JP2004310900A - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気記録媒体の走行性および耐久性の向上を図る。
【解決手段】長尺状の非磁性支持体1の一主面上に、強磁性金属薄膜よりなる磁性層2を有し、磁性層2形成面側とは他の主面上に、薄膜形成技術より形成されてなるバック層4を有し、磁性層側表面粗度をRa(M)とし、バック層側表面粗度をRa(B)としたとき、Ra(B)>Ra(M)であり、かつ2Ra(M)<Ra(B)<15Ra(M)であるとした磁気記録媒体を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】長尺状の非磁性支持体1の一主面上に、強磁性金属薄膜よりなる磁性層2を有し、磁性層2形成面側とは他の主面上に、薄膜形成技術より形成されてなるバック層4を有し、磁性層側表面粗度をRa(M)とし、バック層側表面粗度をRa(B)としたとき、Ra(B)>Ra(M)であり、かつ2Ra(M)<Ra(B)<15Ra(M)であるとした磁気記録媒体を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜形成技術により形成された磁性層およびバック層を有する磁気記録媒体に係る。
【0002】
【従来の技術】
従来からオーディオテープ、ビデオテープ等の磁気テープとしては、非磁性支持体上に、酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の粉末磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機結合剤中に分散させた磁性塗料を塗布することにより作製される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が広く使用されていた。
【0003】
これに対して、高密度磁気記録への要求の高まりと共に、Co−Ni系合金、Co−Cr系合金、Co−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法等)によってポリエステルフィルムやポリアミド、ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着した、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体が提案され実用化されている。
【0004】
このような金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、抗磁力や角形比等に優れ、短波長での電磁変換特性に優れるばかりでなく、磁性層をきわめて薄層に形成できるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいこと、磁性層中に非磁性材であるバインダー(結合剤)が混入することが無いため、磁性材料の充填密度を高めることが出来ること等、数々の利点を有している。
【0005】
また、この種の磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させ、より大きな出力を得ることが出来るようにするために、磁性層を斜めに蒸着するいわゆる斜方蒸着が提案され実用化されている。
【0006】
上述したような金属薄膜型の磁気記録媒体においては、通常、耐久性や走行性等の改善を目的として、磁性層上に保護層を形成し、最外層に潤滑剤層を形成し、非磁性支持体の磁性層が形成されている側とは反対側の面にバック層を形成する構成が採られている。
【0007】
金属薄膜型の磁気記録媒体においては、高密度化に対応してスペーシングロスの低減化を図るために表面を平滑化する方向にあるが、磁性層表面が平滑になると磁気ヘッドに対する接触面積が大きくなるために、摩擦力が増大し、磁性層に生ずるせん断応力が大きくなる。このような厳しい摺動条件から磁性層を保護するために、保護層を形成することが重要である。
【0008】
また、磁気記録媒体の最外層には、潤滑剤を塗布して潤滑剤層を形成し、磁気ヘッドやガイドロールとの摺動を滑らかにすることが、耐久性と走行性の向上を図るために望ましい。
【0009】
また、バック層を形成することにより、表面の電気抵抗を下げ、帯電による走行不良を防止し、非磁性支持体の耐久性を向上させ、磁気テープ間の摩擦を低減化している(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
上述したように、磁気テープ等においては、磁性層形成面側に、記録用および/または再生用ヘッドとの直接コンタクトを避けるために、通常潤滑剤層が設けられているが、この潤滑剤層は、磁気ヘッドとの摺動によって容易には剥がれないものであることが必要である。
このような潤滑剤層の要求特性に応じて、保護層の表面の親水性接触角を規定し、潤滑剤の付着性を向上させる技術についての提案がなされている(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
しかしながら、潤滑剤が磁性層側に強固に付着するようにしても、長時間、多数回の摺動を通して常に剥がれず潤滑性を維持し続けるのは、実際問題として困難である。かかる問題点に鑑みて、磁性層側表面に潤滑剤層以外に、潤滑剤が流動するいわゆる潤滑剤自由層を設け、面内で潤滑剤層の補修作用を持たせたものについての提案もなされている。
【0012】
しかしながら、このような潤滑剤自由層は流動性に優れた機能を有していることから、走行により潤滑剤が剥離し、磁気ヘッドに付着して再生特性の劣化を生じたり、あるいは、巻き取りによって走行面へ過剰に移着したりすることによって潤滑剤の補修効果が得られなかったり、ガイドとの貼り付きによって走行性を悪化させたりする等の問題が生じていた。
【0013】
【特許文献1】
特開平8−249645号公報
【特許文献2】
特開平11−110743号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、非磁性支持体上に強磁性金属或いはその合金の薄膜からなる磁性層を有し、磁性層形成面とは反対側の面に薄膜形成技術によって成膜したバック層を有する磁気記録媒体において、磁性層側の表面粗度と、バック層側の表面粗度とを適切に制御することによって、磁気ヘッドと磁気記録媒体の接触時における、いわゆる潤滑剤切れを防止し、コンタクトを良好に保ち、低摩擦を維持し、保護層の摩滅による耐久性の劣化を回避し、高耐久性・走行安定性を兼ね備えた磁気記録媒体を提供することとした。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気記録媒体は、長尺状の非磁性支持体の一主面上に、強磁性金属薄膜よりなる磁性層を有し、磁性層形成面側とは他の主面上に薄膜形成技術より形成されてなるバック層を有するものであり、磁性層側表面粗度をRa(M)、バック層側表面粗度をRa(B)としたとき、Ra(B)>Ra(M)、かつ2Ra(M)<Ra(B)<15Ra(M)であるものとする。
【0016】
