JP2005100535A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた電磁変換特性、アーカイブ性を有し、走行耐久性、及び保存耐久性にも優れた信頼性の高い磁気テープ媒体を低コストで作製する。
【解決手段】 ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミドのうちのいずれかよりなる長尺状の基体1上に、コバルトの含有量が7〜15重量%のコバルト含有マグヘマイト薄膜よりなる磁性層2が形成された磁気記録媒体に関し、面内方向の磁気特性について、保磁力Hcを143〜239kA/m、残留磁化Mrと磁性層膜厚tとの積Mrtを0.2〜2memu/cm2、飽和磁化Msと残留磁化Mrとの比Ms/Mrを0.5以上に特定する。
【選択図】図1

Description

本発明はテープ状の磁気記録媒体に関するものであり、特に、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)や、巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)を用いたシステムにおいて高密度記録が実現され、かつ保存安定性についても優れた磁気記録媒体を提供するものである。
近年、磁気記録媒体においては、大容量のデータを取り扱うために、高密度記録化への要求が益々高まってきている。特に最近では、さらなる高密度記録化を達成するために、記録信号の再生を行う際に用いる磁気ヘッドについて、従来の誘導型ヘッドに代わり磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)や、巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)のような高感度型磁気ヘッドが適用されるようになってきており、ハードディスクだけではなく、いわゆる磁気テープに対しても適用されるようになってきている。
このような高密度型の磁気記録媒体としては、従来、いわゆるスパッタリング法や真空蒸着法によって磁性層を形成した金属薄膜型の磁気記録媒体が適用されており、上述したような高感度型磁気ヘッドを用いて記録密度を向上させるために磁性層を薄膜化し、更なる高保磁力化、低ノイズ化を図ることが要求されている。また、高密度記録化とともに、長期に亘って信号品質の劣化を起こすことなく保存が可能な、いわゆるアーカイブ性に対する要求も厳しくなってきている。
上述したような磁気記録媒体に対する種々の要求を満足するものとして、対向ターゲット式スパッタリング法によってコバルト含有マグヘマイト薄膜の磁性層を形成した構成のハードディスク用の垂直記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。対向ターゲット式スパッタ法については、例えば特許文献4〜10参照。)。
このようなコバルト含有マグヘマイト薄膜は、金属薄膜型の磁性層に比べ、保存安定性に優れ、かつ膜の硬度が高く耐久性に優れており、またスパッタ法により成膜するため粒子径が微細で従来の蒸着型の磁気テープに比べてさらなる低ノイズ化が可能であるという利点を有している。
一方、磁気テープに関しては、例えば次世代の高密度型の磁気記録媒体として金属薄膜型の磁気テープが有力なものとして実用化されているが、耐食性に関しては塗布型の磁気テープより劣るという課題を有しており、データを長期に亘って保存する特性(アーカイブ性)については未だ解決課題を残している。
また、MRヘッドやGMRヘッドで信号の再生を行う場合、磁気ヘッドの飽和を回避するべく磁性層を一層薄くすることが必要となるが、保磁力が低下し、安定した信号記録が困難になるという問題がある。
また、磁気ヘッドが高感度になるに従い、媒体側に起因するノイズをさらに低減化させることが重要となってくるが、磁性層を構成する磁性粒子の微細化には製造工程上の制限があり、未だノイズの低減化についても課題を残していると言える。
