JP2002194549A - 成膜装置及び成膜方法 - Google Patents

成膜装置及び成膜方法

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JP2002194549A
JP2002194549A JP2000401188A JP2000401188A JP2002194549A JP 2002194549 A JP2002194549 A JP 2002194549A JP 2000401188 A JP2000401188 A JP 2000401188A JP 2000401188 A JP2000401188 A JP 2000401188A JP 2002194549 A JP2002194549 A JP 2002194549A
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film
film forming
reaction chambers
forming apparatus
gas
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JP2000401188A
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Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
Taketoshi Sato
武俊 佐藤
Takashi Watanabe
崇 渡辺
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定の膜厚で均一に成膜できる成膜装置及び
成膜方法を提供すること。 【解決手段】 成膜物質を含有するガスを導入する導入
管13と、対向配置した被処理体1に沿って配置され、
導入されたガスをそれぞれ分解して被処理体1上に成膜
する複数の反応管5と、導入管13と複数の反応管5と
の間に接続された緩衝ボックス16とを有するプラズマ
CVD連続膜形成装置12。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば炭素膜等の
薄膜の成膜方法、及びこの成膜の実施に使用できる成膜
装置(特にプラズマCVD装置)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体は、例えばオ−ディ
オ機器、ビデオ機器、コンピュ−タ等に用いられ、その
需要は著しく伸びてきている。
【0003】従来より、磁気記録媒体としては、非磁性
支持体上に酸化物磁性粉末又は合金磁性粉末等の粉末磁
性材料を、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエ
ステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機
バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥する
ことにより作成された、いわゆる塗布型の磁気記録媒体
が広く使用されている。
【0004】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co
−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段
(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等のいわゆるPVD技術)によってポリエステルフ
ィルムやポリアミド、ポリイミドフィルム等の非磁性支
持体上に直接被着した、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気
記録媒体が提案され、注目を集めている。
【0005】即ち、従来より、高密度磁気記録化に対応
可能な磁気記録媒体としては、Co−Ni合金、Co−
Cr合金、Co−O等の金属磁性材料を、メッキや真空
薄膜形成手段(真空蒸着法やスパッタリング法、イオン
プレーティング法等)によってポリエステルフィルムや
ポリアミド、ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に
直接被着した、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体
が知られている。
【0006】そして、この金属磁性薄膜型の磁気記録媒
体は、保磁力や角型比に優れ、磁性層の厚みを極めて薄
くできるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小
さく、短波長での電磁変換特性に優れるばかりでなく、
磁性層中に非磁性材料であるバインダーを混入する必要
がないため、磁性材料の充填密度を高めることができる
等、数々の利点を有している。
【0007】即ち、この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体
は、抗磁力や角型比等に優れ、磁性層の厚みを極めて薄
くできるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小
さく、短波長での電磁変換特性に優れるばかりでなく、
磁性層中に非磁性材であるバインダーを混入する必要が
ないため、磁性材料の充填密度を高めることができる
等、数々の利点を有している。
【0008】このような磁気特性的な優位さ故に、上記
金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、高密度磁気記録の主
流になりつつある。
【0009】即ち、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、
磁気特性的な優位性の故に、高密度磁気記録の主流にな
ると考えられている。
【0010】更に、この種の磁気記録媒体の電磁変換特
性を向上させ、より大きな出力を得ることができるよう
にするために、磁気記録媒体の磁性層を形成するに際
し、磁性層を斜めに蒸着する、いわゆる斜方蒸着が提案
され、実用化されている。
【0011】即ち、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体とし
ては、電磁変換特性を一層向上させ、より大きな出力を
確保するために、金属磁性材料を斜め方向から蒸着する
ことで磁性層を形成する、いわゆる斜方蒸着タイプの磁
気記録媒体も提案され、実用化されている。
【0012】ところで、塗布型及び金属磁性薄膜型の磁
気記録媒体では、一層の高密度化を図ることから、スペ
ーシング損失を少なくするために媒体は平滑化される傾
向にある。しかし、磁性層表面の平滑性が良好である
と、磁気ヘッドやガイドローラー等の摺動部材に対する
実質的な接触面積が大きくなり、従って、摩擦係数が大
きくなって、凝着現象(いわゆる張り付き)が起き易
く、走行性や耐久性に欠ける等、媒体に生ずる剪断応力
は大きくなり、問題点が多い。
【0013】即ち、磁気記録媒体では、ますます高密度
記録化が進行しており、それに対応すべく、スペーシン
グ損失を少なくするため、媒体表面は平滑化される傾向
にある。しかし、媒体表面の平滑化が進むと、それに伴
い、ヘッドと媒体間の摩擦力が増大し、媒体に生ずる剪
断応力が大きくなる。したがって、磁気記録媒体には、
より大きな摺動耐久性が要求されるようになる。
【0014】さて、例えば、8ミリビデオデッキに挿入
されたテープは、10個以上のガイドピンを通って、ド
ラムに巻き付けられる。その際、ピンチローラーとキャ
プスタンによってテープテンションとテープ走行速度は
一定に保たれていて、テンションは約20g、走行速度
は0.5cm/sである。
【0015】なお、この走行系において、テープの磁性
層はステンレス製の固定されたガイドピンと接触する構
造になっている。そのために、テープ表面の摩擦が大き
くなると、テープがスティックスリップを起こして、い
わゆるテープ鳴きという現象が起き、再生画面のひきつ
れを起こす。
【0016】また、テープとヘッドとの相対速度は非常
に大きく、特にポーズ状態では同じ場所での高速接触と
なるので、磁性層の摩耗の問題が生じ、再生出力の低下
につながる。磁性層を蒸着で形成した蒸着テープの場合
には、磁性層が非常に薄いので、この問題は更に助長さ
れる。
【0017】さらに、ハードディスク装置では、CSS
(コンタクト・スタート・ストップ)といって、回転前
には磁気ヘッドはディスクに接触しており、高速で回転
を始めると、発生する空気流によって浮上するタイプで
ある。従って、起動停止又は起動時には媒体を擦って走
行するので、そのときの摩擦増加が大きな問題となって
いる。
【0018】そのために、商品レベルの信頼性を保つに
は、CSS操作を2万回行った後の摩擦係数が特に0.
