JP2005129157A - 磁気記録媒体とその製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄い磁性層上にまたは磁性層が形成されていない非磁性支持体上に直接、保護層などとして緻密なDLC膜を形成できる磁気記録媒体の製造方法、製造装置、およびこの製造方法により製造された磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】長尺状の非磁性支持体1と、非磁性支持体1の一主面に形成された強磁性金属薄膜を有する磁性層3と、磁性層3上に形成され、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜である保護層4とを有する構成とする。あるいは、長尺状の非磁性支持体1上にスパッタリング法により形成されたDLC膜よりも緻密なDLC膜である磁性層下地層2、磁性層3、保護層4が形成され、非磁性支持体1の裏面側に磁性層下地層2と同様のバックコート下地層6、バックコート層7が形成された構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】長尺状の非磁性支持体1と、非磁性支持体1の一主面に形成された強磁性金属薄膜を有する磁性層3と、磁性層3上に形成され、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜である保護層4とを有する構成とする。あるいは、長尺状の非磁性支持体1上にスパッタリング法により形成されたDLC膜よりも緻密なDLC膜である磁性層下地層2、磁性層3、保護層4が形成され、非磁性支持体1の裏面側に磁性層下地層2と同様のバックコート下地層6、バックコート層7が形成された構成とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は磁気記録媒体とその製造方法および製造装置に関し、特に、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)により再生する磁気記録媒体とその製造方法および製造装置に関する。
従来より、オーディオテープ、ビデオテープ等の磁気記録テープとしては、非磁性支持体上に酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の粉末磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機結合剤中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥することにより磁性層を形成した塗布型の磁気記録媒体が広く使用されている。
これに対して、高密度磁気記録への要求の高まりと共に、Co−Ni系合金、Co−Cr系合金あるいはCo−O等の強磁性金属材料を、真空蒸着法、スパッタリング法またはイオンプレーティング法等の真空薄膜形成方法、あるいは、メッキ等によって、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムあるいはポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着させて磁性層を形成した、いわゆる強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体が提案され、注目を集めている。
上記の磁性層が強磁性金属薄膜からなる磁気記録媒体は、抗磁力、角形比および短波長領域での電磁変換特性に優れており、さらには磁性層の厚みを極めて薄くできるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいこと、磁性層中に非磁性材であるそのバインダー(結合剤)を混入する必要が無いため磁性材料の充填密度を高めることができること等の数々の利点を有している。
また、この種の磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させ、より大きな出力を得ることができるようにするために、該磁気記録媒体の磁性層を形成する場合、磁性層を斜めに蒸着するいわゆる斜方蒸着が提案され、民生用ビデオ(8ミリHi−8方式、DV方式)あるいは業務用ビデオ(DVCAM)の磁気記録媒体として既に実用化されている。
図4は上記のような磁気記録媒体の従来例の断面図である。
長尺状の非磁性支持体101上に、磁性層103および保護層104が順次形成されてなる構成である。磁性層103は強磁性金属薄膜からなる。
必要に応じて、保護層104上に所定の潤滑剤によって潤滑剤層105が形成されている。
また、非磁性支持体101の磁性層102が形成されている側の面と反対側の面にバックコート層107が形成されている。
長尺状の非磁性支持体101上に、磁性層103および保護層104が順次形成されてなる構成である。磁性層103は強磁性金属薄膜からなる。
必要に応じて、保護層104上に所定の潤滑剤によって潤滑剤層105が形成されている。
また、非磁性支持体101の磁性層102が形成されている側の面と反対側の面にバックコート層107が形成されている。
非磁性支持体101の材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート等のセルロース誘導体、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチック類等が挙げられる。
磁性層103は、例えば真空薄膜形成技術によって形成された斜方柱状構造の強磁性金属薄膜であり、これを構成する強磁性金属材料としては、例えばCo−Ni系合金、Co−Cr系合金やCo−Oなどが挙げられ、例えば真空蒸着装置を用いた斜方蒸着の手法により成膜される。
保護層104は、磁性層103を磁気ヘッドとの摺動から保護するための層であり、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれる炭素膜や水素含有炭素膜からなる。
磁気記録媒体においては、高密度化に対応してスペーシングロスを抑えるために表面は平滑化されてきているが、磁性層103の表面が平滑になると、磁気ヘッドに対する接触面積が大きくなるために摩擦力が増大し、磁性層103に生ずるせん断応力が大きくなる。このような厳しい摺動条件から磁性層103を保護するために保護層104は重要である。
磁気記録媒体においては、高密度化に対応してスペーシングロスを抑えるために表面は平滑化されてきているが、磁性層103の表面が平滑になると、磁気ヘッドに対する接触面積が大きくなるために摩擦力が増大し、磁性層103に生ずるせん断応力が大きくなる。このような厳しい摺動条件から磁性層103を保護するために保護層104は重要である。
潤滑剤層105は、磁気ヘッドやガイドロールとの摺動を滑らかにし、耐久性、走行性を左右する重要な役割をはたし、例えば任意のパーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を塗布して形成される。
バックコート層107は、非磁性支持体101の表面の電気抵抗を下げて帯電による走行不良を防止し、非磁性支持体101の耐久性を上げ、使用中における傷つき等の発生を防ぎ、また、テープ間の摩擦を小さくする等の目的から設けられるものであり、テープの走行性、耐久性を向上させるには、このバックコート層107の形成が必須となる。
バックコート層107は、例えば無機顔料等の固体粒子を結合剤中に分散させ、結合剤の種類に応じた有機溶剤とともに混練してバックコート層用塗料を塗布して形成される。あるいは、カーボンをターゲットとしたスパッタリング法によりDLC膜がバックコート層として用いられる。
バックコート層107は、例えば無機顔料等の固体粒子を結合剤中に分散させ、結合剤の種類に応じた有機溶剤とともに混練してバックコート層用塗料を塗布して形成される。あるいは、カーボンをターゲットとしたスパッタリング法によりDLC膜がバックコート層として用いられる。
上記の保護層104は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法あるいはスパッタリング法により形成される。この形成方法と装置について、以下に説明する。
図5は、上記の保護層104を形成するためのプラズマCVD装置の模式図である。
このプラズマCVD装置は、真空排気系51、真空チャンバ52、送りロール53、巻取りロール54、対向電極用キャン56、ガイドロール57,58、反応管59、電極60、および、DC電源61を有する。
このプラズマCVD装置は、真空排気系51、真空チャンバ52、送りロール53、巻取りロール54、対向電極用キャン56、ガイドロール57,58、反応管59、電極60、および、DC電源61を有する。
