JPH11350146A - プラズマcvdによる成膜装置および成膜方法 - Google Patents

プラズマcvdによる成膜装置および成膜方法

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JPH11350146A
JPH11350146A JP15904398A JP15904398A JPH11350146A JP H11350146 A JPH11350146 A JP H11350146A JP 15904398 A JP15904398 A JP 15904398A JP 15904398 A JP15904398 A JP 15904398A JP H11350146 A JPH11350146 A JP H11350146A
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JP15904398A
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Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
Takahiro Kawana
隆宏 川名
Yuka Ito
由佳 伊藤
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強磁性体薄膜に対する保護膜としてのダイヤ
モンドライクカーボン(DLC)膜の成膜中におけるア
ーク放電の発生が抑制され、実用特性の良好な保護膜付
き磁気記録媒体を製造するに適したプラズマCVDによ
る成膜装置および成膜方法を提供すること。 【解決手段】 真空チャンバー2内で、強磁性Co−O
膜11を陰極として磁気記録媒体10を冷却用回転ドラ
ム5に接触して走行させ、直流電源16によって陽極と
しての金網15に1.2kVの直流高電圧を印加するこ
とにより、原料ガスとして導入されるエチレンとアルゴ
ンとの混合ガスはプラズマ化され反応して、Co−O薄
膜11上に厚さ10nmのDLC膜が連続的に形成され
る。この時、陽極材料として、W、Mo、Cu、または
Feを使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマCVDによ
る成膜装置および成膜方法に関するものであり、更に詳
しくは、磁気記録媒体の金属磁性薄膜に保護膜を形成さ
せるためのプラズマCVDによる成膜装置および成膜方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体として、酸化物磁性粉末あ
るいは合金磁性粉末等の粉末磁性材料を塩化ビニル酢酸
ビニル共重合樹脂、ポリエステルポリウレタン等のバイ
ンダーの溶液中に分散させた磁性塗料を非磁性支持体に
塗布、乾燥して作製する塗布型の磁気記録媒体が従来か
ら広く使用されている。これに対して高密度磁気記録の
要求の高まりと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合
金、部分酸化Co等の金属磁性材料をメッキや、真空中
での薄膜形成手段(真空蒸着法、スパッタリング法、イ
オンプレーティング法等)によってポリエステルフィル
ム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム等の非磁
性支持体に直接に被着させた、いわゆる金属磁性薄膜型
の磁気記録媒体が提案され注目を集めている。
【0003】金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は抗磁力や
角形比等に優れ、磁性層の厚みを極めて薄くできるため
に、記録の減磁や再生時の厚み損失が著しく小さく、短
波長での電磁変換特性に優れているばかりでなく、磁性
層中にバインダー等の非磁性材を含まないために磁性層
における磁性材料の充填密度が高い等、種々の利点を有
している。このような点で金属磁性薄膜型の磁気記録媒
体は高密度磁気記録の主流になるものと考えられる。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体の電磁
変換特性を向上させ、より大きい出力を得ることができ
るようにするために、金属磁性薄膜を形成させる場合
に、磁性材料の磁化容易軸が非磁性支持体と傾斜するよ
うに蒸着させる、いわゆる斜め蒸着が提案され実用化さ
れている。更には、記録の高密度化の流れから、スペー
