JP2002100027A - 金属薄膜型磁気記録媒体 - Google Patents

金属薄膜型磁気記録媒体

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JP2002100027A
JP2002100027A JP2000292587A JP2000292587A JP2002100027A JP 2002100027 A JP2002100027 A JP 2002100027A JP 2000292587 A JP2000292587 A JP 2000292587A JP 2000292587 A JP2000292587 A JP 2000292587A JP 2002100027 A JP2002100027 A JP 2002100027A
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reinforcing layer
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JP2000292587A
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Hitoshi Wakao
仁志 若生
Seiichi Onodera
誠一 小野寺
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属薄膜型磁気記録媒体の機械的強度を向上
させ、強化層の剥離を回避し、ドロップアウトの低減化
を図る。 【解決手段】 非磁性支持体1の一主面に100〔n
m〕以下の厚さの磁性層2を有し、磁性層形成面側とは
反対側の主面に、50〜500〔nm〕の厚さの強化層
3を有し、強化層3は、厚さ方向において、構成元素が
連続的に変化するようにし、金属により成る第1の領域
3a、中間領域である第2の領域3b、カーボン等より
なる第3の領域3cの各領域により構成されて成るもの
とする。第2の領域3bは、第1の領域3aに近接する
に従い金属の割合が連続的に上昇し、第3の領域3c側
ほどカーボン等の割合が連続的に上昇するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属薄膜型磁気記
録媒体に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来より、オーディオテープ、ビデオテ
ープ等の磁気記録テープとしては、非磁性支持体上に、
酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の磁性粉末を、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、
ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の各種結合剤中に分
散させて作製した磁性塗料を塗布し、乾燥させることに
より得られる、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が広く知
られている。
【0003】これに対し、近年の高密度記録化への要求
の高まりと共に、Co−Ni系合金、Co−Cr系合
金、Co−O等の金属磁性材料を、メッキや真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真
空薄膜形成技術によって、直接非磁性支持体上に、ある
いは極めて薄層の接着層を介して磁性層を形成する、い
わゆる金属薄膜型磁気記録媒体が提案されている。
【0004】このような金属薄膜型磁気記録媒体は、保
磁力や角形比に優れ、また、磁性層を極めて薄層に形成
できることから、短波長領域での電磁変換特性に優れ、
また、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さく、更
には塗布型の磁気記録媒体と異なり、磁性層中に非磁性
材料であるバインダーが混入されないので、強磁性金属
粒子の充填密度を高めることができる等、種々の利点を
有している。
【0005】また、電磁変換特性を向上させ、より大き
な出力を得ることができるようにするために、磁性層を
斜めに蒸着するいわゆる斜方蒸着によって形成する方法
が提案され、実用化されている。
【0006】上述したような、いわゆる金属薄膜型磁気
記録媒体においては、耐久性や走行性等を向上させるた
めに、磁性層上に保護層を形成したり、磁性層形成面と
は反対側の主面に、バック層を形成したりすることが通
常行われている。
【0007】また、金属薄膜型磁気記録媒体において
は、高密度記録化に対応してスペーシングロスの低減化
を図るために、表面が一層平滑化される方向にある。し
かし、磁性層の表面が平滑になると、磁気ヘッドに対す
る接触面積が大きくなるため、摩擦力が増大し、磁性層
に生じるせん断応力が大きくなる。このような厳しい摺
動条件から磁性層を保護するために、磁性層上には、保
護層を形成することが重要である。
【0008】また、バック層は、非磁性支持体表面の電
気抵抗を下げ、帯電による走行不良を防止したり、非磁
性支持体の耐久性を向上させ、走行中のヘッドとの摩擦
による傷の発生から保護したり、磁気テープ間の摩擦か
ら保護したりする機能を有するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、磁気記録媒
体の記録再生装置の一層の小型軽量化の要請が高まる
中、磁気テープを収納するカセットの小型化が進められ
ており、これにより磁気テープ自体を薄型に形成するこ
とが必要になってきている。
【0010】一般的に磁気テープを薄型にする場合、例
えばプラスチックフィルムよりなる非磁性支持体の厚さ
を薄くするが、磁気テープの機械的な強度が低下するた
め、非磁性支持体の材質を工夫して機械的な強度を保持
するようにしており、コスト高を招来していた。
【0011】また、磁気テープは薄型化すると、磁気テ
ープの剛性が低下するため、高速で走行する磁気テープ
と磁気ヘッドとの接触が充分に得られず、記録再生特性
が低下してしまうため、薄型磁気テープの実用化は困難
とされてきた。
【0012】一方、非磁性支持体自体の機械的な強度を
向上させるためには、従来、磁気テープの非磁性支持体
として用いられているポリエチレンテレフタレート(P
ET)や、ポリエチレンナフタレート(PEN)に代え
て、ポリアミドフィルム等の高強度材料を用いることと
していた。このポリアミドフィルムを用いることによ
り、非磁性支持体の厚さを3〜5〔μm〕程度に薄層化
