JPH07235051A - 磁気記録媒体の保護膜形成方法 - Google Patents

磁気記録媒体の保護膜形成方法

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JPH07235051A
JPH07235051A JP2150394A JP2150394A JPH07235051A JP H07235051 A JPH07235051 A JP H07235051A JP 2150394 A JP2150394 A JP 2150394A JP 2150394 A JP2150394 A JP 2150394A JP H07235051 A JPH07235051 A JP H07235051A
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protective film
magnetic
corrosion
recording medium
forming
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Kenichi Sato
研一 佐藤
Kazunobu Chiba
一信 千葉
Takao Mori
敬郎 森
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 苛酷な仕様下においても十分な耐久性、耐食
性を実現し得る磁気記録媒体の保護膜形成方法を提供す
る。 【構成】 真空薄膜形成技術により耐食性保護膜と耐久
性保護膜とを積層する保護膜形成方法である。非磁性支
持体上に金属磁性薄膜が磁性層として形成されてなる磁
気記録媒体をキャンの周面に沿わせて走行させ、先ず、
上記キャンの周面に耐食性金属からなるボンバード電極
を対向配設してプラズマ処理を行い、耐食性保護膜を成
膜する。このとき、ボンバード電極と磁気記録媒体表面
の対向距離は、50mm以下とする。次いで、この耐食
性保護膜上にスパッタリングや真空蒸着等により硬質材
料からなる耐久性保護膜を積層形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属磁性薄膜を磁性層
とする磁気記録媒体の保護膜形成方法に関するものであ
り、特に耐食性保護膜と耐久性保護膜とを連続的に成膜
する保護膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばビデオテープレコーダ(VTR)
においては、高密度磁気記録への要求の高まりに伴って
画質の向上が進められており、これに対応すべくCoや
Co─Ni合金、Co─Cr合金、Co─O合金等の合
金からなる金属磁性材料をメッキや真空薄膜形成技術
(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等)によりポリエステルフィルムやポリアミドフィ
ルム、ポリイミドフィルム等からなる非磁性支持体上に
直接被着せしめて磁性層を形成する、いわゆる金属磁性
薄膜型の磁気記録媒体が提案されている。
【0003】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、抗
磁力や角形比等に優れ、短波長域における電磁変換特性
に優れるばかりでなく、磁性層の厚みを極めて薄くでき
るため記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいこと
や、磁性層中に非磁性材料であるバインダー等を混入す
る必要がないため磁性材料の充填密度を高めることがで
きること等、数々の利点を有する。
【0004】かかる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体にお
いては、磁気記録媒体の磁性層を形成する際に、金属磁
性材料の蒸気を非磁性支持体の表面に対して斜め方向か
ら蒸着させる、いわゆる斜方蒸着法が採用されている。
この斜方蒸着法により磁性層が形成されてなる磁気記録
媒体は、磁性層の構造に起因してリングヘッドによる記
録がしやすく、また記録減磁が少ないという優れた特徴
