JPH11153141A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JPH11153141A
JPH11153141A JP9321624A JP32162497A JPH11153141A JP H11153141 A JPH11153141 A JP H11153141A JP 9321624 A JP9321624 A JP 9321624A JP 32162497 A JP32162497 A JP 32162497A JP H11153141 A JPH11153141 A JP H11153141A
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和久 北村
Tomoya Hattori
智哉 服部
Hiroaki Takebayashi
博明 竹林
Shigetaka Wada
重孝 和田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来使用されていた窒化珪素よりも耐蝕性が
高く、しかも十分な耐荷重性を有する転がり軸受を提供
する。 【解決手段】 内輪1と外輪2と転動体5との少なくと
も転走面を複合セラミック材料で形成する。この複合セ
ラミック材料は、アルミナと炭化チタンとからなる主要
構成部を備え、上記主要構成部においてアルミナ含有量
が50〜90体積%、炭化チタン含有量が50〜10体
積%であり、さらに、上記主要構成部に対する割合が5
体積%未満である非主要構成部を備えることができる。
炭化チタンの一部を炭化珪素で置き換えてもよい。転走
面の表面粗さは、最大表面粗さRmaxが0.4μm以
下、平均表面粗さRaが0.1μm以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強い腐食性を有す
る薬液中などでの使用に適した転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミック材料である窒化珪素(Si3
4)が優れた転がり軸受材料であることは、従来から
知られている。窒化珪素の緻密な焼結体で形成した転動
体および内外輪は軽量であり、また、耐熱性、耐蝕性、
耐焼付性にも優れているため、高速回転や腐食環境等、
通常の鋼製軸受では対応できない用途で幅広く実用化さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな窒化珪素も、非常に強い酸やアルカリに対しては腐
蝕が発生するため、非常に強い腐蝕性を有する薬液中な
どで使用する転がり軸受の材料としては用いることがで
きない。
【0004】窒化珪素よりも耐蝕性に優れたセラミック
材料としては、アルミナ(Al23)、炭化珪素(Si
C)、ジルコニア(ZrO2)(特に、強度に優れた正
方晶ジルコニア)等が考えられる。
【0005】しかし、アルミナは、窒化珪素に比べると
機械的強度が低く、したがって窒化珪素よりも耐荷重性
に劣る。さらに、表面を滑らかに研磨することが困難で
あるため、アルミナ単体からなるセラミック材料を転が
り軸受材料として使用することはできない。
【0006】また、炭化珪素も、アルミナと同様、窒化
珪素に比べると機械的強度が低く、したがって窒化珪素
よりも耐荷重性に劣る。しかも、緻密に焼結することが
難しいので、表面の滑らかな転動体を形成するのが困難
である。このため、炭化珪素単体からなる材料も、転が
り軸受材料としては不向きである。
【0007】一方、ジルコニアは、機械的強度にも表面
加工性にも優れ、油を潤滑剤とする転がり軸受材料試験
では、窒化珪素に次ぐ優れた耐久性を有することも確か
められている。ところが、ジルコニアは、応力により、
または、水との反応により、結晶系が正方晶から単斜晶
に変化し、この結晶変態に伴う大きな体積変化により強
度が低下する不具合がある。このため、ジルコニアは、
耐水性と耐蝕性とが同時に要求される用途、つまり、腐
食性薬液中での実用は困難となっている。
【0008】つまり、現在までのところ、窒化珪素製転
がり軸受では対応できない強い腐蝕性環境にも対応でき
る転がり軸受は開発されていない。
【0009】そこで、本発明の目的は、従来使用されて
いた窒化珪素よりも耐蝕性が高く、しかも十分な耐荷重
性を有し、したがって、非常に強い腐蝕性を有する薬液
中などでも長期にわたって良好な軸受性能を発揮できる
転がり軸受を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の転がり軸受は、内輪と外輪と転動体との少
なくとも転走面が複合セラミック材料で形成されてお
り、上記複合セラミック材料は、アルミナと炭化チタン
とからなる主要構成部を備え、上記主要構成部において
アルミナ含有量が50〜90体積%、炭化チタン含有量
が50〜10体積%であり、さらに、上記主要構成部に
対する割合が5体積%未満である非主要構成部を備える
ことができることを特徴としている。