シング損失を少なくするために、磁気記録媒体の表面は
平滑化される傾向にある。
【0005】しかし、磁気記録媒体の表面の平滑化は磁
気ヘッドと磁気記録媒体との摺動時における摩擦力を増
大させ、磁気記録媒体にかかる剪断応力を大にする。従
って、摺動耐久性を向上させることを目的として、金属
磁性薄膜の表面に保護膜を形成させる技術の検討がなさ
れている。
【0006】このような保護膜としてはカーボン膜、石
英(SiO2 )膜、ジルコニア(ZrO2 )膜等が検討
され、ハードディスクにおいて実用化され生産されてい
るものもある。特に最近はカーボン膜の中でも硬度がよ
り大きいダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の形
成が検討されており、今後は主流になると思われる保護
膜である。DLC膜の形成にはスパッタリング法やプラ
ズマCVD(化学的気相成長)法が採用されている。
【0007】上記の方法のうち、スパッタリング法は先
ず電場や磁場を利用して例えばAr(アルゴン)等の不
活性ガスの電離(プラズマ化)を行う。次いで、電離さ
れたArイオンを加速してターゲット衝突させるが、そ
の衝突エネルギによってターゲットの原子をはじき出
す。そして、はじき出された原子がターゲットと対向す
る基板上に堆積することにより目的とする膜を形成させ
る物理的プロセスである。このプロセスによるDLC膜
の形成速度は一般に遅く、工業的製造プロセスとしては
生産性に劣っている。これに対して、プラズマCVD法
は電場や磁場を利用して発生させたプラズマのエネルギ
によって原料となる気体の分解、合成等の化学反応を生
起させて目的とする膜を形成させる化学的プロセスであ
る。プラズマを発生させる手段としてはマイクロ波によ
って放電させる方法、高周波電力を誘導的に印加して放
電させる方法、直流電圧を印加して放電させる方法等が
ある。
【0008】上記のプラズマCVD法の中でマイクロ波
による方法は膜成長速度が小さい。高周波電力を誘導的
に印加する方法は放電の安定性に問題がある。直流電圧
を印加する方法は他に比較して膜形成速度が大であり、
今後が期待されるDLC膜の形成方法であるが、プラズ
マを発生させるグロー放電時にアーク放電が生起すると
いう問題がある。すなわち、グロー放電時の電流0.1
〜0.2Aに対して、パルス的にまた連続的に数Aのア
ーク放電が生起する。アーク放電が多発するとその部分
において堆積物の厚みが低下し、最悪の場合は磁気記録
媒体に落雷して傷を生ずるが、何れの場合も磁気記録媒
体の特性の劣化を招く。
【0009】なお、電学論A、116巻11号、平成8
年、907頁には、真空放電下におけるアーク放電に関
して、放電電流が‘しきい値’以上になると定常的なア
−クが発生するとし、電極材料による‘しきい値’がS
n(2.3kA)、Al(6.8kA)、Ag(9.7
kA)、Cu(10.3kA)、Mo(13.6k
A)、W(13.8kA)の如く列挙されているが、こ
れらの電流値は上述のプラズマCVD法による成膜時に
生起するアーク電流よりは可成り大であるほか、上記の
磁気記録媒体の金属磁性薄膜に対するプラズマCVD法
によるカーボン薄膜等の保護膜の成膜装置や成膜方法に
適する電極材料、特に長尺の磁気記録媒体の実用特性等
に影響を与えない電極材料に関しては何等記載されてい
ない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の問題に
鑑みてなされ、金属磁性薄膜に対して、例えばカーボン
膜、好ましくはダイヤモンドライクカーボン膜等の保護
膜の成膜中におけるアーク放電の発生が抑制され、実用
特性に優れた保護膜付き磁気記録媒体を製造するに適し
たプラズマCVDによる成膜装置および成膜方法を提供
することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題は請求項1お
よび請求項4の構成によって解決されるが、その解決手
段を説明すれば、請求項1の発明は、真空下に原料ガス
を導入し陽極に直流電圧を印加してプラズマ化させ反応
させて、陰極としての磁気記録媒体の金属磁性薄膜に対
して保護膜を形成させる場合の陽極の材料としてCu
(銅)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、ま
たはFe(鉄)を使用したプラズマCVDによる成膜装
置である。
