JPH11154317A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH11154317A
JPH11154317A JP32007997A JP32007997A JPH11154317A JP H11154317 A JPH11154317 A JP H11154317A JP 32007997 A JP32007997 A JP 32007997A JP 32007997 A JP32007997 A JP 32007997A JP H11154317 A JPH11154317 A JP H11154317A
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magnetic
layer
magnetic recording
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JP32007997A
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English (en)
Inventor
Satoshi Nagai
智 永井
Noriyuki Kitaori
典之 北折
Osamu Yoshida
修 吉田
Katsumi Endo
克巳 遠藤
Toshio Yamazaki
登志夫 山崎
Takeshi Miyamura
猛史 宮村
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の蒸着型の磁気記録媒体に比してより高
記録密度化が可能であり、広範囲の周波数帯帯域に亘っ
て良好な電磁変換特性を有する磁気記録媒体を提供する
こと。 【解決手段】 支持体2と、該支持体2の表面側に一種
以上の金属元素を蒸着させて設けられた磁性層3とを具
備する磁気記録媒体において、上記磁性層3の膜厚をt
(μm)とした場合に、波長800nmにおける該磁性
層3の透過率が、100×e(-25t)〜100×e(-19t)
(%)であり、波長450nmにおける該磁性層3の透
過率が、100×e(-33t)〜100×e(-26t)(%)で
ある磁気記録媒体1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属元素の蒸着膜
を磁性層としてなる磁気記録媒体に関し、更に詳しく
は、広い周波数帯帯域に渡って良好な電磁変換特性を有
する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、支持体と、該支持体の表面側に一種以上の金属元素
を蒸着させて設けられた磁性層とを具備する磁気記録媒
体、即ち蒸着型の磁気記録媒体は、種々提案されてい
る。このような蒸着型の磁気記録媒体は、磁性塗料を塗
布して形成される塗布型の磁気記録媒体に比して、高記
録密度化が可能であるため、特に高記録密度が要求され
る分野において有用である。しかし、最近では、更に高
記録密度化の要請が高くなっており、より、高記録密度
化が可能で、特に広範囲の周波数帯帯域に亘って良好
な、電磁変換特性を有する磁気記録媒体の開発が要望さ
れているのが現状である。
【0003】従って、本発明の目的は、従来の蒸着型の
磁気記録媒体に比してより高記録密度化が可能であり、
広範囲の周波数帯帯域に亘って良好な電磁変換特性を有
する磁気記録媒体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、磁気記録媒体の磁性
層をその透過率が特定の値となるように形成することに
より、上記目的を達成しうることを知見した。
【0005】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
ので、支持体と、該支持体の表面側に一種以上の金属元
素を蒸着させて設けられた磁性層とを具備する磁気記録
媒体において、上記磁性層の膜厚をt(μm)とした場
合に、波長800nmにおける該磁性層の透過率が、1
00×e(-25t)〜100×e(-19t)(%)であり、波長
450nmにおける該磁性層の透過率が、100×e
(-33t)〜100×e(-26 t)(%)である磁気記録媒体を
提供するものである。
【0006】また、本発明は、上記磁性層の保持力Hc
の最大値が、2600Oe以上である磁気記録媒体を提
供するものである。また、本発明は、上記金属元素が、
Coを主成分として含み、該Coの含有量が、磁性層1
00重量部中80重量部以上である磁気記録媒体を提供
するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体につ
いて更に詳細に説明する。本発明の磁気記録媒体は、支
持体と、該支持体の表面側に一種以上の金属元素を蒸着
させて設けられた磁性層とを具備する。そして、上記磁
性層が特定の透過率を有することを特徴とする。