頭部に設けられた真空排気系51によって内部が高真空状態となされた真空チャンバ52内に、図面上、反時計回り方向に定速回転する送りロール53と、同様に反時計回り方向に定速回転する巻取りロール54が設けられ、これら送りロール53から巻取りロール54に、非磁性支持体55が順次走行するようになされている。
これら送りロール53から巻取りロール54側に上記非磁性支持体55が走行する中途部には、上記各送りロール53および巻取りロール54の径よりも大径となされた対向電極用キャン56が設けられている。
この対向電極用キャン56は、上記非磁性支持体55を図中下方に引き出すように設けられ、図中の時計回り方向に定速回転する構成とされる。尚、上記送りロール53、巻取りロール54および対向電極用キャン56は、それぞれ非磁性支持体55の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすものである。
この対向電極用キャン56は、上記非磁性支持体55を図中下方に引き出すように設けられ、図中の時計回り方向に定速回転する構成とされる。尚、上記送りロール53、巻取りロール54および対向電極用キャン56は、それぞれ非磁性支持体55の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすものである。
従って、非磁性支持体55は、送りロール53から順次送り出され、さらに対向電極用キャン56の周面を通過し、巻取りロール54に巻き取られていくようになされている。なお、送りロール53と対向電極用キャン56との間および該対向電極用キャン56と巻取りロール54との間にはそれぞれガイドロール(57,58)が配設され、送りロール53から対向電極用キャン56および対向電極用キャン56から巻取りロール54にわたって走行する非磁性支持体55に所定のテンションをかけ、非磁性支持体55が円滑に走行するようになされている。
また、真空チャンバ52内には、対向電極用キャン56の下方に耐熱ガラス、石英ガラスあるいはセラミックス等よりなる反応管59が設けられている。この反応管59は、一方の端部が真空チャンバ52の底部を貫通しており、この端部から成膜ガスが反応管59内に導入されるようになっている。また、この反応管59内の中途部には、金属メッシュ等よりなる電極60が取り付けられている。この電極60は、外部に配設されたDC電源61と接続されており、500〜2000Vの電圧が印加されるようになっている。
このプラズマCVD装置により保護層を形成するには、対向電極用キャン56の外周面上を走行する非磁性支持体55に予め形成された強磁性金属薄膜である磁性層を電極とし、磁性層と電極60間に所定の電圧を印加してグロー放電を発生させ、このグロー放電により反応管内に導入され炭化水素系の成膜ガスを分解し、磁性層上に被着させて形成する。
図6は、上記の保護層104を形成するためのマグネトロンスパッタリング装置の模式図である。
このスパッタリング装置は、真空チャンバ71、真空排気系72、バルブ73、ガス導入管74、冷却キャン75、ターゲット76、バッキングプレート77、マグネット78、送りロール79、および、巻取りロール80を有する。
このスパッタリング装置は、真空チャンバ71、真空排気系72、バルブ73、ガス導入管74、冷却キャン75、ターゲット76、バッキングプレート77、マグネット78、送りロール79、および、巻取りロール80を有する。
真空チャンバ71内が真空排気系72により、例えば約10〜4Pa程度にまで減圧された後、真空排気系72側へ排気するバルブ73の角度を絞ることにより排気速度を落とすとともに、ガス導入管74からArガスを導入して、真空度が例えば約0.8Paとされる。
また、真空チャンバ71内に、例えば、−20℃に冷却され図中矢印方向に回転する冷却キャン75と、この冷却キャン75と対向配置されるターゲット76とがそれぞれ設けられている。ターゲット76は保護層の材料となるものであり、例えばカーボンが用いられる。また、ターゲット76はカソード電極を構成するバッキングプレート77に支持されており、バッキングプレート77の裏側には磁場を形成するマグネット78が配設されている。
また、このマグネトロンスパッタ装置は、回転自在とされた送りロール79と、図示しない駆動源により回転駆動される巻取りロール80が設けられ、これら送りロール79から巻取りロール80に、非磁性支持体81が順次走行するようになされている。
これら送りロール79から巻取りロール80側に非磁性支持体81が走行する中途部に上述の冷却キャン75が配設されており、非磁性支持体81は送りロール79から順次送り出され、さらに冷却キャン75の周面を通過し、巻取りロール80へと図中矢印方向に連続走行させる。
これら送りロール79から巻取りロール80側に非磁性支持体81が走行する中途部に上述の冷却キャン75が配設されており、非磁性支持体81は送りロール79から順次送り出され、さらに冷却キャン75の周面を通過し、巻取りロール80へと図中矢印方向に連続走行させる。
このマグネトロンスパッタ装置により保護膜を形成する際は、先ず、ガス導入管74からArガスを導入するとともに、冷却キャン75をアノード、バッキングプレート77をカソードとして約3000Vの電圧を印加し、約1.4Aの電流が流れる状態を保つようにする。
そして、この電圧の印加により、Arガスがプラズマ化し、電離されたイオンがターゲット76に衝突することにより、ターゲット76の原子がはじき出される。このとき、バッキングプレート77の裏側に配置されたマグネット78によりターゲット76の近傍に磁場が形成されるので、電離されたイオンはターゲット76の近傍に集中されることになる。
そして、このターゲット76からはじき出された原子は、送りロール79から図中矢印方向に繰り出されて冷却キャン75の外周面に沿って走行する非磁性支持体81の磁性層上に付着して、保護膜が形成される。
保護膜が形成された非磁性支持体は、巻取りロール80へと巻き取られる。
そして、この電圧の印加により、Arガスがプラズマ化し、電離されたイオンがターゲット76に衝突することにより、ターゲット76の原子がはじき出される。このとき、バッキングプレート77の裏側に配置されたマグネット78によりターゲット76の近傍に磁場が形成されるので、電離されたイオンはターゲット76の近傍に集中されることになる。
そして、このターゲット76からはじき出された原子は、送りロール79から図中矢印方向に繰り出されて冷却キャン75の外周面に沿って走行する非磁性支持体81の磁性層上に付着して、保護膜が形成される。
保護膜が形成された非磁性支持体は、巻取りロール80へと巻き取られる。
例えば特許文献1に、上記のような磁気記録媒体の製造方法の例が開示されている。
特許第31300674号公報
しかしながら、上記のプラズマCVD法による製造方法では、強磁性金属薄膜からなる磁性層を電極として用いているため、磁性層の厚みが薄くなると抵抗値の上昇を伴うため、磁性層とCVD反応管内のメッシュ状の電極との間に所定の電圧を印加することが困難となる。特に磁性層の厚みが100nm以下になると顕著である。
また、上記のプラズマCVD法においては上述のように磁性層を電極として用いているため、絶縁体である非磁性支持体上に直接DLC膜を形成することはできない。
スパッタリング法により非磁性支持体上に直接DLC膜を形成することは可能であるが、プラズマCVD法により形成された膜よりも膜質が疎であるため、水分の透過を防止できるような緻密なDLC膜を非磁性支持体上に直接形成できる技術が望まれている。
スパッタリング法により非磁性支持体上に直接DLC膜を形成することは可能であるが、プラズマCVD法により形成された膜よりも膜質が疎であるため、水分の透過を防止できるような緻密なDLC膜を非磁性支持体上に直接形成できる技術が望まれている。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、従って本発明は、磁性層の膜厚が薄くなっても、あるいは磁性層が形成されていない非磁性支持体上に直接、保護層などとして、プラズマCVD法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜と同程度に緻密な膜を形成することができる磁気記録媒体の製造方法、これを形成するための製造装置、並びにこの製造方法により製造された磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の磁気記録媒体は、長尺状の非磁性支持体と、前記非磁性支持体の一主面に形成された強磁性金属薄膜を有する磁性層と、前記磁性層上に形成され、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜である保護層とを有する。
上記の本発明の磁気記録媒体は、磁性層上に、炭素膜あるいは水素含有炭素膜である保護層が原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法によって形成されている。