【0012】また、請求項4の発明は、真空下に原料ガ
スを導入し、陽極に直流電圧を印加してプラズマ化させ
反応させて陰極としての磁気記録媒体の金属磁性薄膜に
対する保護膜を形成させる場合に、Cu(銅)、W(タ
ングステン)、Mo (モリブデン)、またはFe
(鉄)を材料として作製した陽極によって直流電圧を印
加するプラズマCVDによる成膜方法である。
【0013】このような陽極を備えた成膜装置を使用し
て磁気記録媒体上の金属磁性薄膜に保護膜を形成させる
ことにより、保護膜の形成中におけるアーク放電の発生
が抑制され、シャトル走行性、スチル耐久性等の実用特
性に優れた保護膜付き磁気記録媒体を製造することがで
きる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態のプラ
ズマCVDによる成膜装置および成膜方法について詳し
く説明する。
【0015】実施の形態のプラズマCVDによる成膜装
置は磁気記録媒体の金属磁性薄膜に対する保護膜を形成
させるためのものであり、真空下において、陰極として
の金属磁性薄膜に対し、対向する位置の陽極に直流電圧
を印加し、導入される原料ガスをプラズマ化させ反応さ
せて、磁気記録媒体の金属磁性薄膜面に保護膜を形成さ
せるが、その磁気記録媒体としては、非磁性支持体上に
バインダーを使用せずに金属磁性薄膜が直接に形成され
たものであればその種類は問わない。すなわち、金属磁
性薄膜が例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、
スパッタリング法、めっき法等によって非磁性支持体の
面に直接に形成されているものであれば、その形成方法
はどの様な方法によるものであってもよい。また、非磁
性支持体としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレンナフタレート、ポリイミド、ポリイミドアミド、
セルローズ誘導体、ポリオレフィン類等の有機物のほ
か、アルミニウム系、チタン系の合金やガラスも使用さ
れる。また、非磁性支持体の形状はフィルム状、シート
状、板状、その他、どの様なものであってもよい。
【0016】そして、金属磁性薄膜の材料としては強磁
性体として知られているものであれば如何なるものであ
ってもよく、例えば、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、
Co(コバルト)、Co−O(部分酸化コバルト)等の
強磁性金属や、Fe−Co、、Fe−Co−Ni、Fe
−Cu、Co−Cu、Co−Au(金)、Co−Pt
(白金)、Mn(マンガン)−Bi(ビスマス)、Mn
−Al(アルミニウム)、Fe−Cr(クロム)、Co
−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−
Cr、Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げら
れる。
【0017】金属磁性薄膜はこれらの磁性材料の単層膜
であってもよく、またこれらの磁性材料の組み合わせか
らなる多層膜であってもよい。更には、非磁性支持体と
金属磁性薄膜との間、また金属磁性薄膜が多層膜の場合
にはその多層膜の間における付着力の向上や抗磁力の調
整等のために、下地層や中間層を設けたものであっても
よい。また、金属磁性薄膜の耐蝕性を改善するために、
表面近傍を酸化物としたものであってもよい。
【0018】上記のような磁気記録媒体の金属磁性薄膜
に対して、カーボン膜、好ましくはダイヤモンドライク
カーボン膜等の保護膜をプラズマCVDによって形成さ
せるが、そのためのプラズマCVDによる成膜装置は、
真空下において、磁気記録媒体の金属磁性薄膜をアース
電位の陰極とし、対向する陽極に直流高電圧を印加して
グロー放電を発生させ、導入する原料ガスをプラズマ化
させ反応させて保護膜を形成し得るような構成とする必
要がある。
【0019】そして、上述したように、成膜時にアーク
放電が発生することを可及的に避けねばならない。その
ために、陽極はCu(銅)、W(タングステン)、Mo
(モリブデン)、またはFe(鉄)を材料として作製さ
れたものであることが必要である。
【0020】また、5,000mないしは10,000
mにも及ぶ長尺の磁気記録媒体の金属磁性薄膜面に保護
膜を連続的に形成させる場合には、金属磁性薄膜面が下
流側の冷却用回転ドラム上で表面となるように、磁気記
