JPH10310869A - 磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体の製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体の製造装置

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JPH10310869A
JPH10310869A JP12115397A JP12115397A JPH10310869A JP H10310869 A JPH10310869 A JP H10310869A JP 12115397 A JP12115397 A JP 12115397A JP 12115397 A JP12115397 A JP 12115397A JP H10310869 A JPH10310869 A JP H10310869A
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cylindrical
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JP12115397A
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Takahiro Kawana
隆宏 川名
Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
Seiichi Onodera
誠一 小野寺
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非磁性支持体上に形成された磁性薄膜上に、
プラズマCVD法によって保護膜を成膜するに際して、
円筒キャン端部で生じる異常放電や、反応管の端縁部に
プラズマが集中することによって生じる非磁性支持体の
シワを防止し、品質の高い磁気記録媒体が製造されるよ
うにする。 【解決手段】 原料ガスをプラズマによって化学反応さ
せる反応管9として、円筒キャンと対向する側の内側の
端縁部9bが面取り加工されたものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマCVD法
によって保護膜を成膜する磁気記録媒体の製造方法及び
磁気記録媒体の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、酸化
物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の粉末磁性材料を塩
化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、
ポリウレタン樹脂等の有機バインダー中に分散せしめた
磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布、乾燥することで磁
性層が形成される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が広
く使用されている。
【0003】一方、高密度磁気記録への要求の高まりと
ともに、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co−O等
の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段(真空蒸
着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法等)
によってポリエステルフィルムやポリアミド、ポリイミ
ドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着することで磁
性層が形成される、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録
媒体が提案され注目を集めている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、抗
磁力や角形比等に優れるとともに、磁性層の厚みを極め
て薄くできるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著し
く小さく、短波長での電磁変換特性に優れる。また、そ
ればかりでなく、磁性層中に非磁性材であるバインダー
を混入する必要がないため、磁性材料の充填密度を高め
ることができること等、数々の利点を有している。金属
磁性薄膜型の磁気記録媒体は、このような磁気特性的優
位さ故に、高密度記録用として主流になると考えられ
る。
【0005】さらに、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体と
しては、金属蒸気流を非磁性支持体に対して斜めに入射
