JPH1074319A - 磁気記録媒体の製造方法および製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法および製造装置

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JPH1074319A
JPH1074319A JP22997096A JP22997096A JPH1074319A JP H1074319 A JPH1074319 A JP H1074319A JP 22997096 A JP22997096 A JP 22997096A JP 22997096 A JP22997096 A JP 22997096A JP H1074319 A JPH1074319 A JP H1074319A
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magnetic
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metal
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JP22997096A
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Toshiharu Uchiumi
俊治 内海
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Co合金等の金属系磁性薄膜を採用した薄膜
型磁気記録媒体において、保護層形成工程に起因するパ
ーティクルの付着を防止する。 【解決手段】 蒸着テープ原反2にカーボン等の保護層
を連続スパッタリングする前後に、巻出し側粘着ロール
9や巻取り側粘着ロール10を接触させ、金属系磁性薄
膜表面のパーティクルを除去する。 【効果】 パーティクルやパーティクルに起因する突起
が減少し、ドロップアウトやエラーレートの少ない薄膜
型磁気記録媒体を提供することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非磁性支持体上に金
属系磁性薄膜が形成された磁気記録媒体の製造方法およ
び製造装置に関し、さらに詳しくは、走行耐久性にすぐ
れるとともに、ドロップアウトが低減された薄膜型磁気
記録媒体の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録による情報記録の分野において
は、記録する情報量の増大や、磁気記録装置の小型化、
あるいは磁気記録媒体/磁気ヘッド間の相対速度の低減
等の動向から、高密度記録化が要望されている。これに
伴い、磁気記録媒体においても磁性粒子を有機バインダ
中に分散させた塗布型磁気記録媒体に替わり、金属系磁
性薄膜をめっきや真空薄膜形成技術、すなわち真空蒸
着、スパッタリングあるいはイオンプレーティング等に
より成膜する薄膜型磁気記録媒体が主流となりつつあ
る。なかでもCoを主体とした金属系磁性薄膜を採用す
る薄膜型磁気記録媒体は、保磁力、角形比あるいは残留
磁束密度等の各種静磁気特性に優れていることが知られ
ている。また塗布型磁気記録媒体のように磁性層中に非
磁性の有機バインダを混入する必要がないので、必要と
する磁束量を得るための磁性層厚を薄くすることが可能
であり、したがって記録減磁が小さいので、この面から
も短波長領域における電磁変換特性に優れた性質を有す
る。
【0003】ヘリカルスキャン方式のビデオテープレコ
ーダ(VTR)やディジタルオーディオテープレコーダ
(DAT)等に用いる薄膜型磁気記録媒体においては、
テープ長手方向の磁気異方性を高め、より短波長での高
出力化を図るため、斜方蒸着による薄膜型磁気記録媒体
が提案され実用に供されている。この斜方蒸着は、移動
走行するポリエステル等の高分子材料からなる非磁性支
持体上に、走行方向に対し斜め方向からの電子ビーム蒸
着等により磁性層を形成するものである。斜方蒸着によ
り形成された薄膜型磁気記録媒体は、その微細構造にお
いて磁性粒子が非磁性支持体の表面に対して斜めに配向