【0008】また、本発明の磁気記録媒体は、テープ、
ディスク、ドラム、シート及びその他の形態で使用され
るが、特に磁気テープの形態で使用される。
【0009】本発明の磁気記録媒体に用いられる上記支
持体としては、公知の磁性又は非磁性の支持体を特に制
限なく用いることができる。上記支持体の形成材料とし
ては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェ
ニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリアミド、
ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、芳香
族ポリアミド等の公知の樹脂;アルミニウムや銅等の金
属;セラミックス;紙等を使用することができる。ま
た、上記支持体の形態は、磁気記録媒体の形態に応じて
任意であるが、フィルム、テープ、シート、ディスク、
ドラム等の何れでもよい。また、上記支持体には、磁性
層を設ける前に、大気中及び/又は真空中においてその
表面に予めコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処
理、熱処理、除塵処理、ボンバード処理などを行うこと
もできる。上記支持体の好ましい厚さは、1〜300μ
mである。
【0010】上記磁性層は、上記支持体の表面側に一種
以上の金属元素を蒸着させて設けられた層であり、特定
の透過率を有する。即ち、上記磁性層は、上記磁性層の
膜厚をt(μm)とした場合に、波長800nmにおけ
る該磁性層の透過率が、100×e(-25t)〜100×e
(-19t)(%)、好ましくは5.0〜10.0(%)であ
り、波長450nmにおける該磁性層の透過率が、10
0×e(-33t)〜100×e(-26t)(%)、好ましくは
1.9〜4.4(%)である。波長800nmにおける
透過率が、100×e(-25t)(%)未満であると、電磁
変換特性が全体的に悪化し、特に低周波数帯域において
その悪化が顕著になる傾向が見られ、100×e(-19t)
(%)を超えると、電磁変換特性がやはり全体的に悪化
し、特に高周波数帯域においてその悪化が顕著になる傾
向が見られる。また、波長450nmにおける透過率
が、100×e(-33t)(%)未満であるか又は100×
(-26t)(%)を超えると、電磁変換特性が広い周波数
帯域に渡って悪化する。
【0011】800nmを選択したのは、用い得る測定
器において測定可能な範囲における長波長側の代表値だ
からであり、450nmを選択したのは、用い得る測定
器において測定可能な範囲で短波長側の代表値として比
較的安定に測定できる波長だからである。
【0012】上記の磁性層の透過率は、下記の如くして
測定することができる。磁性層の透過率は、例えば日立
製作所製「U−3210磁気記録分光光度計」等の分光
光度計を用い、該分光光度計に透過アタッチメントを装
着して常法に準じて測定することができる。尚、一般
に、材料の透過率を測定する場合、膜厚、膜の屈折率に
応じて干渉が発生するため、測定された透過率図形(チ
ャート)には、干渉信号が重畳して観察される。本願発
明においては、図4に示すように、最小二乗法を用いた
フィッティングによって干渉信号を排除した透過率の値
を用いている。
【0013】上記透過率は下記するファクターを適宜調
整することにより調節することができる。磁性層の透過
率は、例えば成膜時の酸素の導入形態によって制御する
ことが可能である。具体的には、成膜開始部に相当する
最大入射角近傍と成膜終了部に相当する最小入射角近傍
とのそれぞれに導入する酸素流量の総量や両者のバラン
スを変えることにより調節できる。また、これ以外に
も、例えば成膜速度やキャンロール温度を調節したり、
成膜部位近傍にN2 、Ar等の不活性ガスを噴出させた
り、金属蒸気流をプラズマ励起させるといった方法によ
っても調節できる。
【0014】上記金属元素としては、例えばFe、C
o、Ni、Pt、Cr、等を挙げることができ、使用に
際しては単独で又は2種以上併用することができる。ま
た、蒸着させる際に用いる材料としては、例えばFe、
Co、Ni、Cr等の金属の他に、Co−Ni合金、C
o−Pt合金、Co−Ni−Pt合金、Fe−Co合
金、Fe−Ni合金、Fe−Co−Ni合金、Fe−C
o−B合金、Co−Ni−Fe−B合金、Co−Cr合
金等が用いられる。また、上記金属元素は、Co及びC
rであるか、Coであるのが好ましい。即ち、上記磁性
層は、金属元素として、Co及びCrを併用して用いる
か、Coのみを用いて、形成されていることが好まし
く、Co及びCrを併用して用いた場合には、Co−C
r合金を用いる。また、上記金属元素として、Coと他
の金属元素をとを併用した場合、該Coは、磁性層全体
の重量100重量部中80重量部以上とするのが好まし
い。
