JP2003346319A - 磁気記録媒体と磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体と磁気記録媒体の製造方法

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JP2003346319A JP2002153412A JP2002153412A JP2003346319A JP 2003346319 A JP2003346319 A JP 2003346319A JP 2002153412 A JP2002153412 A JP 2002153412A JP 2002153412 A JP2002153412 A JP 2002153412A JP 2003346319 A JP2003346319 A JP 2003346319A
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Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
Ichiro Kanekawa
一朗 金川
Tomoe Ozaki
知恵 尾崎
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 繰り返して摺動を行なった場合においても磁
性層と保護層との間の剥がれの発生を防止できる磁気記
録媒体とその製造法を提供する。 【解決手段】 非磁性支持体1上に、磁性層2と、カー
ボン保護層4とを有してなる金属薄膜型の磁気記録媒体
10において、磁性層2の表層の金属酸化層2aの膜厚
を5nm以下にする。磁性層の真空蒸着、金属酸化層の
イオンガンによるエッチング、CVDによるカーボン保
護膜形成を、外部空気から遮断した環境下で連続的に行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属薄膜型の磁性
層を有する磁気記録媒体およびその製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】従来、高密度磁気記録化に対応可能な磁
気記録媒体としては、Co−Ni系合金、Co−Cr系
合金、Co−O等の金属磁性材料を、メッキや真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真
空薄膜形成技術によって、ポリエステルフィルムやポリ
アミド、ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に、直
接被着した、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体が提案
されている。
【0003】このような金属薄膜型の磁気記録媒体は、
抗磁力や角形比等の磁気特性に優れ、また、磁性層を極
めて薄層に形成できることから、短波長領域での電磁変
換特性に優れ、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小
さく、更には塗布型の磁気記録媒体と異なり、磁性層中
に非磁性材料であるバインダーが混入されないので、強
磁性金属粒子の充填密度を高めることができる等、種々
の利点を有している。このような利点を有していること
から、金属薄膜型の磁気記録媒体は高密度磁気記録の主
流となっている。
【0004】また、電磁変換特性を向上させ、より大き
な出力を得ることができるようにするために、金属磁性
材料を斜め方向から蒸着することによって磁性層を形成
する、いわゆる斜方蒸着型の磁気記録媒体が実用化され
ている。
【0005】ところで金属薄膜型の磁気記録媒体におい
ては、高密度記録化に対応してスペーシングロスの低減
化を図るために、磁性層表面が一層平滑化される傾向に
ある。しかし、磁性層の表面の平滑化が進むと、それに
伴い磁気ヘッドに対する接触面積が大きくなるため、摩
擦力が増大し、磁性層に生じるせん断応力が大きくな
る。このような厳しい摺動条件から磁性層を保護するた
めに、磁性層上には、保護層を形成することが重要であ
る。
【0006】上述したように、磁性層の表面を保護する
ための保護層としては、例えばカーボン膜や石英(Si
2)膜、ジルコニア(ZrO2)膜等を適用することが
できる。特にカーボン膜のうちでも特にダイヤモンド構
造を有する硬質カーボン膜(いわゆるダイヤモンドライ
クカーボン膜)が保護層として有効であり、現在広く実
用化されている。
【0007】上記硬質カーボン膜を成膜する方法として
は、例えばスパッタリング法、あるいはプラズマCVD
法が挙げられる。このうちスパッタリング法において
は、Ar等のスパッタガスを電場や磁場を利用して電離
(プラズマ化)し、加速することでターゲット表面に衝
突させる。そしてプラズマ粒子が衝突したターゲットか
