JPH08315349A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH08315349A
JPH08315349A JP12261395A JP12261395A JPH08315349A JP H08315349 A JPH08315349 A JP H08315349A JP 12261395 A JP12261395 A JP 12261395A JP 12261395 A JP12261395 A JP 12261395A JP H08315349 A JPH08315349 A JP H08315349A
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JP
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magnetic
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lubricant
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JP12261395A
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Yukari Yamada
ゆかり 山田
Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層が形成さ
れるとともに、非磁性支持体の磁性層が形成された側と
は反対側の面にバック層が形成されてなる磁気記録媒体
において、バック層としてCVD法またはスパッタリン
グ法で形成されたカーボン膜を設け、このカーボン膜上
にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を保持させる。 【効果】 バック面の摩擦係数が低く、良好な走行耐久
性を得ることが可能である。また、CVD法またはスパ
ッタリング法で形成されるカーボン膜は、数十nm程度
と非常に厚さが薄いので、媒体全体を薄手化できる。し
たがって、例えばテープカセットに適用した場合には、
1テープカセットあたりの収容長さを長くでき、記録情
報量の増大が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非磁性支持体の背面側
にバック層を有するタイプの磁気記録媒体に関し、特に
摩擦の低減及び走行耐久性の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオテープ、ビデオテープ等の磁
気テープとしては、酸化物磁性粉末或いは合金磁性粉末
等の磁性粉末材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合
体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹
脂等の有機バインダーとともに有機溶剤に分散せしめて
調製された磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布、乾燥す
ることで製造される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が
広く使用されている。
【0003】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりとともにCo−Ni合金、Co−Cr合金、Co
−O等の強磁性金属材料を、メッキや真空薄膜形成手段
(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等)によってポリエステルフィルムやポリアミド、
ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着し
た、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案され
注目を集めている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、抗
磁力や角形比等に優れ、また磁性層の厚みを極めて薄く
できるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さ
く短波長での電磁変換特性に優れる。そればかりでな
く、磁性層中に非磁性材であるバインダーを混入する必
要がないため磁性材料の充填密度を高めることができる
等、数々の利点を有している。すなわち、この金属磁性
薄膜型の磁気記録媒体は、磁気特性的な優位さ故に高密
