 A JP09321449 A JP 09321449A JP 32144997 A JP32144997 A JP 32144997A JP 3076543 B2 JP3076543 B2 JP 3076543B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属元素の蒸着膜
を磁性層としてなる磁気記録媒体に関し、更に詳しく
は、高域において良好な電磁変換特性を有する磁気記録
媒体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、支持体と、該支持体の表面側に一種以上の金属元素
を蒸着させて設けられた磁性層とを具備する磁気記録媒
体、即ち蒸着型の磁気記録媒体は、種々提案されてい
る。このような蒸着型の磁気記録媒体は、磁性塗料を塗
布して形成される塗布型の磁気記録媒体に比して、高記
録密度化が可能であるため、特に高記録密度が要求され
る分野において有用である。しかし、最近では、更に高
記録密度化の要請が高くなっており、より、高記録密度
化が可能で、特に20MHz以上の高域において電磁変
換特性に優れた磁気記録媒体の開発が要望されているの
が現状である。
【0003】従って、本発明の目的は、従来の蒸着型の
磁気記録媒体に比してより高記録密度化が可能であり、
更には高域における電磁変換特性に優れた磁気記録媒体
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、磁気記録媒体の磁性
層をその反射率が特定の値となるように形成することに
より、上記目的を達成しうることを知見した。
【0005】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
ので、支持体と、該支持体の表面側に一種以上の金属元
素を蒸着させて設けられた磁性層とを具備する磁気記録
媒体において、上記磁性層は、その表面における波長8
00nm〜600nmの反射率の最低値が40〜70%
である磁気記録媒体を提供するものである。
【0006】また、本発明は、上記磁性層は、その表面
の波長600nm〜200nmの反射率の最低値が10
〜30%である上記磁気記録媒体を提供するものであ
る。また、本発明は、上記反射率が最低値をとる時の波
長が250〜270nmである上記磁気記録媒体、並び
に該磁性層のHcの最大値が2600Oe以上である上
記磁気記録媒体及び該磁性層のCo含有量が80wt%
以上である上記磁気記録媒体を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体につ
いて更に詳細に説明する。本発明の磁気記録媒体は、支
持体と、該支持体の表面側に一種以上の金属元素を蒸着
させて設けられた磁性層とを具備する。そして、上記磁
性層が、特定の反射率を有する。
【0008】また、本発明の磁気記録媒体は、テープ、
ディスク、ドラム、シート及びその他の形態で使用され
るが、特に磁気テープの形態で使用される。
【0009】本発明の磁気記録媒体に用いられる上記支
持体としては、公知の磁性又は非磁性の支持体を特に制
限なく用いることができる。上記支持体の形成材料とし
ては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェ
ニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリアミド、
ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、芳香
族ポリアミド等の公知の樹脂;アルミニウムや銅等の金
属;セラミックス;紙等を使用することができる。ま
た、上記支持体の形態は、磁気記録媒体の形態に応じて
任意であるが、フィルム、テープ、シート、ディスク、
ドラム等の何れでもよい。また、上記支持体には、磁性
層を設ける前に、大気中及び/又は真空中においてその
表面に予めコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処
理、熱処理、除塵処理、ボンバード処理などを行うこと