することが可能となった。
【0013】しかしながら、ポリアミドフィルムは、従
来用いられていたポリエチレンテレフタレート(PE
T)や、ポリエチレンナフタレート(PEN)に比べて
高価であり、磁気テープの非磁性支持体材料として大量
に生産販売することに適していない。
【0014】また、磁気テープの機械的強度を向上させ
るために、磁性層形成面とは反対側の主面に、真空薄膜
形成技術により成膜した金属薄膜による強化層を形成
し、かつこの強化層上に、スパッタリングやCVD法に
よってカーボン保護膜を形成する方法が提案されている
が、この場合には、金属薄膜による強化層と、カーボン
保護膜との界面において、結合が充分でないために、こ
の部分で剥離が生じやすく、このため走行性が悪化して
脱落を生じ、脱落物がドロップアウトの原因となってい
た。
【0015】本発明者等はかかる点に鑑みて、磁性層の
薄層化、非磁性支持体の薄層化を達成して単位体積当た
りの記録密度の向上を図り、磁気テープの機械的な強度
の向上を低コストで実現し、かつ、走行安定性、走行耐
久性に優れた金属薄膜型磁気記録媒体を提供することし
た。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の金属薄膜型磁気
記録媒体は、非磁性支持体の一主面に、真空薄膜形成技
術により形成した100〔nm〕以下の厚さの磁性層を
有する金属薄膜型磁気記録媒体であるものとし、磁性層
形成面側とは反対側の主面に、50〜500〔nm〕の
厚さの強化層が形成されて成る構成を有する。強化層
は、厚さ方向において、構成元素が連続的に変化するよ
うになされ、この強化層は、非磁性支持体側の近傍領域
である第1の領域、中間領域である第2の領域、最外側
領域である第3の領域が順次形成された構成を有するも
のとする。第1の領域は、金属により構成され、第3の
領域は、カーボン、CrO2 、Al2 3 、BN、Co
酸化物、MgO、SiO2 、Si3 4 、ZrO2 、T
iO2 、TiC、SiCのうちのいずれかにより構成さ
れ、第2の領域は、第1の領域に近接するに従い金属の
含有率が連続的に上昇し、第3の領域に近接するほど、
第3の領域を形成する物質の含有率が連続的に上昇する
ようになされているものとする。
【0017】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体によれ
ば、高感度のMRヘッドに好適であり、磁性層の薄層化
と非磁性支持体の薄層化を達成して、単位体積当たりの
記録密度の向上が図られる。
【0018】また、磁性層とは反対側の主面に強化層を
形成したことによって、磁気記録媒体を構成する非磁性
支持体を従来の安価な材料を使用しつつ、薄型とした場
合においても、高価な原料による非磁性支持体を用いる
ことなく、機械的な強度を保持することができ、金属薄
膜型磁気記録媒体の作製コストの低減化が図られる。
【0019】非磁性支持体に充分な剛性を付与すること
ができ、走行安定性、磁気ヘッドとの接触性の向上が図
られ、磁気テープ形状を良好にすることができる。
【0020】また、強化層を厚さ方向において連続的に
元素が変化する構成としたことによって、界面付近で剥
離が生じることを回避でき、走行安定性の向上を図るこ
とができる。
【0021】また、強化層を、単一の真空槽内で形成す
ることができるため、成膜プロセスを簡易かつ短時間で
でき、作製コストの低減化が図られる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体
は、非磁性支持体の一主面に、真空薄膜形成技術により
形成した100〔nm〕以下の厚さの磁性層を有する金
属薄膜型磁気記録媒体であるものとし、磁性層形成面側
とは反対側の主面に、50〔nm〕以上500〔nm〕
の厚さの強化層が形成されて成る構成を有する。強化層
は、厚さ方向において、構成元素が連続的に変化するよ
うになされ、この強化層は、非磁性支持体側の近傍領域
である第1の領域、中間領域である第2の領域、最外側
領域である第3の領域の各領域により構成されて成るも
のとする。第1の領域は、例えばAl等の金属により構
成され、第3の領域は、例えばカーボンにより構成さ
れ、第2の領域は、第1の領域に近接するに従い、例え
ばAlの割合が連続的に上昇し、第3の領域側ほど例え
ばカーボンの割合が連続的に上昇するようになされてい
るものとする。
【0023】以下、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体の
一例について説明するが、本発明は、以下に示す例に限
定されるものではない。
【0024】図1に本発明の金属薄膜型磁気記録媒体の
概略断面図を示す。金属薄膜型磁気記録媒体100は、
非磁性支持体1上に、強磁性金属あるいはその合金を用
いて真空薄膜形成技術により形成した100〔nm〕以
下の薄層の磁性層2を有し、磁性層2が形成されている
面とは反対側の面に、50〜500〔nm〕の厚さの強
化層3が形成されて成る構成を有する。
【0025】以下、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体1
00を構成する各層について、詳細に説明する。
【0026】非磁性支持体1には、通常、磁気テープの
基体として用いられている公知の材料をいずれも適用で
きる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリテト
ラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキ
シレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6
−ナフタリンジカルボキシレート、ポリエチレン−p−
オキシベンゾエート等を挙げることができる。特に、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナ
フタレート(PEN)が、材料の入手し易さや加工性の
良好さの点から好適である。また、これらのポリエステ
ルは、ホモポリエステルであっても、コポリエステルで
あってもよい。
【0027】非磁性支持体1は、従来の磁気テープで
は、通常4〜15〔μm〕の厚さとして機械的な強度を
保持し、走行安定性を確保しているが、非磁性支持体自
体の強度を向上させる以外の方法によって、磁気記録媒
体の走行時における機械的な強度が得られれば、非磁性
支持体1をさらに薄型にすることもできる。この観点か
ら本発明の金属薄膜型磁気記録媒体100においては、
非磁性支持体1は5〔μm〕以下、例えば、2〜5〔μ