度磁気記録の主流になると考えられる。
【0005】さらに、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体と
しては、電磁変換特性を一層向上させ、より大きな出力
を確保するために、強磁性金属材料を非磁性支持体の表
面に対して斜め方向から蒸着することで磁性層が形成さ
れる、いわゆる斜方蒸着タイプの磁気記録媒体も提案さ
れ実用化されている。
【0006】ところで、磁気テープには、走行耐久性等
を改善する目的で、磁性層の他に各種材料層が付加的に
設けられるのが通常である。
【0007】すなわち、磁気テープでは、高密度記録化
が進行しており、それに対応すべくスペーシングロスを
少なくするため、磁性層表面は平滑化される傾向にあ
る。しかし、磁性層表面の平滑化が進むと、それに伴っ
てヘッドと磁性層間の摩擦力が増大し、磁性層に生ずる
剪断応力が大きくなる。そこで、このような厳しい摺動
条件に耐えるものとするために、磁性層表面に保護層を
形成する手法が採用されている。
【0008】この他、磁気テープのバック面と各種摺動
部材との摺動性を改善し、磁気テープの走行安定性を向
上させる目的で、非磁性支持体の磁性層が形成された側
とは反対側の面に、カーボン粒子等の非磁性顔料や樹脂
結合剤から構成されバック層を設けることも多く行われ
ている。
【0009】ここで、このバック層は、通常、塗布法で
形成される。この塗布法では、バック層の組成物を溶剤
中に分散させることでバックコート塗料を調製し、この
バックコート塗料を非磁性支持体上に塗布、乾燥するこ
とでバック層を形成する。このような塗布法で形成され
るバック層の厚さは、概ね0.5μm程度である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、オーディオ
テープ、ビデオテープ等の磁気テープは、テープカセッ
トに収容されて用いられるのが一般的である。このテー
プカセット当たりの記録情報量を増大させるには、テー
プをできるだけ薄手化して、テープカセットに収容でき
るテープ長を長くすることが必要である。
【0011】このような点から、塗布法で形成されるバ
ック層を見ると、現状で形成されている0.5μmの厚
さから、たとえば1桁以上薄くするのは極めて困難であ
る。このため、このバック層がテープの薄手化の妨げに
なっているのが実情である。
【0012】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであって、バック層の厚みを薄く
でき、またバック面の摩擦が小さく優れた走行耐久性を
発揮する磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に少な
くとも磁性層が形成されるとともに、前記非磁性支持体
の磁性層が形成された側とは反対側の面にバック層が形
成されてなる磁気記録媒体において、上記バック層は、
CVD法またはスパッタリング法で形成されたカーボン
膜であり、このバック層上に、パーフルオロポリエーテ
ル系潤滑剤が保持されていることを特徴とするものであ
る。
【0014】本発明の磁気記録媒体では、非磁性支持体
の磁性層が形成される側とは反対側の面に、バック層と
してスパッタ法あるいはCVD法で形成されるカーボン
膜が設けられる。
【0015】スパッタ法でカーボン膜を形成するには、
プラズマ雰囲気下でイオン化したAr等のスパッタガス
を、カーボンターゲット表面に衝突させ、その衝突によ
ってスパッタ蒸発したターゲット粒子を基板上に堆積さ
せる。
【0016】また、CVD法でカーボン膜を形成するに
は、炭化水素系の原料ガスを、例えばプラズマ雰囲気中
に導入して分解し、基板上に被着させる。
【0017】このようにしてスパッタ法あるいはCVD
法で形成されるカーボン膜は、媒体の走行性や耐久性の
改善に有効に寄与するとともに、塗布法で形成されるバ
ック層に比べて数十nm程度と非常に薄い厚さとするこ
とができる。したがって、このようなカーボン膜をバッ
ク層とする磁気記録媒体は、バック層が薄い分、媒体全
体が薄手化し、例えばテープカセットに適用した場合に
は、1テープカセットあたりの収容長さを長くでき、記
録情報量の増大が図れる。
【0018】なお、カーボン膜としては、ダイヤモンド
構造を有するカーボン膜、いわゆるダイヤモンドライク
カーボン膜が好適である。すなわち、カーボンには、グ
ラファイト構造を有するもの、ダイヤモンド構造を有す
るもの等が知られており、ラマン分光スペクトルを測定
すると、それぞれに由来するピークが観測される。ここ
で言うダイヤモンドライクカーボン膜とは、少なくとも