特開平11−328651号公報 特開平11−328652号公報 特開2001−250216号公報 特開平3−56667号公報 特開平3−69010号公報 特開平2−4964号公報 特開2002−173771号公報 特開2002−173767号公報 特開平10−330936号公報 特開平10−46330号公報
上述したことから、コバルトを主体とする磁性層を有する磁気テープについて課題となっていたアーカイブ性や記録信号の安定性、低ノイズ化等の課題を解決するために、コバルト含有マグヘマイト薄膜よりなる磁性層をテープ媒体に応用することが提案された。
しかしながら、ハードディスク用の磁性層の設計をそのまま磁気テープに適用することはできない。
すなわち、磁気ヘッドが磁性層形成面に接することなく、浮上している状態で信号の記録再生動作がなされるハードディスクと異なり、磁気テープにおいては、媒体と磁気ヘッドとが高速で接触摺動するため、両者の磨耗についての検討を行う必要があり、記録層表面に、スペーシングにより出力が低下しない程度に粗度を設けて摩擦を低減化させたり、製品としての信頼性の向上を図るべく、保護層や潤滑剤層を設けたりすることも必要となってくる。
具体的には、上記特許文献3に、基板上にマグヘマイト薄膜が形成された構成を有し、マグヘマイト薄膜の膜厚と表面平均粗さRaと保磁力角型比を特定することにより、磁気特性の向上を図ったハードディスク媒体に関する提案がなされてはいるが、ハードディスク装置においては、磁気ヘッドが媒体上を直接摺動することがなく、またパッケージングによって密閉状態となっていることから、磁気ヘッドとの摩擦による影響、及び外部雰囲気や微細な粉塵等による磁性層への影響及び磁気ヘッドの破損の問題に関してもテープシステムの方がより深刻であると考えられ、磁気テープ媒体に関しては、より精密な磁気特性や表面形状の設計が必要となる。
そこで本発明においては、上述した問題に鑑みて、コバルト含有マグヘマイト薄膜よりなる磁性層の利点を生かしつつ、プラスチックフィルムよりなる基体上に磁性層が形成された構成の、特にテープ型の磁気記録媒体について、従来問題となっていたアーカイブ性や記録信号の安定性、低ノイズ化等の課題の解決を図り、同時に走行安定性、走行耐久性等の信頼性の観点からも解決を図ることを目的とした。
本発明においては、磁気抵抗効果型磁気ヘッド、又は巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドに適用されるテープ状の磁気記録媒体であって、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミドのうちのいずれかよりなる長尺状の基体上に、コバルトの含有量が7〜15重量%のコバルト含有マグヘマイト薄膜よりなる磁性層を有してなり、面内方向の磁気特性が、保磁力Hc=1800〜3000Oe(143〜239kA/m)、残留磁化Mrと磁性層膜厚tとの積Mrt=0.2〜2memu/cm2、飽和磁化Msと残留磁化Mrとの比Ms/Mrが0.5以上である磁気記録媒体を提供する。
これにより、コバルト含有マグヘマイト薄膜よりなる磁性層を磁気テープ媒体に適用したときに最適な磁気特性の設定がなされる。
本発明によれば、電磁変換特性、アーカイブ性に優れ、耐久性、安定性に優れた高い信頼性を有するテープ型の磁気記録媒体が得られた。
また、磁性層形成面側に、高さが5〜30nmの微小突起を、0.5×108〜5.0×108個/mm2の割合で形成したことにより、優れた電磁変換特性、良好な走行安定性、走行耐久性が得られ、かつ磁気ヘッドとの磨耗による出力低下を効果的に回避することができた。
本発明の磁気記録媒体の具体的な実施形態について説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
