JP2000248365A - 薄膜形成装置および薄膜形成方法ならびに案内ガイドロール - Google Patents

薄膜形成装置および薄膜形成方法ならびに案内ガイドロール

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐アーク特性を有し、形成する薄膜の損傷を
防止しつつ、安定に成膜する薄膜形成装置および薄膜形
成方法ならびに案内ガイドロールを提供する。 【解決手段】 真空槽と、真空槽中で、プラズマを発生
させる手段と、真空槽へのガス導入手段と、真空槽中で
被処理体を巻回支持して走行させる案内ガイドロ−ル1
とを具備したプラズマCVD装置などの薄膜形成装置に
おいて、案内ガイドロール1の被処理体に摺接する外周
面が、案内ガイドロール1の幅方向の両端部に導電体2
と、中央部に絶縁体3とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマ反応を利用
した薄膜形成装置および薄膜形成方法ならびに案内ガイ
ドロールに関し、さらに詳しくは、案内ガイドロールを
用いて形成される薄膜の膜特性に特徴を有する薄膜形成
装置および薄膜形成方法ならびに案内ガイドロールに関
する。
【0002】
【従来の技術】薄膜形成装置および薄膜形成方法を応用
した分野のうち情報記録の領域では、特に情報記録媒体
に用いられる、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録
媒体上に形成される保護層がある。これらの保護層で
は、保護層を形成する工程の高スループット化ととも
に、これにより形成された保護層の高耐摩耗性が求めら
れている。以下、薄膜形成装置および薄膜形成方法を磁
気テープなどの磁気記録媒体に適用した例について説明
する。
【0003】従来より、磁気記録媒体としては、非磁性
支持体上に酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の粉
末磁性材料を塩化ビニール−酢酸ビニール系共重合体、
ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等
の有機バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾
燥することにより作成される塗布型の磁気記録媒体が広
く使用されている。
【0004】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co
−O等の金属磁性材料を、メッキや、真空薄膜形成手段
(真空蒸着法、スパッタ法およびイオンプレーティング
法等)によってポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエステル、ポリアミドおよびポリイミドなど
のフイルム状の非磁性体上に直接被着した、いわゆる金
属薄膜型の磁気記録層を有する磁気記録媒体が提案され
注目を集めている。
【0005】ところで、近年金属薄膜型の磁気記録層か
らなるいわゆる蒸着テープと呼ばれる磁気テープは、デ
ジタルビデオカセットレコーダー等の用途や、AIT
(ソニー社商品名:Advanced Intelligence Tape)等の
データストリーマー用途等への利用の広がりを見せてお
り、この中で磁気テープの保護層の膜特性の向上が切に
望まれている。
【0006】以下に、金属薄膜型の磁気記録層を有する
磁気記録媒体の一例について、磁気記録媒体の概略断面
図である図3を参照して説明する。磁気テープなどの磁
気記録媒体4は、ポリエステルフィルムなどの非磁性支
持体5に、Fe、Co、Niなどの強磁性金属またはF
e、Co、Niの何れか1種を含む強磁性合金などの金
属薄膜型の磁気記録層7が、真空蒸着法、スパッタ法お
よびイオンプレーティング法などの薄膜形成法で形成さ
れる。これらは、単層膜でも、多層膜であってもよい。
さらに、必要に応じて、下塗り層6、硬質カーボン系な
どの保護層8、潤滑剤層9、およびバックコート層10
が形成される。
【0007】この金属薄膜型の磁気記録層7を有する磁
気記録媒体4は、塗布型の磁気記録媒体と異なり、磁気
記録層7中に非磁性材であるバインダーを混入する必要
がなく、磁性材料の充填密度を高めることができるの
で、抗磁力や、角型比等に優れ、記録減磁や、再生時の
厚み損失が著しく小さく短波長での電磁変換特性に優れ
