JPH087269A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
磁気記録媒体の製造方法Info
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- JPH087269A JPH087269A JP13702094A JP13702094A JPH087269A JP H087269 A JPH087269 A JP H087269A JP 13702094 A JP13702094 A JP 13702094A JP 13702094 A JP13702094 A JP 13702094A JP H087269 A JPH087269 A JP H087269A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 金属磁性薄膜が形成された非磁性支持体32
を、円筒状のアノード35に沿わせながら走行させ、こ
の非磁性支持体32上の金属磁性薄膜表面に、前記アノ
ード35と対向配置されたカソード38上のターゲット
39からのスパッタ粒子を堆積させることで保護膜を形
成するに際し、上記ターゲット39を、上記アノード3
5に対して非磁性支持体32の走行方向にずらす。 【効果】 金属磁性薄膜上に、膜質が良好であり、磁気
ヘッドに繰り返し摺動されても脱落粉の発生することの
ない保護膜が形成できる。したがって、本発明によれ
ば、耐久性,耐錆性に優れ、安定な記録再生をなし得る
磁気記録媒体を得ることが可能である。
を、円筒状のアノード35に沿わせながら走行させ、こ
の非磁性支持体32上の金属磁性薄膜表面に、前記アノ
ード35と対向配置されたカソード38上のターゲット
39からのスパッタ粒子を堆積させることで保護膜を形
成するに際し、上記ターゲット39を、上記アノード3
5に対して非磁性支持体32の走行方向にずらす。 【効果】 金属磁性薄膜上に、膜質が良好であり、磁気
ヘッドに繰り返し摺動されても脱落粉の発生することの
ない保護膜が形成できる。したがって、本発明によれ
ば、耐久性,耐錆性に優れ、安定な記録再生をなし得る
磁気記録媒体を得ることが可能である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、保護膜がスパッタリン
グ法によって形成される磁気記録媒体の製造方法に関す
る。
グ法によって形成される磁気記録媒体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、非磁
性支持体上に、酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等
の粉末磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体,
ポリエステル樹脂,ウレタン樹脂,ポリウレタン樹脂等
の有機バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布乾燥
することで磁性層が形成される,いわゆる塗布型の磁気
記録媒体が広く使用されている。
性支持体上に、酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等
の粉末磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体,
ポリエステル樹脂,ウレタン樹脂,ポリウレタン樹脂等
の有機バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布乾燥
することで磁性層が形成される,いわゆる塗布型の磁気
記録媒体が広く使用されている。
【0003】一方、磁気記録の分野での高密度記録化へ
の要求の高まりとともに、Co−Ni合金,Co−Cr
合金,Co−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜
形成技術(真空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレ
ーティング法等)によってポリエステルフィルムやポリ
アミド,ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接
被着することで磁性層が形成される,いわゆる金属磁性
薄膜型の磁気記録媒体が提案され、注目を集めている。
の要求の高まりとともに、Co−Ni合金,Co−Cr
合金,Co−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜
形成技術(真空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレ
ーティング法等)によってポリエステルフィルムやポリ
アミド,ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接
被着することで磁性層が形成される,いわゆる金属磁性
薄膜型の磁気記録媒体が提案され、注目を集めている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、抗
磁力や角形比等に優れ、短波長での電磁変換特性に優れ
るばかりでなく、磁性層の厚みを極めて薄くできるた
め、記録減磁力や再生時の厚み損失が著しく小さいこ
と、磁性層中に非磁性材であるバインダーを混入する必
要がないため磁性材料の充填密度を高めることができる
こと等、数々の利点を有している。
磁力や角形比等に優れ、短波長での電磁変換特性に優れ
るばかりでなく、磁性層の厚みを極めて薄くできるた
め、記録減磁力や再生時の厚み損失が著しく小さいこ
と、磁性層中に非磁性材であるバインダーを混入する必
要がないため磁性材料の充填密度を高めることができる
こと等、数々の利点を有している。
【0005】特に、金属磁性材料を斜め方向から蒸着す
ることで磁性層が形成された,斜方蒸着タイプの磁気記
録媒体は、電磁変換特性にとりわけ優れ、大きな再生出
力が得られることから、高密度記録用として既に市販さ
れている。
ることで磁性層が形成された,斜方蒸着タイプの磁気記
録媒体は、電磁変換特性にとりわけ優れ、大きな再生出
力が得られることから、高密度記録用として既に市販さ
れている。
【0006】ところで、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体
では、酸化され易い金属磁性材料の薄膜を磁性層として
いることから、そのままでは耐久性,耐錆性に劣り、実
用品として問題がある。
では、酸化され易い金属磁性材料の薄膜を磁性層として
いることから、そのままでは耐久性,耐錆性に劣り、実
用品として問題がある。
【0007】このため、従来より、磁性層上に、潤滑効
果,防錆効果等を有する有機材料をコーティングするこ
とが広く行われている。しかし、磁性層上にコーティン
グされた有機材料は、特殊な環境下や業務上の過酷な使
用条件下ではその効果が損なわれ、使用環境や使用条件
が制限される。
果,防錆効果等を有する有機材料をコーティングするこ
とが広く行われている。しかし、磁性層上にコーティン
グされた有機材料は、特殊な環境下や業務上の過酷な使
用条件下ではその効果が損なわれ、使用環境や使用条件
が制限される。
【0008】そこで、新たな手法として、コーティング
ではなく、真空薄膜形成技術(真空蒸着法,スパッタリ
ング法,プラズマCVD等)によって表面保護膜を形成
することが提案されている。真空薄膜形成技術で形成さ
れた保護膜は、使用環境,使用条件を問わず、媒体に耐
久性,耐錆性を付与できる。
ではなく、真空薄膜形成技術(真空蒸着法,スパッタリ
ング法,プラズマCVD等)によって表面保護膜を形成
することが提案されている。真空薄膜形成技術で形成さ
れた保護膜は、使用環境,使用条件を問わず、媒体に耐
久性,耐錆性を付与できる。
【0009】ここで、上記保護膜を形成するための真空
薄膜形成技術としては、成膜材料をあまり問わず、比較
的良質な薄膜が形成できることからスパッタリング法が
よく用いられる。
薄膜形成技術としては、成膜材料をあまり問わず、比較
的良質な薄膜が形成できることからスパッタリング法が
よく用いられる。
【0010】このスパッタリング法による保護膜の成膜
は、図4に示すように、真空室内に、円筒状のスパッタ
アノード用キャン51と、これと対向して配置された板