している。したがって、磁性粒子を非磁性支持体の面内
長手方向に一軸配向した従来の磁気テープに比べ、高密
度記録が可能である。現在実用化されている斜方蒸着に
よる薄膜型磁気記録媒体の磁化容易軸は、非磁性支持体
表面に対し、およそ20°傾斜しているものが一般的で
ある。
【0004】斜方蒸着による薄膜型磁気記録媒体におい
ては、金属系磁性薄膜材料として、一般にCoやCo−
Ni合金系が採用される。これらの金属系磁性薄膜を非
磁性支持体上に形成するには、CoやCo−Ni合金を
蒸発源とし、蒸着装置内に少量かつ一定量の酸素ガスを
導入しながら、移動する非磁性支持体上に斜方蒸着する
製造法が通常である。この斜方蒸着工程により、金属系
磁性薄膜は、α−Co(またはCo−Ni)の磁性粒子
と、主としてその粒界に存在するCo−O(またはCo
−Ni−O)とが混在する構造となる。酸素を金属系磁
性薄膜中に導入する理由は、磁性粒子サイズを微細化し
て媒体ノイズを低減するとともに、金属系磁性薄膜を柱
状粒子構造とすることで、斜め方向の形状異方性を増大
させるためである。また斜方蒸着の他に、CoやCo−
Ni合金をターゲットとしたスパッタリング法により金
属系磁性薄膜を形成する方法がある。
【0005】このような薄膜型磁気記録媒体において
は、その走行耐久性を向上するために、非磁性支持体の
表面に多数の微小突起を設け、ここに金属系磁性薄膜を
形成することにより金属系磁性薄膜表面に微小突起の形
状を反映させる方法が一般的である。かかる構成によ
り、金属系磁性薄膜と磁気ヘッドのトラック面との実質
的な接触面積が低減し、摩擦係数や金属系磁性薄膜の磨
耗を減少するので耐久性を向上することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
斜方蒸着等による金属系磁性薄膜を磁気記録媒体として
用いるVTR等の分野では、ハイバンド記録やディジタ
ル記録の要望が強く、記録密度の高度化とともにデータ
の転送レートも高速化されるため、磁気ヘッドと磁気記
録媒体例えば磁気テープとの相対速度はアナログ記録の
場合の2倍以上が必要とされる。このように磁気ヘッド
が高速回転するVTR等においては、必然的に磁気テー
プが受ける損傷が大きく、磁気テープの耐久性を更に向
上する必要がある。
【0007】このため、金属系磁性薄膜表面にカーボン
等の保護層を例えば連続スパッタリング法等により形成
する方法が提案されており、この方法によれば特に静止
モードにおける耐久性(スチル耐久性)の向上に大きな
効果をあげている。
【0008】カーボン等の保護層を例えばスパッタリン
グ法により形成するためには、金属系磁性薄膜を形成し
た非磁性支持体の背面を回転する冷却キャンの表面に密
着させ、非磁性支持体を走行させながら連続的に形成す
る。このためスパッタリング装置の真空チャンバの内壁
や遮蔽板、あるいはマスク等に不可避的に付着したカー
ボンは、成膜が進行するにつれてその厚さが増大し、こ
れが徐々に剥離し、剥離したカーボンのパーティクルが
磁気記録媒体に再付着する。
【0009】再付着したカーボンパーティクルは、磁気
記録媒体の再生時における再生出力の欠落、すなわちド
ロップアウトの原因となる。また薄膜型の磁気記録媒体
は、金属系磁性薄膜の膜厚が通常200nm程度と薄い
ので、ハブやテープリールに巻きとられた磁気テープの
金属系磁性薄膜上への付着物の形状が、金属系磁性薄膜
に転写されて磁気記録媒体が塑性変形され、いわゆる寝
押しの状態となり、これもドロップアウトや磁気ヘッド
当たりの不良の原因となる。このため保護層の形成工程
においては、スパッタリング装置の真空チャンバ内を定
期的に洗浄し、パーティクル汚染を排除するための細心
の注意が払われる。しかしながらパーティクル付着を完
全に防止することは事実上不可能に近く、磁気記録媒体
のドロップアウトを問題のないレベルまで低減するまで
に至っていない。
【0010】したがって本発明の課題は、保護層形成工
程におけるパーティクル汚染を低減した磁気記録媒体の
製造方法および製造装置を提供し、これにより薄膜型磁
気記録媒体のドロップアウトやエラーレートを実用上問
題のないレベルとすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体の
製造方法は、上述した課題を達成するために提案するも
のであり、非磁性支持体上に、真空薄膜形成技術により
金属系磁性薄膜を形成し、その後この非磁性支持体を連
続的に走行させつつ、金属系磁性薄膜上にさらに保護層
を形成する工程を有する磁気記録媒体の製造方法におい
て、保護層形成工程の前後の少なくともいずれか一方
で、金属系磁性薄膜表面に粘着ロールを接触回転させつ
つ、保護層を形成することを特徴とする。
【0012】本発明の磁気記録媒体の製造方法において
は、回転する粘着ロールに、さらに粘着テープを連続的
に接触走行させつつ、保護層を形成することが望まし
い。
【0013】また本発明の磁気記録媒体の製造装置は、
非磁性支持体上に、真空薄膜形成技術により金属系磁性
薄膜を形成し、その後この非磁性支持体を連続的に走行
させつつ、金属系磁性薄膜上にさらに保護層を形成する
磁気記録媒体の製造装置において、非磁性支持体の連続
走行手段と、保護層形成手段と、この保護層形成手段の
前後の少なくともいずれか一方で、金属系磁性薄膜表面
に接触回転する粘着ロールを具備することを特徴とす
る。粘着ロールとしては、非磁性支持体上に設けられた
金属系磁性薄膜の全幅に渡り接触しながら回転するもの
であればよく、少なくともその表面はエチレン−プロピ
レンゴムやポリウレタンゴム、ブタジエンゴム、ニトリ
ルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム、
ブチルゴム等の粘着性ゴムで構成されていることが望ま
しい。これら粘着ロールの粘着力は、金属系磁性薄膜に
付着したパーティクルを除去するには十分であるととも
に、金属系磁性薄膜を剥離することのない範囲で選ばれ
る。
【0014】本発明の磁気記録媒体の製造装置において
は、この回転する粘着ロールに、さらに粘着テープを連
続的に接触走行させ得る粘着テープ走行手段を有するこ
とが望ましい。粘着テープとしては、ポリエステル、ポ
リ塩化ビニル等のビニル樹脂、アセテート、ポリエチレ
ン、ポリカーボネート等の可撓性フィルム基材上に、エ
チレン−プロピレンゴムやポリウレタンゴム、ブタジエ
ンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シ
リコーンゴム、ブチルゴム等の粘着性ゴムが塗布された
構成であることが望ましい。粘着テープに塗布される粘
着性ゴム等の粘着力は、粘着ロールに付着したパーティ
クルを除去しうるように、粘着ロールの粘着力よりも大
きな粘着力を有するものが望ましい。
【0015】本発明における保護層の形成は、スパッタ
リングによることが望ましい。しかしながらこの他に
も、蒸着法やイオンプレーティング法、CVD法等の一
般的な真空薄膜形成技術により形成することも可能であ
る。
【0016】保護層の材料としては、薄膜型磁気記録媒
体の保護層として一般的に使用されるものであれば如何
なるものであってもよい。例えば、非晶質カーボン、ダ
イアモンド状カーボン、グラファイト等のカーボン系材
料、SiC、SiO、SiO2 、SiON、Si
3 4 、Cr2 3 、Al2 3 、AlN、MgO、Z
rO2 、TiO、TiO2 、TiN、TiC、B4 C、
BN、CoO、NiOあるいはCoO等が挙げられる
が、この中でカーボン系材料が好ましい。これらの保護
層は、単層であってもよく、積層構造であってもよい。
【0017】また本発明における金属系磁性薄膜の材料
は特に限定されず、通常の薄膜型磁気記録媒体に採用さ
れる磁性材料であればいずれも使用できる。例えば、F
e、Co、Ni等の単体強磁性金属、Fe−Co、Fe
−Co−Ni、Fe−Co−Cr、Fe−Co−Ni−
Cr、Fe−Cr、Fe−Cu等のFe系合金や、Co
−Ni、Co−Fe−Ni、Co−Pt、Co−Cr、
Co−Cu等のCo系合金やCo単体金属等が好ましく
例示される。これら金属系磁性薄膜の材料層は、酸素や
窒素、炭素等の不純物を含んでいてもよい。金属系磁性
薄膜は単層であってもよく、積層構造であってもよい。