もできる。上記支持体の好ましい厚さは、1〜300μ
mである。
【0010】上記磁性層は、上記支持体の表面側に一種
以上の金属元素を蒸着させて設けられた層であり、特定
の反射率を有する。上記磁性層の有する上記の特定の反
射率は、上記磁性層は、その表面における波長800n
m〜600nmの反射率の最低値が40〜70%であ
り、好ましくは50〜60%である。上記最低値が、4
0%未満であると、特に高周波数帯域における電磁変換
特性に悪影響が見られ、70%を超えると、広い周波数
帯域において電磁変換特性の悪化が見られる。尚、80
0〜600nmにおいて最低値をとる波長は600〜6
50nmであるのが好ましい。
【0011】上記反射率は、下記の如くして測定される
ものである。即ち、磁性層の反射率は、日立製作所製
「U−3210磁気記録分光光度計」等の分光光度計を
用いて、該分光光度計に反射アタッチメントを装着して
測定することができる。尚、本発明においては、上記装
置で測定を行い、リファレンスには通常用いられる蒸着
ミラー(日立計測機器サービス(株)製、Parts
No. 「210−3517」)を用いた。
【0012】また、上記磁性層は、その表面における波
長600nm〜200nmの反射率の最低値が10〜3
0%であるのが好ましく、20〜25%であるのが更に
好ましい。このように600nmを境としているのは、
本発明者らが鋭意検討した結果、800〜600nmで
上記の範囲の反射率を有する磁性層を有する磁気記録媒
体が優れた特性を有し、更に600〜200nmで上記
の範囲の反射率を有する磁性層を有する磁気記録媒体に
おいては特に優れた特性を有することを見出したことに
よる。
【0013】また、この際の上記反射率が最低値をとる
ときの波長が250〜270nmであるのが好ましい。
【0014】また、上記反射率の最高値は、200〜8
00nmの範囲内での最高値が、750〜800nmに
おいて50〜80%となるのが好ましい。
【0015】上記反射率を上述の範囲とすることによ
り、電磁変換特性が向上する理由については定かではな
いが、おおよそ以下の様に推測される。一般に物質の反
射率は表面の自由電子密度に依存する。磁性層にあって
は例えば厚い表面酸化層を有していれば表面の自由電子
密度が低下することが予想され、結果として反射率が低
くなり、同時に電磁変換特性が悪化すると考えられる。
しかし、例えばCo−O系磁性層ではコラム形成のため
に最低限の酸化はむしろ必要な条件であり、むやみに高
い反射率を有すると却って電磁変換特性が悪化する。理
想的な磁性層とは、最低限に薄い表面酸化層と十分な自
由電子密度とを持つ内部構造を有するものであると考え
られる。そして、このような内部構造は、反射率の波長
依存性により理想的な状態であるか否かが判別でき、ま
た、この他にも、例えば、表面近傍の組織学的特徴、例
えばコラムの湾曲率やそのサイズといった物性が反射率
に影響を与えていることが予想される。従って、上述の
範囲の反射率を有する磁性層は、特に理想的な内部構造
を有し、優れた電磁変換特性を有するものと考えられ
る。
【0016】上記金属元素としては、例えばFe、C
o、Ni、Pt、Cr、等を挙げることができ、使用に
際しては単独で又は2種以上併用することができる。ま
た、蒸着させる際に用いる材料としては、例えばFe、
Co、Ni、Cr等の金属の他に、Co−Ni合金、C
o−Pt合金、Co−Ni−Pt合金、Fe−Co合
金、Fe−Ni合金、Fe−Co−Ni合金、Fe−C
o−B合金、Co−Ni−Fe−B合金、Co−Cr合
金等が用いられる。また、上記金属元素は、Co及びC
rであるか、Coであるのが好ましい。即ち、上記磁性
層は、金属元素として、Co及びCrを併用して用いる
か、Coのみを用いて、形成されていることが好まし
く、Co及びCrを併用して用いた場合には、Co−C
r合金を用いる。また、上記金属元素として、Coと他
の金属元素をとを併用した場合、該Coは、磁性層全体
の重量100重量部中80重量部以上とするのが好まし
い。
【0017】また、上記金属元素は、斜め蒸着されてい
るのが好ましい。上記斜め蒸着とは、支持体の厚み方向