本発明によれば、磁性層表面の粗度とバック層側の表面粗度とを、上記のように制御することによって、磁気ヘッドと磁気記録媒体の接触時における、いわゆる潤滑剤切れが回避され、長期に亘り低摩擦を維持し、保護層の摩滅による耐久性の劣化を回避し、高耐久性・走行安定性の向上が図られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の磁気記録媒体の具体的な実施形態について説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
本発明の磁気記録媒体10の一例の概略断面図を図1に示す。
磁気記録媒体10は、長尺状の非磁性支持体1上に強磁性金属薄膜よりなる磁性層2、および保護層3が順次形成されてなり、磁性層2の形成面側とは反対側の主面にバック層4が形成されてなり、磁性層2の最表面に潤滑剤層5が設けられた構成を有している。
【0018】
非磁性支持体(ベースフィルム)1形成用材料としては、ポリエステル系が主に適用できる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタリンジカルボキシレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエートなどが挙げられる。特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好適なものとされ、これらのポリエステルはホモポリエステルやコポリエステルも適用することができる。
非磁性支持体1は膜厚が3〜10μm、好ましくは3〜8μmであるものとする。
【0019】
非磁性支持体1には、表面に径が数nm〜数十nmのフィラーを分散させることによって微細凹凸を付したり、その他リソグラフィー技術によって人工的に凹凸を形成したり、メッキや真空薄膜形成技術によって金属、無機化合物または有機高分子によって島状構造を形成したりする方法を用いて表面に微小突起を形成してもよい。
【0020】
磁性層2は、強磁性金属材料を直接被着することにより形成される。強磁性金属材料としては、通常の蒸着テープに使用されるものであればいずれも適用できる。例えば、Fe、Co、Ni等の強磁性金属、Fe−Co、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu 、Co−Cu、Cb−Au、Co−Pt、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられ、これらの単層膜であってもよいし多層膜であってもよい。
【0021】
非磁性支持体1と磁性層2の間、あるいは多層膜の場合には、各層間の付着力向上、並びに抗磁力の制御等のため、下地層や中間層を設けてもよい。また、例えば磁性層表面近傍は耐蝕性改善等のために酸化物となっていてもよい。磁性層2の形成手段としては、真空下で強磁性材料を加熱蒸発させ非磁性支持体上に沈着させる真空蒸着法や、強磁性金属材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放電を越こし生じたアルゴンイオンでターゲット表面の原子をたたき出すスパッタ法等、いわゆるPVD技術によればよい。
【0022】
次に、磁性層3の形成工程の一例として、図2に示すような連続巻き取り式の真空蒸着装置20を挙げ、真空蒸着によって磁性層を形成する場合について説明する。
この真空蒸着装置20においては、頭部と低部にそれぞれ設けられた排気口21から排気されて内部が真空状態となされた真空室22内に、送りロール23と、巻き取りロール24とが設けられ、これら送りロール23から巻き取りロール24に長尺状の非磁性支持体1が順次走行するようになされている。
【0023】
送りロール23から巻き取りロール24側に非磁性支持体1が走行する中途部には、冷却キャン25が設けられている。冷却キャン25は非磁性支持体1を図中下方に引き出すように設けられ定速回転する構成とされる。なお冷却キャン25には、内部に冷却装置(図示せず)が設けられ、非磁性支持体1の温度上昇よる変形等を抑制するようになされている。
また、送りロール23と冷却キャン25との間、および冷却キャン25と巻き取りロール24との間には、それぞれガイドロール27、28が設けられ、送り走行する非磁性支持体1に所定のテンションをかけ、円滑に走行するようになされている。
【0024】
真空室22内には、冷却キャン25の下方にルツボ29が設けられ、このルツボ29内に金属磁性材料30が充填されている。一方、真空室22の側壁部には、ルツボ29内に充填された金属磁性材料30を加熱蒸発させるための電子銃31が取り付けられている。この電子銃31は、放出される電子線Xが上記ルツボ29内の金属磁性材料30に照射されるような位置に配設される。そして、電子銃31によって蒸発した金属磁性材料30が冷却キャン25の周面を走行する非磁性支持体1上に磁性層2として被着形成されるようになっている。
【0025】
また、冷却キャン25とルツボ29との間であって、冷却キャン25の近傍に、シャッタ32が配設されている。このシャッタ32は、冷却キャン25の周面を定速走行する非磁性支持体1の所定領域を覆う形で設けられており、シャッタ32により金属磁性材料30が非磁性支持体1に対して所定の角度範囲で斜めに蒸着されるようになっている。さらに真空室22の側壁部を貫通して設けられている酸素ガス導入口34を介して非磁性支持体1の表面に酸素ガスが供給され、磁気特性、耐久性及び耐候性の向上が図られている。
【0026】
保護層3は、通常の金属磁性薄膜用保護層として一般に使用される材料により形成することができる。例えば、カーボン、CrO2、Al2O3、BN、Co酸化物、MgO、SiO2、Si3O4、SiN4、SiC、ZrO2、TiO2、TiC、Zn、Sn等が挙げられ、これらの単層膜であってもよいし多層膜であってもよい。
【0027】
バック層4は、例えば、カーボン、CrO2、Al2O3、BN、Co酸化物、MgO、SiO2、Si3O4、SiN4、SiC、ZrO2、TiO2、TiC等により形成することができる。バック層4は、これらの単層膜であってもよいし多層膜であってもよい。
【0028】
保護層3およびバック層4は、CVD法やスパッタ法等の薄膜形成技術によって形成する。
図3にCVD装置40の一例の概略構成図を示す。CVD装置40は、頭部に設けられた真空排気系41によって内部が高真空状態となされた真空室42内に、定速度で回転する送りロール43と巻き取りロール44とが設けられ、これら送りロール43から巻き取りロール44に、被処理体45が順次走行するようになされている。
【0029】
これら送りロール43から巻き取りロール44に被処理体45が走行する途中部には、対向電極用キャン46が設けられている。この対向電極用キャン46は、被処理体45を図中下方に引き出すように設けられ、図中の矢印A方向に定速度で回転する構成となされている。また、対向電極用キャン46には、内部に冷却機構(図示せず)が設けられ、被処理体45の温度上昇による変形等を抑制している。
従って被処理体45は、送りロール43から順次送り出され、冷却キャン46の周面を通過し、巻き取りロール44に巻き取られるようになされている。なお、送りロール43と対向電極用キャン46との間、および対向電極用キャン46と巻き取りロールとの間には、それぞれガイドロール47が設けられ、被処理体65に所定のテンションをかけ円滑に走行するようになされている。
【0030】
また、上記真空室42内には、対向電極用キャン46の下方にパイレックス(登録商標)ガラス、プラスチック等よりなる反応管48が設けられている。この反応管48は、一方の端部が真空室42の底部を貫通しており、この端部から成膜ガスが当該反応管48内に導入されるようになっている。
