JP3831424B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、いわゆる磁性層を蒸着法で形成した磁性磁気記録媒体に関し、特に、磁性層表面の保護効果に優れる保護層を備える蒸着型ビデオテープとしての磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
蒸着型のビデオテープ(磁気記録媒体)は、いわゆる磁性塗料を用いて作成する塗布型の媒体とは異なり、磁性材料の充填密度が高いために高記録密度に適している。そのため電磁変換特性上非常に有利であり、現在すでに実用化されるに至っている。しかしながら、蒸着型のビデオテープは、支持体の上に磁性金属を蒸着して成膜する構造をとっているために、耐久性や耐食性等が不十分であり信頼性にやや難点があり、この問題を解決するために種々の提案がなされている。
【0003】
すなわち、特公平4−27691号公報には、ダイヤモンド構造を有する炭素被膜の作製方法が提案されており、また、特公平5−33456号公報には、硬質カーボン層を保護層として用いる旨の提案がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公平4−27691号公報に開示の技術は、膜形成のために1GHz以上の周波数のエネルギーを用いる必要がある。そのため、樹脂を支持体とする蒸着型ビデオテープでは熱負けが発生し、磁性膜上に炭素被膜を形成することができず、開示されている技術そのものの応用ができない。
【0005】
また、特公平5−33456号公報に開示の技術において、基板を取り付けた側の電極(被処理体側)に13.56MHzの高周波を印加するのみでは、基板に堆積すべきイオンの移動度が小さいために基板への衝突エネルギーが低く、蒸着型のテープ用の保護膜としては要求を満たすに十分なものとは言えない。
【0006】
本発明はこのような実状のもとに創案されたものであって、その目的は電磁変換特性が優れることはもとより、表面保護効果、すなわち耐久性や耐食性等の信頼性にも優れる磁気記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を解決するために、本出願に係る発明者らが鋭意研究した結果、対向して配置された冷却ロール電極と部分円筒面状電極を備える真空成膜装置を用い、前記部分円筒面状電極に10kHz〜450kHzの周波数を印加して放電を発生させる一方で、被処理体が接する冷却ロール電極に、1MHz〜27MHzの周波数を印加しシース(セルフバイアスによる負電位)を発生させれば、被処理体上に保護膜として極めて良好な膜が形成されることを見いだし、本発明に至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、非磁性支持体上に強磁性金属薄膜を有し、この強磁性金属薄膜の上に保護層を有する磁気記録媒体において、
前記強磁性金属薄膜は、コバルト(Co)またはコバルト(Co)を主成分とする材料により形成されており、
前記保護層は、対向して配置された冷却ロール電極と部分円筒面状電極を備える真空成膜装置を用い、前記部分円筒面状電極に10kHz〜450kHzの周波数を印加すると同時に、被処理体が接する冷却ロール電極に、1MHz〜27MHzの周波数を印加して形成された屈折率2.0〜2.25、水に対する接触角50度以上80度未満の物性を備えるダイヤモンド状硬質炭素膜であるように構成される。
【0009】
また、本発明のより好ましい態様として、保護層の上にはさらに潤滑層が形成され、当該潤滑層は、フッ素系潤滑剤を主成分として含有するように構成される。
【0010】
また、本発明のより好ましい態様として、前記保護層形成における10kHz〜450kHzの周波数の出力は、1〜4W/cm2 、1MHz〜27MHzの周波数の出力は、0.01〜1.00W/cm2 であるように構成される。
【0011】
また、本発明のより好ましい態様として、前記保護層は、原料ガスとして炭化水素ガスと、水素、Ne、He、Ar、酸素、窒素の中から選ばれた少なくとも1種の添加ガスとの混合物を用いて形成されるように構成される。
【0012】
【作用】
本発明によれば、部分円筒面状電極に印加される10kHz〜450kHzの周波数は、冷却ロール電極に印加される1MHz〜27MHzの周波数に比べ、周波数が低いので放電中のイオン移動度は大きく、高エネルギを保持しながら被処理物の表面に堆積するので、十分な硬度を有するダイヤモンド状硬質炭素が強磁性金属薄膜の上に成膜できる。特に、このように形成されたダイヤモンド状硬質炭素膜を備える磁気記録媒体は、電磁変換特性が優れることはもとより、強磁性金属薄膜の表面保護効果、すなわち耐久性や耐食性等の信頼性にも優れる。
【0013】
【実施例】
本発明の磁気記録媒体の好適な一実施例を図1に基づいて説明する。図1は本発明の磁気記録媒体の断面図である。この図によれば、本発明の磁気記録媒体1は、非磁性支持体10の上に強磁性金属薄膜13が形成され、さらにこの強磁性金属薄膜13の上には保護層17および潤滑層19が順次形成されている。
【0014】
非磁性支持体10は、可撓性を備えたテープ状、あるいはシート状の形態をなし、その材質は強磁性金属薄膜13の形成(例えば、真空蒸着)に耐え得るだけの耐熱性のあるものであればよい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォンなどが挙げられる。非磁性支持体10の厚さは、例えば、磁気記録媒体の録画時間および支持体の機械的強度との兼ね合いで選択されることもあり、通常、5〜20μm程度とされる。
【0015】
このような非磁性支持体10の上に形成される強磁性金属薄膜13は、コバルト(Co)またはコバルト(Co)を主成分とする材料からなり、蒸着法により形成される。このような強磁性金属薄膜13は、通常、非磁性支持体10の上に直接またはNiを蒸着した後に形成される。
【0016】
コバルト(Co)を主成分とする材料としてはコバルト合金が挙げられ、具体的には、Co−Ni、Co−Fe、Co−Ni−Cr、Co−Ni−B、Co−Cu、Co−Pt−Cr等が例示される。
【0017】
強磁性金属薄膜13を蒸着で形成する場合、Coの融点に近い金属を用いるときは、同一のルツボを用いて蒸着する、いわゆる一元蒸着を行い、融点が異なるものでは複数のルツボを用いる、いわゆる多元蒸着を行うことが好ましい。
【0018】
蒸着工程としては、蒸着チャンバー内を、例えば、10-6Torr程度まで排気した後、電子銃にて蒸着させるべく金属の溶解を行い、金属全体が溶解した時点で蒸着を開始する。さらに、蒸着によって形成される強磁性金属薄膜13の磁気特性を制御するために、通常、酸素、オゾン、亜酸化窒素等の酸化性ガスを導入しながら成膜する。
【0019】
このような強磁性金属薄膜13は、その膜中の厚さ方向に所定の酸素濃度分布を備えており、かかる酸素濃度分布は、基本的には成膜時に導入される酸素(O2 )等の酸化性ガスの量(分圧)等を調節することによって、任意に設定できるものである。
【0020】
このように形成される強磁性金属薄膜13の厚さは、1000〜3000Å程度とされる。
【0021】