【0015】また、上記金属元素の密度は、密度が高い
方が透過率は低く、密度が低い方が透過率は高くなる傾
向にあるので、常温における該金属元素の平均密度の6
0〜75%であり、好ましくは、60〜70%である。
上記金属元素の密度が、60%未満であると、電磁変換
特性の向上が見られず、75%を超えると、結晶粒の必
要以上の増大が生じ、却って電磁変換特性が劣化する場
合があるので、上記範囲内とするのが好ましい。ここ
で、上記平均密度とは、例えば、金属元素としてCoの
みを含有する場合には、8.8g/cm3 であり、上記
の特定の金属元素の密度は、5.28〜6.60g/c
3 となる。また、金属元素としてCoとCrとを9:
1の比で含有する場合には、Coの密度が8.8g/c
3 でCrの密度が7.2g/cm 3 であから、平均密
度は8.64g/cm3 〔=(8.8×9+7.2)/
10〕となり、上記の密度は、5.18〜6.48g/
cm3 となる。このように、密度が平均密度に比して低
くなるのは、上記磁性層が上記金属元素により形成され
る複数のコラムと、各コラム間に形成される空隙とによ
り形成されており、更に該コラムの表面には必要に応じ
て酸化膜が形成されることによる。
【0016】また、上記密度は、下記の及びの何れ
を用いても測定することができ、何れによっても同じ値
を得ることができる。 RBS法を用いる方法:RBS法(Ratherford Backsc
attering Spectoroscopy) を用いて、磁性層の単位面積
当たりの原子数を、構成元素それぞれについて測定す
る。この測定値と検出された元素の原子量、別途段差計
等を用いて測定された磁性層厚を用いてその密度を算出
する。 質量と体積とから算出する方法:バックコート層を剥
離した試料を適当長用意し、支持体込みの質量を正確に
秤量した後、磁性層を塩酸等を用いて溶解し、改めて支
持体の質量を秤量して、磁性層質量を算出する。更に、
事前に把握しておいた磁性層厚、サンプル面積から磁性
層の体積を得、これらをもとに磁性層密度を算出する。
【0017】上記金属密度を上述の範囲内とすることに
より、電磁変換特性が向上する理由については定かでな
いが、磁性層中の空隙、磁気分離に寄与しない無駄な酸
化物が減少することにより、記録に関与する実効磁性層
成分(金属元素量)が増大し、結果として特に電磁変換
特性が改善されるものと考えられる。また、密度が増大
することにより磁性層の力学的物性も改善されて、耐久
性も改善されると考えられる。
【0018】また、上記金属元素は、斜め蒸着されてい
るのが好ましい。上記斜め蒸着とは、支持体の厚み方向
に対して所定の角度をもって金属元素を蒸着することを
意する。斜め蒸着されていることにより、それぞれ支持
体の厚み方向に対して所定の角度をもって斜め方向に成
長された複数のコラムが形成されるので、上記磁性層
は、斜め蒸着膜となる。尚、上記コラムの角度等の上記
磁性層の構造については、上記の金属元素の密度の範囲
を満足すれば任意である。
【0019】なお、上記金属蒸着膜の形成時に酸化性ガ
スを供して、上記金属コラムの表面に、酸化膜を形成す
ることが好ましい。尚、酸化性ガスとしては例えば、酸
素、空気などが用いられるが酸素が好ましい。
【0020】また、上記磁性層全体の厚さ(膜厚t)
は、30〜300nm(0.03〜0.3μm)である
ことが好ましく、50〜200nmであることが更に好
ましい。該厚さが30nmに満たないと磁性層の耐久性
が十分でない場合があり、300nmを越えると自己減
磁が増加する場合があるので、上記範囲内とすることが
好ましい。
【0021】上記磁性層は、その保磁力の最大値が、2
000Oe以上であるのが好ましく、更に好ましくは2
600Oe以上、最も好ましくは2600〜3000O
eであるのが好ましい。ここで、保磁力の最大値とは、
磁性層平行方向から垂直方向の保磁力のうちで最大の値
を言う。また、長手方向の保磁力は、1000〜250
0Oeであり且つ垂直方向の保磁力が1500〜300
0Oeであることが好ましい。なお、本明細書におい
て、「長手方向」とは、主として磁気ヘッドの進行方向
を意味し、磁気テープの場合にはテープの長手方向を含
む方向をいい、「垂直方向」とは、磁性層面に対して法
線方向を意味する。
【0022】次いで、本発明の磁気記録媒体について、
その1形態を図1を参照しつつ説明する。ここで、図1
は、本発明の磁気記録媒体の1形態を示す拡大断面図で
ある。
【0023】図1に示す磁気記録媒体としての磁気テー
プ1は、支持体2と、該支持体2上に設けられた磁性層
3とを具備してなり、該磁性層3上には、保護層4と潤
滑層5とが設けられており、該支持体2の裏面側にはバ
ックコート層6が設けられている。
【0024】上記支持体及び上記磁性層については上述
したので、以下、保護層4、潤滑層5及びバックコート
層6について説明する。
【0025】上記保護層4は上記磁性層3上に、一般に