状のスパッタカソード部52を有し、このスパッタカソ
ード部52上にターゲット53が載置された構成のスパ
ッタリング装置によって行われる。
は、図4に示すように、真空室内に、円筒状のスパッタ
アノード用キャン51と、これと対向して配置された板
状のスパッタカソード部52を有し、このスパッタカソ
ード部52上にターゲット53が載置された構成のスパ
ッタリング装置によって行われる。
【0011】このスパッタリング装置では、磁性層とな
る金属磁性薄膜が成膜されたテープ状の非磁性支持体5
4を、金属磁性薄膜側が外側となるように上記スパッタ
アノード用キャン51の周面に掛け渡す。
る金属磁性薄膜が成膜されたテープ状の非磁性支持体5
4を、金属磁性薄膜側が外側となるように上記スパッタ
アノード用キャン51の周面に掛け渡す。
【0012】そして、上記非磁性支持体54を、上記ス
パッタアノード用キャン51の周面上を連続走行させる
とともに、真空室内にAr等のスパッタガスを導入し、
スパッタアノード用キャン51とスパッタカソード部5
2の間に電圧を印加してグロー放電を起こさせる。
パッタアノード用キャン51の周面上を連続走行させる
とともに、真空室内にAr等のスパッタガスを導入し、
スパッタアノード用キャン51とスパッタカソード部5
2の間に電圧を印加してグロー放電を起こさせる。
【0013】グロー放電によって、スパッタガスがイオ
ン化し、スパッタカソード部52上のターゲット53に
衝突してターゲット53表面からスパッタ粒子をたたき
出す。このスパッタ粒子が走行している金属磁性薄膜表
面に堆積し、保護膜が形成されることになる。
ン化し、スパッタカソード部52上のターゲット53に
衝突してターゲット53表面からスパッタ粒子をたたき
出す。このスパッタ粒子が走行している金属磁性薄膜表
面に堆積し、保護膜が形成されることになる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようにし
て保護膜が形成された磁気記録媒体を、多数回シャトル
走行させると、保護膜から脱落粉が発生し、この脱落粉
が磁気ヘッドに付着してドロップアウトや数秒程度の短
いクロッグ(瞬時クロッグ)を誘発するといった現象が
確認される。
て保護膜が形成された磁気記録媒体を、多数回シャトル
走行させると、保護膜から脱落粉が発生し、この脱落粉
が磁気ヘッドに付着してドロップアウトや数秒程度の短
いクロッグ(瞬時クロッグ)を誘発するといった現象が
確認される。
【0015】このような保護膜由来の脱落粉への対策は
いくつか報告されており、例えば、保護膜の膜質を良く
するという観点から、成膜の際のスパッタ条件を改善し
た方法が特開平5−182192号公報等において開示
されている。
いくつか報告されており、例えば、保護膜の膜質を良く
するという観点から、成膜の際のスパッタ条件を改善し
た方法が特開平5−182192号公報等において開示
されている。
【0016】すなわち、この公報では、スパッタリング
に際しては、金属磁性薄膜表面以外に装置の配設部材に
もスパッタ粒子が付着し、この配設部材に付着してしま
ったスパッタ粒子がターゲット上に落下することで生じ
る異常放電によって、保護膜の膜質が劣化するものと考
えている。この考えから、配設部材へのスパッタ粒子の
付着及び付着粒子の落下の両方を防止するためのマスク
部材をスパッタアノード用キャンとスパッタカソード部
の間に設けるようにしている。
に際しては、金属磁性薄膜表面以外に装置の配設部材に
もスパッタ粒子が付着し、この配設部材に付着してしま
ったスパッタ粒子がターゲット上に落下することで生じ
る異常放電によって、保護膜の膜質が劣化するものと考
えている。この考えから、配設部材へのスパッタ粒子の
付着及び付着粒子の落下の両方を防止するためのマスク
部材をスパッタアノード用キャンとスパッタカソード部
の間に設けるようにしている。
【0017】しかし、このようなマスク部材を設ける
と、確かにスパッタリングの際の異常放電は防止できる
ものの、保護膜の膜質は期待する程には改善されず、媒
体の走行に際する保護膜からの脱落粉の発生を充分に抑
えるまでには至っていない。
と、確かにスパッタリングの際の異常放電は防止できる
ものの、保護膜の膜質は期待する程には改善されず、媒
体の走行に際する保護膜からの脱落粉の発生を充分に抑
えるまでには至っていない。
【0018】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、媒体の走行に際して脱落
粉を発生することのない良質な保護膜が形成できる磁気
記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
鑑みて提案されたものであり、媒体の走行に際して脱落
粉を発生することのない良質な保護膜が形成できる磁気
記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明は、金属磁性薄膜が形成された非磁性支持
体を、ロール状のアノードで所定の位置に案内しながら
走行させ、この非磁性支持体上の金属磁性薄膜表面に、
前記アノードと対向配置されたカソード上のターゲット
からスパッタ蒸発するスパッタ粒子を堆積させることで
保護膜を形成するに際し、上記ターゲットを、上記アノ
ードに対して非磁性支持体の走行方向にずらして配置す
ることを特徴とするものである。
めに、本発明は、金属磁性薄膜が形成された非磁性支持
体を、ロール状のアノードで所定の位置に案内しながら
走行させ、この非磁性支持体上の金属磁性薄膜表面に、
前記アノードと対向配置されたカソード上のターゲット
からスパッタ蒸発するスパッタ粒子を堆積させることで
保護膜を形成するに際し、上記ターゲットを、上記アノ
ードに対して非磁性支持体の走行方向にずらして配置す
ることを特徴とするものである。
【0020】また、ターゲットの非磁性支持体の走行方
向での中央線がアノードの中心に対してずれているズレ
量をA、当該ターゲットの非磁性支持体の走行方向での
長さをWとしたときに、A,Wが、0.03・W≦A≦
0.5・Wなる条件を満たすことを特徴とするものであ
る。
向での中央線がアノードの中心に対してずれているズレ
量をA、当該ターゲットの非磁性支持体の走行方向での
長さをWとしたときに、A,Wが、0.03・W≦A≦
0.5・Wなる条件を満たすことを特徴とするものであ
る。
【0021】
【作用】金属磁性薄膜が形成された非磁性支持体を、円
筒状のアノードに沿わせながら走行させ、この非磁性支
持体上の金属磁性薄膜表面に、前記アノードと対向配置
されたカソード上のターゲットからのスパッタ粒子を堆
積させることで保護膜を形成するに際し、上記ターゲッ
トを、上記アノードに対して非磁性支持体の走行方向に
ずらして配置すると、膜質が良好な保護膜が形成され
る。このようにして保護膜が形成された磁気記録媒体
は、保護膜が良好な膜質であることから、磁気ヘッドと
の繰り返し摺動によって当該保護膜から脱落粉が発生す
ることがなく、保護膜由来の脱落粉によって誘発される
ドロップアウトや瞬時クロッグが回避される。
筒状のアノードに沿わせながら走行させ、この非磁性支
持体上の金属磁性薄膜表面に、前記アノードと対向配置
されたカソード上のターゲットからのスパッタ粒子を堆
積させることで保護膜を形成するに際し、上記ターゲッ
トを、上記アノードに対して非磁性支持体の走行方向に
ずらして配置すると、膜質が良好な保護膜が形成され
る。このようにして保護膜が形成された磁気記録媒体
は、保護膜が良好な膜質であることから、磁気ヘッドと
の繰り返し摺動によって当該保護膜から脱落粉が発生す
ることがなく、保護膜由来の脱落粉によって誘発される
ドロップアウトや瞬時クロッグが回避される。
【0022】なお、ターゲットを、特に、その非磁性支
持体の走行方向での中央線とスパッタアノード用キャン
の中心とのずれ量が、当該ターゲットの非磁性支持体の
走行方向での長さの1/30〜1/2なるように配置す
ると、ターゲットをずらすことによる成膜レートの低減
が小さく抑えられ、膜質の良好な保護膜が効率良く形成
されるようになる。
持体の走行方向での中央線とスパッタアノード用キャン
の中心とのずれ量が、当該ターゲットの非磁性支持体の
走行方向での長さの1/30〜1/2なるように配置す
ると、ターゲットをずらすことによる成膜レートの低減
が小さく抑えられ、膜質の良好な保護膜が効率良く形成