に対して所定の角度をもって金属元素を蒸着することを
意する。斜め蒸着されていることにより、それぞれ支持
体の厚み方向に対して所定の角度をもって斜め方向に成
長された複数のコラムが形成されるので、上記磁性層
は、斜め蒸着膜となる
【0018】なお、上記金属蒸着膜の形成時に酸化性ガ
スを供給して、上記金属コラムの表面に、酸化膜を形成
することが好ましい。尚、酸化性ガスとしては例えば、
酸素、空気などが用いられるが酸素が好ましい。
【0019】また、上記磁性層全体の厚さは、30〜3
00nmであることが好ましく、50〜200nmであ
ることが更に好ましい。該厚さが30nmに満たないと
磁性層の耐久性が十分でない場合があり、300nmを
越えると自己減磁が増加する場合があるので、上記範囲
内とすることが好ましい。
【0020】上記磁性層は、その保磁力Hcの最大値
が、2000Oe以上であるのが好ましく、更に好まし
くは2600Oe以上、最も好ましくは2600〜30
00Oeである。ここで、保磁力の最大値とは、磁性層
平行方向から垂直方向の保磁力のうちで最大の保磁力の
値を言う。また、長手方向の保磁力は、1000〜25
00Oeであり且つ垂直方向の保磁力が1500〜30
00Oeであることが好ましい。なお、本明細書におい
て、「長手方向」とは、主として磁気ヘッドの進行方向
を意味し、磁気テープの場合にはテープの長手方向を含
む方向をいい、「垂直方向」とは、磁性層面に対して法
線方向を意味する。
【0021】次いで、本発明の磁気記録媒体について、
その1形態を図1を参照しつつ説明する。ここで、図1
は、本発明の磁気記録媒体の1形態を示す拡大断面図で
ある。
【0022】図1に示す磁気記録媒体としての磁気テー
プ1は、支持体2と、該支持体2上に設けられた磁性層
3とを具備してなり、該磁性層3上には、保護層4と潤
滑層5とが設けられており、該支持体2の裏面側にはバ
ックコート層6が設けられている。
【0023】上記支持体及び上記磁性層については上述
したので、以下、保護層4、潤滑層5及びバックコート
層6について説明する。
【0024】上記保護層4は上記磁性層3上に、一般に
真空中で、炭素或いは炭化物、窒化物、特にダイヤモン
ドライクカーボン、ダイヤモンド、炭化ホウ素、炭化ケ
イ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アル
ミニウム等を成膜することにより形成される。上記保護
層の形成法としては、化学的気相成長法(CVD法)及
びPVD法の何れでもよい。CVD法では特にマイクロ
波を用いたECR(Electron Cyclotron Resonance) 法
や、高周波(RF)を用いた方法が有効である。CVD
法により上記保護層を形成する場合、原料はガス状、液
状及び固体状の何れのものを用いてもよい。
【0025】上記保護層4は、特にダイヤモンドライク
カーボンからなることが好ましい。この場合、該保護層
4は、ガス状の原料、液状の原料又は固体状の原料を用
いて形成することができる。ガス状の原料を用いる場合
は、上記ガス状の原料としてメタンとアルゴンとの混合
ガス、エタンと水素との混合ガス、又はメタンと水素と
の混合ガスを用いるのが好ましい。また、液状の原料を
用いる場合は、上記液状の原料としてアルコールや不飽
和炭化水素を用いるのが好ましい。更に、固体状の原料
を用いる場合は、上記固体状の原料としてナフタリンや
高級パラフィンを用いるのが好ましく、この場合、固体
を加熱したり超音波をかけてもよい。
【0026】また、PVD法としては、熱蒸発法、スパ
ッタ法、イオンプレーティング法等が挙げられ、何れを
用いることもできるが、中でも特にスパッタ法が有効で
ある。例えば、ダイヤモンドライクカーボンからなる保
護層は、グラファイトのターゲットを用いてメタンとア
ルゴンとの混合ガス又はメタンと水素との混合ガス中で
スパッタして形成するのが、窒化ケイ素からなる保護層
は、ケイ素のターゲットを用いてアルゴンと窒素との混
合ガス、アルゴンとアンモニアとの混合ガス、窒素ガ
ス、アンモニアガス、又はアンモニアとモノシラン(S
iH4 )との混合ガス中でスパッタして形成するのが、