【0011】本明細書で使用している用語「転走面」
は、内輪および外輪においては、転動体が転動する軌道
面、また、転動体においては、上記軌道面に転がり接触
する転動体表面のことを言うものとする。
【0012】複合セラミック材料の主要構成部に占める
アルミナ含有量の割合の上限を90体積%および炭化チ
タン含有量の割合の下限を10体積%とする理由は、滑
らかな転走面を転がり軸受に付与すべく良好な研磨加工
性を得るためである。転がり寿命は転走面の表面粗さと
材料強度に依存する傾向がある。強度特性の中でも脆性
材料であるセラミック材料では、破壊靭性値が転がり寿
命に大きく影響する。したがって、セラミック材料を転
がり軸受に用いる場合、転走面の表面が粗いか又は転走
面における材料の破壊靭性値が低いと、寿命が短くなっ
てしまう。ところが、本発明者が行った実験結果による
と、アルミナ含有量が90体積%よりも多い(つまり、
炭化チタン含有量が10体積%よりも少ない)と、最大
表面粗さRmaxが0.4μm以下になるように焼結体
を研磨することが難しかった。また、たとえ、表面を滑
らにしても、転動試験でアルミナ粒子の脱落が生じた。
このことから、アルミナ含有量が90体積%を超える転
がり軸受は耐久性に劣ることが分かった。
【0013】また、複合セラミック材料の主要構成部に
占めるアルミナ含有量の割合の下限を50体積%および
炭化チタン含有量の割合の上限を50体積%とする理由
は、緻密な焼結体を得るためである。本発明者が行った
実験結果によると、成形されたセラミック材料に常圧焼
結と加圧焼結を施す場合、炭化チタン含有量が50体積
%よりも多い、つまり、アルミナ含有量が50体積%よ
りも少ないと、常圧焼結工程において、開気孔を無くす
ように焼結することができず、従って、続く加圧焼結工
程で、殆ど気孔の無い緻密な焼結体を得ることができな
かった。その結果、研磨加工によって滑らかな転走面を
得ることができず、このようにして得られた転がり軸受
は耐久性に劣った。
【0014】一方、アルミナ含有量および炭化チタン含
有量が上記範囲内にあるときは、転走面の表面粗さを所
定範囲内に抑えることができ、また転走面における破壊
靭性値も所定値以上にすることができ、転がり軸受とし
て良好な耐久性を得ることができた。しかも、成分の1
つであるアルミナは窒化珪素よりも耐蝕性に優れたもの
であることから、請求項1の転がり軸受は耐蝕性に非常
に優れ、窒化珪素では対応できない腐食性環境において
も、長期に使用することができる。
【0015】また、請求項2の転がり軸受は、内輪と外
輪と転動体との少なくとも転走面が複合セラミック材料
で形成されており、上記複合セラミック材料は、アルミ
ナと炭化チタンと炭化珪素とからなる主要構成部を備
え、上記主要構成部においてアルミナ含有量が50〜9
0体積%、炭化チタンと炭化珪素との合計含有量が50
〜10体積%であり、さらに、上記主要構成部に対する
割合が5体積%未満である非主要構成部を備えることが
できることを特徴としている。
【0016】請求項2の発明は、いわば、請求項1の転
がり軸受の少なくとも転走面を形成する複合セラミック
材料成分である炭化チタンの一部を、炭化珪素で置き換
えたものである。炭化珪素は、前述したように窒化珪素
に比べて耐蝕性に優れ、また機械的強度についても窒化
珪素には劣るものの十分な強度を有しているものであ
る。発明者の行った実験によって、請求項2の転がり軸
受も、請求項1の転がり軸受と同程度の転がり軸受性能
を有することが確かめられた。
【0017】請求項3の転がり軸受は、上記転走面の表
面粗さを、平均粗さRaで0.1μm以下かつ最大粗さR
maxで0.4μm以下としたものである。
【0018】上述したように、転がり寿命は表面粗さと
材料の破壊靭性値に依存しており、表面が粗いか又は破
壊靭性値が低いと、寿命が短くなってしまう。発明者が
行った試験によると、Raがたとえ0.1μm以下であ
ってもRmaxが0.4μmよりも大きいと耐久性のば
らつきが大きくなり、Rmaxが0.4μm以下でも、
Raが0.1μmよりも大きいと、耐久性に劣った。こ
れに対して、RaとRmaxの両方がそれぞれ上記範囲
内にあるときには、良好な耐久性が得られた。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施の形態
により詳細に説明する。
【0020】図1は本発明の転がり軸受の一実施の形態
であるラジアル玉軸受を示した断面図であり、1は外周
面に軌道面1aを有する内輪、2は内周面に軌道面2a
を有する外輪、3は上記軌道面1aと2aの間に周方向
に一定間隔をあけて設けられた複数の転動体としての
玉、そして4は保持器である。上記ラジアル玉軸受の転
走面、つまり、上記両軌道面1a,2aおよび各玉3の
表面の表面粗さは、平均表面粗さRaで0.1μm以
下、最大表面粗さRmaxで0.4μm以下である。
【0021】上記内輪1、外輪2、および、玉3の各々
は、アルミナと炭化チタンとからなる主要構成部を備え