されるようになる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明がこの実施例に限定されるものではない
ことは言うまでもない。
するが、本発明がこの実施例に限定されるものではない
ことは言うまでもない。
【0024】本実施例で製造する磁気記録媒体は、非磁
性支持体上に、金属磁性薄膜、保護膜が順次形成されて
なるものである。
性支持体上に、金属磁性薄膜、保護膜が順次形成されて
なるものである。
【0025】上記非磁性支持体としては、通常、磁気記
録媒体において用いられている高分子支持体がいずれも
使用可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート
等のポリエステル類、ポリエチレン,ポリプロピレン等
のポリオレフィン類、セルローストリアセテート,セル
ロースダイアセテート,セルロースブチレート等のセル
ロース誘導体、ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン等
のビニル系樹脂、ポリカーボネート,ポリイミド,ポリ
アミドイミド等のプラスチックが挙げられる。
録媒体において用いられている高分子支持体がいずれも
使用可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート
等のポリエステル類、ポリエチレン,ポリプロピレン等
のポリオレフィン類、セルローストリアセテート,セル
ロースダイアセテート,セルロースブチレート等のセル
ロース誘導体、ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン等
のビニル系樹脂、ポリカーボネート,ポリイミド,ポリ
アミドイミド等のプラスチックが挙げられる。
【0026】これら非磁性支持体には、層状作用による
媒体の表面性制御を目的として、複数の微細な表面突起
を形成するようにしても良い。これら表面突起は、上記
非磁性支持体の原材料(チップ)内に所定の大きさのフ
ィラーを分散させ、所定の密度で凝集させて上記非磁性
支持体の表面に浮き出させることによって上記非磁性支
持体の表面を凹凸状とする方法や、上記非磁性支持体上
に所定の粒径を有する微粒子を所定の密度で分散させ、
これをバインダー樹脂等により定着させる方法等によっ
て形成される。フィラーとしては、SiO2 粒子や水溶
性ラテックス等が挙げられる。
媒体の表面性制御を目的として、複数の微細な表面突起
を形成するようにしても良い。これら表面突起は、上記
非磁性支持体の原材料(チップ)内に所定の大きさのフ
ィラーを分散させ、所定の密度で凝集させて上記非磁性
支持体の表面に浮き出させることによって上記非磁性支
持体の表面を凹凸状とする方法や、上記非磁性支持体上
に所定の粒径を有する微粒子を所定の密度で分散させ、
これをバインダー樹脂等により定着させる方法等によっ
て形成される。フィラーとしては、SiO2 粒子や水溶
性ラテックス等が挙げられる。
【0027】上記金属磁性薄膜は、金属磁性材料を非磁
性支持体上に直接被着形成することで成膜される。金属
磁性材料としては、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体にお
いて通常使用されているものであれば如何なるものであ
ってもよい。例示すれば、Fe,Co,Ni等の強磁性
金属、Fe−Co,Co−Ni,Fe−Co−Ni,F
e−Cu,Co−Cu,Co−Au,Co−Pt,Mn
−Bi,Mn−Al,Fe−Cr,Co−Cr,Ni−
Cr,Fe−Co−Cr,Co−Ni−Cr,Fe−C
o−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられる。金属磁性
薄膜は、これらの単層膜であってもよいし、多層膜であ
ってもよい。なお、これら金属磁性薄膜には、層同士の
付着力向上,並びに抗磁力の制御等のために、非磁性支
持体との間に下地層が設けられていたり、さらには金属
磁性薄膜が多層膜である場合には各層間に中間層が設け
られていても良い。また、耐蝕性改善等のために金属磁
性薄膜表面近傍が酸化物となっていてもよい。
性支持体上に直接被着形成することで成膜される。金属
磁性材料としては、金属磁性薄膜型の磁気記録媒体にお
いて通常使用されているものであれば如何なるものであ
ってもよい。例示すれば、Fe,Co,Ni等の強磁性
金属、Fe−Co,Co−Ni,Fe−Co−Ni,F
e−Cu,Co−Cu,Co−Au,Co−Pt,Mn
−Bi,Mn−Al,Fe−Cr,Co−Cr,Ni−
Cr,Fe−Co−Cr,Co−Ni−Cr,Fe−C
o−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられる。金属磁性
薄膜は、これらの単層膜であってもよいし、多層膜であ
ってもよい。なお、これら金属磁性薄膜には、層同士の
付着力向上,並びに抗磁力の制御等のために、非磁性支
持体との間に下地層が設けられていたり、さらには金属
磁性薄膜が多層膜である場合には各層間に中間層が設け
られていても良い。また、耐蝕性改善等のために金属磁
性薄膜表面近傍が酸化物となっていてもよい。
【0028】金属磁性薄膜の被着形成手段としては、真
空下で金属磁性材料を加熱蒸発させ非磁性支持体上に沈
着させる真空蒸着法、金属磁性材料の蒸発を放電中で行
うイオンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰
囲気中でグロー放電を起こし、生じたアルゴンイオンで
ターゲット表面の原子をたたき出すスパッタ法等、いわ
ゆるPVD技術が挙げられる。なかでも、金属磁性材料
を斜め方向から蒸着する斜方蒸着法で成膜された金属磁
性薄膜は、電磁変換特性に優れ、大きな再生出力が得ら
れる。
空下で金属磁性材料を加熱蒸発させ非磁性支持体上に沈
着させる真空蒸着法、金属磁性材料の蒸発を放電中で行
うイオンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰
囲気中でグロー放電を起こし、生じたアルゴンイオンで
ターゲット表面の原子をたたき出すスパッタ法等、いわ
ゆるPVD技術が挙げられる。なかでも、金属磁性材料
を斜め方向から蒸着する斜方蒸着法で成膜された金属磁
性薄膜は、電磁変換特性に優れ、大きな再生出力が得ら
れる。
【0029】斜方蒸着法で金属磁性薄膜を成膜するため
の真空蒸着装置を図1に示す。
の真空蒸着装置を図1に示す。
【0030】真空蒸着装置は、図1に示すように、頭部
と底部にそれぞれ設けられた排気口15から排気された
内部が真空状態となされた真空室1内に、図中の時計回
り方向に定速回転する送りロール3と、図中の時計回り
方向に定速回転する巻取りロール4とが設けられ、これ
ら送りロール3から巻取りロール4にテープ状に非磁性
支持体2とが順次走行するようになされている。
と底部にそれぞれ設けられた排気口15から排気された
内部が真空状態となされた真空室1内に、図中の時計回
り方向に定速回転する送りロール3と、図中の時計回り
方向に定速回転する巻取りロール4とが設けられ、これ
ら送りロール3から巻取りロール4にテープ状に非磁性
支持体2とが順次走行するようになされている。
【0031】これら送りロール3から巻取りロール4側
に上記非磁性支持体2が走行する中途部には、上記各ロ
ール3,4の径よりも大径となされた冷却キャン5が設
けられている。この冷却キャン5は、上記非磁性支持体
2を図中下方に引き出すように設けられ、図中の時計回
り方向に定速回転する構成とされる。尚、上記送りロー
ル3,巻取りロール4及び冷却キャン5は、それぞれ非
磁性支持体2の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすも
のであり、また上記冷却キャン5には、内部に図示しな
い冷却装置が設けられ、上記非磁性支持体2の温度上昇
による変形等を抑制し得るようになされている。
に上記非磁性支持体2が走行する中途部には、上記各ロ
ール3,4の径よりも大径となされた冷却キャン5が設
けられている。この冷却キャン5は、上記非磁性支持体
2を図中下方に引き出すように設けられ、図中の時計回
り方向に定速回転する構成とされる。尚、上記送りロー
ル3,巻取りロール4及び冷却キャン5は、それぞれ非