また、この反応管48内の中途部には、金属メッシュ等よりなる電極49が取り付けられている。この電極49は、外部に配設されたDC電源50と接続されており、500〜2000Vの電圧が印加されるようになっている。
このCVD装置では、この電極49に電圧が印加されることで、電極49と対向電極用キャン46との間にグロー放電が生じる。そして、反応管48内に導入された成膜ガスは、この生じたグロー放電によって分解し、被処理体45上に被着されることになる。
【0031】
図4にマグネトロンスパッタ装置60の一例の概略構成図を示す。マグネトロンスパッタ装置60においては、被処理体71が、巻き出しロール72から冷却キャン65を介して巻き取りロール73に巻き取られるようになされている。
チャンバー61内は、真空ポンプ62により例えば約10−4Pa程度にまで減圧された後、真空ポンプ62側へ排気するバルブ63の角度を絞ることにより、排気速度を落とすとともに、ガス導入管64からArガスが導入され、真空度を例えば約0.8Paとされる。
また、マグネトロンスパッタ装置60においては、例えば、−40℃に冷却され図中矢印方向Bに回転する冷却キャン65と、この冷却キャン65 と対向配置されるターゲット66とがそれぞれ設けられている。
ターゲット66は、カソード電極を構成するバッキングプレート67に支持されており、バッキングプレート67の裏側には、磁場を形成するマグネット68が配設されている。
【0032】
マグネトロンスパッタ装置60により製膜する際には、先ず、ガス導入管64からArガスを導入し、冷却キャン65をアノードとし、バッキングプレート67をカソードとして約3000Vの電圧を印加し、約1.4Aの電流が流れる状態を保つようにする。
電圧印加によりArガスがプラズマ化し、電離されたイオンがターゲット66に衝突することにより、ターゲット66の原子がはじき出される。ターゲット66の近傍に磁場が形成されているので、電離されたイオンはターゲット66の近傍に集中される。ターゲット66からはじき出された原子は、冷却キャン65の外周面に沿って走行する被処理体上に付着して成膜される。
【0033】
また、非磁性支持体1とバック層4の間には、スティッフネスを向上させる目的、耐食性向上のため水分の透過を防止する目的、非磁性支持体1とバック層4の付着力を向上させる目的、バック層成膜時のCVD用電極など、様々な用途で下地層を設けても良い。この下地層は金属・酸化物など、通常の水分バリア層や保護層として用いているものであれば、いずれであってもよい。
【0034】
本発明の磁気記録媒体は、上記構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更、例えば必要に応じて非磁性支持体1上に下塗層を形成したり、所望の位置に潤滑剤、防錆剤等の各種機能層を形成したりしてもよい。
【0035】
なお、バック層4側の表面粗度は、例えば、非磁性支持体1のバック面にフィラーを分散させたり、成膜後にエッチング等の手法により荒らしたり、粗さ制御した下地膜を形成することによって制御することができる。
【0036】
潤滑剤層5は、例えば従来公知のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布することによって形成することができる。
【0037】
磁気記録媒体は、全体の膜厚が10μm以下であることが望ましい。
本発明においては、磁性層側表面粗度をRa(M)とし、バック層側表面粗度をRa(B)としたとき、Ra(B)>Ra(M)とし、かつ2Ra(M)<Ra(B)<15Ra(M)となるように制御する。
また、走行安定性を良好に保持し、磁気ヘッドの安定した摺動状態を維持するため、1.0nm<Ra(M)<5.0nmとし、Ra(B)≧6.0nmとすることが望ましい。
なお、磁性層側、およびバック層側の表面粗度は、例えば、DI社製AFM(Atomic Force Microscope)Nano−scope3により測定することができる。
【0038】
また、磁気記録媒体10を巻回し、磁性層側とバック層側とを積層接触させたときの接触率は、面積比率で1〜20%とすることが望ましい。接触率は、例えば、DI社製AFM(Atomic Force Microscope)Nano−scope3により測定した両面の粗度および両層の表面硬度を考慮して算出することができる。
【0039】
また、本発明の磁気記録媒体におけるバック層形成面側の表面エネルギーをE(B)とし、磁性層形成面側の表面エネルギーをE(M)としたとき、これらは、E(B)>E(M)であることが望ましい。
なお、表面エネルギーは、水およびヨウ化メチレンの表面接触角から算出することができる。
【0040】
上記のように磁性層側表面粗度と、バック層側表面粗度との関係を規定し、かつ両層の接触率を制御したり、表面エネルギーについて制御したりすることによって、巻回により積層接触した際に、バック層側から磁性層側へ潤滑剤供給をスムーズに促すことができ、長期間走行を行った場合においても、潤滑剤切れを起こさず、低摩擦を維持することが可能となり、信頼性、走行安定性に優れた磁気記録媒体が得られる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の磁気記録媒体について、具体的な実施例を挙げて説明する。
以下に示す磁気記録媒体は、図1に示すように、長尺状の非磁性支持体1の一の主面上に、磁性層2、保護層3および潤滑剤層5が形成されてなり、他の主面上に、薄膜形成技術より形成されてなるバック層4が形成された構成を有するテープ状の磁気記録媒体であるものとする。
【0042】
〔実施例1〜7〕、〔比較例1〜6〕
非磁性支持体1としては、厚さ6μm、幅150mmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。
磁性層2は、下記条件により成膜された蒸着層であるものとする。
(磁性層の蒸着条件)
インゴット:Co100wt%
入射角:45〜10°
導入ガス:酸素ガス
酸素導入量:3.3×10−6m3/sec
蒸着時真空度:2×10−2Pa
磁性層の膜厚:100nm
保護層3は、下記条件によりプラズマCVD法で成膜されたダイヤモンドライクカーボン膜であるものとする。
(保護層の成膜条件)
反応ガス:トルエン
反応ガス圧:10Pa
導入電力:DC1.5kV
カーボン保護層の膜厚:10nm
バック層4は、下記条件によりスパッタ法で成膜されたカーボン膜であるものとする。
(バック層の成膜条件)
スパッタターゲット:カーボン
使用ガス:アルゴン
潤滑剤層5は、はフルオロカーボンを主骨格とし第3アミンにより変成した潤滑剤を塗布することにより形成した。フルオロカーボンはデムナム(商品名)を使用し、第3アミンはジメチルデシルアミンを使用し、塩構造をとるように合成した。
【0043】
磁性層側表面およびバック層側表面の粗度については、非磁性支持体中の分散フィラーの粒径を組み合わせることにより調整し、下記表1に示すように制御した。なお、表面粗度はDI社製AFM(Atomic Force Microscope)Nano−scope3を用いて測定した。
上述のようにして作製した磁気テープ原反を、6.35mm幅に裁断し、下記表1に示す〔実施例1〜7〕および〔比較例1〜6〕のサンプルテープを作製した。