た複合セラミック材料からなる。この複合セラミック材
料の主要構成部100体積%に占めるアルミナ含有量の
割合は50〜90体積%の範囲内にあり、炭化チタン含
有量の割合は50〜10体積%の範囲内にある。複合セ
ラミック材料は、この主要構成部のみで100体積%と
なるようにしてもよいが、焼結を促進するための焼結助
剤となる成分を不可避不純物と合わせて、100体積%
の該主要構成部に対して5体積%を超えない範囲で加え
てもよい。焼結助剤としては、各種の希土類酸化物、酸
化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化タンタル、酸化
ニオブ等の金属酸化物を用いることができる。上記複合
セラミック材料は破壊靭性値がおおむね4.0MPa・m
1/2以上である。
【0022】上記アルミナ/炭化チタンセラミック製の
内輪1と外輪2と玉3は、たとえば次のような方法によ
って製造できる。
【0023】まず、アルミナの粉末と炭化チタンの粉末
とを上記範囲内で所定の割合となるように秤量し、通常
の方法でボールミルで混合(このとき、上述した範囲内
で焼結助剤を加えてもよい。)、乾燥した後、その混合
粉体を内輪、外輪および玉に成形し、真空または不活性
ガス、たとえばアルゴン雰囲気中で1600℃〜180
0℃で常圧焼結する。次いで、熱間静水圧プレス(HI
P:Hot Isostatic Pressing)法による焼結を行い、実
質的に理論密度の複合焼結体を得る。そして、こうして
得られた焼結体の表面を研磨加工によって滑らかにする
ことにより、上記内輪1、外輪2、玉3を得るのであ
る。
【0024】上記混合粉体の成形法としては、乾燥した
粉末を所定の形状に合わせて一軸プレスする方法、静水
圧プレスする方法、スリップキャスト法、射出成形法及
びこれらの組み合せ等を用い得る。また、上記常圧焼結
の目的は、次いで行うHIP焼結において実質的に理論
密度の焼結体が得られるように、開気孔が実質的になく
なるようにすることであり、通常、相対密度が95%以
上となるように温度と時間とを選ぶ。その温度と時間
は、複合体の成分の比率で変わり、アルミナの割合が高
い場合には1600℃近くがよく、アルミナの割合が小
さいほど1800℃に近い温度にする。上記HIP焼結
は不活性雰囲気、通常、アルゴン雰囲気で行い、その温
度は1500℃〜1700℃である。こうして得られた
焼結体は、殆ど気孔のない緻密なものなので、研磨加工
によって滑らかな表面に加工できる。
【0025】図2に示す試験装置を用いて油中での転動
疲労試験を行い、上記複合セラミック材料からなる焼結
体の転がり性能評価(耐荷重性評価)を行った。この転
動疲労試験は、図2に示すように、平板状の試験片(試
料)の上を3個の金属(SUJ2)製の玉が転がる方式
とし、これらの玉に160Kgfの荷重をかけて、油(ス
ピンドル油#60)の中で1200r.p.m.の回転速度で
回転させるものである。なお、保持器は黄銅製のものを
用いた。繰り返し応力によって、一定時間の後に、試料
には剥離が生じたり、摩耗が生じたりする。その結果、
試験装置の振動が大きくなる。そこで、その振動を検知
し、振動が検知されるまでの時間をその試料の寿命とし
た。
【0026】最初の試験では、アルミナと炭化チタンの
混合割合をいろいろと変化させた試料No.1〜7を用
意し、それらの寿命を調べた。表1はこの試験結果を示
したものである。
【0027】
【表1】
【0028】試料No.1と試料No.7は比較例、試
料No.2〜6は本発明の実施例である。アルミナの含
有量が90体積%を超える試料1(比較例)の場合に
は、平均表面粗さRaが0.05μm以下、最大表面粗
さRmaxが0.2μmと所定の値(Ra=0.1μm,
Rmax=0.4μm)より小さく、十分滑らかな表面
を有するにも拘わらず、寿命は45時間と非常に短かっ
た。これは、アルミナのみ、あるいはそれに近い状態で
は、たとえ焼結体が緻密になっていて滑らかな表面を有
していても、荷重下での玉の転動によって、アルミナ粒
子の脱落が生じるためと思われる。
【0029】また、炭化チタンの含有量が50体積%を
超えている試料No.7(比較例)の場合には、常圧焼
結で相対密度を95%以上にすることができず、その結
果HIP焼結を行っても緻密にならず、研磨加工によっ
て滑らかな面を得ることができなかった。つまり、Ra
は0.031μmと所定値(0.1μm)よりも小さかっ
たが、Rmaxは0.44μmと所定値(0.4μm)よ
りも大きかった。この結果、わずか7時間の寿命しかな
かった。
【0030】これに対して、アルミナと炭化チタンの含
有量(体積%)がそれぞれ90/10、80/20、7
0/30、60/40、50/50である試料No.2
〜6(実施例)の場合には、寿命はそれぞれ、150時
間、290時間、310時間、220時間、130時間
と、比較例に比べて格段に長く、中でも、アルミナ80
体積%と炭化チタン20体積%との複合体(試料No.
