JPH1046344A - 成膜装置 - Google Patents

成膜装置

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JPH1046344A
JPH1046344A JP22054496A JP22054496A JPH1046344A JP H1046344 A JPH1046344 A JP H1046344A JP 22054496 A JP22054496 A JP 22054496A JP 22054496 A JP22054496 A JP 22054496A JP H1046344 A JPH1046344 A JP H1046344A
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Japan
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film
magnetic
reaction tube
film forming
forming apparatus
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JP22054496A
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Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
Takahiro Kawana
隆宏 川名
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Sony Corp
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜の安定した成膜が可能で、複雑な機械的動
作を必要としない成膜装置を提供すること。また、この
装置(例えば、プラズマCVD装置)を用いて、膜厚ム
ラ、アーク放電痕の少ない磁気記録媒体を提供するこ
と。 【解決手段】 成膜物質を含有するガス8を導入する反
応管5に対向して配置された基体21上に、ガス8の分
解によって生じる成膜物質(特にダイヤモンドライクカ
ーボン)を堆積させる成膜装置において、反応管5の線
膨張係数が33×10-6以下(20℃)の材質で形成さ
れていることを特徴とする成膜装置。また、この装置
(例えば、プラズマCVD装置)を用いて、安定してカ
ーボン保護膜等が成膜された磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜の成膜に好適
な成膜装置(例えば、プラズマCVD装置)に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録
媒体は、例えばオ−ディオ機器、ビデオ機器、コンピュ
−タ等に用いられ、その需要は著しく伸びてきている。
【0003】従来より、磁気記録媒体としては、非磁性
支持体上に酸化物磁性粉末又は合金磁性粉末等の粉末磁
性材料を、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエ
ステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機
バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥する
ことにより作成された、いわゆる塗布型の磁気記録媒体
が広く使用されている。
【0004】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co
−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段
(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等のいわゆるPVD技術)によってポリエステルフ
ィルムやポリアミド、ポリイミドフィルム等の非磁性支
持体上に直接被着した、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気
記録媒体が提案され、注目を集めている。
【0005】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、保
磁力や角型比に優れ、磁性層の厚みを極めて薄くできる
ため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さく、短