を有しており、8ミリVTR用の磁気記録媒体として既
に実用化されている。
【0005】ところで、上述のような磁気記録媒体にお
いては、更なる高密度記録化に伴って磁気記録媒体のト
ラック密度や記録密度の増加が図られるとスペーシング
ロスが大きくなるので、その悪影響を防止するために磁
気記録媒体の表面は平滑化される傾向にある。ところ
が、磁気記録媒体表面の平滑化が進められると、磁気ヘ
ッドと媒体が貼り付きを起こして摩擦力が増大し、媒体
に生ずる剪断応力が大きくなる。この結果、磁気記録媒
体が大きな損傷を受け、摺動耐久性の劣化が問題とな
る。
【0006】また、この種の磁気記録媒体では、磁性層
が金属材料からなっているために、耐食性を確保するこ
とが重要な課題である。そこで、耐久性及び耐食性の向
上を図るために、例えば8ミリVTRに用いられる磁気
テープにおいては、磁性層形成前の非磁性支持体上に微
小突起を設け、該微小突起が形成された非磁性支持体の
表面形状を磁性層表面に反映させることによって媒体の
表面性を制御し、磁性ヘッドとの実質的な接触面積を減
少させて耐久性を確保する方法や、磁性層とされる金属
磁性薄膜の表面に各種潤滑剤や防錆剤等を塗布して走行
性改善や腐食防止を図る方法等が検討されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような方法では、デジタル画像信号を記録再生するデジ
タルVTRや業務用VTR、データストリーマー等の苛
酷な仕様のシステムに利用される磁気記録媒体に対して
は十分な効果を得ることができず、新たな手法が模索さ
れている。
【0008】例えばデジタルVTRにおいては、腐食等
により記録パターンに欠陥が生じると、これがエラーと
なり画面上にデジタル性の信号欠落が起こる。従って、
耐食性については更に高いレベルを満たすことが要求さ
れており、十分な耐食性を確保するための表面処理技術
の開発が重要な課題である。また、このデジタルVTR
においては、磁気ヘッドと磁気テープの相対スピードが
8ミリVTRに比べて2倍以上と遥かに高速であるた
め、上述のような微小突起の形成や潤滑剤等の塗布等に
よる表面性の改良だけでは十分な耐久性を得ることがで
きない。
【0009】これに対して、例えば磁性層とされる金属
磁性薄膜の表面を酸化して酸化物層を形成することによ
って耐久性及び耐食性を改善する方法も試みられている
が、上記酸化物層は緻密さに欠け、水分等をある程度透
過してしまうことから、満足できる結果を得ることはで
きない。
【0010】このように、デジタルVTR、特にデジタ
ル画像信号を再生歪みが少ないような形で圧縮して記録
するデジタルVTR、あるいは業務用VTR、データス
トリーマー等においては、十分な耐久性、耐食性を確保
し得るような磁気記録媒体の設計が不可欠である。
【0011】そこで本発明は、このような従来技術にお
ける問題を解決することを目的として提案されたもので
あり、苛酷な仕様下においても十分な耐久性、耐食性を
実現し得る磁気記録媒体の保護膜形成方法を提供するこ
とを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体の
保護膜形成方法は、上述の目的を達成するために提案さ
れたものである。すなわち、非磁性支持体上に金属磁性
薄膜が磁性層として形成されてなる磁気記録媒体をキャ
ンの周面に沿わせて走行させ、上記キャンの周面に耐食
性金属からなるボンバード電極を対向配設しプラズマ処
理を行って耐食性保護膜を成膜した後、硬質材料からな
る耐久性保護膜を成膜することを特徴とする
【0013】本発明は、非磁性支持体上に強磁性金属材
料からなる金属磁性薄膜を磁性層として形成した後、こ
の金属磁性薄膜上に耐食性保護膜と耐久性保護膜からな
る保護膜を形成するものである。
【0014】ここで使用される強磁性金属材料として
は、通常の蒸着テープに使用されるものであれば如何な
るものであっても良い。例示するならば、Fe,Co,
Ni等の強磁性金属、Fe─Cu,Co─Cu,Fe─
Co,Co─Ni,Co─Ni─Pt,Fe─Co─N
i,Co─Au,Co─Pt,Mn─Bi,Mn─A
l,Fe─Cr,Ni─Cr,Fe─Co─Cr,Fe