らはターゲット原子がはじき出され、このはじき出され
た原子が被処理体上に堆積することでスパッタ膜が形成
される。
【0008】しかし、上記スパッタリング法によって硬
質カーボン膜を形成した場合、膜形成速度が一般に遅
く、工業的見地からは生産性に劣るという問題を有して
いる。一方、プラズマCVD法においては、膜の原料と
なる原料ガスを、電場の発生したプラズマのエネルギー
によって分解あるいは合成等の化学反応を起こさせ、こ
の化学反応の結果生成された反応物を被処理体に堆積さ
せることによって、CVD膜を形成する。このプラズマ
CVD法は、上記スパッタリング法に比べて膜形成速度
が速いという利点を有している。このため、上記硬質カ
ーボン膜の成膜方法として期待されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで現在のデジタ
ル記録用の蒸着テープ等の磁気記録媒体を構成する磁性
層としては、酸素を導入しながら成膜する、いわゆる部
分酸化型の金属磁性薄膜が形成されている。このような
磁性層上に保護層として硬質カーボン膜を形成した構成
の磁気記録媒体においては、繰り返し使用によって保護
層と磁性層との間に剥がれが発生し摺動特性が劣化する
という問題を有している。すなわち磁気記録媒体を走行
させた時、いわゆるシャトル走行におけるレベルダウン
現象に伴う画質劣化やスチル特性時のクロッグ現象を生
じ、正常な動作が行われなくなるという問題を生じてい
る。上述したような各種問題を引き起こす原因である磁
性層と保護層との間の剥がれの発生は、磁性層を部分酸
化型の金属磁性薄膜として形成する際に表面に酸化度の
高い金属酸化層が形成され、これがカーボン保護層との
親和性が低いということに起因している。
【0010】そこで本発明者らは上記問題点に鑑みて鋭
意研究を重ねた結果、安定した正常な走行再生を行うこ
とが可能な磁気記録媒体およびその製造方法を提供する
こととした。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体
は、非磁性支持体上に、磁性層とカーボン保護層とを有
してなる金属薄膜型の磁気記録媒体であり、特に磁性層
の表層に形成される金属酸化層の膜厚を5nm以下にし
たものとする。
【0012】本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁
性支持体上に、真空薄膜形成技術によって磁性層を形成
する第1の工程と、磁性層の表層の金属酸化層を除去す
る第2の工程と、磁性層上に、カーボン保護層を形成す
る第3の工程とを有し、上記第1〜第3の工程を、外部
空気から遮断した環境下で連続的に行うものとする。
【0013】本発明の磁気記録媒体および磁気記録媒体
の製造方法によれば、磁性層とカーボン保護層との密着
性が保たれ、繰り返して摺動を行った場合においてもカ
ーボン保護層と磁性層との間に剥がれの発生を防止で
き、シャトル走行におけるレベルダウン現象に伴う画質
劣化や、スチル特性時のクロッグ現象の発生を効果的に
回避でき、安定した正常な走行再生を行うことが可能な
磁気記録媒体が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体の構
造および製造工程について具体的な例を挙げて説明する
が、本発明は、以下に示す例に限定されるものではな
い。
【0015】図1に本発明の磁気記録媒体の一例の概略
断面図を示す。磁気記録媒体10は、非磁性支持体1上
に、金属磁性薄膜よりなる磁性層2、およびカーボン保
護層4が形成された構成を有している。磁性層2の表層
には、成膜の際に形成された金属酸化層2aを有してお
り、本発明においては、金属酸化層2aの膜厚(図1中
x)を特に5nm以下に規定した。カーボン保護層4上
には潤滑剤層5が形成されてなり、磁性層2形成面側と
は反対側に、バックコート層6が形成されている。
【0016】以下、本発明の磁気記録媒体10を構成す
る各層について詳細に説明する。非磁性支持体1には、
通常、磁気テープの基体として用いられている公知の材
料をいずれも適用できる。例えば、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PE
N)、ポリエチレン2,6−ナフタリンジカルボキシレ
ート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート等
のセルロース誘導体、ポリカーボネート、ポリイミド、
ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチック類等を
挙げることができる。
【0017】非磁性支持体1の磁性層形成面側には、バ
インダー樹脂、フィラーおよび界面活性剤等を含有する
塗料によりコーティング層を形成し、これにより表面に
微細な凹凸を付加したり、機械的な強度を高めたりする