酸化アルミニウムからなる保護層は、アルミニウムのタ
ーゲットを用いてアルゴンと酸素との混合ガス中でスパ
ッタして形成するのが好ましい。
【0027】上記保護層形成の際の真空度は、CVD法
の場合、10-1〜10-5Torr程度であることが好ま
しく、PVD法の場合、10-4〜10-7Torr程度が
好ましい。また、上記保護層の厚さは特に限定しない
が、1〜30nmであることが好ましく、更に好ましく
は3〜15nmである。
【0028】次に、上記潤滑層5について説明する。上
記潤滑層5は、超音波発振器を備えた噴霧器(以下、
「超音波噴霧器」という)を用い、潤滑剤を上記磁性層
上(上記磁性層上に上記保護層が形成されている場合に
は、上記保護層上)に噴霧して形成することが好まし
い。より詳細には、上記超音波噴霧器は、上記潤滑剤の
供給手段と、該供給手段から供給された上記潤滑剤に超
音波を印加して霧化する手段(超音波発振器)と、霧化
された上記潤滑剤を噴霧するノズルとからなる。また、
ノズルタイプの噴霧装置を用いてもよい。ノズルタイプ
の噴霧装置は、一般に一流体ノズルと呼ばれる装置が使
用できる。
【0029】超音波噴霧器を使用して潤滑剤を微細な粒
子として噴霧することができるので、高温(200℃以
上)に弱く蒸気圧が低いため、従来空気中での塗布によ
ってのみ潤滑剤層を形成することができたパーフルオロ
ポリエーテル等のフッ素系潤滑剤の真空中での噴霧が可
能となる。なお、従来方法のように、大気中において、
グラビア方式、リバース方式又はダイ塗工方式を用いて
上記潤滑剤を塗布しても良い。
【0030】上記パーフルオロポリエーテルとしては、
分子量2000〜5000のものが好適であり、例えば
「FOMBLIN Z DIAC」〔カルボキシル基変性、アオジモン
ト(株)製〕、「FOMBLIN Z DOL 」〔アルコール変性、
アオジモント(株)製〕の商品名で市販されているもの
が使用できる。これらは末端に水酸基又はカルボキシル
基を有するため、潤滑剤と磁性層との結着を高め得るの
で、好適に用いられる。
【0031】なお、上記潤滑剤以外にも、ベンゼン環、
二重結合、分岐鎖等を含むフッ素系の潤滑剤、脂肪酸系
の潤滑剤、その他の潤滑剤を使用することもできる。こ
れらのうち、上記フッ素系潤滑剤は、脂肪酸系潤滑剤と
比べ耐久性だけでなく耐蝕性も向上させるため、好適に
用いられる。
【0032】また、上記潤滑剤の噴霧にあたっては、上
記潤滑剤をフッ素系不活性溶媒(例えば住友スリーエム
(株)製「フロリナート」等のパーフルオロカーボン、
アオジモント(株)製「ガルデン」等のパーフルオロポ
リエーテル)、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、ア
ルコール系溶媒、ケトン系溶媒等の適当な溶媒に溶解さ
せた0.001〜10重量%程度、特に0.02〜2.
0重量%の溶液として用いることが好ましい。上記潤滑
剤としてパーフルオロポリエーテルを用いる場合、溶媒
としてはパーフルオロカーボンが使用でき、その場合の
濃度は0.001〜1.0重量%程度、特に0.05〜
0.2重量%が好ましい。また、上記潤滑剤の噴霧量
は、磁気記録媒体の用途や潤滑剤の種類等を考慮して適
宜決定すればよいが、形成された潤滑剤層の厚さは0.
5〜20nm程度となるように調節するのが好ましい。
【0033】上記バックコート層6は、カーボンブラッ
ク等を適当な溶剤に分散させた液を塗布して形成しても
よいし、金属又は半金属を物理的蒸着法(PVD)、特
に熱蒸発法、スパッタリング法により蒸着させて形成さ
せてもよい。
【0034】上記バックコート層6を塗布により形成す
る場合は、粒径10〜100nmのカーボンブラック
を、塩ビ系、ウレタン系又は硝化綿系等のバインダー中
に分散させ、グラビア方式、リバース方式又はダイ塗工
方式等で、乾燥後の厚さが好ましくは0.4〜1.0μ
mになるように塗布する。
【0035】上記バックコート層6を蒸着により形成す
る場合は、上記金属又は半金属材料としてアルミニウム
やシリコンを用いることが好ましい。また、この場合の
上記バックコート層の厚さは好ましくは0.05〜1.