【0044】
〔実施例1〜7〕、〔比較例1〜6〕のサンプル磁気テープを巻回し、磁性層形成面とバック層形成面との接触率を面積比率で測定した。接触率は表面粗度と表面硬度により所定の計算ソフトを用いて算出した。
【0045】
また、サンプル磁気テープの、それぞれの磁性層形成面とバック層形成面の表面エネルギーを、水とヨウカメチレンでの接触角を測定し、そこから計算によって算出した。
なお、比較例6においては、磁性層側に潤滑剤を塗布する前工程として、UV照射を行い、表面エネルギーの制御を行った。
【0046】
【表1】
【0047】
上述のようにして作製した〔実施例1〜7〕、〔比較例1〜6〕のサンプル磁気テープについて、バック層側(走行面)の摩擦係数、シャトル耐久性、およびシャトル走行後における磁性層側表面の潤滑剤量の測定を行った。なお、デッキとしてソニー製デジタルビデオ(VX−1000)を改造したものを用い、再生用磁気ヘッドとして、MRヘッドを適用した。
【0048】
バック層側(走行面)の摩擦係数としては、動摩擦係数を測定することとし、磁気テープの走行面側を、直径2mmのSUSガイドに抱き角90°となるように掛け、100pass摺動し、摩擦係数の最大値を動摩擦係数として測定することとした。この動摩擦係数値が0.4を超えるものは、走行によりガイドに貼り付いたり固定ガイドのテープ幅規制部に接触したりするものとして、NGであると判断した。
【0049】
シャトル耐久性としては、具体的には、磁気テープ全長に0.3μmの記録を行い、初期出力を基準として、500pass走行中において、最も出力の低い部分をレベルダウン量〔dB〕を評価した。レベルダウンが−3dB以内であれば、実用上充分な特性を有するものと判断した。
【0050】
シャトル走行後の磁性層側表面に存在する潤滑剤量は、SHIMADZU社製ESCAを用いて測定し、実施例1の磁気テープの、シャトル走行前における潤滑剤量を基準値1.0として相対値を表した。
【0051】
〔実施例1〜7〕、〔比較例1〜6〕のサンプル磁気テープのバック層形成面側(走行面)の摩擦係数、シャトル耐久性の評価、および走行後における磁性層形成面側の潤滑剤量の測定結果を下記〔表2〕に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
表1および表2に示すように、磁性層側表面粗度Ra(M)、バック層側表面粗度をRa(B)において、Ra(B)>Ra(M)であり、かつ2Ra(M)<Ra(B)<15Ra(M)であるものとした〔実施例1〜7〕の磁気テープにおいては、磁性層側表面において潤滑剤が充分に保持でき、テープの巻回によって走行面から磁性面への潤滑剤の補充供給がスムーズになされ、さらには、磁性層形成面とバック層形成面との接触率を面積比率で1〜20%の範囲に規定し、バック層形成面側の表面エネルギーをE(B)、磁性層形成面側の表面エネルギーをE(M)においてE(B)>E(M)であるものとしたことにより、適切な量の潤滑剤の転写がなされるようになり、長期間走行を行った場合においても潤滑剤切れを起こさず、かつ磁気ヘッドへの潤滑剤の付着も回避でき、低摩擦走行および高感度の再生特性が維持でき、信頼性および走行性の向上を図ることができた。
【0054】
比較例1の磁気テープは、磁性層形成面が平滑過ぎ、磁気ヘッドとの摩擦が高くなってしまい、磁気ヘッドの摺動特性が悪化し、実用上充分な再生特性が得られなかった。
【0055】
比較例2の磁気テープは、磁性層形成面が粗過ぎ、スペーシングにより電磁変換特性が悪化し、実用上充分な出力が得られなかった。
【0056】
比較例3の磁気テープは、走行面が平滑過ぎ、固定ガイドの幅規制部において磁気テープのエッジ部が乗り上げてしまい、走行不可となった。
【0057】
比較例4の磁気テープは、磁性層形成面とバック層形成面との接触率が面積比率で20%を超えているため、巻回により磁性層側に過剰な量の潤滑剤が転写されてしまい、シャトル走行途中でドラムへの貼り付きを生じた。また、シャトル走行後における磁性層側の潤滑剤量は、走行前と比較して150%を超えていることがわかった。
【0058】
比較例5の磁気テープは、磁性層形成面とバック層形成面との接触率が面積比率で1%未満となり、巻回により磁性層側に充分な量の潤滑剤が転写されず、レベルダウン量が大きくなった。また、シャトル走行後における磁性層側の潤滑剤量が50%未満であることがわかった。
【0059】
比較例6の磁気テープは、バック層形成面側の表面エネルギーをE(B)、磁性層形成面側の表面エネルギーをE(M)としたとき、E(B)<E(M)としたことにより、巻回により磁性層側に過剰な量の潤滑剤が供給されてしまい、シャトル走行時にクロッグが発生した。
【0060】
【発明の効果】
上述したことから明らかなように、本発明の磁気記録媒体によれば、磁性層側表面粗度Ra(M)、バック層側表面粗度をRa(B)において、Ra(B)>Ra(M)とし、かつ2Ra(M)<Ra(B)<15Ra(M)に規定したことにより、磁性層側表面において潤滑剤を充分に保持せしめることができ、また、テープの巻回によって走行面から磁性面への潤滑剤の補充供給をスムーズに行うことができた。
【0061】
また、磁性層形成面とバック層形成面との接触率を面積比率で1〜20%の範囲に規定し、バック層形成面側の表面エネルギーをE(B)、磁性層形成面側の表面エネルギーをE(M)においてE(B)>E(M)であるものとしたことにより、適切な量の潤滑剤の転写がなされるようになり、長期間走行を行った場合においても油膜切れを起こさず、かつ磁気ヘッドへの潤滑剤の付着も回避でき、低摩擦走行および高感度の再生特性が維持でき、信頼性および走行性の向上を図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例の概略構成図を示す。
【図2】磁性層を形成する真空蒸着装置の概略構成図を示す。
【図3】本発明の磁気記録媒体を構成する保護層、バック層形成用のCVD装置の概略構成図を示す。
【図4】本発明の磁気記録媒体を構成する保護層、バック層形成用のマグネトロンスパッタ装置の概略構成図を示す。
【符号の説明】
1……非磁性支持体、2……磁性層、3……保護層、4……バック層、5……潤滑剤層、10……磁気記録媒体、20……真空蒸着装置、21……排気口、22……真空室、23……送りロール、24……巻き取りロール、25……冷却キャン、27,28……ガイドロール、29……ルツボ、30……金属磁性材料、31……電子銃、32……シャッタ、34……酸素ガス導入管、40……CVD装置、41……真空排気系、42……真空室、43……送りロール、44……巻き取りロール、45……被処理体、46……対向電極用キャン、47……ガイドロール、48……反応管、49……電極、50……DC電源、60……マグネトロンスパッタ装置、61……チャンバー、62……真空ポンプ、63……バルブ、64……ガス導入管、65……冷却キャン、66……ターゲット、67……バッキングプレート、68……マグネット、71……被処理体、72……巻き出しロール、73……巻き取りロール
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜形成技術により形成された磁性層およびバック層を有する磁気記録媒体に係る。
【0002】
【従来の技術】
