JP2001032070A - 成膜方法及び成膜装置 - Google Patents

成膜方法及び成膜装置

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JP2001032070A
JP2001032070A JP11205257A JP20525799A JP2001032070A JP 2001032070 A JP2001032070 A JP 2001032070A JP 11205257 A JP11205257 A JP 11205257A JP 20525799 A JP20525799 A JP 20525799A JP 2001032070 A JP2001032070 A JP 2001032070A
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magnetic
film forming
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JP11205257A
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Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
Kikuji Kawakami
喜久治 川上
Yoshito Ebine
義人 海老根
Yasunori Kin
康憲 金
Yukihiro Kojika
行広 小鹿
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アークによる熱負けの発生を抑制し、成膜の
安定化と高速化を図る。 【解決手段】 磁気記録媒体の磁性層上にCVD法によ
りカーボン保護膜を成膜するに際し、成膜前後に上記磁
気記録媒体に対して電子を照射する。電子の照射量は、
カーボン保護膜を成膜する際に反応管に供給される総電
流の90〜110%とする。成膜装置は、CVD法によ
りカーボン保護膜を成膜する反応管と、磁性層が形成さ
れた磁気記録媒体が表面に沿って走行される円筒状の対
向電極とから構成し、反応管の前後に走行する磁気記録
媒体に対向して電子供給装置を設ける。対向電極の前後
に上記磁気記録媒体の走行をガイドするガイドローラを
設置する場合、ガイドローラは絶縁構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜の成膜方法及
び成膜装置に関するものであり、具体的には、カーボン
保護膜をCVD法(化学的気相成長法)により成膜する
成膜方法及び成膜装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録
媒体は、例えばオーディオ機器、ビデオ機器、コンピュ
ータ等に用いられ、その需要は著しく伸びてきている。
【0003】従来、磁気記録媒体としては、非磁性支持
体上に酸化物磁性粉末又は合金磁性粉末等の粉末磁性材
料を、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエステ
ル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機バイ
ンダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥すること
により作成された、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が広
く使用されている。
【0004】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co
−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段
〔真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等のいわゆるPVD技術(物理的蒸着法:Physical
Vapor Deposition )〕によってポリエステルフィルム
やポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム等の非磁性
支持体上に直接被着した、いわゆる金属磁性薄膜型の磁
気記録媒体が提案され、注目を集めている。
【0005】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、保
磁力や角型比に優れ、磁性層の厚みを極めて薄くできる
ため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さく、ま
た、短波長での電磁変換特性に優れるばかりでなく、磁
性層中に非磁性材料であるバインダーを混入する必要が
ないために磁性材料の充填密度を高めることができる
等、数々の利点を有している。
【0006】さらに、この種の磁気記録媒体の電磁変換
特性を向上させ、より大きな出力を得ることができるよ