0μmである。
【0036】なお、上記磁性層3の形成に先立ち、上記
支持体2の表面に上記磁性層3の密着性を向上させる為
のアンダーコート層を設けてもよい。かかるアンダーコ
ート層は、例えばSiO2 等の粒子を含有させた厚さが
0.05〜0.5μmの塗膜からなる。あるいは、厚さ
が5〜50nmの金属又は金属酸化物、窒化物等のセラ
ミックス膜をアンダーコート層としても良い。かかるア
ンダーコート層を用いることにより、例えば斜め蒸着法
により形成される磁性層の密着性を向上させると共に、
上記磁性層の表面粗さを適度なものとして走行性を改善
することができる。
【0037】なお、上記バックコート層6の上には、走
行性や耐久性等を一層向上せしめることを目的として、
トップコート層を設けてもよい。
【0038】次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法に
ついて詳述する。本発明の磁気記録媒体は、通常の斜め
蒸着法により、支持体上に磁性層を形成し、更に上述し
た手法をそれぞれ用いて、保護層、潤滑層及びバックコ
ート層並びにアンダーコート層などを必要に応じて設け
るなどして製造することができる。斜め蒸着法等の上記
の各方法としては、従来公知の方法を特に制限なく用い
て行うことができるが、特に本発明においては、上記磁
性層は下記の如き連続斜め蒸着法により形成するのが好
ましい。
【0039】以下、本発明において好適に用いられる連
続斜め蒸着法について詳述する。上記連続斜め蒸着法
は、図2に示す如き通常の斜め蒸着法を行うための蒸着
装置を用いて行うことができる。ここで、図2は、本発
明の磁気記録媒体の製造に際して好ましく用いられる蒸
着装置を示す概略図である。
【0040】図2に示す蒸着装置100は、脱気ポンプ
(図示せず)に連結された排気口11を備えた真空チャ
ンバー10と、該真空チャンバー10の内部に設置され
たテープ状の支持体原反2を巻き出す巻き出しロール2
0と、巻き出された支持体原反2を連続的に蒸着させる
金属の入射角を変化させながら蒸着に供するキャンロー
ル40と、金属元素が蒸着されて磁性層が形成された支
持体原反(磁気テープ原反)2’を巻き取る巻き取りロ
ール30と、金属元素の蒸気のうち入射角の小さな金属
元素をカットするマスク50と、支持体原反の表面に酸
化性ガスを導入する導入管60a,60bと、蒸着させ
る金属元素の材料金属71が投入された坩堝70とから
なる。また、坩堝70の上方には、蒸気流励起させるた
めのRF放電装置80が設けられている。そして、上記
導入管60aは、上記キャンロール40の最小入射角近
傍に向けて酸化性ガスを導入できるように設けられてお
り、上記導入管60bは、支持体がキャンロールと接す
る部位のうち最も上方に位置する最上部から下方に向け
て酸化性ガスを導入できるように、該最上部に設けられ
ている。また、上記導入管60a,60bにおけるガス
放出口61a,61bは、それぞれ、同じ形状である。
具体的には、図3に示すように、該放出口61a(61
b)は、支持体原反表面に平行且つ長手方向に直角に配
置された金属製円筒管161に小径の孔261が一列に
多数に設けられた構造を有し、該孔261からガスがキ
ャンロール表面の成膜部に向けて吹き出すようになされ
ている。
【0041】上記蒸着装置100を用いて蒸着を行うに
は、まず、真空チャンバーの内部を1×10-5〜1×1
-6Torr程度に脱気した後、坩堝70を電子銃(図
示せず)を用いて電子ビームなどにより加熱して金属元
素の蒸気を発生させ、必要に応じてRF放電を行って、
蒸気流を励起させる。この際、支持体原反2を巻き出し
ロ−ル20から矢印方向に巻き出してキャンロール上を
移送させ、且つマスク50で金属元素の入射角を調節し
つつ、蒸着を行った後、巻き取りロール30により巻き
取る。また、蒸着に際しては、上記導入管60a,60
bより、上記酸化性ガスを蒸着面に導入して、各コラム
に酸化物の皮膜を形成する。
【0042】そして、上記反射率は、既に述べたとう
り、例えば表面酸化層厚み、酸化の程度といった磁性層
表面の状態に強い影響を受ける。そして、酸化層の厚み
やその酸化の程度は、酸化性ガスの供給量、電子銃の電
力、成膜速度、キャンロール径、酸化性ガス放出ノズル
孔とキャンロール表面との距離といった様々なパラメー