ことができる。バインダー樹脂には、例えば水性ポリエ
ステル樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂
等が挙げられる。フィラーの種類としては、耐熱性ポリ
マーからなる粒子、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム等が
挙げられる。
【0018】磁性層2は強磁性金属材料の部分酸化型の
金属磁性膜として形成されており、単層膜であっても多
層膜であってもよい。この磁性層2を形成する強磁性金
属材料としては、従来公知の金属の単体、あるいは複合
体をいずれも使用することができ、例えば、Co,Ni
等の強磁性金属、CoNi,FeCo,FeCoNi,
CoCr,CoPt,CoPtB,CoCrPt,Co
CrTa,CoCrPtTa等の材料、またはこれらの
材料に1種類あるいは2種類以上のその他の元素を含有
させたものが挙げられる。
【0019】非磁性支持体1と磁性層2との間、および
磁性層2を多層膜とする場合においては各層間には、付
着力の向上、並びに抗磁力の制御、磁性層2の防食性向
上等の目的で各種下地層や中間層等の機能層を形成して
もよい。
【0020】磁性層2は、真空下で強磁性材料を加熱蒸
発させ、非磁性支持体1上に付着させる真空蒸着法や、
強磁性金属材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティ
ング法や、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放
電を起こして生じたアルゴンイオンでターゲット表面の
原子をたたき出すスパッタ法等、いわゆるPVD技術に
よって形成することができる。
【0021】図2に磁性層2を成膜する蒸着装置100
の一例の概略図を示す。この蒸着装置10においては、
排気口21、22から排気されて真空状態となされた真
空室11内に、送りロール13と巻き取りロール14と
が設けられており、これらの間に非磁性支持体1が順次
走行するようになされている。
【0022】これら送りロール13と巻き取りロール1
4との間において、非磁性支持体1が走行する途中に
は、冷却キャン15が設けられている。この冷却キャン
15には、冷却装置(図示せず)が設けられ、周面を走
行する非磁性支持体1の温度上昇による熱変形等を抑制
している。
【0023】非磁性支持体1は、送りロール13から順
次送り出され、さらに冷却キャン15周面を通過して巻
き取りロール14に巻き取られていくようになされてい
る。なお、ガイドロール16および17により非磁性支
持体1には、所定のテンションがかけられ、円滑に走行
するようになされている。
【0024】真空室11内には、冷却キャン15の下方
にルツボ18が設けられており、ルツボ18内には、金
属磁性材料よりなる成膜材料19が充填されている。一
方、真空室11の側壁部には、ルツボ18内に充填され
た成膜材料19を加熱蒸発させるための電子銃20が設
けられている。この電子銃20は、これより放出される
電子線Bが、ルツボ内18内の成膜材料19に照射され
るような位置に配置されている。そして、この電子線B
の照射によって蒸発した成膜材料19が非磁性支持体1
の表面に被着して、磁性層2の形成がなされる。
【0025】また、冷却キャン15とルツボ18との間
であって、冷却キャン15の近傍には、シャッター23
が、冷却キャン15の周面を走行する非磁性支持体1の
所定領域を覆う形で配置されており、このシャッター2
3により、蒸発した成膜材料19が非磁性支持体1に対
して所定の入射角度範囲で斜めに蒸着するようになされ
ている。
【0026】さらに、磁性層2の蒸着に際し、真空室1
1の側壁部を貫通して設けられている酸素ガス導入管2
4により、非磁性支持体1の表面に酸素ガスが供給され
るようになされ、磁性層2の磁気特性、耐久性、および
耐候性の向上が図られている。
【0027】上述したように、磁性層2形成工程におい
ては酸素ガスを供給するので、磁性層2の表層には酸化
度の高い金属酸化層2aが形成される。本例において
は、この金属酸化層2aの構成原子のうち、酸素の原子
比率(O/Co)は0.5以上、すなわち酸素原子の含
有率が50%以上であるものとした。この金属酸化層2
aは、後工程において磁性層2上に形成するカーボン保
護層4との親和性が低く、最終的に得られる磁気記録媒
体の磁性層2とカーボン保護層4との間の剥離発生の原
因となる。このため、磁性層2の成膜工程後には表面を
エッチングして削除することとし、特に本発明において
は、この金属酸化層2aの膜厚を5nm以下に低減化さ
せた。
【0028】図3にエッチング装置200の概略構成図
を示す。このエッチング装置200は、磁性層2が形成
された非磁性支持体1(以下、被処理体31とする)を