磁性支持体2の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすも
のであり、また上記冷却キャン5には、内部に図示しな
い冷却装置が設けられ、上記非磁性支持体2の温度上昇
による変形等を抑制し得るようになされている。
【0032】したがって、上記非磁性支持体2は、送り
ロール3から順次送り出され、さらに上記冷却キャン5
の周面を通過し、巻取りロール4に巻き取られていくよ
うになされている。なお、上記送りロール3と上記冷却
キャン5との間及び該冷却キャン5と上記巻取りロール
4との間にはそれぞれガイドロール6,7が配設され、
上記送りロール3から冷却キャン5及び該冷却キャン5
から巻取りロール4に亘って走行する非磁性支持体2に
所定のテンションをかけ、該非磁性支持体2が円滑に走
行するようになされている。また、上記真空室1内に
は、上記冷却キャン5の下方にルツボ8が設けられ、こ
のルツボ8内に金属磁性材料9が充填されている。この
ルツボ8は、上記冷却キャンの長手方向の幅と略同一の
幅を有している。
ロール3から順次送り出され、さらに上記冷却キャン5
の周面を通過し、巻取りロール4に巻き取られていくよ
うになされている。なお、上記送りロール3と上記冷却
キャン5との間及び該冷却キャン5と上記巻取りロール
4との間にはそれぞれガイドロール6,7が配設され、
上記送りロール3から冷却キャン5及び該冷却キャン5
から巻取りロール4に亘って走行する非磁性支持体2に
所定のテンションをかけ、該非磁性支持体2が円滑に走
行するようになされている。また、上記真空室1内に
は、上記冷却キャン5の下方にルツボ8が設けられ、こ
のルツボ8内に金属磁性材料9が充填されている。この
ルツボ8は、上記冷却キャンの長手方向の幅と略同一の
幅を有している。
【0033】一方、上記真空室1の側壁部には、上記ル
ツボ内に充填された金属磁性材料9を加熱蒸発させるた
めの電子銃10が取り付けられている。この電子銃10
は、当該電子銃10より放出される電子線Xが上記ルツ
ボ8内に金属磁性材料9に照射されるような位置に配設
される。そして、この電子銃10によって蒸発した金属
磁性材料9が上記冷却キャン5の周面を定速走行する非
磁性支持体2上に磁性層として被着形成されるようにな
っている。また、上記冷却キャン5と上記ルツボ8の間
であって該冷却キャン5の近傍には、シャッタ13が配
設されている。このシャタ13は、上記冷却キャン5の
周面を定速走行する非磁性支持体2の所定領域を覆う形
で形成され、このシャッタ13により上記蒸発せしめら
れた金属磁性材料9が上記非磁性支持体2に対して所定
の角度範囲で斜めに蒸着されるようになっている。さら
に、このような蒸着に際し、上記真空室1の側壁部を貫
通して設けられる酸素ガス導入口14を介して非磁性支
持体2の表面に酸素ガスが供給され、磁気特性,耐久性
及び耐候性の向上が図られている。
ツボ内に充填された金属磁性材料9を加熱蒸発させるた
めの電子銃10が取り付けられている。この電子銃10
は、当該電子銃10より放出される電子線Xが上記ルツ
ボ8内に金属磁性材料9に照射されるような位置に配設
される。そして、この電子銃10によって蒸発した金属
磁性材料9が上記冷却キャン5の周面を定速走行する非
磁性支持体2上に磁性層として被着形成されるようにな
っている。また、上記冷却キャン5と上記ルツボ8の間
であって該冷却キャン5の近傍には、シャッタ13が配
設されている。このシャタ13は、上記冷却キャン5の
周面を定速走行する非磁性支持体2の所定領域を覆う形
で形成され、このシャッタ13により上記蒸発せしめら
れた金属磁性材料9が上記非磁性支持体2に対して所定
の角度範囲で斜めに蒸着されるようになっている。さら
に、このような蒸着に際し、上記真空室1の側壁部を貫
通して設けられる酸素ガス導入口14を介して非磁性支
持体2の表面に酸素ガスが供給され、磁気特性,耐久性
及び耐候性の向上が図られている。
【0034】本実施例の磁気記録媒体において金属磁性
薄膜は、例えば以上のような真空蒸着装置によって斜方
蒸着膜として形成される。
薄膜は、例えば以上のような真空蒸着装置によって斜方
蒸着膜として形成される。
【0035】そして、この金属磁性薄膜上に形成される
保護膜は、金属磁性薄膜をヘッド等との摺動から保護す
るとともに金属磁性薄膜に蝕食因子が侵入するのを防止
し、媒体に耐久性や耐錆性を付与するためのものであ
る。
保護膜は、金属磁性薄膜をヘッド等との摺動から保護す
るとともに金属磁性薄膜に蝕食因子が侵入するのを防止
し、媒体に耐久性や耐錆性を付与するためのものであ
る。
【0036】この保護膜は、上記金属磁性薄膜上に、カ
ーボン,CrO2 ,Al2 O3 ,BN,Co酸化物,M
gO,SiO2 ,Si3 O4 ,SiNx ,SiC,Si
Nx−SiO2 ,ZrO2 ,TiO2 ,TiC等をスパ
ッタリング法で被着形成することで成膜される。
ーボン,CrO2 ,Al2 O3 ,BN,Co酸化物,M
gO,SiO2 ,Si3 O4 ,SiNx ,SiC,Si
Nx−SiO2 ,ZrO2 ,TiO2 ,TiC等をスパ
ッタリング法で被着形成することで成膜される。
【0037】ここで、この保護膜は、媒体の走行に際し
て直接磁気ヘッド等に摺動されることになる。このた
め、良好な膜質で成膜されていないと、ヘッドとの繰り
返し摺動によって当該保護膜から脱落粉が発生し、この
脱落粉がドロップアウトや瞬時クロッグ等を引き起こ
す。
て直接磁気ヘッド等に摺動されることになる。このた
め、良好な膜質で成膜されていないと、ヘッドとの繰り
返し摺動によって当該保護膜から脱落粉が発生し、この
脱落粉がドロップアウトや瞬時クロッグ等を引き起こ
す。
【0038】そこで、本実施例では、保護膜の成膜を、
図2に示すように、ターゲット39が、スパッタアノー
ド用キャン35に対して非磁性支持体32の走行方向に
ずれて配置された構成のスパッタリング装置によって行
うこととする。
図2に示すように、ターゲット39が、スパッタアノー
ド用キャン35に対して非磁性支持体32の走行方向に
ずれて配置された構成のスパッタリング装置によって行
うこととする。
【0039】すなわち、上記スパッタリング装置は、図
2に示すように、頭部と底部にそれぞれ設けられた排気
口45から排気された内部が真空状態となされた真空室
31内に、図中の時計回り方向に定速回転する送りロー
ル33と、図中の時計回り方向に定速回転する巻取りロ
ール34とが設けられ、これら送りロール33から巻取
りロール34に、金属磁性薄膜が形成されたテープ状の
非磁性支持体32が順次走行するようになされている。
2に示すように、頭部と底部にそれぞれ設けられた排気
口45から排気された内部が真空状態となされた真空室
31内に、図中の時計回り方向に定速回転する送りロー
ル33と、図中の時計回り方向に定速回転する巻取りロ
ール34とが設けられ、これら送りロール33から巻取
りロール34に、金属磁性薄膜が形成されたテープ状の
非磁性支持体32が順次走行するようになされている。
【0040】これら送りロール33から巻取りロール3
4側に上記非磁性支持体32が走行する中途部には、上
記各ロール33,34の径よりも大径となされたステン
レス製のスパッタアノード用キャン35が設けられてい
る。このスパッタアノード用キャン35は、グロー放電
を起こさせるためのアノードとして機能するものであ
り、上記非磁性支持体32を図中下方に引き出すように
設けられ、図中の時計回り方向に定速回転する構成とさ
れる。
4側に上記非磁性支持体32が走行する中途部には、上
記各ロール33,34の径よりも大径となされたステン
レス製のスパッタアノード用キャン35が設けられてい
る。このスパッタアノード用キャン35は、グロー放電
を起こさせるためのアノードとして機能するものであ
り、上記非磁性支持体32を図中下方に引き出すように
設けられ、図中の時計回り方向に定速回転する構成とさ
れる。
【0041】なお、上記ロール33,巻取りロール34
及びスパッタアノード用キャン35は、それぞれ非磁性
支持体32の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすもの
であり、また上記スパッタアノード用キャン35には、
内部に図示しない冷却装置が設けられ、上記非磁性支持
体32の温度上昇による変形等を抑制し得るようになさ
れている。
及びスパッタアノード用キャン35は、それぞれ非磁性