m〕とすることができる。
【0028】非磁性支持体1の曲げ剛性は、非磁性支持
体のヤング率、厚さにより算出することができる。更に
非磁性支持体の両主面に各種材料による層を形成する場
合には、非磁性支持体1の曲げ剛性と、形成する層の厚
さと、ヤング率と、非磁性支持体1の厚さとから得られ
るパラメータを加味して算出することができる。このと
き、最も外側に剛性の高い層を形成すること、更には非
磁性支持体1の両主面の最も外側に剛性の高い層を形成
することにより、高い曲げ剛性を得ることができる。
【0029】曲げ応力が非磁性支持体1に加わると、非
磁性支持体1の一主面側は縮み、他の主面側は伸びるこ
とになるため、非磁性支持体1の伸び縮みを阻止するこ
とが、曲げ剛性を向上させることになる。よって、曲げ
剛性を向上させるためには、非磁性支持体1の両主面に
剛性を付与するための層を形成することが有効である。
【0030】厚さが2〜5〔μm〕程度のポリエステル
系フィルムを非磁性支持体1として用いる場合でも、剛
性の高い強化層3を形成し、さらには、厚さを制御して
ヤング率を調節することにより、ポリアミドフィルムに
匹敵する曲げ剛性を有する非磁性支持体とすることがで
きる。
【0031】一方において、ポリエチレンテレフタレー
ト等のポリエステル系フィルムを、5〔μm〕を越える
厚さとすると、強化層3による曲げ剛性を向上させる効
果は少なくなる。これは、一般に、厚さの3乗に比例す
ることから、ポリエステル系フィルムすなわち非磁性支
持体1が厚くなると、非磁性支持体1自体の剛性そのも
のが向上し、強化層3による剛性の向上率が相対的に減
少してしまうためである。
【0032】また、2〔μm〕未満の厚さのポリエステ
ル系フィルムは、基本的に、フィルム自体の曲げ剛性が
低すぎるため、強化層3による剛性の向上が加味されて
いても、金属薄膜型磁気記録媒体を構成する非磁性支持
体としての実用的に充分な剛性が得られない。上述した
ことから、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体を構成する
非磁性支持体1の厚さは、2〜5〔μm〕であることが
好適である。
【0033】非磁性支持体1の磁性層形成面には、バイ
ンダー樹脂、フィラーおよび界面活性剤を含有する塗料
によりコーティング層(図示せず)を形成し、これによ
り、表面に微細な凹凸を付けたり、機械的な強度を高め
たりすることができる。また、この微細な凹凸によっ
て、最終的に磁気テープの表面の粗度(Ra)を制御す
ることができる。
【0034】バインダー樹脂には、例えば水性ポリエス
テル樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂等
が挙げられる。フィラーの種類としては、耐熱性ポリマ
ーからなる粒子、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム等が挙
げられる。
【0035】また、非磁性支持体1上の磁性層形成面1
aとは反対側の主面の強化層3形成面3aにもバインダ
ー樹脂、フィラーおよび界面活性剤を含有する塗料によ
りコーティング層(図示せず)を形成し、これにより、
表面に微細な凹凸を形成することができる。
【0036】磁性層2は、非磁性支持体1上に強磁性金
属材料を直接被着することによって形成することができ
るが、この強磁性金属材料としては、従来公知の金属、
合金をいずれも使用することができる。例えば、Fe,
Co,Ni等の強磁性金属、CoNi,FeCo,Fe
CoNi,FeCu,CoCu,CbAu,CoPt,
MnBi,MnAl,FeCr,CoCr,NiCr,
FeCoCr,CoNiCr,FeCoNiCr等の強
磁性合金が挙げられる。磁性層2は、上記強磁性金属材
料の単層膜であっても多層膜であってもよい。
【0037】さらには、非磁性支持体1と磁性層2との
間や、多層膜とした場合の金属磁性薄膜間には、各層間
の付着力の向上や保磁力の制御等のため、中間層を形成
してもよい。また、磁性層2の表面近傍は、耐蝕性等を
向上させるために酸化物となっていてもよい。
【0038】磁性層2は、真空下で強磁性材料を加熱蒸
発させ、非磁性支持体1上に付着させる真空蒸着法や、
強磁性金属材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティ
ング法や、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放
電を起こして生じたアルゴンイオンでターゲット表面の
原子をたたき出すスパッタ法等、いわゆるPVD技術に
よって形成することができる。
【0039】図2に、金属薄膜型磁気記録媒体100の
磁性層2を成膜する蒸着装置10の一例の概略図を示
す。この蒸着装置10においては、排気口21、22か
ら排気されて真空状態となされた真空室11内に、送り
ロール13と巻き取りロール14とが設けられており、
これらの間に非磁性支持体1が順次走行するようになさ
れている。
【0040】これら送りロール13と巻き取りロール1
4との間に、上記非磁性支持体1が走行する途中には、
冷却キャン15が設けられている。この冷却キャン15
には、冷却装置(図示せず)が設けられ、非磁性支持体
1の温度上昇による熱変形等を抑制している。
【0041】非磁性支持体1は、送りロール13から順
次送り出され、さらに冷却キャン15周面を通過して巻
き取りロール14に巻き取られていくようになされてい
る。なお、ガイドロール16および17により非磁性支
持体1には、所定のテンションがかけられ、円滑に走行
するようになされている。
【0042】真空室11内には、冷却キャン15の下方
にルツボ18が設けられており、ルツボ内には、金属磁
性材料19が充填されている。一方、真空室11の側壁
部には、ルツボ18内に充填された金属磁性材料19を
加熱蒸発させるための電子銃20が設けられている。こ
の電子銃20は、これより放出される電子線Bが、ルツ
ボ内18内の金属磁性材料19に照射されるような位置
に配置されている。そして、この電子線Bの照射によっ
て蒸発した金属磁性材料19が非磁性支持体1の表面に
被着して、磁性層2の形成がなされる。
【0043】また、冷却キャン15とルツボ18との間
であって、冷却キャン15の近傍には、シャッター23
が、冷却キャン15の周面を走行する非磁性支持体1の
所定領域を覆う形で配置されており、このシャッター2
3により、蒸発した金属磁性材料19が非磁性支持体1
に対して所定の入射角度範囲で斜めに蒸着するようにな
されている。