5以下であることが望まれる。また、高速で回転してい
るので、ヘッドと媒体によるヘッドクラッシュの問題も
薄膜媒体では課題の一つである。
【0019】そこで、媒体に摺動耐久性を付与する手法
として、磁性層の表面に保護膜を形成する技術が検討さ
れている。
【0020】即ち、このように摺動耐久性が厳しくなる
状況の中で、耐久性を向上させる目的で、磁性層の表面
に保護膜を形成する技術の検討がなされている。
【0021】そして、このような保護膜としては、カー
ボン膜、石英(SiO2 )膜、ジルコニア(ZrO2
膜等が検討され、ハードディスクにおいては実用化され
生産されているものもある。
【0022】特に、最近は、カーボン膜よりも硬度が大
きいダイヤモンドライクカーボン(DLC:ダイヤモン
ド構造をとるカーボン)膜等の膜形成の検討も行われて
おり、今後は主流になるものと思われる保護膜である。
【0023】即ち、この保護膜としては、例えば、カー
ボン膜や石英(SiO2)膜、ジルコニア(ZrO2)膜
等が知られている。これらの材料膜は、ハードディスク
において既に使用されているものである。
【0024】そして、さらに最近では、カーボン膜のう
ちでも特に、ダイヤモンド構造を有する硬質カーボン膜
(いわゆるダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜)
が、保護膜として有力視されており、今後、広く利用さ
れるものと考えられる。
【0025】なお、このDLC膜の形成方法としては、
スパッタリング法、CVD法(Chemical Vapor Deposit
ion:化学的気相成長法)が用いられている。
【0026】例えば、スパッタリング法とは、電場や磁
場を利用してアルゴンガス等の不活性ガスの電離(プラ
ズマ化)を行い、更に、電離したイオンを加速すること
により得られる運動エネルギーによって、ターゲットの
原子を叩き出す。そして、その叩き出された原子が対向
する基板上に堆積し、目的とする膜を形成する物理的プ
ロセスである。
【0027】なお、この方法によるDLC膜の形成速度
は一般に遅く、工業的見地からは、生産性に劣る成膜手
段である。また、その膜質にも改善の余地がある。
【0028】即ち、スパッタリング法では、Ar等のス
パッタガスを、電場や磁場を利用して電離(プラズマ
化)し、加速することで、ターゲット表面に衝突させ
る。そして、プラズマ粒子が衝突したターゲットからは
ターゲット原子がはじき出され、このはじき出された原
子が被処理体上に堆積することでスパッタ膜が形成され
る。
【0029】しかし、このスパッタリング法によって、
硬質カーボンを形成した場合、膜形成速度が一般的に遅
く、工業的見地から見たときに生産性に劣る。
【0030】これに対し、CVD法(特にプラズマCV
D法)は、電場や磁場を用いて発生させたプラズマのエ
ネルギーを利用して、原料となる気体の分解、合成等の
化学反応をおこさせ、膜を形成する化学的プロセスであ
り、膜の形成速度は比較的速く、優れた特性の膜を得る
ことができる。
【0031】なお、このCVD法におけるプラズマの発
生源として一般的なものは、直流(DC)放電や高周波
(RF)放電であるが、この両方を組み合わせた方式も
検討されている。
【0032】即ち、プラズマCVD連続膜形成法では、
膜の原料となる原料ガスを、電場で発生したプラズマの
エネルギーによって、分解或いは合成等の化学反応を起
こさせる。そして、この化学反応の結果生成された反応
物は、被処理体上に堆積し、CVD膜が形成される。
【0033】なお、このプラズマCVD連続膜形成法
は、放電性が不安定で、非導電性の被処理体には成膜で
きない。しかし、スパッタリング法に比べて膜形成速度
が速い。このため、上述の硬質カーボン保護膜の成膜手
段として期待されるものである。
【0034】例えば、図9に示すプラズマCVD連続膜
形成装置112は、直流(DC)放電によりプラズマを
発生させる反応管105を有するものである。
【0035】なお、図中の102は回転支持体、103
は巻き出しロール、104は巻き取りロール、109は
対向電極となる回転支持体である。そして、反応管10
5においては、メッシュ状の放電電極106が組み込ま
れており、被処理体(接地レベル)との間に直流電源1
07から所定の電圧が印加されるようになされている。
更に、この反応管105に対向して、円筒状の回転可能
な対向電極となる回転支持体109が設置されており、
被処理体(磁気記録媒体)101が巻き出しロール10
3、対向電極となる回転支持体109、巻き取りロール
104の順に走行するようになされている。また、11
0は真空排気系である。
【0036】このように、図9のプラズマCVD連続膜
形成装置112は、直流放電を利用して、高密度なプラ
ズマを発生させることを目的とする装置である。
【0037】即ち、図9に示すプラズマCVD連続膜形
成装置112は、真空チャンバー111内に、600m
mφの円筒状の回転支持体109、反応管105及び反
応管105の中途部に取り付けられた放電電極106を
有して構成される。なお、上記反応管105は、その一
端である導入管13が真空チャンバー111の底部11
4を貫通しており、この一端である導入管13に設けら
れた炭化水素ガス導入口108から30Paの圧力の原
料ガスが反応管105内に導入されるようになってい
る。
【0038】そして、このようなプラズマCVD連続膜
形成装置112では、CVD膜が成膜される被処理体1
01は上記円筒形の回転支持体102及び109に沿っ
て連続走行させられる。なお、この連続走行している被
処理体101が、放電電極106との対向位置に来たと
きに、この被処理体101の表面に形成されている金属
部分と放電電極106との間にて発生したプラズマによ
り、原料ガスが分解、合成などの化学反応をおこし、そ
の反応生成物が被処理体101の表面に被着堆積し、C
VD膜が連続的に成膜されることになる。
【0039】又、工業的見地により、図10の様に、同
一真空チャンバー111内に複数の反応管105を設置
することがある(図10の場合は3個)。この装置によ
れば、分解生成物の堆積速度は上り、生産性が向上す
る。そして、回転支持体以外の形状の支持体を用いても
成膜できると考えられる。
【0040】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この際に、回
転支持体109の偏芯等により、各反応管105の先端
と回転支持体109との隙間115が変動(隙間の距離
を1mmとすると±0.1mm程度のブレ)してしまう
ために、コンダクタンス(ガスの流れ易さを表わす)が
変化し、それによって反応管105の内部の圧力が変動
し、所定の膜厚を一定に成膜できないという問題が生じ
る。
【0041】本発明は、上記のような従来の実情に鑑み
てなされたものであり、所定の膜厚を均一に成膜できる
成膜装置及び成膜方法を提供することを目的とする。
【0042】即ち、本発明は、成膜物質を含有するガス
を導入する導入手段と、対向配置した基体に沿って配置
され、導入された前記ガスをそれぞれ分解して前記基体
上に成膜する複数の反応室と、前記導入手段と前記複数
の反応室との間に接続された圧力緩衝室とを有する成膜
装置に係るものである。
【0043】又、本発明は、成膜物質を含有するガスを
導入する導入手段と、これらの導入手段をそれぞれ有
し、対向した基体に沿って配置され、導入された前記ガ
スをそれぞれ分解して前記基体上に成膜する複数の反応
室と、前記複数の反応室間を連通させる連通手段とを有
する成膜装置に係るものである。
【0044】又、本発明は、成膜物質を含有するガスを
導入手段から複数の反応室に導入し、導入された前記ガ
スを前記複数の反応室で分解し、これらの反応室に対向
して配置される基体上に分解生成物を成膜するに際し、
前記反応室の内部圧力の変動を吸収するようにした成膜
方法に係るものである。
【0045】本発明によれば、成膜の生産性を向上させ
るべく設けた複数の反応室に圧力緩衝室を設けたり、反
応室を互いに連通させているので、反応室と基体との間
隔の変化によって生じる反応室内の成膜物質含有ガスの
圧力の変化を緩衝、吸収でき、各反応室内のガスの圧力
を常時ほぼ安定させることによって、基体上にガスの分
解生成物をほぼ均一に成膜できる。
【0046】
【発明の実施の形態】本発明においては、ガスが導入手
段により複数の反応室へ供給され、かつ基体が前記複数
の反応室に対し相対的に移動し、真空チャンバー内で、
前記ガスを前記導入手段により圧力緩衝室へ導入した
後、前記複数の反応室に供給し、前記複数の反応室に対
し相対的に移動する基体上に前記分解生成物を成膜する
のが望ましい。
【0047】或いは、真空チャンバー内で、前記ガスを
互いに連通し合った前記複数の反応室へ前記導入手段に
より供給し、前記複数の反応室に対し相対的に移動する
基体上に前記分解生成物を成膜するのが望ましい。