支持体32の幅と略同じ長さからなる円筒状をなすもの
であり、また上記スパッタアノード用キャン35には、
内部に図示しない冷却装置が設けられ、上記非磁性支持
体32の温度上昇による変形等を抑制し得るようになさ
れている。
【0042】また、非磁性支持体32は、このような送
りロール33,スパッタアノード用キャン35,巻き取
りロール34に金属磁性薄膜側が外側になるように掛け
渡され、送りロール33から順次送り出され、さらに上
記スパッタアノード用キャン35の周面を通過し、巻取
りロール34に巻き取られるようになされている。
りロール33,スパッタアノード用キャン35,巻き取
りロール34に金属磁性薄膜側が外側になるように掛け
渡され、送りロール33から順次送り出され、さらに上
記スパッタアノード用キャン35の周面を通過し、巻取
りロール34に巻き取られるようになされている。
【0043】なお、上記送りロール34と上記スパッタ
アノード用キャン35との間及び該スパッタアノード用
キャン35と上記巻き取りロール34との間には、それ
ぞれガイドロール36,37が配設され、上記送りロー
ル33からスパッタアノード用キャン35及び該スパッ
タアノード用キャン35から巻取りロール34に亘って
走行する非磁性支持体32に所定のテンションをかけ、
該非磁性支持体32が円滑に走行するようになされてい
る。
アノード用キャン35との間及び該スパッタアノード用
キャン35と上記巻き取りロール34との間には、それ
ぞれガイドロール36,37が配設され、上記送りロー
ル33からスパッタアノード用キャン35及び該スパッ
タアノード用キャン35から巻取りロール34に亘って
走行する非磁性支持体32に所定のテンションをかけ、
該非磁性支持体32が円滑に走行するようになされてい
る。
【0044】また、上記真空室31内には、上記スパッ
タアノード用キャン35の下方にこれと対向して板状の
スパッタカソード部38が設けられている。このスパッ
タカソード部38の上面にはバッキングプレート38が
設けられ、このバッキングプレート38によってターゲ
ット39となる保護膜材料が接着固定されている。
タアノード用キャン35の下方にこれと対向して板状の
スパッタカソード部38が設けられている。このスパッ
タカソード部38の上面にはバッキングプレート38が
設けられ、このバッキングプレート38によってターゲ
ット39となる保護膜材料が接着固定されている。
【0045】ここで、このスパッタリング装置では、上
記スパッタカソード部38が、スパッタアノード用キャ
ン35に対して非磁性支持体32の走行方向にずれて配
置されており、その上に接着固定されたターゲット39
もスパッタアノード用キャン35に対して非磁性支持体
32の走行方向にずれた位置関係となっている。これ
は、ターゲットからスパッタ蒸発したスパッタ粒子が金
属磁性薄膜表面へ堆積することでスパッタ膜は形成され
るが、このスパッタ膜を良好な膜質で形成するためであ
る。
記スパッタカソード部38が、スパッタアノード用キャ
ン35に対して非磁性支持体32の走行方向にずれて配
置されており、その上に接着固定されたターゲット39
もスパッタアノード用キャン35に対して非磁性支持体
32の走行方向にずれた位置関係となっている。これ
は、ターゲットからスパッタ蒸発したスパッタ粒子が金
属磁性薄膜表面へ堆積することでスパッタ膜は形成され
るが、このスパッタ膜を良好な膜質で形成するためであ
る。
【0046】すなわち、スパッタリング装置では、真空
室31内にガス導入口44を通じてスパッタガスが導入
されるとともに、上記スパッタカソード部38と上記ス
パッタアノード用キャン35の間に電圧が印加されるこ
とで、グロー放電が起こる。これにより、真空室31内
に導入されたスパッタガスがイオン化して、スパッタカ
ソード部38上に接着固定されたターゲット39表面に
衝突し、スパッタ粒子がたたき出される。このたたき出
されたスパッタ粒子が金属磁性薄膜上に堆積し、スパッ
タ膜が形成される。
室31内にガス導入口44を通じてスパッタガスが導入
されるとともに、上記スパッタカソード部38と上記ス
パッタアノード用キャン35の間に電圧が印加されるこ
とで、グロー放電が起こる。これにより、真空室31内
に導入されたスパッタガスがイオン化して、スパッタカ
ソード部38上に接着固定されたターゲット39表面に
衝突し、スパッタ粒子がたたき出される。このたたき出
されたスパッタ粒子が金属磁性薄膜上に堆積し、スパッ
タ膜が形成される。
【0047】従来のスパッタリング装置では、成膜レー
トのみを重視して、グロー放電によって生じたスパッタ
イオンをターゲットに効率よく衝突させるべく、図4に
示すように、ターゲット53は、その非磁性支持体54
の走行方向での中央線l1 と、スパッタアノード用キャ
ン51の中心cとが略重なるように、スパッタアノード
用キャン51の真下に配置される。しかし、このように
ターゲット53を配置したスパッタリング装置で成膜さ
れた保護膜は、膜質が悪く、磁気ヘッドに繰り返し摺動
されると脱落粉を発生する。
トのみを重視して、グロー放電によって生じたスパッタ
イオンをターゲットに効率よく衝突させるべく、図4に
示すように、ターゲット53は、その非磁性支持体54
の走行方向での中央線l1 と、スパッタアノード用キャ
ン51の中心cとが略重なるように、スパッタアノード
用キャン51の真下に配置される。しかし、このように
ターゲット53を配置したスパッタリング装置で成膜さ
れた保護膜は、膜質が悪く、磁気ヘッドに繰り返し摺動
されると脱落粉を発生する。
【0048】これに対して、本実施例のスパッタリング
装置では、図2に示すように、ターゲット39が、その
非磁性支持体32の走行方向での中央線l1 が、スパッ
タアノード用キャン35の中心cに対して、非磁性支持
体32の走行方向にずれるように配置されている。
装置では、図2に示すように、ターゲット39が、その
非磁性支持体32の走行方向での中央線l1 が、スパッ
タアノード用キャン35の中心cに対して、非磁性支持
体32の走行方向にずれるように配置されている。
【0049】ターゲット39をこのようにスパッタアノ
ード用キャン35に対して非磁性支持体32の走行方向
にずらして配置すると、ターゲット39をスパッタアノ
ード用キャン35の真下に配置した場合よりも成膜レー
トは幾分小さくなるものの、スパッタ膜の特に表層部の
膜質が大幅に改善される。このようにして成膜されたス
パッタ膜を保護膜とする媒体は、磁気ヘッドとの繰り返
し摺動によって保護膜から脱落粉が発生することがな
く、保護膜由来の脱落粉によって誘発されるドロップア
ウトや瞬時クロッグが回避される。
ード用キャン35に対して非磁性支持体32の走行方向
にずらして配置すると、ターゲット39をスパッタアノ
ード用キャン35の真下に配置した場合よりも成膜レー
トは幾分小さくなるものの、スパッタ膜の特に表層部の
膜質が大幅に改善される。このようにして成膜されたス
パッタ膜を保護膜とする媒体は、磁気ヘッドとの繰り返
し摺動によって保護膜から脱落粉が発生することがな
く、保護膜由来の脱落粉によって誘発されるドロップア
ウトや瞬時クロッグが回避される。
【0050】なお、ターゲット39は、その非磁性支持
体32の走行方向での中央線l1 とスパッタアノード用
キャン35の中心cとのずれ量Aが、当該ターゲット3
9の非磁性支持体32の走行方向での長さをWとしたと
きに、その3〜50%の割合,すなわち0.03・W〜
0.5・Wなる量となるように配置することが好まし
い。
体32の走行方向での中央線l1 とスパッタアノード用
キャン35の中心cとのずれ量Aが、当該ターゲット3
9の非磁性支持体32の走行方向での長さをWとしたと
きに、その3〜50%の割合,すなわち0.03・W〜
0.5・Wなる量となるように配置することが好まし
い。
【0051】ターゲット39の中央線l1 とスパッタア
ノード用キャン35の中心cとのずれ量Aが、0.03
・Wよりも小さい場合には、ターゲット39をずらす効
果があまり得られず、スパッタ膜の膜質を十分に改善す
ることができない。
ノード用キャン35の中心cとのずれ量Aが、0.03
・Wよりも小さい場合には、ターゲット39をずらす効
果があまり得られず、スパッタ膜の膜質を十分に改善す
ることができない。
【0052】一方、ターゲット39の中央線l1 とスパ