連続走行させながら、磁性層2表面に形成された金属酸
化層2aを除去するものである。このエッチング装置2
00においては、排気手段33によって内部排気がなさ
れた真空チャンバー32内において、被処理体31が、
定速回転する巻き出しロール34から巻き取りロール3
5に向かって順次走行するようになされている。被処理
体31が巻き出しロール34から巻き取りロール35に
向かって走行する中途部には、回転支持体37が図3中
矢印A方向に定速回転するように設けられている。ま
た、巻き出しロール34と回転支持体37との間、およ
び回転支持体37と巻き取りロール35との間には、そ
れぞれガイドロール36が配設されており、走行する被
処理体31に適当なテンションを与え、走行を円滑化し
ている。
【0029】また、回転支持体37に対向してイオンガ
ン38が配置されている。なお本例においてはイオンガ
ン38を単数配置した場合について示すが、生産性等種
々の工業的見地から複数個配置することもできる。イオ
ンガン38はガス導入管39に連結されてなり、このガ
ス導入管39からエッチングガスが導入するようになさ
れている。またイオンガン38は電源30に接続されて
なり、この電源30により供給される電力によってプラ
ズマ化したエッチング粒子pが、被処理体31上に衝突
することによって磁性層2表面の金属酸化層2aを除去
する。この金属酸化層2aは可能な限り除去することが
望ましいが、生産性その他の工業的な問題から完全に除
去することが困難な場合があるので、本発明においては
特に金属酸化層2aが5nm以下になるように除去し
た。
【0030】上述のようにして金属酸化層2aを除去し
た後、磁性層2上に、良好な耐蝕性および走行耐久性を
確保するためにカーボン保護層4を形成する。このカー
ボン保護層4は硬質カーボン膜であり、ダイヤモンド構
造を有するカーボン膜、いわゆるダイヤモンドライクカ
ーボン膜であるものとする。すなわちカーボンには、グ
ラファイト構造を有するもの、ダイヤモンド構造を有す
るもの等が知られているが、ラマン分光スペクトル分析
によって構造を解析することができる。ここで言うダイ
ヤモンドライクカーボン膜とは、少なくとも一部がダイ
ヤモンド構造を有するものであり、ラマン分光スペクト
ルにおいてダイヤモンド構造に由来するピークが観測さ
れるものである。通常はグラファイト構造に由来するピ
ークとともに、ダイヤモンド構造に由来するピークの観
測がなされる。
【0031】カーボン保護層4は、例えば図4に示すプ
ラズマCVD連続膜形成装置50を用いてCVD法によ
って形成することができる。炭素化合物をプラズマ中で
分解して成膜するCVD法は、耐磨耗性、耐蝕性、表面
被覆率に優れ、平滑な表面形状と高い電気抵抗率をもつ
ダイヤモンドライクカーボン膜を、極めて薄層に安定し
て成膜することができる。原料ガスとしては、エチレ
ン、プロパン等の気体、トルエン、キシレン等の液体を
気化させた炭化水素ガスを適用することができる。これ
らの炭化水素ガスは単体、または複合状態で用いられ、
また、プラズマ生成時には、炭素化合物の分解を促進す
るためのガスとして、Ar,N2 等の非炭化水素ガスが
導入されていてもよい。
【0032】図4に示すプラズマCVD連続膜形成装置
300は、排気系43から排気されて真空状態となされ
た真空室42内に、巻き出しロール44と、巻き取りロ
ール45とが設けられ、これら巻き出しロール44と巻
き取りロール45との間に、非磁性支持体1上に磁性層
2が形成され金属酸化層2aが除去された被処理体41
が順次走行するようになされている。これら巻き出しロ
ール44から巻き取りロール45に向かって被処理体4
1が走行する途中には、円筒状の回転可能な対向電極用
キャン47が設けられている。
【0033】被処理体41は、巻き出しロール44から
順次送り出され、対向電極用キャン47の周面を通過
し、巻き取りロール45に巻き取られていくようになさ
れている。なお、巻き出しロール44と対向電極用キャ
ン47との間、および対向電極用キャン47と巻き取り
ロール45との間には、それぞれガイドロール46が配
置され、被処理体41に所定のテンションをかけ、被処
理体41が円滑に走行するようになされている。
【0034】また、対向電極用キャン47に対向して、
例えばパイレックスガラス(登録商標)、プラスチック
等よりなる反応管48が設けられている。この反応管4
8においては、ガス導入口49から成膜用ガスが内部に
導入されるようになされている。また、反応管48内に
は、平板状の放電電極50が組み込まれている。この放
電電極50には、外部に配設された直流電源51によ
り、例えば500〜2000Vの電位が印加されるよう
になされている。
【0035】上述した構成のプラズマCVD連続膜形成
装置300においては、放電電極50に電圧が印加され
ることで、放電電極50と対向電極用キャン47との間