その一部がダイヤモンド構造を有するもので、ラマン分
光スペクトルにおいて前記ダイヤモンド構造に由来する
ピークが観測されるものである。通常は、グラファイト
構造に由来するピークとともに、前記ダイヤモンド構造
に由来するピークが現れる。
【0019】また、このカーボン膜の厚さは、媒体の薄
手化を図りながら十分な耐久性を確保する観点から、2
0nm程度とするのが適当である。
【0020】さらに、本発明の磁気記録媒体では、この
バック層となるカーボン膜上にパーフルオロポリエーテ
ル系潤滑剤が保持される。このパーフルオロポリエーテ
ル系潤滑剤が保持されていると、カーボン膜表面の摩擦
係数が効果的に低減し、走行性、耐久性が一層改善され
ることになる。
【0021】なお、このパーフルオロポリエーテル系潤
滑剤としては、カルボキシル基を有するパーフルオロポ
リエーテルのアミン塩化合物やパーフルオロポリエーテ
ル系エステル等、通常潤滑剤として用いられているパー
フルオロポリエーテル系化合物がいずれも使用可能であ
る。
【0022】具体的に例示するならば、上記カルボキシ
ル基を有するパーフルオロポリエーテルのアミン塩化合
物としては、化1、化2で表されるものが挙げられる。
【0023】
【化1】
【0024】
【化2】
【0025】この化1、化2において、Rfはパーフル
オロポリエーテル鎖であり、R1 ,R2 ,R3 は炭化水
素基である。Rf及びR1 ,R2 ,R3 としては表1に
示す構造のものが挙げられる。
【0026】
【表1】
【0027】また、上記パーフルオロポリエーテル系エ
ステルとしては、例えば化3で表されるものが挙げられ
る。
【0028】
【化3】
【0029】これらパーフルオロポリエーテル系潤滑剤
をカーボン膜上に保持させるには、例えば潤滑剤を溶剤
に溶解して潤滑剤溶液を調製し、この潤滑剤溶液をカー
ボン膜上に塗布、乾燥すれば良い。ここで、この潤滑剤
溶液の濃度は、0.08重量%以上1.0重量%未満と
するのが適当である。パーフルオロポリエーテル系潤滑
剤の濃度が0.08重量%より少ないと、十分な潤滑効
果が得られず、逆に1.0重量%以上の場合には、走行
中に媒体が摺動部材にはりつくといったはりつき現象が
生じ、良好な走行耐久性が得られない。
【0030】以上のように本発明の磁気記録媒体には、
バック層としてCVD法またはスパッタリング法で形成
されるカーボン膜が形成され、さらにこのバック層表面
にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤が保持されるが、
この他の構成要素、すなわち非磁性支持体、磁性層とし
ては以下のものが用いられる。
【0031】まず、非磁性支持体の材質としては、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等
のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロ
ースジアセテート、セルロースアセテートブチレート等
のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、その他のプラスチック材料等が
挙げられる。
【0032】また、磁性層は、例えば強磁性金属材料を
薄膜形成技術によって非磁性支持体上に直接被着するこ
とで形成される金属磁性薄膜である。
【0033】この強磁性金属材料としては、金属磁性薄
膜型の磁気記録媒体で通常使用されるものがいずれも使
用でき、特に限定されない。具体的に例示するならば、
Fe,Co,Ni等の強磁性金属、Fe−Co,Co−
O,Fe−Co−Ni,Fe−Cu,Co−Cu,Co
−Au,Co−Pt,Mn−Bi,Mn−Al,Fe−
Cr,Co−Cr,Ni−Cr,Fe−Co−Cr,C
o−Ni−Cr,Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合
金等が挙げられる。
【0034】この強磁性金属材料を成膜する薄膜形成技
術としては、真空下で強磁性金属材料を加熱蒸発させ非
磁性支持体上に被着させる真空蒸着法や、強磁性金属材
料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、アル
ゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放電を起こし生じ
たアルゴンイオンでターゲット表面の原子をたたき出す
スパッタ法等、いわゆるPVD技術がいずれも使用可能
である。
【0035】磁性層としては、これら金属磁性薄膜の単
層膜であっても良いし、多層膜であっても良い。