さらに密着性や保磁力の制御等のため、非磁性支持体と
金属系磁性薄膜との間や、積層構造の場合にはその層間
に、下地層や中間層を設けてもよい。また金属系磁性薄
膜表面近傍は、耐蝕性向上等のため、酸化物層となって
いてもよい。
【0018】本発明で採用する非磁性支持体としては、
PET(Polyethyleneterephthalate) 等のポリエステル
樹脂をはじめとして、ポリオレフィン樹脂、ビニル樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂あるいはポリカー
ボネート樹脂等の有機高分子類が例示される。
【0019】本発明の磁気記録媒体の基本構成として、
非磁性支持体、金属系磁性薄膜および保護層以外に、必
要に応じてバックコート層や、潤滑剤や防錆剤の層を形
成してもよい。これらの層の材料や形成法は、いずれも
従来の薄膜型磁気記録媒体に採用されているものに準じ
てよい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的実施形態例
につき図面を参照しながら説明する。始めに本発明の磁
気記録媒体の製造装置の一例を、図1に示す概略断面図
を参照して説明する。
【0021】図1に示した磁気記録媒体の製造装置は、
基本的にはリール・ツー・リール方式の連続スパッタリ
ング装置である。すなわち、不図示の真空ポンプにより
内部を真空引きされる真空チャンバ1内には、PETフ
ィルム等の非磁性支持体上にCo系金属からなる金属系
磁性薄膜が形成された蒸着テープ原反2を供給する蒸着
テープ原反巻出しロール3、蒸着テープ原反2が巻きつ
けられ、その走行と同期して回転する冷却キャン5、保
護層が形成された蒸着テープ原反2を巻き取る蒸着テー
プ原反巻取りロール4、カーボン等の保護層材料で形成
され、不図示のRF電源あるいはDC電源に接続されて
いるスパッタリングターゲット8等が配設されている。
符号6、7はガイドロールである。以上は、連続スパッ
タリング装置の基本構成である。
【0022】本発明による磁気記録媒体製造装置の特徴
構成部分は、保護層形成手段の前段および後段に配設さ
れている、巻出し側粘着ロール9および巻取り側粘着ロ
ール10である。巻出し側粘着ロール9および巻取り側
粘着ロール10は、いずれもステンレスや樹脂製のロー
ルあるいはシャフト表面を、粘着性の例えばエチレン−
プロピレンゴムで被覆し、真円柱状に表面仕上げした構
造となっており、蒸着テープ原反2の走行速度と同期し
て回転することができるものである。回転は、動力なし
にフリーに自走回転する方式でも、トルクモータ等によ
り動力回転する方式であってもよい。
【0023】本発明による磁気記録媒体製造装置の他の
特徴構成部分は、回転する巻出し側粘着ロール9に接触
して連続的に走行する巻出し側粘着テープ11、および
回転する巻取り側粘着ロール10に接触して連続的に走
行する巻取り側粘着テープ12である。巻出し側粘着テ
ープ11および巻取り側粘着テープ12は、いずれもポ
リエステルフィルム等の基材表面に粘着性の例えばエチ
レン−プロピレンゴムをコーティングした構造となって
いる。巻出し側粘着テープ11は、巻出し側粘着テープ
巻出しロール13から供給され、巻出し側粘着テープ巻
取りロール14に巻取られる。また巻取り側粘着テープ
12は、巻取り側粘着テープ巻出しロール15から供給
され、巻取り側粘着テープ巻取りロール16に巻き取ら
れる。巻出し側粘着テープ巻出しロール13、巻出し側
粘着テープ巻取りロール14、巻取り側粘着テープ巻出
しロール15および巻取り側粘着テープ巻取りロール1
6の各ロールの回転はいずれも、動力なしにフリーに自
走する方式でも、トルクモータ等により動力回転する方
式であってもよい。符号17、18、19および20は
いずれもガイドロールである。
【0024】上述した各粘着ロールおよび粘着テープ
は、パーティクルが付着しこれが蓄積すると粘着力が低
下する。したがって、純水や洗剤を含有した純水等で定
期的に洗浄することが望ましい。各粘着ロールおよび粘
着テープを真空チャンバから取り外し、スクラバー等に