にプラズマが発生する。そして、反応管48内に導入さ
れた成膜用ガスは、生じたプラズマのエネルギーによっ
て分解および化学的結合がなされ、被処理体41上に被
着する。
【0036】放電電極50は、ガスが透過しやすく、且
つ電界を均一にかけることができ、柔軟性を有するもの
が望ましく、例えばメッシュ状となされているものが好
適である。放電電極50の材料としては、例えば銅が挙
げられるが、その他導電性を有する金属を適宜用いるこ
とができ、ステンレスや真鍮、金等も適用可能である。
【0037】なお、上述したように本発明の磁気記録媒
体10は、非磁性支持体1上に、真空薄膜形成技術によ
って磁性層2を形成する工程(第1の工程)と、磁性層
2の表層の金属酸化層2aを除去する工程(第2の工
程)と、その後磁性層2上に、カーボン保護層3を形成
する工程(第3の工程)とを経て作製することができる
が、磁性層2の表層に再度金属酸化層2aが形成される
ことを回避するため、上記第1〜第3の工程を外部空気
から遮断した環境下、例えば同一チャンバー内や、外部
から遮断された搬送路によって次工程へと送り込まれる
ような環境下で連続的に行うものとする。
【0038】本発明の磁気記録媒体10においては、必
要に応じて磁性層2の形成面側とは反対側にバックコー
ト層6を形成したり、カーボン保護層4上に潤滑剤層5
を形成したりしてもよい。この場合、バックコート層6
や潤滑剤層5形成用材料としては、非磁性顔料、樹脂結
合剤等、従来公知の材料を適宜用いることができる。
【0039】
【実施例】次に、本発明の磁気記録媒体10について、
具体的な例を挙げて説明するが、本発明の磁気記録媒体
は、以下の例に限定されるものではない。なお、以下に
示す磁気記録媒体10を作製する際には、磁性層2の表
面の金属酸化層2aの除去工程と、カーボン保護層4の
形成工程とを、同一のチャンバー内で連続的に行った。
【0040】図1に示した磁気記録媒体10の非磁性支
持体1として、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレー
ト(PET)フィルムを用意し、この非磁性支持体1上
に、磁性層2を図2に示した蒸着装置100を用いて以
下の条件で形成した。 (蒸着条件) 成膜材料 :Co100wt% 入射角 :45°〜90° 導入ガス :酸素ガス 酸素導入量 :2.0×10-2Pa 磁性層の膜厚:200nm
【0041】磁性層2形成後、表層面には厚さ10nm
程度の表面酸化層2aが形成されていることが確認され
た。
【0042】次に、以下の条件により図3に示したエッ
チング装置200を用いて表面酸化層2aの除去を行
い、表面酸化層2aの膜厚の低減化を図った。この工程
により、表面酸化層2aの膜厚が5nm(実施例1)、
3nm(実施例2)、0nm(実施例3)、10nm
(比較例1)、7nm(比較例2)のそれぞれのサンプ
ルを作製した。 (エッチング条件) 導入ガス :CHF3 エッチング時真空度:5Pa
【0043】次に、以下の条件により図4に示したプラ
ズマCVD連続膜形成装置300を用いてカーボン保護
層4を形成した。 (CVD条件) 導入ガス:エチレン/アルゴン混合ガス 150scc
m(アルゴン混合率:20vol%) 反応圧力:30Pa 投入電力:+1.2kV カーボン保護層の膜厚:5nm
【0044】次に、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤
を用いて潤滑剤層5を形成し、カーボン系のバックコー
ト層6を形成し、目的とする磁気記録媒体10を得た。
【0045】上述のようにして作製した実施例1〜3、
比較例1、2のサンプル磁気記録媒体の特性評価を行っ
た。特性評価は、シャトル走行試験、スチル耐久試験、
摩擦試験のそれぞれについて下記に示す方法により行っ
た。なお、シャトル走行試験、スチル耐久試験において
は、DVCカムコーダーDCR VX−700(ソニー
社製)を使用した。
【0046】(シャトル走行試験)40℃、30%RH
環境下で10分間1回記録した後、99回再生させ、1
00pass目の初期出力に対する出力をdB表示し
た。 (スチル耐久試験)−5℃の環境下でスチル状態のまま
保持し、初期出力に対して−3dBになる時間を表示し
た。 (摩擦試験)40℃、80%RHの環境下で摺動摩擦試
験を用いて行い、摩擦係数を表示した。上記各特性評価
の結果を下記〔表1〕に示す。
【0047】
【表1】
【0048】上記〔表1〕に示すように、磁性層2の表
面に形成された金属酸化層2aの膜厚を5nm以下に低
減化させた実施例1〜実施例3の磁気記録媒体において
は、シャトル走行試験、スチル耐久試験、および摩擦試
験のいずれにおいても実用上良好な結果が得られた。一
方において金属酸化層2aの膜厚が5nmよりも厚いも
のとした比較例1、2の磁気記録媒体においては、シャ