波長での電磁変換特性に優れるばかりでなく、磁性層中
に非磁性材料であるバインダーを混入する必要がないた
め、磁性材料の充填密度を高めることができる等、数々
の利点を有している。
【0006】即ち、金属薄膜媒体は、磁気特性的な優位
性の故に、高密度磁気記録の主流になると考えられてい
る。
【0007】さらに、この種の磁気記録媒体の電磁変換
特性を向上させ、より大きな出力を得ることができるよ
うにするために、磁気記録媒体の磁性層を形成する場
合、磁性層を斜めに蒸着する、いわゆる斜方蒸着が提案
され、実用化されている。
【0008】ところで、塗布型及び金属磁性薄膜型の磁
気記録媒体では、一層の高密度化を図ることから、スペ
ーシング損失を少なくするために媒体は平滑化される傾
向にある。しかし、磁性層表面の平滑性が良好である
と、磁気ヘッドやガイドローラー等の摺動部材に対する
実質的な接触面積が大きくなり、従って、摩擦係数が大
きくなって、凝着現象(いわゆる張り付き)が起き易
く、走行性や耐久性に欠ける等、媒体に生ずる剪断応力
は大きくなり、問題点が多い。
【0009】例えば、8ミリビデオデッキに挿入された
テープは、10個以上のガイドピンを通って、ドラムに巻
き付けられる。その際、ピンチローラーとキャプスタン
によってテープテンションとテープ走行速度は一定に保
たれていて、テンションは約20g、走行速度は 0.5cm/s
である。
【0010】この走行系において、テープの磁性層はス
テンレス製の固定されたガイドピンと接触する構造にな
っている。そのために、テープ表面の摩擦が大きくなる
と、テープがスティックスリップを起こして、いわゆる
テープ鳴きという現象が起き、再生画面のひきつれを起
こす。
【0011】また、テープとヘッドとの相対速度は非常
に大きく、特にポーズ状態では同じ場所での高速接触と
なるので、磁性層の摩耗の問題が生じ、再生出力の低下
につながる。磁性層を蒸着で形成した蒸着テープの場合
には、磁性層が非常に薄いので、この問題は更に助長さ
れる。
【0012】ハードディスク装置では、CSS(コンタ
クト・スタート・ストップ)といって、回転前には磁気
ヘッドはディスクに接触しており、高速で回転を始める
と、発生する空気流によって浮上するタイプである。従
って、起動停止又は起動時には媒体を擦って走行するの
で、そのときの摩擦増加が大きな問題となっている。
【0013】商品レベルの信頼性を保つには、CSS操
作を2万回行った後の摩擦係数が特に0.5以下である
ことが望まれる。また、高速で回転しているので、ヘッ
ドと媒体によるヘッドクラッシュの問題も薄膜媒体では
課題の一つである。
【0014】このように、摺動耐久性が厳しくなる状況
の中で、耐久性を向上させる目的で、磁性層の表面に保
護膜を形成する技術の検討がなされてきた。
【0015】このような保護膜としては、カーボン膜、
石英(SiO2 )膜、ジルコニア(ZrO2 )膜等が検
討され、ハードディスクにおいては実用化されているも
のもある。
【0016】特に、最近は、カーボン膜よりも硬度が大
きいダイヤモンドライクカーボン(DLC:ダイヤモン
ド構造をとるカーボン)膜等の膜形成の検討も行われて
おり、今後は主流になるものと思われる保護膜である。
【0017】成膜装置は、PVD(Physical Vapor Depo
sition)装置とCVD(Chemical Vapor Deposition)装
置に大別できる。PVD装置は、蒸着装置、イオンプレ
ーティング装置、スパッタ装置等があり、主として物理
的な変化を利用して薄膜を形成する装置である。
【0018】そこで、上記したDLC膜の形成には、現
在、スパッタリング法、CVD法が用いられている。
【0019】スパッタリング法とは、電場や磁場を利用
してアルゴンガス等の不活性ガスの電離(プラズマ化)
を行い、更に、電離したイオンを加速することにより得
られる運動エネルギーによって、ターゲットの原子を叩
き出す。そして、その叩き出された原子が対向する基板
上に堆積し、目的とする膜を形成する物理的プロセスで
ある。
【0020】しかし、この物理的方法によるDLC膜の
形成速度は一般に遅く、工業的見地からは、生産性に劣
る成膜手段である。
【0021】これに対して、CVD装置とは、気相成長
を利用した薄膜形成技術の一つであり、成膜物質を含有
するガスが、高温の空間において化学反応を利用して、
原料ガスを熱分解して、成膜物質を生成させ、基体上に