うにするために、磁気記録媒体の磁性層を形成するに際
し、磁性層を斜めに蒸着する、いわゆる斜方蒸着も提案
され、実用化されている。
【0007】以上のような特徴を有する金属磁性薄膜型
の磁気記録媒体は、電磁変換特性及び磁気特性的な優位
性のゆえに、今後の高密度記録用磁気記録媒体の主流に
なるものと考えられている。
【0008】ところで、この種の磁気記録媒体では、一
層の高密度記録化を目的として、スペーシング損失を少
なくするために媒体表面が平滑化される傾向にある。し
かしながら、磁性層表面が平滑であると、磁気ヘッドや
ガイドローラー等の摺動部材に対する実質的な接触面積
が大きくなり、このため媒体に生ずる剪断応力は大きく
なることから、不具合やトラブルが多くなる。例えば、
媒体と磁気ヘッドとの間の摩擦力が大きくなって、凝着
現象(いわゆる貼り付き)が起こり易くなったり、走行
性や耐久性が十分確保されない等である。
【0009】このトラブルについて、いわゆる8ミリV
TRシステムを例に挙げて説明する。例えば、8ミリビ
デオデッキに挿入された8ミリテープは、10個以上の
ガイドピンを通って、ドラムに巻き付けられる。その
際、ピンチローラーとキャプスタンによつてテープテン
ションとテープ走行達度は一定に保たれていて、テンシ
ョンは約20g、走行達度は約0.5cm/秒である。
【0010】この走行系において、テープの磁性層はス
テンレス製の固定されたガイドピンまたはアルミ合金製
の固定されたヘッドドラムと摺接する構造になってい
る。そのために、テープ表面の摩擦が大きくなると、テ
ープがスティックスリップを起こして、いわゆるテープ
鳴きという現象が起き、再生画面がひきつれたような異
常トラブルを引き起こす。
【0011】また、VTRシステムでは、テープとヘッ
ドとの相対速度は非常に大きく、特にポーズ状態では同
じ場所での高速摺動となるので、磁性層の摩耗や破壊と
いった問題が生じ易く、摩耗粉のヘッドヘの付着による
再生出力の低下等につながる。特に、磁性層を蒸着法に
より形成した蒸着テープの場合、この磁性層は非常に薄
く、且つ金属であるため、この摺動問題はさらに助長さ
れる。
【0012】さらに、ハードデイスク装置では、CSS
(コンタクト・スタート・ストップ)と呼ばれる方式が
採用されており、回転前には磁気ヘッドは磁気ディスク
に接触し、ディスクが高速で回転を始めると発生する空
気流によって浮上するタイプの装置が使用されている。
したがって、起動停止又は起動時には媒体がディスク表
面を擦って走行するので、そのときの摩擦の増加が大き
な問題となっている。
【0013】商品レベルの信頼性を保つには、CSS操
作を2万回行った後の摩擦係数が特に0.5以下である
ことが望まれる。また、高速で回転しているので、ヘッ
ドと媒体によるヘッドクラッシュ等の発生も課題の一つ
である。
【0014】このように、摺動耐久性が厳しくなる状況
の中で、特に、耐久性を向上させる目的で、磁性層の表
面に保護膜を形成する技術の検討がなされている。
【0015】このような保護膜としては、カーボン膜
(炭素膜)、石英(SiO2 )膜、ジルコニア(ZrO
2 )膜等が検討され、ハードディスクにおいては実用化
されているものもある。
【0016】特に、最近は、カーボン膜の一種で前述の
カーボン膜よりも硬度が大きいダイヤモンドライクカー
ボン(DLC:ダイヤモンド構造を主とするカーボン)
膜等の膜形成の検討も行われている。このDLC膜は今
後主流になるものと思われる保護膜である。
【0017】ここで、このような保護膜(DLC膜)の
形成手段としては、スパッタリング法、CVD法等が用
いられている。
【0018】スパッタリング法とは、電場や磁場を利用
してアルゴンガス等の不活性ガスの電離(プラズマ化)
を行い、さらに、電離したイオンを加速することにより
得られる運動エネルギーによって、ターゲットの原子を
叩き出す。そして、叩き出された原子が対向する基板上
に堆積し、目的とする膜を形成する物理的プロセスであ
る。
【0019】一方、CVD法(化学的気相成長法:Chem
ical Vapor Deposition )とは、気相の成長を利用した
薄膜形成技術の一つであり、成膜物質を含有するガスの
高温空間等における化学反応を利用して原料ガスを分解
し、成膜物質を生成させ、この成膜物質を基体上に堆積
させる方法である。CVD法を用いた装置の代表的なも
のとして、プラズマCVD装置が挙げられる。
【0020】プラズマCVD装置を用いたプラズマCV
D法は、電場や磁場を用いて発生させたプラズマのエネ
ルギーを利用して、原料となる気体の分解、合成等の化
学反応を起こさせて、薄膜を形成する化学的プロセスで
あり、このプラズマCVD法による成膜は、上記のスパ
ッタリング法に比べて膜の形成速度が大きく、また、様
々な原料ガスを選択することができる等、磁気記録媒体
の保護膜(特にDLC膜)の形成法として期待されてい
るものである。
【0021】このような状況から、例えば、磁気記録媒
体の表面保護膜の形成には、原料となる気体を分解して