【0048】又、複数の反応室を直流又は交流のプラズ
マ放電室として構成し、前記複数の反応室にそれぞれ異
なる若しくは同一の放電電力を供給するのが望ましい。
【0049】又、前記反応室がプラズマCVD装置用で
あり、磁気記録媒体の金属磁性薄膜からなる磁性層上に
保護膜を成膜する際に使用するのが望ましい。
【0050】又、前記保護膜を炭素膜とするのが望まし
い。
【0051】次に、本発明の好ましい実施の形態を図面
の参照下に具体的に説明する。
【0052】第1の実施の形態 本実施の形態による、硬質カーボン保護膜の形成に用い
るプラズマCVD連続成膜装置12を図1に示す。
【0053】このプラズマCVD連続成膜装置12は、
金属磁性薄膜が既に形成された被処理体(非磁性支持
体)1を連続走行させながら、この金属磁性薄膜上に硬
質カーボン保護膜を連続的に形成するようになされたも
のである。
【0054】即ち、このプラズマCVD連続成膜装置1
2は、装置の頭部に取り付けられた排気系10により内
部が所定の真空度に保たれた真空チャンバー11内にお
いて、被処理体1である長尺状の非磁性支持体が図1中
の、反時計回り方向に定速回転する巻き出しロール3か
ら反時計回り方向に定速回転する巻き取りロール4に向
かって順次走行するようになされている。
【0055】さらに、この被処理体(非磁性支持体)1
が上記巻き出しロール3側から巻き取りロール4側に亘
って走行する中途部には、被処理体(非磁性支持体)1
を図1中の、下方に引き出すように設けられるととも
に、上記の各ロール3及び4の径よりも大径となされた
回転支持体9が図1の中の、時計回り方向に定速回転す
るように設けられている。
【0056】又、これら巻き出しロール3と回転支持体
9との間及び回転支持体9と巻き取りロール4との間に
は、ガイドロール(回転支持体)2a、2bがそれぞれ
配設されており、上記巻き出しロール3と回転支持体9
との間及び回転支持体9と巻き取りロール4との間を走
行する上記被処理体(非磁性支持体)1に適当なテンシ
ョンを与えつつ、円滑な走行がなされるようになされて
いる。
【0057】なお、巻き出しロール3、巻き取りロール
4及び回転支持体9は、それぞれ上記被処理体(非磁性
支持体)1の幅と約同じ長さの円筒状をなすものであ
る。
【0058】従って、このプラズマCVD連続膜形成装
置12においては、上記被処理体(非磁性支持体)1
が、上記巻き出しロール3から順次送り出され、上記回
転支持体9の外周面に沿って通過し、更に上記巻き取り
ロール4に巻き取られていくようになされている。
【0059】又、上記真空チャンバー11内には、上記
回転支持体9の周囲下方にこの回転支持体に沿って反応
管5が複数設けられている。なお、この反応管5は、石
英やパイレックスガラス、プラスチック等の絶縁材、又
は、表面が絶縁処理された金属材料より構成される。そ
して、これらの複数の反応管5のそれぞれの後端部は、
接続管18を介して緩衝ボックス16にて連結されてい
る。
【0060】そして、一定量に計測された原料ガス(炭
化水素ガス)は、始めに一個所の炭化水素ガス導入口8
から導入管13を通してこの緩衝ボックス16に導入さ
れた後、各接続管18を通して各反応管5内に導入され
るようになっている。なお、ここでは、硬質カーボン膜
を被処理体1に成膜するため、原料ガスとしては、エチ
レン、プロパン等の炭化水素ガスやトルエン等の液体を
気化させたものが用いられる。なお、原料ガスの反応圧
力は10Pa〜100Paとし、この圧力は圧力ゲージ
17によって測定される(なお、各反応管には圧力ゲー
ジが設けられるが、1の反応管についてのみ図示した:
以下、同様)。
【0061】そして、この各反応管5内の中途部には、
平板状でメッシュ状の放電電極6が配置されている。そ
して、この放電電極6は、真空チャンバー11の外部に
配設された直流電源7に接続され、被処理体1(接地レ
ベル)との間に+500V〜2000Vの電位が印加さ
れるようになっている(以下、同様)。なお、この放電電
圧の範囲は、0.6kV〜2.5kVが好ましく、この
範囲以外においては放電が不安定になったり、不足した
りする。
【0062】なお、このようなプラズマCVD連続膜形
成装置12では、この放電電極6に電圧が印加されるこ
とで、放電電極6と回転支持体9によって保持された被
処理体(非磁性支持体)1上の金属磁性膜との間にプラ
ズマが発生する。そして、それぞれの反応管5内に導入
された原料ガス(炭化水素ガス)は、この生じたプラズ
マのエネルギーによって分解し、この分解生成物が例え
ばDLCとして被処理体(非磁性支持体)1の金属磁性
膜上に被着堆積する。
【0063】そして、例えば、回転支持体9の偏芯等の
影響により、反応管5と回転支持体9との隙間15が変
動し、1つの反応管5の圧力が他の反応管5の圧力と変
化するような状況におかれても、各反応管5は、後端に
てそれぞれ緩衝ボックス16と接続されているため、変
化した圧力が緩衝ボックス16において緩衝又は吸収
(パスカルの原理による)され、各反応管5とも内部圧
力を常時ほぼ等しくすることが可能となる。
【0064】そして、このようなプラズマCVD(連続
膜形成)装置12を用いると、例えば、磁気記録媒体の
硬質カーボン保護膜が均一に形成され、耐久性に優れた
磁気記録媒体が獲得される。しかも、反応管5を複数設
けているので、基体1上への堆積速度が増大し、生産性
が向上する。
【0065】なお、本実施の形態においては、排気系1
0の排気能力、広さ等は所定の効果が有るのならば、自
由に変えて良い。又、真空チャンバー11の大きさ、室
内の真空度等は所定の効果が有るのならば、自由に変え
て良い。
【0066】又、巻き出しロール3、巻き取りロール
4、ガイドローラー2a、2b、回転支持体9のそれぞ
れの直径、幅、回転速度、材質等は所定の効果が有るの
ならば、自由に変えて良い。又、ガイドローラー2a、
2bによって被処理体1に加えられるテンションは所定
の効果が有るのならば、自由に変えて良い。
【0067】又、反応室5の大きさ、設置数、反応室5
と回転支持体9との隙間の幅、設置個所、材質等は所定
の効果が有るのならば、自由に変えて良い。又、反応室
5の後端部から緩衝ボックス16までの接続管18の長
さ、内径、本数、形状反応管5への接続位置等は所定の
効果が有るのならば、自由に変えて良い。
【0068】又、放電電極6の反応管5の内部における
取付け位置、形状、材質等は所定の効果が有るのなら
ば、自由に変えられる。
【0069】又、直流電源による放電は、放電が安定す
るが、高周波放電に変えてよく、被処理体の特質に合わ
せて選ぶことができる。
【0070】さらに、上記放電電極6としては、原料ガ
スを透過しやすく、且つ電解を均一にかけることがで
き、さらに、柔軟性が得られることからメッシュ状とさ
れているのが望ましい。そして、その材料としては、例
えば、銅が代表的であるが、導電性を有する金属であれ
ば、いずれでも良く、ステンレスや真鍮、金等も使用可
能である。
【0071】又、直流電源7によって生じる印加電圧は
所定の効果が有るのならば自由に変えられる。又、導入
管13の内径、本数、材質形状、長さ、取付け位置等は
所定の効果が有るのならば自由に変えられる。
【0072】又、炭化水素ガス導入口8から導入され
る、成膜物質を含有する原料ガスの種類や濃度、圧力、
混合率等は所定の効果が有るのならば自由に変えて良
い。
【0073】即ち、上記の磁気記録媒体の保護膜の成膜
に際し、炭素膜からなる保護膜を成膜する場合、その原
料ガス(成膜物質)として、トルエン、メタン、エタン
等の炭化水素系ガス、フロン23(CHF3)、パーフ
ルオロエチレン(C24)、パーフルオロブテン(C4
8)等のフッ素系ガス、イソプロピルアミン、ビニル
アミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミン
系ガス等も好ましく用いられる。
【0074】そして、このプラズマCVD連続膜形成装
置によれば、磁気記録媒体の表面保護膜(硬質炭素膜
等)の成膜の他にも、半導体基体上の薄膜(例えば窒化
膜やSiO2 膜等の酸化膜等)、光学装置及び素子の光
学膜等、プラズマCVD装置を用いた様々な分野におけ
る薄膜の成膜に適用することができ、それらの膜質の改
善に大きく寄与するものと考えられる。
【0075】特に、原料ガスの分解によって、少なくと
も磁性層を有する基体としての磁気記録媒体の前記磁性
層上に保護膜を形成することができ、このような場合、
非常に効果的である。
【0076】即ち、図6に示すように、本実施の形態に
よる成膜装置及び成膜方法によって、非磁性支持体33
上に例えば金属磁性薄膜からなる磁性層34が設けられ
ている磁気記録媒体31上に表面の保護膜(例えば炭素
膜)32を形成することができる。
【0077】即ち、例えば、硬質カーボンの保護膜32
は、非磁性支持体33上に形成された磁性層34上に形