タの影響を受ける。言い換えればこれらのパラメータを
制御することにより酸化層の厚みや酸化の程度を好まし
いものとし、結果として上述の範囲の反射率を有する磁
性層を得ることができる。酸化性ガスの供給量は、酸化
の程度や厚みに対して直接影響を与えるパラメータであ
る。後述する実施例の条件下であれば30〜60SCC
Mとするのが好ましいが、他の様々な条件によって好ま
しい値が大きく変化する。現実には例えば、実施例のよ
うに電子銃電力が低いときにはこの範囲内で比較的少な
い流量(30〜40SCCM)とするのが好ましく、電
子銃電力が高い場合にはこの範囲内で比較的多い流量
(50〜60SCCM)とするのが好ましい。電子銃電
力は成膜速度や金属蒸気流温度やベースフィルムに与え
る熱輻射の影響により表面の酸化に影響を与える。実施
例の条件下であれば10〜30KWとするのが好ましい
が、これも他の様々な条件によって好ましい値は大きく
変化するので、例えば、供給する酸素流量に応じて適宜
調節するのが好ましい。成膜速度は、蒸気流中への酸素
の拡散の程度を左右することにより表面の酸化に影響を
与える。好ましい成膜速度はキャンロール径に応じて変
化するが、600mm径のキャンロールの場合では20
0〜800nm/secとするのが好ましい。また、酸
素ガスの供給量に応じて適宜この範囲内で調節するのが
好ましい。ガス放出口の孔とキャンロール表面との距離
は、放出されたガスが反応で消費されるまで通るパスに
影響を与え、このパスとキャンロール表面との距離に応
じて酸化の程度が変化する。実施例の条件では10〜1
00mmとするのが好ましいが、更に、キャンロール径
に応じてこの範囲内で適宜調節するのが好ましい。キャ
ンロール径は、この大小に応じて蒸気流中を拡散する酸
素の拡散距離と磁性層中の酸素の分布との関係が決定さ
れ、結果的に表面酸化にも強い影響を与える。600〜
1500mm径とするのが好ましい。尚、上述の各条件
は、それぞれ上述の反射率の範囲を満足するのであれば
上述の範囲内には特に制限されない。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0044】〔実施例1〕図2に示す蒸着装置を用い、
下記の製膜条件で、支持体上に金属元素を蒸着させて磁
性層を形成した。次いで、バックコート層、保護層及び
潤滑層を、それぞれ、下記の製造法に記載のようにして
形成した後、6mm幅(DVC幅)にスリットして、磁
気記録媒体としてのDVC用の磁気テープを得た。
【0045】〔成膜条件〕 ・蒸発源材料:Co75重量%とNi25重量%との合
金 ・支持体:6.2μmPETフィルム ・支持体テンション:1.5kg/155mm ・支持体幅:155mm ・最大入射角度:90° ・最小入射角度:50° ・ボンバードガス:酸素ガス ・ボンバード条件:ガス流量40SCCM、ボンバード
電圧/電流400V/0.4A ・キャンロール径:600mm ・キャンロール温度:−30℃ ・キャンロール表面粗さ:0.1s ・キャンロールと導入管60aのガス放出口61aとの
間の距離:20mm ・キャンロールと導入管60bのガス放出口61bとの
間の距離:40mm (導入管60a、60bのガス放出口61a,61bか
らキャンロール40表面までの数学的な距離であり、ガ
ス放出口61a,61bからキャンロール40の表面に
降ろした垂線で測定される距離である。) ・キャンロールのベースフィルム抱き角:280° ・成膜開始前真空度;5.0×10-6 ・導入酸素ガス温度:24℃ ・導入管のガス放出孔径(導入管60a):0.5mm ・導入管のガス放出孔径(導入管60b):0.8mm ・導入管のガス放出孔間隔(導入管60a,60b
共):12mm ・導入管の排気口幅(導入管60a):180mm ・導入管の排気口幅(導入管60b):100mm ・導入管60の酸素ガス流量:50SCCM ・導入管60bの酸素ガス流量:10SCCM ・電子銃出力:30kW ・蒸気流励起RF放電条件:13.56MHz 120
W ・成膜速度:800nm/sec また、ライン速度(支持体の速度)は、磁性層の膜厚が
160nmとなるように制御して成膜を行った。
【0046】(バックコート層、保護層及び潤滑層の製
造法)バックコート層は、下記の点を除いて磁性層と同
じ条件下で成膜した。 ・ボンバードは実施せず、蒸気流励起RF放電も実施し