上記の目的を達成するため、本発明の磁気記録媒体は、長尺状の非磁性支持体と、前記非磁性支持体の一主面に形成され、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層と、前記磁性層下地層上に形成された強磁性金属薄膜を有する磁性層と、前記磁性層上に形成された保護層とを有する。
上記の本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層の間に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層が形成されている。
上記の目的を達成するため、本発明の磁気記録媒体は、長尺状の非磁性支持体と、前記非磁性支持体の一主面に形成された強磁性金属薄膜を有する磁性層と、前記磁性層上に形成された保護層と、前記非磁性支持体の前記磁性層が形成された主面の反対側の主面に形成され、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層と、前記バックコート下地層上に形成されたバックコート層とを有する。
上記の本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層が形成された裏面側において、非磁性支持体とバックコート層の間に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層が形成されている。
上記の目的を達成するため、本発明の磁気記録媒体は、長尺状の非磁性支持体と、前記非磁性支持体の一主面に形成され、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層と、前記磁性層下地層上に形成された強磁性金属薄膜を有する磁性層と、前記磁性層上に形成された保護層と、前記非磁性支持体の前記磁性層が形成された主面の反対側の主面に形成され、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層と、前記バックコート下地層上に形成されたバックコート層とを有する。
上記の本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層の間に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層が形成されており、また、非磁性支持体の磁性層が形成された裏面側において、非磁性支持体とバックコート層の間に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層が形成されている。
また、上記の目的を達成するため、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、長尺状の非磁性支持体の一主面に強磁性金属薄膜を有する磁性層を形成する工程と、前記磁性層上に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜である保護層を形成する工程とを有する。
上記の本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性支持体の一主面に磁性層を形成し、その上層に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜である保護層を形成する。
また、上記の目的を達成するため、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、長尺状の非磁性支持体の一主面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層を形成する工程と、前記磁性層下地層上に強磁性金属薄膜を有する磁性層を形成する工程と、前記磁性層上に保護層を形成する工程とを有する。
上記の本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性支持体に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層を形成し、その上層に磁性層と保護層を形成する。
また、上記の目的を達成するため、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、長尺状の非磁性支持体の一主面に強磁性金属薄膜を有する磁性層を形成する工程と、前記磁性層上に保護層を形成する工程と、前記非磁性支持体の前記磁性層が形成された主面の反対側の主面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層を形成する工程と、前記バックコート下地層上にバックコート層を形成する工程とを有する。
上記の本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性支持体に磁性層と保護層を形成し、磁性層形成面の反対側の面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層を形成し、その上層にバックコート層を形成する。
また、上記の目的を達成するため、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、長尺状の非磁性支持体の一主面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層を形成する工程と、前記磁性層下地層上に強磁性金属薄膜を有する磁性層を形成する工程と、前記磁性層上に保護層を形成する工程と、前記非磁性支持体の前記磁性層が形成された主面の反対側の主面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層を形成する工程と、前記バックコート下地層上にバックコート層を形成する工程とを有する。
上記の本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性支持体に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層を形成し、その上層に磁性層と保護層を形成する。また、磁性層形成面の反対側の面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層を形成し、その上層にバックコート層を形成する。
また、上記の目的を達成するため、本発明の磁気記録媒体の製造装置は、非磁性支持体上に少なくとも磁性層と保護層を順次積層してなる磁気記録媒体を製造するための製造装置であって、真空チャンバと、前記真空チャンバ外に設けられた光源と、前記真空チャンバ内に設けられた非磁性支持体の走行系と、前記真空チャンバ内に原料ガスを導入する原料ガス導入管と、前記真空チャンバに設けられ、前記原料ガスを分解するように前記光源からの光を前記真空チャンバ内に入射させる光透過窓と、前記真空チャンバ内側における前記光透過窓の表面近傍に窓部付着防止用のガスを流す窓部付着防止ガス導入管とを有する。
上記の本発明の磁気記録媒体の製造装置は、真空チャンバの外部に光源が設けられ、内部に非磁性支持体の走行系が設けられている。原料ガス導入管により真空チャンバ内に原料ガスを導入し、光透過窓から光源からの光を真空チャンバ内に入射させると、原料ガスが分解され、光アシスト化学気相成長により成膜がなされる。
ここで、真空チャンバ内側における光透過窓の表面近傍に窓部付着防止用のガスを流すために窓部付着防止ガス導入管が設けられている構成となっている。
ここで、真空チャンバ内側における光透過窓の表面近傍に窓部付着防止用のガスを流すために窓部付着防止ガス導入管が設けられている構成となっている。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層の膜厚が薄くなっても、あるいは磁性層が形成されていない非磁性支持体上に直接、保護層などとして、プラズマCVD法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜(DLC膜)と同程度に緻密なDLC膜が形成された磁気記録媒体である。
本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、磁気記録媒体を製造するときに、磁性層の膜厚が薄くなっても、あるいは磁性層が形成されていない非磁性支持体上に直接、保護層などとして、プラズマCVD法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜と同程度に緻密な膜を形成することができる。
本発明の磁気記録媒体の製造装置によれば、Arガスなどの窓部付着防止ガスを真空チャンバー内側の光透過窓の表面近傍にフローすることで炭素膜が成膜されることを防止する構成とすることにより、長時間、安定に、炭素膜および水素含有炭素膜を形成することができる。