【0036】また、非磁性支持体と金属磁性薄膜の間、
あるいは磁性層が多層膜である場合には各層間に、付着
力の向上ならびに抗磁力の制御等を図るのために、下地
層または中間層を設けても良い。さらに、磁性層表面近
傍が耐食性の改善等のために酸化物となっていても良
い。
【0037】以上が磁気記録媒体の基本的な構成である
が、磁気記録媒体の構成はこれに限定されるものでな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更、例えば必
要に応じて磁性層上に保護層や潤滑剤層を形成したり、
非磁性支持体上に下塗り層を形成することはなんら差し
支えない。
【0038】例えば保護層としては、ダイヤモンド構造
を有する硬質カーボン膜が好適である。この硬質カーボ
ン膜は、例えば材料の蒸発を放電中で行うイオンプレー
ティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー
放電を起こし生じたアルゴンイオンでターゲット表面の
原子をたたき出すスパッタ法等のいわゆるPVD技術
や、プラズマCVD法、ECRプラズマCVD法、アー
クジェットCVD法等によって形成される。
【0039】
【作用】非磁性支持体上に少なくとも磁性層が形成され
るとともに、非磁性支持体の磁性層が形成された側とは
反対側の面にバック層が形成されてなる磁気記録媒体に
おいて、上記バック層としてCVD法またはスパッタリ
ング法で形成されるカーボン膜を設けるとともに、この
バック層上にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を保持
させると、バック面の摩擦係数が効果的に低減し、走行
耐久性が改善される。
【0040】また、CVD法またはスパッタリング法で
形成されるカーボン膜は、数十nm程度と非常に厚さが
薄い。したがって、このようなカーボン膜をバック層と
する磁気記録媒体は、バック層が薄い分、媒体全体が薄
手化する。そのため、例えばテープカセットに適用した
場合には、1テープカセットあたりの収容長さを長くで
き、記録情報量の増大が図れる。
【0041】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明がこの実施例に限定されるものでないこと
は言うまでもない。
【0042】まず、次のようにして磁気テープを作製し
た。
【0043】10μm厚のポリエチレンテレフタレート
フィルム上に、斜方蒸着法により酸素ガスを導入しなが
らCo100(但し、数値は組成比を表す)単層膜の磁性
層を形成した。なお、蒸着雰囲気中に酸素ガスを導入し
たのは、磁気特性の制御の目的からである。成膜条件は
下記の通りである。また、形成されたCo100単層膜の
磁気特性は、保磁力Hcが100kA/m、残留磁束密
度Brが0.45Tであった。
【0044】 入射角 :45〜90゜ 酸素導入量 :3.3×10-63 /秒 蒸着時真空度 :7×10-2Pa 膜厚 :200nm 次に、このようにして形成された磁性層上に、CVD法
にて厚さ10nmのカーボン保護層を形成し、さらに非
磁性支持体の磁性層を形成した側とは反対側の面に、C
VD法にて厚さ20nmのカーボンバック層を形成し
た。なお、ここで形成したカーボン保護層及びカーボン
バック層は、いずれもダイヤモンド構造を有する硬質カ
ーボン膜である。
【0045】この硬質カーボン膜の形成に用いたプラズ
マCVD装置を図1に示す。
【0046】このプラズマCVD装置は、磁性層が形成
された非磁性支持体1を連続走行させながら、当該金属
磁性薄膜上に硬質カーボン保護膜を連続的に形成するよ
うになされたものである。
【0047】すなわち、頭部に取り付けられた排気系1
1により内部が所定の真空度に保たれた真空槽10内に
おいて、被処理体であるテープ状の非磁性支持体1が、
図1中の反時計回り方向に定速回転する送りロール3か
ら反時計回り方向に定速回転する巻き取りロール4に向
かって順次走行するようになされている。
【0048】この非磁性支持体1が上記送りロール3側
から巻き取りロール4側に亘って走行する中途部には、
該非磁性支持体1を図1中下方に引き出すように設けら
れるとともに、上記各ロール3,4の径よりも大径とな
された対向電極9が図1中時計回り方向に定速回転する
ように設けられている。
【0049】また、これら送りロール3と対向電極9及
び該対向電極9と巻き取りロール4間には、ガイドロー
ル2a,2bがそれぞれ配設されており、上記送りロー
ル3と対向電極9及び該対向電極9と巻き取りロール4
間を走行する上記非磁性支持体1に適当なテンションを
