JPH09320044A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH09320044A
JPH09320044A JP16077496A JP16077496A JPH09320044A JP H09320044 A JPH09320044 A JP H09320044A JP 16077496 A JP16077496 A JP 16077496A JP 16077496 A JP16077496 A JP 16077496A JP H09320044 A JPH09320044 A JP H09320044A
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JP16077496A
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Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
Takahiro Kawana
隆宏 川名
Yasuyo Hisamichi
康代 久道
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性層上に、カーボン保護膜を設けることに
よって、優れた摺動耐久性を確保することを可能とし、
高密度記録に好適な磁気記録媒体、及びその製造方法を
提供すること。 【解決手段】 磁性層上に、表面被覆率が80%以上であ
るカーボン保護膜が設けられている磁気記録媒体、及び
この磁気記録媒体を製造するに際し、前記カーボン保護
膜を成膜する際の圧力を 100Pa以下とする、磁気記録
媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体(例
えば、ハイバンド8ミリビデオテープやデジタルビデオ
テープレコーダ等の短波長磁気記録信号(高密度記録)
の記録再生に好適な磁気テープ、磁気ディスク等)及び
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体は、例えばオ−ディ
オ機器、ビデオ機器、コンピュ−タ等に用いられ、その
需要は著しく伸びてきている。
【0003】従来より、磁気記録媒体としては、非磁性
支持体上に酸化物磁性粉末又は合金磁性粉末等の粉末磁
性材料を、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエ
ステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機
バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥する
ことにより作成された、いわゆる塗布型の磁気記録媒体
が広く使用されている。
【0004】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co
−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段
(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等のいわゆるPVD技術)によってポリエステルフ
ィルムやポリアミド、ポリイミドフィルム等の非磁性支
持体上に直接被着した、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気
記録媒体が提案され、注目を集めている。
【0005】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、保
磁力や角型比に優れ、磁性層の厚みを極めて薄くできる
ため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さく、短
波長での電磁変換特性に優れるばかりでなく、磁性層中
に非磁性材料であるバインダーを混入する必要がないた
め、磁性材料の充填密度を高めることができる等、数々
の利点を有している。
【0006】即ち、金属薄膜媒体は、磁気特性的な優位
性の故に、高密度磁気記録の主流になると考えられてい
る。
【0007】さらに、この種の磁気記録媒体の電磁変換
特性を向上させ、より大きな出力を得ることができるよ
うにするために、磁気記録媒体の磁性層を形成する場
合、磁性層を斜めに蒸着する、いわゆる斜方蒸着が提案
され、実用化されている。
【0008】ところで、塗布型及び金属磁性薄膜型の磁
気記録媒体では、一層の高密度化を図ることから、スペ
ーシング損失を少なくするために媒体は平滑化される傾
向にある。しかし、磁性層表面の平滑性が良好である
と、磁気ヘッドやガイドローラー等の摺動部材に対する