磁気記録媒体上に誘導する反応管を使用して、キャンロ
ール上で案内されながら連続走行する長尺状の磁気記録
媒体原反(実際には上記の金属磁性薄膜付きのもの)上
に連続的に成膜する方法が提案されている。
【0022】かかる反応管を用いると、原料となる物質
(例えば、エチレン等の炭化水素系のガス)を十分に分
解し、媒体上に効率よく誘導することができる。
【0023】ここで、従来より使用されているプラズマ
CVD装置の一例を、図4を参照しながら説明する。
【0024】この装置は、金属磁性薄膜からなる磁性層
を有する磁気記録媒体の前記磁性層上に表面保護膜とし
てカーボン膜を成膜する装置である。
【0025】この装置内では、磁気記録媒体(原反)で
ある被処理体101は、巻き出しロール103から回転
支持体(案内ガイドロール)102、反応管105に対
向配置される対向電極(キャンロール)109、回転支
持体(案内ガイドロール)102、巻き取りロール10
4の順に搬送される。
【0026】反応管105の内部にはメッシュ電極10
6が組み込まれており、この電極106には直流電源1
07により+500〜+2000V程度の電圧が加えら
れる。また、炭化水素を主成分とするガス(例えばエチ
レンガス)112は、ガス導入口108から導入され
る。また、ここでは反応管105に対向して円筒状の回
転可能な対向電極(キャンロール)109が微小な隙間
(例えば1mm程度)を置いて設置されている。また、
この装置の内部(真空槽111)は、真空排気系110
により真空状態になされている。
【0027】この装置においては、ガス導入口108か
ら導入される炭化水素を主成分とするガス(エチレンガ
ス等の成膜物質)が、反応管105内の成膜物質分解領
域115に生じる直流電界によつて分解(励起、プラズ
マ化)され、キャンロール109上において順次搬送さ
れる被処理体101上に堆積してカーボン膜を形成す
る。
【0028】このような方法及び装置により作製された
カーボン膜によって、磁気記録媒体の耐久性は著しく向
上する。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
成膜装置では、装置構成(図4参照)から判断されるよ
うに、高電圧印加でプラズマ分解された成膜物質を被処
理体101上に成膜する場合に、同時に被処理体101
にもかなりの高電流が流れる構造となつている。
【0030】この発生した高電流を、例えばアース接地
のように、どこかにリークしなければ、被処理体の正常
な走行が不可能になったり、又はカミナリ放電による被
処理体自体の切断といった不具合が生ずることに繋が
る。
【0031】したがって、連続して長尺状の磁気記録媒
体である被処理体に成膜を行う際には、装置自体を電気
回路と見なして、発生した高電流を安定して流す構造に
することが重要となる。
【0032】ところが、反応時に発生する高電流を例え
ばキャンロールに対してアース接地を行うことで外部に
流す構造とする方法では、安定した成膜自体は可能にな
るものの、アース接地に至る途中で被処理体と隣接する
金属ガイドロールとの摺接に際し微小なカミナリ放電現
象であるアークが発生し、被処理体自身へのダメージ
(この場合、多くはピンホール型の熱負けと称する磁性
層及び非磁性支持体の微小変形)が起きるという技術課
題を抱えている。さらに、前述の課題は高電圧印加(成
膜速度に比例)になるほど顕著になるという問題も有し
ている。
【0033】そこで本発明は、上述した従来の実情に鑑
みてなされたものであり、その目的は、主として薄膜
(例えばカーボン膜)の成膜速度を向上させることがで
き、且つ被処理体に対してダメージを与えることのない
成膜方法を提供すること、及びその実施に使用できる成
膜装置を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の成膜方法は、磁気記録媒体の磁性層上に
CVD法によりカーボン保護膜を成膜するに際し、成膜
前後に上記磁気記録媒体に対して電子を照射することを
特徴とするものである。
【0035】また、本発明の成膜装置は、CVD法によ
りカーボン保護膜を成膜する反応管と、磁性層が形成さ
れた磁気記録媒体が表面に沿って走行される円筒状の対
向電極とを備え、上記反応管の前後に上記走行する磁気
記録媒体に対向して電子供給装置が設けられていること
を特徴とするものである。
【0036】CVDカーボン膜成膜方法、成膜装置にお
いて、CVD反応管の前後に電子供給装置を設置する構
造とし、磁気記録媒体に対して電子を照射するようにす
ることにより、例えば案内ガイドロールと被処理体との
摺接部分でのアーク発生によるダメージ(ピンホール型
の熱負けと称する磁性層及び非磁性支持体の微小変形)
が抑制され、生産性が向上されるばかりでなく、安定し
た成膜を行うことが可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した成膜方
法、成膜装置について、図面を参照しながら詳細に説明