【0044】さらに、磁性層2の蒸着に際し、真空室1
1の側壁部を貫通して設けられている酸素ガス導入管2
4により、非磁性支持体1の表面に酸素ガスが供給され
るようになされ、磁性層2の磁気特性、耐久性、および
耐候性の向上が図られている。
【0045】磁性層2の面上には、通常、良好な耐蝕性
および走行耐久性を確保するために保護層4を形成す
る。保護層4を形成する材料としては、金属磁性薄膜用
の保護層として、一般に使用されている従来公知の材料
をいずれも適用することができる。例えばカーボン、C
rO2 、Al2 3 、BN、Co酸化物、MgO、Si
2 、Si3 4 、SiNX 、SiC、SiNX −Si
2 、ZrO2 、TiO2 、TiC、MoS等を挙げる
ことができる。これらの単層膜であってもよいし、多層
膜であってもよい。特に、カーボンを基材として保護層
4は、耐久性、耐蝕性および生産性に優れている。保護
層4は、公知の真空成膜技術により形成することがで
き、例えば、図3に示すプラズマCVD連続膜形成装置
300を用いて、CVD法によって形成することができ
る。
【0046】炭素化合物をプラズマ中で分解し、磁性層
2上に成膜するCVD法は、耐磨耗性、耐蝕性、表面被
覆率に優れ、平滑な表面形状と高い電気抵抗率をもつダ
イヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質カーボンを、
10nm以下の厚さに安定して成膜することができる。
炭素化合物としては、炭化水素系、ケトン系、アルコー
ル系等、従来公知の材料をいずれも使用することができ
る。また、プラズマ中で分解するために、高周波のバイ
アス電圧を用いる。また、プラズマ精製時には、炭素化
合物の分解を促進するためのガスとして、Ar,H2
が導入されていてもよい。
【0047】その他、ダイヤモンドライクカーボンの膜
硬度、耐蝕性の向上を図るため、カーボンが窒素、フッ
素と反応した状態であってもよく、ダイヤモンドライク
カーボン膜は単層であっても多層であってもよい。ま
た、プラズマ生成時に、炭素化合物の他、N2 、CHF
3 、CH2 2 等のガスを単独あるいは適宜混合した状
態で成膜することもできる。
【0048】保護層4は、厚く形成し過ぎると、スペー
シングによる損失が増加し、薄過ぎると、耐磨耗性およ
び耐蝕性が劣化してしまうので、4〜12〔nm〕程度
の厚さに形成することが望ましい。
【0049】図3に示すプラズマCVD連続膜形成装置
300は、排気系330から排気されて真空状態となさ
れた真空室331内に、送りロール333と、巻き取り
ロール334とが設けられ、これら送りロール333と
巻き取りロール334に、非磁性支持体上に磁性層が形
成された被処理体340が順次走行するようになされて
いる。これら送りロール333から巻き取りロール33
4に被処理体340が走行する途中には、円筒状の回転
可能な対向電極用キャン335が設けられている。
【0050】被処理体340は、送りロール333から
順次送り出され、対向電極用キャン335の周面を通過
し、巻き取りロール334に巻き取られていくようにな
されている。なお、送りロール333と対向電極用キャ
ン335との間、および対向電極335と巻き取りロー
ル334との間には、それぞれガイドロール336が配
置され、被処理体340に所定のテンションをかけ、被
処理体340が円滑に走行するようになされている。
【0051】また、対向電極用キャン335の下方に
は、例えばパイレックス(登録商標)ガラス、プラスチ
ック等よりなる反応管337が設けられている。この反
応管337は、端部が真空室331の底部を貫通してお
り、この端部の放電ガス導入口341から成膜用ガスが
反応管337内に導入されるようになされている。ま
た、反応管337内には、金属メッシュ等よりなる電極
338が組み込まれている。この電極338には、外部
に配設された直流電源339により所定の電位、例えば
500〜2000Vの電圧が印加されるようになされて
いる。
【0052】上述した構成のプラズマCVD連続膜形成
装置300においては、電極338に電圧が印加される
ことで、電極338と対向電極用キャン335との間に
グロー放電が生じる。そして、反応管337内に導入さ
れた成膜用ガスは、生じたグロー放電によって分解し、
被処理体340上に被着される。
【0053】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体100に
おいては、磁性層2形成面側とは反対側の主面に、厚さ
50〔nm〕以上500〔nm〕以下の強化層3を有す
る。
【0054】強化層3は、厚さ方向において、構成元素
が連続的に変化するようになされ、構成する元素中、非
磁性支持体側に近接するに従い、金属の割合が連続的に
上昇するようになされ、逆に非磁性支持体から離れるに
従い、金属の割合が連続的に減少する構成を有する。
【0055】図4に、強化層3の拡大概略図を示す。強
化層3は、非磁性支持体1側の近傍領域である第1の領
域3a、中間領域である第2の領域3b、最外側領域で
ある第3の領域3cの各領域により構成されて成るもの
とする。
【0056】非磁性支持体1側の近傍領域の第1の領域
3aは、20〔nm〕以上470〔nm〕未満の厚さで
あり、Al等の金属により構成され、構成比は金属10
0〔%〕である。
【0057】第1の領域3aを構成する物質としては、
Alの他、Mg,Si,Ti,V,Cr,Fe,Co,
Ni,Cu.Zn,Ge,Zr,Nb,Mo等の金属、
あるいはこれらの合金についても同様に適用することが
できる。
【0058】非磁性支持体1とは反対側の領域の第3の
領域3cは、10〜100〔nm〕の厚さであり、元素
構成は、例えばカーボン100〔%〕とする。
【0059】第3の領域3cを構成する物質としては、
カーボンの他、CrO2 、Al2 3 、BN、Co酸化
物、MgO、SiO2 、Si3 4 、ZrO2 、TiO
2 、TiC、SiCのいずれかも同様に適用でき、上記
第1の領域3aを構成する物質に応じて適宜選定して用
いることができる。
【0060】第1の領域3aと第3の領域3cとの間に
領域、すなわち第2の領域3bは、上記金属と、上記カ
ーボン等の物質とが共存する領域であり、厚さ方向にお
いて、構成元素が連続的に変化するようになされてい
る。この第2の領域3bは、厚さ20〔nm〕以上であ
るものとし、第1の領域3aに近接するに従い、上記金
属の割合が連続的に上昇し、第3の領域3cに近接する
に従いカーボン等の割合が連続的に上昇するようになっ
ている。
【0061】次に、強化層3を成膜する装置について図