なお、本実施例では、説明を分かりやすくするために強磁性金属薄膜が1層となっている場合を例にとって説明してきたが、これに限定されることなく、2層あるいは3層以上の多層構造の場合にも好適に適用できることは勿論のことである。2層構造の場合においては、例えば、最上層の強磁性金属薄膜の厚さが、500〜1500Å程度、この下に位置する強磁性金属薄膜が、300〜2000Å程度とされる。
【0022】
このような強磁性金属薄膜13の上には、保護層17が形成されており、この保護層17は、炭化水素ガスと、これに加えられた添加ガスを原料とし、プラズマ重合法によって形成されたダイヤモンド状硬質炭素膜である。
【0023】
本発明の保護層17(ダイヤモンド状硬質炭素膜)は、屈折率2.00〜2.25の物性を備えている。この値が2.00未満となると、保護膜としてあるべき耐久性が不十分になるという不都合が生じる。また、この値が2.25を超えると、この保護膜に接触する磁気ヘッドの摩耗が大きくなり、テープに傷が入りダメージを与えるという悪影響が生じてくる。
【0024】
さらに、本発明で用いられる保護層17は、水に対する接触角が50度以上80度未満、好ましくは、65〜75度の物性を備えている。この値が80度以上となったり、50度未満となったりすると、媒体の耐久性が低下するという不都合が生じる。
【0025】
本発明で用いられる保護層17(ダイヤモンド状硬質炭素膜)の形成方法の一例を以下に説明する。図2には真空成膜装置の概略正面図が示される。この装置において、繰出ロール51には、予め非磁性支持体10上に強磁性金属薄膜13が設けられた積層体原反70が巻かれている。そして、図2に示されるように繰出ロール51から繰り出された被処理体である積層体原反70は、ガイドロール52を介して回転する冷却ロール55に沿って移動し、さらに、ガイドロール56を介して巻取ロール58へと巻き取られるようになっている。この場合、冷却ロール55は、非磁性支持体10の裏面側(強磁性金属薄膜13が形成されていない側)と接している。冷却ロール55は、被処理体である積層体原反70を冷却する機能を備えている。
【0026】
また、真空槽37内は、保護層形成のためにのみ必要なスペースを確保するために例えば仕切り板38、38によって上下に仕切られており、さらに放電を発生させるための例えば湾曲板状の電極39が前記冷却ロール55の回り(図においては下方)に配設されている。本願における部分円筒面状電極とは、冷却ロール55電極の周辺を中心角45°以上270°以下の範囲を放電電極で覆うことが可能な円弧状の電極をいい、湾曲板状の電極39は、部分円筒面状の電極の一例を示したものである。部分円筒面状の電極のその他の形態としては、複数の棒状の電極を冷却ロール55に沿って配置したものや、細孔を備える湾曲板状の電極、メッシュ板を湾曲状にしたもの等が挙げられる。
【0027】
このような真空成膜装置において、冷却ロール55は、もう一方の電極を構成しており、この冷却ロール55と湾曲板状の電極39とで一対の対向電極(冷却ロール電極と部分円筒面状の電極)が構成されている。ここでは、説明を簡単にするために、部分円筒面状の電極である湾曲板状の電極39を『放電電極側』、他方の積層体原反70が接する冷却ロール55の電極を『被処理側』と便宜上、称する。
【0028】
そして、後述する原料ガス等を真空槽37内に導入しつつ、『放電電極側』である湾曲板状の電極39に、10kHz〜450kHz、より好ましくは、50kHz〜200kHzの周波数を印加すると同時に、『被処理側』である冷却ロール55(電極)に、1MHz〜27MHz、より好ましくは、1〜14MHzの周波数を印加することにより、屈折率2.0〜2.25、接触角50度以上80度未満の物性を備えるダイヤモンド状硬質炭素膜が形成される。『放電電極側』の電極39側に印加される周波数が10kHz未満となると、長時間の運転が困難になり、逆に周波数が450kHzを超えると、膜が緻密にならない。また、『放電電極側』に用いる電極の単位面積あたりの出力(パワー)(以下、単に『出力』という)の範囲は、1〜4W/cm2 、より好ましくは、2〜4W/cm2 とされる。この値が、4W/cm2 を超えると、テープが熱負けを起こし、ヘッドとの接触不良となり画面上で再生できないという不都合が生じる。また、この値が1W/cm2 未満となると、媒体の耐久性やスチル特性が十分とならないという不都合が生じる。
【0029】
一方、『被処理側』の冷却ロール55に印加される周波数が1MHz未満となると、絶縁物を介して、シースの発生が難しくなり、十分にイオンが引きつけられなくなり、膜質が低下し本発明の効果が不十分となる。逆に、周波数が27MHzを超えると、シースの発生が弱くなり、形成された膜の耐久性やスチル特性が不十分となるという不都合が生じる。
【0030】
また、『被処理側』で用いる出力(パワー)の範囲は、0.01〜1.00W/cm2 とされる。この値が、1.00W/cm2 を超えると、異常放電の発生回数が増えて、テープに穴があくことがある。また、この値が0.01W/cm2 未満となると膜の屈折率が向上しないために、良好な膜質のものが得られないという不都合が生じてしまう。
【0031】
このようなダイヤモンド状硬質炭素膜からなる保護層17の形成は、真空槽37内で有機化合物、例えば炭化水素系化合物のモノマーガスを所定の周波数を用いてプラズマ化させ、連続搬送される強磁性金属薄膜13の表面に形成させることによって行われる。通常は、積層体原反70を搬送させる真空槽内を10-5Torr以上に排気した後、原料ガスと添加ガスを所定量導入する。この所定量は、反応圧力が1〜10-2Torrとなるように設定することが一般的であるが、この所定量は真空槽(チャンバ)の大きさにも依存する。
【0032】
本発明では、モノマーガスと添加ガスを含む原料ガスを用いて保護層17(ダイヤモンド状硬質炭素膜)を形成する。
【0033】
モノマーガスとしては、例えば炭化水素ガスが用いられ、より具体的にはメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、エチレン、プロピレン、アセチレン、メチルアセチレン、トルエン等を単独または混合して用いる。用いる添加ガスとしては、水素、Ne、He、Ar、酸素、窒素などが挙げられる。このような添加ガスは、炭化水素ガスに対して、添加ガス/炭化水素(流量比)で0.01〜1.0、より好ましくは0.05〜0.1程度とされる。添加ガス量が多くなり過ぎると、成膜レートが低下してしまい、また、逆に少なくなり過ぎると緻密な膜が得られなくなってしまう。
【0034】
保護層17(ダイヤモンド状硬質炭素膜)形成のための放電電源は、前述した範囲内に設定される。
【0035】
