JP4193268B2 - 薄膜形成装置および薄膜形成方法ならびに案内ガイドロール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマ反応を利用した薄膜形成装置および薄膜形成方法ならびに案内ガイドロールに関し、さらに詳しくは、案内ガイドロールを用いて形成される薄膜の膜特性に特徴を有する薄膜形成装置および薄膜形成方法ならびに案内ガイドロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜形成装置および薄膜形成方法を応用した分野のうち情報記録の領域では、特に情報記録媒体に用いられる、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体上に形成される保護層がある。これらの保護層では、保護層を形成する工程の高スループット化とともに、これにより形成された保護層の高耐摩耗性が求められている。以下、薄膜形成装置および薄膜形成方法を磁気テープなどの磁気記録媒体に適用した例について説明する。
【0003】
従来より、磁気記録媒体としては、非磁性支持体上に酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の粉末磁性材料を塩化ビニール−酢酸ビニール系共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥することにより作成される塗布型の磁気記録媒体が広く使用されている。
【0004】
これに対して、高密度磁気記録への要求の高まりと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co−O等の金属磁性材料を、メッキや、真空薄膜形成手段(真空蒸着法、スパッタ法およびイオンプレーティング法等)によってポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリアミドおよびポリイミドなどのフイルム状の非磁性体上に直接被着した、いわゆる金属薄膜型の磁気記録層を有する磁気記録媒体が提案され注目を集めている。
【0005】
ところで、近年金属薄膜型の磁気記録層からなるいわゆる蒸着テープと呼ばれる磁気テープは、デジタルビデオカセットレコーダー等の用途や、AIT(ソニー社商品名:Advanced Intelligence Tape)等のデータストリーマー用途等への利用の広がりを見せており、この中で磁気テープの保護層の膜特性の向上が切に望まれている。
【0006】
以下に、金属薄膜型の磁気記録層を有する磁気記録媒体の一例について、磁気記録媒体の概略断面図である図3を参照して説明する。
磁気テープなどの磁気記録媒体4は、ポリエステルフィルムなどの非磁性支持体5に、Fe、Co、Niなどの強磁性金属またはFe、Co、Niの何れか1種を含む強磁性合金などの金属薄膜型の磁気記録層7が、真空蒸着法、スパッタ法およびイオンプレーティング法などの薄膜形成法で形成される。これらは、単層膜でも、多層膜であってもよい。さらに、必要に応じて、下塗り層6、硬質カーボン系などの保護層8、潤滑剤層9、およびバックコート層10が形成される。
【0007】
この金属薄膜型の磁気記録層7を有する磁気記録媒体4は、塗布型の磁気記録媒体と異なり、磁気記録層7中に非磁性材であるバインダーを混入する必要がなく、磁性材料の充填密度を高めることができるので、抗磁力や、角型比等に優れ、記録減磁や、再生時の厚み損失が著しく小さく短波長での電磁変換特性に優れる等多くの利点を有している。即ち、金属薄膜型の磁気記録層7を有する磁気記録媒体4は、磁気特性的な優位さの故に、高密度磁気記録の主流になるものと考えられる。
【0008】
さらに、この種の磁気記録媒体4の電磁変換特性を向上させ、より大きな出力を得ることができるようにするために、上記の磁気記録媒体4の磁気記録層7を形成する場合、磁気記録層7を斜めに蒸着するいわゆる斜方蒸着法が実用化されている。
【0009】
一方、今後更なる高密度化の流れからスペーシング損失を少なくする為に、磁気記録媒体4表面は平滑化される傾向にある。しかしながら、これは不図示の磁気ヘッドと磁気記録媒体4間の摩擦力の増大を招くとともに、磁気記録媒体4に生ずるせん断応力を大とする。
【0010】
このような背景から、磁気ヘッドと磁気記録媒体4間の摩擦係数を小さくするとともに耐摩耗特性を大きくする目的で、磁気記録媒体4の磁気記録層7の表面に保護層8が形成されている。
【0011】