させることで磁性層を形成する、斜方蒸着タイプの磁気
記録媒体も開発されている。この斜方蒸着タイプの磁気
記録媒体は、電磁変換特性に優れ、高出力が得られるこ
とから既に実用化されている。
【0006】ところで、これらの磁気記録媒体では、高
密記録化の流れからスペーシング損失をより少なくする
必要が出てきており、磁性層の表面は平滑化される傾向
にある。しかし、磁性層の表面が平滑化されると、ヘッ
ド−磁性層間の摩擦力が増大し、磁性層に生ずるせん断
応力が大きくなる。この対策として、磁性層表面に硬質
の保護膜を形成し、これによって、磁気ヘッド等との摺
動に対する耐久性を確保しようとする検討がなされてい
る。
【0007】この硬質の保護膜としては、カーボン膜、
石英(SiO2)膜、ジルコニア(ZrO2)膜等が挙げ
られ、例えばハードディスクには既にこのような保護膜
が形成されたかたちで商品化されているものもある。ま
た、カーボン膜のうちでもダイヤモンド構造を有するダ
イヤモンドライクカーボン(DLC)膜は、硬度が高
く、保護効果に優れることから、今後、保護膜の主流に
なると期待される。
【0008】このようなDLC膜を成膜する方法には、
スパッタリング法やCVD法がある。
【0009】スパッタリング法では、電場や磁場を利用
してAr等の不活性ガスを電離(プラズマ化)させ、生
じたアルゴンイオンを加速してターゲットに衝突させ
る。その結果、アルゴンイオンの運動エネルギーによっ
てターゲットの原子がはじき出され、そのはじき出され
た原子が、ターゲットと対向する基板上に堆積すること
で薄膜が成膜される。
【0010】しかし、このスパッタリング法は、成膜速
度が遅く、工業レベルで用いるには現実的であるとは言
えない。
【0011】これに対して、CVD法(化学気相成長
法)は、電場や磁場を用いて発生させたプラズマのエネ
ルギーを利用して、原料ガスに分解、合成等の化学反応
を起こさせ、この化学反応の結果生じた反応生成物を基
体上に堆積させることで薄膜を成膜する方法である。
【0012】このCVD法は、スパッタリング法に比べ
て遙かに成膜速度が速いため、工業生産に対応でき、保
護膜の成膜方法として有望である。
【0013】ここで、このCVD法でカーボン保護膜を
成膜するためのCVD装置の一例を図5に示す。
【0014】このCVD装置は、円筒キャン21と反応
管22が真空室内に収容されて構成され、磁性薄膜23
が形成された非磁性支持体24を円筒キャン21に沿っ
て連続走行させながら、磁性薄膜23上にカーボン保護
膜を成膜するものである。
【0015】上記円筒キャン21は、非磁性支持体24
の幅bよりも広めの幅となされた円筒状をなすものであ
る。円筒キャン21の幅cを、このように非磁性支持体
24の幅bよりも広めとするのは、走行時における非磁
性支持体の幅方向の走行変動や非磁性支持体自身の幅方
向の長さムラに対応するためである。また、この円筒キ
ャン21には冷却装置が内蔵され、非磁性支持体24が
常時冷却されるようになっており、プラズマ発生に伴っ
た温度上昇によって非磁性支持体24が熱変形しないよ
うになっている。
【0016】上記反応管22は、上記円筒キャン24の
下方に配される。この反応管22は、一方が開口部とさ
れた断面長方形状をなす中空管であり、開放側と対向す
る底面にガス導入管25が貫通し、このガス導入管25
を介して原料ガスが、当該反応管22内に導入される。
【0017】そして、このような反応管22内には金メ
ッシュ等よりなる加速電極26が取り付けられている。
この加速電極26には、外部の直流電源27より電位が
印加されるようになっており、この加速電極26と円筒
キャン21との間にプラズマが生じる。反応管22内に
導入された原料ガスは、この生じたプラズマによって化
学反応を生じ、その反応物が磁性薄膜上に被着されるこ
とになる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
CVD装置では、プラズマ発生に伴った温度上昇による
非磁性支持体24の熱変形が大きな問題となる。この対
策としては、上述のごとく円筒キャン21に冷却装置を
設ける方法が採られている。さらに、この冷却効果には
円筒キャン21の材質が大きく影響してくることから、
円筒キャン21の少なくとも表面を、セラミックよりも
熱伝導率の高い金属材料で構成することも行われてい
る。
【0019】ここで、金属材料で円筒キャン21を構成
する場合には、反応管22の、非磁性支持体24の幅方
向に対応する長さ(以下、各部材において、非磁性支持
体の幅方向に対応する方向の長さを「幅」と称する)w
を、非磁性支持体の幅bよりも狭くする必要がある。
【0020】これは、反応管22の幅wが非磁性支持体
24の幅bよりも広いと、反応管22の開口部22aが
非磁性支持体24からはみ出た円筒キャン21の端部と
直接対向したかたちになり、反応管22から漏れ出るプ
ラズマによって円筒キャン21の端部で異常放電が発生