以下に、本発明の磁気記録媒体の実施の形態について、図面を参照して説明する。
第1実施形態
図1は本実施形態に係る磁気記録媒体(磁気テープ)の断面図である。
長尺状の非磁性支持体1上に、磁性層下地層2、磁性層3および保護層4が順次形成されてなる構成である。磁性層3は強磁性金属薄膜からなる。
保護層4上に所定の潤滑剤によって潤滑剤層5が形成されている。
また、非磁性支持体1の磁性層2が形成されている側の面と反対側の面にバックコート下地層6およびバックコート層7が形成されている。
図1は本実施形態に係る磁気記録媒体(磁気テープ)の断面図である。
長尺状の非磁性支持体1上に、磁性層下地層2、磁性層3および保護層4が順次形成されてなる構成である。磁性層3は強磁性金属薄膜からなる。
保護層4上に所定の潤滑剤によって潤滑剤層5が形成されている。
また、非磁性支持体1の磁性層2が形成されている側の面と反対側の面にバックコート下地層6およびバックコート層7が形成されている。
非磁性支持体1としては、従来の磁気テープにおいて用いられている公知の材料をいずれも適用できる。例えば、ポリエステル系が主に用いられているが、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタリンジカルボキシレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエートなどが挙げられる。特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。また、これらのポリエステルはホモポリエステルであってもコポリエステルであってもよい。
非磁性支持体1の厚みは例えば4〜15μm程度であり、特定のマット面とフィラー面を有する。
非磁性支持体1の厚みは例えば4〜15μm程度であり、特定のマット面とフィラー面を有する。
磁性層3は、真空薄膜形成技術によって形成された斜方柱状構造の単層の強磁性金属薄膜である。
例えば真空蒸着装置を用いた斜方蒸着の手法により、真空下で強磁性金属材料を加熱蒸発させ、得られた金属材料の蒸気を走行させた長尺状の非磁性支持体1の一主面側に対して斜めに角度をもって入射させ、磁性体微粒子を堆積させて強磁性金属薄膜を成膜する。このような斜方蒸着の製法は、成膜性が良好で、生産性が高く、操作も容易であるという利点を有している。
磁性層2を形成する真空蒸着装置としては、従来より知られている装置を好ましく用いることができる。
例えば真空蒸着装置を用いた斜方蒸着の手法により、真空下で強磁性金属材料を加熱蒸発させ、得られた金属材料の蒸気を走行させた長尺状の非磁性支持体1の一主面側に対して斜めに角度をもって入射させ、磁性体微粒子を堆積させて強磁性金属薄膜を成膜する。このような斜方蒸着の製法は、成膜性が良好で、生産性が高く、操作も容易であるという利点を有している。
磁性層2を形成する真空蒸着装置としては、従来より知られている装置を好ましく用いることができる。
磁性層3を構成する強磁性金属材料としては、この種の磁気記録媒体の作製に通常用いられる従来公知の金属材料や磁性合金をいずれも適用可能である。
例えば、Co、CoNiとその酸化物、CoCrTa/Crの積層体、CoCrPt/Crの積層体、CoCrPtTa/Crの積層体、CoPtSiO2 /Crの積層体、CoPtB−O/Crの積層体、CoNiPtCr/Crの積層体、CoFeO/Crの積層体、CoCrTa層、CoCrPt層、CoCrPtTa層、CoPtSiO2 層、CoPtB−O層、CoNiPtCr層、CoFeO層などを用いることができる。
例えば、Co、CoNiとその酸化物、CoCrTa/Crの積層体、CoCrPt/Crの積層体、CoCrPtTa/Crの積層体、CoPtSiO2 /Crの積層体、CoPtB−O/Crの積層体、CoNiPtCr/Crの積層体、CoFeO/Crの積層体、CoCrTa層、CoCrPt層、CoCrPtTa層、CoPtSiO2 層、CoPtB−O層、CoNiPtCr層、CoFeO層などを用いることができる。
磁性層3は、厚みが20〜100nm程度であることが好ましい。100nm以下にまで薄膜化すると、従来方法では保護層の膜質が低下して保護層としての機能が劣化してしまうが、本実施形態では後述のように高い膜質の保護層を形成することができる。また、20nmより薄膜となると、磁性層自体が耐久性が劣化しやすく、保護層で保護しきれなくなってくる。
磁性層3の保磁力は、例えば100〜250kA/mの範囲であり、MRヘッドを用いた磁気記録システムに対応した磁性層となっていることが好ましい。
磁性層3の保磁力は、例えば100〜250kA/mの範囲であり、MRヘッドを用いた磁気記録システムに対応した磁性層となっていることが好ましい。
保護層4は、磁性層3を磁気ヘッドとの摺動から保護するための層であり、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれる炭素膜や水素含有炭素膜からなる。
本実施形態においては、保護層4を構成するDLC膜は、原料ガスの分解に光を用いる光アシストCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)装置を用いたCVD法によって形成される。
本実施形態においては、保護層4を構成するDLC膜は、原料ガスの分解に光を用いる光アシストCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)装置を用いたCVD法によって形成される。
保護層4の厚みは、好ましくは4〜25nm程度である。
4nm未満では、保護層としての機能が低下して実質的に磁性層を保護できなくなってくる。25nmより厚くしても保護能力が向上するわけではないので、スペーシングのロスとなるだけである。
4nm未満では、保護層としての機能が低下して実質的に磁性層を保護できなくなってくる。25nmより厚くしても保護能力が向上するわけではないので、スペーシングのロスとなるだけである。
潤滑剤層5は、走行性を良好にするために設けられ、例えば任意のパーフルオロポリエーテル系の潤滑剤からなる。
非磁性支持体1の磁性層3が形成されている側の面と反対側の面に形成されているバックコート層7は、走行性の向上や帯電防止等を目的として形成された層である。
バックコート層7の厚みは好ましくは0.2〜0.7μm程度である。バックコート層7は、例えば無機顔料等の固体粒子を結合剤中に分散させ、結合剤の種類に応じた有機溶剤とともに混練してバックコート層用塗料を調製し、塗布して形成される。あるいは、カーボンをターゲットとしたスパッタリング法により形成されたDLC膜がバックコート層として用いられる。
バックコート層7の厚みは好ましくは0.2〜0.7μm程度である。バックコート層7は、例えば無機顔料等の固体粒子を結合剤中に分散させ、結合剤の種類に応じた有機溶剤とともに混練してバックコート層用塗料を調製し、塗布して形成される。あるいは、カーボンをターゲットとしたスパッタリング法により形成されたDLC膜がバックコート層として用いられる。
本実施形態の磁気記録媒体においては、非磁性支持体1と磁性層3の間に磁性層下地層2が形成され、また、非磁性支持体1とバックコート層7の間にバックコート下地層6が形成されている。磁性層下地層2およびバックコート下地層6はともにDLC膜により構成されており、磁気記録媒体への水分の透過を防止して錆の発生などを防止する目的、あるいはその他の目的で設けられている。
上記の磁性層下地層2およびバックコート下地層6を構成するDLC膜は、保護層4と同様、原料ガスの分解に光を用いる光アシストCVD装置を用いたCVD法によって形成される。
磁性層下地層2およびバックコート下地層6は、本実施形態においては必ずしも必要ではなく、必要に応じて形成することができる。
上記の磁性層下地層2およびバックコート下地層6を構成するDLC膜は、保護層4と同様、原料ガスの分解に光を用いる光アシストCVD装置を用いたCVD法によって形成される。
磁性層下地層2およびバックコート下地層6は、本実施形態においては必ずしも必要ではなく、必要に応じて形成することができる。
磁性層下地層2およびバックコート下地層6の厚みは、それぞれ、好ましくは4〜50nmである。
4nm未満では、水分の透過などを防止する機能が低下してしまう。50nmより厚くしても水分透過防止能力が向上するわけではないので、スペーシングのロスとなるだけである。
4nm未満では、水分の透過などを防止する機能が低下してしまう。50nmより厚くしても水分透過防止能力が向上するわけではないので、スペーシングのロスとなるだけである。
上述の本実施形態の磁気記録媒体は信号を高密度に記録することが可能であり、再生用の磁気ヘッドとしてAMRヘッド、GMRヘッドあるいはTMRヘッドを用いた磁気記録テープシステム用の磁気記録媒体として好適である。