このような保護層8としては、カーボン膜、石英(SiO2 )膜およびジルコニア(ZrO2 )膜などが検討され、磁気ディスクにおいては、すでに実用化され生産されているものもある。特に、近年では保護層8を形成する材料としてさらに硬度の大きいダイアモンドライクカーボン(Diamond Like Carbon)膜(以下、DLC膜と略記する。)等の膜形成も行われており、今後主流になると思われる。そして、特に、摺動特性および耐環境特性が要求される蒸着テープなどの磁気テープについての適用が検討されている。
【0012】
このような、保護層8等の薄膜形成装置としては、スパッタ装置またはプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置が多く用いられているが、特に成膜速度が大きくスループットを向上させたプラズマCVD装置を例として、以下、その薄膜形成装置および薄膜形成方法について説明する。
【0013】
プラズマCVD装置では、電場や、磁場を用いて発生させたプラズマのエネルギーを利用して、原料となる気体の分解、および結合等の化学反応を起こさせ、薄膜を形成する工程を有する。また、このプラズマCVD装置におけるプラズマ発生源として、DC放電やRF放電が一般的であるが、ECR(Electron Cyclotron Resonance) などを利用した方式の検討もなされている。
【0014】
上記のプラズマCVD装置の一例として、DC放電方式のプラズマCVD装置を用いて磁気テープ状の磁気記録媒体4の保護層8を形成する場合について、プラズマCVD装置の概略構成断面図である図4を参照して説明する。
【0015】
図4のプラズマCVD装置11において、磁気テープなどの磁気記録媒体の被処理体12に保護層として、例えばDLC膜を形成する。この被処理体12は、真空槽13中で、例えば一対の案内ガイドロール1に支持されながら、巻き出しロール14から巻き出され、対向電極であるとともに、定速で回転可能な、冷却機構を具備したキャンロール15により巻回支持され、回転駆動されつつ、走行しながら巻き取りロール16に収納される。真空槽13は、真空排気装置17により、所定の減圧雰囲気に排気される。
【0016】
一方、反応管18にガス導入口19から導入された炭化水素系の原料ガスは、反応管18内に設置された電極20を介して、例えば500V〜2000VのDC電界によりプラズマ化し、分解、結合などの反応をして、キャンロール15上の被処理体12にカーボン膜などが成膜される。電極20には、DC電源21より電力が供給される。そして、上記のプラズマCVD装置11を用いてカーボン膜などの保護層を形成することにより、被処理体12の磁気記録媒体の耐久性は著しく向上する。
【0017】
しかしながら、上記のプラズマCVD装置では、その要部概略断面図である図5に示すように、装置の構成からわかるように、高電圧印加でプラズマ分解された成膜物質を被処理体12上に成膜する場合は、被処理体12に高電流が流れる構造となっている。
このように発生した高電流をたとえば、アース接地のように、どこかにリークしなければ、被処理体12の正常な走行が不可能になったり、あるいはカミナリ放電現象であるアークが発生し、被処理体12自体と他の隣接する金属製の案内ガイドロール1と摺接する場合、微小なカミナリ放電現象であるアークが発生し、被処理体12自体への損傷(この場合、被処理体12が磁気記録媒体の場合は、多くはピンホール型の熱負けと称する磁性層および非磁性支持体の微小変形を指す。)が起きるという技術的問題点があった。さらに、上記の問題点は、高電圧印加(成膜速度に比例)になるほど顕著になるという問題も有していた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような技術的な背景のもとに提案するものであり、耐アーク特性を有し、形成する薄膜の損傷を防止しつつ、安定に成膜する薄膜形成装置および薄膜形成方法ならびに案内ガイドロールを提供することをその課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の薄膜形成装置は、真空槽と、前記真空槽中で、プラズマを発生させる手段と、
前記真空槽へのガス導入手段と、前記真空槽中で、磁気記録層を形成したPETフィルムの非磁性支持体である被処理体を巻回支持して走行させる案内ガイドロ−ルとを具備する。前記案内ガイドロールの前記被処理体に摺接する外周面は、前記案内ガイドロールの幅方向の両端部に導電体と、中央部に絶縁体とを有する。前記磁気記録層上に保護層を形成する際、前記導電体と前記被処理体の成膜面との摺接部分にアークを集中させる。
【0020】
