JPH09217176A - 薄膜の成膜方法およびこれに用いる成膜装置 - Google Patents

薄膜の成膜方法およびこれに用いる成膜装置

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JPH09217176A
JPH09217176A JP2514696A JP2514696A JPH09217176A JP H09217176 A JPH09217176 A JP H09217176A JP 2514696 A JP2514696 A JP 2514696A JP 2514696 A JP2514696 A JP 2514696A JP H09217176 A JPH09217176 A JP H09217176A
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forming
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reaction tube
voltage
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JP2514696A
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Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
Takahiro Kawana
隆宏 川名
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より優れた膜質を有する薄膜を成膜できる成
膜方法を提供し、また、これを実現可能な成膜装置を提
供する。 【解決手段】 真空室1内に、フィルム2を走行させる
円筒キャン5と、内部に放電を発生可能となされたガス
反応管9とを有し、ガス反応管9内部に放電を生じさせ
た状態で原料ガスを供給することにより所望の薄膜を成
膜するプラズマCVD装置において、ガス反応管9を、
ガス流入方向上流側のRF印加部11と、下流側のDC
印加部とに分割する。原料ガスはRF印加部11にて化
学反応を起こした後、DC印加部12に送られ、ここで
再びプラズマのエネルギーを受けることとなるため、所
望の化学反応を十分に進行させてからフィルム2の表面
に被着するようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化学的気相成長(以
下、CVDと称す。)法を適用した薄膜の成膜方法に関
し、また、これに用いる成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、非磁
性支持体上に酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の
粉末磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体,ポ
リエステル樹脂,ウレタン樹脂,ポリウレタン樹脂等の
有機結合剤中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥する
ことにより作製される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体
が広く使用されている。
【0003】これに対して、高密度記録への要求の高ま
りとともに、Co−Ni合金,Co−Cr合金,Co−
O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段(真
空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレーティング法
等)によって非磁性支持体上に直接被着した、いわゆる
金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案されて注目を集め
ている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は抗磁
力や角形比等に優れ、短波長での電磁変換特性に優れる
ばかりでなく、磁性層の厚みをきわめて薄くできる為、
記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいこと、磁性
層中に非磁性材であるその結合剤を混入する必要が無い
ため磁性材料の充填密度を高めることが出来ることな
ど、数々の利点を有している。
【0005】さらに、この種の磁気記録媒体の電磁変換
特性を向上させ、より大きな出力を得ることができるよ