─Ni─B,Fe─Co─B,Co─Ni─Cr,Fe
─Co─Ni─Cr,Fe─Co─Ni─B等の面内磁
化記録強磁性合金や、Co─Cr,Co─Ta,Co─
Cr─Ta,Co─Cr─V,Co─O等の垂直磁化記
録強磁性合金等が挙げられる。
【0015】特に、面内磁化記録強磁性合金を使用する
場合には、予め非磁性支持体上にBi,Sb,Pb,S
n,Ga,In,Si,Ti等の低融点非磁性材料から
なる下地膜を形成しておき、上記強磁性金属材料を垂直
方向から蒸着あるいはスパッタし、金属磁性薄膜中にこ
れらの低融点磁性材料を拡散せしめ、配向性を解消して
面内等方性を確保するとともに抗磁力を向上するように
しても良い。
【0016】このような金属磁性薄膜の成膜方法として
は、例えば真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレ
ーティング法等の、いわゆる真空薄膜形成技術が使用可
能であるが、これに限定されるものではない。
【0017】上記磁性層は、これら強磁性金属材料から
なる金属磁性薄膜の単層膜であっても良いし、多層膜で
あっても良い。更には、非磁性支持体と金属磁性薄膜
間、或いは多層膜の場合には、各層間の付着力向上、並
びに抗磁力の制御等のため、下地層又は中間層を設けて
も良い。また、例えば磁性層表面近傍が耐蝕性改善等の
ために酸化物となっていても良い。
【0018】この磁性層上には、耐食性保護膜と耐久性
保護膜が順次積層された2層以上の多層構造を有する保
護膜が形成される。上記耐食性保護膜は、耐食性金属か
らなるもので、水分等が上記金属磁性薄膜に侵入するの
を防止し耐食性を著しく向上させる効果を発揮するもの
である。
【0019】本発明においては、この耐食性保護膜を上
記磁性層上に成膜する際に、ボンバード電極として耐食
性金属材料を用いプラズマ処理を行う。これにより、従
来より保護膜形成の前処理として磁性層表面に存在する
塵や埃等の付着物をクリーニングし、保護膜の付着力を
向上させる目的で行われているプラズマ処理(いわゆる
ボンバード処理)を行うのと同時に耐食性保護膜が形成
されるので、耐食性保護膜が密着性良く形成、著しく耐
食性が向上する。
【0020】このようなプラズマ処理を行うに際して
は、真空室内にて一方の面に上記磁性層が形成された非
磁性支持体をキャンの周面に沿わせて走行させつつ、前
記キャンの周面に対向して配設される上記ボンバード電
極近傍にプラズマを発生させて上記磁性層上に耐食性金
属材料からなる耐食性保護膜を形成する。このとき、前
述のボンバード処理が行われるためには、磁気記録媒体
がボンバード電極近傍のプラズマ中を通過する必要があ
り、したがって前記ボンバード電極と磁気記録媒体表面
との対向距離を50mm以下とすることが好ましい。
【0021】ここで、上記耐食性保護膜の構成材料とさ
れる耐食性金属としては、例えばCr,Cu,Ni,
W,Ta,Mo,Zn,Zr,Pt,V,Au,In,
Al,Sn,Pb,Cr−Ti,Cr−Zr,Cr−N
b,Cr−Ta,Cr−Al,Cr−Zn,Cr−N
i,Ni−Mo−Cr−Fe(ハステロイ)等が挙げら
れるが、これに限定されない。
【0022】また、上記プラズマ処理においては、DC
プラズマ,RFプラズマ,ACプラズマ等がいずれも使
用可能であり、またそれぞれマグネトロン方式であって
も良い。なお、この耐食性保護膜の膜厚としては、3n
m以上とすることが好ましい。耐食性保護膜の膜厚が上
記範囲未満であると、十分な耐食性を確保することが困
難である。
【0023】上述したような耐食性保護膜の形成後、硬
質材料からなる耐久性保護膜を形成する。上記硬質材料
としては、この種の磁気記録媒体において耐久性を付与
するために設けられる保護膜の構成材料として一般に使
用されているものであれば如何なるものであっても良
い。例示すれば、カーボン、Al2 3 ,SiO2 ,S
34 ,SiNx ,BN,ZrO2 ,TiO2 ,Mo
2 ,SiC,TiC,TiN等である。
【0024】この耐久性保護膜の形成方法としては、例
えばスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティン
グ、プラズマCVD等の真空薄膜形成技術がいずれも使
用可能である。この耐久性保護膜の膜厚としては、2n
m以上とすることが好ましい。耐久性保護膜の膜厚が上
記範囲未満であると、十分な耐久性を確保することが困
難である。
【0025】但し、この耐久性保護膜と上記耐食性保護
膜の合計の膜厚があまり厚くなりすぎると、スペーシン
グロスにより再生出力が劣化することから、保護膜全体
としての厚さは50nm以下とされることが望ましい。
従って、上記耐食性保護膜の最適膜厚範囲は3〜48n
m、上記耐久性保護膜の最適膜厚範囲は2〜47nmと
なる。
【0026】これら耐食性保護膜と耐久性保護膜からな
る保護膜は、耐食性保護膜と耐久性保護膜の単層膜から
なる2層構造とされても良いし、交互に複数層積層形成
して3層以上の多層構造とされても良い。この時、両者
が明瞭な界面をもって積層形成される多層膜であっても
良いし、界面において耐食性金属と硬質材料が混じり合
い膜厚方向での組成に周期を有する、いわゆる組成変調
によって多層構造が形成されても良い。但し、いずの場
合にも、最上層は耐久性保護膜であることが望ましい。
これにより、それぞれの機能を十分に発現せしめ、満足
できる耐食性、耐久性を確保することが可能となる。
【0027】なお、3層以上の多層構造を有する保護膜
を形成する場合には、耐食性保護膜の形成方法として本
発明のようなプラズマ処理法と従来より使用されている
スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング
法、プラズマCVD法等の手法を組み合わせて使用する
ことが可能である。
【0028】以上のような磁気記録媒体の構成は、これ
に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない
範囲での変更、例えば必要に応じてバックコート層を形
成したり、非磁性支持体表面に下塗層を形成したり、あ
るいは潤滑剤層、防錆剤層等の各種機能層を形成するこ
とは何等差支えない。この場合、バックコート層に含ま
れる非磁性顔料、樹脂結合剤、あるいは潤滑剤層、防錆
剤層に含まれる材料としては従来公知のものがいずれも
使用可能である。
【0029】上記非磁性支持体としては、この種の磁気
記録媒体において通常使用されている材料であれば特に
限定されず、具体的に例示するならばポリエステル類、
ポリオレフィン類、セルロース誘導体、ビニル系樹脂、
ポリイミド類、ポリアミド類、ポリカーボネート等に代
表されるような高分子材料により形成される高分子支持
体が挙げられる。
【0030】
【作用】非磁性支持体上に形成された金属磁性薄膜から
なる磁性層上に耐食性保護膜を形成する際に、耐食性金
属からなるボンバード電極を用いたプラズマ処理を使用
することにより、従来より保護膜形成の前処理として行
われているボンバード処理と同時に上記耐食性保護膜の
形成がなされる。この結果、優れた耐食性を有する耐食
性保護膜が密着性良く形成される。
【0031】また、上記プラズマ処理による耐食性保護
膜の形成後、硬質材料からなる耐久性保護膜を形成する
ことにより、この耐久性保護膜の有する耐摩耗性、潤滑
性により耐久性が確保される。
【0032】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて、図面や実験結果をもとに詳細に説明する。本実施
例は、デジタルVTR用として好適な蒸着テープを作製
するに際し、通常の斜め蒸着法により金属磁性薄膜から
なる磁性層を形成した後、耐食性金属からなるボンバー
ド電極を用いたプラズマ処理により耐食性保護膜を形成
し、次いでスパッタリングにより耐久性保護膜を形成し
た例である。
【0033】先ず、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)からなるベースフィルム上に図11に示すような真
空蒸着装置を用い、酸素雰囲気中で真空蒸着により金属
磁性薄膜を成膜し、150nm厚の磁性層を形成した。
本実施例においては、蒸発源88としてCo100 (数値