を参照して説明する。強化層3は、図5にマグネトロン
スパッタ装置400を適用することができる。このマグ
ネトロンスパッタ装置400においては、真空ポンプ4
32によって真空状態となされたチャンバー431内
に、供給ロール439と、巻き取りロール440とが設
けられ、これら供給ロール439と巻き取りロール44
0に、非磁性支持体上に磁性層が形成された被処理体4
50が順次走行するようになされている。これら供給ロ
ール439から巻き取りロール440に被処理体450
が走行する途中には、円筒状の回転可能な対向電極用キ
ャン435が設けられている。
【0062】なお、供給ロール439と冷却キャン43
5との間、および冷却キャン435と巻き取りロール4
40との間には、それぞれガイドロール441が配置さ
れ、被処理体450に所定のテンションをかけ、被処理
体450が円滑に走行するようになされている。
【0063】また、チャンバー431内には、冷却キャ
ン435と対向する位置には、第1のターゲット43
6、第2のターゲット466が、被処理体450の走行
方向に沿って順次設けられている。
【0064】第1のターゲット436は、強化層3のう
ち、第1の領域3aを形成する材料となるものであり、
例えば、Alが用いられる。第2のターゲット466
は、強化層3のうち、第3の領域3cを形成する材料と
なるものであり、例えば、カーボンが用いられる。
【0065】これら第1および第2のターゲット436
は、それぞれ、カソード電極を構成するバッキングプレ
ート437、467に支持されている。そして、バッキ
ングプレート437、467のそれぞれの裏面には、磁
場を形成するマグネット438、468が配設されてい
る。これらの第1のターゲット436および第2のター
ゲット466は、必要に応じて位置を変えることができ
るようになされている。
【0066】このマグネトロンスパッタ装置400にお
いて、強化層3を形成する場合には、チャンバー431
内を真空ポンプ432によって約10-4〔Pa〕程度に
減圧した後、真空ポンプ432側に排気するバルブ43
3を調節して排気速度を制御する。一方においてガス導
入管434からArガスを導入して真空度を例えば約
0.8〔Pa〕とされる。
【0067】そして、ガス導入管434からArガスを
導入するとともに、冷却キャン435をアノード、バッ
キングプレート437、467をカソードとして、約3
000Vの電圧を印加し、約1.4Aの電流が流れる状
態を保持する。そして、この電圧の印加により、Arガ
スがプラズマ化し、電離されたイオンが第1のターゲッ
ト436および第2のターゲット466に衝突すること
により、それぞれの材料から原子がはじき出される。
【0068】このとき、バッキングプレート437、4
67の裏面に配置されたマグネット438、468によ
り、第1のターゲット436および第2のターゲット4
66近傍には、磁場が形成されるので、電離されたイオ
ンは、第1のターゲット436および第2のターゲット
466の近傍に集中されることとなる。
【0069】そして、これらの第1のターゲット436
および第2のターゲット466からはじき出された原子
は、磁気テープロールから図示矢印方向に繰り出され
て、冷却キャン435の外周面に沿って走行する被処理
体450に付着する。このとき、第1のターゲット43
6と第2のターゲット466との距離を調整し、それぞ
れからはじき出された原子が混合する領域を形成するこ
とにより、図4に示した、強化層3を構成する中間領域
である第2の領域3bが形成される。
【0070】このようにして、強化層3が形成された被
処理体450は、巻き取りロール440に巻き取られ
る。
【0071】図6に、強化層3の一例の、膜厚方向にお
ける構成元素の相対濃度の変化の状態を示す。図6中の
曲線61は、Alの相対濃度を示し、曲線62は、カー
ボンの相対濃度を示す。
【0072】また、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体1
00においては、磁性層2形成面側および強化層3形成
面側の最表層に、潤滑剤や防錆剤によって、コーティン
グすることが望ましい。
【0073】次に、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体1
00について、具体的に〔実施例〕および〔比較例〕を
挙げて説明するが、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体
は、以下の例に限定されるものではない。
【0074】〔実施例1〕図1および図4に示した金属
薄膜型磁気記録媒体100の非磁性支持体1として、厚
さ4.0〔μm〕、幅150〔mm〕のポリエチレンナ
フタレートフィルムを用意した。磁性層2を、図2に示
した蒸着装置10を用いて、以下の条件で形成した。 (蒸着条件) 金属磁性材料:Co100〔wt%〕 入射角 :45°〜10° 導入ガス :酸素ガス 酸素導入量 :3.3×10-6〔m3 /sec〕 蒸着時真空度:2.0×10-2〔Pa〕 磁性層の膜厚:80〔nm〕
【0075】次いで、磁性層2上に、カーボン保護層4
を形成した。保護層4としては、プラズマCVD法によ
って、以下の条件により、ダイヤモンド状カーボン層を
形成した。 (保護層成膜条件) 反応ガス :トルエン 反応ガス圧 :10〔Pa〕 導入電力 :直流(DC)1.5〔kV〕 保護層の膜厚:10〔nm〕
【0076】次に、磁性層2形成面とは反対側の主面
に、強化層3を形成した。強化層3は、図5に示したマ
グネトロンスパッタ装置400を用いて、スパッタ法に
よって、同一槽内で成膜した。第1のターゲット436
にはAlを適用し、第2のターゲット466には、カー
ボンを適用した。
【0077】〔実施例1〕においては、強化層3を下記
の膜厚に形成した。 強化層の全厚:150〔nm〕 第1の領域3a(Al=100〔%〕):20〔nm〕 第2の領域3b(混合領域):30〔nm〕 第3の領域3c(カーボン=100〔%〕):100
〔nm〕
【0078】磁性層形成面側および強化層形成面側に
は、それぞれ潤滑剤を塗布した。このとき、使用する潤
滑剤は、磁気テープの用途として一般に使用されるもの
であればいずれも使用することができる。特に、主骨格
がフルオロカーボン系、アルキルアミン、アルキルエス
テル等が好適である。なお本実施例においては、フルオ
ロカーボンを主骨格とし、第3アミンにより変成したも
のを使用した。フルオロカーボンとしては、ダイキン工
業社製商品名「デムナム」を使用し、第3アミンとして
はジメチルデシルアミンを使用して塩構造をとるように