このようにして形成される保護層17(ダイヤモンド状硬質炭素膜)の厚さは、30〜100Å程度とされるが、いわゆるスペーシングロスを少なくするために、本来の保護膜機能を有する範囲でできるだけ薄くすることが望まれている。このような観点から本発明の保護層を評価するに、従来、80〜100Å程度必要とされていた膜厚が、30〜50Åでも保護層として十分な機能を備えることが判明した。つまり、良質な保護膜が形成できるために保護層17の薄膜化が可能になり、スペーシングロスの軽減が図れるようになる。このような現象を考察するに、本発明においては、10kHz〜450kHzの周波数を『放電電極側』に印加すると同時に、1MHz〜27MHzの周波数を『被処理側』に印加しているので、絶縁物を介してシースがきちんと発生するために、安定領域での成膜が成膜初期から行われ、通常、成膜初期に見られる不安定領域での成膜がほとんどないためではないかと思われる。ちなみに、従来行なわれていたように例えば13.56MHzの周波数を『被処理側』に印加するのみでは、不安定領域から安定領域でに至るまでの成膜時間がかなり必要になることが判明している。
【0036】
本発明においては、このような保護層17の上に、潤滑層19が形成される。この場合には耐久特性がさらに向上する。潤滑層19に含有される潤滑剤としては、フッ素系潤滑剤を主成分として用いるのが良く、中でも特に、末端に水酸基、カルボキシル基、エステル基またはエーテル基を有し、主鎖がパーフロロポリエーテルまたはその変性体であるものや、パーフロロカルボン酸系もしくはその変性体またはこれらのエステルであるものが好適である。具体的商品名を挙げると、FOMBURIN Z-DIAC, FOMBURIN Z-DOL, FOMBURIN Z-DOL-TX, FOMBURIN AM2001など(以上、モンテカッチーニ社製);Krytox 143AZ, Krytox143AA, Krytox143AYなど(以上、デュポン社製);構造式CF3-(CF2 )n −COOHで表示されるもの(ここで、n=6〜10);Z DIACの片末端品などを例示することができる。潤滑剤は2種以上を混合してもよい。
【0037】
潤滑層19の形成方法としては、上記フッ素系潤滑剤をフレオン等の周知の溶剤に溶かして塗布乾燥させることが好ましい。塗布方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法、グラビア法、リバース法、ダイノズル法、キスコート等公知の種々の方法が採用できる。潤滑層19の厚さは、10〜50Å程度とされる。
【0038】
また、非磁性支持体10の裏面(強磁性金属薄膜形成面と反対の面)にいわゆる公知の種々のバックコート層を設けてもよいし、非磁性支持体10と強磁性金属薄膜13との間に種々の中間層を設けてもよい。
【0039】
また、必要に応じて強磁性金属薄膜13を成膜した後、当該膜13の表面を前処理してもよい。前処理としてはプラズマ処理を行うのがよい。圧力は、10-1〜10-3Torrとし、周波数は10kHz〜200kHz範囲内から選択される。処理時間は実験的に求められ、処理ガスは水素、Ar、He、窒素、酸素の中から適宜選択して用いればよい。
【0040】
なお、前記保護層17の形成に際しては、その説明を簡潔かつ分かりやすくするために、非磁性支持体10上に強磁性金属薄膜13が設けられた積層体原反70が繰出ロール51に予め巻かれているケースを例にとって説明したが、これに限定されることなく、例えば、特開平4−95220号公報に記載されているように、非磁性支持体10のみを繰出ロールに設置し、同一真空槽内で、強磁性金属薄膜13および保護層17の形成を順次形成させる方式においても、本発明の磁気記録媒体が製造できるのは勿論のことである。
【0041】
以下、本発明に関する具体的実験例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。(実施例サンプル1の作製)
まず、最初に、10-6Torrまで排気した真空槽内において、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレート(PET)の非磁性支持体を連続搬送させつつこの上に、2層構成からなるCo−Niの強磁性金属薄膜を形成させた。すなわち、Co−Ni(Co:Ni=90:10(atm 比))の合金を蒸着源として用いて入射角30°で斜め蒸着を行い(酸素分圧10-4Torr)、厚さ1000ÅのCo−Ni強磁性金属薄膜13を形成した。ついで、同様な円筒キャンを用い、Co−Ni(Co:Ni=90:10(atm 比))の合金を蒸着源として用いて入射角30°で斜め蒸着を行い(酸素分圧10-4Torr)、厚さ1000ÅのCo−Ni強磁性金属薄膜を積層形成した(積層体原反70の形成)。
【0042】
次いで、図2に示される装置を用いて、上記強磁性金属薄膜の上に保護層を形成した。
【0043】
すなわち、プラズマ原料ガス導入口から炭化水素としてメタンガスを20SCCM、Arガスを10SCCM、それぞれ導入しつつ、0.05Torrの圧力下でプラズマを発生させて、保護膜を形成した。
【0044】
この場合、『放電電極側』に印加した周波数は10kHz、出力(パワー)は2W/cm2 とし、『被処理側』に印加した周波数は13.56MHz、出力(パワー)は、0.05W/cm2 とした。
【0045】
また、プラズマ雰囲気中に強磁性金属薄膜をさらす、いわゆるプラズマ通過時間は10secとした。このようにプラズマ重合膜を形成した後、下記表5中、符号Aで特定される潤滑剤を厚さ15Åに塗設し、乾燥させた後、8mm幅にスリットして実施例サンプル1を作製した。
【0046】
(実施例サンプル2〜6、および比較例サンプル1〜4の作製)
上記実施例サンプル1において、『放電電極側』に印加した周波数を、50kHz(実施例サンプル2)、100kHz(実施例サンプル3)、200kHz(実施例サンプル4)、300kHz(実施例サンプル5)、400kHz(実施例サンプル6)、1kHz(比較例サンプル1)、500kHz(比較例サンプル2)、1MHz(比較例サンプル3)、13.56MHz(比較例サンプル4)に、それぞれ変えた。
【0047】
それ以外は、上記実施例サンプル1と同様にして、実施例サンプル2〜6、および比較例サンプル1〜4を作製した。
【0048】
(実施例サンプル7〜9、および比較例サンプル5,6の作製)
上記実施例サンプル3において、『被処理側』に印加した周波数を、1MHz(実施例サンプル7)、20MHz(実施例サンプル8)、27MHz(実施例サンプル9)、100kHz(比較例サンプル5)、500kHz(比較例サンプル6)、にそれぞれ変えた。
【0049】
それ以外は、上記実施例サンプル3と同様にして、実施例サンプル7〜9、および比較例サンプル5,6を作製した。
【0050】
(実施例サンプル10〜13、および比較例サンプル7,8の作製)
上記実施例サンプル3において、プラズマ雰囲気中に強磁性金属薄膜をさらす、いわゆるプラズマ通過時間を変えることによって保護層の厚さを、30Å(実施例サンプル10)、40Å(実施例サンプル11)、80Å(実施例サンプル12)、100Å(実施例サンプル13)、10Å(比較例サンプル7)、20Å(比較例サンプル8)にそれぞれ変えた。
【0051】
それ以外は、上記実施例サンプル3と同様にして、実施例サンプル10〜13、および比較例サンプル7,8を作製した。
【0052】
(実施例サンプル14〜16、および比較例サンプル9,10の作製)
上記実施例サンプル3において、『放電電極側』に印加したパワー(出力)を、1.0W/cm2 (実施例サンプル14)、3.0W/cm2 (実施例サンプル15)、4.0W/cm2 (実施例サンプル16)、0.5W/cm2 (比較例サンプル9)、5.0W/cm2 (比較例サンプル10)に、それぞれ変えた。