従来からオーディオテープ、ビデオテープ等の磁気テープとしては、非磁性支持体上に、酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の粉末磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機結合剤中に分散させた磁性塗料を塗布することにより作製される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が広く使用されていた。
【0003】
これに対して、高密度磁気記録への要求の高まりと共に、Co−Ni系合金、Co−Cr系合金、Co−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法等)によってポリエステルフィルムやポリアミド、ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着した、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体が提案され実用化されている。
【0004】
このような金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、抗磁力や角形比等に優れ、短波長での電磁変換特性に優れるばかりでなく、磁性層をきわめて薄層に形成できるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいこと、磁性層中に非磁性材であるバインダー(結合剤)が混入することが無いため、磁性材料の充填密度を高めることが出来ること等、数々の利点を有している。
【0005】
また、この種の磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させ、より大きな出力を得ることが出来るようにするために、磁性層を斜めに蒸着するいわゆる斜方蒸着が提案され実用化されている。
【0006】
上述したような金属薄膜型の磁気記録媒体においては、通常、耐久性や走行性等の改善を目的として、磁性層上に保護層を形成し、最外層に潤滑剤層を形成し、非磁性支持体の磁性層が形成されている側とは反対側の面にバック層を形成する構成が採られている。
【0007】
金属薄膜型の磁気記録媒体においては、高密度化に対応してスペーシングロスの低減化を図るために表面を平滑化する方向にあるが、磁性層表面が平滑になると磁気ヘッドに対する接触面積が大きくなるために、摩擦力が増大し、磁性層に生ずるせん断応力が大きくなる。このような厳しい摺動条件から磁性層を保護するために、保護層を形成することが重要である。
【0008】
また、磁気記録媒体の最外層には、潤滑剤を塗布して潤滑剤層を形成し、磁気ヘッドやガイドロールとの摺動を滑らかにすることが、耐久性と走行性の向上を図るために望ましい。
【0009】
また、バック層を形成することにより、表面の電気抵抗を下げ、帯電による走行不良を防止し、非磁性支持体の耐久性を向上させ、磁気テープ間の摩擦を低減化している(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
上述したように、磁気テープ等においては、磁性層形成面側に、記録用および/または再生用ヘッドとの直接コンタクトを避けるために、通常潤滑剤層が設けられているが、この潤滑剤層は、磁気ヘッドとの摺動によって容易には剥がれないものであることが必要である。
このような潤滑剤層の要求特性に応じて、保護層の表面の親水性接触角を規定し、潤滑剤の付着性を向上させる技術についての提案がなされている(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
しかしながら、潤滑剤が磁性層側に強固に付着するようにしても、長時間、多数回の摺動を通して常に剥がれず潤滑性を維持し続けるのは、実際問題として困難である。かかる問題点に鑑みて、磁性層側表面に潤滑剤層以外に、潤滑剤が流動するいわゆる潤滑剤自由層を設け、面内で潤滑剤層の補修作用を持たせたものについての提案もなされている。
【0012】
しかしながら、このような潤滑剤自由層は流動性に優れた機能を有していることから、走行により潤滑剤が剥離し、磁気ヘッドに付着して再生特性の劣化を生じたり、あるいは、巻き取りによって走行面へ過剰に移着したりすることによって潤滑剤の補修効果が得られなかったり、ガイドとの貼り付きによって走行性を悪化させたりする等の問題が生じていた。
【0013】
【特許文献1】
特開平8−249645号公報
【特許文献2】
特開平11−110743号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、非磁性支持体上に強磁性金属或いはその合金の薄膜からなる磁性層を有し、磁性層形成面とは反対側の面に薄膜形成技術によって成膜したバック層を有する磁気記録媒体において、磁性層側の表面粗度と、バック層側の表面粗度とを適切に制御することによって、磁気ヘッドと磁気記録媒体の接触時における、いわゆる潤滑剤切れを防止し、コンタクトを良好に保ち、低摩擦を維持し、保護層の摩滅による耐久性の劣化を回避し、高耐久性・走行安定性を兼ね備えた磁気記録媒体を提供することとした。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気記録媒体は、長尺状の非磁性支持体の一主面上に、強磁性金属薄膜よりなる磁性層を有し、磁性層形成面側とは他の主面上に薄膜形成技術より形成されてなるバック層を有するものであり、磁性層側表面粗度をRa(M)、バック層側表面粗度をRa(B)としたとき、Ra(B)>Ra(M)、かつ2Ra(M)<Ra(B)<15Ra(M)であるものとする。
【0016】
本発明によれば、磁性層表面の粗度とバック層側の表面粗度とを、上記のように制御することによって、磁気ヘッドと磁気記録媒体の接触時における、いわゆる潤滑剤切れが回避され、長期に亘り低摩擦を維持し、保護層の摩滅による耐久性の劣化を回避し、高耐久性・走行安定性の向上が図られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の磁気記録媒体の具体的な実施形態について説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
本発明の磁気記録媒体10の一例の概略断面図を図1に示す。
磁気記録媒体10は、長尺状の非磁性支持体1上に強磁性金属薄膜よりなる磁性層2、および保護層3が順次形成されてなり、磁性層2の形成面側とは反対側の主面にバック層4が形成されてなり、磁性層2の最表面に潤滑剤層5が設けられた構成を有している。
【0018】
非磁性支持体(ベースフィルム)1形成用材料としては、ポリエステル系が主に適用できる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタリンジカルボキシレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエートなどが挙げられる。特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好適なものとされ、これらのポリエステルはホモポリエステルやコポリエステルも適用することができる。
非磁性支持体1は膜厚が3〜10μm、好ましくは3〜8μmであるものとする。
【0019】