本実施形態に係る磁気記録媒体においては、光アシストCVD法により形成された保護層を有している。光アシストCVD法では、従来のプラズマCVD法のように磁性層を電極として用いていないため、磁性層の膜厚が例えば20〜100nm程度にまで薄くなっても緻密で膜質の高いDLC膜(炭素膜あるいは水素含有炭素膜)を成膜することができ、これを保護層として用いることによりスチル耐久性やシャトル耐久性などの耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る磁気記録媒体においては、光アシストCVD法により形成された磁性層下地層やバックコート下地層を有している。上記の理由により光アシストCVD法では絶縁体である非磁性支持体上に直接、スパッタリング法により形成されたDLC膜よりも緻密なDLC膜を形成することができ、これを磁性層やバックコート層の下地層として用いることにより磁気記録媒体への水分の透過を防止して錆の発生などを抑制することができる。
上記の保護層4は、光アシストCVD法により形成される。この形成方法と装置について、以下に説明する。
図2は、上記の保護層4を形成するための光アシストCVD装置の模式図である。
この光アシストCVD装置は、真空排気系11、真空チャンバ12、送りロール13、巻取りロール14、冷却キャン16、ガイドロール17,18、フード19、フランジ20、ビューポート21、エキシマランプ22、交流電源23、原料ガス導入管24、および窓部付着防止ガス導入管25を有する。
図2は、上記の保護層4を形成するための光アシストCVD装置の模式図である。
この光アシストCVD装置は、真空排気系11、真空チャンバ12、送りロール13、巻取りロール14、冷却キャン16、ガイドロール17,18、フード19、フランジ20、ビューポート21、エキシマランプ22、交流電源23、原料ガス導入管24、および窓部付着防止ガス導入管25を有する。
この光アシストCVD装置は、側面部に設けられた真空排気系11によって内部が高真空状態となされた真空チャンバ12内に、反時計回りの方向に定速度で回転する送りロール13と巻取りロール14とが設けられ、これら送りロール13から巻取りロール14に、非磁性支持体15が順次走行するようになされている。
これら送りロール13から巻取りロール14側に非磁性支持体15が走行する途中部には、送りロール13および巻取りロール14の径よりも大径の冷却キャン16が設けられている。この冷却キャン16は、非磁性支持体15を図中下方に引き出すように設けられ、図中の時計回り方向に定速度で回転する構成とされている。尚、上記送りロール13、巻き取りロール14、および冷却キャン16は、それぞれ非磁性支持体15の幅と同じ長さからなる円筒状をなすものである。また、冷却キャン16には、内部に図示しない冷却機構が設けられ、外部の図示しない冷却装置により冷却キャン16は冷却されており、非磁性支持媒体15の温度上昇による変形等を抑制し得るようになされている。
従って、非磁性支持体15は、送りロール13から順次送り出され、さらに冷却キャン16の周面を通過し、巻取りロール14に巻取られていくようになされている。尚、送りロール13と冷却キャン16との間および冷却キャン16と巻取りロール14との問には、それぞれガイドロール17,18が配設され、送りロール13から冷却キャン16および冷却キャン16から巻取りロール14にわたって走行する非磁性支持体15に所定のテンションをかけ、非磁性支持体15が円滑に走行するようになされている。
また、上記真空チャンバ12内には、ステンレスよりなるフード19が設けられ、図示しない上下機構を有したフランジ20には石英ガラスのビューポート21が設けられ、ビューポート21の大気側にエキシマランプ22が取り付けられている。エキシマランプには、交流電源23がつながれている。原料ガス導入管24は真空チャンバ12の底部およびフード19の側面を貫通して設けられ、外部より原料ガスが供給できるようになっている。
また、フランジ20に貫通してArガスなどの窓部付着防止ガスを導入する窓部付着防止ガス導入管25が設けられ、真空チャンバ12内においてビューポート21の石英ガラス表面に向かってArガスをフローする構造となっている。このことにより、石英ガラス上に炭素膜が成膜されることを防止する。
このようにArガスをフローすることで石英ガラス上に炭素膜が成膜されることを防止する構成とすることより、長時間、安定に、炭素膜および水素含有炭素膜を形成することができる。
このようにArガスをフローすることで石英ガラス上に炭素膜が成膜されることを防止する構成とすることより、長時間、安定に、炭素膜および水素含有炭素膜を形成することができる。
この光アシストCVD装置では、エキシマランプにより中心波長172nmのエキシマ光を発光させ、石英ガラスを通してフォトンエネルギーを真空チャンバ12に送り込む。フード19内に導入された原料ガスはフォトンネエネルギーによって分解され、非磁性支持体15上に被着されることになる。
上記の磁性層3は、斜方蒸着法により形成される。この形成方法と装置について、以下に説明する。
図3は、上記の磁性層3を形成するための斜方蒸着装置の模式図である。
この斜方蒸着装置は、真空排気系31、真空チャンバ32、送りロール33、巻取りロール34、冷却キャン36、ガイドロール37,38、ルツボ39、金属磁性材料40、電子銃41、シャッタ42、および酸素ガス導入管43を有する。
図3は、上記の磁性層3を形成するための斜方蒸着装置の模式図である。
この斜方蒸着装置は、真空排気系31、真空チャンバ32、送りロール33、巻取りロール34、冷却キャン36、ガイドロール37,38、ルツボ39、金属磁性材料40、電子銃41、シャッタ42、および酸素ガス導入管43を有する。
頭部と低部にそれぞれ設けられた真空排気系31から排気されて内部が真空状態となされた真空チャンバ32内に、図中の反時計回り方向に定速回転する送りロール33と、図中の時計回り方向に定速回転する巻取りロール34とが設けられ、これら送りロール33から巻取りロール34にテープ状の非磁性支持体35が順次走行するようになされている。
これら送りロール33から巻取りロール34側に非磁性支持体35が走行する中途部には、各送りロール33および巻取りロール34の径よりも大径となされた冷却キャン36が設けられている。この冷却キャン36は、非磁性支持体35を図中下方に引き出すように設けられ、図中の時計回り方向に定速回転する構成とされる。尚、上記送りロール33、巻取りロール34、及び、冷却キャン36は、それぞれ非磁性支持体35の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすものであり、また、冷却キャン36には、内部に図示しない冷却装置が設けられ、非磁性支持体35の温度上昇による変形等を抑制し得るようになされている。
従って、非磁性支持体35は、送りロール33から順次送り出され、さらに上記冷却キャン36の周面を通過し、巻取りロール34に巻取られていくようになされている。尚、送りロール33と記冷却キャン36との間および冷却キャン36と巻取りロール34との問にはそれぞれガイドロール37,38が配設され、送りロール33から冷却キャン36および冷却キャン36から巻取りロール34にわたって走行する非磁性支持体35に所定のテンションをかけ、非磁性支持体35が円滑に走行するようになされている。
また、真空チャンバ32内には、冷却キャン36の下方にルツボ39が設けられ、このルツボ39内に金属磁性材料40が充填されている。このルツボ39は、冷却キャン36の長手方向の幅と略同一の幅を有してなる。
一方、真空チャンバ32の側壁部には、ルツボ39内に充填された金属磁性材料40を加熱蒸発させるための電子銃41が取り付けられる。この電子銃41は、電子銃41より放出される電子線Xが上記ルツボ39内の金属磁性材料40に照射されるような位置に配設される。そして、この電子銃41によって蒸発した金属磁性材料40が冷却キャン36の周面を定速走行する非磁性支持体35上に磁性層として被着形成されるようになっている。
また、冷却キャン36とルツボ39との間であって冷却キャン36の近傍には、シャッタ42が配設されている。このシャッタ42は、冷却キャン36の周面を定速走行する非磁性支持体35の所定領域を覆う形で形成され、このシャッタ42により、蒸発せしめられた金属磁性材料40が非磁性支持体35に対して所定の角度範囲(例えば10〜45°)で斜めに蒸着されるようになっている。さらに、このような蒸着に際し、上記真空チャンバ32の側壁部を貫通して設けられる酸素ガス導入管43を介して非磁性支持体35の表面に酸素ガスが供給され、磁気特性、耐久性及び耐候性の向上が図られている。
本実施形態の磁気記録媒体の製造方法について説明する。本実施形態の磁気記録媒体は、図2の光アシストCVD装置および図3の斜方蒸着装置を用いて製造される。