録媒体を巻出しロールから繰り出し、保護膜を形成させ
る場所として冷却用回転ドラムに部分的に巻き付けた
後、巻取りロールに巻取るような磁気記録媒体の走行機
構と、導入した原料ガスをプラスマ化させ反応させて保
護膜を形成させる場所へ効率よく導くために、その場所
へ開口部を可及的に接近させた煙突状の反応管を設けて
底部から原料ガスを導入し、その途中に直流高電圧を印
加する陽極を配置することが望ましい。その場合には陽
極は金網状ないしはグリッド状とすることになる。
【0021】陰極となる金属磁性薄膜を接地電位とする
ために巻出しロールから保護膜が形成される冷却用回転
ドラムに至るまでの間に、接地回路に接触させることが
必要であるが、その間において金属磁性薄膜面と接触す
るガイドロールまたは専用の接地ロールを配置して、例
えば接地電位の真空チャンバーの側壁と接続させるよう
にしてもよい。
【0022】また、数千度の電子温度のプラズマによっ
て保護膜を形成させるので、磁気記録媒体は加熱される
が、磁気記録媒体の非磁性支持体は一般には延伸して作
成されており、加熱されることにより部分的に不均一に
収縮して皺を発生するので、保護膜形成時に冷却するこ
とが必要であり、冷却が不十分であると磁気記録媒体と
しては全く使用に耐えないものとなる。非磁性支持体の
熱収縮が始まる温度は非磁性支持体の種類やその製造時
における延伸倍率によっても支配されるので一概的に示
し得ないが、耐熱性の高い有機の非磁性支持体であって
も150℃以下、非磁性支持体として多用されているポ
リエチレンテレフタレート(PET)フィルムである場
合には一応の目安として約70℃以下の温度に冷却する
ことが必要である。従って、成膜装置には保護膜の形成
時に磁気記録媒体を接触させて冷却する機器、例えば長
尺の磁気記録媒体の金属磁性薄膜面に対して連続的に保
護膜を形成させる場合には、冷却用回転ドラムの内部に
循環させる冷媒もそれに応じた温度に設定されるが、非
磁性支持体がPETフィルムである場合には、冷媒の温
度は例えば−20℃とされる。
【0023】保護膜としてはカーボン膜、ないしはその
中でも硬度が大であるDLC膜を形成させる場合には、
原料ガスとして、炭素数1から6までの炭化水素が使用
され得るが、一般的には、炭素数1から4までの、メタ
ン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、ブテンとそ
のイソ型のものが使用される。また、炭化水素単独を使
用する以外に、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスとの
混合ガスが炭化水素ガス/不活性ガス=2/0〜1の混
合比で使用される。DLC膜の成長過程については未だ
不明確な部分が多いが、希釈ガスを混合することによっ
てダイヤモンドにへの近似度が一層高いDLC膜が得ら
れる。
【0024】また、プラズマを発生させるには成膜装置
内を真空排気して真空度を10〜60Paの範囲内に維
持して行うが、真空度10Pa以下においては成膜速度
が小さく、60Pa以上にすると成膜速度は大になるが
グロー放電が不安定になる。また、陽極に0.5〜2k
Vの直流高電圧を印加するが、0.5kV以下ではグロ
ー放電が発生せず、2kV以上にするとグロー放電が不
安定になる。そして、この様な条件下に膜厚6〜20n
mのDLC膜を形成させる。膜厚6nm未満では磁気記
録媒体としてのシャトル走行性、スチル耐久性などの実
用性が十分でない。また、膜厚20nm以上とすると、
スペーシング損失の増大を招くので好ましくはない。
【0025】
【実施例】以下、実施例によって、図面を参照し、本発
明のプラズマCVDによる成膜装置および成膜方法を具
体的に説明する。
【0026】(実施例1〜4、比較例1〜3)図1は実
施例1で使用したプラズマCVDによる成膜装置1の断
面図である。すなわち同成膜装置1は真空排気装置9を
備えた主としてステンレスからなる真空チャンバー2内
において、片面に金属磁性薄膜11を有する磁気記録媒
体10が、下方の回転ドラム5上で金属磁性薄膜11面
が表側となるように、巻出しロール3から繰り出され、
上流側のガイドロール4を経て、冷却機能を備えた回転
ドラム5に巻き付けられ、更に下流側のガイドロール6
を経て、巻取ロール7に巻き取られるようになってい
る。そして、プラズマを発生させるグロー放電時に陰極
となる金属磁性薄膜11はその金属磁性薄膜11と接触