3)とアルミナ70体積%と炭化チタン30体積%との
複合体(試料No.4)と、アルミナ60体積%と炭化
チタン40体積%との複合体(試料No.5)が特に効
果のあることが分かった。このことから、アルミナ含有
量は80〜60体積%、炭化チタンは20〜40体積%
の範囲内にあるのが一層好ましいと言える。
【0031】次に、アルミナ70体積%と炭化チタン3
0体積%の複合体の平均表面粗さRaを0.05μm以
下とし、最大表面粗さRmaxをいろいろ変化させるこ
とによって、転がり性能(耐荷重性能)に対する最大表
面粗さRmaxの影響を調べた。その結果を表2に示
す。
【0032】
【表2】
【0033】試料No.8〜11は本発明の実施例、試
料No.12〜13は比較例であり、各試料No.につ
いてそれぞれ5個の試料を用意した。表2中、右側の欄
には、5個の試料中、耐久時間の最も長かった試料と最
も短かった試料の耐久時間とを記載している。両数値の
差が大きいほど、同一試料No.における耐久時間に大
きいばらつきがあることを示す。表2から、Rmaxが
0.4μm以下である試料No.8〜11(実施例)の
場合にはばらつきが50〜80時間であるのに対して、
Rmaxが0.4μmを超える試料12〜13(比較
例)の場合には耐久時間が120〜147時間と大きく
ばらついており、信頼性に欠けることがわかった。さら
に、試料No.9は試料No.8よりもRmaxが大き
いにも拘らず寿命は若干延びているという例外はあるも
のの、総じて、Rmaxが大きくなるにつれて軸受寿命
が短くなっていることが分かる。そして、Rmaxが
0.4μmを超えている試料No.12〜13(比較
例)の場合には、最短寿命がそれぞれ120時間〜63
時間しかなく、本発明の実施例である試料No.8〜1
1の最短寿命が280〜200時間であるのに対して、
非常に短い。このことから、最大表面粗さRmaxが軸
受の寿命に密接に関係しており、Rmaxが0.4μm
を超えると十分な転がり性能を得られないばかりか、寿
命にばらつきが出て信頼性にも欠けることがわかった。
【0034】次に、アルミナ70体積%と炭化チタン3
0体積%の複合体の最大表面粗さRmaxを0.4μm
以下とし、平均表面粗さRaをいろいろ変化させること
によって、転がり性能(耐荷重性能)に対する平均表面
粗さRaの影響を調べた。その結果を表3に示す。試料
No.14〜19は本発明の実施例、試料No.20は
比較例である。各試料No.についてそれぞれ3個の試
料を用意し、これら3個の寿命の平均をその試料No.
の寿命とした。
【0035】
【表3】
【0036】表3から、試料No.15は試料No.1
4よりもRaが大きいにも拘らず寿命は若干延びている
という例外はあるものの、総じて、Raが大きくなるに
つれて寿命が短くなっていることが分かる。そして、R
aが0.1μmを超えている試料No.20(比較例)
の場合には、寿命はわずか21時間しかなく、実用に耐
えるものではないことが分かった。このことから、Ra
は0.1μm以下であるべきであることが分かった。ま
た、Raが0.01〜0.05μmの範囲内にある試料
No.14〜17の場合に特に良好な結果が得られたこ
とから、Raは0.1μm以下の範囲の中でも特に0.