本発明の薄膜形成方法は、減圧雰囲気中で、プラズマを発生させる工程と、前記減圧雰囲気へのガス導入工程と、案内ガイドロールを用いて、磁気記録層を形成したPETフィルムの非磁性支持体である被処理体を巻回支持して走行させる工程と、前記磁気記録層上に保護層を形成する工程を具備する。前記案内ガイドロールに前記被処理体が摺接する外周面が、前記案内ガイドロールの幅方向の両端部に導電体と、中央部に絶縁体とを有する。前記保護層を形成する工程において、前記導電体と前記被処理体の成膜面との摺接部分にアークを集中させる。
【0022】
保護層はカーボンおよびダイアモンドライクカーボンのうちのいずれか1種を含むことが望ましい。
【0023】
本発明の薄膜形成装置および薄膜形成方法において、案内ガイドロールの導電体と被処理体の摺接部の電流密度は、20.5×10-3A/mm2 以下であることが望ましい。
【0024】
絶縁体の電気抵抗は10000Ω以上であることが望ましい。
絶縁体はセラミックスであり、導電体はステンレスであることが望ましい。
【0025】
薄膜形成装置/薄膜形成方法はプラズマCVD装置/プラズマCVD法を用いることが望ましい。
【0026】
本発明の案内ガイドロールは請求項1に記載の薄膜形成装置に用いられることを特徴とする。
【0027】
絶縁体の電気抵抗は10000Ω以上であることが望ましい。絶縁体はセラミックスであり、導電体はステンレスであることが望ましい。
【0028】
上述した手段による作用を以下に説明する。本発明の外周面に導電体にはさまれた絶縁体を形成した案内ガイドロールを具備した、プラズマCVD装置などの薄膜形成装置および薄膜形成方法によれば、案内ガイドロールの導電体と磁気記録媒体の被処理体の成膜面との摺接部分にアークを集中させ、逆に案内ガイドロールの絶縁体と被処理体との摺接部分をアークによる損傷を抑制するとともに、欠陥の少ない均一で膜特性に優れた磁気記録媒体の保護層を安定して形成できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態例につき詳細な説明を加える。
本発明の実施の形態に関わる薄膜形成装置について、薄膜形成装置に設けられた案内ガイドロールの概略斜視図である図1、および案内ガイドロールと被処理体との関係を示す概略斜視図である図2、ならびに従来例の磁気記録媒体の概略断面図である図3およびプラズマCVD装置の概略断面図である図4を参照しながら説明する。
【0030】
薄膜形成装置の一例であるプラズマCVD装置の構成は、本発明の案内ガイドロール1をのぞき、図4のような従来例のプラズマCVD装置11と同様な構成であるので説明を省略する。そして、薄膜形成装置は、DC放電式のプラズマCVD装置11を磁気テープなどの磁気記録媒体の薄膜形成に適用した例であり、被処理体12として、図3のような磁気テープなどの磁気記録媒体4を採用し、保護層8として、例えばDLC膜を形成するために用いた例である。尚、従来例と同じ構成要素は、同じ符号を付すものとする。
【0031】
図1において、案内ガイドロール1は、例えばガイド径Фとガイド幅aとを有し、外周面がクローム処理されたステンレス鋼製の円柱形状の軸であり、円柱形の外周面の両端部が幅bを有する導電体2であり、中央部に、幅cの絶縁体3として例えばアルマイトなどが溶射法により、あるいはアルミナなどのセラミックスがスパッタ法または電子ビーム蒸着法などの真空成膜法により、例えば20μm以上形成されている。したがって、案内ガイドロール1の外周面が、ガイド幅a方向に、両端部が幅bの導電体2を有し、中央部が幅cの絶縁体3を有する構造となっている。
【0032】
図4のようなプラズマCVD装置11において、案内ガイドロール1は、例えば被処理体12である磁気記録媒体と以下のような関係で摺接して駆動される。ここで、図2のように、案内ガイドロール1の外周面は、被処理体である例えば磁気記録媒体4に、両端部の導電体2が非磁性支持体5と成膜された磁気記録層7あるいはこの装置で成膜された保護層8に摺接し、中央部の絶縁体3が磁気記録層7あるいはこの装置で成膜された保護層8に摺接しながら、磁気記録媒体4の走行を支持するように構成される。
したがって、上記のプラズマCVD装置11において、磁気記録媒体などの被処理体12は、このような案内ガイドロール1を介して、キャンロール15に巻回支持されながら走行しつつ、被処理体12の薄膜形成側には、例えばDLC膜などの保護層が形成される。
【0033】
次に、上記のプラズマCVD装置を用いて、本発明を適用した具体的な実施例およびこれに対比する比較例について、図3のような磁気記録媒体4として磁気テープを例にとり、この磁気テープの磁気記録層7上に例えばDLC膜の保護層8を形成する場合について以下に説明する。この磁気テープの構造は、一般的な金属薄膜型の磁気記録媒体4の構成に準じる。