非磁性支持体1には、表面に径が数nm〜数十nmのフィラーを分散させることによって微細凹凸を付したり、その他リソグラフィー技術によって人工的に凹凸を形成したり、メッキや真空薄膜形成技術によって金属、無機化合物または有機高分子によって島状構造を形成したりする方法を用いて表面に微小突起を形成してもよい。
【0020】
磁性層2は、強磁性金属材料を直接被着することにより形成される。強磁性金属材料としては、通常の蒸着テープに使用されるものであればいずれも適用できる。例えば、Fe、Co、Ni等の強磁性金属、Fe−Co、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu 、Co−Cu、Cb−Au、Co−Pt、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられ、これらの単層膜であってもよいし多層膜であってもよい。
【0021】
非磁性支持体1と磁性層2の間、あるいは多層膜の場合には、各層間の付着力向上、並びに抗磁力の制御等のため、下地層や中間層を設けてもよい。また、例えば磁性層表面近傍は耐蝕性改善等のために酸化物となっていてもよい。磁性層2の形成手段としては、真空下で強磁性材料を加熱蒸発させ非磁性支持体上に沈着させる真空蒸着法や、強磁性金属材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放電を越こし生じたアルゴンイオンでターゲット表面の原子をたたき出すスパッタ法等、いわゆるPVD技術によればよい。
【0022】
次に、磁性層3の形成工程の一例として、図2に示すような連続巻き取り式の真空蒸着装置20を挙げ、真空蒸着によって磁性層を形成する場合について説明する。
この真空蒸着装置20においては、頭部と低部にそれぞれ設けられた排気口21から排気されて内部が真空状態となされた真空室22内に、送りロール23と、巻き取りロール24とが設けられ、これら送りロール23から巻き取りロール24に長尺状の非磁性支持体1が順次走行するようになされている。
【0023】
送りロール23から巻き取りロール24側に非磁性支持体1が走行する中途部には、冷却キャン25が設けられている。冷却キャン25は非磁性支持体1を図中下方に引き出すように設けられ定速回転する構成とされる。なお冷却キャン25には、内部に冷却装置(図示せず)が設けられ、非磁性支持体1の温度上昇よる変形等を抑制するようになされている。
また、送りロール23と冷却キャン25との間、および冷却キャン25と巻き取りロール24との間には、それぞれガイドロール27、28が設けられ、送り走行する非磁性支持体1に所定のテンションをかけ、円滑に走行するようになされている。
【0024】
真空室22内には、冷却キャン25の下方にルツボ29が設けられ、このルツボ29内に金属磁性材料30が充填されている。一方、真空室22の側壁部には、ルツボ29内に充填された金属磁性材料30を加熱蒸発させるための電子銃31が取り付けられている。この電子銃31は、放出される電子線Xが上記ルツボ29内の金属磁性材料30に照射されるような位置に配設される。そして、電子銃31によって蒸発した金属磁性材料30が冷却キャン25の周面を走行する非磁性支持体1上に磁性層2として被着形成されるようになっている。
【0025】
また、冷却キャン25とルツボ29との間であって、冷却キャン25の近傍に、シャッタ32が配設されている。このシャッタ32は、冷却キャン25の周面を定速走行する非磁性支持体1の所定領域を覆う形で設けられており、シャッタ32により金属磁性材料30が非磁性支持体1に対して所定の角度範囲で斜めに蒸着されるようになっている。さらに真空室22の側壁部を貫通して設けられている酸素ガス導入口34を介して非磁性支持体1の表面に酸素ガスが供給され、磁気特性、耐久性及び耐候性の向上が図られている。
【0026】
保護層3は、通常の金属磁性薄膜用保護層として一般に使用される材料により形成することができる。例えば、カーボン、CrO2、Al2O3、BN、Co酸化物、MgO、SiO2、Si3O4、SiN4、SiC、ZrO2、TiO2、TiC、Zn、Sn等が挙げられ、これらの単層膜であってもよいし多層膜であってもよい。
【0027】
バック層4は、例えば、カーボン、CrO2、Al2O3、BN、Co酸化物、MgO、SiO2、Si3O4、SiN4、SiC、ZrO2、TiO2、TiC等により形成することができる。バック層4は、これらの単層膜であってもよいし多層膜であってもよい。
【0028】
保護層3およびバック層4は、CVD法やスパッタ法等の薄膜形成技術によって形成する。
図3にCVD装置40の一例の概略構成図を示す。CVD装置40は、頭部に設けられた真空排気系41によって内部が高真空状態となされた真空室42内に、定速度で回転する送りロール43と巻き取りロール44とが設けられ、これら送りロール43から巻き取りロール44に、被処理体45が順次走行するようになされている。
【0029】
これら送りロール43から巻き取りロール44に被処理体45が走行する途中部には、対向電極用キャン46が設けられている。この対向電極用キャン46は、被処理体45を図中下方に引き出すように設けられ、図中の矢印A方向に定速度で回転する構成となされている。また、対向電極用キャン46には、内部に冷却機構(図示せず)が設けられ、被処理体45の温度上昇による変形等を抑制している。
従って被処理体45は、送りロール43から順次送り出され、冷却キャン46の周面を通過し、巻き取りロール44に巻き取られるようになされている。なお、送りロール43と対向電極用キャン46との間、および対向電極用キャン46と巻き取りロールとの間には、それぞれガイドロール47が設けられ、被処理体65に所定のテンションをかけ円滑に走行するようになされている。
【0030】
また、上記真空室42内には、対向電極用キャン46の下方にパイレックス(登録商標)ガラス、プラスチック等よりなる反応管48が設けられている。この反応管48は、一方の端部が真空室42の底部を貫通しており、この端部から成膜ガスが当該反応管48内に導入されるようになっている。
また、この反応管48内の中途部には、金属メッシュ等よりなる電極49が取り付けられている。この電極49は、外部に配設されたDC電源50と接続されており、500〜2000Vの電圧が印加されるようになっている。
このCVD装置では、この電極49に電圧が印加されることで、電極49と対向電極用キャン46との間にグロー放電が生じる。そして、反応管48内に導入された成膜ガスは、この生じたグロー放電によって分解し、被処理体45上に被着されることになる。
【0031】
図4にマグネトロンスパッタ装置60の一例の概略構成図を示す。マグネトロンスパッタ装置60においては、被処理体71が、巻き出しロール72から冷却キャン65を介して巻き取りロール73に巻き取られるようになされている。
チャンバー61内は、真空ポンプ62により例えば約10−4Pa程度にまで減圧された後、真空ポンプ62側へ排気するバルブ63の角度を絞ることにより、排気速度を落とすとともに、ガス導入管64からArガスが導入され、真空度を例えば約0.8Paとされる。
また、マグネトロンスパッタ装置60においては、例えば、−40℃に冷却され図中矢印方向Bに回転する冷却キャン65と、この冷却キャン65 と対向配置されるターゲット66とがそれぞれ設けられている。