ッタアノード用キャン35の中心cとのずれ量Aが、
0.5・Wを越えて大きい場合にも、スパッタ膜の膜質
を十分に改善することができない。また、この場合に
は、放電領域の半分以上がターゲット39の蒸発に関与
しなくなることから、成膜レートが大幅に劣化する。し
たがって、生産性を考慮しても現実的ではない。
ッタアノード用キャン35の中心cとのずれ量Aが、
0.5・Wを越えて大きい場合にも、スパッタ膜の膜質
を十分に改善することができない。また、この場合に
は、放電領域の半分以上がターゲット39の蒸発に関与
しなくなることから、成膜レートが大幅に劣化する。し
たがって、生産性を考慮しても現実的ではない。
【0053】なお、スパッタ膜の膜質や成膜レートは、
ターゲット39とスパッタアノード用キャン35間の距
離dにも影響を受けるので、ターゲット39の配置位置
を選定するに際しては、ターゲット39のスパッタアノ
ード用キャン35に対するずれ量とともにターゲット3
2とスパッタアノード用キャン35間の距離dについて
も注意を払うことが望ましい。
ターゲット39とスパッタアノード用キャン35間の距
離dにも影響を受けるので、ターゲット39の配置位置
を選定するに際しては、ターゲット39のスパッタアノ
ード用キャン35に対するずれ量とともにターゲット3
2とスパッタアノード用キャン35間の距離dについて
も注意を払うことが望ましい。
【0054】図3に、ターゲット39とスパッタアノー
ド用キャン35間の距離dとスパッタ膜の成膜レートの
関係を示す。なお、この測定データは、スパッタアノー
ド用キャンの真下にターゲットを配置した場合である
が、スパッタアノード用キャンに対してターゲットをず
らして配置した場合でも若干の数値の差はあるものの同
様の傾向のデータが得られるので、ここではこの測定デ
ータを基にターゲットの配置位置を検討する。
ド用キャン35間の距離dとスパッタ膜の成膜レートの
関係を示す。なお、この測定データは、スパッタアノー
ド用キャンの真下にターゲットを配置した場合である
が、スパッタアノード用キャンに対してターゲットをず
らして配置した場合でも若干の数値の差はあるものの同
様の傾向のデータが得られるので、ここではこの測定デ
ータを基にターゲットの配置位置を検討する。
【0055】図3に示すように、スパッタ膜の成膜レー
トは、ターゲット39とスパッタアノード用キャン35
間の距離dと相関があり、ターゲット39とスパッタア
ノード用キャン35間が狭くなる程、成膜レートは増大
する。実用的な生産性を得るには、ターゲット39とス
パッタアノード用キャン35間の距離dは、少なくとも
200mm以下にする必要がある。
トは、ターゲット39とスパッタアノード用キャン35
間の距離dと相関があり、ターゲット39とスパッタア
ノード用キャン35間が狭くなる程、成膜レートは増大
する。実用的な生産性を得るには、ターゲット39とス
パッタアノード用キャン35間の距離dは、少なくとも
200mm以下にする必要がある。
【0056】しかし、ターゲット39とスパッタアノー
ド用キャン35間の距離dが15mm未満になるとスパ
ッタに際して異常放電が生じるようになり、スパッタ膜
の膜質が悪影響を受けるようになる。また、スパッタア
ノード用キャン35とスパッタカソード部38の間にキ
ャンマスク47を設ける場合には、この距離を最低でも
6mmは確保する必要がある。
ド用キャン35間の距離dが15mm未満になるとスパ
ッタに際して異常放電が生じるようになり、スパッタ膜
の膜質が悪影響を受けるようになる。また、スパッタア
ノード用キャン35とスパッタカソード部38の間にキ
ャンマスク47を設ける場合には、この距離を最低でも
6mmは確保する必要がある。
【0057】以上のような点から、ターゲット39とス
パッタアノード用キャン35間の距離dは、15〜20
0mmとすることが望ましい。
パッタアノード用キャン35間の距離dは、15〜20
0mmとすることが望ましい。
【0058】なお、上述のスパッタアノード用キャン3
5とスパッタカソード部38の間に設けるキャンマスク
47は、金属磁性薄膜上のスパッタ粒子が堆積する領域
を非磁性支持体32の走行方向と幅方向で制限するため
に付加的に設けられるものであり、このスパッタ粒子の
堆積領域に相当する面積の開口部を有する板体である。
このキャンマスク47によって金属磁性薄膜の不必要な
部分にスパッタ粒子が被着するのが防止されるととも
に、非磁性支持体32の幅方向を越えて飛翔したスパッ
タ粒子が円筒キャンに付着し汚染するのが防止される。
5とスパッタカソード部38の間に設けるキャンマスク
47は、金属磁性薄膜上のスパッタ粒子が堆積する領域
を非磁性支持体32の走行方向と幅方向で制限するため
に付加的に設けられるものであり、このスパッタ粒子の
堆積領域に相当する面積の開口部を有する板体である。
このキャンマスク47によって金属磁性薄膜の不必要な
部分にスパッタ粒子が被着するのが防止されるととも
に、非磁性支持体32の幅方向を越えて飛翔したスパッ
タ粒子が円筒キャンに付着し汚染するのが防止される。
【0059】また、以上のスパッタリング装置では、ス
パッタアノード用キャン35を冷却するようにしている
が、保護膜と金属磁性薄膜の接着強度を上げるために、
スパッタアノード用キャン35を適宜加熱するようにし
ても良い。さらに、このスパッタアノード用キャン35
は、非磁性支持体との接触性を良くするために表面にブ
ラスト処理が施されていたり、密着性の高い材質の金属
等がメッキされていてもよい。
パッタアノード用キャン35を冷却するようにしている
が、保護膜と金属磁性薄膜の接着強度を上げるために、
スパッタアノード用キャン35を適宜加熱するようにし
ても良い。さらに、このスパッタアノード用キャン35
は、非磁性支持体との接触性を良くするために表面にブ
ラスト処理が施されていたり、密着性の高い材質の金属
等がメッキされていてもよい。
【0060】また、上記スパッタリング装置は、スパッ
タカソード部38が1個のみ設置されたものであるが、
スパッタカソード部を複数連接し、生産性の向上を図る
ようにしても良い。なお、この場合にも、各スパッタカ
ソード部はスパッタアノード用キャン35に対して非磁
性支持体の走行方向にずらして配置する。
タカソード部38が1個のみ設置されたものであるが、
スパッタカソード部を複数連接し、生産性の向上を図る
ようにしても良い。なお、この場合にも、各スパッタカ
ソード部はスパッタアノード用キャン35に対して非磁
性支持体の走行方向にずらして配置する。
【0061】以上のように磁気記録媒体は、金属磁性薄
膜,保護膜を形成することで作製されるが、さらに走行
耐久性の改善を目的として保護膜上に潤滑剤や防錆剤を
塗布してトップコート層を形成したり、非磁性支持体の
金属磁性薄膜が形成された側とは反対側の面にバックコ
ート層を形成するようにしても良い。この場合、バック
コート層に含まれる非磁性顔料,樹脂結合剤、トップコ
ート層に用いる潤滑剤,防錆剤としては従来公知のもの
がいずれも使用できる。
膜,保護膜を形成することで作製されるが、さらに走行
耐久性の改善を目的として保護膜上に潤滑剤や防錆剤を
塗布してトップコート層を形成したり、非磁性支持体の
金属磁性薄膜が形成された側とは反対側の面にバックコ
ート層を形成するようにしても良い。この場合、バック
コート層に含まれる非磁性顔料,樹脂結合剤、トップコ
ート層に用いる潤滑剤,防錆剤としては従来公知のもの
がいずれも使用できる。
【0062】次に、実際に上記工程に準じて磁気テープ
を作製し、シャトル走行時の脱落粉,瞬時クロッグの発
生状況及びスチル耐久性,耐錆性を評価した。
を作製し、シャトル走行時の脱落粉,瞬時クロッグの発
生状況及びスチル耐久性,耐錆性を評価した。
【0063】実施例1 まず、非磁性支持体として厚さ10μm,幅150mm
のポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、この
表面に、アクリルエステルを主成分とする水溶性ラテッ
クスの粒子溶液を塗布することで表面突起を形成した。
なお、表面突起の形成密度は1000万個/mm2 であ
る。
のポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、この
表面に、アクリルエステルを主成分とする水溶性ラテッ
クスの粒子溶液を塗布することで表面突起を形成した。