実質的な接触面積が大きくなり、従って、摩擦係数が大
きくなって、凝着現象(いわゆる張り付き)が起き易
く、走行性や耐久性に欠ける等、媒体に生ずる剪断応力
は大きくなり、問題点が多い。
【0009】例えば、8ミリビデオデッキに挿入された
テープは、10個以上のガイドピンを通って、ドラムに巻
き付けられる。その際、ピンチローラーとキャプスタン
によってテープテンションとテープ走行速度は一定に保
たれていて、テンションは約20g、走行速度は 0.5cm/s
である。
【0010】この走行系において、テープの磁性層はス
テンレス製の固定されたガイドピンと接触する構造にな
っている。そのために、テープ表面の摩擦が大きくなる
と、テープがスティックスリップを起こして、いわゆる
テープ鳴きという現象が起き、再生画面のひきつれを起
こす。
【0011】また、テープとヘッドとの相対速度は非常
に大きく、特にポーズ状態では同じ場所での高速接触と
なるので、磁性層の摩耗の問題が生じ、再生出力の低下
につながる。磁性層を蒸着で形成した蒸着テープの場合
には、磁性層が非常に薄いので、この問題は更に助長さ
れる。
【0012】ハードディスク装置では、CSS(コンタ
クト・スタート・ストップ)といって、回転前には磁気
ヘッドはディスクに接触しており、高速で回転を始める
と、発生する空気流によって浮上するタイプである。従
って、起動停止又は起動時には媒体を擦って走行するの
で、そのときの摩擦増加が大きな問題となっている。
【0013】商品レベルの信頼性を保つには、CSS操
作を2万回行った後の摩擦係数が特に 0.5以下であるこ
とが望まれる。また、高速で回転しているので、ヘッド
と媒体によるヘッドクラッシュの問題も薄膜媒体では課
題の一つである。
【0014】このように、摺動耐久性が厳しくなる状況
の中で、耐久性を向上させる目的で、磁性層の表面に保
護膜を形成する技術の検討がなされてきた。
【0015】このような保護膜としては、カーボン膜、
石英(SiO2 )膜、ジルコニア(ZrO2 )膜等が検
討され、ハードディスクにおいては実用化されているも
のもある。
【0016】特に、最近は、カーボン膜よりも硬度が大
きいダイヤモンドライクカーボン(DLC:ダイヤモン
ド構造をとるカーボン)膜等の膜形成の検討も行われて
おり、今後は主流になるものと思われる保護膜である。
【0017】このDLC膜の膜形成方法としては、スパ
ッタリング法、CVD法が用いられている。
【0018】スパッタリング法とは、電場や磁場を利用
してアルゴンガス等の不活性ガスの電離(プラズマ化)
を行い、更に、電離したイオンを加速することにより得
られる運動エネルギーによって、ターゲットの原子を叩
き出す。そして、その叩き出された原子が対向する基板
上に堆積し、目的とする膜を形成する物理的プロセスで
ある。
【0019】この方法によるDLC膜の形成速度は一般
に遅く、工業的見地からは、生産性に劣る成膜手段であ
る。
【0020】これに対し、プラズマCVD法(化学的気
相成長法)は、電場や磁場を用いて発生させたプラズマ
のエネルギーを利用して、原料となる気体の分解、合成
等の化学反応をおこさせ、膜を形成する化学的プロセス
である。
【0021】これらの方法により形成されたカーボン膜
により、上記した摺動耐久性は著しく向上する。しか
し、カーボンの膜厚や硬度等の如く、表面におけるカー
ボン膜の状態によっては、この耐久性の効果が見られな
い。従って、このカーボン膜の状態が非常に重要な要素
となる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、こうした従
来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁
性層の摺動耐久性が大きく向上し、信頼性の高い磁気記
録媒体及びその製造方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、磁性層
を有し、この磁性層上に表面被覆率が80%以上である保
護膜が設けられている磁気記録媒体に係るものである。
【0024】また、本発明は、前記保護膜を成膜する際
の圧力を 100Pa以下とし、表面被覆率を80%以上にす
る、磁気記録媒体の製造方法も提供するものである。
【0025】本発明によれば、保護膜の表面被覆率を80
%以上と特定することによって、意外にも、摺動耐久性
が大きく向上することが判明したものである。そして、
このような表面被覆率は、保護膜を 100Pa以下の圧力
で成膜することによって再現性良く実現できることも判
明した。この表面被覆率は更に90%以上(成膜圧力では
50Pa以下)とするのが望ましい。
【0026】本発明の磁気記録媒体とその製造方法は、