【0053】
それ以外は、上記実施例サンプル3と同様にして、実施例サンプル14〜16、および比較例サンプル9,10を作製した。
【0054】
(実施例サンプル17〜21、および比較例サンプル11〜14の作製)
上記実施例サンプル3において、『被処理側』に印加したパワー(出力)を、0.01W/cm2 (実施例サンプル17)、0.025W/cm2 (実施例サンプル18)、0.1W/cm2 (実施例サンプル19)、0.5W/cm2 (実施例サンプル20)、1.0W/cm2 (実施例サンプル21)、0.001W/cm2 (比較例サンプル11)、0.005W/cm2 (比較例サンプル12)、1.2W/cm2 (比較例サンプル13)、1.5W/cm2 (比較例サンプル14)に、それぞれ変えた。
【0055】
それ以外は、上記実施例サンプル3と同様にして、実施例サンプル17〜21、および比較例サンプル11〜14を作製した。
【0056】
(実施例サンプル22〜24の作製)
上記実施例サンプル3において、潤滑層の潤滑剤を下記表5中、B(実施例サンプル22),C(実施例サンプル23),D(実施例サンプル24)で特定されるものに変えた。
【0057】
それ以外は、上記実施例サンプル3と同様にして、実施例サンプル22〜24を作製した。
【0058】
(比較例サンプル15の作製)
上記実施例サンプル1において、保護層を形成しなかった。それ以外は、上記実施例サンプル1と同様にして、比較例サンプル15を作製した。
【0059】
(比較例サンプル16の作製)
上記実施例サンプル1において、『放電電極側』に周波数を印加しなかった。それ以外は、上記実施例サンプル1と同様にして、比較例サンプル16を作製した。
【0060】
(比較例サンプル17の作製)
上記実施例サンプル3において、『被処理側』に周波数を印加しなかった。それ以外は、上記実施例サンプル3と同様にして、比較例サンプル17を作製した。
【0061】
このように作製した上記実施例サンプル1〜24、比較例サンプル1〜17に関する保護層の厚さおよび物性等については下記に示すような測定方法で求めた。
【0062】
保護層の厚さ
サンプル作製と同一条件でSiウエハ上に保護層を成膜させて、エリプソメーター((株)溝尻光学工業所)にて測定した。
【0063】
保護層の物性
(屈折率)
予備実験として、Si−ウエーハをテープ上に貼り付け、サンプル作製と同一条件にて成膜し、エリプソメーターにて測定した。
【0064】
(接触角)
8mm幅のテープサンプルを接触角測定機(協和界面科学社製接触角測定装置)を用いて水に対する接触角を測定した。
【0065】
これらの物性の測定結果を下記表1および表2示した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
このような物性をもつ上記実施例サンプル1〜24、比較例サンプル1〜17について、磁気記録媒体としての下記に示すような評価を行った。
【0068】
耐久摩擦
摩擦試験機を用い、抱き角90°において、200pass目の摩擦係数を測定した。ピンは3mmΦで表面性0.2SのSUS304を使用した。
【0069】
スチル
ソニー社製S1500デッキにて7MHzの信号を記録して、スチルモードにて、出力が初期より1dB落ちるまでの時間を測定した。なお、測定は、5℃50%RH、20℃60%RHおよび40℃80%RHの3つの環境下で、それぞれ、行った。
【0070】
ΔBm
60℃、90%RH環境下に1週間保存する前および保存した後の飽和磁束密度の変化量を、それぞれ測定した。
【0071】
ΔBm(%)=(Bb−Ba)/Bb × 100
Bbは保存前の飽和磁束密度、Baは保存後の飽和磁束密度を表す。
【0072】
走行耐久性
ソニー(株)製S1500デッキにて、7MHzの信号を20℃60%RHの環境下で120分記録して、その出力が繰り返し再生によって−3dBになるまでの走行パス回数を調べた。
【0073】
なお、測定は、0℃、20℃60%RHおよび40℃80%RHの3つの環境下で、それぞれ行った。
【0074】
これらの結果を下記表3および表4に示した。
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
また、実験で用いた潤滑剤の詳細を表5に示した。
【0077】
【表5】
【0078】
【発明の効果】
上記の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は非磁性支持体上に強磁性金属薄膜を有し、この強磁性金属薄膜の上に保護層を有する磁気記録媒体において、前記強磁性金属薄膜は、コバルト(Co)またはコバルト(Co)を主成分とする材料により形成されており、前記保護層は、対向して配置された冷却ロール電極と部分円筒面状電極を備える真空成膜装置を用い、前記部分円筒面状電極に10kHz〜450kHzの周波数を印加すると同時に、被処理体が接する冷却ロール電極に、1MHz〜27MHzの周波数を印加して形成された屈折率2.0〜2.25、水に対する接触角50度以上80度未満の物性を備えるダイヤモンド状硬質炭素膜を備えているので、電磁変換特性が優れることはもとより、表面保護効果、すなわち耐久性や耐食性等の信頼性にも優れるという効果を奏する。また、従来、80〜100Å程度必要とされていた膜厚が、30〜50Åでも保護層として十分な機能を備えることが判明した。つまり、良質な保護膜が形成できるために保護層の薄膜化が可能になり、スペーシングロスの軽減が図れるようになり、電磁変換特性上も極めて有利になるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の断面図である。
【図2】保護層形成装置の概略正面図である。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体
10…非磁性支持体
13…強磁性金属薄膜
17…保護層
19…潤滑層
【産業上の利用分野】
本発明は、いわゆる磁性層を蒸着法で形成した磁性磁気記録媒体に関し、特に、磁性層表面の保護効果に優れる保護層を備える蒸着型ビデオテープとしての磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
蒸着型のビデオテープ(磁気記録媒体)は、いわゆる磁性塗料を用いて作成する塗布型の媒体とは異なり、磁性材料の充填密度が高いために高記録密度に適している。そのため電磁変換特性上非常に有利であり、現在すでに実用化されるに至っている。しかしながら、蒸着型のビデオテープは、支持体の上に磁性金属を蒸着して成膜する構造をとっているために、耐久性や耐食性等が不十分であり信頼性にやや難点があり、この問題を解決するために種々の提案がなされている。
【0003】
すなわち、特公平4−27691号公報には、ダイヤモンド構造を有する炭素被膜の作製方法が提案されており、また、特公平5−33456号公報には、硬質カーボン層を保護層として用いる旨の提案がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公平4−27691号公報に開示の技術は、膜形成のために1GHz以上の周波数のエネルギーを用いる必要がある。そのため、樹脂を支持体とする蒸着型ビデオテープでは熱負けが発生し、磁性膜上に炭素被膜を形成することができず、開示されている技術そのものの応用ができない。