し、円筒キャン21に傷がつくからである。
【0021】ところが、逆に反応管22の幅wを非磁性
支持体24の幅bよりも狭くした場合にも問題がある。
すなわち、反応管22の幅wを非磁性支持体24の幅b
よりも狭くすると、反応管22の端縁部22bが非磁性
支持体に対向したかたちになる。このとき、反応管22
においては端縁部22bにプラズマが集中し易いため
に、反応管22の端縁部22bが非磁性支持体24に対
向していると、この端縁部22bに集中するプラズマに
よる発熱によって非磁性支持体24が熱収縮し、シワが
入ってしまう。
【0022】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、異常放電や非磁性支持体
のシワを生じることなく保護膜が形成できる磁気記録媒
体の製造方法及び磁気記録媒体の製造装置を提供するこ
とを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、長尺状の非
磁性支持体上に磁性薄膜を形成した後、この非磁性支持
体を、少なくとも表面が金属よりなる冷却キャンに沿っ
て連続走行させながら、磁性薄膜上にプラズマCVD法
によって保護膜を成膜するに際して、原料ガスをプラズ
マによって化学反応させる反応管として、円筒キャンと
対向する側の内側の端縁部が、面取り加工されているも
のを用いることを特徴とするものである。
【0024】また、本発明の磁気記録媒体の製造装置
は、少なくとも表面が金属よりなる冷却キャンと、原料
ガスをプラズマによって化学反応させるための反応管を
有し、磁性薄膜が形成された非磁性支持体を前記冷却キ
ャンに沿って走行させながら反応管内で生じた反応物を
被着させることで保護膜を成膜する磁気記録媒体の製造
装置であって、反応管は、円筒キャンと対向する側の内
側の端縁部が、面取り加工されていることを特徴とする
ものである。
【0025】反応管の開口部側の内側の端縁部が面取り
加工されていると、この端縁部におけるプラズマの集中
が抑えられる。
【0026】したがって、反応管の幅が非磁性支持体の
幅よりも狭い場合において問題になるところの、反応管
の端縁部に集中するプラズマによる非磁性支持体へのシ
ワの発生が防止される。
【0027】また、反応管の幅が非磁性支持体の幅より
も広い場合には、非磁性支持体の幅からはみ出した反応
管と非磁性支持体からはみ出した円筒キャンの端部との
間で生じる異常放電が問題になるが、反応管の端縁部に
おけるプラズマの集中が抑えられることによって、この
異常放電が防止される。
【0028】したがって、円筒キャンに傷をつけること
なく品質の高い磁気記録媒体が製造される。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0030】本発明で製造する磁気記録媒体の一例を図
1に示す。この磁気記録媒体は、非磁性支持体1上に、
磁性薄膜2と保護膜3が形成されて構成される。
【0031】このような磁気記録媒体を製造するには、
まず、非磁性支持体1上に磁性薄膜2を成膜する。
【0032】非磁性支持体1としては、従来より金属磁
性薄膜型の磁気記録媒体で用いられているものがいずれ
も使用可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト,ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹
脂、ポリオレフィン系樹脂、セルローストリアセテート
等のセルロース誘導体、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩
化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等の高分子物質が使用可
能である。また、これら非磁性支持体上には、磁性薄膜
を形成するのに先立ち、易接着化、表面性改良、着色、
帯電防止、耐磨耗性付与等の目的で表面処理や前処理を
行うようにしてもよい。
【0033】磁性薄膜2は、真空下で強磁性金属材料を
加熱蒸発させ、非磁性支持体上に沈着させる真空蒸着法
や、強磁性金属材料の蒸発を放電中で行うイオンプレー
ティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー
放電を起こし生じたアルゴンイオンでターゲット表面の
原子を叩き出すスパッタ法等、いわゆるPVD技術によ
って成膜される。
【0034】この強磁性金属材料としては、Fe,C
o,Ni等の強磁性金属、Fe−Co系合金、Co−N
i系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Cu系合
金、Co−Cu系合金、Co−Au系合金、Co−Pt
系合金、Mn−Bi系合金、Mn−Al系合金、Fe−
Cr系合金、Co−Cr系合金、Ni−Cr系合金、F