なお、表面突起の形成密度は1000万個/mm2 であ
る。
【0064】そして、この表面突起が形成された非磁性
支持体上に、上記真空蒸着装置を用いて厚さ0.2μm
のCo−Ni斜方蒸着膜を単層で成膜し、磁性層を形成
した。なお、蒸着条件は以下の通りである。
支持体上に、上記真空蒸着装置を用いて厚さ0.2μm
のCo−Ni斜方蒸着膜を単層で成膜し、磁性層を形成
した。なお、蒸着条件は以下の通りである。
【0065】蒸着条件 インゴット:Co80−Ni20(但し、数字はそれぞ
れの元素の組成比を重量%で示すものである) 入射角:45〜90° 非磁性支持体の走行速度:0.17m/秒 磁性層の厚さ:0.2μm 酸素導入量:3.3×10-5m3 /秒 蒸着時真空度:7×10-2Pa
れの元素の組成比を重量%で示すものである) 入射角:45〜90° 非磁性支持体の走行速度:0.17m/秒 磁性層の厚さ:0.2μm 酸素導入量:3.3×10-5m3 /秒 蒸着時真空度:7×10-2Pa
【0066】次に、このようにして形成されたCo−N
i斜方蒸着膜上に、上記スパッタリング装置を用いてD
Cマグネトロンスパッタ方式で厚さ0.015μmのカ
ーボンスパッタ膜を成膜し、保護膜を形成した。なお、
スパッタリング装置において、ターゲット39は、非磁
性支持体の走行方向での長さWが200mmである。こ
のターゲット39を、スパッタアノード用キャン35と
の距離dが100mm,その中央線l1 とスパッタアノ
ード用キャンの中心cとのずれ量Aが0.01・Wとな
るような位置に配置した。それ以外のスパッタ条件は以
下の通りである。
i斜方蒸着膜上に、上記スパッタリング装置を用いてD
Cマグネトロンスパッタ方式で厚さ0.015μmのカ
ーボンスパッタ膜を成膜し、保護膜を形成した。なお、
スパッタリング装置において、ターゲット39は、非磁
性支持体の走行方向での長さWが200mmである。こ
のターゲット39を、スパッタアノード用キャン35と
の距離dが100mm,その中央線l1 とスパッタアノ
ード用キャンの中心cとのずれ量Aが0.01・Wとな
るような位置に配置した。それ以外のスパッタ条件は以
下の通りである。
【0067】スパッタ条件 方式:DCマグネトロンスパッタ ターゲット材:カーボン カソード数量:1 スパッタガス:アルゴン バックグランド真空度:4×10-3Pa 成膜時真空度:2Pa 非磁性支持体の走行速度:0.06m/秒 保護膜膜厚:0.015μm
【0068】以上のようにして保護膜を形成した後、非
磁性支持体の金属磁性薄膜が形成された側とは反対側の
面にカーボン粉末がウレタンバインダー中に分散されて
なる非磁性塗料を塗布することで厚さ0.6μmのバッ
クコート層を形成し、さらに保護膜上にパーフルオロポ
リエーテルを塗布することでトップコート層を形成し、
テープ原反とした。そして、このテープ原反を8mm幅
にスリットすることで磁気テープ(サンプルテープ1)
を作製した。
磁性支持体の金属磁性薄膜が形成された側とは反対側の
面にカーボン粉末がウレタンバインダー中に分散されて
なる非磁性塗料を塗布することで厚さ0.6μmのバッ
クコート層を形成し、さらに保護膜上にパーフルオロポ
リエーテルを塗布することでトップコート層を形成し、
テープ原反とした。そして、このテープ原反を8mm幅
にスリットすることで磁気テープ(サンプルテープ1)
を作製した。
【0069】実施例2〜実施例9 保護膜を上記スパッタリング装置で形成するに際して、
ターゲット39の中央線l1 とスパッタアノード用キャ
ン35の中心cとのずれ量Aを表1に示すように変えて
ターゲットを配置したこと以外は実施例1と同様にして
磁気テープ(サンプルテープ2〜サンプルテープ9)を
作製した。
ターゲット39の中央線l1 とスパッタアノード用キャ
ン35の中心cとのずれ量Aを表1に示すように変えて
ターゲットを配置したこと以外は実施例1と同様にして
磁気テープ(サンプルテープ2〜サンプルテープ9)を
作製した。
【0070】比較例1 保護膜を形成しないこと以外は実施例1と同様にして磁
気テープ(比較テープ1)を作製した。
気テープ(比較テープ1)を作製した。
【0071】比較例2 保護膜を上記スパッタリング装置で形成するに際して、
ターゲット39の中央線l1 とスパッタアノード用キャ
ン35の中心cとが重なるような位置,すなわちスパッ
タアノード用キャン35の真下にターゲット39を配置
したこと以外は実施例1と同様にして磁気テープ(比較
テープ2)を作製した。
ターゲット39の中央線l1 とスパッタアノード用キャ
ン35の中心cとが重なるような位置,すなわちスパッ
タアノード用キャン35の真下にターゲット39を配置
したこと以外は実施例1と同様にして磁気テープ(比較
テープ2)を作製した。
【0072】以上のようにしてサンプルテープ1〜サン
プルテープ9及び比較テープ1,比較テープ2につい
て、シャトル試験を行って粉落ち,瞬時クロッグの発生
状況を調査するとともにスチル時間を調べ、走行耐久性
を評価した。また、腐食試験を行い、耐錆性を評価し
た。その結果をスパッタアノード用キャンに対するター
ゲットのずれ量Aとともに表1に示す。
プルテープ9及び比較テープ1,比較テープ2につい
て、シャトル試験を行って粉落ち,瞬時クロッグの発生
状況を調査するとともにスチル時間を調べ、走行耐久性
を評価した。また、腐食試験を行い、耐錆性を評価し
た。その結果をスパッタアノード用キャンに対するター
ゲットのずれ量Aとともに表1に示す。
【0073】なお、スチル時間は、ソニー社製,商品名
EV−S900を走行耐久性評価用に改造した改造機を
用いて測定したものであり、スチル走行させたときに出
力が初期レベルから3dB減衰するまでの時間である。
EV−S900を走行耐久性評価用に改造した改造機を
用いて測定したものであり、スチル走行させたときに出
力が初期レベルから3dB減衰するまでの時間である。
【0074】シャトル試験は、上記改造機を用いて以下
のように行った。すなわち、2時間長に相当する部分を
100回シャトル走行させ、そのうちシャトル走行90
〜100回での出力レベルをペンレコーダで記録した。
そして、このシャトル走行10回分の出力チャートか
ら、6dB以上の出力減衰が1秒以上続いている部分を
抜粋し、瞬時クロッグ1回としてカウントした。つま
り、20時間(2時間/シャトル走行×シャトル走行1
0回)に発生する瞬時クロッグ数を測定した。
のように行った。すなわち、2時間長に相当する部分を
100回シャトル走行させ、そのうちシャトル走行90
〜100回での出力レベルをペンレコーダで記録した。
そして、このシャトル走行10回分の出力チャートか
ら、6dB以上の出力減衰が1秒以上続いている部分を
抜粋し、瞬時クロッグ1回としてカウントした。つま
り、20時間(2時間/シャトル走行×シャトル走行1
0回)に発生する瞬時クロッグ数を測定した。
【0075】さらに、磁気テープを100回シャトル走
行させたヘッドの状態を顕微鏡により観察し、ヘッドへ
の異物の付着状況を評価した。表中、○は全く付着物が
確認されない場合、△は若干の付着物が確認され、条件
によっては瞬時クロッグが発生すると予想される場合、
×は大量の付着物が観察され、瞬時クロッグ,さらには
完全クロッグが発生する可能性があると予想される場合
をそれぞれ示す。
行させたヘッドの状態を顕微鏡により観察し、ヘッドへ
の異物の付着状況を評価した。表中、○は全く付着物が
確認されない場合、△は若干の付着物が確認され、条件
によっては瞬時クロッグが発生すると予想される場合、
×は大量の付着物が観察され、瞬時クロッグ,さらには
完全クロッグが発生する可能性があると予想される場合
をそれぞれ示す。
【0076】また、腐食試験は、温度30℃,相対湿度
90%に調整された0.3ppmのSO2 ガスを含有す
る腐食雰囲気下に、磁気テープを24時間保存したとき
の磁気特性の劣化量を求めることで行った。なお、保存
による磁気特性の劣化量は以下の式で算出した。
90%に調整された0.3ppmのSO2 ガスを含有す
る腐食雰囲気下に、磁気テープを24時間保存したとき
の磁気特性の劣化量を求めることで行った。なお、保存
による磁気特性の劣化量は以下の式で算出した。
【0077】 Δφs=(φs−φs’)/φs×100 (%) Δφs:保存による磁気特性の劣化量 φs:腐食雰囲気下保存前の磁気特性 φs’:腐食雰囲気下保存後の磁気特性
【0078】
【表1】