堆積させるものである。このようなCVD装置の代表的
なものとして、プラズマCVD装置が挙げられる。
【0022】プラズマCVD法(化学的気相成長法)
は、電場や磁場を用いて発生させたプラズマのエネルギ
ーを利用して、原料となる気体の分解、合成等の化学反
応をおこさせ、膜を形成する化学的プロセスである。
【0023】このプラズマCVDによる成膜は、上記の
スパッタリング法に比べて膜の形成速度が大きいので、
今後、DLC膜の形成に期待されているものである。
【0024】これまで、プラズマCVD法によって非磁
性支持体上に連続膜を形成する際、反応管を用いて、原
料となる気体の分解、合成をする方法が提案されてい
る。
【0025】このような反応管を用いると、原料となる
気体の分解、合成を反応管内の所定の領域で行い、効率
的に原料の薄膜化ができるので、薄膜を形成するのに有
効な成膜装置となる。
【0026】ところが、反応管を用いるプラズマCVD
法で膜形成を行う際には、成膜の安定化が必要であり、
膜形成時に異常放電の発生を防ぐことが重要である。
【0027】これは、反応管と、これに対向して配置さ
れた非磁性支持体との隙間を小さく(1mm程度に)し
て、反応管の内外に圧力の差(差圧)を設けることによ
り対処している。
【0028】また、成膜に際しては、時間的な安定性を
必要とするので、上記の隙間を一定に保つために、機械
的にこの隙間を調節する方法が提案されている。
【0029】しかしながら、生産設備クラスの大きな成
膜装置においては、反応管と非磁性支持体との隙間を機
械的な調節方法で1mm程度の隙間に維持、管理するに
は、この隙間をセンサで検出し、この検出値に基づいて
反応管を位置調節するといった精密なフィードバックシ
ステムを導入する必要があり、また、このシステムを配
置するスペースを作らなければならない。また、このシ
ステムの導入、維持及び管理のコストも高くなるので、
経済的な成膜方法とは言えない。
【0030】但し、フィードバックシステムとは、機械
的、電気的な組み合わせで、上述の隙間を検出し、維
持、管理する方法である。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、こうした従
来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、安
定した成膜が可能であり、複雑な制御動作を必要としな
い成膜装置を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するべく鋭意検討を重ねた結果、上述の反応管の材
質として、線膨張係数(線膨張率)を特定の小さな材質
を選ぶことにより、成膜時に反応管内に発生する熱及び
反応管内外の圧力差による反応管の変形を最小限に抑
え、上述の隙間を1mm程度に維持、管理し易くなるこ
とを見出した。
【0033】即ち、本発明は、成膜物質を含有するガス
を導入する反応室(通常は反応管として構成される。)
に対向して配置された基体上に、前記ガスの分解によっ
て生じる前記成膜物質を堆積させる成膜装置において、
前記反応室を形成する壁部(通常は反応管の材質)の線
膨張係数が33×10-6以下(但し、温度約20℃)の
材質で形成されていることを特徴とする成膜装置(以
下、本発明の成膜装置と称する。)に係るものである。
【0034】本発明によれば、成膜装置の反応室が線膨
張係数33×10-6以下(20℃)の材質で形成されて
いるので、熱等による反応管の膨張、変形が極めて少な
く、膜を安定して成膜することができ、また、精密なフ
ィードバックシステムを導入する必要もないので、複雑
な機械的動作を必要とせず、経済的な成膜装置を提供で
きる。
【0035】本発明の成膜装置における、成膜物質を含
有するガスの原料としては、炭化水素等の有機材料、シ
リコン等の無機材料等、ほとんどすべての材料が使用で
き、また、基体としても、基体として用いるものであれ
ば、広範囲のものから選択して使用できる。
【0036】ここで、上記の線膨張係数(線膨張率)と
は、この係数をαとすると α=1/L0 ・dL/dt で表される。但し、L0 は温度0℃における長さ、Lは
温度t℃における長さを表し、本明細書中に記載された
線膨張係数(線膨張率)の値は全て293K(約20
℃)のものである。
【0037】
【発明の実施の形態】本発明の成膜装置の反応管は、絶
縁性の材質(絶縁物)で構成されていることが好まし
い。
【0038】通常、プラズマCVDによる成膜時には、