非磁性支持体上に磁気記録層が設けられている磁気記録
媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)の全てが対象とな
るが、特に、ケースに内蔵されている媒体に比べて、外
部に露出する機会の多いテープ媒体等は、耐環境特性が
厳しく要求されるので、本発明による効果が大きい。
【0027】本発明では、磁性層上に設ける保護膜とし
ては、カーボン膜を使用することが好ましい。
【0028】但し、この保護膜の材料は、カーボンの他
にも、一般に使用されているものであってもよい。
【0029】例示すれば、CrO2 、Al2 3 、B
N、Co酸化物、MgO、SiO2 、Si3 4 、Si
X 、SiC、SiNX −SiO2 、ZrO2 、TiO
2 、TiC等が挙げられる。これらは単層膜であっても
よいし、多層膜又は複合膜であってもよい。
【0030】また、前記保護膜を形成する手段として
は、主に、スパッタリング法、CVD法が用いられる。
その他にも、例えば蒸着法、イオンプレーティング法等
のPVD(物理蒸着)法や、常圧CVD、減圧CVD、
熱分解CVD、光CVD、プラズマCVD等のCVD
(化学蒸着)法等の技術を使用できる。
【0031】これらの成膜手段は、通常は単独で使用さ
れるが、例えば、減圧熱分解CVDや減圧プラズマCV
D等のように、組み合わせてもよい。
【0032】このうち、CVD法、特にプラズマCVD
法は、成膜が速いので、量産向きであり、使用されるガ
スを幅広く選ぶことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明による磁気記録媒体として
は、特に、非磁性支持体の表面上に蒸着等の手法により
磁性膜が磁性層として形成され、更にその磁性層の上に
カーボン膜を形成した、いわゆる金属薄膜型の磁気記録
媒体に適用することが好ましい。また、この金属薄膜型
の磁気記録媒体においては、非磁性支持体と磁性層との
間に下地層を設けた構成とすることもできる。また、塗
布型の磁気記録媒体に対しても応用が可能である。
【0034】上記非磁性支持体上には、強磁性金属材料
を直接被着することにより、金属磁性薄膜が磁性層とし
て形成されているが、この金属磁性材料としては、通常
の蒸着テープ等に使用されるものであれば如何なるもの
であってもよい。
【0035】例示すれば、Fe、Co、Ni等の強磁性
金属やFe−Co、Co−Ni、Fe−Co−Ni、F
e−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Pt、Mn
−Bi、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−
Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Fe−C
o−Ni−Cr、等の強磁性合金が例示される。これら
は、単層膜であっても、多層膜であっても良い。
【0036】さらには、非磁性支持体と金属磁性薄膜
間、あるいは多層膜の場合には、各層間の付着力向上及
び保磁力の制御のため、下地層又は中間層を設けてもよ
い。
【0037】金属磁性薄膜の形成手段としては、真空下
で強磁性材料を加熱蒸発させ、非磁性支持体上に沈着さ
せる真空蒸着法や、強磁性材料の蒸発を放電中で行うイ
オンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気
中でグロー放電を起こし、生じたアルゴンイオンでター
ゲット表面の原子を叩き出すスパッタリング法等、いわ
ゆるPVD技術を使用しても良い。
【0038】金属磁性薄膜の厚みは通常、0.02〜1μm
である。
【0039】また、非磁性支持体としても従来公知のも
のが使用できる。
【0040】例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル
類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテ
ート、セルローストリアセテートブチレート等のセルロ
ース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の
ビニル系樹脂、ポリカーボネート類、ポリアミドイミド
類に代表されるような高分子材料や、アルミニウム合
金、チタン合金等の軽金属等からなる金属板、アルミナ
ガラス、セラミックス等により形成される支持体等が挙
げられる。その形態も何ら限定されるものではなく、テ
ープ状、シート状、ドラム状等いかなる形態であっても
よい。
【0041】また、上述の金属薄膜型の磁気記録媒体に
おいて、磁性層である金属磁性薄膜等の他に、バックコ