【0079】まず、表1において、保護膜を形成したサ
ンプルテープ1〜サンプルテープ9及び比較テープ2
と、保護膜を形成していない比較テープ1を比較する
と、比較テープ1は他の磁気テープに比べてスチル時間
が格段に短く、耐錆性も劣っている。このことから、金
属磁性薄膜型の磁気記録媒体では、耐久性,耐錆性を確
保する上で保護膜の形成は必須であることがわかる。
ンプルテープ1〜サンプルテープ9及び比較テープ2
と、保護膜を形成していない比較テープ1を比較する
と、比較テープ1は他の磁気テープに比べてスチル時間
が格段に短く、耐錆性も劣っている。このことから、金
属磁性薄膜型の磁気記録媒体では、耐久性,耐錆性を確
保する上で保護膜の形成は必須であることがわかる。
【0080】しかし、保護膜を形成しても、その形成に
際してターゲットをスパッタアノード用キャンの真下に
配置した比較テープ2は、シャトル走行に際して保護膜
から目立って粉が落ち磁気ヘッドに付着する。これによ
って瞬時クロッグが多発する。
際してターゲットをスパッタアノード用キャンの真下に
配置した比較テープ2は、シャトル走行に際して保護膜
から目立って粉が落ち磁気ヘッドに付着する。これによ
って瞬時クロッグが多発する。
【0081】一方、保護膜の形成に際してターゲットを
スパッタアノード用キャンに対してずらしたサンプルテ
ープ1〜サンプルテープ9は、比較テープ2に比べて磁
気ヘッドへの異物の付着,瞬時クロッグが軽減されてい
る。
スパッタアノード用キャンに対してずらしたサンプルテ
ープ1〜サンプルテープ9は、比較テープ2に比べて磁
気ヘッドへの異物の付着,瞬時クロッグが軽減されてい
る。
【0082】しかし、ターゲットをスパッタアノード用
キャンに対してずらして配置した場合のうち、ターゲッ
トの中央線とスパッタアノード用キャンの中心とのずれ
量Aが0.55・W,0.80・Wと大きいサンプルテ
ープ8,サンプルテープ9ではシャトル走行に際する粉
落ち,瞬時クロッグが比較テープ2に比べれば少ないも
ののやはり問題になる。また、例えばサンプルテープ8
の場合、保護膜の成膜レートが0.025m/sと従来
の半分以下であり、ターゲットのずれ量が0.40・W
のサンプルテープ7の成膜レートが0.037m/sで
あるのに比べても小さい。
キャンに対してずらして配置した場合のうち、ターゲッ
トの中央線とスパッタアノード用キャンの中心とのずれ
量Aが0.55・W,0.80・Wと大きいサンプルテ
ープ8,サンプルテープ9ではシャトル走行に際する粉
落ち,瞬時クロッグが比較テープ2に比べれば少ないも
ののやはり問題になる。また、例えばサンプルテープ8
の場合、保護膜の成膜レートが0.025m/sと従来
の半分以下であり、ターゲットのずれ量が0.40・W
のサンプルテープ7の成膜レートが0.037m/sで
あるのに比べても小さい。
【0083】また、ターゲットの中央線とスパッタアノ
ード用キャンの中心とのずれ量Aが0.01・W,0.
02・Wと小さいサンプルテープ1,サンプルテープ2
でもシャトル走行に際する粉落ち,瞬時クロッグがやは
り問題になる。
ード用キャンの中心とのずれ量Aが0.01・W,0.
02・Wと小さいサンプルテープ1,サンプルテープ2
でもシャトル走行に際する粉落ち,瞬時クロッグがやは
り問題になる。
【0084】このことから、保護膜をスパッタリングで
形成するに際しては、ターゲットをスパッタアノード用
キャンに対してずらすと良く、特に、ターゲットの中央
線とスパッタアノード用キャンのロール中心とのずれ量
が0.03・W〜0.5・Wとなるようにすると、シャ
トル走行の繰り返しに十分に耐える保護膜が比較的大き
な成膜レートで形成され、耐久性,耐錆性に優れた磁気
テープが得られるようになることがわかった。
形成するに際しては、ターゲットをスパッタアノード用
キャンに対してずらすと良く、特に、ターゲットの中央
線とスパッタアノード用キャンのロール中心とのずれ量
が0.03・W〜0.5・Wとなるようにすると、シャ
トル走行の繰り返しに十分に耐える保護膜が比較的大き
な成膜レートで形成され、耐久性,耐錆性に優れた磁気
テープが得られるようになることがわかった。
【0085】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の磁気記録媒体の製造方法では、金属磁性薄膜が形成
された非磁性支持体を、円筒状のアノードに沿わせなが
ら走行させ、この磁性層表面に、前記アノードと対向配
置されたカソード上のターゲットからのスパッタ粒子を
堆積させることで保護膜を形成するに際し、上記アノー
ドに対して、上記ターゲットを、非磁性支持体の走行方
向にずらすので、膜質が良好であり、磁気ヘッドに繰り
返し摺動されても脱落粉の発生することのない保護膜が
形成できる。したがって、本発明によれば、耐久性,耐
錆性に優れ、安定な記録再生をなし得る磁気記録媒体を
得ることが可能である。
明の磁気記録媒体の製造方法では、金属磁性薄膜が形成
された非磁性支持体を、円筒状のアノードに沿わせなが
ら走行させ、この磁性層表面に、前記アノードと対向配
置されたカソード上のターゲットからのスパッタ粒子を
堆積させることで保護膜を形成するに際し、上記アノー
ドに対して、上記ターゲットを、非磁性支持体の走行方
向にずらすので、膜質が良好であり、磁気ヘッドに繰り
返し摺動されても脱落粉の発生することのない保護膜が
形成できる。したがって、本発明によれば、耐久性,耐
錆性に優れ、安定な記録再生をなし得る磁気記録媒体を
得ることが可能である。
【図1】金属磁性薄膜を成膜するための真空蒸着装置の
構成を示す模式図である。
構成を示す模式図である。
【図2】本発明の製造方法で保護膜を成膜するためのス
パッタリング装置の一構成例を示す模式図である。
パッタリング装置の一構成例を示す模式図である。
【図3】スパッタアノード用キャンとターゲットの距離
と、成膜レートの関係を示す特性図である。
と、成膜レートの関係を示す特性図である。
【図4】従来の保護膜を成膜するためのスパッタリング
装置の構成を示す模式図である。
装置の構成を示す模式図である。
32 非磁性支持体 35 スパッタアノード用キャン 38 スパッタカソード部 39 ターゲット
Claims (2)
- 【請求項1】 金属磁性薄膜が形成された非磁性支持体
を、円筒状のアノードに沿わせて走行させ、この非磁性
支持体上の金属磁性薄膜表面に、前記アノードと対向配
置されたカソード上のターゲットからのスパッタ粒子を
堆積させることで保護膜を形成するに際し、 上記ターゲットを、上記アノードに対して非磁性支持体
の走行方向にずらして配置することを特徴とする磁気記
録媒体の製造方法。 - 【請求項2】 ターゲットの非磁性支持体の走行方向で
の中央線がアノードの中心に対してずれているズレ量を
A、当該ターゲットの非磁性支持体の走行方向での長さ
をWとしたときに、A,Wが、0.03・W≦A≦0.
5・Wなる条件を満たすことを特徴とする請求項1記載
の磁気記録媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13702094A JPH087269A (ja) | 1994-06-20 | 1994-06-20 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13702094A JPH087269A (ja) | 1994-06-20 | 1994-06-20 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH087269A true JPH087269A (ja) | 1996-01-12 |
Family
ID=15188963
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13702094A Withdrawn JPH087269A (ja) | 1994-06-20 | 1994-06-20 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH087269A (ja) |
-
1994
- 1994-06-20 JP JP13702094A patent/JPH087269A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20010904 |