するガイドロール4が回路17によって真空チャンバー
2の側壁と導通されており、アース電位とされている。
【0027】一方、回転ドラム5の下方には、同ドラム
5の表面に沿うように丸樋状の開口13を有する角筒形
状で絶縁性の反応管12が設置されており、反応管12
の底部には原料ガスの導入口14が設けられており、内
部には陽極としての金網15が設置されて外部の直流電
源16と接続されている。
【0028】このようなプラズマCVDによる成膜装置
1によって、磁気記録媒体10の金属磁性薄膜11に保
護膜としてダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を
形成させた。そして、陽極としての金網15の材料を変
えた時の、成膜中におけるアーク放電の発生頻度、得ら
れるDLC膜付き磁気記録媒体10’の磁気テ−プとし
てのシャトル走行性、スチル耐久性、および動摩擦係数
を測定して評価した。
【0029】磁気記録媒体10としては、あらかじめ、
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面
に酸素(O2 )ガスを少量導入しつつCoを蒸着して強
磁性部分酸化コバルトCo−Oの薄膜を形成させたもの
を使用した。その厚さ構成は次の通りである。 ベースフィルム : PETフィルム、厚さ6μm 磁性層 : 部分酸化コバルトCo−O、厚さ
160nm
【0030】プラズマCVDによる成膜装置1を使用し
て、上記の磁気記録媒体10の強磁性Co−O薄膜に対
し、保護膜としてのDLC膜を形成を行った。冷却機能
を備えた回転ドラム5上で強磁性Co−O薄膜11が表
面になるように、上記の強磁性Co−O薄膜11を片面
に形成させたPETフィルムである磁気記録媒体10を
巻出しロール3から繰り出し、陰極としての強磁性Co
−O薄膜11をアース回路を構成するガイドロール4に
接触させて、−20℃の温度に冷却した回転ドラム5に
巻き付け、更にガイドロール6を経由させて、巻取ロー
ル7に巻き取るように磁気記録媒体10を通した後、真
空チャンバー2内を真空排気装置9によって真空度30
Paに維持してプラズマCVDによる成膜を開始した。
すなわち、直流電源16によって陽極としての金網15
に1.2kVの直流電圧を印加し、磁気記録媒体10を
回転ドラム5に接触させて冷却しながら走行させ、反応
管12の原料ガス導入口14から原料ガスとしてエチレ
ンガス/アルゴンガス=4/1の混合ガスを導入するこ
とにより、原料ガスはプラズマ化され、巻出しロール3
から繰り出される磁気記録媒体10の強磁性Co−O薄
膜11上に厚さ10nmのDLC膜を連続的に形成させ
た。、得られたるDLC膜付き磁気記録媒体10’を巻
取ロール7に巻き取った。この時、ベースフィルムであ
るPETフィルムが熱変形して皺を発生しないように、
磁気記録媒体10の温度が60℃を超えないようにし
た。そして保護膜としてのてDLC膜が形成された磁気
記録媒体10’を巻取ロール7に巻き取った。
【0031】上記の成膜において、陽極である金網15
の材料にCu(銅)、Mo(モリブデン)、W(タング
ステン)、Fe(鉄)、Sn(錫)、Ti(チタン)、
Al(アルミニウム)を使用し、それぞれについて、成
膜途中における時間当りのアーク発生回数を記録し、得
られた保護膜付き磁気記録媒体10’については次に示
す試験条件によって実用特性としてのシャトル走行性、
スチル耐久性、摩擦性を測定、評価し、それらの評価結
果は表1に示した。
【0032】*アーク発生回数 制御部の印加電圧計の数値が印加電圧の60%に低下す
る回数をカウントしてアーク発生回数とし、1分間当り
の発生回数に換算した。 *シャトル走行性試験 40℃、30%RHの環境下において、10分間の記録
を施したものを99回再生させた後、100回目の出力
を初期出力に対するdBで示した。測定値が−3dB以
内であれば、デジタルVTR(ビデオテープレコーダ)
に内蔵されている信号増幅回路により画質は影響されな
い。評価装置DCR−VX1000(ソニー製)を使用
した。 *スチル耐久性試験 温度5℃の環境下においてスチル状態のまま保持し、出
力が初期出力に対して−3dBとなる迄の時間で示し
た。評価装置DCR−VX1000(ソニー製)を使用
した。 *摩擦性試験 40℃、80%RHの環境下において、摺動摩擦試験機
を使用して、SUS面に対する動摩擦係数を測定した。
【0033】
【表1】