【0034】
磁気記録媒体4の一例として、厚さ6μm、幅127mmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなる非磁性支持体5の一方の主面に、アクリル酸エステルを主成分とする水溶性ラテックスを分散させたエマルジョン溶液を塗布し、粒子密度1000個/mm2 の表面突起を形成した側の表面に、リールツーリール方式の連続巻き取り蒸着装置を用いて、磁気記録層7を形成した。
【0035】
磁気記録層7の成膜は、例えば、電子ビームによるCo合金の斜方蒸着法により、酸素ガスを導入しながらPETフィルムの非磁性支持体上に成膜し、部分酸化強磁性金属薄膜を形成する。その成膜条件は以下のとおりである。
磁気記録層組成 Co100単層
磁気記録層厚 200nm
磁気記録層蒸着幅 100mm
入射角 35〜60度
導入ガス 酸素ガス
蒸着時真空度 2×10-2Pa
【0036】
上記の磁気記録層7上にDLC膜の保護膜8を形成したときのプラズマCVD条件は、例えば以下に示した条件を採用した。
導入ガス エチレン+アルゴン
ガス比 C2H4/Ar=4/1
トータル流量 150 sccm
反応圧力 30 Pa
印加電圧 DC1.2kV
DLC膜厚 9nm
【0037】
上記の作製条件で、磁気記録層7と摺接する案内ガイドロール1の構造、本数、ガイド径Ф、絶縁体3の幅および磁気記録媒体4と案内ガイドロール1との抱角などの構成条件を変化させて、10種類の磁気テープの原反サンプルを作製した。
実施例1〜8および比較例1〜2の作製条件を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
上記の、実施例および比較例の磁気テープの原反サンプルに保護層8を形成後、PETフィルムの他方の主面(裏面)に、塗布型のバックコート層10を形成した。塗布型のバックコート層10の塗料は、一例として以下の組成によった。
この組成物をボールミルで混合し、塗布直前に硬化剤(コロネートL) を5重量部添加した。この塗料をグラビアコータにより、乾燥塗布厚が0.5μmとなるように塗布した。
【0040】
次に、潤滑剤層9としてフルオロカーボンを主骨格とし、これがジメチルデシルアミン構造となるように変成したもののトルエン溶液を塗布するように形成した。
この後、6.35mm幅に裁断してカセットに収納することにより実施例および比較例の磁気テープのサンプルを作製した。
【0041】
上記の磁気テープのサンプルについて、ドロップアウト(以下DOと略す)の測定を行い、評価を行った。
この評価法は、常温常湿環境下でサンプルテープを、VTRにかけて、DOを求める試験方法であり、DOサイズは、−6dB10μsのゲートで評価を行った。この不図示のDO測定系としては、磁気テープサンプルをビデオテープレコーダー(VTR)により、記録と再生を行い、再生時にオシロスコープの信号によりDOカウンターを用いてDO数を測定するように構成されている。
DO評価に用いたVTRは、DCR-VX1000(SONY製)であり、DOカウンターにはシバソク製のVH06AZを使用した。なお、DO測定の測定手順は、実施例および比較例の磁気テープに、単一周波数(波長1μm)を記録し、この再生出力をオシロスコープおよびDOカウンターに入力し、DO数を計測した。
この評価結果を表2に示す。DO(−6dB10μs)の数は、50個/分以下であれば画質音質的に問題のないレベルである。
【0042】
【表2】
【0043】
表2の結果から、比較例1では、案内ガイドロール1の外周面の表面構造をステンレスだけにすると、アークの多発が観測され、DO数も非常に多い結果となっている。
【0044】
比較例2では、案内ガイドロール1の外周面の表面構造をセラミックス(電気抵抗が10000Ω)だけにすると、アークの多発が観測され、この影響でついには被処理体が切断されてしまい、安定した成膜が行えない。
【0045】
実施例1〜6の結果から、案内ガイドロール1の外周面の表面構造を導電体2/絶縁体3/導電体2としてステンレス/セラミックス/ステンレスの構造にすると、案内ガイドロール1の導電体2と被処理体12(磁気記録媒体4)との摺接部分は除いて、案内ガイドロール1の絶縁体3と、被処理体12との摺接部分にはアークによる熱負けが発生せず、DO値が小さく、良好な値となっている。このことは、図2に示すように、案内ガイドロール1の両端部の導電体2部と被処理体12の摺接部に集中させ熱負け異常部の幅dを偏在させるとともに、中央部の被処理体12との摺接部に正常部の幅eを確保することができるためである。
【0046】