ターゲット66は、カソード電極を構成するバッキングプレート67に支持されており、バッキングプレート67の裏側には、磁場を形成するマグネット68が配設されている。
【0032】
マグネトロンスパッタ装置60により製膜する際には、先ず、ガス導入管64からArガスを導入し、冷却キャン65をアノードとし、バッキングプレート67をカソードとして約3000Vの電圧を印加し、約1.4Aの電流が流れる状態を保つようにする。
電圧印加によりArガスがプラズマ化し、電離されたイオンがターゲット66に衝突することにより、ターゲット66の原子がはじき出される。ターゲット66の近傍に磁場が形成されているので、電離されたイオンはターゲット66の近傍に集中される。ターゲット66からはじき出された原子は、冷却キャン65の外周面に沿って走行する被処理体上に付着して成膜される。
【0033】
また、非磁性支持体1とバック層4の間には、スティッフネスを向上させる目的、耐食性向上のため水分の透過を防止する目的、非磁性支持体1とバック層4の付着力を向上させる目的、バック層成膜時のCVD用電極など、様々な用途で下地層を設けても良い。この下地層は金属・酸化物など、通常の水分バリア層や保護層として用いているものであれば、いずれであってもよい。
【0034】
本発明の磁気記録媒体は、上記構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更、例えば必要に応じて非磁性支持体1上に下塗層を形成したり、所望の位置に潤滑剤、防錆剤等の各種機能層を形成したりしてもよい。
【0035】
なお、バック層4側の表面粗度は、例えば、非磁性支持体1のバック面にフィラーを分散させたり、成膜後にエッチング等の手法により荒らしたり、粗さ制御した下地膜を形成することによって制御することができる。
【0036】
潤滑剤層5は、例えば従来公知のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布することによって形成することができる。
【0037】
磁気記録媒体は、全体の膜厚が10μm以下であることが望ましい。
本発明においては、磁性層側表面粗度をRa(M)とし、バック層側表面粗度をRa(B)としたとき、Ra(B)>Ra(M)とし、かつ2Ra(M)<Ra(B)<15Ra(M)となるように制御する。
また、走行安定性を良好に保持し、磁気ヘッドの安定した摺動状態を維持するため、1.0nm<Ra(M)<5.0nmとし、Ra(B)≧6.0nmとすることが望ましい。
なお、磁性層側、およびバック層側の表面粗度は、例えば、DI社製AFM(Atomic Force Microscope)Nano−scope3により測定することができる。
【0038】
また、磁気記録媒体10を巻回し、磁性層側とバック層側とを積層接触させたときの接触率は、面積比率で1〜20%とすることが望ましい。接触率は、例えば、DI社製AFM(Atomic Force Microscope)Nano−scope3により測定した両面の粗度および両層の表面硬度を考慮して算出することができる。
【0039】
また、本発明の磁気記録媒体におけるバック層形成面側の表面エネルギーをE(B)とし、磁性層形成面側の表面エネルギーをE(M)としたとき、これらは、E(B)>E(M)であることが望ましい。
なお、表面エネルギーは、水およびヨウ化メチレンの表面接触角から算出することができる。
【0040】
上記のように磁性層側表面粗度と、バック層側表面粗度との関係を規定し、かつ両層の接触率を制御したり、表面エネルギーについて制御したりすることによって、巻回により積層接触した際に、バック層側から磁性層側へ潤滑剤供給をスムーズに促すことができ、長期間走行を行った場合においても、潤滑剤切れを起こさず、低摩擦を維持することが可能となり、信頼性、走行安定性に優れた磁気記録媒体が得られる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の磁気記録媒体について、具体的な実施例を挙げて説明する。
以下に示す磁気記録媒体は、図1に示すように、長尺状の非磁性支持体1の一の主面上に、磁性層2、保護層3および潤滑剤層5が形成されてなり、他の主面上に、薄膜形成技術より形成されてなるバック層4が形成された構成を有するテープ状の磁気記録媒体であるものとする。
【0042】
〔実施例1〜7〕、〔比較例1〜6〕
非磁性支持体1としては、厚さ6μm、幅150mmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。
磁性層2は、下記条件により成膜された蒸着層であるものとする。
(磁性層の蒸着条件)
インゴット:Co100wt%
入射角:45〜10°
導入ガス:酸素ガス
酸素導入量:3.3×10−6m3/sec
蒸着時真空度:2×10−2Pa
磁性層の膜厚:100nm
保護層3は、下記条件によりプラズマCVD法で成膜されたダイヤモンドライクカーボン膜であるものとする。
(保護層の成膜条件)
反応ガス:トルエン
反応ガス圧:10Pa
導入電力:DC1.5kV
カーボン保護層の膜厚:10nm
バック層4は、下記条件によりスパッタ法で成膜されたカーボン膜であるものとする。
(バック層の成膜条件)
スパッタターゲット:カーボン
使用ガス:アルゴン
潤滑剤層5は、はフルオロカーボンを主骨格とし第3アミンにより変成した潤滑剤を塗布することにより形成した。フルオロカーボンはデムナム(商品名)を使用し、第3アミンはジメチルデシルアミンを使用し、塩構造をとるように合成した。
【0043】
磁性層側表面およびバック層側表面の粗度については、非磁性支持体中の分散フィラーの粒径を組み合わせることにより調整し、下記表1に示すように制御した。なお、表面粗度はDI社製AFM(Atomic Force Microscope)Nano−scope3を用いて測定した。
上述のようにして作製した磁気テープ原反を、6.35mm幅に裁断し、下記表1に示す〔実施例1〜7〕および〔比較例1〜6〕のサンプルテープを作製した。
【0044】
〔実施例1〜7〕、〔比較例1〜6〕のサンプル磁気テープを巻回し、磁性層形成面とバック層形成面との接触率を面積比率で測定した。接触率は表面粗度と表面硬度により所定の計算ソフトを用いて算出した。
【0045】
また、サンプル磁気テープの、それぞれの磁性層形成面とバック層形成面の表面エネルギーを、水とヨウカメチレンでの接触角を測定し、そこから計算によって算出した。
なお、比較例6においては、磁性層側に潤滑剤を塗布する前工程として、UV照射を行い、表面エネルギーの制御を行った。
【0046】
【表1】
【0047】
上述のようにして作製した〔実施例1〜7〕、〔比較例1〜6〕のサンプル磁気テープについて、バック層側(走行面)の摩擦係数、シャトル耐久性、およびシャトル走行後における磁性層側表面の潤滑剤量の測定を行った。なお、デッキとしてソニー製デジタルビデオ(VX−1000)を改造したものを用い、再生用磁気ヘッドとして、MRヘッドを適用した。
【0048】
バック層側(走行面)の摩擦係数としては、動摩擦係数を測定することとし、磁気テープの走行面側を、直径2mmのSUSガイドに抱き角90°となるように掛け、100pass摺動し、摩擦係数の最大値を動摩擦係数として測定することとした。この動摩擦係数値が0.4を超えるものは、走行によりガイドに貼り付いたり固定ガイドのテープ幅規制部に接触したりするものとして、NGであると判断した。