ート層等が必要に応じて形成されていてもよい。
【0042】バックコート層用塗料中に分散される非磁
性顔料としては、カーボンのほかに、必要に応じて、ヘ
マタイト、雲母、シリカゲル、酸化マグネシウム、硫化
亜鉛、炭化タングステン、窒化ホウ素、デンプン、酸化
亜鉛、カオリン、タルク、粘土、硫酸鉛、炭酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ベーム石(γ
−Al2 3 ・H2 O)、アルミナ、硫化タングステ
ン、酸化チタン、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポ
リエチレン粉末、ポリ塩化ビニル粉末、金属粉等を併用
してもよい。
【0043】バックコート層は上述の非磁性顔料を結合
剤及び有機溶剤と共に混練することによってバックコー
ト層用塗料を調製し、これを非磁性支持体の磁性層とは
反対側の面に塗布することによって形成されるが、この
とき使用される結合剤や有機溶剤はいずれも、従来公知
のものが使用可能であり、何ら限定されるものではな
い。
【0044】例えば、結合剤としては、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルア
ルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン
酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩
化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エス
テル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル
−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−ス
チレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキ
シ樹脂、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニ
トリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合
体、ブタジエン−アクリロニトリル−メタクリル酸共重
合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチ
レン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、
尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルム
アルデヒド樹脂、又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0045】これらは、イソシアネート化合物を架橋剤
として使用し、より耐久性を向上させたり、適当な極性
基を導入したものであってもよい。
【0046】溶剤としては、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の
ケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、
乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエステル等のエ
ステル系溶剤、グリコールジメチルエーテル、グリコー
ルモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエー
テル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレンクロラ
イド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒド
リン、ジクロロベンゼン等の有機塩素化合物系溶剤が挙
げられる。
【0047】バックコート層の厚みは通常、 0.4〜1.2
μmである。
【0048】本発明は、上記した金属薄膜型の磁気記録
媒体だけでなく、非常に微細な磁性粒子と樹脂結合剤と
を含む磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、これを磁性
層とした、いわゆる塗布型の磁気記録媒体に適用しても
よい。
【0049】この塗布型の磁気記録媒体で使用可能な磁
性粒子は、上記した磁性金属の粉末でもよいし、酸化物
磁性粉末でもよい。これには、例えば、γ−Fe
2 3 、Co含有γ−Fe2 3 、Co被着γ−Fe2
3 、Fe3 4 、Co含有Fe34 、Co被着Fe