与えつつ、円滑な走行がなされるようになされている。
【0050】なお、上記送りロール3、巻き取りロール
4及び対向電極9は、それぞれ上記非磁性支持体1の幅
と略同じ長さからなる円筒状をなすものである。
【0051】従って、このプラズマCVD装置において
は、上記非磁性支持体1が、上記送りロール3から順次
送り出され、上記対向電極9の外周面に沿って通過し、
更に上記巻き取りロール4に巻き取られていくようにな
されている。
【0052】また、上記真空槽10内には、上記対向電
極9の下方に反応管5が設けられている。この反応管5
は、石英やパイレックスガラス、プラスチック等の絶縁
材よりなり、その一方の端部が真空槽10の底部を貫通
し、この端部から原料ガスが当該反応管内に導入される
ようになっている。ここでは、カーボン膜を成膜するた
め、原料ガスとしてはトルエン等の炭化水素ガスが用い
られる。
【0053】そして、この反応管5内の中途部には、放
電電極6が取り付けられている。この放電電極6は、外
部に配設された直流電源9に接続され、+500〜20
00Vの電位が印加されるようになっている。この放電
電極6は、ガスを透過しやすく、且つ電解を均一にかけ
ることができ、さらに柔軟性が得られることからメッシ
ュ状とされているのが望ましい。その材料としては、例
えば銅が代表的であるが、導電性を有する金属であれば
いずれでも良く、ステンレスや真鍮、金等も使用可能で
ある。
【0054】このようなプラズマCVD装置では、放電
電極6に電圧が印加されることで、当該放電電極6と対
向電極9との間にプラズマが発生する。そして、反応管
5内に導入された原料ガスは、この生じたプラズマのエ
ネルギーによって分解し、非磁性支持体1上に被着堆積
する。その結果、カーボン膜が成膜されることになる。
【0055】このようなプラズマCVD装置によってカ
ーボン保護層及びカーボンバック層をそれぞれ形成した
後、上記カーボンバック層上に、化3で表されるパーフ
ルオロポリエーテル系エステルのトルエン溶液を潤滑剤
溶液として塗布した。この潤滑剤溶液の塗布に用いた塗
布装置を図2に示す。
【0056】この塗布装置は、図2に示すように、時計
回り方向に回転可能な巻き出しロール21から巻き取り
ロール22に向かって、磁性層、保護層、バック層が形
成されたテープ原反20が連続走行するようになされて
おり、その連続走行する中途部に、転写装置33とドラ
イヤー34がこの順に配置されて構成されている。
【0057】上記転写装置33は、バックロール23と
グラビアロール24とが、連続走行するテープ原反20
を挟んで上下に対向配置されてなっている。この転写装
置33では、グラビアロール24の下側に載置された溶
液槽25中の潤滑剤溶液26が、グラビアロール24の
回転によって当該グラビアロール24表面にピックアッ
プされる。ピックアップされた潤滑剤溶液は、バックロ
ール23との間で連続走行するテープ原反20と接触す
る地点で、このテープ原反20に転写され、潤滑剤の塗
膜が形成されることになる。なお、上記溶液槽25は、
攪はん棒28が取り付けられた潤滑剤溶液供給タンク2
7と接続27されており、この潤滑剤溶液供給タンク2
7から常に均質な濃度の潤滑剤溶液が供給されるように
なっている。
【0058】上記ドライヤー34は、テープ原反20を
走行させる乾燥室29に溶剤回収装置30が連結されて
構成されている。上記乾燥室29内には、ガイドロール
32a,32b,32cが配設され、該乾燥室29内を
走行するテープ原反20の走行距離を稼ぐようになされ
ている。このようなドライヤー34では、乾燥室29中
をテープ原反20が走行している間に塗布された潤滑剤
溶液から溶媒成分が揮発し、上記溶剤回収装置30によ
って回収される。そして、テープ原反20に潤滑剤が保
持されたかたちになる。
【0059】なお、ここでは、カーボンバック層上に塗
布する潤滑剤溶液の濃度は、0.08重量%、0.16
重量%、0.32重量%、0.64重量%と変化させ
た。
【0060】また、磁性層上にも、上記塗布装置を用い
て0.32重量%の潤滑剤溶液を塗布した。
【0061】このようにしてカーボンバック層表面、磁
性層表面に潤滑剤を保持させた後、テープ原反を8mm
幅に裁断することで磁気テープを作製した。
【0062】そして、作製された磁気テープについて摩
擦係数及びシャトル耐久性をそれぞれ測定した。なお、
シャトル耐久性は次のようにして評価した。
【0063】8mmVTR(ソニー社製 商品名CVD
−1000)を用い、トラック幅20μmのヘッド(コ
ア材:Fe−Si−Al系合金)により、最短記録波長
0.5μmで信号記録を行った。次に、温度20℃,相