合成した。
【0079】強化層3形成面側の最表層の粗度(Ra)
は8〔nm〕であった。なお、表面粗度(Ra)は、S
HIMADZU製の走査型プローブ顕微鏡を用いて表面
形状を観察して面粗さを算出した。
【0080】また、強化層3の膜厚は、JEOL社製商
品名AESにて、深さ方向分析を行い、膜厚換算を行う
ことにより測定した。
【0081】最後に、6.35〔mm〕幅に裁断し、磁
性層面にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布し、
サンプルの磁気テープを作製した。
【0082】〔実施例2〕この例においては、強化層3
を下記の膜厚に形成した。 強化層の全厚:350〔nm〕 第1の領域3a(Al=100〔%〕):200〔n
m〕 第2の領域3b(混合領域):100〔nm〕 第3の領域3c(カーボン=100〔%〕):50〔n
m〕
【0083】強化層3形成面側の最表層の粗度(Ra)
は8.7〔nm〕であった。その他の条件は、上記〔実
施例1〕と同様にしてサンプルを作製した。
【0084】〔実施例3〕この例においては、強化層3
を下記の膜厚に形成した。 強化層の全厚:120〔nm〕 第1の領域3a(Al=100〔%〕):50〔nm〕 第2の領域3b(混合領域):50〔nm〕 第3の領域3c(カーボン=100〔%〕):120
〔nm〕
【0085】強化層3形成面側の最表層の粗度(Ra)
は15〔nm〕であった。その他の条件は、上記〔実施
例1〕と同様にしてサンプルを作製した。
【0086】〔実施例4〕この例においては、強化層3
を下記の膜厚に形成した。 強化層の全厚:495〔nm〕 第1の領域3a(Al=100〔%〕):450〔n
m〕 第2の領域3b(混合領域):30〔nm〕 第3の領域3c(カーボン=100〔%〕):15〔n
m〕
【0087】強化層3形成面側の最表層の粗度(Ra)
は9〔nm〕であった。その他の条件は、上記〔実施例
1〕と同様にしてサンプルを作製した。
【0088】〔実施例5〕この例においては、強化層3
を下記の膜厚に形成した。 強化層の全厚:70〔nm〕 第1の領域3a(Al=100〔%〕):30〔nm〕 第2の領域3b(混合領域):25〔nm〕 第3の領域3c(カーボン=100〔%〕):15〔n
m〕
【0089】強化層3形成面側の最表層の粗度(Ra)
は14〔nm〕であった。その他の条件は、上記〔実施
例1〕と同様にしてサンプルを作製した。
【0090】〔実施例6〕この例においては、強化層3
を下記の膜厚に形成した。 強化層の全厚:400〔nm〕 第1の領域3a(Al=100〔%〕):100〔n
m〕 第2の領域3b(混合領域):100〔nm〕 第3の領域3c(カーボン=100〔%〕):200
〔nm〕
【0091】強化層3形成面側の最表層の粗度(Ra)
は5.5〔nm〕であった。その他の条件は、上記〔実
施例1〕と同様にしてサンプルを作製した。
【0092】〔比較例1〕この例においては、強化層3
を、下記の膜厚に形成した。 強化層の全厚:800〔nm〕 第1の領域3a(Al=100〔%〕):200〔n
m〕 第2の領域3b:形成せず 第3の領域3c(カーボン=100〔%〕):600
〔nm〕 なお、〔比較例1〕においては、第1の領域3aをスパ
ッタリング法によって形成した後、サンプルを成膜装置
から取り出し、その後、下記組成によるバックコート層
用の塗料を塗布し硬化させることによって、第3の領域
3cを形成した。 (第3の領域(バックコート層)の組成) カーボンブラック:50〔重量%〕 ポリウレタン樹脂:50〔重量%〕 上記材料を、ボールミルに投入し、24時間分散して混
合した後、架橋剤を添加してバックコート層用塗料を調
整し、Al金属薄膜上に塗布し、600〔nm〕のバッ
クコート層(第3の領域)を形成した。
【0093】強化層3形成面側の最表層の粗度(Ra)
は13〔nm〕であった。その他の条件は、上記〔実施
例1〕と同様にしてサンプルを作製した。
【0094】〔比較例2〕この例においては、強化層3
を、下記の膜厚に形成した。 強化層の全厚:400〔nm〕 第1の領域3a(Al=100〔%〕):200〔n
m〕 第2の領域3b:形成せず 第3の領域3c(カーボン=100〔%〕):200
〔nm〕 なお、〔比較例2〕においては、第1の領域3aをスパ
ッタリング法によって形成した後、サンプルを成膜装置
から取り出し、その後、上記〔比較例1〕に示したもの
と同組成によるバックコート層用の塗料を塗布し硬化さ
せることによって、第3の領域3cを形成した。
【0095】強化層3形成面側の最表層の粗度(Ra)
は8〔nm〕であった。その他の条件は、上記〔実施例
1〕と同様にしてサンプルを作製した。
【0096】〔比較例3〕この例においては、強化層3
を下記の膜厚に形成した。 強化層の全厚:245〔nm〕 第1の領域3a(Al=100〔%〕):220〔n
m〕 第2の領域3b(混合領域):20〔nm〕 第3の領域3c(カーボン=100〔%〕):5〔n
m〕
【0097】強化層3形成面側の最表層の粗度(Ra)
は11.5〔nm〕であった。その他の条件は、上記
〔実施例1〕と同様にしてサンプルを作製した。
【0098】〔比較例4〕この例においては、強化層3
を下記の膜厚に形成した。 強化層の全厚:800〔nm〕 第1の領域3a(Al=100〔%〕):600〔n
m〕 第2の領域3b(混合領域):100〔nm〕 第3の領域3c(カーボン=100〔%〕):100
〔nm〕
【0099】強化層3形成面側の最表層の粗度(Ra)
は1.3〔nm〕であった。その他の条件は、上記〔実
施例1〕と同様にしてサンプルを作製した。
【0100】〔比較例5〕この例においては、強化層3
を下記の膜厚に形成した。 強化層の全厚:450〔nm〕 第1の領域3a(Al=100〔%〕):50〔nm〕 第2の領域3b(混合領域):100〔nm〕 第3の領域3c(カーボン=100〔%〕):300
〔nm〕
【0101】強化層3形成面側の最表層の粗度(Ra)
は1.3〔nm〕であった。その他の条件は、上記〔実
施例1〕と同様にしてサンプルを作製した。
【0102】〔比較例6〕この例においては、強化層3
を、下記の膜厚に形成した。 強化層の全厚:210〔nm〕 第1の領域3a(Al=100〔%〕):100〔n
m〕 第2の領域3b:10〔nm〕 第3の領域3c(カーボン=100〔%〕):100
〔nm〕 なお、〔比較例6〕においては、第1の領域3aをスパ
ッタリング法によって形成した後、成膜装置内を排気
し、その後の工程により、改めてカーボン保護層である