ない。 ・酸素流量は60aから100SCCM、60bノズルから
10SCCMとした。 保護層は、ECRプラズマCVD装置を用いて、常法に
準じて10nm厚のダイヤモンドライクカーボンからな
る保護層を磁性層上に設けることにより製造した。ま
た、潤滑層は、該保護層の表面にパーフルオロポリエー
テル〔アオジモント(株)製商品名「FOMBLIN
Z DIAC」〕を厚さ1.2nmでコーティングする
ことにより製造した。
【0047】得られた磁気テープについて、長手方向の
保磁力の値を測定すると共に電磁変換特性を、下記の如
くして測定した。その結果を〔表2〕に示す。 (電磁変換特性) 電磁変換特性は、常法に従い、ドラムテスターを用いて
測定した。この際、磁気ヘッドには市販のDVCデッキ
用のヘッド(アルプス電気製、商品名「HWHAC20
744」)を用いた。入力信号は記録電流が最適化され
た矩形波5MHz、10MHz、20MHzとした。
【0048】〔実施例2〜及び比較例1〜〕 蒸発原材料及び導入管60aにおける酸素ガス流量及び
電子銃電力を、それぞれ〔表1〕に示す値とした以外
は、実施例1と同様にして磁気テープを製造した。ま
た、得られた磁気テープについて、それぞれ、実施例1
と同様にして反射率、保磁力、電磁変換特性を測定し
た。その結果を〔表2〕に示す。尚、実施例5で得られ
た磁気テープについて、測定した反射率を示すチャート
を図4に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、従来の蒸着型
の磁気記録媒体に比してより高記録密度化が可能であ
り、更に電磁変換特性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の磁気記録媒体の1形態を示す
拡大断面図である。
【図2】図2は、本発明の磁気記録媒体の製造に際して
好ましく用いられる蒸着装置を示す概略図である。
【図3】図3は、図2に示す導入管の拡大斜視図であ
る。
【図4】図4は、実施例5で得られた磁気テープの透過
率を示すチャートである。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体 2 支持体 3 磁性層 4 保護層 5 潤滑層 6 バックコート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 克巳 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 山崎 登志夫 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式 会社研究所内 (72)発明者 宮村 猛史 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式 会社研究所内 (56)参考文献 特開 平5−166165(JP,A) 特開 平10−106834(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/64 G11B 5/85

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体の表面側に一種以上
    の金属元素を蒸着させて設けられた磁性層とを具備する
    磁気記録媒体において、 上記磁性層は、その表面における波長800nm〜60
    0nmの反射率の最低値が40〜70%であることを特
    徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記磁性層は、その表面の波長600n
    m〜200nmの反射率の最低値が10〜30%である
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記反射率が最低値をとる時の波長が2
    50〜270nmであることを特徴とする請求項2記載
    の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記磁性層のCo含有量が80wt%以
    上であることを特徴とする請求項3記載の磁気記録媒
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