【0005】
また、特公平5−33456号公報に開示の技術において、基板を取り付けた側の電極(被処理体側)に13.56MHzの高周波を印加するのみでは、基板に堆積すべきイオンの移動度が小さいために基板への衝突エネルギーが低く、蒸着型のテープ用の保護膜としては要求を満たすに十分なものとは言えない。
【0006】
本発明はこのような実状のもとに創案されたものであって、その目的は電磁変換特性が優れることはもとより、表面保護効果、すなわち耐久性や耐食性等の信頼性にも優れる磁気記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を解決するために、本出願に係る発明者らが鋭意研究した結果、対向して配置された冷却ロール電極と部分円筒面状電極を備える真空成膜装置を用い、前記部分円筒面状電極に10kHz〜450kHzの周波数を印加して放電を発生させる一方で、被処理体が接する冷却ロール電極に、1MHz〜27MHzの周波数を印加しシース(セルフバイアスによる負電位)を発生させれば、被処理体上に保護膜として極めて良好な膜が形成されることを見いだし、本発明に至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、非磁性支持体上に強磁性金属薄膜を有し、この強磁性金属薄膜の上に保護層を有する磁気記録媒体において、
前記強磁性金属薄膜は、コバルト(Co)またはコバルト(Co)を主成分とする材料により形成されており、
前記保護層は、対向して配置された冷却ロール電極と部分円筒面状電極を備える真空成膜装置を用い、前記部分円筒面状電極に10kHz〜450kHzの周波数を印加すると同時に、被処理体が接する冷却ロール電極に、1MHz〜27MHzの周波数を印加して形成された屈折率2.0〜2.25、水に対する接触角50度以上80度未満の物性を備えるダイヤモンド状硬質炭素膜であるように構成される。
【0009】
また、本発明のより好ましい態様として、保護層の上にはさらに潤滑層が形成され、当該潤滑層は、フッ素系潤滑剤を主成分として含有するように構成される。
【0010】
また、本発明のより好ましい態様として、前記保護層形成における10kHz〜450kHzの周波数の出力は、1〜4W/cm2 、1MHz〜27MHzの周波数の出力は、0.01〜1.00W/cm2 であるように構成される。
【0011】
また、本発明のより好ましい態様として、前記保護層は、原料ガスとして炭化水素ガスと、水素、Ne、He、Ar、酸素、窒素の中から選ばれた少なくとも1種の添加ガスとの混合物を用いて形成されるように構成される。
【0012】
【作用】
本発明によれば、部分円筒面状電極に印加される10kHz〜450kHzの周波数は、冷却ロール電極に印加される1MHz〜27MHzの周波数に比べ、周波数が低いので放電中のイオン移動度は大きく、高エネルギを保持しながら被処理物の表面に堆積するので、十分な硬度を有するダイヤモンド状硬質炭素が強磁性金属薄膜の上に成膜できる。特に、このように形成されたダイヤモンド状硬質炭素膜を備える磁気記録媒体は、電磁変換特性が優れることはもとより、強磁性金属薄膜の表面保護効果、すなわち耐久性や耐食性等の信頼性にも優れる。
【0013】
【実施例】
本発明の磁気記録媒体の好適な一実施例を図1に基づいて説明する。図1は本発明の磁気記録媒体の断面図である。この図によれば、本発明の磁気記録媒体1は、非磁性支持体10の上に強磁性金属薄膜13が形成され、さらにこの強磁性金属薄膜13の上には保護層17および潤滑層19が順次形成されている。
【0014】
非磁性支持体10は、可撓性を備えたテープ状、あるいはシート状の形態をなし、その材質は強磁性金属薄膜13の形成(例えば、真空蒸着)に耐え得るだけの耐熱性のあるものであればよい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォンなどが挙げられる。非磁性支持体10の厚さは、例えば、磁気記録媒体の録画時間および支持体の機械的強度との兼ね合いで選択されることもあり、通常、5〜20μm程度とされる。
【0015】
このような非磁性支持体10の上に形成される強磁性金属薄膜13は、コバルト(Co)またはコバルト(Co)を主成分とする材料からなり、蒸着法により形成される。このような強磁性金属薄膜13は、通常、非磁性支持体10の上に直接またはNiを蒸着した後に形成される。
【0016】
コバルト(Co)を主成分とする材料としてはコバルト合金が挙げられ、具体的には、Co−Ni、Co−Fe、Co−Ni−Cr、Co−Ni−B、Co−Cu、Co−Pt−Cr等が例示される。
【0017】
強磁性金属薄膜13を蒸着で形成する場合、Coの融点に近い金属を用いるときは、同一のルツボを用いて蒸着する、いわゆる一元蒸着を行い、融点が異なるものでは複数のルツボを用いる、いわゆる多元蒸着を行うことが好ましい。
【0018】
蒸着工程としては、蒸着チャンバー内を、例えば、10-6Torr程度まで排気した後、電子銃にて蒸着させるべく金属の溶解を行い、金属全体が溶解した時点で蒸着を開始する。さらに、蒸着によって形成される強磁性金属薄膜13の磁気特性を制御するために、通常、酸素、オゾン、亜酸化窒素等の酸化性ガスを導入しながら成膜する。
【0019】
このような強磁性金属薄膜13は、その膜中の厚さ方向に所定の酸素濃度分布を備えており、かかる酸素濃度分布は、基本的には成膜時に導入される酸素(O2 )等の酸化性ガスの量(分圧)等を調節することによって、任意に設定できるものである。
【0020】
このように形成される強磁性金属薄膜13の厚さは、1000〜3000Å程度とされる。
【0021】
なお、本実施例では、説明を分かりやすくするために強磁性金属薄膜が1層となっている場合を例にとって説明してきたが、これに限定されることなく、2層あるいは3層以上の多層構造の場合にも好適に適用できることは勿論のことである。2層構造の場合においては、例えば、最上層の強磁性金属薄膜の厚さが、500〜1500Å程度、この下に位置する強磁性金属薄膜が、300〜2000Å程度とされる。
【0022】
このような強磁性金属薄膜13の上には、保護層17が形成されており、この保護層17は、炭化水素ガスと、これに加えられた添加ガスを原料とし、プラズマ重合法によって形成されたダイヤモンド状硬質炭素膜である。
【0023】
本発明の保護層17(ダイヤモンド状硬質炭素膜)は、屈折率2.00〜2.25の物性を備えている。この値が2.00未満となると、保護膜としてあるべき耐久性が不十分になるという不都合が生じる。また、この値が2.25を超えると、この保護膜に接触する磁気ヘッドの摩耗が大きくなり、テープに傷が入りダメージを与えるという悪影響が生じてくる。
【0024】
さらに、本発明で用いられる保護層17は、水に対する接触角が50度以上80度未満、好ましくは、65〜75度の物性を備えている。この値が80度以上となったり、50度未満となったりすると、媒体の耐久性が低下するという不都合が生じる。