成される。
【0078】なお、本実施の形態においては、特に、こ
の保護膜を炭素膜とすることができる。
【0079】そして、上記の炭素膜は、いわゆる硬質炭
素膜であり、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、
i−カーボン(iはイオン(ion)のiである)など
と呼ばれるものであり、炭素原子間のsp3結合を主体
として、ダイヤモンド構造やグラファイト構造が混在し
ているアモルファスな炭素膜である。
【0080】なお、一般に、硬質炭素膜は非常に硬く、
絶縁性、高屈折率で、非常に滑らかな形態(モルフォロ
ジー)を持つ膜であり、作成条件によっては、ダイヤモ
ンドの微結晶が含まれることがある。また、通常、水素
原子が含まれると柔らかくなり、この水素が含まれた比
較的柔らかい膜は「a−C:H」と呼ばれている。
【0081】また、本実施の形態においては、磁性層を
金属磁性薄膜とすることが好ましい。
【0082】即ち、上記の磁性層は、例えば、金属磁性
材料を、真空薄膜形成技術によって非磁性支持体上に被
着させることで形成される金属磁性薄膜であるのが好ま
しい。
【0083】又、上記磁性層は導電性を有するために、
反応管と被処理体との間に電位差が生じやすく、直流電
源を用いるプラズマを発生させるのに好ましい状態にな
る。
【0084】なお、上述したように、金属磁性材料が、
真空薄膜形成手段(真空蒸着法やスパッタリング法、イ
オンプレーティング法等のいわゆるPVD技術)によっ
て非磁性支持体上に直接被着されたいわゆる金属磁性薄
膜型の磁気記録媒体は、塗布型の磁気記録媒体に比べ、
数々の利点を有しているが、特に金属磁性薄膜型の磁気
記録媒体においては、蒸着された金属磁性薄膜の摺動耐
久性が比較的小さいと共に、一層の高密度化を図ること
から、表面が平滑化される傾向にあり、摩擦係数が大き
くなって、走行性や耐久性に欠けることがあるので、金
属磁性薄膜からなる磁性層が設けられた磁気記録媒体上
には保護膜(例えば硬質炭素膜)を設けることが望まし
い。
【0085】即ち、上記の磁気記録媒体とは、ガラス、
アルミニウム、プラスチック等の円盤状基体を用いたデ
ィスク媒体は勿論のこと、特に、真空を用いた成膜法
(真空蒸着法)によって金属磁性薄膜が非磁性支持体上
に形成された磁気記録媒体(特に磁気テープ)であり、
本実施の形態においては、これらの磁気記録媒体の表面
に、上記の成膜装置(特にプラズマCVD連続膜形成装
置)を用いて炭素膜(特にDLC膜)を成膜する成膜方
法に十分に適用できる。
【0086】上記の非磁性支持体には、強磁性金属材料
を直接被着することにより、金属磁性薄膜が磁性層とし
て形成されているが、この金属磁性材料としては、通常
の蒸着テープ等に使用されるものであれば如何なるもの
であってもよい。
【0087】例示すれば、Fe、Co、Ni等の強磁性
金属やFe−Co、Co−Ni、Fe−Co−Ni、F
e−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Pt、Mn
−Bi、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−
Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Fe−C
o−Ni−Cr、等の強磁性合金が例示される。これら
は、単層膜であっても、多層膜であっても良い。
【0088】即ち、金属磁性材料としては、例えば、F
e、Co、Ni等の強磁性金属、Fe−Co、Co−
O、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Co−Cu、Co
−Au、Co−Pt、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−
Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、C
o−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合
金等が挙げられる。なお、金属磁性薄膜としては、これ
らの単層膜であっても良いし、多層膜であっても良い。
【0089】更には、非磁性支持体と金属磁性薄膜間、
あるいは多層膜の場合には、各層間の付着力向上及び保
磁力の制御のため、下地層又は中間層を設けてもよい。
また、例えば、磁性層表面近傍が耐蝕性改善等の目的で
酸化物となっていてもよい。
【0090】即ち、非磁性支持体と金属磁性薄膜との
間、或いは、多層膜の場合には、各層間に、付着力の向
上、並びに抗磁力の制御等の目的で下地層、又は、中間
層を設けても良い。更に、金属磁性薄膜表面近傍が耐食
性の改善等のために酸化物となっていても良い。
【0091】さて、上記金属磁性薄膜の形成手段として
は、真空下で強磁性材料を加熱蒸発させ、非磁性支持体
上に沈着させる真空蒸着法や、強磁性材料の蒸発を放電
中で行うイオンプレーティング法、アルゴンを主成分と
する雰囲気中でグロー放電を起こし、生じたアルゴンイ
オンでターゲット表面の原子を叩き出すスパッタリング
法等、いわゆるPVD技術を使用しても良い。
【0092】即ち、この金属磁性薄膜を形成する真空薄
膜形成技術としては、真空下で金属磁性材料を加熱蒸発
させ、非磁性支持体上に被着せしめる真空蒸着法や、金
属磁性材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティング
法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放電を起
こし、生じたアルゴンイオンでターゲット表面の原子を
たたき出すスパッタ法等、いわゆるPVD技術がいずれ
も使用可能である。
【0093】そして、硬質カーボン保護膜は、このよう
な磁性層上に形成される。
【0094】なお、ここで、この硬質カーボン保護膜
は、ダイヤモンド構造を有するカーボン膜、いわゆるダ
イヤモンドライクカーボン(DLC)膜である。
【0095】即ち、カーボンには、グラファイト構造を
有するもの、ダイヤモンド構造を有するもの等が知られ
ており、ラマン分光スペクトルを測定すると、それぞれ
に由来するピークが観測される。なお、ここで言うダイ
ヤモンドライクカーボン(DLC)膜とは、少なくとも
その一部がダイヤモンド構造を有するもので、ラマン分
光スペクトルにおいて上記ダイヤモンド構造に由来する
ピークが観測されるものである。そして、通常は、グラ
ファイト構造に由来するピークとともに、上記ダイヤモ
ンド構造に由来するピークが現れる。
【0096】勿論、本実施の形態に適用される磁気記録
媒体(特に磁気テープ)の構成はこれに限定されるもの
ではなく、本実施の形態の要旨を逸脱しない範囲での変
形、例えば、図6の一点鎖線の如くにバックコート層3
5を形成したり、潤滑剤等の層を形成することは何ら差
し支えない。この場合、バックコート層35に含まれる
非磁性顔料、樹脂結合剤、或いは潤滑剤に含まれる材料
としては従来公知のものがいずれも使用できる。
【0097】即ち、磁気記録媒体には、以上のようにし
て保護膜が形成されるが、さらに、必要に応じて、図6
に示すように、非磁性支持体33の磁性層34を形成し
た側とは反対側の面にバックコート層35を形成した
り、上記非磁性支持体33と磁性層34との間に下塗り
層(図示せず)を形成したり、さらに磁性層34上に潤
滑剤層(図示せず)を形成する等、付加的に各種層を形
成することはなんら差し支えない。この場合、例えば、
バックコート層35に含まれる非磁性顔料、樹脂結合
剤、或いは、潤滑剤に含まれる材料等としては、従来公
知のものがいずれも使用可能である。
【0098】又、例えば、非磁性支持体としては、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフ
タレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテー
ト、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテ
ートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボ
ネート類、ポリアミドイミド類に代表されるような高分
子材料や、アルミニウム合金、チタン合金等の軽金属等
からなる金属板、アルミナガラス、セラミックス等によ
り形成される支持体等が挙げられる。その形態も何ら限
定されるものではなく、テープ状、シート状、ドラム状
等いかなる形態であってもよい。
【0099】また、バックコート層用塗料中に分散され
る非磁性顔料としては、カーボンのほかに、必要に応じ
て、ヘマタイト、雲母、シリカゲル、酸化マグネシウ
ム、硫化亜鉛、炭化タングステン、窒化ホウ素、デンプ
ン、酸化亜鉛、カオリン、タルク、粘土、硫酸鉛、炭酸
バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ベーム
石(γ−Al23・H2O)、アルミナ、硫化タングス
テン、酸化チタン、ポリテトラフルオロエチレン粉末、
ポリエチレン粉末、ポリ塩化ビニル粉末、金属粉等を併
用してもよい。
【0100】又、バックコート層は上述の非磁性顔料を
結合剤及び有機溶剤と共に混練することによってバック
コート層用塗料を調製し、これを非磁性支持体の磁性層
とは反対側の面に塗布することによって形成されるが、
このとき使用される結合剤や有機溶剤はいずれも、従来
公知のものが使用可能であり、何ら限定されるものでは
ない。
【0101】例えば、結合剤としては、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルア
ルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン
酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩
化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エス
テル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル
−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−ス
チレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキ
シ樹脂、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニ
トリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合
体、ブタジエン−アクリロニトリル−メタクリル酸共重
合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチ
レン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、
尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルム
アルデヒド樹脂、又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0102】これらは、イソシアネート化合物を架橋剤
として使用し、より耐久性を向上させたり、適当な極性
基を導入したものであってもよい。
【0103】又、溶剤としては、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエステル等
のエステル系溶剤、グリコールジメチルエーテル、グリ
コールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコール
エーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレンク
ロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロル
ヒドリン、ジクロロベンゼン等の有機塩素化合物系溶剤
が挙げられる。
【0104】上述のように、本実施の形態のプラズマC
VD連続膜形成装置は、図1に示す様に、複数設置され
たそれぞれの反応管5のそれぞれの後端側を連結するよ
うにした、原料ガスを一時溜める緩衝ボックス16を設
けることを特徴とするものである。
【0105】そして、以上の説明から明らかなように、
本実施の形態のプラズマCVD連続膜形成装置では、複
数の反応管5を有していてもそれぞれの反応管5の後端
部が緩衝ボックス16にて連結された構造を取ること
で、良質な膜質のCVD膜を形成することが可能とな
る。従って、本実施の形態のプラズマCVD連続膜形成
装置によれば、例えば、磁気記録媒体の硬質カーボン保
護膜を均一に作成することが可能となり、ひいては、走
行耐久性に優れた磁気記録媒体を得ることが可能とな
る。
【0106】第2の実施の形態 本実施の形態による、硬質カーボン保護膜の形成に用い
るプラズマCVD連続膜形成装置12を図2に示す。
【0107】このプラズマCVD連続膜形成装置12
は、金属磁性薄膜が既に形成された被処理体(非磁性支
持体)1を連続走行させながら、この金属磁性薄膜上に
硬質カーボン保護膜を連続的に形成するようになされた
ものである。
【0108】即ち、このプラズマCVD連続膜形成装置
12は、装置の頭部に取り付けられた排気系10により
内部が所定の真空度に保たれた真空チャンバー11内に
おいて、被処理体1である長尺状の非磁性支持体が図3
中の、反時計回り方向に定速回転する巻き出しロール3
から反時計回り方向に定速回転する巻き取りロール4に
向かって順次走行するようになされている。
【0109】さらに、この被処理体(非磁性支持体)1
が上記巻き出しロール3側から巻き取りロール4側に亘
って走行する中途部には、被処理体(非磁性支持体)1
を図3中の、下方に引き出すように設けられるととも
に、上記の各ロール3及び4の径よりも大径となされた
回転支持体9が図2中の、時計回り方向に定速回転する
ように設けられている。
【0110】又、これら巻き出しロール3と回転支持体
9との間及び回転支持体9と巻き取りロール4との間に
は、ガイドロール(回転支持体)2a、2bがそれぞれ
配設されており、上記巻き出しロール3と回転支持体9
との間及び回転支持体9と巻き取りロール4との間を走
行する上記被処理体(非磁性支持体)1に適当なテンシ
ョンを与えつつ、円滑な走行がなされるようになされて
いる。
【0111】なお、上記巻き出しロール3、巻き取りロ
ール4及び回転支持体9は、それぞれ上記被処理体(非
磁性支持体)1の幅と約同じ長さからなる円筒状をなす
ものである。
【0112】従って、このプラズマCVD連続膜形成装
置12においては、上記被処理体(非磁性支持体)1が
上記巻き出しロール3から順次送り出され、上記回転支
持体9の外周面に沿って通過し、更に、上記巻き取りロ
ール4に巻き取られていくようになされている。
【0113】又、上記真空チャンバー11内には、上記
回転支持体9の周囲下方に反応管5が複数設けられてい
る。なお、この反応管5は、石英やパイレックス(登録
商標)ガラス、プラスチック等の絶縁材、又は、表面が
絶縁処理された金属材料より構成される。そして、これ
らの反応管5のそれぞれの後端部12は、貫通口19が
設けられており、反応管5のそれぞれの後端部を壁部の
一部とする緩衝ボックス16にて連結されている。
【0114】そして、一定量に計測された原料ガス(炭
化水素ガス)は、始めに一個所の炭化水素ガス導入口8
から導入管13を通してこの緩衝ボックス16に導入さ
れた後、それぞれの貫通口19を通して各反応管5内に
導入されるようになっている。なお、ここでは、硬質カ
ーボン膜を被処理体1に成膜するため、原料ガスとして
は、エチレン、プロパン等の炭化水素ガスやトルエン等
の液体ものを気化させたものが用いられる。なお、原料
ガスの反応圧力は10Pa〜100Paとする。
【0115】そして、この各反応管5内の中途部には、
平板状でメッシュ状の放電電極6が配置されている。そ
して、この放電電極6は、真空チャンバー11の外部に
配設された直流電源7に接続され、+500V〜200
0Vの電位が印加されるようになっている。なお、この
放電電圧の範囲は、0.6kV〜2.5kVが好まし
く、この範囲以外においては放電が不安定になったり、
不足したりする。
【0116】なお、このようなプラズマCVD連続膜形
成装置12では、この放電電極6に電圧が印加されるこ
とで、放電電極6と回転支持体9によって保持された被
処理体(非磁性支持体)1上の金属磁性膜との間にプラ
ズマが発生する。そして、それぞれの反応管5内に導入
された原料ガス(炭化水素ガス)は、この生じたプラズ
マのエネルギーによって分解し、被処理体(非磁性支持
体)1の金属磁性膜上に分解生成物が被着堆積する。
【0117】なお、本実施の形態においては、緩衝ボッ
クス16の配置位置、大きさ、形状、材質、制作方法、
等は真空チャンバー11内に収まり、かつ、所定の効果
を生じさせるのであれば、自由に変えて良い。
【0118】又、各反応管5の後端部に設けられる貫通
口19の形状、大きさ、設置数、設置位置等は所定の効
果が有るのならば、自由に変えて良い。
【0119】そして、本実施の形態によれば、既述の実
施の形態と同様に緩衝ボックス16と共に、緩衝ボック
ス16の壁部を反応管5の後端部と共有できるために、
省スペース化を図れ、製作材料費の節約がある程度見込
まれる。
【0120】なお、本実施の形態は、上述の第1の実施
の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0121】第3の実施の形態 本実施の形態による、硬質カーボン保護膜の形成に用い