する。
【0038】図1は、本発明の成膜方法を実施するため
の成膜装置の一構成例を示すものである。
【0039】なお、この成膜装置は、図4に示す成膜装
置と同様、真空排気される真空チャンバー内で成膜する
ものであるが、ここでは真空チャンバー(真空槽)及び
真空排気系については図示を省略してある。
【0040】本例の成膜装置は、磁気記録媒体に対して
カーボン保護膜をCVD法により成膜するものである。
【0041】したがって、磁気記録媒体1を供給する供
給ロール2、成膜後の磁気記録媒体1を巻き取る巻き取
りロール3を備えており、被処理体である長尺状の磁気
記録媒体1を連続的に供給するような構成とされてい
る。
【0042】中央部には、大径のキャンロール4が配置
されており、上記磁気記録媒体1は、このキャンロール
4の周面に沿って走行することになる。すなわち、上記
磁気記録媒体1は、供給ロール2、キャンロール4、巻
き取りロール3の順に搬送される。
【0043】上記キャンロール4は、CVD反応管の対
向電極としても機能するもので、形状としては円筒状、
回転可能であり、電気的には接地されている。
【0044】また、上記キャンロール4と対向してCV
D反応管5が配置されており、ここで磁気記録媒体1表
面にカーボン保護膜が成膜されるようになっている。こ
こで、キャンロール4とCVD反応管5の間の隙間は微
小なものとされ、例えば1mm程度に設定されている。
【0045】このCVD反応管5の内部には、メッシュ
電極6が組み込まれており、このメッシュ電極6には直
流電源7により+500〜+2000V程度の直流電圧
が印加される。
【0046】CVD反応管5には、エチレンガス等の炭
化水素を主成分とするガスが原料ガスとして供給され、
これが上記直流電界によって分解(励起、プラズマ化)
され、キャンロール4により順次搬送される磁気記録媒
体1上に堆積してカーボン保護膜を形成する。
【0047】以上がCVD法による成膜方法、成膜装置
の基本的な構成であるが、本発明では、CVD法による
成膜の前後に、すなわちキャンロール4の両側位置に電
子供給装置8が設けられ、磁気記録媒体1に対して電子
を照射するように構成されている。
【0048】上記電子供給装置8は、図2に示すように
プラズマ発生電源9(ヒーター加熱、RF放電)と、電
子引き出し用のバイアス電源10とから構成されるもの
で、Ar等の放電ガスをプラズマ発生電源9に供給し、
発生したプラズマから電子を引き出して照射するという
ものである。具体的には、市販の電子銃を使用すること
ができる。
【0049】この電子供給装置8によりCVD成膜前後
に磁気記録媒体1に対して電子を照射することにより、
磁気記録媒体1に流れる高電流をアークを発生すること
なく速やかに解消することが可能となる。
【0050】なお、本例の成膜装置では、上記電子供給
装置8による電子照射位置にそれぞれ一対のガイドロー
ル11が設けられており、磁気記録媒体1の走行がガイ
ドされると同時に、磁気記録媒体1の走行状態が安定化
されている。
【0051】ここで、これらガイドロール11を金属ガ
イドロールとし、接地するような構成とすることも考え
られるが、この場合にはアースのための経路が2系統に
分かれることになって金属ガイドロール側でアークが発
生し易い。したがって、ガイドロール11はアース接地
から絶縁することが好ましい。特に、ガイドロール11
の表面をセラミックでコーティングし、アース接地なし
とすれば、アークによる熱負けがほとんど発生しない。
【0052】一方、本発明が適用される成膜方法、成膜
装置において、成膜対象となる被処理体である磁気記録
媒体は、非磁性支持体の一方の面に金属磁性薄膜が形成
され、当該非磁性支持体の他方の面にバックコート層が
形成されてなる、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒
体である。
【0053】金属薄膜型の磁気記録媒体において、磁性
層として形成される金属磁性薄膜は、通常の構成でよ
い。
【0054】すなわち、金属磁性薄膜の材料としては、
Fe、Co、Ni等の強磁性金属、Fe−Co、Co‐
Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Co−Cu、C
o−Au、Co−Pt、Mn−Bi、Mn‐Al、Fe
−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、
Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性
合金等が挙げられる。金属磁性薄膜は、これらの単層膜
であってもよいし、多層膜であってもよい。また、金属
磁性薄膜には、耐蝕性改善等のために表面近傍を酸化物
層としたり、非磁性支持体との間に下地層を設けてもよ
い。さらに、多層膜である場合には、金属磁性薄膜同士
の間に中間層を設けることで付着力の向上、並びに保磁
力の制御等を図るようにしてもよい。