は組成比を示す。)を使用したが、これに限定されるも
のではない。
【0034】次に、上述のようにして一方の面に磁性層
が形成された基体に対してボンバード処理を施すと同時
に耐食性保護膜を形成し、続いてこの耐食性保護膜上に
耐久性保護膜を積層形成した。
【0035】これら耐食性保護膜及び耐久性保護膜の成
膜に際し、図1に示すような製造装置を使用した。この
製造装置は、略中央部に配設された円筒形のクーリング
キャン7及び間仕切り板2a,2b,2cで区切られた
テープ供給室1a、ボンバード処理室1b及びスパッタ
室1cを有し、これらテープ供給室1a、ボンバード処
理室1b及びスパッタ室1cにそれぞれ真空排気系3
a,3b,3cが接続され、内部が所定の真空状態とな
されたものである。
【0036】上記テープ供給室1aには、図中時計廻り
方向に定速回転する供給ロール4及び巻き取りロール5
が設けられており、これら供給ロール4から巻き取りロ
ール5に向かって上述のように一方の面に磁性層が形成
された基体Cが順次走行されるようになされている。
【0037】上記クーリングキャン7は、上記基体Cが
上記供給ロール4から巻き取りロール5に亘って走行す
る中途部に設けられ、この基体Cを図中右方向に引き出
すように配設される。
【0038】このクーリングキャン7は、上記供給ロー
ル4及び巻き取りロール5よりも大径となされ、図中時
計廻り方向に定速回転する構成とされる。また、このク
ーリングキャン7には、内部に冷却装置(図示せず。)
が設けられており、上記基体Cの温度上昇による変形等
を抑制し得るようになされている。なお、上記供給ロー
ル4、巻き取りロール5及びクーリングキャン7は、そ
れぞれ上記基体Cの幅と略同じ長さからなる円筒状をな
すものである。
【0039】また、このテープ供給室1aには、上記基
体Cを上記クーリングキャン7に沿わせて走行させるた
めのガイドロール6a,6bが設置されており、上記基
体Cが上記供給ロール4から送り出されてから上記巻き
取りロール5に巻き取られる際に、該基体Cに対して所
定のテンションを与え、円滑な走行が得られるようにな
されている。
【0040】上記ボンバード処理室1b内には、上記ク
ーリングキャン7の図中上方にこのクーリングキャン7
と対向して複数個(ここでは2個)のボンバード電極8
a,8bが配設される。ここで、これらボンバード電極
8a,8bとしては、耐食性金属が使用される。これに
より、上記テープ供給室1aより順次供給され上記クー
リングキャン7の周面に沿って定速走行される上記基体
Cに対してボンバード処理がなされると同時に、上記金
属磁性薄膜上に上記耐食性金属からなる耐食性保護膜が
形成される。このため、ボンバード効果とともに、良好
な耐食性を得ることができる。
【0041】また、上記スパッタ室1c内には、上記ク
ーリングキャン7の図中右方にこのクーリングキャン7
と対向して複数個(ここでは3個)の導電性金属等より
なるバッキングプレート上に硬質材料(例えばカーボン
等)からなるターゲット9a,9b,9cがそれぞれ配
設されており、前記バッキングプレートに負電圧を印加
することによってカソードとして機能するように構成さ
れている。
【0042】従って、上記クーリングキャン7の図中右
方に配設されたカソードの陰極、即ち各ターゲット9
a,9b,9cからスパッタリング現象によって叩き出
されたスパッタ原子が、上記ボンバード処理室1bを通
過しスパッタ室1cに臨むクーリングキャン7の周面を
定速走行する基体C上に被着され、上記耐食性保護膜上
に耐久性保護膜が形成される。これにより、優れた耐食
性及び耐久性を確保することができる。
【0043】以上のようにして磁気記録媒体を作製した
ところ、図2に示すような蒸着テープを得た。すなわ
ち、この蒸着テープにおいては、ベースフィルム11の
一方の主面上にCo膜からなる磁性層12が150nm
厚で形成され、更にこの磁性層12上に耐食性保護膜1
3及び耐久性保護膜14が順次積層形成されてなる。こ
れら耐食性保護膜13及び耐久性保護膜14の膜厚は、
それぞれ5nmである。また、上記ベースフィルム11
の他方の主面上には、バックコート層15が塗布形成さ