より洗浄することは容易である。各粘着ロールおよび粘
着テープは洗浄により、その粘着力を回復することがで
きる。
【0025】図1に示した磁気記録媒体の製造装置によ
れば、蒸着テープ原反巻出し側ロール3から送り出され
た蒸着テープ原反2は、その金属系磁性薄膜形成側表面
がまず回転する巻出し側粘着ロール9に接触し、表面の
パーティクルが除去される。次に、クリーニングされた
蒸着テープ原反2は、金属表面を有する冷却キャン5に
沿って約半周するが、この間に金属系磁性薄膜表面には
カーボンからなる保護層がスパッタリング形成される。
更に、保護層表面に付着したパーティクルは、巻取り側
粘着ロール10と接触することにより除去され、クリー
ニングされた保護層形成済みの蒸着テープ原反2は蒸着
テープ原反巻取りロール4に巻き取られる。
【0026】実施例1 以下、本発明の具体的実施例につき、図2を参照して更
に詳しく説明する。本実施例で採用した蒸着テープ原反
2は、図2(a)に示されるように非磁性支持体21上
に金属系磁性薄膜22を形成したものである。このう
ち、非磁性支持体21は、例えば厚さ10μm、幅15
0mmのPET(Polyethylene terephthalate)フィルム
上に、下地層としてアクリル酸エステルを主成分とする
水溶性ラテックス粒子を、約107 個/mm2 の密度と
なるように塗布したものである。また金属系磁性薄膜2
2は、従来一般的に使用される連続巻取り方式の電子ビ
ーム蒸着装置により、Co−20重量%Ni合金からな
る蒸着源から、200nmの厚さに斜方蒸着したもので
ある。この際、斜方蒸着角度は45〜90°の範囲と
し、非磁性支持体21の送り速度を25m/分、蒸着チ
ャンバ内への酸素導入量を250cc/分、蒸着時真空
度を7×10-2Paの条件で形成した。
【0027】この蒸着テープ原反2を巻取り、蒸着テー
プ原反巻出しロール3として図1に示した磁気記録媒体
製造装置の真空チャンバ1内にセッティングする。蒸着
テープ原反2には、金属系磁性薄膜22形成時や、図1
の磁気記録媒体製造装置の真空チャンバ1内にセッティ
ング後に付着したパーティクル23が存在する。そこで
蒸着テープ原反2に保護層を形成する前に、巻出し側粘
着ロール9を接触させ、図2(b)に示すようにこのパ
ーティクル23を除去する。巻出し側粘着ロール9に付
着したパーティクル23は、巻出し側粘着テープ11に
付着させ除去し、巻出し側粘着ロール9表面を常にクリ
ーンな状態に保持する。
【0028】このようにしてクリーニングされた蒸着テ
ープ原反2の金属系磁性薄膜22表面側に、カーボンか
らなる保護層24をスパッタリングにより連続的に形成
する。スパッタリングは、真空チャンバ内にArガスを
導入し、冷却キャン5とターゲット8との間にRFある
いはDC電圧を印加することにより、例えば5nmの厚
さに成膜する。この保護層24表面には、図2(c)に
示すように真空チャンバ1の内壁や、遮蔽板やマスキン
グ材等の内部構成部材から剥離したカーボン等からなる
パーティクル23が不可避的に付着している。
【0029】そこで、保護層24が形成された磁気テー
プ原反2に巻取り側粘着ロール10を接触させ、パーテ
ィクル23を除去する。このようにクリーニングされた
図2(d)に示す蒸着テープ原反2は、蒸着テープ原反
巻取りロール4に巻取られる。一方巻取り側粘着ロール
10表面に付着したパーティクル23は、巻取り側粘着
テープ12に付着させ除去し、巻取り側粘着ロール10
表面を常にクリーンな状態に保持する。
【0030】この後、真空チャンバ1から搬出した蒸着
テープ原反2の非磁性支持体21の裏面には、カーボン
粉末をポリウレタンからなる有機バインダに分散した塗
料を塗布厚0.6μm、送り速度150m/分の塗布条
件で塗布し、バックコート層を形成する。また保護層2
4表面にはパーフルオロポリエーテルからなる潤滑剤を
塗布してトップコート層を形成する。この後、保護層2
4が形成された蒸着テープ原反2を所定幅、例えば8m
m幅にスリットし、テープカセットに装填して実施例1
の磁気記録媒体を完成する。
【0031】実施例2 本実施例は前実施例1に準じたものであるが、本実施例