るプラズマCVD連続膜形成装置12を図3に示す。
【0122】このプラズマCVD連続膜形成装置12
は、金属磁性薄膜が既に形成された被処理体(非磁性支
持体)1を連続走行させながら、この金属磁性薄膜上に
硬質カーボン保護膜を連続的に形成するようになされた
ものである。
【0123】即ち、このプラズマCVD連続膜形成装置
12は、装置の頭部に取り付けられた排気系10により
内部が所定の真空度に保たれた真空チャンバー11内に
おいて、被処理体1である長尺状の被磁性支持体が図2
中の、反時計回り方向に定速回転する巻き出しロール3
から反時計回り方向に定速回転する巻き取りロール4に
向かって順次走行するようになされている。
【0124】さらに、この被処理体(非磁性支持体)1
が上記巻き出しロール3側から巻き取りロール4側に亘
って走行する中途部には、被処理体(非磁性支持体)1
を図2中の、下方に引き出すように設けられるととも
に、上記の各ロール3及び4の径よりも大径となされた
回転支持体9が図3中の、時計回り方向に定速回転する
ように設けられている。
【0125】又、これら巻き出しロール3と回転支持体
9との間及び回転支持体9と巻き取りロール4との間に
は、ガイドロール(回転支持体)2a、2bがそれぞれ
配設されており、上記巻き出しロール3と回転支持体9
との間及び回転支持体9と巻き取りロール4との間を走
行する上記被処理体(非磁性支持体)1に適当なテンシ
ョンを与えつつ、円滑な走行がなされるようになされて
いる。
【0126】なお、上記巻き出しロール3、巻き取りロ
ール4及び回転支持体9は、それぞれ上記被処理体(非
磁性支持体)1の幅と約同じ長さからなる円筒状をなす
ものである。
【0127】従って、このプラズマCVD連続膜形成装
置12においては、上記被処理体(非磁性支持体)1が
上記巻き出しロール3から順次送り出され、上記回転支
持体9の外周面に沿って通過し、更に、上記巻き取りロ
ール4に巻き取られていくようになされている。
【0128】又、上記真空チャンバー11内において
は、上記回転支持体9の周囲下方に反応管5が複数設け
られている。なお、この反応管5は、石英やパイレック
スガラス、プラスチック等の絶縁材、又は、表面が絶縁
処理された金属材料より構成される。そして、これらの
反応管5のそれぞれの後端部は反応管5が2基に対して
緩衝ボックス16が1基の割合で接続管18によって接
続され、このそれぞれの緩衝ボックス16には導入管1
3が1本づつ設けられている。
【0129】そして、一定量に計測された原料ガス(炭
化水素ガス)は、始めに炭化水素ガス導入口8からそれ
ぞれの緩衝ボックス16に設けられた導入管13を通し
てこの緩衝ボックス16に導入された後、各緩衝ボック
ス16に2個所設けられた各反応管5内にそれぞれの接
続管18を通して導入されるようになっている。なお、
ここでは、硬質カーボン膜を成膜するため、原料ガスと
してはエチレン、プロパン等の炭化水素ガスやトルエン
等の液体ものを気化させたものが用いられる。なお、原
料ガスの反応圧力は10Pa〜100Paとする。
【0130】そして、この各反応管5内の中途部には、
平板状でメッシュ状の放電電極6が配置されている。そ
して、この放電電極6は、真空チャンバー11の外部に
配設された直流電源7に接続され、+500V〜200
0Vの電位が印加されるようになっている。なお、この
放電電圧の範囲は、0.6kV〜2.5kVが好まし
く、この範囲以外においては放電が不安定になったり、
不足したりする。
【0131】なお、このようなプラズマCVD連続膜形
成装置12では、この放電電極6に電圧が印加されるこ
とで、放電電極6と回転支持体9によって保持された被
処理体(非磁性支持体)1上の金属磁性膜との間にプラ
ズマが発生する。そして、それぞれの反応管5内に導入
された原料ガス(炭化水素ガス)は、この生じたプラズ
マのエネルギーによって分解し、被処理体(非磁性支持
体)1の金属磁性膜上に分解生成物が被着堆積する。
【0132】なお、本実施の形態においては、緩衝ボッ
クス16の配置位置、大きさ、形状、材質、制作方法、
等は真空チャンバー11内に収まり、かつ、所定の効果
を生じさせるのであれば、自由に変えて良い。
【0133】又、緩衝ボックス16に接続される反応管
5の設置数、設置方法、設置位置等は所定の効果が有る
ならば、自由に変えて良い。
【0134】又、緩衝ボックス16に導入管13を通し
て導入する原料ガスの種類、混合率、圧力等はそれぞれ
の導入管13毎に変えても良い。
【0135】そして、本実施の形態によれば、複数の反
応管に共通した緩衝ボックス16はそれぞれ独立して設
けて原料ガスを導入できるので、既述の実施の形態と同
様に緩衝ボックス16によりそれぞれの反応管の内部圧
力の変動を緩衝することができると共に、成膜速度を更
に向上させることができる。
【0136】なお、本実施の形態は、上述の第1の実施
の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0137】第4の実施の形態 本実施の形態による、硬質カーボン保護膜の形成に用い
るプラズマCVD連続膜形成装置を図4に示す。
【0138】このプラズマCVD連続膜形成装置12
は、金属磁性薄膜が既に形成された被処理体(非磁性支
持体)1を連続走行させながら、この金属磁性薄膜上に
硬質カーボン保護膜を連続的に形成するようになされた
ものである。
【0139】即ち、このプラズマCVD連続膜形成装置
12は、装置の頭部に取り付けられた排気系(図示せ
ず)により内部が所定の真空度に保たれた真空チャンバ
ー11内において、被処理体1である長尺状の非磁性支
持体が図4中の、時計回り方向に定速回転する巻き出し
ロール3から時計回り方向に定速回転する巻き取りロー
ル4に向かって順次直線的に走行するようになされてい
る。
【0140】なお、上記巻き出しロール3、巻き取りロ
ール4は、それぞれ上記被処理体(非磁性支持体)1の
幅と約同じ長さからなる円筒状をなすものである。
【0141】従って、このプラズマCVD連続膜形成装
置12においては、上記被処理体(非磁性支持体)1が
上記巻き出しロール3から順次送り出され、更に上記巻
き取りロール4に巻き取られていくようになされてい
る。
【0142】又、上記真空チャンバー11内において
は、時計回り方向に定速回転する巻き出しロール3から
時計回り方向に定速回転する巻き取りロール4に向かっ
て順次走行するようになされている被処理体(非磁性支
持体)1の下方に、反応管5が複数設けられている。な
お、この反応管5は、石英やパイレックスガラス、プラ
スチック等の絶縁材、又は、表面が絶縁処理された金属
材料より構成される。そして、これらの反応管5のそれ
ぞれの後端部は、接続管18を介してそれぞれ緩衝ボッ
クス16にて連結されている。
【0143】そして、一定量に計測された原料ガス(炭
化水素ガス)は、始めに一個所の炭化水素ガス導入口8
から導入管13を通してこの緩衝ボックス16に導入さ
れた後、それぞれの接続管18を通して各反応管5内に
導入されるようになっている。なお、ここでは、硬質カ
ーボン膜を成膜するため、原料ガスとしては、エチレ
ン、プロパン等の炭化水素ガスやトルエン等の液体もの
を気化させたものが用いられる。なお、原料ガスの反応
圧力は10Pa〜100Paとする。
【0144】そして、この各反応管5内の中途部には、
平板状でメッシュ状の放電電極6が配置されている。そ
して、この放電電極6は、真空チャンバー11の外部に
配設された直流電源7に接続され、+500V〜200
0Vの電位が印加されるようになっている。なお、この
放電電圧の範囲は、0.6kV〜2.5kVが好まし
く、この範囲以外においては放電が不安定になったり不
足したりする。
【0145】なお、このようなプラズマCVD連続膜形
成装置12では、この放電電極6に電圧が印加されるこ
とで、放電電極6と被処理体(非磁性支持体)1上の金
属磁性膜との間にプラズマが発生する。そして、それぞ
れの反応管5内に導入された原料ガス(炭化水素ガス)
は、この生じたプラズマのエネルギーによって分解し、
被処理体(非磁性支持体)1の金属磁性膜上に分解生成
物が被着堆積する。
【0146】なお、本実施の形態においては、反応管5
の設置数、設置方法、設置位置等は所定の効果が有るな
らば、自由に変えて良い。
【0147】又、巻き出しロール3から巻き取りロール
4まで走行する被処理体1の支持方法は、所定の効果が
有るのならば、自由に変えて良い。
【0148】そして、本実施の形態によれば、巻き出し
ロール3と巻き取りロール4との間で反応管5を複数設
置して成膜するに際し、既述の実施の形態と同様に緩衝
ボックス16により反応管の内部圧力の変動を緩衝(吸
収)できると共に、被処理体1を一方向に直線的に搬送
するのみで搬送機構を簡略化して成膜処理を行うことも