e−Co−Cr系合金、Co−Ni−Cr系合金、Fe
−Co−Ni−Cr系合金等の強磁性合金が挙げられ
る。磁性薄膜は、これら強磁性金属材料よりなる単層膜
であってもよく、強磁性金属材料の薄膜を複数層積層し
た多層膜であってもよい。また、さらに非磁性支持体と
磁性薄膜の間に下地層を設けたり、多層膜の場合には各
層間に中間層を設け、付着力の向上や抗磁力の制御等を
図るようにしても良い。
【0035】このようにして磁性薄膜2を成膜した後、
この磁性薄膜2上にプラズマCVD(化学気相成長)法
によって保護膜3を成膜する。この保護膜3を成膜する
ためのCVD装置を図2に示す。
【0036】このCVD装置は、頭部に設けられた排気
系4によって排気され内部が真空状態となされた真空室
5内に、図中反時計回り方向に定速回転する送りロール
6と、同様に図中反時計回り方向に定速回転する巻取り
ロール7とが設けられ、これら送りロール6から巻取り
ロール7に向かってテープ状の非磁性支持体1が順次走
行するようになされている。
【0037】これら送りロール6から巻取りロール7側
に上記非磁性支持体1が走行する中途部には上記各ロー
ル6,7の径よりも大径となされた円筒キャン8が設け
られている。この円筒キャン8は、図3に示すように、
非磁性支持体の幅方向に対応する方向な長さ(以下、各
部材において非磁性支持体の幅方向と対応する方向での
長さを「幅」と称する)Cが、非磁性支持体1の幅Bよ
りも広めとなされている。これは、走行時における非磁
性支持体1の幅方向の走行変動や非磁性支持体自身の幅
方向の長さムラに対応するためである。また、この円筒
キャン8には、内部に図示しない冷却装置が設けられ、
上記非磁性支持体1の温度上昇による変形等を抑制し得
るようになされている。
【0038】このような円筒キャン8は上記非磁性支持
体1を図2中下方に引き出すように設けられ、図中の時
計回り方向に定速回転する構成とされている。
【0039】したがって、上記非磁性支持体1は、送り
ロール6から順次送り出され、さらに上記円筒キャン8
の周面を通過し、巻取りロール7に巻き取られる。な
お、上記送りロール6と上記円筒キャン8との間及び該
円筒キャン8と上記巻取りロール7との間にはそれぞれ
ガイドロール14が配設され、上記送りロール6から円
筒キャン8及び該円筒キャン8から巻取りロール7にわ
たって走行する非磁性支持体1に所定のテンションをか
け、該非磁性支持体1が円滑に走行するようになされて
いる。
【0040】一方、上記円筒キャン8の下方には反応管
9が設けられている。この反応管9の斜視図を図4に示
す。
【0041】この反応管9は、図4に示すように、円筒
キャン8側が開口部9aとなされた断面長方形状をなす
中空管であり、この開口部9a側では非磁性支持体の長
手方向に対応する端部9cが円筒キャン8の周面形状に
沿うように円弧を描く形状とされている。また、この開
口部9aと対向する底面にはガス導入管10が貫通し、
このガス導入管10を通じて原料ガスが当該反応管9内
に導入されるようになっている。また、この反応管9で
は特に開口部9a側の内側の端縁部9bが、面取り加工
されている。
【0042】そして、このような形状の反応管9内には
金メッシュ等よりなる加速電極11が取り付けられてい
る。この加速電極11には、外部の直流電源12より電
位が印加され、対向電極を兼ねる円筒キャン8との間に
例えば1.0kV〜1.5kVの電圧が生じるようにな
っている。この反応管9では、この加速電極11と円筒
キャン8との間に電圧が印加されることで、プラズマが
生じる。そして、反応管9内に導入された原料ガスは、
この生じたプラズマによって化学反応を生じ、その反応
物が磁性薄膜上に被着されることで保護膜3が成膜され
る。
【0043】このとき、このCVD装置では反応管9の
開口部9a側の内側の端縁部9bが、面取り加工されて
いるので、この端縁部9bにおけるプラズマの集中が抑
えられる。
【0044】したがって、図3に示すように反応管9の
幅Wが非磁性支持体1の幅Bよりも狭い場合に問題にな
るところの、反応管9の端縁部9bに集中するプラズマ
によって発生する非磁性支持体1へのシワの発生が防止
される。
【0045】また、反応管9の幅Wが非磁性支持体1の
幅Bよりも広い場合には、非磁性支持体1の幅Bからは
み出した反応管9と非磁性支持体1からはみ出した円筒
キャン8の端部との間で生じる異常放電が問題になる
が、反応管9の端縁部9bにおけるプラズマの集中が抑
えられることによって、この異常放電が防止される。
【0046】したがって、円筒キャンに傷をつけること
なく、品質の高い磁気記録媒体が製造される。
【0047】但し、反応管9の端縁部9bを曲面状にす
る効果は、反応管9の幅Wを非磁性支持体の幅Bよりも
狭くした場合に生じる非磁性支持体1のシワの防止に効
果が高いことから、好ましくは反応管9の幅Wを非磁性
支持体1の幅Bよりも狭くすることで円筒キャン8の端