うにするため、該磁気記録媒体の磁性層を形成するに際
し、磁性層を斜めに蒸着する、いわゆる斜方蒸着が提案
され実用化されている。
【0006】ところで、上述したような非磁性支持体上
に金属磁性薄膜が形成されてなる磁気記録媒体において
は、耐久性や耐錆性に問題があるといわれており、これ
を解決するために、金属磁性薄膜表面に保護膜を形成す
ることが行われている。この保護膜としては、カーボン
やシリコン酸化物、各種窒化物、セラミックス等を用い
ることが検討され、例えばハードディスクにおいては実
用化されている。また、最近では、カーボン膜の中でも
より硬度なダイヤモンドライクカーボン(以下、DLC
と称す。)膜を保護膜として用いることが検討されてい
る。
【0007】このような保護膜を成膜する方法として
は、スパッタ法とCVD法が代表的であるが、スパッタ
法は成膜スピードが遅く、生産性が悪い。これに対し
て、CVD法は、気相中で、原料ガスに化学反応を生じ
させることにより所望の薄膜を形成するものであり、ス
パッタ法に比して成膜スピードが速い。CVD法として
は、化学反応を熱によって生じさせる熱CVD法や、プ
ラズマのエネルギーを利用するプラズマCVD法等があ
る。
【0008】保護膜としてDLC膜を成膜するには、図
4に示されるようなプラズマCVD装置を用いることが
できる。このプラズマCVD装置は、真空排気系108
によって排気されて内部が真空状態となされた真空室1
01内に、送りロール103,巻き取りロール104と
が配設されており、これら送りロール103から巻き取
りロール104に向かって、非磁性支持体上に金属磁性
薄膜が成膜されてなるフィルム102が順次走行される
ようになされている。
【0009】これら送りロール103から巻き取りロー
ル104側に上記フィルム102が走行する中途部に
は、上記各ロール103,104よりも大径となされた
円筒キャン105が配設されている。
【0010】したがって、上記フィルム102は、上記
送りロール103から順次送り出され、上記円筒キャン
105の周面に沿って移動走行され、さらに上記巻き取
りロール104に順次巻き取られることとなる。
【0011】また、上記送りロール103と上記円筒キ
ャン105との間、及び該円筒キャン105と上記巻き
取りロール104との間には、各ロール103,104
より小径のガイドロール106,107がそれぞれ配設
され、上記送りロール103から上記円筒キャン10
5、該円筒キャン105から上記巻き取りロール104
に亘って走行する上記フィルム102に所定のテンショ
ンをかけ、該フィルム102が円滑に走行するようにな
されている。
【0012】また、上記円筒キャン105の下方には、
該円筒キャン105の周面に略平行となるように曲面化
された開口を有するガス反応管109が設けられ、その
内部に金属よりなるメッシュ状の電極110が配されて
いる。なお、この電極110は、直流(以下、DCと称
す。)電源111に接続されている。また、ガス反応管
109には、この内部にガスを供給するためのガス供給
口112が設けられている。
【0013】したがって、電極110に所定のDC電流
を供給し、電極110と円筒キャン105との間に所定
のDC電圧を印加し、放電を生じさせた状態にて、ガス
供給口112から原料ガスを供給すると、電極110の
メッシュを通過した原料ガスのプラズマが発生し、該プ
ラズマ内で生じた分解生成物が円筒キャン105の周面
を走行するフィルム102の表面に連続的に被着する。
このため、金属磁性薄膜上に保護膜を成膜することがで
きる。
【0014】また、交流(以下、RFと称す。)電源1
13に接続されたコイル113をガス反応管109の周
囲に巻回し、ガス反応管109内にRF電圧を印加すれ
ば、プラズマの生成を促進して、原料ガスの化学反応を
一層活発化させ、この結果、より優れた膜質を有する保
護膜を成膜できると考えられる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
は、図4に示すようにして、ガス反応管109内にRF
電圧を印加しても、DC電圧のみを印加した場合に比し
て、保護膜の膜質を向上させることができず、また、ガ
ス反応管109の内側のみならず、該ガス反応管109
の周囲でも放電が発生するようになり、安定した成膜が
困難となってしまう。
【0016】当然、このような問題は、金属磁性薄膜上
に保護膜を成膜する場合にのみ生じるものではなく、上
述のような構成を有するプラズマCVD装置を用いるな
らば、種々の薄膜の成膜時に同様に生じるものである。