反応管内に電圧をかけて放電させるため、反応管が電気
伝導性の材質であると、反応管内の電圧が反応管外に逃
げてしまい、反応管内の電圧が降下してしまうからであ
る。
【0039】つまり、本発明の成膜装置の反応管は、線
膨張係数が33×10-6以下(20℃)の絶縁性の材質
(絶縁物)であればいかなるものも使用できる。また、
その形状も種々であってよく、成膜される支持体の形状
に応じて変更可能である。
【0040】例えば、石英、パイレックス等のガラス
類、ベークライト(フェノール樹脂:商品名)、ガラス
エポキシ樹脂(ガラス繊維で強化されたエポキシ樹
脂)、エンジニアリングプラスチック(例えば、ポリカ
ーボネート、ポリスルホン等)等の樹脂類、マグネシア
(酸化マグネシウム)、アルミナ(酸化アルミニウム)
等のセラミックス類等が挙げられる。
【0041】本発明の成膜装置は、プラズマCVD装置
に適用して好適である。プラズマCVD装置とは、プラ
ズマのエネルギーを利用して原料となる気体の分解、合
成等の化学反応をおこし、これによる生成物質を堆積し
て薄膜を形成する装置である。
【0042】本発明においては、このプラズマCVD装
置をカーボン膜、特にDLC膜の成膜に用いることがで
きる。このカーボン膜は磁気記録媒体の表面保護膜とし
て用いることができる。
【0043】この磁気記録媒体としては、非磁性支持体
上に磁気記録層が設けられている磁気記録媒体(磁気テ
ープ、磁気ディスク等)の全てが対象となるが、特に、
ケースに内蔵されている媒体に比べて、外部に露出する
機会の多いテープ媒体等は、耐環境特性が厳しく要求さ
れるので、前記表面保護膜による効果が大きい。
【0044】但し、この保護膜の材料は、カーボンとし
てDLC(ダイヤモンドライクカーボン:ダイヤモンド
構造をもつカーボン)を使用することが好ましいが、こ
の他にも、一般に使用されている材料をも使用できる。
【0045】例示すれば、CrO2 、Al2 3 、B
N、Co酸化物、MgO、SiO2 、Si3 4 、Si
X 、SiC、SiNX −SiO2 、ZrO2 、TiO
2 、TiC等が挙げられる。これらは単層膜であっても
よいし、多層膜又は複合膜であってもよい。
【0046】また、前記保護膜を形成する手段として
は、主に、スパッタリング法、CVD法が用いられる。
その他にも、例えば蒸着法、イオンプレーティング法等
のPVD(物理吸着)法や、常圧CVD、減圧CVD、
熱分解CVD、光CVD、プラズマCVD等のCVD
(化学吸着)法等の技術を使用できる。
【0047】これらの成膜手段は、通常は単独で使用さ
れるが、例えば、減圧熱分解CVDや減圧プラズマCV
D等のように、組み合わせてもよい。
【0048】このうち、CVD法、特にプラズマCVD
法は、成膜が速いので、量産向きであり、使用されるガ
スを幅広く選ぶことができる。またその成膜条件からみ
て、反応管の線膨張係数を本発明の範囲に特定すること
による効果が著しい。
【0049】上述の磁気記録媒体としては、特に、非磁
性支持体の表面上に蒸着等の手法により磁性膜が磁性層
として形成され、更にその磁性層の上にカーボン膜を形
成した、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体に適用する
ことが好ましい。また、この金属薄膜型の磁気記録媒体
においては、非磁性支持体と磁性層との間に下地層を設
けた構成とすることもできる。また、塗布型の磁気記録
媒体に対しても応用が可能である。
【0050】上記非磁性支持体上には、強磁性金属材料
を直接被着することにより、金属磁性薄膜が磁性層とし
て形成されているが、この金属磁性材料としては、通常
の蒸着テープ等に使用されるものであれば如何なるもの
であってもよい。
【0051】例示すれば、Fe、Co、Ni等の強磁性
金属やFe−Co、Co−Ni、Fe−Co−Ni、F
e−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Pt、Mn
−Bi、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−
Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Fe−C
o−Ni−Cr、等の強磁性合金が例示される。これら
は、単層膜であっても、多層膜であっても良い。
【0052】さらには、非磁性支持体と金属磁性薄膜
間、あるいは多層膜の場合には、各層間の付着力向上及