3 4 、CrO2 等が挙げられる。金属磁性粉末として
は、上述したもの以外にも例えば、Fe−Co−B、F
e−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−
Co−V等が挙げられ、更にこれらの種々の特性を改善
する目的で、Al、Si、Ti、Cr、Mn、Cu、Z
n等の金属成分が添加されたものであってもよい。ま
た、バリウムフェライト等の六方晶系フェライトや窒化
鉄等も使用可能である。
【0050】また、この磁性層のバインダとして、従来
から公知の結合剤樹脂のいずれもが併用可能である。こ
うした公知の樹脂の例としては、塩化ビニル系共重合体
(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニ
ル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニ
トリル共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル共
重合体、−SO3 Na、−SONa等の極性基及びエポ
キシ基が導入された塩化ビニル系共重合体)、ニトロセ
ルロース樹脂等のセルロース樹脂誘導体、アクリル樹
脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール
樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン系
樹脂(例えば、ポリエステルポリウレタン樹脂、−SO
3 Na、−SO2 Na等の極性基が導入されたポリウレ
タン系樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂)を挙
げることができる。
【0051】また、磁性層には必要に応じて、ジブチル
フタレート、トリフェニルフォスフェートのような可塑
剤、ジオクチルスルホナトリウムサクシネート、t−ブ
チルフェノール、ポリエチレンエーテル、エチルナフタ
レンスルホン酸ソーダ、ジラウリルサクシネート、ステ
アリン酸金属塩、ステアリン酸エステル類のような炭化
水素系潤滑剤、シリコンオイルのようなシリコン系潤滑
剤、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロカルボン
酸等のフッ素系潤滑剤、或いはカーボンブラック等の帯
電防止剤を添加することもできる。アルミナ又は酸化ク
ロム等の研磨性のある無機顔料を含有させることもでき
る。
【0052】本発明が適用される、塗布型あるいは金属
磁性薄膜型の磁気記録媒体としては、例えば図2に示す
ように、非磁性支持体51の表面に磁性層が磁性層52とし
て形成されており、必要に応じてバックコート層53を形
成することが可能である。この磁気記録媒体において、
磁性層52上に前記の保護膜54を設けている。非磁性支持
体51と磁性層52との間に下地層(図示せず)を介した構
成の磁気記録媒体に適用することができる。
【0053】図3には、本発明の磁気記録媒体における
磁性層の形成に使用可能な真空蒸着装置の構成を示すも
のである。
【0054】この装置においては、仕切り板31で仕切ら
れた上下の室の頂部と底部にそれぞれ設けられた排気口
35から排気されて内部が真空状態となされた真空室20内
に、図中の反時計回り方向に定速回転する送りロール43
と、図中の反時計回り方向に定速回転する巻取りロール
24とが設けられ、これら送りロール43から巻取りロール
24に非磁性支持体51が順次走行するようになされてい
る。
【0055】送りロール43から巻取りロール24側に非磁
性支持体51が走行する中途部には、上記各ロール43、24
の径よりも大径となされた冷却キャン25が設けられてい
る。この冷却キャン25は、上記非磁性支持体51を図中下
方に引き出すように設けられ、図中の時計回り方向に定
速回転する構成とされる。なお、送りロール43、巻取り
ロール24、及び冷却キャン25はそれぞれ、非磁性支持体
51の幅とほぼ同じ長さからなる円筒状をなすものであ
り、また、冷却キャン25には、内部に図示しない冷却装
置が設けられ、非磁性支持体51の温度上昇による変形等
を抑制し得るようになされている。
【0056】従って、非磁性支持体51は、送りロール43
から順次送り出され、更に冷却キャン25の周面を通過
し、巻取りロール24に巻き取られていくようになされて
いる。なお、送りロール43と上記冷却キャン25との間、
及び冷却キャン25と巻取りロール24との間にはそれぞ
れ、ガイドロール26、27が配設され、送りロール43から
冷却キャン25、及びこの冷却キャン25から巻取りロール
24に亘って走行する非磁性支持体51に所定のテンション