【0017】そこで、このような従来の実情に鑑み、本
発明においては、より優れた膜質を有する薄膜を成膜可
能な成膜方法を提供することを目的とし、また、これを
実現可能な成膜装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明に係る薄膜の成膜
方法は、上述の課題を解決するものであって、真空室内
で被成膜体を支持し、ガス反応管内部に放電を生じさせ
た状態で被成膜体に向かって原料ガスを供給することに
よって、該被成膜体上に所望の薄膜を成膜するに際し、
前記原料ガスを、RF電圧の印加による放電領域にて電
離させた後、DC電圧の印加による放電領域に供給する
ものである。
【0019】これにより、原料ガスはRF電圧の印加に
よる放電領域にて、誘導結合プラズマを生じ、化学反応
を起こした後、DC電圧の印加による放電領域にて、再
びプラズマのエネルギーを受け、所望の化学反応を十分
に進行させてから、被成膜体の表面に被着することとな
る。この結果、未反応の原料ガスの取り込みが防止さ
れ、優れた膜質を有する薄膜を成膜できるようになる。
【0020】上述のような成膜を行うためには、RF電
圧のみによる放電領域と、DC電圧のみによる放電領域
とを独立に形成することが必要となる。
【0021】したがって、上述の成膜を実現可能とする
ために用いる成膜装置、即ち、本発明に係る成膜装置
は、真空室内に、被成膜体を支持する支持系と、内部に
放電を発生可能となされたガス反応管とを有し、ガス反
応管内部に放電を生じさせた状態で前記被成膜体に向か
って原料ガスを供給することにより、該被成膜体上に所
望の薄膜を成膜する成膜装置において、前記ガス反応管
が、ガス流入方向上流側のRF電圧が印加される部分
(以下、RF印加部と称す。)と、下流側のDC電圧が
印加される部分(以下、DC印加部と称す。)とに分割
される。
【0022】ここで、ガス反応管におけるRF印加部
は、その周囲に、RF電源に接続されたコイルが巻回さ
れ、このコイルにRF電圧を印加するすることにより、
内部に放電を生じさせ、原料ガスの誘導結合プラズマを
生じさせるようになされて好適である。また、ガス反応
管におけるDC印加部は、その内部に、DC電源に接続
された電極が配され、この電極にDC電圧を印加するこ
とにより、該電極と支持系との間に放電を生じさせ、原
料ガスのプラズマを生じさせるようになされて好適であ
る。なお、DC電圧が印加される電極は、ガス反応管内
で支持系に対向させても、ガス流路を塞がない構成とな
される必要があるため、例えば、複数の空孔を有する金
属板より構成されて好適である。
【0023】なお、原料ガスがRF印加部にて十分に化
学反応を起こしてから、DC印加部に供給されるように
するためには、RF印加部とDC印加部との連結部にて
ガス流路が狭くなされて好適である。
【0024】また、上述の成膜装置においては、前記ガ
ス反応管の全部が真空室内に収容されていてもよいが、
RF印加部が真空室の外部に位置するようにしても良
い。RF印加部が真空室内にあると、ガス反応管内部の
みならず該ガス反応管の周囲でも放電が発生してしまう
ことがあるが、RF印加部を真空室の外部に位置させ、
大気に暴露させることにより、真空室内での不必要な放
電が防止できる。
【0025】ところで、本発明は、金属磁性薄膜型の磁
気記録媒体を製造するに際して適用されて好適である。
この場合、前記支持系を、その周面に長尺状の被成膜体
を連続的に走行させる円筒キャンとして構成し、この円
筒キャンの周面に、前記被成膜体として非磁性支持体上
に金属磁性薄膜が形成されてなるフィルムを走行させ、
該フィルム上に前記所望の薄膜としてカーボン膜を成膜
すればよい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る成膜装置を適
用したプラズマCVD装置の2つの構成例について図面
を参照しながら説明する。
【0027】第1の実施の形態 図1にプラズマCVD装置の一構成例を示す。
【0028】このプラズマCVD装置は、真空室1内
に、被成膜体であるフィルム2を順次走行させながら支
持する支持系と、フィルム2上に被着させる化学種を生
成する反応系とが設けられてなるものである。
【0029】具体的には、真空排気系8によって排気さ
れて内部が真空状態となされた真空室1内に、送りロー
ル3,巻き取りロール4とが配設されており、これら送
りロール3から巻き取りロール4に向かって、フィルム
2が順次走行するようになされている。そして、これら
送りロール3から巻き取りロール4側にフィルム2が走
行する中途部には、各ロール3,4よりも大径となされ