真空中で、炭素或いは炭化物、窒化物、特にダイヤモン
ドライクカーボン、ダイヤモンド、炭化ホウ素、炭化ケ
イ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アル
ミニウム等を成膜することにより形成される。上記保護
層の形成法としては、化学的気相成長法(CVD法)及
びPVD法の何れでもよい。CVD法では特にマイクロ
波を用いたECR(Electron Cyclotron Resonance) 法
や、高周波(RF)を用いた方法が有効である。CVD
法により上記保護層を形成する場合、原料はガス状、液
状及び固体状の何れのものを用いてもよい。
【0026】上記保護層4は、特にダイヤモンドライク
カーボンからなることが好ましい。この場合、該保護層
4は、ガス状の原料、液状の原料又は固体状の原料を用
いて形成することができる。ガス状の原料を用いる場合
は、上記ガス状の原料としてメタンとアルゴンとの混合
ガス、エタンと水素との混合ガス、又はメタンと水素と
の混合ガスを用いるのが好ましい。また、液状の原料を
用いる場合は、上記液状の原料としてアルコールや不飽
和炭化水素を用いるのが好ましい。更に、固体状の原料
を用いる場合は、上記固体状の原料としてナフタリンや
高級パラフィンを用いるのが好ましく、この場合、固体
を加熱したり超音波をかけてもよい。
【0027】また、PVD法としては、熱蒸発法、スパ
ッタ法、イオンプレーティング法等が挙げられ、何れを
用いることもできるが、中でも特にスパッタ法が有効で
ある。例えば、ダイヤモンドライクカーボンからなる保
護層は、グラファイトのターゲットを用いてメタンとア
ルゴンとの混合ガス又はメタンと水素との混合ガス中で
スパッタして形成するのが、窒化ケイ素からなる保護層
は、ケイ素のターゲットを用いてアルゴンと窒素との混
合ガス、アルゴンとアンモニアとの混合ガス、窒素ガ
ス、アンモニアガス、又はアンモニアとモノシラン(S
iH4 )との混合ガス中でスパッタして形成するのが、
酸化アルミニウムからなる保護層は、アルミニウムのタ
ーゲットを用いてアルゴンと酸素との混合ガス中でスパ
ッタして形成するのが好ましい。
【0028】上記保護層形成の際の真空度は、CVD法
の場合、10-1〜10-5Torr程度であることが好ま
しく、PVD法の場合、10-4〜10-7Torr程度が
好ましい。また、上記保護層の厚さは特に限定しない
が、1〜30nmであることが好ましく、更に好ましく
は3〜15nmである。
【0029】次に、上記潤滑層5について説明する。上
記潤滑層5は、超音波発振器を備えた噴霧器(以下、
「超音波噴霧器」という)を用い、潤滑剤を上記磁性層
上(上記磁性層上に上記保護層が形成されている場合に
は、上記保護層上)に噴霧して形成することが好まし
い。より詳細には、上記超音波噴霧器は、上記潤滑剤の
供給手段と、該供給手段から供給された上記潤滑剤に超
音波を印加して霧化する手段(超音波発振器)と、霧化
された上記潤滑剤を噴霧するノズルとからなる。また、
ノズルタイプの噴霧装置を用いてもよい。ノズルタイプ
の噴霧装置は、一般に一流体ノズルと呼ばれる装置が使
用できる。
【0030】超音波噴霧器を使用して潤滑剤を微細な粒
子として噴霧することができるので、高温(200℃以
上)に弱く蒸気圧が低いため、従来空気中での塗布によ
ってのみ潤滑剤層を形成することができたパーフルオロ
ポリエーテル等のフッ素系潤滑剤の真空中での噴霧が可
能となる。なお、従来方法のように、大気中において、
グラビア方式、リバース方式又はダイ塗工方式を用いて
上記潤滑剤を塗布しても良い。
【0031】上記パーフルオロポリエーテルとしては、
分子量2000〜5000のものが好適であり、例えば
「FOMBLIN Z DIAC」〔カルボキシル基変性、アオジモン
ト(株)製〕、「FOMBLIN Z DOL 」〔アルコール変性、
アオジモント(株)製〕の商品名で市販されているもの
が使用できる。これらは末端に水酸基又はカルボキシル
基を有するため、潤滑剤と磁性層との結着を高め得るの
で、好適に用いられる。
【0032】なお、上記潤滑剤以外にも、ベンゼン環、
二重結合、分岐鎖等を含むフッ素系の潤滑剤、脂肪酸系
の潤滑剤、その他の潤滑剤を使用することもできる。こ
れらのうち、上記フッ素系潤滑剤は、脂肪酸系潤滑剤と
比べ耐久性だけでなく耐蝕性も向上させるため、好適に
用いられる。
【0033】また、上記潤滑剤の噴霧にあたっては、上
記潤滑剤をフッ素系不活性溶媒(例えば住友スリーエム
(株)製「フロリナート」等のパーフルオロカーボン、
アオジモント(株)製「ガルデン」等のパーフルオロポ
リエーテル)、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、ア
ルコール系溶媒、ケトン系溶媒等の適当な溶媒に溶解さ
せた0.001〜10重量%程度、特に0.02〜2.