本発明の磁気記録媒体10の一例の概略断面図を図1に示す。磁気記録媒体10は、長尺状で非磁性の基体1の一の主面上に、直接磁性層2が形成されてなり、この磁性層2上に保護層3及び潤滑剤層4が順次形成された構成を有している。
基体1は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アラミド(芳香族ポリアミド)のいずれかよりなるものとする。
基体1の磁性層形成面側には、高さ5〜30nmの微小突起が、5×106〜3×107個/mm2の割合で形成されていることが望ましい。
突起の高さが5nm未満であると磁気ヘッドとの摺動による走行耐久性が充分に確保できなくなり、30nmを超えるとスペーシングによる出力の低下やノイズの原因となるからである。
また、突起が5×106個/mm2未満であると、走行耐久性が充分に得られず、3×107個/mm2を超えると表面が粗くなりすぎ、ノイズの原因となる。
磁性層2は、コバルト含有マグヘマイト薄膜(Co−γFe23)よりなるものとし、コバルトの含有量は7〜15重量%であるものとする。
コバルト含有量が7重量%未満であると、充分な保磁力Hcが確保できなくなり、15重量%を超えると、高温高湿環境下において長時間保存した場合に錆が発生してしまい、耐食性の低下を招来する。
磁性層2はコバルト含有マグヘマイト薄膜の面内配向膜であり、面内方向の保磁力Hcは、低ノイズでかつ高分解能であることを実現するために、1800Oe(143kA/m)以上を保つ必要がある。但し3000Oe(239kA/m)を超えると、充分に信号を記録することができなくなり再生出力が低下する。上述したことから、保磁力Hcは1800〜3000Oe(143〜239kA/m)とすることが好適である。
磁性層2を構成するコバルト含有マグヘマイト薄膜の残留磁化量Mrと、磁性層膜厚tとの積Mr・tは0.2〜2memu/cm2であることが好ましい。
Mr・tが0.2memu/cm2未満であると、充分な再生出力が得られなくなり、2memu/cm2を越えると再生用のGMRヘッドが飽和してしまい、再生出力に歪が生じるためである。
残留磁化量Mrと磁性層膜厚tとの積Mr・tは、0.2〜2memu/cm2の範囲であれば、残留磁化量Mr及び磁性層膜厚tは任意に設定することができるが、残留磁化量Mrは200〜400emu/ccとすることが好ましい。
また、磁性層2の膜厚tは、最終的に得られる磁気テープのカッピングを低減化させるために薄層とすることが望ましいが、磁性層の膜厚を10nm未満とすると、実用充分な保磁力Hcを得ることが困難になるという問題がある。
一方、膜厚tが厚いと、保磁力Hcが高くなる傾向にあるが、GMRヘッドのような高感度磁気ヘッドを適用する場合、磁性層が50nmよりも厚いと磁性層2を構成する磁性粒子が大きくなるためノイズが高くなってしまう。また、基体1上に形成した表面突起の走行耐久性に対する効果が充分に得られなくなる。上述したことから磁性層2の膜厚tは10〜50nmとすることが好適である。
さらに、磁性層の飽和磁化Msと残留磁化Mrとの比Ms/Mrは0.5以上であるものとする。これにより優れたC/N特性が実現される。
なお、磁性層2の面内配向を高め、結晶粒子の微細化を促進するため、また基体1の変形を抑制するために、基体1と磁性層2との間に、任意の材料、例えば酸化物膜や非磁性金属膜よりなる下地層(図示せず)を形成してもよい。
磁性層上には、耐久性、耐候性を向上させるため、硬質炭素等の保護層3を形成する。
保護層3の膜厚は1〜10nmであることが好ましい。
保護層3が1nm未満であると充分な耐久性が得られず、10nmよりも厚く形成すると、スペーシングが増加して短波長記録を行う際に充分な出力が得られなくなるおそれがある。
保護層3は、従来公知の金属磁性薄膜型の磁気記録媒体用の保護層として使用されているものであれば、いずれも適用できる。特に磁気ヘッドの磨耗の低減化を図るためにはプラズマCVD法により形成した、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)薄膜が好適である。その他、CrO2、Al23、BN、Co酸化物、MgO、SiO2、Si34、SiN、SiC、SiNx−SiO2、ZrO2、TiO2、TiC等が挙げられる。