【0055】金属磁性薄膜の形成手段としては、真空下
で強磁性金属材料を加熱蒸発させ非磁性支持体上に沈着
させる真空蒸着法や、強磁性金属材料の蒸発を放電中で
行うイオンプレーティング法、アルゴンを主成分とする
雰囲気中でグロー放電を起こし、生じたアルゴンイオン
でターゲット表面の原子を叩き出すスパッタ法等、いわ
ゆるPVD技術が挙げられる。
【0056】上記バックコート層は、非磁性顔料粉末と
結合剤を主体として構成されるものであり、その厚みは
あまり薄いと塗りむらが発生し、逆に厚すぎると記録容
量が少なくなるため、0.3〜1.0μmが適当であ
る。
【0057】非磁性顔料粉末としては、ヘマタイト、雲
母、シリカゲル、酸化マグネシウム、硫化亜鉛、炭化タ
ングステン、窒化ホウ素、デンプン、酸化亜鉛、カオリ
ン、タルク、粘土、硫酸鉛、炭酸バリウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、ベーム石(γ−Al23・H
2O )、アルミナ、硫化タングステン、酸化チタン、ポ
リテトラフルオロエチレン粉末、ポリエチレン粉末、ポ
リ塩化ビニル粉末、金属粉末等が挙げられる。
【0058】また、樹脂結合剤としては、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニル
アルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイ
ン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、
塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エ
ステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステ
ル−酢酸ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−
スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノ
キシ樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリ
ロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共
重合体、ブタジエン−アクリロニトリル−メタクリル酸
共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、
スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂の単独また
はこれらの混合物等が挙げられる。なかでも柔軟性を付
与するとされているポリウレタン樹脂、ポリエステル樹
脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリカー
ボネート樹脂等が好ましい。
【0059】なお、これら結合剤には、適当な極性基を
導入することで非磁性顔料粉末の分散性を向上させた
り、架橋剤となるイソシアネート化合物を用いて架橋構
造を形成し、耐久性を向上させるようにしてもよい。
【0060】架橋剤としては、トリメチロールプロパン
に2,4−トリレンジイソシアネート(TDI、例えば
商品名コロネートL−50)を付加したものが一般的で
あるが、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)やヘキサンジイソシアネート(HDI)等を
付加させたものを使用してもよい。
【0061】塗料化するための溶剤としては、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエ
チルエステル等のエステル系溶剤、グリコールジメチル
エーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン
等のグリコールエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライ
ド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、
エチレンクロルヒドリン、ジクロロベンゼン等の有機塩
素化合物系溶剤が挙げられる。
【0062】また、上記非磁性支持体としては、例え
ば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、
セルローストリアセテート、セルロースダイアセテー
ト、セルロースブチレート等のセルロース誘導体、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポ
リカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド等のプ
ラスティックが挙げられる。
【0063】これら非磁性支持体には、金属磁性薄膜が
形成される側の面に層状作用による媒体の表面性制御を