においては巻出し側粘着テープ11および巻取り側粘着
テープ12を使用せず、すなわち、巻出し側粘着テープ
11および巻取り側粘着テープ12を巻出し側粘着ロー
ル9および巻取り側粘着ロール10にそれぞれ接触せず
に保護層24を形成した。その他の金属系磁性薄膜22
の蒸着条件や保護層24のスパッタリング条件等は前実
施例1と同一であるので、重複する説明は省略する。
【0032】比較例 本比較例は巻出し側粘着ロール9および巻取り側粘着ロ
ール10のいずれも使用せず、すなわち、金属系磁性薄
膜22や保護層24表面に付着したパーティクル23を
特段の方法で除去することなく、保護層24を形成した
例である。その他の金属系磁性薄膜22の蒸着条件や保
護層24のスパッタリング条件等は前実施例1と同一で
あるので、重複する説明は省略する。
【0033】以上のようにして完成した実施例1、実施
例2および比較例の各試料につき、目視で付着パーティ
クルやパーティクルにより形成された形状変形である突
起(以下、これらを突起と総称する)の有無を検査し
た。目視試料は、蒸着テープ原反巻取りロール4に巻取
られた保護層24形成済みの蒸着テープ原反2をそのま
ま採用し、30×20cmの大きさで5個所サンプリン
グし、30cm2 あたりの突起の数の平均値で評価し
た。
【0034】またドロップアウトの測定は、ソニー製ハ
イバンド8mmVTR(EV−S900)を改造した測
定用VTRを用い、磁気記録媒体/磁気ヘッドの相対速
度を3.8m/secとし、記録周波数7.0MHzの
正弦波を記録し、その再生出力を10分間測定して1分
当たりのドロップアウト個数を測定した。ドロップアウ
トは再生出力のレベルダウンの程度に応じ、−10dB
/3μsec、−10dB/10μsecおよび−16
dB/10μsecの3水準に該当するものをそれぞれ
計数した。
【0035】実施例1、実施例2および比較例の各磁気
記録媒体の測定結果を、〔表1〕にまとめて示す。
【0036】
【表1】
【0037】〔表1〕の測定結果から明らかなように、
特段のパーティクル除去を施さない従来法による比較例
の磁気記録媒体に比較し、粘着ロールおよび粘着テープ
を用いてパーティクルを除去した実施例1の磁気記録媒
体は、突起数、ドロップアウト数とも大幅に低減されて
いることが明らかである。また、粘着ロールのみにより
パーティクルを除去した実施例2の磁気記録媒体は、実
施例1よりはその効果は少ないものの、突起数、ドロッ
プアウト数ともに低減されていることが明らかである。
【0038】以上、本発明の磁気記録媒体につき2例の
実施例および比較例により詳細な説明を加えたが、本発
明はこれら実施例以外にも種々の実施態様が可能であ
る。例えば、粘着ロールおよび粘着テープは、保護層の
形成工程の前後両方で用いる方法が最善であるが、保護
層の形成工程の前後いずれか一方で用いても、パーティ
クル除去の効果を得ることができる。さらに、保護層形
成用の製造装置構成は複雑となるが、蒸着テープ原反の
非磁性支持体側(金属系磁性薄膜形成面の反対側)にも
回転する粘着ロールを接触し、非磁性支持体側に付着し
たパーティクルをも除去する構成とすれば、パーティク
ル除去効果はさらに完全に近いものとなる。
【0039】金属系磁性薄膜としてCo−20重量%N
iを採用したが、ピュアなCo金属や、先述したような
各種Co合金系やその他の強磁性金属を用いても同様の
好結果を納めることが可能である。またCo−Cr合金
のごとく垂直磁気異方性を利用する垂直磁気記録媒体に
本発明を採用する場合にも好結果を得ることができる。
【0040】また実施例では蒸着による金属系磁性薄膜
の製造方法を例示したが、スパッタリング法やイオンプ
レーティング法を用いてもよい。また保護層の形成方法
としても、スパッタリングの他に蒸着、イオンプレーテ
ィング、CVD、プラズマCVD法を採用してもよい。
またその材料も、カーボン以外に先述した各種材料や非
磁性金属を用いることができる。
【0041】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の磁気記録媒体の製造装置および製造方法の採用によ