でき、かつ複数の真空チャンバーを連設し、各チャンバ
ーに被処理体1を通しながら1種又は2種以上の成膜処
理を行える。
【0149】なお、本実施の形態は、上述の第1の実施
の形態と同様の作用効果を得ることができる。第5の実施の形態 本実施の形態による、硬質カーボン保護膜の形成に用い
るプラズマCVD連続膜形成装置12を図5に示す。
【0150】このプラズマCVD連続膜形成装置12
は、金属磁性薄膜が既に形成された被処理体(非磁性支
持体)1を連続走行させながら、この金属磁性薄膜上に
硬質カーボン保護膜を連続的に形成するようになされた
ものである。
【0151】即ち、このプラズマCVD連続膜形成装置
12は、装置の頭部に取り付けられた排気系10により
内部が所定の真空度に保たれた真空チャンバー11内に
おいて、被処理体1である長尺状の非磁性支持体が、図
5中の、反時計回り方向に定速回転する巻き出しロール
3から反時計回り方向に定速回転する巻き取りロール4
に向かって順次走行するようになされている。
【0152】さらに、この被処理体(非磁性支持体)1
が上記巻き出しロール3側から巻き取りロール4側に亘
って走行する中途部には、被処理体(非磁性支持体)1
を図4中の、下方に引き出すように設けられるととも
に、上記の各ロール3及び4の径よりも大径となされた
回転支持体9が図5の中の、時計回り方向に定速回転す
るように設けられている。
【0153】又、これら巻き出しロール3と回転支持体
9との間及び回転支持体9と巻き取りロール4との間に
は、ガイドロール(回転支持体)2a、2bがそれぞれ
配設されており、上記巻き出しロール3と回転支持体9
との間及び回転支持体9と巻き取りロール4との間を走
行する上記被処理体(非磁性支持体)1に適当なテンシ
ョンを与えつつ、円滑な走行がなされるようになされて
いる。
【0154】なお、上記巻き出しロール3、巻き取りロ
ール4及び回転支持体9は、それぞれ上記被処理体(非
磁性支持体)1の幅と約同じ長さからなる円筒状をなす
ものである。
【0155】従って、このプラズマCVD連続膜形成装
置12においては、上記被処理体(非磁性支持体)1が
上記巻き出しロール33から順次送り出され、上記回転
支持体9の外周面に沿って通過し、更に、上記巻き取り
ロール4に巻き取られていくようになされている。
【0156】又、上記真空チャンバー11内において
は、上記回転支持体9の下方周囲に反応管5が複数設け
られている。なお、この反応管5は、石英やパイレック
スガラス、プラスチック等の絶縁材、又は、表面が絶縁
処理された金属材料より構成される。そして、これらの
反応管5のそれぞれの側部は、連通管20を介してそれ
ぞれ連結されている。
【0157】そして、一定量に計測された原料ガス(炭
化水素ガス)は、始めに複数の炭素ガス導入口8から導
入管13を通して各反応管5内に導入されるようになっ
ている。なお、ここでは、硬質カーボン膜を成膜するた
め、原料ガスとしては、エチレン、プロパン等の炭化水
素ガスやトルエン等の液体ものを気化させたものが用い
られる。なお、原料ガスの反応圧力は10Pa〜100
Paとする。
【0158】そして、この各反応管5内の中途部には、
平板状でメッシュ状の放電電極6が配置されている。そ
して、この放電電極6は、真空チャンバー11の外部に
配設された直流電源7に接続され、+500V〜200
0Vの電位が印加されるようになっている。なお、この
放電電圧の範囲は、0.6kV〜2.5kVが好まし
く、この範囲以外においては放電が不安定になったり、
不足したりする。
【0159】なお、このようなプラズマCVD連続膜形
成装置12では、この放電電極6に電圧が印加されるこ
とで、放電電極6と回転支持体9によって保持された被
処理体(非磁性支持体)1上の金属磁性膜との間にプラ
ズマが発生する。そして、それぞれの反応管5内に導入
された原料ガス(炭化水素ガス)は、この生じたプラズ
マのエネルギーによって分解し、被処理体(非磁性支持
体)1の金属磁性膜上に分解生成物が被着堆積する。
【0160】なお、本実施の形態は、原理的には上述の
第1の実施の形態と同じであるといえる。
【0161】さて、本実施の形態においては、所定の効
果が有るのならば、反応管5における連通管20の取付
け位置は、図5に示すように、反応管5の後部側面以外
にも一点鎖線で示した位置に設けても良い。又、連通管
20の設置数、設置方法等は所定の効果が有るのなら
ば、自由に変えて良い。
【0162】そして、本実施の形態においては、連通管
20がそれぞれの反応管を連通するだけであるために、
従来構造をほとんど変えずに装置を製造できる。
【0163】さらに、例えば、回転支持体9の偏芯等の
影響により、反応管5と回転支持体9との隙間15が変
動し、1つの反応管5の圧力が変化するような状況にお
かれても、各反応管5は、後部側面にて連通管20を介
して接続されているために、圧力の変化を互いに緩衝し
合って(パスカルの原理による)、各反応管5とも内部
圧力を常時ほぼ等しくすることが可能となる。
【0164】そして、このようなプラズマCVD(連続
膜形成)装置12を用いると、例えば、磁気記録媒体の
硬質カーボン保護膜が均一に形成され、耐久性に優れた
磁気記録媒体が獲得される。
【0165】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。
【0166】実際に、上記のような構成を有するプラズ
マCVD連続膜形成装置を使用して、被処理体の磁性層
上に硬質カーボン保護膜を成膜し、耐久性の評価を行っ
た。
【0167】先ず、厚さ6μmのポリエチレンテレフタ
レート(PET)からなるベースフィルム上に酸素ガス
を導入しながらCo単層金属磁性膜を斜め蒸着法により
成膜した。
【0168】成膜条件は、 入射角 :45〜90° 導入ガス :酸素ガス 蒸着時真空度:2×10-2Pa 膜厚 :200nm であった。
【0169】続いて、このCo単層合金膜上に、上記プ
ラズマCVD連続膜形成装置を使用して、硬質カーボン
保護膜を成膜し、サンプルテープ(実施例テープ)を作
製した。なお、試験で使用したプラズマCVD連続膜形
成装置は、図1に示すタイプの装置であった。
【0170】そして、各反応管の成膜条件は下記の様に
同一の条件にした。又、複数の反応管により成膜された
カーボン膜(DLC膜)の厚みは10nmとした。
【0171】又、導入ガス、反応圧力、投入電力等の条
件は下記とした。 導入ガス:エチレン/アルゴン混合ガス 150sccm(アルゴン混合率20vol%) 反応圧力:30Pa 投入電力:直流1.2kV
【0172】さて、上記の導入ガスにおいては、Arが
使用されるのは、放電安定性向上のためであり、又、被
処理体の表面のエッチングによるクリーニングを行うた
めでもある。なお、Ar以外にH2やN2を使用すること
もできる。又、Arの混合率は80vol%としてよい
が、Arを使用しなくてもよい。
【0173】そして、エチレンはプラズマ放電によって
分解され、この分解生成物が炭素膜として成膜される。
【0174】次に、上記に対する比較として、図10に
示されるプラズマCVD連続膜形成装置にてカーボン膜
を成膜した。なお、成膜条件は上記の条件と同じであ
る。そして、各反応管には、一定量に計測された原料ガ
ス(炭化水素ガス)が炭化水素ガス導入口8を通して、
独立に供給される。
【0175】次に、図7に実施例、比較例のそれぞれの
反応管の圧力変動Pa(単位Pa)を示す。なお、圧力
変動は圧力ゲージ17及び117でそれぞれ測定した。
図7からも明らかなように、比較例においては、+1P
a〜−1Paの圧力変動の幅があったが、実施例におけ
る圧力変動の幅は小さいものとなっている。そして、圧
力が周期的に変動するのは、回転支持体9及び109の
偏芯によるものと考えられる。
【0176】又、透過電子顕微鏡によるDLCの膜厚確
認を行ったところ、図8に示すように、膜厚変動は設定
値の10nmに対し、比較例の場合は±1.5nmであ
ったが、実施例の場合は±0.5nmと変動幅を小さく
抑えることが可能である。
【0177】又、それぞれのサンプルテープについてシ
ャトル耐久性を調べた。
【0178】そして、シャトル耐久性は、温度40℃、
相対湿度30%の環境下、DVカメラ(ソニー社製 商
品名DCR−VX700)を用いて60分間信号記録を
行い、その記録信号を99回繰り返し再生し、99回目
での再生出力を測定することで評価した。
【0179】測定結果を、初期出力に対する相対値を表
すと、実施例においては−0.7dB、比較例において
は−2.3dBとなった。それゆえに、本実施例による
サンプルテープは、従来の装置で成膜された比較例のサ
ンプルテープと比べて、出力減衰が少なく、優れた走行
耐久性を得ていることがわかる。
【0180】このことから、本実施例によれば、反応管
の端部が緩衝ボックスにてそれぞれ連結された構造を有
する、複数の反応管を備えたプラズマCVD連続膜形成