目的として、複数の徴細な表面突起を形成するようにし
てもよい。これら表面突起は、上記非磁性支持体の原材
料(チップ)内に所定の大きさのフィラーを分散させ、
所定の密度で凝集させて上記非磁性支持体の表面に浮き
出させることによって上記非磁性支持体の表面を凹凸状
とする方法や、上記非磁性支持体上に所定の粒径を有す
る微粒子を所定の密度で分散させ、これをバインダー樹
脂等により定着させる方法等によって形成される。フィ
ラーとしては、SiO2 粒子や水溶性ラテックス等が挙
げられる。
【0064】以上が磁気記録媒体の基本的な構成である
が、この場合にも通常の磁気記録媒体と同様、潤滑剤、
防錆剤等よりなるトップコート層を設けることでさらな
る特性の改善を図るようにしてもよい。
【0065】潤滑剤としては、主骨格がフルオロカーボ
ン系、アルキルアミン、アルキルエステル等のものが適
当である。
【0066】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて、実験結果に基づいて説明する。
【0067】<磁気記録媒体の作製>厚さ6μm、幅1
27mmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィ
ルムからなる非磁性支持体の片面に、アクリル酸エステ
ルを主成分とする水溶性ラテックスを分散させたエマル
ジョン溶液を塗布し、粒子密度1000個/mm2 の表
面突起を形成した。このPETフィルムの表面突起を形
成した側の表面に、リールツーリール方式の連続巻取り
蒸着装置を用いて、磁気記録層を形成した。蒸着条件を
下記に示す。
【0068】 磁性層組成 :Co100%、単層 磁性層厚 :200nm 磁性膜蒸着幅 :100mm 入射角 :35°〜60° 導入ガス :酸素ガス 蒸着時真空度 :2×10-2Pa 次に、図1に示す装置を用い、後述の条件にしたがって
磁気記録層上にCVD法によりカーボン保護膜(DLC
膜)を成膜した。
【0069】保護膜を形成した後、PETフィルムの他
方の面(裏面)に塗布バックコート層を形成した。塗布
バックコート層用の塗料の組成は下記の通りである。
【0070】 カーボン粒子 :100重量部(旭カーボン社製、カー
ボンブラック#60) 有機バインダー:100重量部(ポリカーボネートを主
成分とする。) 溶剤 :250重量部(メチルエチルケトン/
トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1) この組成物をボールミルで混合し、塗布直前に硬化剤
(コロネートL)を5重量部添加した。この塗料をグラ
ビアコータにより、乾燥塗布厚が0.5μmとなるよう
に塗布した。
【0071】次に、フルオロカーボンを主骨格とし、こ
れがジメチルデシルアミン構造となるように変成したも
ののトルエン溶液を塗布することにより、潤滑剤層をカ
ーボン保護膜上に形成した。
【0072】この後、6.35mm幅に裁断してカセッ
トに収納し、サンプルテープとした。
【0073】<CVD法によるカーボン保護膜の成膜実
験:その1>本実験では、主に電子供給装置からの電子
の照射の有無による相違を調べた。
【0074】磁気記録媒体の作製は上記に準じて行い、
カーボン保護膜の成膜条件は下記の通りとした。
【0075】 導入ガス :エチレン+アルゴン ガス比 :C24/Ar=4/1 トータル流量 :150(sccm) 反応圧力 :30(Pa) 印加電圧 :DC1.2(kV) 導入電流 :1.0(A) 反応管数 :1 カーボン保護膜膜厚 :9nm この条件のもとで、磁気記録媒体に対する電子の照射の
有無、さらには磁気記録層と摺接する反応管案内ガイド
ロールの材質や絶縁状態を変化させて、サンプルテープ
1〜4を作製した。
【0076】効果の確認は、ドロップアウト(以下D
O)測定で評価した。この評価法は、常温常湿環境下で
サンプルテープをVTRに実装してDOを求める試験方
法であり、DOサイズは−6dB,10μsのゲートで
評価を行った。
【0077】ドロップアウト測定系は、図3に示すよう
に、VTR21、制御用パソコン22、オシロスコープ
23、モニター24、DOカウンター25、プリンター
26により構成される。
【0078】DO評価に用いたVTRデッキはソニー社
製,商品名DCR−VX1000であり、DOカウンタ
ーにはシバソク社製,商品名VH06AZを使用した。
なお、DO測定の測定手順は、サンプルテープに単一周
波数(波長1μm)の信号を記録し、再生出力をオシロ
スコープ及びDOカウンターに入力し、DO数を計測し
た。
【0079】各サンプルテープにおける成膜条件及び評
価結果を表1に示す。DO(−6dB,10μs)の数
は50個/分以下であれば画質的、音質的に問題無い。
【0080】
【表1】
【0081】サンプルテープ1(比較例に相当)より明
らかなように、電子供給装置から電子を供給しないと電
気回路的に不安定でアークが多発し、DO数も非常に多
い結果となっている。
【0082】またサンプルテープ2では、電子供給装置