る等多くの利点を有している。即ち、金属薄膜型の磁気
記録層7を有する磁気記録媒体4は、磁気特性的な優位
さの故に、高密度磁気記録の主流になるものと考えられ
る。
【0008】さらに、この種の磁気記録媒体4の電磁変
換特性を向上させ、より大きな出力を得ることができる
ようにするために、上記の磁気記録媒体4の磁気記録層
7を形成する場合、磁気記録層7を斜めに蒸着するいわ
ゆる斜方蒸着法が実用化されている。
【0009】一方、今後更なる高密度化の流れからスペ
ーシング損失を少なくする為に、磁気記録媒体4表面は
平滑化される傾向にある。しかしながら、これは不図示
の磁気ヘッドと磁気記録媒体4間の摩擦力の増大を招く
とともに、磁気記録媒体4に生ずるせん断応力を大とす
る。
【0010】このような背景から、磁気ヘッドと磁気記
録媒体4間の摩擦係数を小さくするとともに耐摩耗特性
を大きくする目的で、磁気記録媒体4の磁気記録層7の
表面に保護層8が形成されている。
【0011】このような保護層8としては、カーボン
膜、石英(SiO2 )膜およびジルコニア(ZrO2
膜などが検討され、磁気ディスクにおいては、すでに実
用化され生産されているものもある。特に、近年では保
護層8を形成する材料としてさらに硬度の大きいダイア
モンドライクカーボン(Diamond Like Carbon)膜(以
下、DLC膜と略記する。)等の膜形成も行われてお
り、今後主流になると思われる。そして、特に、摺動特
性および耐環境特性が要求される蒸着テープなどの磁気
テープについての適用が検討されている。
【0012】このような、保護層8等の薄膜形成装置と
しては、スパッタ装置またはプラズマCVD(Chemical
Vapor Deposition)装置が多く用いられているが、特に
成膜速度が大きくスループットを向上させたプラズマC
VD装置を例として、以下、その薄膜形成装置および薄
膜形成方法について説明する。
【0013】プラズマCVD装置では、電場や、磁場を
用いて発生させたプラズマのエネルギーを利用して、原
料となる気体の分解、および結合等の化学反応を起こさ
せ、薄膜を形成する工程を有する。また、このプラズマ
CVD装置におけるプラズマ発生源として、DC放電や
RF放電が一般的であるが、ECR(Electron Cyclotro
n Resonance) などを利用した方式の検討もなされてい
る。
【0014】上記のプラズマCVD装置の一例として、
DC放電方式のプラズマCVD装置を用いて磁気テープ
状の磁気記録媒体4の保護層8を形成する場合につい
て、プラズマCVD装置の概略構成断面図である図4を
参照して説明する。
【0015】図4のプラズマCVD装置11において、
磁気テープなどの磁気記録媒体の被処理体12に保護層
として、例えばDLC膜を形成する。この被処理体12
は、真空槽13中で、例えば一対の案内ガイドロール1
に支持されながら、巻き出しロール14から巻き出さ
れ、対向電極であるとともに、定速で回転可能な、冷却
機構を具備したキャンロール15により巻回支持され、
回転駆動されつつ、走行しながら巻き取りロール16に
収納される。真空槽13は、真空排気装置17により、
所定の減圧雰囲気に排気される。
【0016】一方、反応管18にガス導入口19から導
入された炭化水素系の原料ガスは、反応管18内に設置
された電極20を介して、例えば500V〜2000V
のDC電界によりプラズマ化し、分解、結合などの反応
をして、キャンロール15上の被処理体12にカーボン
膜などが成膜される。電極20には、DC電源21より
電力が供給される。そして、上記のプラズマCVD装置
11を用いてカーボン膜などの保護層を形成することに
より、被処理体12の磁気記録媒体の耐久性は著しく向
上する。
【0017】しかしながら、上記のプラズマCVD装置
では、その要部概略断面図である図5に示すように、装
置の構成からわかるように、高電圧印加でプラズマ分解
された成膜物質を被処理体12上に成膜する場合は、被
処理体12に高電流が流れる構造となっている。このよ
うに発生した高電流をたとえば、アース接地のように、
どこかにリークしなければ、被処理体12の正常な走行
が不可能になったり、あるいはカミナリ放電現象である
アークが発生し、被処理体12自体と他の隣接する金属
製の案内ガイドロール1と摺接する場合、微小なカミナ
リ放電現象であるアークが発生し、被処理体12自体へ