第3の領域3cをスパッタリング法により形成した。こ
の際、第1の領域3aと第3の領域3cの境界部分に
は、混合領域の第2の領域3bの薄層が形成された。
【0103】強化層3形成面側の最表層の粗度(Ra)
は2〔nm〕であった。その他の条件は、上記〔実施例
1〕と同様にしてサンプルを作製した。
【0104】上記のようにして作製した〔実施例1〕〜
〔実施例6〕および〔比較例1〕〜〔比較例6〕のサン
プルの磁気テープについて、摩擦係数の測定、およびド
ロップアウト数の測定を行った。
【0105】摩擦係数の測定については、最大静止摩擦
係数および動摩擦係数の測定を行った。最大静止摩擦係
数は、磁気テープのバック層形成面側を、直径5〔m
m〕のポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン:PO
M)ガイドに抱き角10°となるように掛けて測定し
た。動摩擦係数は、磁気テープを、直径2.0〔mm〕
のSUS製のガイドに対して抱き角90°で100回摺
動させたときの摺動100回目における摩擦係数を測定
した。
【0106】ドロップアウト数は、6.35〔mm〕の
磁気テープをminiDVカセットに10分長にて組み
込み、1分間における−6〔dB〕の出力低下が3〜5
〔μs〕間続いた回数をカウント出来るように改造した
SONY社製DVデッキDHR−1000にかけ、その
回数をドロップアウト数として測定した。
【0107】上述した〔実施例1〕〜〔実施例6〕、
〔比較例1〕〜〔比較例6〕の磁気テープの作製条件、
表面粗度(Ra)、摩擦係数の測定結果、およびドロッ
プアウト数について、下記の〔表1〕に示す。
【0108】
【表1】
【0109】上記〔表1〕中の磁気テープにおいて、最
大静止摩擦係数は0.32未満、同摩擦係数は0.32
未満になることを目標値とし、ドロップアウト数は、1
00個未満になることを目標値とした。
【0110】上記〔表1〕に示すように、非磁性支持体
の一主面に、真空薄膜形成技術により形成した100
〔nm〕以下の厚さの磁性層を有し、磁性層形成面側と
は反対側の主面に、50〜500〔nm〕の厚さの強化
層が形成され、この強化層は、厚さ方向において、構成
元素が連続的に変化するようになされ、非磁性支持体側
の近傍領域である第1の領域3a、中間領域である第2
の領域3b、最外側領域である第3の領域3cの各領域
により構成され、第1の領域3aは、金属Al100
〔%〕により構成され、第3の領域3cは、カーボン1
00〔%〕により構成され、第2の領域3bは、第1の
領域3aに近接するに従い金属の割合が連続的に上昇
し、第3の領域3c側ほどカーボンの割合が連続的に上
昇するようになされている構成の〔実施例1〕〜〔実施
例6〕の磁気テープにおいては、強化層3を、複数の領
域により形成されたものとし、金属層である第1の領域
3aからカーボン層である第3の領域3cまで、構成元
素が連続的に変化するようにしたので、強化層3に剥離
が生じることを効果的に回避でき、これにより、ドロッ
プアウトを100個未満に低減化でき、走行安定性が向
上した。
【0111】また、強化層3の最外側のカーボン層、す
なわち第3の領域3cが保護層としての役割を有するた
め、摩擦係数の低減化が図られ、耐久性の向上を図るこ
とができた。
【0112】また、強化層3形成面側の最表面粗度(R
a)を2〜15〔nm〕の範囲となったことにより、摩
擦係数の低減化が図られ、ヘッド当たりが良好で、表面
に剥離や傷の発生を回避でき、磁気テープの形状を良好
にならしめることができた。
【0113】〔比較例1〕の磁気テープは、強化層3と
して金属層である第1の領域3aを形成した後、塗料を
塗布することによりバックコート層を形成したものであ
るが、この例においては、バックコート層が600〔n
m〕と厚く形成したため、バックコート層の剥離を生
じ、ドロップアウトが増加した。
【0114】〔比較例2〕の磁気テープは、強化層3と
して金属層である第1の領域3aを形成した後、塗料を
塗布することによりバックコート層を200〔nm〕と
薄く形成したものであるが、この例においては、ドロッ
プアウト数は上記〔比較例1〕よりも低減化されたが、
目標値である100個未満とはすることができなかっ
た。また、バックコート層の摩擦低減化効果が充分でな
いため、最大静止摩擦係数、および動摩擦係数が高くな
った。
【0115】〔比較例3〕の磁気テープは、強化層3を
構成する第3の領域3cであるカーボン層を5〔nm〕
と極めて薄く形成したものであるが、潤滑効果が充分に
得られず、剥離が生じ、摩擦係数の測定は不可能であっ
た。
【0116】〔比較例4〕の磁気テープは、強化層3を
構成する金属層すなわち第1の領域3aを600〔n
m〕と厚く形成したものであるが、表面粗度(Ra)が
1.3〔nm〕と小さくなり過ぎて、摩擦が高すぎるた
め、摩擦係数測定時にヘッドとの貼り付きを生じた。
【0117】〔比較例5〕の磁気テープは、強化層3を
構成するカーボン層、すなわち第3の領域3cを300
〔nm〕と厚く形成したものであるが、表面粗度(R
a)が1.3〔nm〕と小さくなり過ぎて、最大静止摩
擦係数、および動摩擦係数の双方の値が高くなり過ぎ、
走行性が悪化し、また、ドロップアウト数も増加した。
【0118】〔比較例6〕の磁気テープは、強化層3を
構成する各領域3a〜3cを別工程で成膜したものであ
るが、この例においては、強化層3に微細な剥離を生
じ、ドロップアウト数が増加した。
【0119】上述した〔実施例1〕〜〔実施例6〕およ
び〔比較例1〕〜〔比較例6〕の結果から明らかなよう
に、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体100によれば、
高感度のMRヘッドに好適であり、磁性層2の薄層化と
非磁性支持体1の薄層化を達成して、単位体積当たりの
記録密度の向上が図られた。また、磁性層2とは反対側
の主面に強化層3を形成したことによって、非磁性支持
体1を従来の安価な材料を使用しつつ、薄型とした場合
においても、高価な原料による非磁性支持体1を用いる
ことなく、機械的な強度を保持することができ、作製コ
ストの低減化が図られた。また、充分な剛性が得られた
ことで、耐久性、走行安定性、磁気ヘッドとの接触性の
向上が図られた。
【0120】また、強化層3を構成元素が連続的に変化
する複数領域によって構成されるようにし、これらの領
域を同一工程で成膜されるようにしたことによって、強
化層の剥離を効果的に回避でき、かつ成膜コストの低減
化を図ることができた。
【0121】また、強化層3形成面の最表層の粗度(R
a)を数値的に制御することによって、磁気テープの走