から電子を供給しても、手前にアース接地した金属製案
内ガイドロールが存在すると、電流が案内ガイドロール
からアースという経路と電子供給装置との2系統に分か
れることになり、金属製案内ガイドロールと被処理体
(磁気記録媒体)の摺接でアークが発生し、DO数も少
なくない結果となっている。
【0083】サンプルテープ3からは、案内ガイドロー
ルが導体であってもアース接地から絶縁されていれば熱
負けが発生せず、DO値が低くく良好な値になっている
ことがわかる。
【0084】さらに、サンプルテープ4の結果から、案
内ガイドロールの表面を絶縁体(電気抵抗10000
Ω)とし磁気記録媒体に電子を供給してやれば、アーク
による熱負けが発生せず、DO数も少なく良好な結果と
なっていることがわかる。
【0085】<CVD法によるカーボン保護膜の成膜実
験:その2>本実験では、電子照射条件について検討し
た。
【0086】案内ガイドロールの表面を絶縁体(セラミ
ック)とし、接地しない条件下で、電子の照射量のみを
変えてサンプルテープ5〜9を作製した。
【0087】そして、これらサンプルテープについても
同様にドロップアウト(以下DO)測定で評価した。結
果を表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】この表2から明らかなように、電子照射量
をCVD反応総電流の90〜110%とすることで、ア
ークによる熱負けが発生せず、DO数が著しく少なくな
っている。
【0090】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、アークによる熱負けの発生を大幅に抑制す
ることができ、安定した成膜と生産性の向上を図ること
が可能である。
【0091】したがって、本発明によりCVD装置自体
の潜在能力を十分に発揮させることが可能となるため、
その効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したCVD成膜装置の一構成例を
示す模式図である。
【図2】電子供給装置の一例を示す模式図である。
【図3】ドロップアウト測定系の構成例を示すブロック
図である。
【図4】従来のCVD成膜装置の構成を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体、4 キャンロール、5 CVD反応
管、8 電子供給装置、11 ガイドロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 海老根 義人 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 金 康憲 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 小鹿 行広 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4K030 AA09 AA16 BA27 CA07 CA11 CA12 DA02 DA08 FA03 GA14 HA04 KA49 LA20 5D112 AA07 AA22 BC05 FA09 GA19 KK05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体の磁性層上にCVD法によ
    りカーボン保護膜を成膜するに際し、 成膜前後に上記磁気記録媒体に対して電子を照射するこ
    とを特徴とする成膜方法。
  2. 【請求項2】 上記電子の照射量は、上記カーボン保護
    膜を成膜する際に反応管に供給される総電流の90〜1
    10%とすることを特徴とする請求項1記載の成膜方
    法。
  3. 【請求項3】 CVD法によりカーボン保護膜を成膜す
    る反応管と、磁性層が形成された磁気記録媒体が表面に
    沿って走行される円筒状の対向電極とを備え、上記反応
    管の前後に上記走行する磁気記録媒体に対向して電子供
    給装置が設けられていることを特徴とする成膜装置。
  4. 【請求項4】 上記対向電極の前後に上記磁気記録媒体
    の走行をガイドするガイドローラが設置され、当該ガイ
    ドローラは絶縁構造とされていることを特徴とする請求
    項3記載の成膜装置。
  5. 【請求項5】 上記電子供給装置が電子銃であることを
    特徴とする請求項3記載の成膜装置。
  6. 【請求項6】 上記電子供給装置から照射される電子の
    照射量が、上記反応管に供給される総電流の90〜11
    0%とされていることを特徴とする請求項3記載の成膜
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007051344A (ja) * 2005-08-18 2007-03-01 Sony Corp 成膜装置

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