り、従来の製造方法による磁気記録媒体よりもドロップ
アウトが低減された磁気記録媒体を製造することができ
る。これにより、エラーレートを低減された次世代の高
密度磁気記録媒体を、安定に提供することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の製造装置である、連続
スパッタリング装置の概略断面図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の製造方法を、その工程
順に説明する概略断面図である。
【符号の説明】
1…真空チャンバ、2…蒸着テープ原反、3…蒸着テー
プ原反巻出しロール、4…蒸着テープ原反巻取りロー
ル、5…冷却キャン、6,7,17,18,19,20
…ガイドロール、8…スパッタリングターゲット、9…
巻出し側粘着ロール、10…巻取り側粘着ロール、11
…巻出し側粘着テープ、12…巻取り側粘着テープ、1
3…巻出し側粘着テープ巻出しロール、14…巻出し側
粘着テープ巻取りロール、15…巻取り側粘着テープ巻
出しロール、16…巻取り側粘着テープ巻取りロール、
21…非磁性支持体、22…金属系磁性薄膜、23…パ
ーティクル、24…保護層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、真空薄膜形成技術に
    より金属系磁性薄膜を形成し、その後前記非磁性支持体
    を連続的に走行させつつ、前記金属系磁性薄膜上にさら
    に保護層を形成する工程を有する磁気記録媒体の製造方
    法において、 前記保護層形成工程の前後の少なくともいずれか一方
    で、 前記金属系磁性薄膜表面に粘着ロールを接触回転させつ
    つ、 前記保護層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記回転する粘着ロールに、さらに粘着
    テープを連続的に接触走行させつつ、 前記保護層を形成することを特徴とする請求項1記載の
    磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記保護層の形成工程は、スパッタリン
    グによることを特徴とする請求項1または2記載の磁気
    記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属系磁性薄膜は、コバルトを主体
    とした磁性薄膜であることを特徴とする請求項1または
    2記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】非磁性支持体上に、真空薄膜形成技術によ
    り金属系磁性薄膜を形成し、その後前記非磁性支持体を
    連続的に走行させつつ、前記金属系磁性薄膜上にさらに
    保護層を形成する磁気記録媒体の製造装置において、 前記非磁性支持体の連続走行手段と、 前記保護層形成手段と、 前記保護層形成手段の前後の少なくともいずれか一方
    で、前記金属系磁性薄膜表面に接触回転する粘着ロール
    を具備することを特徴とする磁気記録媒体の製造装置。
  6. 【請求項6】 前記回転する粘着ロールに、さらに粘着
    テープを連続的に接触走行させ得る粘着テープ走行手段
    を有することを特徴とする請求項5記載の磁気記録媒体
    の製造装置。
  7. 【請求項7】 前記保護層形成手段は、スパッタリング
    手段であることを特徴とする請求項5または6記載の磁
    気記録媒体の製造装置。
  8. 【請求項8】 前記金属系磁性薄膜は、コバルトを主体
    とした磁性薄膜であることを特徴とする請求項5または
    6記載の磁気記録媒体の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011194585A (ja) * 2010-03-17 2011-10-06 Fujifilm Corp 機能性フィルムの製造方法

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