さらに、導電体2と摺接する被処理体12にかかる電流密度が大きくなると、実施例8のように、導電体2部でなくてもアークが派生し、DOが増加するが、本検討では、電流密度が20.5×10-3(A/mm2 )以下であれば安定した成膜が可能であることがわかる。
【0047】
実施例7から、案内ガイドロール1の絶縁体3の電気抵抗が5000Ωでは、絶縁体3と被処理体12との摺接部分でさえアークが発生してDO値が大きくなり、導電体2/絶縁体3/導電体2構造にする効果がないことがわかる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の薄膜形成装置および薄膜形成方法によれば、外周面の両端部に導電体と、中央部に絶縁体を形成した案内ガイドロールを具備するプラズマCVD装置などの薄膜形成装置を用いれば、得られる薄膜の熱損傷などを抑制しつつ、膜特性を安定させて成膜を行うことができる。また、この薄膜形成方法により磁気テープなどの磁気記録媒体の保護層として、ダイアモンドライクカーボン膜などを形成した場合、得られる薄膜の膜特性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる案内ガイドロールの概略斜視図である。
【図2】 本発明に係わる案内ガイドロールと被処理体との関係を示す概略斜視図である。
【図3】 従来例の磁気記録媒体の概略断面図である。
【図4】 従来例のプラズマCVD装置の概略断面図である。
【図5】 従来例のプラズマCVD装置の要部概略断面図である。
【符号の説明】
1…案内ガイドロール、2…導電体、3…絶縁体、4…磁気記録媒体、5…非磁性支持体、6…下塗り層、7…磁気記録層、8…保護層、9…潤滑剤層、10…バックコート層、11…プラズマCVD装置、12…被処理体、13…真空槽、14…巻き出しロール、15…キャンロール、16…巻き取りロール、17…真空排気装置、18…反応管、19…ガス導入口、20…電極、21…DC電源、Ф…ガイド径、a…ガイド幅、b,c,d,e…幅
Claims (17)
- 真空槽と、
前記真空槽中で、プラズマを発生させる手段と、
前記真空槽へのガス導入手段と、
前記真空槽中で、磁気記録層を形成したPETフィルムの非磁性支持体である被処理体を巻回支持して走行させる案内ガイドロ−ルとを具備し、
前記案内ガイドロールの前記被処理体に摺接する外周面は、前記案内ガイドロールの幅方向の両端部に導電体と、中央部に絶縁体とを有し、
前記磁気記録層上に保護層を形成する際、前記導電体と前記被処理体の成膜面との摺接部分にアークを集中させる薄膜形成装置。 - 前記案内ガイドロールの前記導電体と前記被処理体との摺接部の電流密度は、20.5×10-3A/mm2以下である請求項1に記載の薄膜形成装置。
- 前記絶縁体の電気抵抗は10000Ω以上である請求項1に記載の薄膜形成装置。
- 前記絶縁体はセラミックスである請求項1に記載の薄膜形成装置。
- 前記導電体はステンレスである請求項1に記載の薄膜形成装置。
- 前記薄膜形成装置はプラズマCVD装置である請求項1に記載の薄膜形成装置。
- 減圧雰囲気中で、プラズマを発生させる工程と、
前記減圧雰囲気へのガス導入工程と、
案内ガイドロールを用いて、磁気記録層を形成したPETフィルムの非磁性支持体である被処理体を巻回支持して走行させる工程と、
前記磁気記録層上に保護層を形成する工程を具備し、
前記案内ガイドロールに前記被処理体が摺接する外周面が、前記案内ガイドロールの幅方向の両端部に導電体と、中央部に絶縁体とを有し、
前記保護層を形成する工程において、前記導電体と前記被処理体の成膜面との摺接部分にアークを集中させる薄膜形成方法。 - 前記案内ガイドロールの前記導電体と前記被処理体との摺接部の電流密度は、20.5×10-3A/mm2以下である請求項7に記載の薄膜形成方法。
- 前記絶縁体の電気抵抗は10000Ω以上である請求項7に記載の薄膜形成方法。
- 前記絶縁体はセラミックスである請求項7に記載の薄膜形成方法。
- 前記導電体はステンレスである請求項7に記載の薄膜形成方法。
- 前記薄膜を形成する工程はプラズマCVD法を用いる請求項7に記載の薄膜形成方法。
- 前記保護層はカーボンおよびダイアモンドライクカーボンのうちのいずれか1種を含む請求項7に記載の薄膜形成方法。
- 請求項1に記載の薄膜形成装置に用いられる案内ガイドロール。
- 前記絶縁体の電気抵抗は10000Ω以上である請求項14に記載の案内ガイドロール。
- 前記絶縁体はセラミックスである請求項14に記載の案内ガイドロール。
- 前記導電体はステンレスである請求項14に記載の案内ガイドロール。
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