部で生じる異常放電を確実に防止するようにし、それと
ともに反応管9の端縁部9bを面取り加工することで非
磁性支持体1のシワを防止するようにするのが良い。
【0048】なお、この反応管9の端縁部9bの面取り
加工は、図3に示すように、この端縁部に曲面が形成さ
れるような面取り加工であるのが望ましい。例えば、端
縁部を単にテーパ状に切り欠いた場合には反応管の端縁
部に鋭い角が形成されてしまい、この角のプラズマが集
中してしまう。
【0049】なお、反応管の端縁部を曲面状に面取り加
工する場合、曲率は50mm>R>2mmであるのが望
ましい。端縁部の曲率が2mmよりも小さい場合には端
縁部でのプラズマの集中を十分に防止することができな
い。また、端縁部の曲率を50mmより大きくしても、
50mmとした場合に得られる以上に効果は得られな
い。したがって、端縁部の曲率は上記範囲が適当であ
る。
【0050】本発明では以上のようなCVD装置によっ
て保護膜3を形成する。例えば保護膜3としてカーボン
保護膜を成膜する場合には、原料ガスとして炭素を含有
するガスを用いる。
【0051】この炭素を含有するガスとしては、エチレ
ン,ブタン等の炭化水素ガス、トルエン、ケトン等のい
わゆる有機溶剤をガス化したもの等が使用可能である。
また、保護膜に潤滑性等を付与するために、アミン類
や、フッ素,シリコン等を含む有機材料を原料ガスとし
て用いても良い。アミン類としてはイソプロピルアミ
ン、トリエチルアミン、ジメチルアミン等が挙げられ
る。これらはトルエンのような有機溶剤に混合溶解した
後、ガス化すれば良い。また、フッ素あるいはシリコン
を含有するガスとしては、フッ化エチレン等のフッ化炭
素ガス、有機シリコン化合物(シリコーン)ガス、ある
いは有機フッ化シリコンガス等が挙げられる。これらの
原料ガスは、媒体に要求される特性に合わせ適宜混合し
たり、異なる原料ガスを用い、複数の保護膜を積層形成
しても良い。
【0052】以上が磁気記録媒体の基本的な製造工程で
あるが、この製造方法では、この後、磁気記録媒体の走
行耐久性等を改善するための、バックコート層やトップ
コート層を設けるようにしても良い。バックコート層
は、非磁性顔料や樹脂結合剤等を有機溶剤に混練、分散
させたバックコート塗料を、非磁性支持体の磁性薄膜を
形成した側とは反対側の面に塗布することで形成され
る。また、トップコート層は、潤滑剤や防錆剤等を有機
溶剤で希釈し、保護膜上に塗布することで形成される。
このバックコート層で用いる非磁性顔料や樹脂結合剤、
トップコート層として用いる潤滑剤,防錆剤等は、この
種の磁気記録媒体で用いられているものがいずれも使用
可能である。
【0053】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について実験
結果に基づいて説明する。
【0054】実験例1 まず、幅10mmのポリエチレンテレフタレートフィル
ムを非磁性支持体として用意し、この非磁性支持体の一
側面に、成膜雰囲気中に酸素ガスを導入しながら真空蒸
着法によってCo80重量%−Ni0重量%なる組成の
磁性薄膜を成膜した。成膜条件は以下の通りである。
【0055】磁性薄膜の厚さ:200nm 蒸着流の入射角:45〜90゜ 導入ガス:酸素ガス 蒸着時真空度:2×10-2Pa そして、この磁性薄膜上に、図3,図4に示すように、
内側の端縁部が曲面状に加工された反応管を用いるCV
D装置によって、カーボン保護膜を成膜した。なお、こ
の反応管と曲面状に加工された端縁部の曲率Rは0.5
mmである。この他の成膜条件を以下に示す。
【0056】原料ガス:エチレン 反応圧力:20Pa テープ速度:1m/分 反応管端部と円筒キャンとの間のギャップ長:1mm 但し、上記CVD装置の加速電極に印加する電位は、
0.8kV〜1.8kVの範囲で変化させた。各電位条
件での非磁性支持体へのシワの発生状況を表1に示す。
【0057】実験例2〜実験例7 カーボン保護膜を成膜する際に用いる反応管の内側の端
縁部の曲率を、表1に示すように変えたこと以外は実験
例1と同様にして磁気テープを作製した。カーボン保護
膜成膜時の非磁性支持体へのシワの発生状況を表1に示
す。
【0058】比較例1 カーボン保護膜を成膜する際に用いる反応管の内側の端
縁部に、面取り加工を施さなかったこと以外は実験例1
と同様にして磁気テープを作製した。カーボン保護膜成
膜時の非磁性支持体へのシワの発生状況を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】保護膜を成膜する際に用いる反応管の端縁
部に面取り加工を施していない比較例1では、印加電圧
を低くしても非磁性支持体にシワが生じてしまうのに対
して、反応管の端縁部を曲面状に加工した実験例1〜実
験例7では程度の差はあるものの非磁性支持体へのシワ
の発生が抑えられている。