た円筒キャン5が、フィルム2を図中下方に引き出すよ
うに設けられている。この円筒キャン5の内部には冷却
装置(図示せず。)が設けられており、フィルム2の温
度上昇による変形等を抑制し得るようになされている。
なお、送りロール3,巻き取りロール4及び円筒キャン
5は、それぞれフィルム2の幅と略同じ長さからなる円
筒状をなすものである。ここでは、円筒キャン5の直径
を60cmとした。
【0030】したがって、フィルム2は、送りロール3
から順次送り出され、円筒キャン5の周面に沿って走行
しながら支持され、さらに巻き取りロール4に順次巻き
取られることとなる。
【0031】なお、送りロール3と円筒キャン5との
間、及び該円筒キャン5と巻き取りロール4との間に
は、各ロール3,4より小径のガイドロール6,7がそ
れぞれ配設され、送りロール3から円筒キャン5、該円
筒キャン5から巻き取りロール4に亘って走行するフィ
ルム2に所定のテンションをかけ、該フィルム2が円滑
に走行するようになされている。
【0032】一方、円筒キャン5の下方には、該円筒キ
ャン5と対向する端部が開放端とされ、これと反対側の
端部にガス供給口10を有するガス反応管9が設けられ
ている。このガス反応管9は、円筒キャン5と略同じ幅
を有する略直方体をなすパイレックスガラスよりなる筒
であり、円筒キャン5と対向する開放端は円筒キャン5
の周面に略平行となるように曲面化されている。そし
て、このガス反応管9は、ガス流入方向上流側のRF印
加部11と、下流側のDC印加部12とに分割され、両
者を分割する連結部13では、水平断面の断面積が小さ
くなされることにより、ガス流路が狭くなされている。
【0033】ここで、RF印加部11は、その周囲に、
RF電源14に接続されたコイル15が巻回され、この
コイル15にRF電圧を印加するすることにより、内部
に放電を生じさせることができるようになされている。
また、DC印加部12は、その内部に、DC電源16に
接続された電極17が配され、この電極17にDC電圧
を印加することにより、円筒キャン5との間に500V
〜2000VなるDC電圧を印加し、放電を生じさせる
ことができるようになされている。ここでは、電極17
は、複数の空孔を有するメッシュ状の銅板であり、円筒
キャン5の周面との距離が250mmとなるように配設
される。
【0034】したがって、真空室1内を減圧し、コイル
15にRF電圧、電極17にDC電圧をそれぞれ供給す
ることによりRF印加部11内、DC印加部12内にそ
れぞれ放電を生じさせた状態で、ガス供給管10から原
料ガスを供給すると、該原料ガスはRF印加部11内に
て誘導結合プラズマを生じて化学反応を起こした後、D
C印加部12に供給され、ここで再びプラズマのエネル
ギーによって化学反応を進行させることとなる。そし
て、化学反応によって生成した化学種を円筒キャン5の
周面を走行するフィルム2の表面に向かって供給するこ
とにより、フィルム2の表面に所望の薄膜を連続成膜す
ることができる。
【0035】以上のような構成を有するプラズマCVD
装置においては、RF印加部11ではRF電圧のみによ
るプラズマ生成、DC印加部12ではDC電圧のみによ
るプラズマ生成というように、2種類のプラズマ生成を
独立して行うことができる。このため、原料ガスはRF
印加部11にて化学反応を起こした後、DC印加部12
に送られ、ここで再びプラズマのエネルギーを受け、所
望の化学反応を十分に進行させてから、フィルム2の表
面に被着することとなる。この結果、未反応の原料ガス
の取り込みが防止され、優れた膜質を有する薄膜を成膜
できる。
【0036】第2の実施の形態 本実施の形態に係るプラズマCVD装置は、図2に示さ
れるように、ガス反応管9におけるRF印加部11が真
空室1の外部に位置するように配設されている以外は、
第1の実施の形態にて説明した図1に示されるプラズマ
CVD装置と同様の構成を有する。
【0037】即ち、このプラズマCVD装置において
は、真空室1の底壁を貫通するごとくガス反応管9が設
けられ、この底壁よりも内側にDC印加部12が位置
し、底壁の外側にRF印加部11が位置するようになさ
れている。
【0038】このため、RF電源14よりコイル15に
RF電圧を印加し、RF印加部11の内部に放電を生じ
させたとき、コイル15が大気に曝されているため、R
F印加部11の周囲で放電が起こることがない。したが
って、真空室1内に不必要な放電を発生させる虞れがな
く、安定した成膜が可能となる。
【0039】以上、本発明に係る成膜装置を適用したプ
ラズマCVD装置について、2つの構成例を説明した