0重量%の溶液として用いることが好ましい。上記潤滑
剤としてパーフルオロポリエーテルを用いる場合、溶媒
としてはパーフルオロカーボンが使用でき、その場合の
濃度は0.001〜1.0重量%程度、特に0.05〜
0.2重量%が好ましい。また、上記潤滑剤の噴霧量
は、磁気記録媒体の用途や潤滑剤の種類等を考慮して適
宜決定すればよいが、形成された潤滑剤層の厚さは0.
5〜20nm程度となるように調節するのが好ましい。
【0034】上記バックコート層6は、カーボンブラッ
ク等を適当な溶剤に分散させた液を塗布して形成しても
よいし、金属又は半金属を物理的蒸着法(PVD)、特
に熱蒸発法、スパッタリング法により蒸着させて形成さ
せてもよい。
【0035】上記バックコート層6を塗布により形成す
る場合は、粒径10〜100nmのカーボンブラック
を、塩ビ系、ウレタン系又は硝化綿系等のバインダー中
に分散させ、グラビア方式、リバース方式又はダイ塗工
方式等で、乾燥後の厚さが好ましくは0.4〜1.0μ
mになるように塗布する。
【0036】上記バックコート層6を蒸着により形成す
る場合は、上記金属又は半金属材料としてアルミニウム
やシリコンを用いることが好ましい。また、この場合の
上記バックコート層の厚さは好ましくは0.05〜1.
0μmである。
【0037】なお、上記磁性層3の形成に先立ち、上記
支持体2の表面に上記磁性層3の密着性を向上させる為
のアンダーコート層を設けてもよい。かかるアンダーコ
ート層は、例えばSiO2 等の粒子を含有させた厚さが
0.05〜0.5μmの塗膜からなる。あるいは、厚さ
が5〜50nmの金属又は金属酸化物、窒化物等のセラ
ミックス膜をアンダーコート層としても良い。かかるア
ンダーコート層を用いることにより、例えば斜め蒸着法
により形成される磁性層の密着性を向上させると共に、
上記磁性層の表面粗さを適度なものとして走行性を改善
することができる。
【0038】なお、上記バックコート層6の上には、走
行性や耐久性等を一層向上せしめることを目的として、
トップコート層を設けてもよい。
【0039】次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法に
ついて詳述する。本発明の磁気記録媒体は、通常の斜め
蒸着法により、支持体上に磁性層を形成し、更に上述し
た手法をそれぞれ用いて、保護層、潤滑層及びバックコ
ート層並びにアンダーコート層などを必要に応じて設け
るなどして製造することができる。斜め蒸着法等の上記
の各方法としては、従来公知の方法を特に制限なく用い
て行うことができるが、特に本発明においては、上述し
た金属元素の密度を満足させるために、上記磁性層は下
記の如き連続斜め蒸着法により形成するのが好ましい。
【0040】以下、本発明において好適に用いられる連
続斜め蒸着法について詳述する。上記連続斜め蒸着法
は、図2に示す如き通常の斜め蒸着法を行うための蒸着
装置を用いて行うことができる。ここで、図2は、本発
明の磁気記録媒体の製造に際して好ましく用いられる蒸
着装置を示す概略図である。
【0041】図2に示す蒸着装置100は、脱気ポンプ
(図示せず)に連結された排気口11を備えた真空チャ
ンバー10と、該真空チャンバー10の内部に設置され
たテープ状の支持体原反2を巻き出す巻き出しロール2
0と、巻き出された支持体原反2を連続的に蒸着させる
金属の入射角を変化させながら蒸着に供するキャンロー
ル40と、金属元素が蒸着されて磁性層が形成された支
持体原反(磁気テープ原反)2’を巻き取る巻き取りロ
ール30と、金属元素の蒸気のうち入射角の小さな金属
元素をカットするマスク50と、支持体原反の表面に酸
化性ガスを導入する導入管60a,60bと、蒸着させ
る金属元素の材料金属71が投入された坩堝70とから
なる。そして、上記導入管60aは、上記キャンロール
40の最小入射角端部近傍に酸化性ガスを導入できるよ
うに、該最下方に沿って設けられており、上記導入管6
0bは、支持体がキャンロールと接する部位のうち最も
上方に位置する最上部から下方に向けて酸化性ガスを導
入できるように、該最上部に設けられている。また、上
記導入管60a,60bにおけるガス放出口61a,6
1bは、それぞれ、同じ形状である。具体的には、図3
に示すように、該放出口61a(61b)は、支持体原