の損傷(この場合、被処理体12が磁気記録媒体の場合
は、多くはピンホール型の熱負けと称する磁性層および
非磁性支持体の微小変形を指す。)が起きるという技術
的問題点があった。さらに、上記の問題点は、高電圧印
加(成膜速度に比例)になるほど顕著になるという問題
も有していた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
技術的な背景のもとに提案するものであり、耐アーク特
性を有し、形成する薄膜の損傷を防止しつつ、安定に成
膜する薄膜形成装置および薄膜形成方法ならびに案内ガ
イドロールを提供することをその課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜形成装置
は、真空槽と、真空槽中で、プラズマを発生させる手段
と、真空槽へのガス導入手段と、真空槽中で被処理体を
巻回支持して走行させる案内ガイドロ−ルとを具備した
薄膜形成装置において、案内ガイドロールの被処理体に
摺接する外周面は、案内ガイドロールの幅方向の両端部
に導電体と、中央部に絶縁体とを有することを特徴とす
る。
【0020】本発明の薄膜形成方法は、減圧雰囲気中
で、プラズマを発生させる工程と、減圧雰囲気へのガス
導入工程と、案内ガイドロールを用いて被処理体を巻回
支持して走行させる工程とを有し、被処理体に薄膜を形
成する工程を具備する薄膜形成方法において、案内ガイ
ドロールの被処理体が摺接する外周面が、案内ガイドロ
ールの幅方向の両端部に導電体と、中央部に絶縁体とを
有することを特徴とする。
【0021】被処理体は磁気記録媒体であり、薄膜を形
成する工程が、磁気記録媒体の磁気記録層上に保護層を
形成する工程であることが望ましい。
【0022】保護層はカーボンおよびダイアモンドライ
クカーボンのうちのいずれか1種を含むことが望まし
い。
【0023】本発明の薄膜形成装置および薄膜形成方法
において、案内ガイドロールの導電体と被処理体の摺接
部の電流密度は、20.5×10-3A/mm2 以下であ
ることが望ましい。
【0024】絶縁体の電気抵抗は10000Ω以上であ
ることが望ましい。絶縁体はセラミックスであり、導電
体はステンレスであることが望ましい。
【0025】薄膜形成装置/薄膜形成方法はプラズマC
VD装置/プラズマCVD法を用いることが望ましい。
【0026】本発明の案内ガイドロールは請求項1に記
載の薄膜形成装置に用いられることを特徴とする。
【0027】絶縁体の電気抵抗は10000Ω以上であ
ることが望ましい。絶縁体はセラミックスであり、導電
体はステンレスであることが望ましい。
【0028】上述した手段による作用を以下に説明す
る。本発明の外周面に導電体にはさまれた絶縁体を形成
した案内ガイドロールを具備した、プラズマCVD装置
などの薄膜形成装置および薄膜形成方法によれば、案内
ガイドロールの導電体と磁気記録媒体などの被処理体と
の摺接部分にアークを集中させ、逆に案内ガイドロール
の絶縁体と被処理体との摺接部分をアークによる損傷を
抑制するとともに、欠陥の少ない均一で膜特性に優れた
磁気記録媒体の保護層などの薄膜を安定して形成でき
る。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態例につ
き詳細な説明を加える。本発明の実施の形態に関わる薄
膜形成装置について、薄膜形成装置に設けられた案内ガ
イドロールの概略斜視図である図1、および案内ガイド
ロールと被処理体との関係を示す概略斜視図である図
2、ならびに従来例の磁気記録媒体の概略断面図である
図3およびプラズマCVD装置の概略断面図である図4
を参照しながら説明する。
【0030】薄膜形成装置の一例であるプラズマCVD
装置の構成は、本発明の案内ガイドロール1をのぞき、
図4のような従来例のプラズマCVD装置11と同様な
構成であるので説明を省略する。そして、薄膜形成装置
は、DC放電式のプラズマCVD装置11を磁気テープ
などの磁気記録媒体の薄膜形成に適用した例であり、被
処理体12として、図3のような磁気テープなどの磁気
記録媒体4を採用し、保護層8として、例えばDLC膜
を形成するために用いた例である。尚、従来例と同じ構
成要素は、同じ符号を付すものとする。
【0031】図1において、案内ガイドロール1は、例
えばガイド径Фとガイド幅aとを有し、外周面がクロー