び保磁力の制御のため、下地層又は中間層を設けてもよ
い。
【0053】金属磁性薄膜の形成手段としては、真空下
で強磁性材料を加熱蒸発させ、非磁性支持体上に沈着さ
せる真空蒸着法や、強磁性材料の蒸発を放電中で行うイ
オンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気
中でグロー放電を起こし、生じたアルゴンイオンでター
ゲット表面の原子を叩き出すスパッタリング法等、いわ
ゆるPVD技術を使用しても良い。
【0054】金属磁性薄膜の厚みは通常、0.02〜1
μmである。
【0055】また、非磁性支持体としても従来公知のも
のが使用できる。
【0056】例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル
類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテ
ート、セルローストリアセテートブチレート等のセルロ
ース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の
ビニル系樹脂、ポリカーボネート類、ポリアミドイミド
類に代表されるような高分子材料や、アルミニウム合
金、チタン合金等の軽金属等からなる金属板、アルミナ
ガラス、セラミックス等により形成される支持体等が挙
げられる。その形態も何ら限定されるものではなく、テ
ープ状、シート状、ドラム状等いかなる形態であっても
よい。
【0057】また、上述の金属薄膜型の磁気記録媒体に
おいて、磁性層である金属磁性薄膜等の他に、バックコ
ート層等が必要に応じて形成されていてもよい。即ち、
公知技術と同様に、カーボン等の非磁性顔料を塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体等の結合剤及び有機溶剤と共に
混練することによってバックコート層用塗料を調製し、
これを非磁性支持体の磁性層とは反対側の面に塗布する
ことによって形成されるが、このとき使用される結合剤
や有機溶剤はいずれも、従来公知のものが使用可能であ
り、何ら限定されるものではない。
【0058】バックコート層の厚みは通常、0.4〜
1.2μmである。
【0059】本発明は、上記した金属薄膜型の磁気記録
媒体だけでなく、非常に微細な磁性粒子と樹脂結合剤と
を含む磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、これを磁性
層とした、いわゆる塗布型の磁気記録媒体に適用しても
よい。
【0060】この塗布型の磁気記録媒体で使用可能な磁
性粒子は、上記した磁性金属の粉末でもよいし、酸化物
磁性粉末でもよい。これには、例えば、γ−Fe
2 3 、Co含有γ−Fe2 3 、Co被着γ−Fe2
3 、Fe3 4 、Co含有Fe34 、Co被着Fe
3 4 、CrO2 等が挙げられる。金属磁性粉末として
は、上述したもの以外にも例えば、Fe−Co−B、F
e−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−
Co−V等が挙げられ、更にこれらの種々の特性を改善
する目的で、Al、Si、Ti、Cr、Mn、Cu、Z
n等の金属成分が添加されたものであってもよい。ま
た、バリウムフェライト等の六方晶系フェライトや窒化
鉄等も使用可能である。
【0061】また、この磁性層のバインダとして、従来
から公知の結合剤樹脂のいずれもが併用可能である。こ
うした公知の樹脂の例としては、塩化ビニル系共重合体
(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニ
ル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニ
トリル共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル共
重合体、−SO3 Na、−SONa等の極性基及びエポ
キシ基が導入された塩化ビニル系共重合体)、ニトロセ
ルロース樹脂等のセルロース樹脂誘導体、アクリル樹
脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール
樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン系
樹脂(例えば、ポリエステルポリウレタン樹脂、−SO