さらに、磁性層形成面側の最表面には、潤滑剤層4を形成することにより、磁気記録媒体の走行性を高めるようにすることが望ましい。
また基体1の磁性層形成面とは反対側の面にバック層を設けても良い。バック層としては、カーボンを主成分とするものが挙げられる。
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法について説明する。
先ず、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アラミド(芳香族ポリアミド)のいずれかよりなる基体1を用意する。
次に、基体1の一主面上にコバルト含有マグネタイト薄膜をスパッタリング法によって形成する。
具体的には、連続搬送する基体(プラスチックフィルム)上に、コバルト含有鉄合金のターゲットを用いて酸素を導入しながら反応スパッタを行うことにより、基体1上にコバルト含有マグネタイト膜を形成し、次に、このコバルト含有マグネタイト膜を酸化処理することによってコバルト含有マグヘマイト膜とする。
ターゲットに使用する鉄コバルト合金中のコバルト含有量は7〜15重量%であるものとし、最終的に得る磁性層2がコバルト含有量7〜15重量%のコバルト含有マグヘマイト薄膜となるようにする。コバルト含有量を増加させると、保磁力Hcを高くすることができ、実用上充分な保磁力Hcを得るためには磁性層2中のコバルト含有量を7重量%以上とすることが必要である。特に、後述する酸化処理時の加熱温度を可能な限り低くしつつ高いHcを得るためには、コバルトの含有量は多いほうが望ましいが、15重量%を超えると磁気テープの経時安定性が低下するため、コバルト含有量は7〜15重量%に特定する。
スパッタ法は特に限定されるものではなく、RFマグネトロンスパッタ法や、ECRスパッタ法、対向ターゲット式スパッタ法等、いずれの方法も適用することができる。これらのスパッタ法においては、それぞれ酸素流量とガス圧、投入電力を任意に制御しながらコバルト含有マグネタイト膜を形成する。
上記スパッタ法によるコバルト含有マグネタイト薄膜形成工程においては、基体1の温度は室温程度(20〜50℃)とする。
従来公知のハードディスク作製工程におけるコバルト含有マグヘマイト薄膜形成工程においては、面内配向膜を成膜するために、基体を200℃程度に加熱することが必要とされていたが、基体1に汎用プラスチックフィルムを適用することを考慮すると、基体1を高温に加熱することは望ましくない。また、スパッタプラズマ等に曝されることによって、温度上昇により基体が変形する場合もある。よって、コバルト含有マグネタイト薄膜形成工程においては、例えば基体1を冷却させながらスパッタ成膜することが望ましく、例えば、内部に冷却機構を具備するキャン(冷却キャン)の周面に走行させて磁性層形成面とは反対側の面を冷却させながらスパッタ成膜を行うことが望ましい。
次に、コバルト含有マグネタイト薄膜を酸化処理し、コバルト含有マグヘマイト薄膜とする。
マグヘマイト薄膜形成工程としては、大気中で高温に保持したキャンに接触させ搬送する方法(大気中アニール処理)が一般的に知られているが、この場合、基体1の温度を200℃〜300℃程度に保持して長時間加熱するため、PETやPEN等の汎用性のプラスチックフィルムを基体として用いることはできない。よって大気中アニール処理による場合には、基体1としては耐熱性を有するアラミド(芳香族ポリアミド)を適用する必要がある。また、この場合においても基体1の走行面を冷却キャンで冷却し、磁性層側を例えばハロゲンランプ等の加熱手段によって加熱するようにすることが望ましい。
コバルト含有マグヘマイト薄膜を形成する他の手法としては、150℃以下の低温でも酸化処理が可能な、プラズマ活性化された酸素イオンを数秒間照射する方法(プラズマ酸化法)、及び酸素含有ガス雰囲気下で紫外線照射するUVオゾン処理法等が挙げられる。