例えば、まず、ポリエチレンナフタレートからなる150mm幅の非磁性支持体1上に、図2に示す光アシストCVD装置を用いた光アシストCVD法により磁性層下地層2を形成し、その上層に図3に示す斜方蒸着装置を用いて磁性層3を形成する。
次に、磁性層3の上層に、再び図2に示す光アシストCVD装置を用いた光アシストCVD法により保護層4を形成する。
次に、非磁性支持体1の磁性層3が形成された裏面側の表面に、図2に示す光アシストCVD装置を用いた光アシストCVD法によりバックコート下地層6を形成し、さらにカーボンをターゲットとしたスパッタリング法によりDLC膜を成膜してバックコート層7とする。
次に、所望の幅(例えば6.35mm幅)裁断し、保護層の表面にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布して潤滑剤層5を形成する。
以上で、図1に示す磁気記録媒体を形成することができる。
なお、磁性層下地層2やバックコート下地層6を形成しない場合には、これらの工程を省略し、非磁性支持体1上に直接磁性層3やバックコート層7を形成することで対応できる。
例えば、まず、ポリエチレンナフタレートからなる150mm幅の非磁性支持体1上に、図2に示す光アシストCVD装置を用いた光アシストCVD法により磁性層下地層2を形成し、その上層に図3に示す斜方蒸着装置を用いて磁性層3を形成する。
次に、磁性層3の上層に、再び図2に示す光アシストCVD装置を用いた光アシストCVD法により保護層4を形成する。
次に、非磁性支持体1の磁性層3が形成された裏面側の表面に、図2に示す光アシストCVD装置を用いた光アシストCVD法によりバックコート下地層6を形成し、さらにカーボンをターゲットとしたスパッタリング法によりDLC膜を成膜してバックコート層7とする。
次に、所望の幅(例えば6.35mm幅)裁断し、保護層の表面にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布して潤滑剤層5を形成する。
以上で、図1に示す磁気記録媒体を形成することができる。
なお、磁性層下地層2やバックコート下地層6を形成しない場合には、これらの工程を省略し、非磁性支持体1上に直接磁性層3やバックコート層7を形成することで対応できる。
上記の本実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法によれば、光アシストCVD法により保護層を形成しており、光アシストCVD法では、磁性層の膜厚が例えば20〜100nm程度にまで薄くなっても緻密で膜質の高いDLC膜(炭素膜あるいは水素含有炭素膜)を成膜することができ、スチル耐久性やシャトル耐久性などの耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法によれば、光アシストCVD法により磁性層下地層やバックコート下地層を形成しており、磁気記録媒体への水分の透過を防止して錆の発生などを抑制することができる。
第2実施形態
本実施形態に係る磁気記録媒体は第1実施形態と同様の構成であり、図1を参照して説明する。
長尺状の非磁性支持体1上に、磁性層下地層2、磁性層3および保護層4が順次形成されてなる構成である。磁性層3は強磁性金属薄膜からなる。
保護層4上に所定の潤滑剤によって潤滑剤層5が形成されている。
また、非磁性支持体1の磁性層2が形成されている側の面と反対側の面にバックコート下地層6およびバックコート層7が形成されている。
本実施形態に係る磁気記録媒体は第1実施形態と同様の構成であり、図1を参照して説明する。
長尺状の非磁性支持体1上に、磁性層下地層2、磁性層3および保護層4が順次形成されてなる構成である。磁性層3は強磁性金属薄膜からなる。
保護層4上に所定の潤滑剤によって潤滑剤層5が形成されている。
また、非磁性支持体1の磁性層2が形成されている側の面と反対側の面にバックコート下地層6およびバックコート層7が形成されている。
ここで、非磁性支持体1上に、磁性層下地層2、磁性層3、バックコート下地層6およびバックコート層7の構成は第1実施形態と同様であるが、保護層4については第1実施形態と異なり、図5に示すプラズマCVD装置あるいは図6に示すスパッタリング装置によりDLC膜を成膜して保護層4とする。
本実施形態に係る磁気記録媒体においては、光アシストCVD法により形成された磁性層下地層やバックコート下地層を有している。光アシストCVD法では絶縁体である非磁性支持体上に直接、スパッタリング法により形成されたDLC膜よりも緻密なDLC膜を形成することができ、これを磁性層やバックコート層の下地層として用いることにより磁気記録媒体への水分の透過を防止して錆の発生などを抑制することができる。
本実施形態の磁気記録媒体は以下のように製造される。
例えば、まず、ポリエチレンナフタレートからなる150mm幅の非磁性支持体1上に、図2に示す光アシストCVD装置を用いた光アシストCVD法により磁性層下地層2を形成し、その上層に図3に示す斜方蒸着装置を用いて磁性層3を形成する。
次に、磁性層3の上層に、図5に示すプラズマCVD装置あるいは図6に示すスパッタリング装置によりDLC膜を成膜して保護層4とする。
次に、非磁性支持体1の磁性層3が形成された裏面側の表面に、図2に示す光アシストCVD装置を用いた光アシストCVD法によりバックコート下地層6を形成し、さらにカーボンをターゲットとしたスパッタリング法によりDLC膜を成膜してバックコート層7とする。
次に、所望の幅(例えば6.35mm幅)裁断し、保護層の表面にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布して潤滑剤層5を形成する。
以上で、図1に示す磁気記録媒体を形成することができる。
なお、磁性層下地層2とバックコート下地層6のうちのいずれか一方を図2に示す光アシストCVD装置を用いた光アシストCVD法により形成すればよく、いずれか他方を他の手法により形成することも可能である。あるいは、いずれか他方を省略してもよい。
例えば、まず、ポリエチレンナフタレートからなる150mm幅の非磁性支持体1上に、図2に示す光アシストCVD装置を用いた光アシストCVD法により磁性層下地層2を形成し、その上層に図3に示す斜方蒸着装置を用いて磁性層3を形成する。
次に、磁性層3の上層に、図5に示すプラズマCVD装置あるいは図6に示すスパッタリング装置によりDLC膜を成膜して保護層4とする。
次に、非磁性支持体1の磁性層3が形成された裏面側の表面に、図2に示す光アシストCVD装置を用いた光アシストCVD法によりバックコート下地層6を形成し、さらにカーボンをターゲットとしたスパッタリング法によりDLC膜を成膜してバックコート層7とする。
次に、所望の幅(例えば6.35mm幅)裁断し、保護層の表面にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布して潤滑剤層5を形成する。
以上で、図1に示す磁気記録媒体を形成することができる。
なお、磁性層下地層2とバックコート下地層6のうちのいずれか一方を図2に示す光アシストCVD装置を用いた光アシストCVD法により形成すればよく、いずれか他方を他の手法により形成することも可能である。あるいは、いずれか他方を省略してもよい。
上記の本実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法によれば、光アシストCVD法により磁性層下地層やバックコート下地層を形成しており、磁気記録媒体への水分の透過を防止して錆の発生などを抑制することができる。
(第1実施例)
上記の第1実施形態に示す構成の磁気記録媒体において、表1に示す構成および条件により、磁気テープ試料(実施例1〜実施例3)を作成した。
即ち、ポリエチレンナフタレートからなる150mm幅の非磁性支持体上に、インゴット:Co 100重量%、入射角:45〜10°、導入ガス:酸素ガス、酸素導入量:3.3×10-6m3 /秒、蒸着時真空度:2×10-2Pa、という条件で磁性層を形成した。
次に、成膜条件Aとして、光アシストCVD法により、C2 H4 を原料ガスとして100sccmの流量とし、圧力0.06Paとして、DLC膜を成膜し、保護層を形成した。
次に、非磁性支持体の磁性層が形成された裏面側の表面にカーボンをターゲットとしたスパッタリング法によりDLC膜を形成し、バックコート層とした。
次に、所望の幅(例えば6.35mm幅)裁断し、保護層の表面にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布して潤滑剤層を形成した。
上記の第1実施形態に示す構成の磁気記録媒体において、表1に示す構成および条件により、磁気テープ試料(実施例1〜実施例3)を作成した。
即ち、ポリエチレンナフタレートからなる150mm幅の非磁性支持体上に、インゴット:Co 100重量%、入射角:45〜10°、導入ガス:酸素ガス、酸素導入量:3.3×10-6m3 /秒、蒸着時真空度:2×10-2Pa、という条件で磁性層を形成した。