【0061】このことから、保護膜を成膜する際に用い
る反応管の端縁部に面取り加工を施すことは、非磁性支
持体へのシワの発生を防止する上で有効であることがわ
かった。
【0062】但し、表1に示すように、非磁性支持体へ
のシワの発生状況は、保護膜を成膜する際に用いる反応
管の端縁部の曲率によって異なり、この端縁部の曲率が
大きくなる程シワが発生し難くなることがわかる。
【0063】ここで、保護膜をプラズマCVD法で成膜
する場合、印加電圧は成膜速度の適正化や異常放電の防
止等の点から、通常、1.0kV〜1.5kVに設定さ
れる。この電圧範囲で非磁性支持体のシワの発生が抑え
られるのは、反応管の端縁部の曲率を2mmより大きく
した場合である。但し、端縁部の曲率を50mmより大
きくしても、50mmとした場合に得られる以上に効果
は得られない。したがって反応管の端縁部の曲率Rは2
mm〜50mmとするのが適当である。
【0064】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明では、プラズマCVD法によってカーボン保護膜を成
膜するに際して、原料ガスをプラズマによって化学反応
させる反応管として、円筒キャンと対向する側の内側の
端縁部が、面取り加工されたものを用いるので、円筒キ
ャンの端部で生じる異常放電や、反応管の端縁部にプラ
ズマが集中することによって生じる非磁性支持体のシワ
が防止される。したがって、品質の高い磁気記録媒体が
製造される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で製造される磁気記録媒体の
一構成例を示す要部概略断面図である。
【図2】本発明の製造方法で用いるCVD装置の一例を
示す模式図である。
【図3】上記CVD装置に設置される円筒キャン及び反
応管の幅と非磁性支持体の幅の関係を示す模式図であ
る。
【図4】上記CVD装置に設置される反応管を示す斜視
図である。
【図5】従来のCVD装置に設置される円筒キャンと反
応管を示す模式図である。
【符号の説明】 1 非磁性支持体、2 磁性薄膜、3 保護膜、8 円
筒キャン、9 反応管、9a 開口部、9b 端縁部、
10 ガス導入管、11 加速電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺状の非磁性支持体上に磁性薄膜を形
    成した後、この非磁性支持体を、少なくとも表面が金属
    よりなる冷却キャンに沿って連続走行させながら、磁性
    薄膜上にプラズマCVD法によって保護膜を成膜するに
    際して、 原料ガスをプラズマによって化学反応させる反応管とし
    て、円筒キャンと対向する側の内側の端縁部が、面取り
    加工されているものを用いることを特徴とする磁気記録
    媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 反応管として、円筒キャンと対向する側
    の内側の端縁部が、曲面状に面取り加工されているもの
    を用いることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 曲面状に面取り加工された端縁部の曲率
    Rが、50mm>R>2mmであることを特徴とする請
    求項2記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 反応管の幅が、非磁性支持体の幅よりも
    狭いことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 成膜する保護膜は、カーボン保護膜であ
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 少なくとも表面が金属よりなる冷却キャ
    ンと、原料ガスをプラズマによって化学反応させるため
    の反応管を有し、磁性薄膜が形成された非磁性支持体を
    前記冷却キャンに沿って走行させながら反応管内で生じ
    た反応物を被着させることで保護膜を成膜する磁気記録
    媒体の製造装置において、 反応管は、円筒キャンと対向する側の内側の端縁部が、
    面取り加工されていることを特徴とする磁気記録媒体の
    製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006000219A (ja) * 2004-06-15 2006-01-05 Mizuho Co Ltd 人工関節用インプラント
JP2009209381A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Fujifilm Corp 成膜装置、ガスバリアフィルムおよびガスバリアフィルムの製造方法

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