が、本発明が上述した実施の形態に限定されるものでは
ないことは言うまでもない。例えば、ガス反応管9を構
成する材料としては、パイレックスガラスに限られず、
プラスチック等であってもよい。また、電極17の材質
としては、銅の他、黄銅、各種SUS鋼、金等が挙げら
れる。
【0040】また、円筒キャン5と電極17との距離も
上述したものに限定されず、20mm〜300mmの範
囲で適宜設定すればよい。なお、20mmより小さい
と、異常放電が発生しやすくなり、また、円筒キャン5
の周面を走行するフィルム2が熱負けを起こしやすくな
る。逆に300mmより大きいと、成膜時におけるイオ
ンの効果が弱くなり、また、ガス反応管9自体も大きく
なる等の問題が生じる。
【0041】ところで、以上のようなプラズマCVD装
置は、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体の保護膜としてD
LC膜を成膜するために用いて好適である。この場合、
DLC膜を成膜するために導入する原料ガスとしては、
トルエンやエチレンに代表される炭化水素系化合物を用
いて好適である。また、炭化水素系化合物のガスに他の
ガスを添加してもよい。
【0042】なお、このDLC膜が設けられる磁気記録
媒体において、非磁性支持体や金属磁性薄膜の材料等は
特に限定されない。例えば、非磁性支持体としては、ポ
リエステル類、ポリオレフィン類、セルロース類、ビニ
ル類、ポリイミド類、ポリカーボネート類に代表される
ような高分子材料によって形成される高分子基板や、ア
ルミニウム合金、チタン合金からなる金属基板、アルミ
ガラス等のセラミックス基板、ガラス基板等が挙げら
れ、その形状も何等限定されないが、円筒キャン5の周
面を走行させて保護膜の成膜を行う場合にはテープ状で
あることが好ましい。この場合、ポリエチレンテレフタ
レートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、
アラミドフィルム等であって好適である。また、これら
のフィルムには、表面粗度を制御するためにフィラーが
内添されていてもよいし、表面に表面粗度を制御するた
めの層が形成されていてもよい。
【0043】金属磁性薄膜としては、通常、金属磁性薄
膜型の磁気記録媒体に用いられる金属磁性材料がいずれ
も使用可能である。例示するならば、Fe,Co,Ni
などの強磁性金属、Fe−Co,Fe−Ni,Co−N
i,Fe−Co−Ni,Fe−Co−B,Fe−Ni−
B,Fe−Cu,Co−Cu,Co−Au,Co−P
t,Mn−Bi,Mn−Al,Fe−Cr,Co−C
r,Ni−Cr,Fe−Co−Cr,Co−Ni−C
r,Co−Ni−Pt,Fe−Co−Ni−Cr,Fe
−Co−Ni−B等の強磁性合金からなる面内磁化記録
用の金属磁性薄膜や、Co−Cr系合金薄膜、Co−O
系薄膜等の垂直磁化記録用の金属磁性薄膜が挙げられ
る。
【0044】これら金属磁性材料は、真空下で強磁性金
属磁性材料を加熱蒸発させ支持体上に沈着させる真空蒸
着法や、強磁性金属材料の蒸発を放電中で行うイオンプ
レーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグ
ロー放電を越こし生じたアルゴンイオンでターゲット表
面の原子をたたき出すスパッタ法等のいわゆるPVD技
術によって薄膜とされる。磁性層としてはこれら手法に
よって成膜される金属磁性薄膜の単層膜あるいは多層膜
のいずれでも良い。なお、非磁性支持体と金属磁性薄膜
の間,さらには金属磁性薄膜が多層膜である場合には金
属磁性薄膜同士の間に、各層間の付着力向上、抗磁力の
制御等を図るために下地層や中間層を設けるようにして
も良い。また、これら金属磁性薄膜の表面近傍は、耐蝕
性改善等を目的として酸化物層となっていてもよい。
【0045】特に面内磁化記録用の金属磁性薄膜の場
合、予め非磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、G
a、In、Ge、Si、Ti等の低融点非磁性材料の下
地膜を形成しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着
あるいはスパッタし、金属磁性薄膜中にこれら低融点非
磁性材料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を
確保するとともに抗磁力を向上するようにしてもよい。
【0046】また、非磁性支持体の金属磁性薄膜が形成
されている側とは反対側の面にバックコート層が形成さ
れたり、保護膜上にさらに潤滑剤や極圧剤等よりなるト