をかけ、非磁性支持体51が円滑に走行するようになされ
ている。また、真空室20内には、冷却キャン25の下方に
ルツボ28が設けられ、このルツボ28内に金属磁性材料29
が充填されている。このルツボ28は、冷却キャン25の長
手方向の幅とほぼ同一の幅を有している。
【0057】一方、真空室20の側壁部には、ルツボ28内
に充填された金属磁性材料29を加熱蒸発させるための電
子銃30が取り付けられている。この電子銃30は、放出さ
れる電子線Xがルツボ28内の金属磁性材料29に照射され
るような位置に配設される。そして、この電子銃30によ
って蒸発した金属磁性材料29が、冷却キャン25の周面を
定速走行する非磁性支持体51上に磁性層として被着形成
されるようになっている。
【0058】また、冷却キャン25とルツボ28との間であ
って、冷却キャン25の近傍には、シャッタ33が配設され
ている。このシャッタ33は、冷却キャン25の周面を定速
走行する非磁性支持体51の所定領域を覆う形で形成さ
れ、このシャッタ33により、蒸発せしめられた金属磁性
材料29が非磁性支持体51に対して所定の角度範囲で斜め
に蒸着されるようになっている(蒸着角度は最大で
Φ)。更に、このような蒸着に際し、真空室20の側壁部
を貫通して設けられる酸素ガス導入口34を介して非磁性
支持体51の表面に酸素ガスが供給され、磁気特性、耐久
性及び耐候性の向上が図られている。
【0059】図4は、本発明の磁気記録媒体におけるカ
ーボン保護膜の形成に使用可能なプラズマCVD連続膜
形成装置の要部構成図である。
【0060】図4の装置は、酸素ガスを導入しながらコ
バルト(Co)等を図3の装置で蒸着して部分酸化強磁
性金属薄膜を形成した非磁性支持体1上に、カーボン膜
を形成するものである。
【0061】図中の2は回転支持体、3は巻き出しロー
ル、4は巻き取りロール、5は反応管である。この反応
管5の内部にはメッシュ電極6が組み込まれている。ま
た、この電極6には直流電源7により+500 〜2000Vの
電圧が加えられる。8は放電ガス導入口であり、炭化水
素が主成分である(例えばトルエン)ガスが導入され
る。この反応管5には円筒状の回転可能な対向電極9が
設置されている。上記非磁性支持体1は電極9の表面に
巻き付けられて送られ、反応管5の内側にて発生させた
プラズマ反応ガスを引き寄せ、その表面に、所定の膜厚
でカーボン膜を形成する。10は真空排気系、また、11は
真空槽である。
【0062】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0063】まず、実施例及び比較例ともに、反応圧力
以外は次のように設定して、図4に示したプラズマCV
D連続膜形成装置を用いて、図3に示した蒸着装置で得
られた蒸着膜(金属磁性薄膜)上にDLC膜を形成し
た。この時の条件は次のように設定した。
【0064】 原料ガス : トルエン 導入電圧 : DC 2.0kV DLC膜厚 : 8nm 温度(反応管5の外部): 約75℃
【0065】この条件のもとで、実施例及び比較例とし
て、反応圧力を以下のように設定した。 実施例1 :1Pa 実施例2 :5Pa 実施例3 :10Pa 実施例4 :50Pa 実施例5 :80Pa 実施例6 :100 Pa 比較例1 :120 Pa 比較例2 :140 Pa 比較例3 :150 Pa
【0066】実施例及び比較例ともに、金属磁性薄膜の
磁性層を設けた原反ベースを、以下の条件で作成した。
【0067】非磁性支持体(ベースフィルム):100nm
ポリエチレンテレフタレート(PET) 磁性層:膜厚 200nm、組成:コバルト80%−ニッケル20
%の単層膜 導入ガス:酸素ガス 蒸着時の真空度:2×10-2Pa
【0068】この蒸着後は、乾燥機に導入し、カレンダ
ー装置に導き、巻き取りロールに巻き取った。そして、
上記のDLC膜の成膜後に、カーボン及び結合剤からな
るバックコート層を常法によって設けた後、例えば、8
ミリ幅にスリットして磁気テープを作成し、これをカセ
ット内に収容して8ミリのテープカセットを製造した。
【0069】こうして作製したテープの評価方法とし
て、シャトル走行試験、カーボン表面被覆率の2項目の
値を次の要領で計測した。
【0070】シャトル走行試験は、8mmビデオテープレ
コーダ(ソニー社製EVO9500)を用いて、20分長
のサンプルについて50回シャトル走行試験を行った。評
価は、初期記録再生レベルと50回シャトル走行後の再生
レベルとの比(L.D.:レベルダウン)をdB表示で
示した。このレベルダウン量は−3dB以内であれば、
8mmビデオテープレコーダに内蔵されている信号増幅回
路により、画質に影響を与えないようにできるものであ
る。
【0071】また、カーボン膜の表面被覆率δは、角度