対湿度60%条件下、この記録信号を100回再生し、
再生100回目の出力の、初期出力に対する相対値を求
めることでシャトル耐久性を評価した。
【0064】また、比較として、カーボンバック層に潤
滑剤を保持させないこと以外は同様にして作製された磁
気テープについても、摩擦係数及びシャトル耐久性を測
定した。
【0065】これら摩擦係数及びシャトル耐久性の測定
結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】表2に示すように、カーボンバック層上に
潤滑剤を保持させていない実験例1の磁気テープは、摩
擦係数が大きく、またシャトル走行による出力劣化が5
〜6dBと非常に大きく耐久性に劣っている。
【0068】これに対して、0.08〜0.64重量%
の潤滑剤溶液を塗布した実験例3〜実験例6の磁気テー
プは、摩擦係数が小さく、シャトル走行による出力劣化
が3dB以内に抑えられている。
【0069】このことから、磁気テープのバック面にカ
ーボンバック層を設け、さらにこのカーボンバック層に
潤滑剤を保持させることは、テープの摩擦係数を低減さ
せ、走行耐久性を改善する上で有効であることがわかっ
た。
【0070】なお、潤滑剤溶液を塗布しても、その濃度
が1.0重量%と高い磁気テープでは、バック面が摺動
部材にはりつき、これら特性の測定が不可能であった。
【0071】したがって、塗布する潤滑剤溶液の濃度
は、0.08重量%以上、1.0重量%未満とするのが
適当であると判断される。
【0072】なお、本実施例では、カーボンバック層を
CVD法により形成したが、スパッタリング法でカーボ
ンバック層を形成した場合でも同傾向の結果が得られる
ことが確認されている。
【0073】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の磁気記録媒体では、非磁性支持体上に少なくとも磁
性層が形成されるとともに、非磁性支持体の磁性層が形
成された側とは反対側の面にCVD法またはスパッタリ
ング法で形成されたカーボン膜が形成され、さらにこの
カーボン膜上にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤が保
持されているので、バック面の摩擦係数が低く、良好な
走行耐久性を得ることが可能である。
【0074】また、CVD法またはスパッタリング法で
形成されるカーボン膜は、数十nm程度と非常に厚さが
薄いので、媒体全体を薄手化できる。したがって、例え
ばテープカセットに適用した場合には、1テープカセッ
トあたりの収容長さを長くでき、記録情報量の増大が図
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カーボンバック層を形成するのに用いたCVD
装置を示す模式図である。
【図2】パーフルオロポリエーテル系潤滑剤の塗布に用
いたグラビア塗布装置を示す模式図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層が形
    成されるとともに、前記非磁性支持体の磁性層が形成さ
    れた側とは反対側の面にバック層が形成されてなる磁気
    記録媒体において、 上記バック層は、CVD法またはスパッタリング法で形
    成されたカーボン膜であり、このバック層上に、パーフ
    ルオロポリエーテル系潤滑剤が保持されていることを特
    徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 バック層上に、0.08重量%以上1.
    0重量%未満なる濃度のパーフルオロポリエーテル系潤
    滑剤溶液を塗布することで潤滑剤が保持されることを特
    徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 パーフルオロポリエーテル系潤滑剤は、
    カルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルのア
    ミン塩化合物であることを特徴とする請求項1記載の磁
    気記録媒体。
  4. 【請求項4】 パーフルオロポリエーテル系潤滑剤は、
    パーフルオロポリエーテル系エステルであることを特徴
    とする請求項1記載の磁気記録媒体。
JP12261395A 1995-05-22 1995-05-22 磁気記録媒体 Withdrawn JPH08315349A (ja)

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