ップコート層が塗布されたものであっても良い。これら
の層に用いられる材料には、従来公知のものがいずれも
使用可能である。例えば、バックコート層は、通常の磁
気記録媒体において形成されているようなカーボンブラ
ック等の帯電防止効果や摩擦低減効果を有する非磁性粉
末が結合剤中に分散されてなる非磁性層であればよい。
【0047】
【実施例】ここでは、上述の実施の形態に示されたプラ
ズマCVD装置を用いて、実際に磁気テープにおける保
護膜としてDLC膜を成膜した例について説明する。な
お、本発明がこの実施例に限定されるものでないことは
言うまでもない。
【0048】実施例1 本実施例では、図1に示される第1の実施の形態にて説
明したプラズマCVD装置を用いて、DLC膜の成膜を
行った。
【0049】具体的には、まず、厚さ10μmのポリエ
チレンテレフタレート(PET)フィルムに対して、C
80−Ni20(数字は組成比を示す。)を蒸着源に用い
た真空蒸着を行うことにより、膜厚0.20μmの金属
磁性薄膜を成膜した。金属磁性薄膜の成膜条件は下記の
とおりである。
【0050】金属磁性薄膜に成膜条件 蒸着粒子の入射角 : 45〜90° 酸素の導入量 : 3.3×10-63 /秒 蒸着時の真空度 : 2×10-2 Pa なお、酸素の導入によってCo80−Ni20を部分酸化す
ることにより、金属磁性薄膜の保磁力Hc、残留磁束密
度Brの調整を行った。
【0051】そして、このようにして金属磁性薄膜が成
膜されたフィルム2を、図1に示されるプラズマCVD
装置における円筒キャン5の周面に走行させ、コイル1
5にRF電圧を印加すると共に、電極17にDC電圧を
印加した状態で、原料ガスとしてトルエンをガス反応管
9内へ導入してCVDを行った。このときの成膜条件は
下記のとおりである。
【0052】 DLC膜の成膜条件 原料ガスの流量 : 10 ccm 反応時の圧力 : 10 Pa DC電圧の大きさ : 1.5 kV RF電力の大きさ : 150 W (13.56MHz) これにより、金属磁性薄膜表面にDLC膜が10nmな
る厚さに成膜された。
【0053】その後、上述のようにして保護膜が成膜さ
れたフィルムを8mm幅に裁断することにより磁気テー
プを完成した。これを実施例1のサンプルテープとす
る。
【0054】実施例2 本実施例においては、図1に示されるプラズマCVD装
置を用いる代わりに、図2に示される第2の実施の形態
にて説明したプラズマCVD装置を用いて、DLC膜の
成膜を行った。
【0055】なお、真空室1の外部に位置するRF印加
部11に原料ガスを導入する点が異なる以外は実施例1
と同様にしてDLC膜を成膜し、磁気テープを完成し
た。この磁気テープを実施例2のサンプルテープとす
る。
【0056】比較例1 比較のため、図4に示されるような従来型のプラズマC
VD装置を用いてDLC膜を成膜した。
【0057】ここで用いたプラズマCVD装置において
は、ガス反応管109内にDC電源111に接続された
電極110が配設され、電極110と円筒キャン105
との間に放電を生じさせることができるようになされて
いる。そして、この放電領域に対してさらにRF電圧を
印加すべく、電極110の配設位置よりも円筒キャン1
05に近い位置に、RF電源113に接続されたコイル
114が巻回されている。即ち、ガス反応管109の内
部は、DC電圧の印加による放電領域とRF電圧の印加
による放電領域に分割されていない。
【0058】このようなプラズマCVD装置を用いた以
外は実施例1と同様にしてDLC膜を成膜し、磁気テー
プを完成した。この磁気テープを比較例1のサンプルテ
ープとする。
【0059】特性の評価 先ず、実施例1のサンプルテープと比較例1のサンプル
テープとで、成膜されているDLC膜の膜質を比較する
ために錆試験を行った。
【0060】即ち、実施例1のサンプルテープと比較例
1のサンプルテープを、それぞれ温度30℃相対湿度7
0%に維持された恒温槽で、濃度0.5ppmのSO2
ガスに曝した状態で3日間保存し、保存前後で飽和磁化
の劣化率ΔMsを調べた。なお、飽和磁化の劣化率ΔM
sは、保存後の飽和磁化をMs’、保存前の飽和磁化を
Msとして、 ΔMs=(Ms’−Ms)/Ms ×100 ・・・(1) 式(1)にて算出した。
【0061】この結果、比較例1のサンプルテープのΔ
Msは−38%であったのに対し、実施例1のサンプル
テープのΔMsは−5%であった。これより、RF電圧
の印加による放電領域とDC電圧の印加による放電領域
とが分割されているガス反応管9を有する図1に示され
るプラズマCVD装置を用いることにより、耐環境性に
優れたDLC膜を成膜できることがわかった。