これらの場合には、インラインで比較的短時間の処理が可能であり、基体1にPETフィルムやPENフィルム等を適用することが可能になる。
なお、これらの手法による場合においても、基体1側を冷却キャンで冷却し、磁性層側を例えばハロゲンランプ等の加熱手段によって加熱するようにすることが望ましい。
次に、磁性層2上に保護層3を形成する。保護層3は、スパッタリング法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成することができる。具体的に、プラズマCVD法によりDLC(ダイヤモンドライクカーボン)薄膜を形成する場合には、膜形成材料の炭素化合物としては、例えば炭化水素系、ケトン系、アルコール系等の従来公知の材料を適用することができる。また、プラズマ生成時には、炭素化合物の分解を促進するためのガスとして、アルゴンや水素等を導入してもよい。
保護層3は、その他、CrO2、Al23、BN、Co酸化物、MgO、SiO2、Si34、SiN、SiC、SiNx−SiO2、ZrO2、TiO2、TiC等よりなる薄膜としてもよい。保護層3の膜厚は1〜10nmとする。
さらに、磁性層形成面側の最表面には潤滑剤層4を形成する。
また基体1の磁性層形成面とは反対側の面に必要に応じてバック層を形成する。バック層はウエットプロセスあるいはドライプロセス等、従来公知の方法により形成することができる。
以下、本発明について、具体的な例を挙げて説明する。
〔実施例1〕
基体1として、表面に高さ20nmの微細突起が2×107個/mm2の割合で形成された膜厚4.4μmのアラミドフィルムを用意した。
次に、対向ターゲット式スパッタ装置を用い、反応スパッタ法により基体1とターゲットとの距離を150mmに設定して、10m/minの送り速度で搬送させた基体1上に、室温(30℃)で全圧0.30Pa、アルゴン20sccm、酸素30sccmの流量中で、Fe+7重量%Co金属合金ターゲットをスパッタリングして、コバルト含有量が7重量%のマグネタイト薄膜を形成した。
さらに連続してプラズマ酸化処理を行い、Co含有マグヘマイト薄膜よりなる膜厚30nmの磁性層2を形成した。
次に、基体1を5m/minの送り速度で搬送させ、アルゴン20sccm、全圧0.20Paとし、スパッタ法によりカーボン膜よりなる保護層3を膜厚5nmに形成した。
その後、保護層3上にパーフルオロポリエーテルを塗布して潤滑剤層4を形成し、さらに、磁性層形成面側とは反対側の面に、カーボンブラック、炭酸カルシウム、ポリエステル樹脂、ニトロセルロース樹脂を主成分とした塗料を塗布することにより、バック層を形成した。その後、8mm幅にスリットしてサンプルとなる磁気テープを作製した。
上述のようにして作製したサンプル磁気テープの磁気特性を「振動試料型磁力計 VSM」を用いて測定した。このとき最大印加磁界を15kOeとした。
実施例1のサンプル磁気テープにおける保磁力Hcは2400Oe(191kA/m)、残留磁化量Mrと磁性層膜厚tとの積Mr・tは1.0memu/cm2、飽和磁化Msと残留磁化Mrとの比Ms/Mrは0.5であった。
なお、実用上充分な保磁力Hcは1800Oe(143kA/m)以上であるものとて評価することとした。
静磁気特性及びカッピングについては、各磁気テープが実用上規定の範囲内であることを確認した。
〔実施例2〜8〕、〔比較例1〜6〕
基体の材料(表面形状は実施例1と同様とする)、基体の膜厚、磁性層のCo含有量、磁性層の膜厚を変え、磁性層の保磁力Hc、残留磁化量Mrと磁性層膜厚tとの積Mr・t、飽和磁化Msと残留磁化Mrとの比Ms/Mrを制御し、それぞれサンプル磁気テープを作製した。その他の製造条件は上記実施例1と同様とする。