ム処理されたステンレス鋼製の円柱形状の軸であり、円
柱形の外周面の両端部が幅bを有する導電体2であり、
中央部に、幅cの絶縁体3として例えばアルマイトなど
が溶射法により、あるいはアルミナなどのセラミックス
がスパッタ法または電子ビーム蒸着法などの真空成膜法
により、例えば20μm以上形成されている。したがっ
て、案内ガイドロール1の外周面が、ガイド幅a方向
に、両端部が幅bの導電体2を有し、中央部が幅cの絶
縁体3を有する構造となっている。
【0032】図4のようなプラズマCVD装置11にお
いて、案内ガイドロール1は、例えば被処理体12であ
る磁気記録媒体と以下のような関係で摺接して駆動され
る。ここで、図2のように、案内ガイドロール1の外周
面は、被処理体である例えば磁気記録媒体4に、両端部
の導電体2が非磁性支持体5と成膜された磁気記録層7
あるいはこの装置で成膜された保護層8に摺接し、中央
部の絶縁体3が磁気記録層7あるいはこの装置で成膜さ
れた保護層8に摺接しながら、磁気記録媒体4の走行を
支持するように構成される。したがって、上記のプラズ
マCVD装置11において、磁気記録媒体などの被処理
体12は、このような案内ガイドロール1を介して、キ
ャンロール15に巻回支持されながら走行しつつ、被処
理体12の薄膜形成側には、例えばDLC膜などの保護
層が形成される。
【0033】次に、上記のプラズマCVD装置を用い
て、本発明を適用した具体的な実施例およびこれに対比
する比較例について、図3のような磁気記録媒体4とし
て磁気テープを例にとり、この磁気テープの磁気記録層
7上に例えばDLC膜の保護層8を形成する場合につい
て以下に説明する。この磁気テープの構造は、一般的な
金属薄膜型の磁気記録媒体4の構成に準じる。
【0034】磁気記録媒体4の一例として、厚さ6μ
m、幅127mmのPET(ポリエチレンテレフタレー
ト)フィルムからなる非磁性支持体5の一方の主面に、
アクリル酸エステルを主成分とする水溶性ラテックスを
分散させたエマルジョン溶液を塗布し、粒子密度100
0個/mm2 の表面突起を形成した側の表面に、リール
ツーリール方式の連続巻き取り蒸着装置を用いて、磁気
記録層7を形成した。
【0035】磁気記録層7の成膜は、例えば、電子ビー
ムによるCo合金の斜方蒸着法により、酸素ガスを導入
しながらPETフィルムの非磁性支持体上に成膜し、部
分酸化強磁性金属薄膜を形成する。その成膜条件は以下
のとおりである。 磁気記録層組成 Co100単層 磁気記録層厚 200nm 磁気記録層蒸着幅 100mm 入射角 35〜60度 導入ガス 酸素ガス 蒸着時真空度 2×10-2Pa
【0036】上記の磁気記録層7上にDLC膜の保護膜
8を形成したときのプラズマCVD条件は、例えば以下
に示した条件を採用した。 導入ガス エチレン+アルゴン ガス比 C24/Ar=4/1 トータル流量 150 sccm 反応圧力 30 Pa 印加電圧 DC1.2kV DLC膜厚 9nm
【0037】上記の作製条件で、磁気記録層7と摺接す
る案内ガイドロール1の構造、本数、ガイド径Ф、絶縁
体3の幅および磁気記録媒体4と案内ガイドロール1と
の抱角などの構成条件を変化させて、10種類の磁気テ
ープの原反サンプルを作製した。実施例1〜8および比
較例1〜2の作製条件を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】上記の、実施例および比較例の磁気テープ
の原反サンプルに保護層8を形成後、PETフィルムの
他方の主面(裏面)に、塗布型のバックコート層10を
形成した。塗布型のバックコート層10の塗料は、一例
として以下の組成によった。 この組成物をボールミルで混合し、塗布直前に硬化剤
(コロネートL) を5重量部添加した。この塗料をグラビアコ
ータにより、乾燥塗布厚が0.5μmとなるように塗布
した。
【0040】次に、潤滑剤層9としてフルオロカーボン
を主骨格とし、これがジメチルデシルアミン構造となる
ように変成したもののトルエン溶液を塗布するように形
成した。この後、6.35mm幅に裁断してカセットに
収納することにより実施例および比較例の磁気テープの
サンプルを作製した。
【0041】上記の磁気テープのサンプルについて、ド
ロップアウト(以下DOと略す)の測定を行い、評価を
行った。この評価法は、常温常湿環境下でサンプルテー
プを、VTRにかけて、DOを求める試験方法であり、