【0062】次に、実施例2のサンプルテープのDLC
膜を成膜するときに真空室1内に生じた異常放電の回数
と、比較例1のサンプルテープのDLC膜を成膜すると
きに生じた異常放電の回数とを比較した。実施例2の異
常放電回数を○、比較例1の異常放電の回数を×とし
て、測定結果を図3に示す。
【0063】図3より、RF印加部11が真空室1の外
部に配設された図2に示されるプラズマCVD装置を用
いることにより、真空室1内の異常放電を大幅に低減で
きることがわかる。
【0064】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明を適用して、原料ガスをRF電圧の印加による放電領
域を通過させてから、DC電圧の印加による放電領域に
供給すると、原料ガスに所望の化学反応を十分に進行さ
せることができ、優れた膜質を有する薄膜を成膜でき
る。
【0065】また、このような成膜を行うに際して、R
F印加部を真空室の外部に位置させれば、該真空室内の
異常放電を抑制することも可能となり、安定した成膜が
可能となる。
【0066】そして、本発明を磁気記録媒体の保護膜を
成膜するために適用すると、信頼性の高い磁気記録媒体
を製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したプラズマCVD装置の一構成
例を示す模式図である。
【図2】本発明を適用したプラズマCVD装置の他の構
成例を示す模式図である。
【図3】成膜時に発生する異常放電の回数をプロットし
たグラフである。
【図4】従来型のプラズマCVD装置の構成例を示す模
式図である。
【符号の説明】
1 真空室 2 フィルム 5 円筒キャン 9 ガス反応管 10 ガス供給管 11 RF印加部 12 DC印加部 13 連結部 15 コイル 17 電極

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空室内で被成膜体を支持し、ガス反応
    管内部に放電を生じさせた状態で被成膜体に向かって原
    料ガスを供給することによって、該被成膜体上に所望の
    薄膜を成膜するに際し、 前記原料ガスを、交流電圧の印加による放電領域にて電
    離させた後、直流電圧の印加による放電領域に供給する
    ことを特徴とする薄膜の成膜方法。
  2. 【請求項2】 前記被成膜体として、非磁性支持体上に
    金属磁性薄膜が形成されてなるフィルムを走行させ、該
    フィルム上に前記所望の薄膜として、カーボン膜を成膜
    することを特徴とする請求項1記載の薄膜の成膜方法。
  3. 【請求項3】 真空室内に、被成膜体を支持する支持系
    と、内部に放電を発生可能となされたガス反応管とを有
    し、ガス反応管内部に放電を生じさせた状態で前記被成
    膜体に向かって原料ガスを供給することにより、該被成
    膜体上に所望の薄膜を成膜する成膜装置において、 前記ガス反応管が、ガス流入方向上流側の交流電圧が印
    加される部分と、下流側の直流電圧が印加される部分と
    に分割されていることを特徴とする成膜装置。
  4. 【請求項4】 前記ガス反応管は、前記交流電圧が印加
    される部分と前記直流電圧が印加される部分との連結部
    にてガス流路が狭くなされていることを特徴とする請求
    項3記載の成膜装置。
  5. 【請求項5】 前記ガス反応管は、前記交流電圧が印加
    される部分が真空室の外部に位置するように配設される
    ことを特徴とする請求項3記載の成膜装置。
  6. 【請求項6】 前記支持系が、その周面に長尺状の被成
    膜体を連続的に走行させる円筒キャンであることを特徴
    とする請求項3記載の成膜装置。
  7. 【請求項7】 前記円筒キャンの周面に、前記被成膜体
    として非磁性支持体上に金属磁性薄膜が形成されてなる
    フィルムを走行させ、該フィルム上に前記所望の薄膜と
    してカーボン膜を成膜することを特徴とする請求項6記
    載の成膜装置。
JP2514696A 1996-02-13 1996-02-13 薄膜の成膜方法およびこれに用いる成膜装置 Withdrawn JPH09217176A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102191488A (zh) * 2010-03-18 2011-09-21 富士胶片株式会社 成膜设备

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