次に、成膜条件Aとして、光アシストCVD法により、C2 H4 を原料ガスとして100sccmの流量とし、圧力0.06Paとして、DLC膜を成膜し、保護層を形成した。
次に、非磁性支持体の磁性層が形成された裏面側の表面にカーボンをターゲットとしたスパッタリング法によりDLC膜を形成し、バックコート層とした。
次に、所望の幅(例えば6.35mm幅)裁断し、保護層の表面にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布して潤滑剤層を形成した。
また、表1に示す構成および条件により、磁気テープ試料(比較例1〜比較例4)を作成した。
上記と同様であるが、保護層を形成する条件が、成膜条件Bとして、プラズマCVD法により、C2 H4 を原料ガスとして100sccmの流量とし、圧力10Pa、DC電圧1.5kVとして、DLC膜を成膜した。
磁性層下地層およびバックコート下地層を形成する場合には、それぞれ上記成膜条件Aにより形成した。
上記と同様であるが、保護層を形成する条件が、成膜条件Bとして、プラズマCVD法により、C2 H4 を原料ガスとして100sccmの流量とし、圧力10Pa、DC電圧1.5kVとして、DLC膜を成膜した。
磁性層下地層およびバックコート下地層を形成する場合には、それぞれ上記成膜条件Aにより形成した。
上記のようにして得られた磁気テープ試料(実施例1〜実施例3および比較例1〜比較例4)について、スチル耐久性および繰り返し走行耐久性(シャトル耐久性)の試験を行った。
スチル耐久性およびシャトル耐久性の測定には、デッキに市販のソニー社製デジタルビデオ(VX−1000)を改造し、MRヘッドを搭載したものを用いた。
スチル耐久性およびシャトル耐久性の測定には、デッキに市販のソニー社製デジタルビデオ(VX−1000)を改造し、MRヘッドを搭載したものを用いた。
スチル耐久性では、デジタルビデオカセットに10分長の磁気テープを組み込み、1分間記録した後、巻き戻しを行い、30秒再生した時点で一時停止を行い、出力をモニタリングし、一時停止した初期の出力に対し、出力が半分(−6dB)になる時間を測定した。スチル耐久性の評価のランク付けは、◎が60分以上、○が30分以上60分未満、△が15分以上30分未満、×が15分未満、とした。スチル耐久性評価における測定環境は、0℃0%RHである。
また、シャトル耐久性では、デジタルビデオカセットに60分長の磁気テープを組み込み、1分間記録した後、巻き戻しを行い、1分間再生し、その時の出力を初期出力とした。その後、1回だけ全長記録を行い、繰り返し再生を行い、出力をモニタリングしながら走行させ、上記の初期出力に対し、出力が半分(−6dB)になる走行繰り返し回数(パス回数)を測定した。シャトル耐久性の評価のランク付けは、◎が100パス以上、○が80パス以上100パス未満、△が50パス以上80パス未満、×が50パス未満、とした。シャトル耐久性評価における測定環境は、40℃80%RHである。
表1に示すように、保護層を成膜条件Bにより形成する場合は磁性層の膜厚が100nmから薄くなるとスチル耐久性やシャトル耐久性などの耐久性の劣化が激しいが、成膜条件Aに変更することで耐久性が向上し、特に磁性層の膜厚が100nm未満の領域においても高い耐久性を実現できる。
但し、成膜条件Aに変更しても保護層の膜厚が3nmの場合では、保護層としての機能が十分ではなく、耐久性を確保することはできない。
但し、成膜条件Aに変更しても保護層の膜厚が3nmの場合では、保護層としての機能が十分ではなく、耐久性を確保することはできない。
(第2実施例)
上記第1実施例と同様に、表2に示す構成および条件により、磁気テープ試料(実施例2、実施例4〜実施例19)を作成した。
磁性層下地層およびバックコート下地層を形成する場合には、それぞれ上記成膜条件Aにより形成した。
上記第1実施例と同様に、表2に示す構成および条件により、磁気テープ試料(実施例2、実施例4〜実施例19)を作成した。
磁性層下地層およびバックコート下地層を形成する場合には、それぞれ上記成膜条件Aにより形成した。
上記のようにして得られた磁気テープ試料(実施例2、実施例4〜実施例19)について、スチル耐久性および繰り返し走行耐久性(シャトル耐久性)の試験、SO2 ガス雰囲気の錆試験(磁化劣化率試験)、高温高湿環境下の錆試験(磁化劣化率試験)の測定を行なった。
スチル耐久性およびシャトル耐久性の実験条件は第1実施例と同様である。
スチル耐久性およびシャトル耐久性の実験条件は第1実施例と同様である。
SO2 ガス雰囲気の錆試験は、磁気テープをSO2 ガス1ppm、50℃80%RH中に10時間保存し、その前後での磁化量の劣化率で評価した。
磁化量の劣化率は、〔(保存前の磁化量)−(保存後の磁化量)/(保存前の磁化量)〕×100(%)で示す。
SO2 ガス雰囲気の錆試験(磁化劣化率試験)の評価のランク付けは、◎が5%以下、○が10%以下5%より大きい、△が15%以下10%より大きい、×が15%より大きい、とした。
磁化量の劣化率は、〔(保存前の磁化量)−(保存後の磁化量)/(保存前の磁化量)〕×100(%)で示す。
SO2 ガス雰囲気の錆試験(磁化劣化率試験)の評価のランク付けは、◎が5%以下、○が10%以下5%より大きい、△が15%以下10%より大きい、×が15%より大きい、とした。
高温高湿環境下の錆試験は、磁気テープを65℃90%RH中に6日間保存し、その前後での磁化量の劣化率で評価した。
高温高湿環境下の錆試験(磁化劣化率試験)の評価のランク付けは、◎が5%以下、○が10%以下5%より大きい、△が15%以下10%より大きい、×が15%より大きい、とした。
高温高湿環境下の錆試験(磁化劣化率試験)の評価のランク付けは、◎が5%以下、○が10%以下5%より大きい、△が15%以下10%より大きい、×が15%より大きい、とした。
表2に示すように、成膜条件Aによる磁性層下地層およびバックコート下地層が形成されていない実施例2の試料では、SO2 ガス雰囲気の錆試験(磁化劣化率試験)、高温高湿環境下の錆試験(磁化劣化率試験)に関して高い性能は得られていない。
これに対して、磁性層下地層およびバックコート下地層のうちの少なくともいずれか一方を好ましくは4nm以上の膜厚で形成することで、SO2 ガス雰囲気の錆試験(磁化劣化率試験)と高温高湿環境下の錆試験(磁化劣化率試験)の結果を非常に向上させることが可能となる。
また、磁性層下地層およびバックコート下地層をそれぞれ20nmずつ設けている場合、磁性層の膜厚が20〜100nmの範囲において、また、保護層の膜厚が4〜25nmの範囲において、スチル耐久性、シャトル耐久性、SO2 ガス雰囲気の錆試験、および、高温高湿環境下の錆試験の全てに関して高い品質が得られるという結果が得られた。
これに対して、磁性層下地層およびバックコート下地層のうちの少なくともいずれか一方を好ましくは4nm以上の膜厚で形成することで、SO2 ガス雰囲気の錆試験(磁化劣化率試験)と高温高湿環境下の錆試験(磁化劣化率試験)の結果を非常に向上させることが可能となる。
また、磁性層下地層およびバックコート下地層をそれぞれ20nmずつ設けている場合、磁性層の膜厚が20〜100nmの範囲において、また、保護層の膜厚が4〜25nmの範囲において、スチル耐久性、シャトル耐久性、SO2 ガス雰囲気の錆試験、および、高温高湿環境下の錆試験の全てに関して高い品質が得られるという結果が得られた。
本発明は上記の実施の形態に限定されない。
磁性層は、斜法蒸着による強磁性金属薄膜の単層からなる構成や複数層からなる構成とすることができる。また、斜法蒸着以外の手法による強磁性金属薄膜や、その他の構成の磁性層とすることも可能である。
また、再生用の磁気ヘッドは、AMRヘッド、GMRヘッド、TMRヘッドの他、その他の種類の磁気ヘッドを用いることも可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
磁性層は、斜法蒸着による強磁性金属薄膜の単層からなる構成や複数層からなる構成とすることができる。また、斜法蒸着以外の手法による強磁性金属薄膜や、その他の構成の磁性層とすることも可能である。
また、再生用の磁気ヘッドは、AMRヘッド、GMRヘッド、TMRヘッドの他、その他の種類の磁気ヘッドを用いることも可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
本発明の磁気記録媒体とその製造方法および製造装置は、オーディオ用磁気テープ、ビデオ用磁気テープなどの磁気テープに適用できる。