05μm以下において効果のあることがわかった。
【0037】以上の試験結果において、Raがたとえ
0.1μm以下であっても、Rmaxが0.4μmよりも
大きいと耐久性のばらつきが大きくなり、Rmaxが
0.4μm以下であっても、Raが0.1μmよりも大き
いと平均的な耐久時間が短くなったことから、Raの値
とRmaxの値がそれぞれ、0.1μm以下、0.4μm
以下という条件を同時に満たす必要があることがわかっ
た。
【0038】以上の試験結果は、アルミナを90〜50
体積%、炭化チタンを10〜50体積%含有したアルミ
ナ/炭化チタン複合セラミック材料が、緻密な焼結体を
得られる点、焼結体の表面を滑らかに加工できる点、ま
た、十分な機械的強度つまり耐荷重性を得られる点で優
れた転がり軸受材料であることを示した。また、転走面
の表面粗さがRaで0.1μm以下、Rmaxで0.4μ
m以下の場合に転がり軸受が耐久性を有することも示し
た。しかも、上記複合セラミック材料は、従来使用され
ていた窒化珪素よりも耐腐食性に優れたアルミナを含有
したものである。したがって、本実施の形態の玉軸受
は、強い腐食性の薬液中などでも長期間にわたって使用
することができる。
【0039】表1〜3に示した試験結果は、アルミナと
炭化チタンとからなる主要構成部のみで100体積%に
した試料に関するものであるが、焼結助剤や不可避不純
物が100体積%の該主要構成部に対し多くても5体積
%未満まで加わった場合も、同様に良好な結果を得るこ
とができた。
【0040】以上、内輪1と外輪2と玉3の全体を上記
アルミナ/炭化チタン複合セラミック材料で形成した実
施の形態について説明したが、内輪1と外輪2と玉3の
それぞれの転走面のみ、つまり、軌道面1a,2aと玉
3の表面のみをこの材料で形成するようにし、その他の
部分は他の成分からなるセラミックで形成してもよい。
あるいは、上記と同一の成分を用いるが、転走面とその
他の部分とで混合比のみを変えるようにしてもよい。ま
た、内外輪1、2の表面部分全体を上記アルミナ/炭化
チタン複合セラミック材料で形成し、内部を金属で形成
することもできる。
【0041】また、上記複合セラミック材料の成分であ
る炭化チタンの一部を炭化珪素で置き換えて、炭化チタ
ンと炭化珪素との合計含有量が主要構成部全体の10〜
50体積%となるようにしてもよい。ここでは、試験結
果を示していないが、この場合にも、上記実施の形態と
同様の試験結果を得ることができ、その有効性を確認す
ることができた。
【0042】なお、上記説明はラジアル玉軸受について
行ったが、本発明はそれ以外のあらゆる転がり軸受に適
用できることは言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1およ
び2の転がり軸受は、従来使用されていた窒化珪素より
も耐蝕性に優れる上、転がり軸受として十分な耐荷重性
を有することができるので、窒化珪素製の転がり軸受で
は対応できないような強い腐食性の薬液中でも使用する
ことができる。
【0044】また、請求項3の転がり軸受は、請求項
1、2の転がり軸受において上記転走面の表面粗さが、
平均粗さRaで0.1μm以下かつ最大粗さRmaxで0.
4μm以下であるので、ばらつきのない優れた耐久性を
有することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるラジアル玉軸受の
断面図である。
【図2】転動疲労試験を行うための試験装置を示す図で
ある。
【符号の説明】
1…内輪、1a…内輪の軌道面、2…外輪、2a…外輪
の軌道面、3…転動体、4…保持器。
フロントページの続き (72)発明者 服部 智哉 大阪府大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋精工株式会社内 (72)発明者 竹林 博明 大阪府大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋精工株式会社内 (72)発明者 和田 重孝 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪と外輪と転動体との少なくとも転走
    面が複合セラミック材料で形成されており、上記複合セ
    ラミック材料は、アルミナと炭化チタンとからなる主要
    構成部を備え、上記主要構成部においてアルミナ含有量
    が50〜90体積%、炭化チタン含有量が50〜10体
    積%であり、さらに、上記主要構成部に対する割合が5
    体積%未満である非主要構成部を備えることができるこ
    とを特徴とする転がり軸受。
  2. 【請求項2】 内輪と外輪と転動体との少なくとも転走
    面が複合セラミック材料で形成されており、上記複合セ
    ラミック材料は、アルミナと炭化チタンと炭化珪素とか
    らなる主要構成部を備え、上記主要構成部においてアル
    ミナ含有量が50〜90体積%、炭化チタンと炭化珪素
    との合計含有量が50〜10体積%であり、さらに、上
    記主要構成部に対する割合が5体積%未満である非主要
    構成部を備えることができることを特徴とする転がり軸
    受。
  3. 【請求項3】 上記転走面は、表面粗さが平均粗さRa
    で0.1μm以下かつ最大粗さRmaxで0.4μm以下で
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の転がり
    軸受。
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