トル走行試験においては−3dB以上の低下が確認され
実用上望ましくないものであることがわかった。またス
チル試験に関しては短時間で出力低下が確認され、摩擦
試験に関しては、厳しい使用条件下で摩擦が高く実用上
望ましくないものであることがわかった。
【0049】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体によれば、磁性層
2の表面の金属酸化層2aの膜厚を5nm以下に低減化
させたものとしたことにより、磁性層2とカーボン保護
層4との密着性が向上し、繰り返して摺動を行った場合
においてもカーボン保護層4と磁性層2との間に剥がれ
の発生を防止でき、シャトル走行におけるレベルダウン
現象に伴う画質劣化や、スチル特性時のクロッグ現象の
発生を効果的に回避でき、安定した正常な走行再生を行
うことが可能となった。
【0050】本発明の磁気記録媒体の製造方法によれ
ば、磁性層2の形成工程後、磁性層2の表面に形成され
た金属酸化層2aを除去する工程を行い、この膜厚を5
nm以下に低減化させることとしたことにより、磁性層
2とカーボン保護層4との密着性の向上が図られ、繰り
返して摺動を行った場合においてもカーボン保護層4と
磁性層2との間に剥がれの発生を防止でき、シャトル走
行におけるレベルダウン現象に伴う画質劣化や、スチル
特性時のクロッグ現象の発生を効果的に回避でき、安定
した正常な走行再生を行うことが可能な磁気記録媒体が
得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の概略構成図を示す。
【図2】磁性層形成用の蒸着装置の概略構成図を示す。
【図3】金属酸化層除去用のエッチング装置の概略構成
図を示す。
【図4】カーボン保護層形成用のプラズマCVD連続膜
形成装置の概略図を示す。
【符号の説明】
1……非磁性支持体、2……磁性層、2a……金属酸化
層、4……カーボン保護層、5……潤滑剤層、6……バ
ックコート層、10……磁気記録媒体、11……真空
室、13……送りロール、14……巻き取りロール、1
5……冷却キャン、16,17……ガイドロール、18
……ルツボ、19……成膜材料、20……電子銃、2
1,22……排気口、23……シャッター、24……酸
素ガス導入管、30……電源、31……被処理体、32
……真空チャンバー、33……排気手段、34……巻き
出しロール、35……巻き取りロール、36……ガイド
ロール、37……回転支持体、38……イオンガン、3
9……ガス導入管、41……被処理体、42……真空
室、43……排気系、44……巻き出しロール、45…
…巻き取りロール、46……ガイドロール、47……対
向電極用キャン、48……反応管、49……ガス導入
口、50……放電電極、51……電源、100……蒸着
装置、200……エッチング装置、300……プラズマ
CVD連続膜形成装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/72 G11B 5/72 5/84 5/84 B Z (72)発明者 尾崎 知恵 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4K029 AA11 AA25 BA06 BA12 BA24 BA25 BA26 BA43 BB02 BC06 BD11 CA01 CA02 EA01 4K030 BA27 BA28 CA07 CA12 FA01 HA04 LA20 5D006 BB01 BB06 BB07 EA03 FA05 FA09 5D112 AA05 AA07 AA22 BB05 BC05 FA02 FA09 GA20

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、磁性層とカーボン保
    護層とを有してなる金属薄膜型の磁気記録媒体であっ
    て、 上記磁性層の表層に形成された金属酸化層の膜厚が、5
    nm以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記金属酸化層を構成する酸素の原子比
    率は、50%以上であることを特徴とする請求項1に記
    載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体上に、真空薄膜形成技術に
    よって磁性層を形成する第1の工程と、 上記磁性層の表層の金属酸化層を除去する第2の工程
    と、 上記磁性層上に、カーボン保護層を形成する第3の工程
    とを有し、 上記第1〜第3の工程を、外部空気から遮断した環境下
    で連続的に行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
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