DOサイズは、−6dB10μsのゲートで評価を行っ
た。この不図示のDO測定系としては、磁気テープサン
プルをビデオテープレコーダー(VTR)により、記録
と再生を行い、再生時にオシロスコープの信号によりD
Oカウンターを用いてDO数を測定するように構成され
ている。DO評価に用いたVTRは、DCR-VX1000(SONY
製)であり、DOカウンターにはシバソク製のVH06AZを
使用した。なお、DO測定の測定手順は、実施例および
比較例の磁気テープに、単一周波数(波長1μm)を記
録し、この再生出力をオシロスコープおよびDOカウン
ターに入力し、DO数を計測した。この評価結果を表2
に示す。DO(−6dB10μs)の数は、50個/分
以下であれば画質音質的に問題のないレベルである。
【0042】
【表2】
【0043】表2の結果から、比較例1では、案内ガイ
ドロール1の外周面の表面構造をステンレスだけにする
と、アークの多発が観測され、DO数も非常に多い結果
となっている。
【0044】比較例2では、案内ガイドロール1の外周
面の表面構造をセラミックス(電気抵抗が10000
Ω)だけにすると、アークの多発が観測され、この影響
でついには被処理体が切断されてしまい、安定した成膜
が行えない。
【0045】実施例1〜6の結果から、案内ガイドロー
ル1の外周面の表面構造を導電体2/絶縁体3/導電体
2としてステンレス/セラミックス/ステンレスの構造
にすると、案内ガイドロール1の導電体2と被処理体1
2(磁気記録媒体4)との摺接部分は除いて、案内ガイ
ドロール1の絶縁体3と、被処理体12との摺接部分に
はアークによる熱負けが発生せず、DO値が小さく、良
好な値となっている。このことは、図2に示すように、
案内ガイドロール1の両端部の導電体2部と被処理体1
2の摺接部に集中させ熱負け異常部の幅dを偏在させる
とともに、中央部の被処理体12との摺接部に正常部の
幅eを確保することができるためである。
【0046】さらに、導電体2と摺接する被処理体12
にかかる電流密度が大きくなると、実施例8のように、
導電体2部でなくてもアークが派生し、DOが増加する
が、本検討では、電流密度が20.5×10-3(A/m
2 )以下であれば安定した成膜が可能であることがわ
かる。
【0047】実施例7から、案内ガイドロール1の絶縁
体3の電気抵抗が5000Ωでは、絶縁体3と被処理体
12との摺接部分でさえアークが発生してDO値が大き
くなり、導電体2/絶縁体3/導電体2構造にする効果
がないことがわかる。
【0048】
【発明の効果】本発明の薄膜形成装置および薄膜形成方
法によれば、外周面の両端部に導電体と、中央部に絶縁
体を形成した案内ガイドロールを具備するプラズマCV
D装置などの薄膜形成装置を用いれば、得られる薄膜の
熱損傷などを抑制しつつ、膜特性を安定させて成膜を行
うことができる。また、この薄膜形成方法により磁気テ
ープなどの磁気記録媒体の保護層として、ダイアモンド
ライクカーボン膜などを形成した場合、得られる薄膜の
膜特性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる案内ガイドロールの概略斜視
図である。
【図2】 本発明に係わる案内ガイドロールと被処理体
との関係を示す概略斜視図である。
【図3】 従来例の磁気記録媒体の概略断面図である。
【図4】 従来例のプラズマCVD装置の概略断面図で
ある。
【図5】 従来例のプラズマCVD装置の要部概略断面
図である。
【符号の説明】
1…案内ガイドロール、2…導電体、3…絶縁体、4…
磁気記録媒体、5…非磁性支持体、6…下塗り層、7…
磁気記録層、8…保護層、9…潤滑剤層、10…バック
コート層、11…プラズマCVD装置、12…被処理
体、13…真空槽、14…巻き出しロール、15…キャ
ンロール、16…巻き取りロール、17…真空排気装
置、18…反応管、19…ガス導入口、20…電極、2
1…DC電源、Ф…ガイド径、a…ガイド幅、b,c,
d,e…幅
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 淳博 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 小鹿 行広 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 3F104 AA04 JA03 JC01 JC02 JC08 JC09 4K030 AA09 AA16 BA27 BA28 CA07 CA17 FA03 GA14 HA04 KA47 LA20