反表面に平行且つ長手方向に直角に配置された金属製円
筒管161に小径の孔261が一列に多数に設けられた
構造を有し、該孔261からガスがキャンロール表面の
成膜部に向けて吹き出すようになされている。
【0042】上記蒸着装置100を用いて蒸着を行うに
は、まず、真空チャンバーの内部を1×10-5〜1×1
-6Torr程度に脱気した後、坩堝70を電子ビーム
などにより加熱して金属元素の蒸気を発生させる。この
際、支持体原反2を巻き出しロ−ル20から矢印方向に
巻き出してキャンロール上を移送させ、且つマスク50
で金属元素の入射角を調節しつつ、蒸着を行った後、巻
き取りロール30により巻き取る。また、蒸着に際して
は、上記導入管60a,60bより、上記酸化性ガスを
蒸着面に導入して、各コラムに酸化物の皮膜を形成す
る。
【0043】そして、上記透過率は、例えば、酸化性ガ
スの供給量、成膜速度、キャンロール温度、キャンロー
ルへの印加電圧及び永久磁石の配置を適宜調節するなど
して、上述した範囲内に調節することができる。具体的
には、上記導入管60aからのガス供給量を、該導入管
60aにおける流量で10〜60SCCMとし、上記導入管
60bからのガス供給量を、該導入管60bにおける流
量で5〜20SCCMとするのが好ましい。成膜速度はキャ
ンロール径に大きく依存するが、成膜速度は十分に遅い
ほうがベースフィルム表面に飛来した原子(以下、「飛
来原子」という)が十分に支持体表面を移動する余裕を
与えることができるため、結果的に緻密な膜を得ること
ができる。従って、この場合の透過率は小さくなる。こ
のため、成膜速度は、20〜200nm/secとする
のが好ましい。キャンロールの温度は、低いと飛来原子
がベースフィルム表面を移動する余裕を与えることがで
きず、結果的に疎な磁性層が形成され、磁性層の透過率
は大きくなるため、−30〜90℃とするのが好まし
い。キャンロールの印可電圧は、高い方が飛来原子に与
える運動エネルギーを増大させ、磁性層は緻密なものと
なり、透過率は小さくなる。このため0〜200Vとす
るのが好ましい。キャンロールに配する永久磁石として
は、経験的に強力なものを用いた方が密度の高い磁性層
を得られることが判っている。このため、0〜50M・
Gauss・Oeの磁石を用いるのが好ましい。尚、上
述の各条件は、それぞれ上述の透過率の範囲を満足する
のであれば上述の範囲内には特に制限されない。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0045】〔実施例1〕図2に示す蒸着装置を用い、
下記の製膜条件で、支持体上に金属元素を蒸着させて磁
性層を形成した。次いで、バックコート層、保護層及び
潤滑層を、それぞれ、下記の製造法に記載のようにして
形成した後、6mm幅(DVC幅)にスリットして、磁
気記録媒体としてのDVC用の磁気テープを得た。
【0046】〔成膜条件〕 ・蒸発源材料(金属元素):Co75重量%とNi25
重量%との合金 ・支持体:6.2μmPETフィルム ・支持体テンション:1.5kg/155mm ・支持体幅:155mm ・最大入射角度:90° ・最小入射角度:50° ・ボンバードガス:酸素ガス ・ボンバード条件:ガス流量40SCCM、ボンバード
電圧/電流400V/0.4A ・キャンロール径:400mm ・キャンロール温度:−10℃ ・キャンロール表面粗さ:0.1s ・キャンロールとガス放出口との間の距離:7mm(導
入管60a,60bのガス放出口61a,61bからキ
ャンロール40表面までの数学的な距離であり、ガス放
出口61a,61bからキャンロール40の表面に降ろ
した垂線で測定される距離である。) ・キャンロールのベースフィルム抱き角:260° ・成膜開始前真空度;6.0×10-6Torr ・導入酸素ガス温度(導入管60a,60b共):28
℃ ・導入管のガス放出孔径(導入管60a):0.5mm ・導入管のガス放出孔径(導入管60b):0.8mm ・導入管のガス放出孔間隔(導入管60a,60b
共):12mm ・導入管の排気口幅(導入管60a):180mm ・導入管の排気口幅(導入管60b):180mm ・電子銃出力:30kW ・導入管60bの酸素ガス流量:30SCCM ・導入管60bの酸素ガス流量:7SCCM ・成膜速度:200nm/sec ・永久磁石:有り(10M・Gauss・Oeの永久磁