3 Na、−SO2 Na等の極性基が導入されたポリウレ
タン系樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂)を挙
げることができる。
【0062】また、磁性層には必要に応じて、ジブチル
フタレート、トリフェニルフォスフェートのような可塑
剤、ジオクチルスルホナトリウムサクシネート、t−ブ
チルフェノール、ポリエチレンエーテル、エチルナフタ
レンスルホン酸ソーダ、ジラウリルサクシネート、ステ
アリン酸金属塩、ステアリン酸エステル類のような炭化
水素系潤滑剤、シリコンオイルのようなシリコン系潤滑
剤、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロカルボン
酸等のフッ素系潤滑剤、或いはカーボンブラック等の帯
電防止剤を添加することもできる。アルミナ又は酸化ク
ロム等の研磨性のある無機顔料を含有させることもでき
る。
【0063】図2は、本発明の成膜装置を適用し、磁気
記録媒体の表面保護膜の成膜に用いることのできるプラ
ズマCVD装置の要部構成図である。
【0064】図2の装置は、酸素ガスを導入しながらコ
バルト系(例えばCo−Ni)等の金属を蒸着して部分
酸化強磁性金属薄膜を形成した非磁性支持体21上に、
カーボン膜を形成するものである。
【0065】図中の2は回転支持体、3は巻き出しロー
ル、4は巻き取りロール、5は反応管である。この反応
管5の内部にはメッシュ電極6が組み込まれている。ま
た、この電極6には直流電源7により+500〜200
0Vの電圧が加えられる。8は放電ガス導入口であり、
炭化水素が主成分である(例えばトルエン)ガスが導入
される。この反応管5には円筒状の回転可能な対向電極
9が微小な隙間dを置いて設置されている。
【0066】上記非磁性支持体21は電極9の表面に巻
き付けられて送られ、反応管5の内側にて発生させたプ
ラズマ反応ガスを引き寄せ、その表面に、所定の膜厚で
カーボン膜を形成する。10は真空排気系、また、11
は真空槽である。また、反応管5の側部には、この反応
管5の温度を検出する温度センサ13が設けられてお
り、放電ガス導入口8には、このガスの導入量を適宜調
節できる圧力ゲージ12が設けられている。
【0067】本発明が適用される金属磁性薄膜型又は塗
布型の磁気記録媒体としては、例えば、図3に示すよう
に、非磁性支持体21の表面に磁性層が磁性層22とし
て形成されており、必要に応じてバックコート層23を
形成したもである。この磁気記録媒体において、図2に
示した成膜装置によって、磁性層22上に保護膜24が
設けられる。非磁性支持体21と磁性層22との間に下
地層(図示せず)を介した構成の磁気記録媒体であって
もよい。
【0068】なお、本発明は、磁気記録媒体や光学的装
置及び素子、半導体装置等に薄膜、例えば表面保護膜を
成膜する場合にも適用可能である。
【0069】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0070】本実施例は、磁気記録媒体の表面保護膜の
成膜装置として、図2に示した装置を使用したものであ
る。
【0071】この磁気記録媒体は、以下に示す材質及び
方法で製造された金属磁性薄膜型の磁気テープである。
【0072】非磁性支持体(ベースフィルム) 材質:ポリエチレンテレフタレート (PET) 厚み:10μm 磁性層(金属薄膜型) 材質:コバルト80%−ニッケル20%合金の単層膜 厚み:200nm 成膜方法:真空蒸着法 入射角:45〜90°(斜方蒸着) 導入ガス:酸素ガス 蒸着時の真空度:2×10-2Pa
【0073】さらに、図2の成膜装置を用いて、前記金
属磁性薄膜上にプラズマCVDによりDLC(ダイヤモ
ンドライクカーボン)膜を次の条件で成膜した。
【0074】導入ガス:トルエン 反応圧力:10Pa 導入電力:直流1.5kV DLC膜厚:10nm 温度:50〜60℃
【0075】以上のような条件にて、実施例としてベー
クライト(樹脂)、パイレックスガラス、マグネシア
(セラミックス)からなる反応管を使用し、また、比較
例として低密度ポリエチレン、アルミニウムブロンズか
らなる反応管を使用して、1000m長に亘って連続放
電を行い、放電の安定性を調べた。また、連続放電を行
った後の反応管内の最終圧力と異常放電の発生密度を調
べた。
【0076】但し、反応管内の最終圧力は、圧力ゲージ
12で測定し、異常放電の発生密度は、幅20μS以
下、電流値100A以上の異常パルスを1個として、オ