【0049】
シャトル耐久性としては、具体的には、磁気テープ全長に0.3μmの記録を行い、初期出力を基準として、500pass走行中において、最も出力の低い部分をレベルダウン量〔dB〕を評価した。レベルダウンが−3dB以内であれば、実用上充分な特性を有するものと判断した。
【0050】
シャトル走行後の磁性層側表面に存在する潤滑剤量は、SHIMADZU社製ESCAを用いて測定し、実施例1の磁気テープの、シャトル走行前における潤滑剤量を基準値1.0として相対値を表した。
【0051】
〔実施例1〜7〕、〔比較例1〜6〕のサンプル磁気テープのバック層形成面側(走行面)の摩擦係数、シャトル耐久性の評価、および走行後における磁性層形成面側の潤滑剤量の測定結果を下記〔表2〕に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
表1および表2に示すように、磁性層側表面粗度Ra(M)、バック層側表面粗度をRa(B)において、Ra(B)>Ra(M)であり、かつ2Ra(M)<Ra(B)<15Ra(M)であるものとした〔実施例1〜7〕の磁気テープにおいては、磁性層側表面において潤滑剤が充分に保持でき、テープの巻回によって走行面から磁性面への潤滑剤の補充供給がスムーズになされ、さらには、磁性層形成面とバック層形成面との接触率を面積比率で1〜20%の範囲に規定し、バック層形成面側の表面エネルギーをE(B)、磁性層形成面側の表面エネルギーをE(M)においてE(B)>E(M)であるものとしたことにより、適切な量の潤滑剤の転写がなされるようになり、長期間走行を行った場合においても潤滑剤切れを起こさず、かつ磁気ヘッドへの潤滑剤の付着も回避でき、低摩擦走行および高感度の再生特性が維持でき、信頼性および走行性の向上を図ることができた。
【0054】
比較例1の磁気テープは、磁性層形成面が平滑過ぎ、磁気ヘッドとの摩擦が高くなってしまい、磁気ヘッドの摺動特性が悪化し、実用上充分な再生特性が得られなかった。
【0055】
比較例2の磁気テープは、磁性層形成面が粗過ぎ、スペーシングにより電磁変換特性が悪化し、実用上充分な出力が得られなかった。
【0056】
比較例3の磁気テープは、走行面が平滑過ぎ、固定ガイドの幅規制部において磁気テープのエッジ部が乗り上げてしまい、走行不可となった。
【0057】
比較例4の磁気テープは、磁性層形成面とバック層形成面との接触率が面積比率で20%を超えているため、巻回により磁性層側に過剰な量の潤滑剤が転写されてしまい、シャトル走行途中でドラムへの貼り付きを生じた。また、シャトル走行後における磁性層側の潤滑剤量は、走行前と比較して150%を超えていることがわかった。
【0058】
比較例5の磁気テープは、磁性層形成面とバック層形成面との接触率が面積比率で1%未満となり、巻回により磁性層側に充分な量の潤滑剤が転写されず、レベルダウン量が大きくなった。また、シャトル走行後における磁性層側の潤滑剤量が50%未満であることがわかった。
【0059】
比較例6の磁気テープは、バック層形成面側の表面エネルギーをE(B)、磁性層形成面側の表面エネルギーをE(M)としたとき、E(B)<E(M)としたことにより、巻回により磁性層側に過剰な量の潤滑剤が供給されてしまい、シャトル走行時にクロッグが発生した。
【0060】
【発明の効果】
上述したことから明らかなように、本発明の磁気記録媒体によれば、磁性層側表面粗度Ra(M)、バック層側表面粗度をRa(B)において、Ra(B)>Ra(M)とし、かつ2Ra(M)<Ra(B)<15Ra(M)に規定したことにより、磁性層側表面において潤滑剤を充分に保持せしめることができ、また、テープの巻回によって走行面から磁性面への潤滑剤の補充供給をスムーズに行うことができた。
【0061】
また、磁性層形成面とバック層形成面との接触率を面積比率で1〜20%の範囲に規定し、バック層形成面側の表面エネルギーをE(B)、磁性層形成面側の表面エネルギーをE(M)においてE(B)>E(M)であるものとしたことにより、適切な量の潤滑剤の転写がなされるようになり、長期間走行を行った場合においても油膜切れを起こさず、かつ磁気ヘッドへの潤滑剤の付着も回避でき、低摩擦走行および高感度の再生特性が維持でき、信頼性および走行性の向上を図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例の概略構成図を示す。
【図2】磁性層を形成する真空蒸着装置の概略構成図を示す。
【図3】本発明の磁気記録媒体を構成する保護層、バック層形成用のCVD装置の概略構成図を示す。
【図4】本発明の磁気記録媒体を構成する保護層、バック層形成用のマグネトロンスパッタ装置の概略構成図を示す。
【符号の説明】
1……非磁性支持体、2……磁性層、3……保護層、4……バック層、5……潤滑剤層、10……磁気記録媒体、20……真空蒸着装置、21……排気口、22……真空室、23……送りロール、24……巻き取りロール、25……冷却キャン、27,28……ガイドロール、29……ルツボ、30……金属磁性材料、31……電子銃、32……シャッタ、34……酸素ガス導入管、40……CVD装置、41……真空排気系、42……真空室、43……送りロール、44……巻き取りロール、45……被処理体、46……対向電極用キャン、47……ガイドロール、48……反応管、49……電極、50……DC電源、60……マグネトロンスパッタ装置、61……チャンバー、62……真空ポンプ、63……バルブ、64……ガス導入管、65……冷却キャン、66……ターゲット、67……バッキングプレート、68……マグネット、71……被処理体、72……巻き出しロール、73……巻き取りロール
Claims (6)
- 長尺状の非磁性支持体の一主面上に、強磁性金属薄膜よりなる磁性層を有し、当該磁性層形成面側とは他の主面上に、薄膜形成技術より形成されてなるバック層を有する磁気記録媒体であって、
上記磁性層側表面粗度をRa(M)とし、上記バック層側表面粗度をRa(B)としたとき、
Ra(B)>Ra(M)であり、
2Ra(M)<Ra(B)<15Ra(M)であることを特徴とする磁気記録媒体。 - 1.0nm<Ra(M)<5.0nmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- Ra(B)≧6.0nmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 上記磁性層形成面の最表面に潤滑剤層が形成されてなり、
当該潤滑剤層における、シャトル走行後の潤滑剤量が、シャトル走行前に比較して、50%以上150%以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。 - 巻回することにより、上記磁性層形成面と上記バック層形成面とが接触したとき、接触率が、面積比率で1〜20%であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 上記バック層形成面側の表面エネルギーをE(B)とし、上記磁性層形成面側の表面エネルギーをE(M)としたとき、
E(B)>E(M)であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
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