石41をキャンロール内部の図2に示す位置に配置) また、ライン速度は、磁性層の膜厚が0.16μmとな
るように制御して成膜を行った。
【0047】(バックコート層、保護層及び潤滑層の製
造法)バックコート層は下記の各点を除いて、磁性層と
同じ条件下で成膜した。 ・ボンバードは実施せず、酸素流量は60aからは60
SCCM、60bからは0SCCMとした。 保護層は、ECRプラズマCVD装置を用いて、常法に
準じて10nm厚のダイヤモンドライクカーボンからな
る保護層を磁性層上に設けることにより製造した。ま
た、潤滑層は、該保護層の表面にパーフルオロポリエー
テル〔アオジモント(株)製商品名「FOMBLIN
Z DIAC」〕を厚さ1.2nmでコーティングする
ことにより製造した。
【0048】得られた磁気テープについて、透過率を上
述の測定法により測定した。また、電磁変換特性を、下
記の如くして測定した。その結果を〔表2〕に示す。 (電磁変換特性)電磁変換特性は、常法に従い、ドラム
テスターを用いて測定した。この際、磁気ヘッドには市
販のDVCデッキ用ヘッド(アルプス電気製、商品名
「HWHAC20744」)を用いた。入力信号は記録
電流が最適化された矩形波5MHz、10MHz、20
MHzとした。
【0049】〔実施例2〜4及び比較例1〜4〕導入管
60a,60bにおける酸素ガス流量を、それぞれ〔表
1〕に示す値とした以外は、実施例1と同様にして磁気
テープを製造した。また、得られた磁気テープについ
て、それぞれ、実施例1と同様にして密度、電磁変換特
性を測定した。その結果を〔表2〕に示す。尚、実施例
4で得られた磁気テープについて、測定した透過率のチ
ャートを図4に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、従来の蒸着型
の磁気記録媒体に比してより高記録密度化が可能であ
り、更に電磁変換特性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の磁気記録媒体の1形態を示す
拡大断面図である。
【図2】図2は、本発明の磁気記録媒体の製造に際して
好ましく用いられる蒸着装置を示す概略図である。
【図3】図3は、図2に示す導入管の拡大斜視図であ
る。
【図4】図4は、実施例4で得られた磁気テープの透過
率を示すチャートである。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体 2 支持体 3 磁性層 4 保護層 5 潤滑層 6 バックコート層
フロントページの続き (72)発明者 遠藤 克巳 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 山崎 登志夫 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 宮村 猛史 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体の表面側に一種以上
    の金属元素を蒸着させて設けられた磁性層とを具備する
    磁気記録媒体において、 上記磁性層の膜厚をt(μm)とした場合に、波長80
    0nmにおける該磁性層の透過率が、100×e(-25t)
    〜100×e(-19t)(%)であり、波長450nmにお
    ける該磁性層の透過率が、100×e(-33t)〜100×
    (-26t)(%)であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記磁性層の保持力Hcの最大値が、2
    600Oe以上であることを特徴とする請求項1記載の
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記金属元素が、Coを主成分として含
    み、該Coの含有量が、磁性層100重量部中80重量
    部以上であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録
    媒体。
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