シロスコープを用いて調べた。
【0077】これらの結果を下記の表1及び図1に示
す。
【0078】
【0079】表1及び図1から、実施例1〜3のよう
に、線膨張係数が33×10-6以下(20℃)の材質の
反応管では、多少の圧力上昇(反応開始時の圧力は10
Pa)が見られるものの僅かであり、アーク放電等の異
常放電の密度(個/min)が非常に小さく、放電は極
めて安定していることが分かる。この線膨張係数は、小
さければ小さい程、望ましい。
【0080】これに対して、比較例1のように、線膨張
係数が大きな材質(ポリエチレン)を用いた場合、熱的
要因により、反応管が大きく膨張して変形し、反応管と
非磁性支持体との隙間に変化が生じ、このために反応管
内の圧力の上昇がみられ、異常放電の密度が非常に大き
くなっている。この異常放電は最終圧力が100Pa以
上で生じ易くなる。また、比較例2のように、導電性の
反応管を用いると、線膨張係数は小さくても、放電が生
じなくなることが分かった。
【0081】
【発明の作用効果】本発明によれば、上述の反応室の材
質において、線膨張係数が小さい材質(つまり、線膨張
係数が33×10-6以下(20℃)の材質)を選ぶこと
により、成膜時の反応室の変形を最小限に抑え、成膜時
の圧力の変化を小さくし、成膜の安定性を高めることを
可能にし、同時に、異常放電の発生を抑制できる。
【0082】さらに、熱等の影響による反応室の膨張、
変形が最小限になるため、反応室と基体との隙間をほぼ
一定に保つことができ、複雑な機械的動作を必要としな
い、経済的な成膜装置を提供できる。
【0083】また、この反応室の材質に絶縁物を選ぶ
と、反応室内の電圧が外部に逃げず、電圧が降下しない
ので、成膜の安定性を高めることが可能である。
【0084】特に、本発明の成膜装置をプラズマCVD
装置に適用し、磁気記録媒体上に表面保護膜を成膜する
際には、圧力上昇及び異常放電の増加によって生じる欠
陥(膜厚のムラ、アーク放電痕等)を最小限に抑制する
ことができる。
【0085】これによって、データストリーマー(コン
ピュータ用磁気テープ)やビデオライブラリ等のよう
に、特に高い信頼性を必要とし、特別な用途にも耐えう
る磁気記録媒体を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】線膨張係数による反応管内の最終圧力及び異常
放電密度の変化を示すグラフである。
【図2】本発明に使用可能なプラズマCVD装置の要部
構成図である。
【図3】本発明が適用可能な磁気記録媒体の一例の要部
断面図である。
【符号の簡単な説明】
5…反応管、6…メッシュ電極、7…直流電源、8…原
料(反応)ガス、9…電極、12…圧力ゲージ、13…
温度センサ、21…非磁性支持体、22…磁性層、23
…バックコート層、24…表面保護膜、d…隙間

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成膜物質を含有するガスを導入する反応
    室に対向して配置された基体上に、前記ガスの分解によ
    って生じる前記成膜物質を堆積させる成膜装置におい
    て、前記反応室を形成する壁部の線膨張係数が33×1
    -6以下の材質で形成されていることを特徴とする成膜
    装置。
  2. 【請求項2】 反応室を形成する反応管が絶縁物からな
    る、請求項1に記載した成膜装置。
  3. 【請求項3】 反応室を形成する反応管の材質が、ガラ
    ス、樹脂及びセラミックスのいずれかからなる、請求項
    1に記載した成膜装置。
  4. 【請求項4】 プラズマCVD装置として構成された、
    請求項1に記載した成膜装置。
  5. 【請求項5】 カーボン膜を成膜するのに用いられる、
    請求項4に記載した成膜装置。
  6. 【請求項6】 カーボン膜が磁気記録媒体の表面保護膜
    である、請求項5に記載した成膜装置。
JP22054496A 1996-08-02 1996-08-02 成膜装置 Abandoned JPH1046344A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013209679A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Fujifilm Corp 成膜装置

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