【0034】表1の結果から明らかなように、電極材料
としてCu(銅)、Mo(モリブデン)、W(タングス
テン)を使用した場合には成膜時における単位時間当り
のアーク発生数が小さく、同時に実用特性に優れた磁気
テープを与える。また、Fe(鉄)を電極材料として
も、Cu、Mo、Wに近い実用特性が得られるので、磁
気テープの用途、価格帯によってはFeも電極としての
使用が可能である。
【0035】(実施例5〜9、比較例4〜7)上述の実
施例1〜4、比較例1〜3で使用したのプラズマCVD
による成膜装置1を使用して、金網(陽極)15の材料
をCu(銅)とし、成膜条件(直流印加電圧、真空度)
を変化させた以外は全く同様にして、磁気記録媒体10
の部分酸化コバルトCo−O膜11に対し、保護膜とし
てのDLC膜を形成させた。そして、成膜中のグロー放
電の安定性、およびグロー放電が安定した状態で得られ
た保護膜付き磁気記録媒体10’の実用特性について評
価し、その結果を表2に示した。
【0036】
【表2】
【0037】表2における実施例5、6、7と比較例
4、5とから明らかなように、直流印加電圧0.8kV
以下ではグロー放電が起こらず、直流印加電圧2.0k
V以上とするとグロー放電は不安定化した。また、比較
例6、7に見られるように、直流印加電圧が0.8〜
2.0kV内であっても、真空度10Pa以下とすると
成膜速度が小となって生産性が低下し、真空度60Pa
以上とするとグロー放電が不安定になった。
【0038】本発明の実施の形態のプラズマCVDによ
る成膜装置および成膜方法は以上のように構成され作用
するが、勿論、本発明はこれに限られることなく、本発
明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0039】例えば本実施の形態においては、図1に示
したように冷却回転ドラム5を使用したが、図2に示す
ように、固定の冷却台25を使用して板状の磁気記録媒
体30に成膜するようにしてもよい。すなわち、図2は
変形例としての、プラズマCVDによる成膜装置21を
示す概略的縦断面図であり、図2において真空チャンバ
ー22は下方の真空排気装置29によって減圧され、上
方の原料ガス導入口34から原料ガスが導入されて反応
管34内でプラズマ化される。ダイヤモンドライクカー
ボン膜を形成させるべき、金属磁性薄膜31を有するガ
ラス円板状の磁気記録媒体30は金属磁性薄膜31をア
ース電位として、Cu(銅)製の金網状の陽極35側に
向けて冷却台25上に載置され、1枚ずつ成膜される。
【0040】また本実施の形態においては、金属磁性薄
膜の保護膜としてカーボン膜、好ましくはダイヤモンド
ライクカーボン膜を形成させる場合を説明したが、同様
にプラズマCVDによってセラミック膜を保護膜として
形成させることができる。例えばSiH4 、N2 Oを原
料ガスとしてSiO2 膜を、またAlCl3 、O2 を原
料ガスとしてAl23 膜等を磁気記録媒体の金属磁性
薄膜に対する保護膜として形成させる場合にも本発明の
成膜装置および成膜方法が適用される。
【0041】
【発明の効果】本発明は以上に説明したような形態で実
施され、次に記載するような効果を奏する。
【0042】真空下に原料ガスを導入し、陽極に直流電
圧を印加してプラズマ化させ反応させ、陰極としての磁
気記録媒体の金属磁性薄膜上に保護膜を形成させる場合
の、陽極の材料としてCu(銅)、W(タングステ
ン)、Mo(モリブデン)、またはFe(鉄)を使用す
るので成膜中におけるアーク放電が抑制され、シャトル
走行性、スチル耐久性等の実用特性に優れた保護膜付き
磁気記録媒体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態のプラズマCVDによる成膜装置の
概略的縦断面図である。
【図2】変形例のプラズマCVDによる成膜装置の概略
的縦断面図である。
【符号の説明】
1……プラズマCVD成膜装置、2……真空チャンバ
ー、3……巻出ロール、4……ガイドロール、5……冷
却用回転ドラム、6……ガイドロール、7……巻取ロー
ル、9……真空排気装置、10……磁気記録媒体、1
0’……保護膜付き磁気記録媒体、11……金属磁性薄
膜(陰極)、12……反応管、13……開口、14……
原料ガス導入口、15……金網(陽極)、16……直流
高圧電源。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空下に、陰極としての磁気記録媒体の