【0025】
本発明で用いられる保護層17(ダイヤモンド状硬質炭素膜)の形成方法の一例を以下に説明する。図2には真空成膜装置の概略正面図が示される。この装置において、繰出ロール51には、予め非磁性支持体10上に強磁性金属薄膜13が設けられた積層体原反70が巻かれている。そして、図2に示されるように繰出ロール51から繰り出された被処理体である積層体原反70は、ガイドロール52を介して回転する冷却ロール55に沿って移動し、さらに、ガイドロール56を介して巻取ロール58へと巻き取られるようになっている。この場合、冷却ロール55は、非磁性支持体10の裏面側(強磁性金属薄膜13が形成されていない側)と接している。冷却ロール55は、被処理体である積層体原反70を冷却する機能を備えている。
【0026】
また、真空槽37内は、保護層形成のためにのみ必要なスペースを確保するために例えば仕切り板38、38によって上下に仕切られており、さらに放電を発生させるための例えば湾曲板状の電極39が前記冷却ロール55の回り(図においては下方)に配設されている。本願における部分円筒面状電極とは、冷却ロール55電極の周辺を中心角45°以上270°以下の範囲を放電電極で覆うことが可能な円弧状の電極をいい、湾曲板状の電極39は、部分円筒面状の電極の一例を示したものである。部分円筒面状の電極のその他の形態としては、複数の棒状の電極を冷却ロール55に沿って配置したものや、細孔を備える湾曲板状の電極、メッシュ板を湾曲状にしたもの等が挙げられる。
【0027】
このような真空成膜装置において、冷却ロール55は、もう一方の電極を構成しており、この冷却ロール55と湾曲板状の電極39とで一対の対向電極(冷却ロール電極と部分円筒面状の電極)が構成されている。ここでは、説明を簡単にするために、部分円筒面状の電極である湾曲板状の電極39を『放電電極側』、他方の積層体原反70が接する冷却ロール55の電極を『被処理側』と便宜上、称する。
【0028】
そして、後述する原料ガス等を真空槽37内に導入しつつ、『放電電極側』である湾曲板状の電極39に、10kHz〜450kHz、より好ましくは、50kHz〜200kHzの周波数を印加すると同時に、『被処理側』である冷却ロール55(電極)に、1MHz〜27MHz、より好ましくは、1〜14MHzの周波数を印加することにより、屈折率2.0〜2.25、接触角50度以上80度未満の物性を備えるダイヤモンド状硬質炭素膜が形成される。『放電電極側』の電極39側に印加される周波数が10kHz未満となると、長時間の運転が困難になり、逆に周波数が450kHzを超えると、膜が緻密にならない。また、『放電電極側』に用いる電極の単位面積あたりの出力(パワー)(以下、単に『出力』という)の範囲は、1〜4W/cm2 、より好ましくは、2〜4W/cm2 とされる。この値が、4W/cm2 を超えると、テープが熱負けを起こし、ヘッドとの接触不良となり画面上で再生できないという不都合が生じる。また、この値が1W/cm2 未満となると、媒体の耐久性やスチル特性が十分とならないという不都合が生じる。
【0029】
一方、『被処理側』の冷却ロール55に印加される周波数が1MHz未満となると、絶縁物を介して、シースの発生が難しくなり、十分にイオンが引きつけられなくなり、膜質が低下し本発明の効果が不十分となる。逆に、周波数が27MHzを超えると、シースの発生が弱くなり、形成された膜の耐久性やスチル特性が不十分となるという不都合が生じる。
【0030】
また、『被処理側』で用いる出力(パワー)の範囲は、0.01〜1.00W/cm2 とされる。この値が、1.00W/cm2 を超えると、異常放電の発生回数が増えて、テープに穴があくことがある。また、この値が0.01W/cm2 未満となると膜の屈折率が向上しないために、良好な膜質のものが得られないという不都合が生じてしまう。
【0031】
このようなダイヤモンド状硬質炭素膜からなる保護層17の形成は、真空槽37内で有機化合物、例えば炭化水素系化合物のモノマーガスを所定の周波数を用いてプラズマ化させ、連続搬送される強磁性金属薄膜13の表面に形成させることによって行われる。通常は、積層体原反70を搬送させる真空槽内を10-5Torr以上に排気した後、原料ガスと添加ガスを所定量導入する。この所定量は、反応圧力が1〜10-2Torrとなるように設定することが一般的であるが、この所定量は真空槽(チャンバ)の大きさにも依存する。
【0032】
本発明では、モノマーガスと添加ガスを含む原料ガスを用いて保護層17(ダイヤモンド状硬質炭素膜)を形成する。
【0033】
モノマーガスとしては、例えば炭化水素ガスが用いられ、より具体的にはメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、エチレン、プロピレン、アセチレン、メチルアセチレン、トルエン等を単独または混合して用いる。用いる添加ガスとしては、水素、Ne、He、Ar、酸素、窒素などが挙げられる。このような添加ガスは、炭化水素ガスに対して、添加ガス/炭化水素(流量比)で0.01〜1.0、より好ましくは0.05〜0.1程度とされる。添加ガス量が多くなり過ぎると、成膜レートが低下してしまい、また、逆に少なくなり過ぎると緻密な膜が得られなくなってしまう。
【0034】
保護層17(ダイヤモンド状硬質炭素膜)形成のための放電電源は、前述した範囲内に設定される。
【0035】
このようにして形成される保護層17(ダイヤモンド状硬質炭素膜)の厚さは、30〜100Å程度とされるが、いわゆるスペーシングロスを少なくするために、本来の保護膜機能を有する範囲でできるだけ薄くすることが望まれている。このような観点から本発明の保護層を評価するに、従来、80〜100Å程度必要とされていた膜厚が、30〜50Åでも保護層として十分な機能を備えることが判明した。つまり、良質な保護膜が形成できるために保護層17の薄膜化が可能になり、スペーシングロスの軽減が図れるようになる。このような現象を考察するに、本発明においては、10kHz〜450kHzの周波数を『放電電極側』に印加すると同時に、1MHz〜27MHzの周波数を『被処理側』に印加しているので、絶縁物を介してシースがきちんと発生するために、安定領域での成膜が成膜初期から行われ、通常、成膜初期に見られる不安定領域での成膜がほとんどないためではないかと思われる。ちなみに、従来行なわれていたように例えば13.56MHzの周波数を『被処理側』に印加するのみでは、不安定領域から安定領域でに至るまでの成膜時間がかなり必要になることが判明している。
【0036】
本発明においては、このような保護層17の上に、潤滑層19が形成される。この場合には耐久特性がさらに向上する。潤滑層19に含有される潤滑剤としては、フッ素系潤滑剤を主成分として用いるのが良く、中でも特に、末端に水酸基、カルボキシル基、エステル基またはエーテル基を有し、主鎖がパーフロロポリエーテルまたはその変性体であるものや、パーフロロカルボン酸系もしくはその変性体またはこれらのエステルであるものが好適である。具体的商品名を挙げると、FOMBURIN Z-DIAC, FOMBURIN Z-DOL, FOMBURIN Z-DOL-TX, FOMBURIN AM2001など(以上、モンテカッチーニ社製);Krytox 143AZ, Krytox143AA, Krytox143AYなど(以上、デュポン社製);構造式CF3-(CF2 )n −COOHで表示されるもの(ここで、n=6〜10);Z DIACの片末端品などを例示することができる。潤滑剤は2種以上を混合してもよい。