分解ESCA〔ESCA5400MC (ULVAC-PHI)による表面分析
X-ray:Monochromated AlKAα Defocus (14kV,400W)、
分析径: 1.1mmφ、真空度:2×10-7Pa台、光電子脱
出角度(θ):15、20、25、30、45、80°〕を用いて求
めた。
【0072】これらの結果を表1及び図1に示した。
【0073】 *L.D.:レベルダウン量 ** δ :表面被覆率
【0074】この表1に示す結果から、カーボン膜形成
時の圧力が 100Pa以下であり、カーボン膜の表面被覆
率が80%以上である時に、シャトル走行試験のレベルダ
ウン量が小さくなるという良好な結果をもたらしている
ことが分かった。即ち、カーボン膜形成時の圧力 100P
aを超えると、カーボン膜の表面被覆率が低下し、極端
にシャトル走行試験のレベルダウン量が大きくなった。
【0075】このことは、磁性層上に、表面被覆率が80
%以上であるカーボン保護膜があること、及び、カーボ
ン保護膜を成膜する際の圧力を 100Pa以下とすること
によって、摺動耐久性が著しく向上することを示してい
る。これによって、本発明に基づくテープは、信頼性が
高く、摺動耐久性が強く要求されるデータストリーマー
(ハードディスクのバックアップ用)やビデオライブラ
リ等の如き特別な用途にも十二分に対応できるものとな
る。
【0076】また、これと同様の結果は、DLC膜を次
の条件でスパッタリングすることによっても得られるこ
とが確認されている。このときのカーボン膜の表面被覆
率は80%であった。但し、カーボン膜の成膜速度は遅
く、被覆率の制御性は不明であった。 スパッタリング作成条件:DC電力6kW、膜厚8nm、圧力 0.4Pa、 使用基板:ポリエチレンテレフタレート
【0077】
【発明の作用効果】本発明によれば、磁性層を有し、こ
の磁性層上に表面被覆率が80%以上である保護膜を設
けられた磁気記録媒体としているので、優れた摺動耐久
性を確保できる。
【0078】また、本発明の磁気記録媒体の製造方法に
よれば、保護膜を成膜する際の圧力を 100Pa以下とす
ることによって、表面被覆率が80%以上になり、摺動耐
久性に優れた磁気記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁性層上にカーボン保護膜を成膜する際の反応
圧力及びカーボン膜の表面被覆率によるシャトル走行時
のレベルダウンの変化を示すグラフである。
【図2】本発明に基づく磁気記録媒体の一例の要部の概
略断面図である。
【図3】本発明に基づく磁気記録媒体の製造に使用可能
な真空蒸着装置の構成を示すものである。
【図4】本発明に基づく磁気記録媒体の製造に使用可能
なDLC膜形成に用いるプラズマCVD連続膜形成装置
の要部構成図である。
【符号の簡単な説明】
1…磁性層付きの非磁性支持体、5…反応管、6、9…
電極、7…DC電源、8…反応ガス、20…真空層、25…
冷却キャン、28…ルツボ、29…金属磁性材料、30…電子
銃、31…仕切り板、32…マスク、33…シャッタ、34…ガ
ス導入管、35…排気口、51…非磁性支持体、52…磁性
層、53…バックコート層、54…カーボン保護膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性層を有し、この磁性層上に、表面被
    覆率が80%以上である保護膜が設けられている磁気記録
    媒体。
  2. 【請求項2】 保護膜がカーボン膜から成っている、請
    求項1に記載した磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 金属磁性薄膜からなる磁性層が非磁性支
    持体上に設けられている、請求項1に記載した磁気記録
    媒体。
  4. 【請求項4】 磁性層を有し、この磁性層上に、表面被
    覆率が80%以上である保護膜が設けられている磁気記録
    媒体を製造するに際し、前記保護膜を成膜する際の圧力
    を 100Pa以下とする、磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 保護膜としてカーボン膜を成膜する、請
    求項4に記載した磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 保護膜の成膜に、プラズマCVD法を用
    いる、請求項4に記載した製造方法。
  7. 【請求項7】 金属磁性薄膜からなる磁性層を非磁性支
    持体上に設ける、請求項4に記載した製造方法。
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