れてなる。
【0044】そこで、ボンバード電極として用いた耐食
性金属の種類を変化させて作製したサンプルテープにつ
いて、耐食性を評価した。なお、比較例として、耐食性
保護膜を成膜する際のボンバード電極を通常使用されて
いるAlとした場合についても同様に調べた。耐食性の
評価としては、得られたサンプルテープを温度50℃、
相対湿度90%の環境下で20日間保存した後の初期値
からの総磁束量の劣化量Δφを指標として用いた。結果
を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】なお、ボンバード処理及びスパッタリング
の条件は下記の通りである。 <ボンバード処理条件> 投入パワー :4W/cm2 真空度 :6×10-1Pa 雰囲気 :Arガス
【0047】<スパッタリング条件> ターゲット材 :カーボン 投入パワー :10W/cm2 (マグネトロン直流
スパッタリング) 真空度 :5×10-1Pa 雰囲気 :Arガス
【0048】この結果、表1に示すように、比較例では
総磁束量が13%も劣化したのに対して、各実施例のよ
うに耐食性金属をボンバード電極として用いて耐食性保
護膜を形成した場合には、苛酷な仕様下においても磁気
特性の劣化が少なく、耐食性が著しく向上していること
がわかった。
【0049】次に、良好なボンバート処理が行われるた
めの条件を調べるため、ボンバード電極と磁気記録媒体
表面の対向距離を変えて耐食性保護膜を形成し、スチル
耐久性の相違を調べた。
【0050】なお、このときのボンバードの条件は、下
記の通りであり、スパッタリングの条件は先の実験と同
様とした。また、スチル耐久性は、ソニー社製、8ミリ
VTR(商品名:EV−S2)を用いて測定した。結果
を表2に示す。 <ボンバード処理条件> 投入パワー :0.5W/cm2 真空度 :6×10-1Pa 雰囲気 :Arガス
【0051】
【表2】
【0052】この表2からも明らかなように、あまり距
離が大きいとボンバード処理が不十分で、スチル耐久製
が確保できないことがわかる。これに対して、ボンバー
ド電極と磁気記録媒体表面の対向距離を50mm以下と
したときには、耐食性保護膜の付着力が向上し、十分な
スチル耐久製が確保されている。
【0053】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
においては、非磁性支持体上に設けられた金属磁性薄膜
からなる磁性層上に保護膜を形成する際に、耐食性金属
からなるボンバード電極を用いているので、従来のボン
バード効果を得るとともに、良好な耐食性を有する耐食
性保護膜の形成を行うことができる。
【0054】また、本発明によれば、上記耐食性保護膜
を形成した後に、硬質材料からなる耐久性保護膜を形成
しているので、耐食性と耐久性を備えた磁気記録媒体を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において保護膜を形成する際に使用した
製造装置の一構成例を示す模式図である。
【図2】本発明により製造された磁気記録媒体の一構成
例を示す断面図である。
【符号の説明】
1a テープ供給室 1b ボンバード処理室 1c スパッタ室 4 供給ロール 5 巻き取りロール 7 クーリングキャン 8a,8b ボンバード電極 9a,9b,9c ターゲット

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に金属磁性薄膜が磁性層
    として形成されてなる磁気記録媒体をキャンの周面に沿
    わせて走行させ、 上記キャンの周面に耐食性金属からなるボンバード電極
    を対向配設しプラズマ処理を行って耐食性保護膜を成膜
    した後、硬質材料からなる耐久性保護膜を成膜すること
    を特徴とする磁気記録媒体の保護膜形成方法。
  2. 【請求項2】 ボンバード電極と磁気記録媒体表面の対
    向距離を50mm以下とすることを特徴とする請求項1
    記載の磁気記録媒体の保護膜形成方法。
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