【0037】
潤滑層19の形成方法としては、上記フッ素系潤滑剤をフレオン等の周知の溶剤に溶かして塗布乾燥させることが好ましい。塗布方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法、グラビア法、リバース法、ダイノズル法、キスコート等公知の種々の方法が採用できる。潤滑層19の厚さは、10〜50Å程度とされる。
【0038】
また、非磁性支持体10の裏面(強磁性金属薄膜形成面と反対の面)にいわゆる公知の種々のバックコート層を設けてもよいし、非磁性支持体10と強磁性金属薄膜13との間に種々の中間層を設けてもよい。
【0039】
また、必要に応じて強磁性金属薄膜13を成膜した後、当該膜13の表面を前処理してもよい。前処理としてはプラズマ処理を行うのがよい。圧力は、10-1〜10-3Torrとし、周波数は10kHz〜200kHz範囲内から選択される。処理時間は実験的に求められ、処理ガスは水素、Ar、He、窒素、酸素の中から適宜選択して用いればよい。
【0040】
なお、前記保護層17の形成に際しては、その説明を簡潔かつ分かりやすくするために、非磁性支持体10上に強磁性金属薄膜13が設けられた積層体原反70が繰出ロール51に予め巻かれているケースを例にとって説明したが、これに限定されることなく、例えば、特開平4−95220号公報に記載されているように、非磁性支持体10のみを繰出ロールに設置し、同一真空槽内で、強磁性金属薄膜13および保護層17の形成を順次形成させる方式においても、本発明の磁気記録媒体が製造できるのは勿論のことである。
【0041】
以下、本発明に関する具体的実験例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。(実施例サンプル1の作製)
まず、最初に、10-6Torrまで排気した真空槽内において、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレート(PET)の非磁性支持体を連続搬送させつつこの上に、2層構成からなるCo−Niの強磁性金属薄膜を形成させた。すなわち、Co−Ni(Co:Ni=90:10(atm 比))の合金を蒸着源として用いて入射角30°で斜め蒸着を行い(酸素分圧10-4Torr)、厚さ1000ÅのCo−Ni強磁性金属薄膜13を形成した。ついで、同様な円筒キャンを用い、Co−Ni(Co:Ni=90:10(atm 比))の合金を蒸着源として用いて入射角30°で斜め蒸着を行い(酸素分圧10-4Torr)、厚さ1000ÅのCo−Ni強磁性金属薄膜を積層形成した(積層体原反70の形成)。
【0042】
次いで、図2に示される装置を用いて、上記強磁性金属薄膜の上に保護層を形成した。
【0043】
すなわち、プラズマ原料ガス導入口から炭化水素としてメタンガスを20SCCM、Arガスを10SCCM、それぞれ導入しつつ、0.05Torrの圧力下でプラズマを発生させて、保護膜を形成した。
【0044】
この場合、『放電電極側』に印加した周波数は10kHz、出力(パワー)は2W/cm2 とし、『被処理側』に印加した周波数は13.56MHz、出力(パワー)は、0.05W/cm2 とした。
【0045】
また、プラズマ雰囲気中に強磁性金属薄膜をさらす、いわゆるプラズマ通過時間は10secとした。このようにプラズマ重合膜を形成した後、下記表5中、符号Aで特定される潤滑剤を厚さ15Åに塗設し、乾燥させた後、8mm幅にスリットして実施例サンプル1を作製した。
【0046】
(実施例サンプル2〜6、および比較例サンプル1〜4の作製)
上記実施例サンプル1において、『放電電極側』に印加した周波数を、50kHz(実施例サンプル2)、100kHz(実施例サンプル3)、200kHz(実施例サンプル4)、300kHz(実施例サンプル5)、400kHz(実施例サンプル6)、1kHz(比較例サンプル1)、500kHz(比較例サンプル2)、1MHz(比較例サンプル3)、13.56MHz(比較例サンプル4)に、それぞれ変えた。
【0047】
それ以外は、上記実施例サンプル1と同様にして、実施例サンプル2〜6、および比較例サンプル1〜4を作製した。
【0048】
(実施例サンプル7〜9、および比較例サンプル5,6の作製)
上記実施例サンプル3において、『被処理側』に印加した周波数を、1MHz(実施例サンプル7)、20MHz(実施例サンプル8)、27MHz(実施例サンプル9)、100kHz(比較例サンプル5)、500kHz(比較例サンプル6)、にそれぞれ変えた。
【0049】
それ以外は、上記実施例サンプル3と同様にして、実施例サンプル7〜9、および比較例サンプル5,6を作製した。
【0050】
(実施例サンプル10〜13、および比較例サンプル7,8の作製)
上記実施例サンプル3において、プラズマ雰囲気中に強磁性金属薄膜をさらす、いわゆるプラズマ通過時間を変えることによって保護層の厚さを、30Å(実施例サンプル10)、40Å(実施例サンプル11)、80Å(実施例サンプル12)、100Å(実施例サンプル13)、10Å(比較例サンプル7)、20Å(比較例サンプル8)にそれぞれ変えた。
【0051】
それ以外は、上記実施例サンプル3と同様にして、実施例サンプル10〜13、および比較例サンプル7,8を作製した。
【0052】
(実施例サンプル14〜16、および比較例サンプル9,10の作製)
上記実施例サンプル3において、『放電電極側』に印加したパワー(出力)を、1.0W/cm2 (実施例サンプル14)、3.0W/cm2 (実施例サンプル15)、4.0W/cm2 (実施例サンプル16)、0.5W/cm2 (比較例サンプル9)、5.0W/cm2 (比較例サンプル10)に、それぞれ変えた。
【0053】
それ以外は、上記実施例サンプル3と同様にして、実施例サンプル14〜16、および比較例サンプル9,10を作製した。
【0054】
(実施例サンプル17〜21、および比較例サンプル11〜14の作製)
上記実施例サンプル3において、『被処理側』に印加したパワー(出力)を、0.01W/cm2 (実施例サンプル17)、0.025W/cm2 (実施例サンプル18)、0.1W/cm2 (実施例サンプル19)、0.5W/cm2 (実施例サンプル20)、1.0W/cm2 (実施例サンプル21)、0.001W/cm2 (比較例サンプル11)、0.005W/cm2 (比較例サンプル12)、1.2W/cm2 (比較例サンプル13)、1.5W/cm2 (比較例サンプル14)に、それぞれ変えた。
【0055】
それ以外は、上記実施例サンプル3と同様にして、実施例サンプル17〜21、および比較例サンプル11〜14を作製した。
【0056】
(実施例サンプル22〜24の作製)
上記実施例サンプル3において、潤滑層の潤滑剤を下記表5中、B(実施例サンプル22),C(実施例サンプル23),D(実施例サンプル24)で特定されるものに変えた。