    金属磁性薄膜に対して、原料ガスを導入し陽極に直流電
    圧を印加してプラズマ化させ反応させて、保護膜を形成
    させるプラズマCVD(化学的気相成長)による成膜装
    置において、 少なくとも陽極がCu(銅)、W(タングステン)、M
    o(モリブデン)、またはFe(鉄)を材料として作製
    されていることを特徴とするプラズマCVDによる成膜
    装置。
  2. 【請求項2】 前記プラズマCVDによる成膜装置が、
    該装置内において、前記磁気記録媒体を巻出しロールか
    ら繰り出し、前記陰極としての前記金属磁性薄膜面を接
    地回路に接触させた後、前記金属磁性薄膜面が表側とな
    るように、冷却用回転ドラムに一定の中心角で部分的に
    巻いて接触させ、巻取りロールに巻取る前記磁気記録媒
    体の走行機構と、前記冷却用回転ドラムに接触する前記
    磁気記録媒体の前記金属磁性薄膜面に対向して開口し前
    記原料ガスの導入口と内部に前記陽極を設けた反応管が
    設置されており、 導入される前記原料ガスが前記陽極に印加される直流高
    電圧によってプラズマ化され反応することにより、前記
    冷却用回転ドラムに接触して走行する前記磁気記録媒体
    の前記金属磁性薄膜に前記保護膜が連続的に形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマCVDによ
    る成膜装置。
  3. 【請求項3】 形成させる前記保護膜がカーボン膜、好
    ましくはダイヤモンドライクカ−ボン膜であることを特
    徴とする請求項1に記載のプラズマによるCVD成膜装
    置。
  4. 【請求項4】真空下に原料ガスを導入し、陽極に直流電
    圧を印加してプラズマ化させ反応させて、陰極としての
    磁気記録媒体の金属磁性薄膜に保護膜を形成させるプラ
    ズマCVDによる成膜方法において、 Cu(銅)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)
    またはFe(鉄)を材料として作製された前記陽極によ
    って直流電圧を印加することを特徴とするプラズマCV
    Dによる成膜方法。
  5. 【請求項5】 前記プラズマCVDによる薄膜形成方法
    が、前記磁気記録媒体を巻出しロールから繰り出し、前
    記陰極としての前記金属磁性薄膜面を接地回路に接触さ
    せた後、前記金属磁性薄膜面が表側となるように、冷却
    用回転ドラムに一定の中心角で部分的に巻いて接触さ
    せ、巻取りロールに巻取りつつ、 前記冷却用回転ドラムに接触して走行する前記磁気記録
    媒体の前記金属磁性薄膜に対向して開口する反応管内に
    設けられた前記陽極に直流高電圧を印加し、前記反応管
    内に導入される前記原料ガスをプラズマ化させ反応させ
    ることにより前記磁気記録媒体の前記金属磁性薄膜面に
    前記保護膜を連続的に形成させることを特徴とする請求
    項4に記載のプラズマCVDによる成膜方法。
  6. 【請求項6】 前記原料ガスとして、炭素数1〜6の炭
    化水素ガス単独、または前記炭化水素ガス/不活性ガス
    =2/0〜1の混合ガスを使用し、真空度10〜60P
    a、直流印加電圧0.8〜2.0kVの条件下にプラズ
    マ化させ反応させることにより、前記磁気記録媒体の前
    記金属磁性薄膜面に前記保護膜として膜厚6〜20nm
    のカーボン膜、好ましくはダイヤモンドライクカ−ボン
    膜を形成させることを特徴とする請求項4に記載のプラ
    ズマCVDによる成膜方法。
JP15904398A 1998-06-08 1998-06-08 プラズマcvdによる成膜装置および成膜方法 Abandoned JPH11350146A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8652587B2 (en) 2010-06-18 2014-02-18 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Method and apparatus for forming film

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