行安定性およびテープ形状を良好にならしめた。
【0122】
【発明の効果】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体によれ
ば、高感度のMRヘッドに好適であり、磁性層の薄層化
と非磁性支持体の薄層化を達成して、単位体積当たりの
記録密度の向上が図られた。
【0123】また、磁性層とは反対側の主面に、所定の
材料により、真空薄膜形成技術によって強化層3を形成
したことによって、非磁性支持体1を従来の安価な材料
を使用しつつ、薄型とした場合においても、高価な原料
による非磁性支持体を用いることなく、機械的な強度を
保持することができ、作製コストの低減化を図ることが
できた。
【0124】また、充分な剛性が得られたことで、耐久
性、走行安定性、磁気ヘッドとの接触性の向上が図られ
た。
【0125】また、強化層3を金属層である第1の領域
3a、カーボン保護層である第3の領域3bおよび混合
領域である第2の領域3bにより成るものとし、これら
の領域において、構成元素が連続的に変化するようにし
たことによって、強化層3の剥離の発生を効果的に回避
できた。
【0126】また、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体1
00においては、強化層3を構成する第1〜第3の領域
3a〜3cを、同一工程で、同一槽内において成膜する
ことができるため、成膜時間の短縮化が図られ、かつ成
膜装置を別途用意する必要もないことから、コストの低
減化を図ることができた。
【0127】また、強化層3形成面の最表層の粗度(R
a)を数値的に制御することによって、磁気テープの走
行安定性およびテープ形状を良好にならしめた。
【0128】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体の概略断面図
を示す。
【図2】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体を構成する磁
性層および強化層を作製するための蒸着装置の概略図を
示す。
【図3】プラズマCVD連続膜形成装置の概略図を示
す。
【図4】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体の概略断面図
を示す。
【図5】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体を構成する強
化層形成用のマグネトロンスパッタ装置の概略図を示
す。
【図6】強化層の膜厚と構成元素の相対濃度との関係を
示す。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 磁性層、3 強化層、3a 第
1の領域、3b 第2の領域、3c 第3の領域、4
保護層、10 蒸着装置、11 真空室、13送りロー
ル、14 巻き取りロール、15 冷却キャン、16,
17 ガイドロール、18 ルツボ、19 金属磁性材
料、20 電子銃、21,22 排気口、23 シャッ
ター、24 酸素ガス導入管、100 金属薄膜型磁気
記録媒体、300 プラズマCVD連続膜形成装置、3
30 排気系、331 真空室、333 送りロール、
334 巻き取りロール、335 対向電極、336ガ
イドロール、337 反応管、338 電極、339
直流電源、340 被処理体、341 放電ガス導入
口、400 マグネトロンスパッタ装置、431チャン
バー、432 真空ポンプ、433 バルブ、435
冷却キャン、436,466 ターゲット、437,4
67 バッキングプレート、438,468 マグネッ
ト、439 供給ロール、440 巻き取りロール、4
41 ガイドロール、450 被処理体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K029 AA11 AA25 BA01 BA03 BA34 BA43 BA44 BA46 BA48 BA55 BA56 BA59 BA64 BB02 BC00 BD11 CA05 EA01 5D006 BB07 CC01 CC03 CC04 EA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の一主面に、真空薄膜形成
    技術により形成した100〔nm〕以下の厚さの磁性層
    を有する金属薄膜型磁気記録媒体であって、 上記磁性層形成面側とは反対側の主面に、50〔nm〕
    以上500〔nm〕以下の厚さの強化層が形成されて成
    り、 上記強化層は、該強化層の厚さ方向において、構成元素
    が連続的に変化するようになされ、 上記強化層は、非磁性支持体側の近傍領域である第1の
    領域、中間領域である第2の領域、最外側領域である第
    3の領域の各領域が順次形成された構成を有し、 上記第1の領域は、金属により構成されて成り、 上記第3の領域は、カーボン、CrO2 、Al2 3
    BN、Co酸化物、MgO、SiO2 、Si3 4 、Z
    rO2 、TiO2 、TiC、SiCのうちのいずれかに
    より形成されて成り、 上記第2の領域は、上記第1の領域に近接するに従い金
    属の割合が連続的に上昇し、上記第3の領域に近接する
    に従い、上記第3の領域を形成する物質の割合が連続的
    に上昇するように形成されて成ることを特徴とする金属
    薄膜型磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記強化層を構成する第1の領域、第2
    の領域、および第3の領域は、スパッタリング法によ
    り、同一の真空槽内で成膜されたものであることを特徴
    とする請求項1に記載の金属薄膜型磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記第1の領域は、厚さ20〔nm〕以
    上470〔nm〕以下であり、 上記第2の領域は、厚さ20〔nm〕以上であり、 上記第3の領域は、厚さ10〔nm〕以上100〔n
    m〕以下に形成されて成ることを特徴とする請求項1に
    記載の金属薄膜型磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017195865A1 (ja) * 2016-05-11 2017-11-16 ソニー株式会社 磁気記録媒体、積層体およびフレキシブルデバイス

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