【0057】
それ以外は、上記実施例サンプル3と同様にして、実施例サンプル22〜24を作製した。
【0058】
(比較例サンプル15の作製)
上記実施例サンプル1において、保護層を形成しなかった。それ以外は、上記実施例サンプル1と同様にして、比較例サンプル15を作製した。
【0059】
(比較例サンプル16の作製)
上記実施例サンプル1において、『放電電極側』に周波数を印加しなかった。それ以外は、上記実施例サンプル1と同様にして、比較例サンプル16を作製した。
【0060】
(比較例サンプル17の作製)
上記実施例サンプル3において、『被処理側』に周波数を印加しなかった。それ以外は、上記実施例サンプル3と同様にして、比較例サンプル17を作製した。
【0061】
このように作製した上記実施例サンプル1〜24、比較例サンプル1〜17に関する保護層の厚さおよび物性等については下記に示すような測定方法で求めた。
【0062】
保護層の厚さ
サンプル作製と同一条件でSiウエハ上に保護層を成膜させて、エリプソメーター((株)溝尻光学工業所)にて測定した。
【0063】
保護層の物性
(屈折率)
予備実験として、Si−ウエーハをテープ上に貼り付け、サンプル作製と同一条件にて成膜し、エリプソメーターにて測定した。
【0064】
(接触角)
8mm幅のテープサンプルを接触角測定機(協和界面科学社製接触角測定装置)を用いて水に対する接触角を測定した。
【0065】
これらの物性の測定結果を下記表1および表2示した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
このような物性をもつ上記実施例サンプル1〜24、比較例サンプル1〜17について、磁気記録媒体としての下記に示すような評価を行った。
【0068】
耐久摩擦
摩擦試験機を用い、抱き角90°において、200pass目の摩擦係数を測定した。ピンは3mmΦで表面性0.2SのSUS304を使用した。
【0069】
スチル
ソニー社製S1500デッキにて7MHzの信号を記録して、スチルモードにて、出力が初期より1dB落ちるまでの時間を測定した。なお、測定は、5℃50%RH、20℃60%RHおよび40℃80%RHの3つの環境下で、それぞれ、行った。
【0070】
ΔBm
60℃、90%RH環境下に1週間保存する前および保存した後の飽和磁束密度の変化量を、それぞれ測定した。
【0071】
ΔBm(%)=(Bb−Ba)/Bb × 100
Bbは保存前の飽和磁束密度、Baは保存後の飽和磁束密度を表す。
【0072】
走行耐久性
ソニー(株)製S1500デッキにて、7MHzの信号を20℃60%RHの環境下で120分記録して、その出力が繰り返し再生によって−3dBになるまでの走行パス回数を調べた。
【0073】
なお、測定は、0℃、20℃60%RHおよび40℃80%RHの3つの環境下で、それぞれ行った。
【0074】
これらの結果を下記表3および表4に示した。
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
また、実験で用いた潤滑剤の詳細を表5に示した。
【0077】
【表5】
【0078】
【発明の効果】
上記の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は非磁性支持体上に強磁性金属薄膜を有し、この強磁性金属薄膜の上に保護層を有する磁気記録媒体において、前記強磁性金属薄膜は、コバルト(Co)またはコバルト(Co)を主成分とする材料により形成されており、前記保護層は、対向して配置された冷却ロール電極と部分円筒面状電極を備える真空成膜装置を用い、前記部分円筒面状電極に10kHz〜450kHzの周波数を印加すると同時に、被処理体が接する冷却ロール電極に、1MHz〜27MHzの周波数を印加して形成された屈折率2.0〜2.25、水に対する接触角50度以上80度未満の物性を備えるダイヤモンド状硬質炭素膜を備えているので、電磁変換特性が優れることはもとより、表面保護効果、すなわち耐久性や耐食性等の信頼性にも優れるという効果を奏する。また、従来、80〜100Å程度必要とされていた膜厚が、30〜50Åでも保護層として十分な機能を備えることが判明した。つまり、良質な保護膜が形成できるために保護層の薄膜化が可能になり、スペーシングロスの軽減が図れるようになり、電磁変換特性上も極めて有利になるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の断面図である。
【図2】保護層形成装置の概略正面図である。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体
10…非磁性支持体
13…強磁性金属薄膜
17…保護層
19…潤滑層
Claims (4)
- 可撓性を備えたテープ状あるいはシート状の形態をなす非磁性支持体上にコバルト(Co)またはコバルト(Co)を主成分とする強磁性金属薄膜を形成する強磁性金属薄膜形成工程と、この強磁性金属薄膜の上に屈折率2.0〜2.25、水に対する接触角50度以上80度未満の物性を備えるダイヤモンド状硬質炭素膜の保護層を形成する保護層形成工程と、を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
前記強磁性金属薄膜工程は、非磁性支持体を連続搬送させつつこの上に強磁性金属薄膜を形成させる工程であり、
前記保護層形成工程において形成される保護層は、対向して配置された冷却ロール電極と部分円筒面状電極を備える真空成膜装置を用い、当該真空成膜装置内に原料ガスとして炭化水素ガスと、水素、Ne、He、Ar、酸素、窒素の中から選ばれた少なくとも1種の添加ガスとの混合物を導入するとともに、炭化水素ガスをプラズマ化させ、冷却ロール電極に接して連続搬送される非磁性支持体の強磁性金属薄膜の表面に形成される膜厚30Å以上の保護膜であって、
前記部分円筒面状電極には、10kHz〜450kHzの周波数が印加されると同時に、被処理体が接する冷却ロール電極には、1MHz〜27MHzの周波数が印加されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記部分円筒面状電極には、50kHz〜200kHzの周波数が印加されると同時に、被処理体が接する冷却ロール電極には、1MHz〜14MHzの周波数が印加される請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記保護層形成における10kHz〜450kHzの周波数の出力は、1〜4W/cm2、1MHz〜27MHzの周波数の出力は、0.01〜1.00W/cm2である請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記保護層の上にはさらに潤滑層を形成する潤滑層形成工程が付加され、当該潤滑層は、フッ素系潤滑剤を主成分として含有する膜として構成される請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
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