1,101…非磁性支持体、2…磁性層下地層、3,103…磁性層、4,104…保護層、5,105…潤滑剤層、6…バックコート下地層、7,107…バックコート層、11,31,51,72…真空排気系、12,32,52,71…真空チャンバ、13,33,53,79…送りロール、14,34,54,80…巻取りロール、15,35,55,81…非磁性支持体、16,36,75…冷却キャン、17,18,37,38,57,58…ガイドロール、19…フード、20…フランジ、21…ビューポート、22…エキシマランプ、23…交流電源、24…原料ガス導入管、25…窓部付着防止ガス導入管、39…ルツボ、40…金属磁性材料、41…電子銃、42…シャッタ、43…酸素ガス導入管、56…対向電極用キャン、59…反応管、60…電極、61…DC電源、73…バルブ、74…ガス導入管、76…ターゲット、77…バッキングプレート、78…マグネット。
Claims (15)
- 長尺状の非磁性支持体と、
前記非磁性支持体の一主面に形成された強磁性金属薄膜を有する磁性層と、
前記磁性層上に形成され、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜である保護層と
を有する磁気記録媒体。 - 前記非磁性支持体と磁性層の間に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層をさらに有する
請求項1に記載の磁気記録媒体。 - 前記非磁性支持体の前記磁性層が形成された主面の反対側の主面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層と、前記バックコート層上に形成されたバックコート層をさらに有する
請求項1に記載の磁気記録媒体。 - 前記非磁性支持体と磁性層の間に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層をさらに有し、
前記非磁性支持体の前記磁性層が形成された主面の反対側の主面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層と、前記バックコート層上に形成されたバックコート層をさらに有する
請求項1に記載の磁気記録媒体。 - 長尺状の非磁性支持体と、
前記非磁性支持体の一主面に形成され、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層と、
前記磁性層下地層上に形成された強磁性金属薄膜を有する磁性層と、
前記磁性層上に形成された保護層と
を有する磁気記録媒体。 - 長尺状の非磁性支持体と、
前記非磁性支持体の一主面に形成された強磁性金属薄膜を有する磁性層と、
前記磁性層上に形成された保護層と、
前記非磁性支持体の前記磁性層が形成された主面の反対側の主面に形成され、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層と、
前記バックコート下地層上に形成されたバックコート層と
を有する磁気記録媒体。 - 長尺状の非磁性支持体と、
前記非磁性支持体の一主面に形成され、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層と、
前記磁性層下地層上に形成された強磁性金属薄膜を有する磁性層と、
前記磁性層上に形成された保護層と、
前記非磁性支持体の前記磁性層が形成された主面の反対側の主面に形成され、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により形成された炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層と、
前記バックコート下地層上に形成されたバックコート層と
を有する磁気記録媒体。 - 長尺状の非磁性支持体の一主面に強磁性金属薄膜を有する磁性層を形成する工程と、
前記磁性層上に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜である保護層を形成する工程と
を有する磁気記録媒体の製造方法。 - 前記磁性層を形成する工程の前に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層を形成する工程をさらに有し、
前記磁性層を形成する工程においては、前記磁性層下地層上に前記磁性層を形成する
請求項8に記載の磁気記録媒体の製造方法。 - 前記非磁性支持体の前記磁性層が形成された主面の反対側の主面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層を形成する工程と、
前記バックコート層上にバックコート層を形成する工程とをさらに有する
請求項8に記載の磁気記録媒体の製造方法。 - 前記磁性層を形成する工程の前に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層を形成する工程をさらに有し、
前記磁性層を形成する工程においては、前記磁性層下地層上に前記磁性層を形成し、
前記非磁性支持体の前記磁性層が形成された主面の反対側の主面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層を形成する工程と、
前記バックコート層上にバックコート層を形成する工程とをさらに有する
請求項8に記載の磁気記録媒体の製造方法。 - 長尺状の非磁性支持体の一主面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層を形成する工程と、
前記磁性層下地層上に強磁性金属薄膜を有する磁性層を形成する工程と、
前記磁性層上に保護層を形成する工程と
を有する磁気記録媒体の製造方法。 - 長尺状の非磁性支持体の一主面に強磁性金属薄膜を有する磁性層を形成する工程と、
前記磁性層上に保護層を形成する工程と、
前記非磁性支持体の前記磁性層が形成された主面の反対側の主面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層を形成する工程と、
前記バックコート下地層上にバックコート層を形成する工程と
を有する磁気記録媒体の製造方法。 - 長尺状の非磁性支持体の一主面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜である磁性層下地層を形成する工程と、
前記磁性層下地層上に強磁性金属薄膜を有する磁性層を形成する工程と、
前記磁性層上に保護層を形成する工程と、
前記非磁性支持体の前記磁性層が形成された主面の反対側の主面に、原料ガスの分解に光を用いる光アシスト化学気相成長法により炭素膜あるいは水素含有炭素膜であるバックコート下地層を形成する工程と、
前記バックコート下地層上にバックコート層を形成する工程と
を有する磁気記録媒体の製造方法。 - 非磁性支持体上に少なくとも磁性層と保護層を順次積層してなる磁気記録媒体を製造するための製造装置であって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバ外に設けられた光源と、
前記真空チャンバ内に設けられた非磁性支持体の走行系と、
前記真空チャンバ内に原料ガスを導入する原料ガス導入管と、
前記真空チャンバに設けられ、前記原料ガスを分解するように前記光源からの光を前記真空チャンバ内に入射させる光透過窓と、
前記真空チャンバ内側における前記光透過窓の表面近傍に窓部付着防止用のガスを流す窓部付着防止ガス導入管と
を有する磁気記録媒体の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003363676A JP2005129157A (ja) | 2003-10-23 | 2003-10-23 | 磁気記録媒体とその製造方法および製造装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2017195865A1 (ja) * | 2016-05-11 | 2017-11-16 | ソニー株式会社 | 磁気記録媒体、積層体およびフレキシブルデバイス |
-
2003
- 2003-10-23 JP JP2003363676A patent/JP2005129157A/ja active Pending
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WO2017195865A1 (ja) * | 2016-05-11 | 2017-11-16 | ソニー株式会社 | 磁気記録媒体、積層体およびフレキシブルデバイス |
JPWO2017195865A1 (ja) * | 2016-05-11 | 2019-03-07 | ソニー株式会社 | 磁気記録媒体、積層体およびフレキシブルデバイス |
JP7028162B2 (ja) | 2016-05-11 | 2022-03-02 | ソニーグループ株式会社 | 磁気記録媒体、積層体およびフレキシブルデバイス |
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