上述のようにして作製した各サンプル磁気テープについて、ドラムテスタを用いて周波数特性(f特性)、及びC/Nを評価した。記録にはトラック幅20μmの薄膜ヘッド、再生にはトラック幅7μmのMRヘッド(市販のMicroMV用再生ヘッド)を用いた。また磁気テープと磁気ヘッドとの相対速度が6.8m/sになるようにドラムの回転速度を制御した。
周波数特性(f特性)は、記録周波数1〜30MHzの範囲で記録し、出力のピークから6dB減少した線記録密度をD50として評価した。D50は150kfci以上を許容とした。
C/Nは、記録周波数15MHzの出力と15MHz±1MHzのノイズの平均の差より求めた。C/Nの測定には、リファレンスとしてソニー製MICROMV用テープ(商品名MGR60)を用い、リファレンス+0dB以上を許容とした。
また、上述のようにして作製した各サンプル磁気テープの保存耐久性についての評価を行った。
65℃90%RHの環境下、8週間磁気テープを保存した後、残留磁化Mrと磁性層膜厚tとの積Mrtを測定し、保存の前後におけるMrtの減少率が10%以下であれば、実用上許容(○)とし、Mrtの減少率が10%を超えた場合は実用上不適当(×)として評価した。
さらに、各サンプル磁気テープの走行耐久性についての評価を行った。
ドラムテスタを用いて再生出力を測定し、1時間走行後の出力の低下が1.5dB以内であれば、実用上許容(○)とし、出力の低下が1.5dBを上回れば実用上不適当(×)として評価した。
各サンプル磁気テープの作製条件(基体、磁性層のCo含有量、磁性層膜厚t、保磁力Hc、残留磁化量Mrと磁性層膜厚tとの積Mr・t、飽和磁化Msと残留磁化Mrとの比Ms/Mr)、及び特性評価(周波数特性、C/N、保存耐久性、及び走行耐久性)について下記表1に示す。
Figure 2005100535
表1に示すように、磁性層を構成するマグヘマイト薄膜のコバルト含有量を7〜15重量%とし、面内方向の磁気特性が、保磁力Hc=143〜239kA/m、残留磁化Mrと磁性層膜厚tとの積Mrt=0.2〜2memu/cm2、飽和磁化Msと残留磁化Mrとの比Ms/Mrが0.5以上となるようにした実施例1〜8の磁気テープにおいては、いずれも実用上優れた周波数特性、C/Nが得られ、保存耐久性及び走行耐久性についても良好な評価が得られた。
一方、比較例1においては、マグヘマイト薄膜中のCoの含有量が多すぎ、磁性層の微細構造が悪化したためノイズの原因となりC/Nが劣化した。また、高温高湿環境下において錆が発生し、保存耐久性について良好な評価が得られなかった。
比較例2においては、飽和磁化Msと残留磁化Mrとの比Ms/Mrが小さく、磁化方向の乱れによってノイズが大きくなってしまい、C/Nが劣化した。
比較例3においては、マグヘマイト薄膜中のCoの含有量が少なく、保磁力Hcが低すぎるため、実用上充分なC/Nが得られなかった。
比較例4においては、保磁力Hcが低すぎ、かつ飽和磁化Msと残留磁化Mrとの比Ms/Mrが小さすぎるため、周波数特性及びC/Nが劣化した。
比較例5においては、磁性層を厚く形成したため残留磁化Mrと磁性層膜厚tとの積Mrtが大きくなりすぎ、磁気ヘッドが飽和してしまい、周波数特性及びC/Nの評価を行うことができなかった。
比較例6においては、マグヘマイト薄膜中のCoの含有量が少なく、保磁力Hcが低すぎるため、実用上充分なC/Nが得られなかった。また磁性層が極めて厚く、表面形状が悪化したため、走行耐久性が劣化した。
上述したことから明らかなように、マグヘマイト薄膜のコバルトの含有量を7〜15重量%とし、面内方向の磁気特性について、保磁力Hc=1800〜3000Oe(143〜239kA/m)、残留磁化Mrと磁性層膜厚tとの積Mrtを0.2〜2memu/cm2、飽和磁化Msと残留磁化Mrとの比Ms/Mrを0.5以上に特定したことにより、電磁変換特性、アーカイブ性に優れ、走行耐久性、保存安定性に優れた高い信頼性を有するテープ型の磁気記録媒体が得られた。
〔実施例9〜12〕、〔比較例7〜9〕
次に、基体(ベースフィルム)の磁性層形成面側における微細突起の高さ、突起個数、及び磁性層の膜厚を制御して各サンプル磁気テープを作製した。