装置を用いているので、形成されたカーボン膜は被処理
体に均一に成膜され、膜質に関して優れた性能を持つも
のであることが確認された。
【0181】以上、本発明を実施の形態及び実施例につ
いて説明したが、これらは本発明の技術的思想に基づい
て更に変形が可能である。
【0182】又、上記のプラズマCVD連続膜形成装置
において、複数の反応室が直流放電室ではなく、複数の
高周波放電室として構成されていてもよい。
【0183】又、上述したように磁気記録媒体上に炭素
膜を設ける以外にも、例えば、半導体基体、光学装置等
の様々な装置や部品上への窒化膜、酸化膜、炭化膜等の
成膜に用いることもできる。
【0184】又、上記のプラズマCVD連続膜形成装置
を用いてDLC膜だけではなくMOCVD(有機金属)
等の成膜に使用することも可能である。
【0185】又、複数の反応管を有するプラズマCVD
連続膜形成装置においては、被処理体の進行方向に沿っ
て反応管内の放電電圧を次第に高くする等、放電条件を
変化させてもよい。
【0186】又、図1のプラズマCVD連続膜形成装置
においては、複数の反応管ごとに異なる種類の原料ガス
を導入して成膜してもよい。
【0187】又、成膜される炭素膜の組成を、導入する
原料ガスの条件によって変えても良い。
【0188】
【発明の作用効果】本発明によれば、複数の反応室に圧
力緩衝室を設けたり、反応室互いに連通させているの
で、反応室と基体との間隔の変化によって生じる反応室
内の成膜物質含有ガスの圧力の変化を緩衝、吸収でき、
各反応室内のガスの圧力を常時ほぼ安定させることによ
って、基体上にガスの分解生成物をほぼ均一に成膜でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における成膜装置の
断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における成膜装置の
断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態における成膜装置の
断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態における成膜装置の
断面図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態における成膜装置の
断面図である。
【図6】本発明の成膜により得られる磁気記録媒体の一
例の断面図である。
【図7】本発明の実施例における成膜時の圧力変動を比
較して示すグラフである。
【図8】同、DLC(ダイヤモンドカーボン)膜厚変動
を比較して示すグラフである。
【図9】従来例における成膜装置の断面図である。
【図10】同、他の成膜装置の断面図である。
【符号の説明】
1…被処理体(非磁性支持体)、2a、2b…ガイドロ
ール(回転支持体)、3…巻き出しロール、4…巻き取
りロール、5…反応管、6…放電電極、7…直流電源、
8…炭化水素ガス導入口、9…回転支持体、10…排気
系、11…真空チャンバー、12…プラズマCVD連続
膜形成装置、13…導入管、14…真空チャンバー底
部、15…隙間、16…緩衝ボックス、17…圧力ゲー
ジ、18…接続管、19…貫通口、20…連通管、32
…保護膜(炭素膜)、33…非磁性支持体、34…磁性
層(金属磁性薄膜)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 崇 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4K030 AA04 AA09 BA27 BA28 CA07 CA12 EA03 FA01 FA03 GA14 HA04 KA08 LA20 5D112 AA07 BC05 FA10

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成膜物質を含有するガスを導入する導入
    手段と、 対向配置した基体に沿って配置され、導入された前記ガ
    スをそれぞれ分解して前記基体上に成膜する複数の反応
    室と、 前記導入手段と前記複数の反応室との間に接続された圧
    力緩衝室とを有する成膜装置。
  2. 【請求項2】 真空チャンバー内で、前記ガスが前記導
    入手段によって前記圧力緩衝室へ導入された後、前記複
    数の反応室に供給され、かつ前記基体が前記複数の反応
    室に対し相対的に移動する、請求項1に記載の成膜装
    置。
  3. 【請求項3】 前記複数の反応室が直流又は交流のプラ
    ズマ放電室として構成されている、請求項1に記載の成
    膜装置。
  4. 【請求項4】 前記反応室にそれぞれ異なる若しくは同
    一の放電電力が供給される、請求項3に記載の成膜装
    置。
  5. 【請求項5】 前記反応室がプラズマCVD装置用であ
    る、請求項3に記載の成膜装置。
  6. 【請求項6】 磁気記録媒体の金属磁性薄膜からなる磁
    性層上に保護膜を成膜する際に使用される、請求項1に
    記載の成膜装置。
  7. 【請求項7】 前記保護膜を炭素膜とする、請求項6に
    記載の成膜装置。
  8. 【請求項8】 成膜物質を含有するガスを導入する導入
    手段と、 これらの導入手段をそれぞれ有し、対向した基体に沿っ
    て配置され、導入された前記ガスをそれぞれ分解して前
    記基体上に成膜する複数の反応室と、 前記複数の反応室間を連通させる連通手段とを有する成
    膜装置。
  9. 【請求項9】 前記ガスが前記導入手段により前記複数
    の反応室へ供給され、かつ前記基体が前記複数の反応室
    に対し相対的に移動する、請求項8に記載の成膜装置。
  10. 【請求項10】 前記複数の反応室が直流又は交流のプ
    ラズマ放電室として構成されている、請求項8に記載の
    成膜装置。
  11. 【請求項11】 前記反応室にそれぞれ異なる若しくは
    同一の放電電力が供給される、請求項10に記載の成膜
    装置。
  12. 【請求項12】 前記反応室がプラズマCVD装置用で
    ある、請求項10に記載の成膜装置。
  13. 【請求項13】 磁気記録媒体の金属磁性薄膜からなる
    磁性層上に保護膜を成膜する際に使用される、請求項8
    に記載の成膜装置。
  14. 【請求項14】 前記保護膜を炭素膜とする、請求項1
    3に記載の成膜装置。
  15. 【請求項15】 成膜物質を含有するガスを導入手段か
    ら複数の反応室に導入し、導入された前記ガスを前記複
    数の反応室で分解し、これらの反応室に対向して配置さ
    れる基体上に分解生成物を成膜するに際し、前記反応室
    の内部圧力の変動を吸収するようにした成膜方法。
  16. 【請求項16】 真空チャンバー内で、前記ガスを前記
    導入手段により圧力緩衝室へ導入した後、複数の反応室
    に供給し、前記複数の反応室に対し相対的に移動する基
    体上に前記分解生成物を成膜する、請求項15に記載の
    成膜方法。
  17. 【請求項17】 真空チャンバー内で、前記ガスを互い
    に連通し合った前記複数の反応室へ前記導入手段により
    供給し、前記複数の反応室に対し相対的に移動する基体
    上に前記分解生成物を成膜する、請求項15に記載の成
    膜方法。
  18. 【請求項18】 前記複数の反応室を直流又は交流のプ
    ラズマ放電室として構成する、請求項15に記載の成膜
    方法。
  19. 【請求項19】 前記反応室にそれぞれ異なる若しくは
    同一の放電電力を供給する、請求項18に記載の成膜方
    法。
  20. 【請求項20】 前記反応室がプラズマCVD装置用で
    ある、請求項18に記載の成膜方法。
  21. 【請求項21】 磁気記録媒体の金属磁性薄膜からなる
    磁性層上に保護膜を成膜する際に使用する、請求項15
    に記載の成膜方法。
  22. 【請求項22】 前記保護膜を炭素膜とする、請求項2
    1に記載の成膜方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015518088A (ja) * 2012-04-12 2015-06-25 トゥーエイ テクノロジーズ プライベート リミテッド マイクロ波プラズマ化学気相成長装置

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JP2015518088A (ja) * 2012-04-12 2015-06-25 トゥーエイ テクノロジーズ プライベート リミテッド マイクロ波プラズマ化学気相成長装置

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