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空槽と、 前記真空槽中で、プラズマを発生させる手段と、 前記真空槽へのガス導入手段と、 前記真空槽中で被処理体を巻回支持して走行させる案内
    ガイドロ−ルとを具備した薄膜形成装置において、 前記案内ガイドロールの前記被処理体に摺接する外周面
    は、前記案内ガイドロールの幅方向の両端部に導電体
    と、中央部に絶縁体とを有することを特徴とする薄膜形
    成装置。
  2. 【請求項2】 前記案内ガイドロールの前記導電体と前
    記被処理体との摺接部の電流密度は、20.5×10-3
    A/mm2 以下であることを特徴とする請求項1に記載
    の薄膜形成装置。
  3. 【請求項3】 前記絶縁体の電気抵抗は10000Ω以
    上であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装
    置。
  4. 【請求項4】 前記絶縁体はセラミックスであることを
    特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
  5. 【請求項5】 前記導電体はステンレスであることを特
    徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
  6. 【請求項6】 前記薄膜形成装置はプラズマCVD装置
    であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装
    置。
  7. 【請求項7】 減圧雰囲気中で、プラズマを発生させる
    工程と、 前記減圧雰囲気へのガス導入工程と、 案内ガイドロールを用いて被処理体を巻回支持して走行
    させる工程とを有し、前記被処理体に薄膜を形成する工
    程を具備する薄膜形成方法において、 前記案内ガイドロールに前記被処理体が摺接する外周面
    が、前記案内ガイドロールの幅方向の両端部に導電体
    と、中央部に絶縁体とを有することを特徴とする薄膜形
    成方法。
  8. 【請求項8】 前記案内ガイドロールの前記導電体と前
    記被処理体との摺接部の電流密度は、20.5×10-3
    A/mm2 以下であることを特徴とする請求項7に記載
    の薄膜形成方法。
  9. 【請求項9】 前記絶縁体の電気抵抗は10000Ω以
    上であることを特徴とする請求項7に記載の薄膜形成方
    法。
  10. 【請求項10】 前記絶縁体はセラミックスであること
    を特徴とする請求項7に記載の薄膜形成方法。
  11. 【請求項11】 前記導電体はステンレスであることを
    特徴とする請求項7に記載の薄膜形成方法。
  12. 【請求項12】 前記薄膜を形成する工程はプラズマC
    VD法を用いることを特徴とする請求項7に記載の薄膜
    形成方法。
  13. 【請求項13】 前記被処理体は磁気記録媒体であり、
    前記薄膜を形成する工程は、前記磁気記録媒体の磁気記
    録層上に保護層を形成する工程であることを特徴とする
    請求項7に記載の薄膜形成方法。
  14. 【請求項14】 前記保護層はカーボンおよびダイアモ
    ンドライクカーボンのうちのいずれか1種を含むことを
    特徴とする請求項13に記載の薄膜形成方法。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載の薄膜形成装置に用い
    られることを特徴とする案内ガイドロール。
  16. 【請求項16】 前記絶縁体の電気抵抗は10000Ω
    以上であることを特徴とする請求項15に記載の案内ガ
    イドロール。
  17. 【請求項17】 前記絶縁体はセラミックスであること
    を特徴とする請求項15に記載の案内ガイドロール。
  18. 【請求項18】 前記導電体はステンレスであることを
    特徴とする請求項15に記載の案内ガイドロール。
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