なお、突起は、デジタルインスツルメンタル社製「Nanoscope III」を用いて、基体1の表面の1mm2のエリアを測定することとし、突起個数は、電子顕微鏡で10000倍の倍率で撮影した基体1の表面の写真により、高さ5〜30nmの微小突起の個数を数えることによって求めた。
各サンプル磁気テープについて、下記に示すようにして走行耐久性、磁気ヘッド磨耗、及びC/Nについての評価を行った。評価結果を下記表2に示す。
〔走行耐久性〕
ドラムテスタにより再生出力を測定した。繰り返し記録再生して1時間後の出力の低下が1.5dB以内のものを許容(○)、出力の低下が1.5dBを超えたものを不適当(×)として評価した。
〔磁気ヘッド磨耗〕
市販のAIT2ドライブ(SDX-500C)を改造してGMRヘッドを使用可能にした記録再生装置を用い、各サンプル磁気テープについて10分間の信号再生を行った。このときの出力の低下が初期の出力に比べて2dB以内であれば許容(○)とし、2dBを超えていたらNG(×)として評価した。
〔C/N特性〕
C/Nは、記録周波数15MHzの出力と15MHz±1MHzのノイズの平均の差より求めた。C/Nの測定には、リファレンスとしてソニー製MICROMV用テープ(商品名MGR60)を用い、リファレンス+0dB以上を許容とした。
Figure 2005100535
上記表2に示すように、基体の磁性層形成面側に、高さ5〜30nmの微小突起が5×106〜3×107個/mm2の割合で形成され、磁性層の膜厚が10〜50nmである実施例9〜12の磁気テープにおいては、走行耐久性、磁気ヘッド磨耗、及びC/Nのいずれにおいても実用上良好な評価が得られた。
一方、比較例7においては、磁性層の膜厚が厚すぎ、磁性層の表面形状が悪化してしまいノイズの原因となり、C/Nが劣化した。
比較例8においては、微細突起が高すぎ、摺動により磁気ヘッドが摩滅してしまい、C/Nが劣化した。
比較例9においては、微小突起の個数が少なすぎるため、表面が平滑になり、磁気ヘッドとの摩擦が高くなりすぎ、磁気ヘッドの磨耗を招来し、走行耐久性も劣化した。
上述したことから明らかなように、磁性層形成面側に、高さが5〜30nmの微小突起を、0.5×108〜5.0×108個/mm2の割合で形成し、かつ磁性層の膜厚を10〜50nmにしたことにより、良好な走行安定性、走行耐久性が得られ、かつ磁気ヘッドとの磨耗による出力低下を効果的に回避することができた。
本発明の磁気記録媒体の概略断面図を示す。
符号の説明
1……基体、2……磁性層、3……保護層、4……潤滑剤層、10……磁気記録媒体

Claims (2)

  1. 磁気抵抗効果型磁気ヘッド、又は巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドに適用される磁気記録媒体であって、
    ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミドのうちのいずれかよりなる長尺状の基体上に、コバルトの含有量が7〜15重量%のコバルト含有マグヘマイト薄膜よりなる磁性層を有してなり、
    面内方向の磁気特性が、
    保磁力Hc=143〜239kA/m、
    残留磁化Mrと磁性層膜厚tとの積Mrt=0.2〜2memu/cm2
    飽和磁化Msと残留磁化Mrとの比Ms/Mrが0.5以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 上記基体の磁性層形成面側には、高さ5〜30nmの微小突起が、5×106〜3×107個/mm2の割合で形成されてなり、
    上記磁性層の膜厚が10〜50nmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。












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